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林はやし 桃子ももこ (はやし ももこ) 長崎純心大学ながさきじゅんしんだいがく大学院だいがくいん 人間にんげん文化ぶんか研究けんきゅう科か 福祉ふくし文化ぶんか研究けんきゅう分野ぶんや
山田やまだ 幸子さちこ (やまだ さちこ) 長崎純心大学ながさきじゅんしんだいがく

■報告ほうこく題目だいもく

大学だいがくを卒業そつぎょうする「軽度けいど」肢体したい不自由ふじゆう者しゃの就職しゅうしょく活動かつどう及および進路しんろ選択せんたくのプロセス

■報告ほうこくキーワード

「軽度けいど」肢体したい不自由ふじゆう / 就職しゅうしょく活動かつどう / 進路しんろ選択せんたく

■報告ほうこく要旨ようし

1. 研究けんきゅうの背景はいけい

　障害しょうがいを持もつ大学生だいがくせいの就職しゅうしょく活動かつどうには大学だいがくにおけるキャリア支援しえんが重要じゅうよう視しとされると考かんがえられる。石田いしだ(2011)によると大学だいがくにおけるキャリア支援しえんには
①職業しょくぎょう社会しゃかいで求もとめられる人間にんげん形成けいせい支援しえん
②就職しゅうしょく活動かつどう支援しえんの二ふたつの機能きのう
　が存在そんざいすると述のべている。更さらに障害しょうがい学生がくせいの場合ばあい、卒業そつぎょう後ごの人生じんせいを“障害しょうがいとどう向むき合あい、どう障害しょうがいと生いきていくか”という大おおきなテーマの中なかで、社会しゃかいで充分じゅうぶんに通用つうようする知識ちしきと技能ぎのうの獲得かくとくを在学ざいがく中ちゅうに行おこなう必要ひつようがあり、つまり以上いじょうの2つに加くわえて
③自己じこ受容じゅようと能力のうりょく開拓かいたく
　以上いじょうの3点てんがキャリア支援しえんにおいて必要ひつようだと述のべている。これは大学だいがくの「キャリア支援しえん室しつ」で行おこなわれる就職しゅうしょく活動かつどう支援しえんからだけではなく、大学だいがく生活せいかつによる学まなびから得えることができるものである。
　また石田いしだ(2011)は障害しょうがい学生がくせいには、大学だいがく入学にゅうがくまでに周囲しゅういの過剰かじょうな配慮はいりょや逆ぎゃくに関かかわりのなさがあり、このため、自己じこの能力のうりょくを適正てきせいに理解りかいできていない学生がくせいがいると推察すいさつし、キャリア形成けいせいには現在げんざいの自己じこの力量りきりょうを正ただしく把握はあくしていることが前提ぜんていであり、このための支援しえんであると結論けつろん付つけている。このため、障害しょうがい学生がくせいのキャリア形成けいせいには本人ほんにんの努力どりょく及および周囲しゅういの関かかわりが重要じゅうよう視しされることが示唆しさされる。

2. 研究けんきゅう目的もくてきと意義いぎ

　「障害しょうがい学生がくせいにおいて具体ぐたい的てきな就職しゅうしょく活動かつどう支援しえん、さらにはキャリア支援しえんについての蓄積ちくせきがないため、多おおくの大学だいがくで模索もさく中ちゅうというのが2011年ねんの現状げんじょうである」と殿岡とのおか(2014)は述のべている。本ほん研究けんきゅうでは、実際じっさいに障害しょうがいを持もちながら就職しゅうしょく活動かつどうを行おこない、内定ないていを得えた者ものに就職しゅうしょく活動かつどう中ちゅうの出来事できごとを尋たずね、そのプロセスを描えがくことを目的もくてきとする。研究けんきゅう意義いぎとして、これから就職しゅうしょく活動かつどうをする障害しょうがい学生がくせいのモデルとし、困難こんなんの乗のり越こえ方かたや支援しえんの求もとめ方かたを示しめす。　

3. 研究けんきゅう方法ほうほう及および分析ぶんせき方法ほうほう

　対象たいしょう者しゃは本ほん調査ちょうさへの協力きょうりょくへの同意どういを得えられたAさん1名めい。プライバシーの保護ほご、答こたえたくない質問しつもんには答こたえなくても良よいなどの所定しょていの倫理りんり的てき配慮はいりょについて伝つたえた上うえで同意どうい書しょを得えた。
　本ほん調査ちょうさでは1人ひとりの対象たいしょうについて探さぐっていくこととした。方法ほうほうとしては面接めんせつ場面ばめんにおいて研究けんきゅう者しゃと対象たいしょう者しゃが話はなしをし、互たがいに確認かくにんをし合あいながら語かたりを元もとに、一緒いっしょにTEM図ずを描えがいていく作業さぎょう形式けいしきとした。現状げんじょうでは対象たいしょう者しゃ宅たくにて面接めんせつを3回かい行おこなった。質問しつもんの内容ないようとして「就職しゅうしょく活動かつどうが始はじまって内定ないていを得えるまでの過程かてい」「なぜ内定ないていを得えることができたか」「障害しょうがいを持もちながら就職しゅうしょく活動かつどうすることの困難こんなんさはあるか」などを中心ちゅうしんとした。
　本ほん調査ちょうさにおいては複線ふくせん径路けいろ・等とう至いたり性せいモデル(Trajectory Equifinality Model：以下いかTEM)での分析ぶんせきを行おこなった。1名めいという人数にんずうである意義いぎついて、安田やすだ・サトウ(2012)が主張しゅちょうする「１・４・９の法則ほうそく」に従したがい、1名めいを丁寧ていねいに分析ぶんせきすることにより、個人こじんの径路けいろの深ふかみを探さぐることができるとした。

4. 結果けっか及および考察こうさつ

　内定ないていを得えることに影響えいきょうを与あたえた要因よういんについて検討けんとうするため、就職しゅうしょく活動かつどうが始はじまり内定ないていを得えるまでのプロセスのTEM図ずを描えがいた。結果けっかとして【周囲しゅういの人ひとの支ささえ】【障害しょうがいについて開示かいじすることが可能かのうとなるような促うながし】【困難こんなんな状況じょうきょうに対たいして自みずから行動こうどうを起おこす】などのことによりAさんは内定ないていを得えることが可能かのうになったと考かんがえられる。全体ぜんたい像ぞう及およびその他たの要因よういんについては当日とうじつ報告ほうこくする。

参考さんこう文献ぶんけん
石田いしだ久之ひさゆき(2011).障害しょうがい学生がくせいのキャリア形成けいせい支援しえん　ノーマライゼーション10月がつ号ごう
安田やすだ裕子ゆうこ・サトウタツヤ(編著へんちょ)(2012).TEMでわかる人生じんせいの径路けいろ　質的しつてき研究けんきゅうの新しん展開てんかい　誠まこと信しん書房しょぼう

障害しょうがい学会がっかい第だい12回かい大会たいかい（2015年度ねんど）