東京とうきょうサザエさん学会がっかい

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東京とうきょうサザエさん学会がっかい(とうきょうサザエさんがっかい)は、長谷川はせがわ町子まちこ原作げんさく漫画まんがサザエさん』を研究けんきゅうしている団体だんたいである。会長かいちょう慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがく文学部ぶんがくぶ名誉めいよ教授きょうじゅ岩松いわまつけん吉郎よしろうつとめていた。

概要がいよう[編集へんしゅう]

ロンドンに『シャーロック・ホームズ』のファン(シャーロキアン)たちがあつまってホームズを研究けんきゅうする団体だんたい「シャーロック・ホームズ協会きょうかい」が出来できたように、日本にっぽんでも、『サザエさん』をあいする東京とうきょう都内とない在住ざいじゅう学者がくしゃ編集へんしゅうしゃ学生がくせいらファン有志ゆうしあつまり「サザエさん」を研究けんきゅうするためひとつの団体だんたい出来上できあがった。それが、シャーロック・ホームズ協会きょうかいならったこの「東京とうきょうサザエさん学会がっかい」である。なお、研究けんきゅう対象たいしょう原作げんさくのみで、アニメ対象たいしょうがいとしている(後述こうじゅつ書籍しょせき磯野いそのなぞ - 「サザエさん」にかくされた69のおどろき』より)。

1981ねん創設そうせつ略称りゃくしょう「TSG」で、波平なみひら加入かにゅうしていた「都下とか禿頭はげあたまかい(とかとくとうかい)」のマ字まじつづりをりゃくした「TTK」ならった。また、どう学会がっかいではあつまったファンたちを「イソニアン」と呼称こしょうしていた(後述こうじゅつ書籍しょせき磯野いそのなぞ - 「サザエさん」にかくされた69のおどろき』より)。

1992ねん飛鳥新社あすかしんしゃから出版しゅっぱんされた『磯野いそのなぞ - 「サザエさん」にかくされた69のおどろき』は200まんえるだいヒットとなり、続編ぞくへんとして『磯野いそのなぞ・おかわり』も出版しゅっぱん。『サザエさん』人気にんき復活ふっかつおおいに貢献こうけんした。また、そのすうねんつづく「なぞほんブーム」の火付ひつやくになった。

ただ、『磯野いそのなぞ』ではギャグはしりすぎためんがあり、都市とし伝説でんせつである『サザエさん』の最終さいしゅうかいについていたり、とりわけ続編ぞくへんの『おかわり』の「何故なぜサザエさん一家いっかはそんなにかれているのか?→磯野いそのヒロポン使用しようしていたうたがいあり」など、やりすぎためんもあった(ただし、最終さいしゅうかい都市とし伝説でんせつはルーツについての考察こうさつである。後者こうしゃ長谷川はせがわ作品さくひんたもの一家いっか』をして主張しゅちょうしている)。

そこにあらわれたのが、ゆうむはじめ代表だいひょうつとめる(とってもゆうむいちにんしかいない)「世田谷せたがやサザエさん研究けんきゅうかい」であり、ブームに便乗びんじょうし『サザエさんの秘密ひみつ』とその続編ぞくへん『サザエさんの悲劇ひげき』をデータハウスから出版しゅっぱんほかにもドラえもんなぞほんべつ名義めいぎ出版しゅっぱん)し、東京とうきょうサザエさん学会がっかい徹底的てっていてき批判ひはんしたことで、1〜2ねんあいだろんそうとなった。

だが、ゆうむの批判ひはんはやりすぎたものがあり、『秘密ひみつ』ではおも内装ないそう家電かでん初出しょしゅつ年代ねんだいあやまりの指摘してきとそれにもとづく仮説かせつ(「磯野いその大阪おおさか万博ばんぱくいえ内装ないそう改装かいそうした」というせつ)の批判ひはんしるされていた程度ていどだったが、続編ぞくへんである『悲劇ひげき』では、本文ほんぶんのうち最初さいしょの3しょうが『磯野いそのなぞ』・『おかわり』の批判ひはん記事きじにより構成こうせいされていたものであった(とく前述ぜんじゅつのヒロポン使用しようけんと、「マスオは徴兵ちょうへいのがれをした」「タラちゃんは出生しゅっしょう秘密ひみつがある」[1]の3てん非難ひなんした)。また、元々もともと磯野いそのなぞ』の便乗びんじょうほんであったにもかかわらず、本文ほんぶんちゅうには「東京とうきょうサザエさん学会がっかい」を中傷ちゅうしょうするような表現ひょうげんおおく、ゆうむは、『磯野いそのなぞ読者どくしゃからバッシングをびることとなった(のちに『秘密ひみつ』と『悲劇ひげき』は1さつ統合とうごうされて文庫ぶんこばん新装しんそうばん出版しゅっぱんされたが、こういった経緯けいいがあったため、『磯野いそのなぞ』の批判ひはん記事きじはマスオのはなしのぞすべ削除さくじょされた)。このほか、『秘密ひみつ』の文中ぶんちゅうあいだちがった記述きじゅつ[2]などについて、岩松いわまつ代表だいひょうから『週刊文春しゅうかんぶんしゅん』にて「はじれ!!世田谷せたがやサザエさん研究けんきゅうかい」とだいして批判ひはん記事きじ掲載けいさいされ反論はんろんされたこともあった。

しかしながら、結局けっきょくのところこれ以上いじょう両者りょうしゃ対立たいりつすることもく、この話題わだい沈静ちんせいしていった。なお1997ねん両者りょうしゃとは無関係むかんけい清水しみずいさおいた研究けんきゅうほん『サザエさんの正体しょうたい』が平凡社へいぼんしゃから出版しゅっぱんされている。

学会がっかい詳細しょうさい活動かつどうじょうきょう不明ふめいながら、かい自体じたい存続そんぞくしている。『週刊文春しゅうかんぶんしゅん』2009ねん11月5にちごうには『いまだに「ブラウン管ぶらうんかん」テレビ 磯野いそのの「デジ」はいつ?』という記事きじ掲載けいさいされ、ここでは岩松いわまつ代表だいひょうが「(磯野いそののテレビの)デジは“何事なにごともなかったように無視むしする”とおもいます」とコメントをせている。2018ねん5がつ18にちには新刊しんかん磯野いその危機きき』を宝島社たからじましゃから発売はつばいした。

代表だいひょう岩松いわまつは、2019ねん8がつ死去しきょした[3]

出版しゅっぱんぶつ[編集へんしゅう]

書籍しょせき[編集へんしゅう]

  • 磯野いそのなぞ - 「サザエさん」にかくされた69のおどろき/飛鳥新社あすかしんしゃ/1992ねん12がつかん/ISBN 4-87031-126-7/定価ていか1,020えん税込ぜいこみ
  • 磯野いそのなぞ・おかわり/飛鳥新社あすかしんしゃ/1993ねん4がつかん/ISBN 4-87031-132-1/定価ていか918えん税込ぜいこみ
  • 意地悪いじわるばあさんのあい/毎日新聞社まいにちしんぶんしゃ/1993年刊ねんかん/ISBN 4-620-30960-5
  • 磯野いそのなぞ集英社しゅうえいしゃ文庫ぶんこ)/集英社しゅうえいしゃ/1995ねん7がつかん/ISBN 4-08-748264-2
  • 磯野いそのなぞ・おかわり(集英社しゅうえいしゃ文庫ぶんこ)/集英社しゅうえいしゃ/1995ねん7がつかん/ISBN 4-08-748265-0
  • 磯野いそのなぞ - 人気にんきアニメ「サザエさん」のられざる秘密ひみつせまる!!/日本文芸社にほんぶんげいしゃ/2005ねん5がつかん/ISBN 4-537-25277-4
  • 磯野いその危機きき/宝島社たからじましゃ/2018ねん5がつ18日刊にっかん/ISBN 9784800283566

映像えいぞう作品さくひん[編集へんしゅう]

  • 映像えいぞうばん 磯野いそのなぞ/1993ねん12月発売はつばい

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ 東京とうきょうサザエさん学会がっかいがこう主張しゅちょうする根拠こんきょとして、『朝日新聞あさひしんぶん』での連載れんさい開始かいしさい紹介しょうかいぶんにあった「タラちゃんというおんながあり」という一節いっせつげている(『磯野いそのなぞ』p.28)。『おかわり』(p.18)ではやや強引ごういん推理すいりことわったうえで「本物ほんもののタラちゃんは神隠かみがくしにい、それをなげかなしんだサザエは波平なみひらたちに相談そうだんして、子供こどもをよそからった」と主張しゅちょうしている。
  2. ^ こけし語源ごげん」と記述きじゅつし、それにもとづいた見解けんかいべた。
  3. ^ 岩松いわまつけん吉郎よしろう死去しきょ. 日本経済新聞にほんけいざいしんぶん. (2019ねん8がつ30にち). https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49191950Q9A830C1CZ8000/ 2019ねん8がつ31にち閲覧えつらん 

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]