バ美び肉にく

バ美び肉にく（バびにく）とは、バーチャル美少女びしょうじょ受肉（バーチャルびしょうじょじゅにく）またはバーチャル美少女びしょうじょセルフ受肉（バーチャルびしょうじょセルフじゅにく）の略語りゃくご^[1]^[2]。美少女びしょうじょのアバターを纏まとうこと^[3]、あるいは、纏まつわったうえでサイバースペース（バーチャル空間くうかん）の美少女びしょうじょとして、VRChat等ひとしのサイバースペースで活動かつどうしたり^[2]^[4]、バーチャルYouTuber、バーチャルアイドルなどとして活動かつどうすることを指さす^[5]。ボイスチェンジャーを使つかう・自身じしんの発声はっせい方法ほうほうを工夫くふうするなどして発声はっせいを美少女びしょうじょに変かえるか^[6]^[7]、または地声じごえのままで、美少女びしょうじょの3Dモデル・イラスト等とうを使つかい^[8]^[9]、バーチャルな美少女びしょうじょになること。この場合ばあいの「受肉」は「肉体にくたい（アバター）を手てに入いれる」という意味合いみあいであり、キリスト教きりすときょうにおける教理きょうりの「受肉」とは別べつ義ぎである^[10]^[11]。

例たとえば成年せいねん男性だんせいが受肉すれば「バ美び肉にくおじさん」と呼よばれる^[8]^[7]。本来ほんらいは「バ美び肉にく」という言葉ことばは、男性だんせいに限かぎらず、企業きぎょうなどによるプロデュースではなく自分じぶんでキャラクターを作つくり、それに声こえを当あててサイバースペースで活動かつどうすることを指さしていたが^[12]^[13]、現在げんざい^{[いつから?]}では自分じぶんでキャラクターを制作せいさくしたか否ひかに関かかわらず、男性だんせいがボイスチェンジャーなどを使用しようし、女性じょせいとして立たち振ふる舞まうこと、または、その人ひと（バ美び肉にくおじさん）を指さすことも多おおい^[14]^[15]^[16]^[17]。

由来ゆらい

バーチャルYouTuber業界ぎょうかいでは演者えんじゃのことを「魂たましい」^[2]^[14]、キャラクターの絵えや3Dモデルのことを「肉体にくたい」^[18]、絵えや3Dモデルを手てに入いれることを「受肉」と呼よぶ。「受肉」は月つきノ美よし兎うさぎが『月つきノ美よし兎うさぎの放課後ほうかごニコ生放送なまほうそう局きょく^[19]』において、自身じしんの3Dモデルを初はじめて手てに入いれた時ときの発言はつげんに由来ゆらいする用法ようほうである^[11]。

バーチャルYouTuber業界ぎょうかいでは魂たましいと肉体にくたいが同おなじ性せい別べつというのが主流しゅりゅうである。その一方いっぽうで2017年ねん（平成へいせい29年ねん）末まつ、肉体にくたいは女性じょせい、魂たましいと声こえは男性だんせいのバーチャルのじゃロリ狐きつね娘むすめYoutuberおじさんが人気にんきを博はくした^[14]。彼女かのじょは魂たましいが男性だんせい（おじさん）であると明あかし、見みた目めは美少女びしょうじょキャラクターで発声はっせいは男性だんせいのまま、男性だんせいでも美少女びしょうじょになれることを示しめした。彼女かのじょの動画どうがを見みて活動かつどうし始はじめたバーチャルYouTuberやバ美び肉にくおじさんも多おおい^[20]^[9]^[11]。彼女かのじょにより、キャラクターがかわいいなら中身なかみがおじさんでもどうでもいい、という価値かち観かんが生うまれたのである^[5]。

一いち歩ほ進すすんでバ美び肉にくでは可愛かわいさだけでなく、魂たましい（演者えんじゃ）の存在そんざいと性別せいべつの不一致ふいっちをオープンにして、このギャップをもコンテンツの一ひとつとして楽たのしむことがほとんどである^[9]。魂たましいの存在そんざいを認みとめる者ものが多おおいことは、バーチャルYouTuberとバ美び肉にくとの相違そうい点てんである^[9]。性別せいべつの不一致ふいっちを認みとめる者ものが多おおいことは、ネカマとバ美び肉にくとの相違そうい点てんである^[4]。

バーチャルのじゃロリ狐きつね娘むすめYoutuberおじさんの登場とうじょう以後いご、ARu子こなどの一部いちぶの動うごきを除のぞき美少女びしょうじょ受肉の流行りゅうこうは沈静ちんせい化かしたが、2018年ねん（平成へいせい30年ねん）5月がつ末まつ、漫画まんが家かのリムコロとイラストレーターの巻まき羊ひつじが、FaceRigおよびLive2Dというソフトウエアを用もちいて、生なま配信はいしんでイラストを動うごかす方法ほうほうを紹介しょうかい、それがイラストレーターの間あいだで急速きゅうそくに普及ふきゅうした^[8]^[21]^[22]。バーチャルYouTuberにはイラストレーターを本業ほんぎょうとする人ひとが元々もともと多おおかったことも手伝てつだって、やがて「魂たましいが男性だんせいである」と公言こうげんするバーチャルYouTuberが寄より集あつまり、コミュニティを作つくり始はじめた^[11]。2018年ねん6月がつ、「バーチャル美少女びしょうじょセルフ受肉おじさん女子じょし会かいワンナイト人ひと狼おおかみ^[23]」という生なま配信はいしんが行おこなわれ、この配信はいしんのタイトルがバ美び肉にくの語源ごげんとなった^[11]^[8]。この生なま配信はいしんに参加さんかしていた魔王まおうマグロナは、チャンネル登録とうろく者しゃ数すうの多おおさやその可愛かわいさからバ美び肉にくおじさんの中なかでも有力ゆうりょく視しされ、第一人者だいいちにんしゃと呼よばれることもある^[6]^[14]。さらに、初はじめてボイスチェンジャーを利用りようし美少女びしょうじょボディを用もちいて配信はいしんを行おこなったことから、彼女かのじょがバ美び肉にくおじさんのはしりであるとされる^[24]。

地獄じごく

おじさんが自分じぶんで絵えを書かいて自分じぶんで動うごかしたLive2Dの体からだに受肉して、更さらに自分じぶんでボイスチェンジャーを使つかって声帯せいたいを弄いじって、自分じぶんで声こえを当あてた地獄じごくのようなコンテンツです。

マグロナ自みずからの動画どうが内ないにて^[5]

「地獄じごくのような」という概念がいねんはバ美び肉にくを端的たんてきに表あらわす言葉ことばとしてよく用もちいられている^[11]。実際じっさいにリムコロ、巻まき羊ひつじ、マグロナ、名取なとりさならは、『Vティーク』の取材しゅざいにて「バ美び肉にくとは?」と聞きかれ、性癖せいへきを歪ゆがめてしまう、闇やみが深ふかい、などを理由りゆうに全員ぜんいん「地獄じごくである」と回答かいとうしている^[25]。

マグロナによると、元々もともとは「自分じぶん自身じしんで絵えを描えがいて自分じぶん自身じしんを美少女びしょうじょに変かえたおじさんが、寄より集あつまってワイワイしている地獄じごくのような」コンテンツである、という意味いみでバーチャル美少女びしょうじょセルフ受肉おじさん女子じょし会かいという生なま配信はいしんタイトルにしたのが、いつの間まにかセルフが抜ぬけ落おち、「男性だんせいが美少女びしょうじょの肉体にくたいを手てに入いれて演えんじている」という意味いみも追おって生うまれてしまったという^[14]^[11]。なお、マグロナの魂たましいに女性じょせい化か願望がんぼうはない^[5]。

利点りてん

歌舞伎かぶきの女形おんながたや、宝塚歌劇団たからづかかげきだんの男役おとこやくとの共通きょうつう点てん、すなわち同性どうせいだからこそ同性どうせいの心しんがより理解りかいできていることが強つよみではないかといわれている^[14]。また、魂たましいの存在そんざいを認みとめているので、演者えんじゃの存在そんざいが表沙汰おもてざたになってもスキャンダルにならない^[26]、さらに普通ふつうのバーチャルYouTuberと違ちがい演者えんじゃが男性だんせいなので、ファンとの異性いせい関係かんけいのトラブルがほぼ起おこり得えないことも強つよみの一ひとつである^[14]。

マグロナによるとバ美び肉にくとは、自分じぶんの考かんがえた美少女びしょうじょキャラクターを自みずからプロデュースしたいと思おもっている人間にんげんに道みちを開ひらくものだという。初はつ音おとミク（ボーカロイド）の登場とうじょうにより、コンポーザーはボーカルを雇やとう必要ひつようがなくなり、自分じぶんだけで曲きょくの発表はっぴょうまで漕こぎつけることができるようになった。ちょうど同おなじことが、バーチャルYouTuberとその技術ぎじゅつ、さらにボイスチェンジャーの普及ふきゅうによりキャラクター業界ぎょうかいにも起おきている、と述のべている^[5]。

いちから株式会社かぶしきがいしゃCOOの岩永いわなが太ふとし貴たかや、SHOWROOM株式会社かぶしきがいしゃ社長しゃちょうの前田まえだ裕二ゆうじなど、バーチャルYouTuber関連かんれん企業きぎょうの上層じょうそう部ぶがバーチャル美少女びしょうじょ受肉し、各種かくしゅイベントに出でることもある^[27]^[28]。

発声はっせい

普通ふつうの男性だんせいの発声はっせいを、機器きき的てきな操作そうさだけで女性じょせいの発声はっせいに変換へんかんするのは困難こんなんである^[29]^[30]。声こえを裏声うらごえ、もしくはそれに近ちかいミックスボイスで出だすことで女性じょせいの発声はっせいに寄よせておくことが肝要かんようで^[30]^[31]^[6]、ボイスチェンジャーでのピッチとフォルマントの変化へんか量りょうは、小ちいさいほどより自然しぜんな女性じょせいの発声はっせいになるという^[6]^[18]。さらに竹花たけはなノートらなど、ボイスチェンジャーを一切いっさい使つかわずに女性じょせいの声こえを発はっするバ美び肉にくおじさんもおり、彼女かのじょらは「両りょう声こえ類るい」とも呼よばれる^[6]^[32]。そして声こえそのものだけでなく、喋しゃべり方かたや抑揚よくようも、声こえの女性じょせいらしさに非常ひじょうに大おおきくかかわる^[6]^[18]^[30]。

メディア

NHK Eテレ『ねほりんぱほりん』の2020年ねん（令れい和わ2年ねん）1月がつ8日にち放送ほうそう回かい^[33]では、「バ美び肉にく」をテーマとしゲストとしてバ美び肉にくおじさん3人にん^{[注ちゅう 1]}が登場とうじょうした^[34]^[16]。VTuberブーム前まえから活動かつどうしており、世界せかい最古さいこの個人こじん系けいVTuberを自称じしょうしているバーチャル美少女びしょうじょねむもこの回かいにゲスト出演しゅつえんし、バ美び肉にくおじさんであることが明あきらかになった。地上波ちじょうはで流ながれたことにより、「バ美び肉にく」という言葉ことばに認知にんちが進すすんだ。また、バーチャル美少女びしょうじょねむは2020年ねん9月がつ21日にちにフランスの日刊にっかん紙し「Libération」の記事きじ「バーチャル異性いせい装そうが日本にっぽんでブームに」で取とり上あげられ、これにより「ba-bi-niku（バ美び肉にく）」の言葉ことばがフランス語ふらんすご圏けんにも紹介しょうかいされることとなった^[35]^[36]。

イベント

リアルイベント

バーチャルのコンテンツではあるが、今いままでに何なん度どかバ美び肉にくを主題しゅだいとしたリアルイベントが開催かいさいされている。

バ美び肉にくナイトクラブ in 渋谷しぶや^[37]^[38]^[39]: 2018年ねん（平成へいせい30年ねん）10月31日にち（ハロウィン）にPANORAが主催しゅさいした、渋谷しぶやにて開催かいさいされたイベントである^[40]^[38]。バ美び肉にくVTuberの竹花たけはなノート、魔王まおうマグロナおよび兎うさぎ鞠きくまりが共演きょうえんした^[37]^[38]^[39]。Twitterのトレンドでは日本にっぽん4位い、東京とうきょう2位いとなった^[39]。また、共催きょうさいのSHOWROOMでの公式こうしき配信はいしんにおいても来場らいじょう者しゃ2,000人にん以上いじょうとなった^[39]。1時じ間あいだのトークライブが行おこなわれ、終了しゅうりょう後ごは、会場かいじょうでグッズを買かったファンが本人ほんにんと話はなせるお話はなし会かいも行おこなわれた^[39]。また、DJ SHARPNELが生なま出演しゅつえんし、オープニングアクトを務つとめた^[39]^[41]。
VTuberトークセッション〜次つぎのバ美び肉にくはキミだ〜^[42]^[43]: 2018年ねん11月4日にちに東洋大学とうようだいがく情報じょうほう連携れんけい学部がくぶ（東洋大学とうようだいがく赤羽台あかばねだいキャンパス）の大学だいがく祭さい「INIAD-FES」にて開催かいさいされた^[42]。バ美び肉にくVTuberの魔王まおうマグロナ、兎うさぎ鞠きくまり、竹花たけはなノートに加くわえ、名取なとりさなが出演しゅつえんした^[42]。
愛あい☆バ美び肉にくナイトクラブ^[40]^[44]^[41]: 2019年ねん（平成へいせい31年ねん）3月14日にち（ホワイトデー）に、秋葉原あきはばらTwinBoxにて行おこなわれた、上記じょうきの「バ美び肉にくナイトクラブ in 渋谷しぶや」の第だい2弾だんイベントである^[40]。第だい1回かいも共演きょうえんした魔王まおうマグロナと兎うさぎ鞠きくまりに加くわえ、オニャンコポンおよびだてんちゆあもトークイベントに参加さんかした^[40]。前回ぜんかい出演しゅつえんしていたDJ SHARPNELがホール開場かいじょう時じに動画どうがで出演しゅつえんした^[41]^[45]。

バーチャルイベント

VR上じょうでもバ美び肉にくを主題しゅだいとしたイベントが開催かいさいされている。

バ美び肉にく紅白こうはく^[46]: 2020年ねん（令れい和わ2年ねん）8月がつ30日にち、ボイスチェンジャーと両りょう声こえ類るいの「バ美び肉にく」VTuber8名めいによる歌合戦うたがっせんが行おこなわれた。主催しゅさいはバーチャル美少女びしょうじょねむ^[47]。