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イランのF-14「トムキャット」

イランのF-14「トムキャット」

 1970年代ねんだいはじめ、シャーのイランは、近東きんとうにおいて規模きぼかんして2番目ばんめ軍用ぐんよう航空機こうくうき保有ほゆうし(イスラエルにいで)、ソ連それんにとってすら重大じゅうだい軍事ぐんじてきてきかんがえられた。石油せきゆゆたかな国家こっかは、米国べいこくあたたかい関係かんけい維持いじした。結果けっかとして、帝国ていこく空軍くうぐんまたはIIAF(Imperial Iranian Air Force)の基盤きばんは、アメリカせい戦闘せんとう爆撃ばくげき、F-5A/E「タイガー」およびF-4D/E「ファントム」が構成こうせいしていた。これらの機体きたい十分じゅうぶん近代きんだいてきかんがえられたにもかかわらず、その1も、イランのそら安全あんぜんだとかんじたソビエトのMiG-25の偵察ていさつ飛行ひこう阻止そしできなかった。

 1972ねん5がつのイラン訪問ほうもんべい大統領だいとうりょうニクソンは、侵犯しんぱん上手うまたたかえる迎撃げいげきをムハメッド・レザ・パーレビ国王こくおう提供ていきょうすることにめた。そして1972ねん11月、上院じょういん承認しょうにんられた。

 アメリカじんは、当時とうじもっと近代きんだいてきな2つの戦闘せんとう、「グラマン」しゃのF-14A「トムキャット」と「マグダネル・ダグラス」しゃのF-15A「イーグル」を提案ていあんした。1973ねん8がつ、イランは、F-14Aをこのんで選定せんていした。そのような選択せんたくなにによってもたらされたかはあきらかではないが、高速こうそくで、こう高度こうど飛行ひこうする目標もくひょうであるソビエトのMiG-25の迎撃げいげきとして、強力きょうりょくなレーダーとちょう射程しゃていミサイルAIM-54A「フェニックス」を装備そうびする「トムキャット」 以外いがいに、もっとてきしたものはなかった。

 1974ねん1がつ、30納入のうにゅうちゅう文書ぶんしょ署名しょめいされた。1974ねん5がつ、イランのパイロットが、訓練くんれんのため米国べいこく派遣はけんされた。しゅとして、これは、F-4「ファントム」で長時間ちょうじかん飛行ひこうした経験けいけん豊富ほうふなパイロットだった。一方いっぽう、「グラマン」しゃ専門せんもんがイランに到着とうちゃくした(やく1せんにん)。6月、発注はっちゅうすうが50増加ぞうかされ、けい80にまでたっした。

 最初さいしょ機体きたいは、1976ねん1がつにイランに到着とうちゃくした。F-14A-90-GR/F-14A-95-GR系列けいれつ機体きたい納入のうにゅうされた。そうじて、これらは、アメリカの類似るいじの「トムキャット」とわるところがなく、例外れいがいは、若干じゃっかん簡略かんりゃくされた航空こうくう電子でんし機材きざいだけだった。機体きたい初期しょきのF-14Aに設置せっちされたTF30-P-412とことなり、はるかに安全あんぜんかつ信頼しんらいできる改良かいりょうがたのTF30-P-414Aエンジンを装備そうびしていたことを指摘してきすべきである。

 くに王室おうしつ50周年しゅうねんいわった1977ねん5がつまでに、12納入のうにゅうされた。「トムキャット」の配備はいびとなったのは、同機どうきのために特別とくべつ設備せつびされたイスファハン(ハタミ)(Isfahan(Khatami))基地きちとシラーズ(Shiraz)基地きちだった。迎撃げいげきともに、イランは、その「主砲しゅほう」たるちょう射程しゃていミサイルAIM-54A「フェニックス」 も調達ちょうたつした。けい714はつのミサイルが発注はっちゅうされた。

 イランの装備そうびにおけるこれほどおそれるべき機体きたい出現しゅつげんにもかかわらず、MiG-25の飛行ひこう中断ちゅうだんしなかった。1977ねん8がつ、「フェニックス」の展示てんじ発射はっしゃ成功せいこうし、その結果けっか、15kmをえる高度こうど飛行ひこうするBQM-34E標的ひょうてき撃墜げきついされたのちはじめて、ソビエトのミグは、イランのそらからえた。

 そのあいだ同国どうこく全般ぜんぱんてき社会しゃかい政治せいじ状態じょうたいは、空軍くうぐん状態じょうたいのように楽観らっかんてきではなかった。1979ねん2がつ11にち、イスラム革命かくめいとしてられる事件じけんこった。シャーは打倒うちたおされ、国外こくがい亡命ぼうめいした。イランでは、西側にしがわとのいかなる関係かんけい否定ひていし、米国べいこくも、ソ連それんも、「タグチ」(いいかえれば、「悪魔あくまぼく」)と宣告せんこくしたアヤトラ・ホメイニをちょうとするイスラム原理げんり主義しゅぎ政権せいけん樹立じゅりつされた。一方いっぽうべい大統領だいとうりょうカーターは、イランにたいして経済けいざい制裁せいさいした。「グラマン」との接触せっしょくは、ただちに停止ていしされた。

 けい79納入のうにゅうされた。最終さいしゅうは、米国べいこくのこり、試験しけんだいとして使用しようされた。のちに、ポイント・ムグ(Point Mugu Naval Air Station)に移動いどうし、2000ねんあきいたるまで、べい海軍かいぐん需要じゅようのために使用しようされた。

 「フェニックス」は、さらわる状態じょうたいにあった。284はつしか受領じゅりょうされなかった。しかし、これらすら、完全かんぜん規模きぼ使用しようできなかった。問題もんだいは、ある破壊はかい工作こうさくおこなわれ、その結果けっか、77の「トムキャット」ぜんが「主砲しゅほう」を使用しようする能力のうりょくうしなったことにある。いまいたるまで、だれがこの破壊はかい工作こうさく準備じゅんびし、おこなったのか特定とくていされていない。これが同国どうこくからった「グラマン」の技術ぎじゅつしゃか、しん政権せいけんたいしていかなる幻想げんそういだかなかったイラン空軍くうぐん要員よういんだったと予想よそうできる。若干じゃっかん情報じょうほうすじは、おやシャーの空軍くうぐん復讐ふくしゅうしたイランの原理げんり主義しゅぎしゃ自身じしん破壊はかい工作こうさくおこなったと主張しゅちょうしている。

 破壊はかい工作こうさく性格せいかくも、正確せいかくにはられていない。機体きたいとミサイルあいだ相互そうご動作どうさ担当たんとうする「トムキャット」の機上きじょうコンピュータのソフトウェアの破壊はかいまた損傷そんしょうが、もっと単純たんじゅんかつ効果こうかてきなものとべる。しかしながら、 この仮定かていべつ解釈かいしゃくゆるさない証拠しょうこは、つからなかった。

 原理げんり主義しゅぎしゃ体制たいせいは、そのあいだ軍隊ぐんたいれつないにおけるシャーへの共感きょうかんうたがわれるものあばきつつ、常時じょうじ粛清しゅくせい」を活発かっぱつおこなはじめた。革命かくめい、IRIAF(Islamic Republic of Iran Air Force)に改称かいしょうした空軍くうぐん将校しょうこう要員よういんは、一層いっそうつよ綿密めんみつさをもって「粛清しゅくせい」された。おおくの高度こうど技能ぎのうゆうするパイロット、とく米国べいこく訓練くんれんけたものは、弾圧だんあつされ、投獄とうごくされた。あたらしいイラン当局とうきょくは、みずからの自国じこく空軍くうぐん破壊はかいした・・・。

 西側にしがわ支援しえんなく、予備よび部品ぶひん慢性まんせいてき不足ふそく条件下じょうけんかにおいて、空軍くうぐん物的ぶってき基盤きばんは、急速きゅうそく悲惨ひさん状態じょうたいおちいった。F-14Aのような複雑ふくざつ機体きたいふくむアメリカ機材きざい戦闘せんとう能力のうりょく保障ほしょうできるおおくのイランじん専門せんもんは、投獄とうごくされた。このようにして、1980ねんあきまでに、イラン空軍くうぐんは、完全かんぜん衰退すいたいした。

 ここで、1980ねん9がつ22にちけられないことがこった。イラクは、イランの深刻しんこく状態じょうたい利用りようして、その領内りょうない侵入しんにゅうした。イランの6ヶ所かしょ飛行場ひこうじょうと4ヶ所かしょ地上ちじょう部隊ぶたい駐屯ちゅうとんたいして、空襲くうしゅうくわえられた。その、700kmの国境こっきょうせんを4ヶ所かしょ同時どうじえたイラクぐんだい規模きぼ攻勢こうせいつづいた。つまり、イラン・イラク戦争せんそうはじまった。

 祖国そこくそらまもるべきものがいないことがあきらかになったとき、パイロットのおおくは、復権ふっけんいそがれ、おおくのもの牢獄ろうごくから直接ちょくせつ、もうすこしでかれらを射殺しゃさつするところだった体制たいせいまもるために、「タイガー」、「ファントム」および「トムキャット」の操縦そうじゅうせきおくられた。

 紛争ふんそう初期しょき段階だんかいにおいて、両国りょうこく空軍くうぐん悲惨ひさん状態じょうたいのため、航空こうくう戦力せんりょくは、微々びびたる役割やくわりしかたさなかった。それにもかかわらず、最良さいりょう訓練くんれん水準すいじゅんゆうしていたイランの飛行ひこうは、しばしば、空中くうちゅうせんでの勝者しょうしゃおどた。しかしあいだもなく、状況じょうきょうわった。長引ながび制裁せいさい復活ふっかつした将校しょうこうの「粛清しゅくせい」は、イラン空軍くうぐん軍事ぐんじてき潜在せんざいりょく減少げんしょうさせつづけた。イラクは、きん射程しゃていミサイルMatra R-550 Magicを装備そうびするMirage F.1EQをフランスから受領じゅりょうし、空軍くうぐん能力のうりょく顕著けんちょ増加ぞうかさせた。

 「トムキャット」についてえば、予備よび部品ぶひん不足ふそくのため、同機どうき少数しょうすうのみが(通常つうじょう、10〜20)、戦闘せんとう即応そくおう状態じょうたいにあった。機体きたいは、イラクのばくげき航空こうくうたいからのイランの行政ぎょうせいおよ産業さんぎょうだい中心ちゅうしんだい1に、テヘラン)の防空ぼうくう保障ほしょう投入とうにゅうされた。しかしながら、Tu-22BばくげきおよびMiG-25RB偵察ていさつ爆撃ばくげき迎撃げいげきする1こころみも成功せいこうしなかった。くわえて、イラク戦闘せんとうとの衝突しょうとつは、通常つうじょう、「トムキャット」に不利ふりわった。この理由りゆうにより、後者こうしゃのパイロットは、てきとの直接ちょくせつ接触せっしょくける指示しじけた。「トムキャット」は、直接ちょくせつ用途ようとである強力きょうりょくなレーダーを装備そうびする迎撃げいげきとしてではなく、てき接近せっきんかんする通報つうほう戦闘せんとう目標もくひょうへの誘導ゆうどうのための一種いっしゅの「ミニAWACS」として使用しようされはじめた。 そのようなものとして、「トムキャット」は、しばしば、F-4EおよびF-5E戦闘せんとう援護えんごゆうした。このようにして、そのひく戦果せんかにもかかわらず、機体きたいは、イラン空軍くうぐんにとって非常ひじょう価値かちあるものだった。

 若干じゃっかんのF-14Aは、戦闘せんとううしなわれた。しかし、通常つうじょうこるように、両者りょうしゃは、すうについて相互そうご理解りかいたっしなかった。

 終戦しゅうせん、イラクは、11のF-14A撃墜げきついについて表明ひょうめいした(ひょう1.参照さんしょう)。イランは、12損失そんしつみとめたが、てき原因げんいんではなく、空戦くうせんこった エンジンの破損はそん結果けっかである。1983ねん3がつの1のF-14Aの損失そんしつのみみとめている。

 おおくの情報じょうほうすじは、すくなくとも3の「トムキャット」が撃墜げきついされたことで一致いっちしている。

 1は、1982ねん11月21にち、Matra R-550 Magicミサイルのたすけのした、Mirage F.1EQ戦闘せんとうにより撃墜げきついされた。「トムキャット」にたいする「ミラージュ」(Mirage F.1EQ-2)の2番目ばんめ確認かくにんされた勝利しょうりは、1984ねん7がつ1にちたる。この機体きたいも、R-550ミサイルにより撃墜げきついされた。

フランス

 「ミラージュ」F.1EQは、攻撃こうげきとしても、戦闘せんとうとしてもわるくはなかった。F-14Aにたいしては、つぎのような戦術せんじゅつ使用しようされた。低空ていくう目標もくひょう発見はっけんにおける「トムキャット」のレーダーの制限せいげん利用りようして、 可能かのうかぎ最大さいだい速度そくどで、ごく低空ていくうで、イランの迎撃げいげきした通過つうかしたのち突然とつぜん高度こうどげ、「トムキャット」にレーダーを照射しょうしゃし、1〜2はつきん射程しゃていミサイルを発射はっしゃした。

 Matra R-550 Magicミサイルも、みずからを発揮はっきした。イラクじんは、「ミラージュ」だけではなく、MiG-21のような旧式きゅうしき戦闘せんとうでも、ミグ標準ひょうじゅんのR-3(AA-2「Atoll」)を交換こうかんして上手うま使用しようした。


イラク空軍くうぐんのMirage F.1

 1983ねん3がつ、MiG-21は、R-550のたすけのもとで、さらに1のF-14Aを撃墜げきついした。りょうイランじんパイロットは、捕虜ほりょとなり、のちに、旧式きゅうしきのMiG-21がかれらの「トムキャット」を撃墜げきついできるとはまった予想よそうしていなかったことをみとめた。

 一方いっぽう、イランじん表明ひょうめいは、あまひかえめではないようにえる。かれらは、F-14Aが撃墜げきついしたてき45主張しゅちょうしている。そのなかには、多数たすうのMiG-21、Mirage F.1EQ、MiG-23ならびにすうのTu-22BおよびMiG-25RBすら存在そんざいする。若干じゃっかん情報じょうほうすじは、25とくにMiG-25RB)がAIM-54A「フェニックス」ミサイルにより撃墜げきついされ (!)、イランじんは、1983ねん1がつから2がつまでの短期間たんきかんでそのだい部分ぶぶん撃墜げきついしたと主張しゅちょうしており、「フェニックス」自体じたいは、その備蓄びちくたんきた1986ねんいたるまで活発かっぱつ使用しようされた 。

 空軍くうぐん支配しはいした全般ぜんぱんてき衰退すいたい背景はいけいに、この数字すうじは、説得せっとくりょくがないようにえる。くわえて、1979ねん破壊はかい工作こうさく結果けっかがどのようにして克服こくふくされたという疑問ぎもんただちにしょうじる。情報じょうほうすじだい部分ぶぶんは、実際じっさいには「フェニックス」が戦闘せんとう使用しようされなかったという意見いけんたっしている。

 文書ぶんしょじょう、イラクのMirage F.1EQ×2とMiG-21×1けい3の「トムキャット」によるイラク撃墜げきつい事実じじつ確認かくにんされている。

イラクのMiG-21

悲劇ひげき

 1988ねん7がつ3にち、アメリカの巡洋艦じゅんようかん「Vincennes」は、イランのIran Air Flightしゃ所属しょぞくするAirbus A-300旅客機りょかくき(655便びん)を対空たいくうミサイルで撃墜げきついした。表明ひょうめいによれば、エアバスは、イランの戦闘せんとうF-14A「トムキャット」と誤認ごにんされた。「ミス」の結果けっかは、290にん犠牲ぎせいしゃとなった。

 現在げんざい、イランの装備そうびには、50〜60のF-14Aがのこっている(ひょう2.参照さんしょう)。戦闘せんとう可能かのうすうは、もっと大胆だいたん見積みつもりで、20〜25(アメリカすじは、さらすくなく15〜20ときには10以下いか主張しゅちょうしている。)をえない。この状況じょうきょうは、すうのこりの機体きたい戦闘せんとう即応そくおうせい維持いじするために予備よび部品ぶひん分解ぶんかいされていることで説明せつめいされる。そのような「共食ともぐい」は、イラン空軍くうぐんにおいて、普通ふつう現象げんしょうかんがえられている。

 一方いっぽう、イランじんは、はるかにおおくのすう戦闘せんとう能力のうりょくのあるF-14Aについて表明ひょうめいしている。実際じっさい、1985ねん2がつ11にち観閲かんえつしき、テヘラン上空じょうくうには、けい25の「トムキャット」が同時どうじ飛行ひこうした!イラン空軍くうぐんちから誇示こじをこれほど効果こうかてき保障ほしょうするために、すうがスクラップとせざるをなかったと推測すいそくするそとない・・・。

 事実じじつがどうであれ、1つのことがあきらかである。制裁せいさいのため、イランは、F-14A、ならびにべつのアメリカ、F-4およびF-5よう予備よび部品ぶひん不足ふそくつねている。 この証明しょうめいとなりるのは、おおくのアメリカ軍人ぐんじん官僚かんりょうまれた米国べいこくからイランへの予備よび部品ぶひん非合法ひごうほう納入のうにゅう関連かんれんした巨大きょだいなスキャンダルだった。

 それにもかかわらず、イランは、予備よび部品ぶひんの100%が国産こくさん、Iranian Aircraft Industries(HESA)の工場こうじょう生産せいさんされていると主張しゅちょうしている。しかしながら、べい諜報ちょうほうは、この数値すうちを70%にまでげ、のこりを非合法ひごうほう納入のうにゅうとしている。予備よび部品ぶひん秘密ひみつ協定きょうていによりイスラエルからはいっていると主張しゅちょうする情報じょうほうすじすらいる!

 困難こんなん状態じょうたいにもかかわらず、「トムキャット」は、戦闘せんとう当直とうちょくつづけており、空軍くうぐんの「エリート」かんがえられている以上いじょうなおさらである。装備そうびとしては、AIM-7およびAIM-9ミサイルが使用しようされ、通常つうじょうのセットは、「スパロー」ミサイル×4はつと「サイドワインダー」ミサイル×2はつふくむ。イランすじはまた、HESAの工場こうじょうにおいて、うしなわれたアメリカせいミサイルの代替だいたい目的もくてきとした現地げんちばん「スパロー」ミサイルを生産せいさんしているとつたえている。

 1以上いじょうのF-14Aが技術ぎじゅつ援助えんじょ交換こうかんでソビエト連邦れんぽう搬出はんしゅつされたという情報じょうほう存在そんざいする。くわえて、すくなくとも1人ひとりの「トムキャット」の搭乗とうじょういんが、飛行機ひこうきともに、「ソビエトがわ」に脱走だっそうした。ある主張しゅちょうによれば、イランの「フェニックス」も、ソビエト連邦れんぽう正確せいかくえば、設計せっけいきょく「ヴインペル」のはいり、MiG-31迎撃げいげき装備そうびするちょう射程しゃていミサイルR-33(AA-9「Amos」)の開発かいはつ可能かのうにした。「ヴインペル」の主任しゅにん設計せっけいゲンナジー・ソコロフスキーは、 この非難ひなん否定ひていし、かれのチームが「きたフェニックス」へのアクセスをけっしてゆうさなかったとかたっている。

「フェニックス」はかったのか?

 「フェニックス」ミサイルが実戦じっせんみずからを発揮はっきしたかはられていない。あらそ余地よちのない長所ちょうしょ並行へいこうして、あきらかな欠点けってん存在そんざいすることはあきらかである。

 あたらしい武器ぶきシステムには、その複雑ふくざつさと「フェニックス」ミサイルのすくなからない価格かかく(980,000ドル。べつのデータによれば、477,131ドル)という2つのおも欠点けってんがあった。1975ねんいたるまで、「フェニックス」のすべての発射はっしゃは、もっと経験けいけんある搭乗とうじょういんおこなった。 非常ひじょう少数しょうすう戦列せんれつ飛行ひこうとオペレーターのみが、その経歴けいれきわたって、AIM-54ミサイルの発射はっしゃ実施じっしできた。「フェニックス」は、戦闘せんとう訓練くんれん過程かてい使用しようするにはあまりに高価こうか兵器へいきだった。提督ていとく1人ひとりは、これにかんして、こう指摘してきした。「教育きょういく過程かていでの使用しようゆるされない武器ぶきシステムは、実際じっさい空中くうちゅうせんたか有効ゆうこうせいてにするのはむずかしい」。F-14の搭乗とうじょういんいち自分じぶんの「なが」をしんてき使用しようしなかった以上いじょうおそらく、かれはかなりただしかったのだろう。

 80年代ねんだい中盤ちゅうばん、AIM-54「フェニックス」 ミサイルから疑問ぎもんまれ、米国べいこくでのその技術ぎじゅつ評価ひょうかわった。つまり、べい下院かいんのために準備じゅんびされた報告ほうこくしょによれば、AIM-54ミサイルによる目標もくひょう撃破げきはかくりつは、じつ条件下じょうけんかでの発射はっしゃ統計とうけい欠如けつじょのため、正確せいかく予測よそくていない。シミュレーションにもとづき、その有効ゆうこうせいは、0.5以下いか評価ひょうかされている。E-2「ホークアイ」AWACSからの誘導ゆうどうなしに、自動じどうモードで低空ていくう目標もくひょう迎撃げいげきするF-14戦闘せんとう能力のうりょく制限せいげんみとめられた。AIM-54Aミサイルは、いちじるしい電磁でんじ反射はんしゃゆうするKh-22がた旧式きゅうしきたいかんミサイルにたいしてのみ迎撃げいげき可能かのうである。「フェニックス」は、航空こうくうがた艦載かんさいがたわず、より近代きんだいてきたいかんミサイルに対峙たいじすることはできない。


イランのF-14Aパイロンに設置せっちされたホークあらため

 イランのプレスは、のこすべてのF-14Aが打撃だげき作戦さくせん遂行すいこうよう適応てきおうされ、各種かくしゅそら対地たいち装備そうび搭載とうさいできるとつたえている。イランが自力じりきでAN/AWG-9レーダーの改良かいりょうおこない、その有効ゆうこう距離きょり増加ぞうかさせ、ならびに「トムキャット」を近代きんだいてきそら対空たいくうミサイルR-73(AA-11「Archer」) に適応てきおうさせたという報道ほうどうおこなわれた。

 ロシアがF-14Aの維持いじおよ事後じご近代きんだいにおいてイランに援助えんじょ提供ていきょうすることは、まった許容きょようされる。あたらしい機体きたいは、ロシアせいレーダーおよびエンジン、ならびに改善かいぜんされたコクピットを装備そうびするものと予想よそうされる。これらすべての改良かいりょうは、イランの「トムキャット」を21世紀せいき要求ようきゅう一致いっちすることを可能かのうにする。

 最後さいごに、F-14Aの運用うんようさいられた技術ぎじゅつ経験けいけんが、イランの将来しょうらい戦闘せんとうSa'eqeh-80の開発かいはつさい基盤きばんとなったことをくわえるべきである。

ひょう1.1980〜1988ねんのイラン・イラク戦争せんそうにおける「トムキャット」の損失そんしつ
(イラクがわ表明ひょうめいによる)
年月日ねんがっぴ 撃墜げきつい 撃墜げきつい 武器ぶき 備考びこう
1982ねん11月21にち Mirage F.1EQ F-14A Matra R-550 Magic デフライヤン地区ちくでの戦闘せんとう
1983ねん3がつ MiG-21 F-14A Matra R-550 Magic イランのパイロットが捕虜ほりょとなった。
1983ねん9がつ11にち   F-14A×2   イラク迎撃げいげき撃墜げきつい
1983ねん10がつ4にち   F-14A    
1983ねん11月21にち   F-14A   バフラガン(Bahragan)上空じょうくうでの空中くうちゅう戦時せんじ喪失そうしつ
1984ねん2がつ24にち   F-14A    
1984ねん7がつ1にち Mirage F.1EQ-2 F-14A Matra R-550 Magic  
1984ねん8がつ11にち   F-14A×3    

ひょう2.F-14A迎撃げいげき装備そうびするイラン空軍くうぐん部隊ぶたい
基地きち 部隊ぶたい 管区かんく
メフラバード/テヘラン(Mehrabad/Tehran) だい83戦術せんじゅつ航空こうくう飛行ひこうたい 西部せいぶ
シラーズ(Shiraz) だい83戦術せんじゅつ航空こうくう飛行ひこうたい 西部せいぶ
イスファハン(ハタミ)(Isfahan (Khatami)) だい81戦術せんじゅつ航空こうくう飛行ひこうたい 西部せいぶ
イスファハン(ハタミ)(Isfahan (Khatami)) だい82戦術せんじゅつ航空こうくう飛行ひこうたい 西部せいぶ
ブシェール(Bushehr) だい82戦術せんじゅつ航空こうくう飛行ひこうたい 南部なんぶ

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最終さいしゅう更新こうしん2004/03/15

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