「籍せきを入いれるまでの理由りゆうが見当みあたらん！」──ジェーン・スー×田中たなか俊之としゆき、"未婚みこんの理由りゆう"と"男おとこのしんどさ"を深堀ふかほりりする

あの対談たいだん記事きじを拝見はいけんして、「あ、そうそう！　こういう話はなしがいっぱい聞ききたかったんだよね！」と思おもって、ご紹介しょうかいさせていただいたんです。

昨年さくねん『私わたしたちがプロポーズされないのには、101の理由りゆうがあってだな』（ポプラ社ぽぷらしゃ、略称りゃくしょう『わたプロ』）という本ほんを出だしたんですよ。要ようは、40近ちかくまで生いきてきたけど「わっはっは、結婚けっこんできてないっすよバーン！（たたきつけ音おん）」みたいな本ほんなんですけど。

異性いせい婚こん（同性どうせい婚こん以外いがい）を前提ぜんていとした場合ばあいですけど、結婚けっこんは、男性だんせいと女性じょせいが対たいになってするものじゃないですか。そうすると、男性だんせいが抱かかえているプレッシャーみたいなものが、そうとう密接みっせつにかかわってきますし、女性じょせいだけの問題もんだいじゃないなと。

でも、「男おとこのプレッシャー」みたいな話はなしをしてくれる男おとこの人ひとって、なかなかいないんですよ。酔よっ払ぱらったりすると、夢ゆめとか「おれは頑張がんばっているんだけど、なかなか評価ひょうかされない」といった愚痴ぐちめいた話はなしはしてくれるけど、「こういう状況じょうきょうに置おかれていて、ここがこういうふうにキツイ」というようなフラットな話はなしをあんまり聞きけなくて。

なるほど。

ありますねー。「さすが」とか。

そうですね。そこと、「籍せきを入いれるまでの理由りゆうが見当みあたらん」というところですかね（笑）。

この本ほんの読書どくしょ会かいには、都市とし部ぶで働はたらいている高学歴こうがくれきの自分じぶんが食たべる分ぶんは稼かせげている女性じょせいが多おおくきます。ある30代だいくらいの女性じょせいが「結婚けっこんをしたいんだけど、なかなか出会であいもなく、田舎いなかの親おやから"帰かえってこい"と言いわれている」と。

でも彼女かのじょは、いまの仕事しごとをするために東京とうきょうに出でてきているので、地元じもとに帰かえったらそれを手放てばなさなきゃいけない。地元じもとに帰かえればたぶん、結婚けっこんの世話せわはしてくれるだろうけど、いまの仕事しごとは手放てばなしたくないし、八方はっぽうふさがりだ、っていう。

その方ほうに、「じゃあもし、地元じもとで結婚けっこんするとしたら、どんなタイプの男性だんせいがいいですか？」と聞きいたら、「私わたしが働はたらくことを許ゆるしてくれる人ひとがいいです」といったんですよ。「わー！　地方ちほうだとまだ、女おんなが働はたらくのが許可きょか制せいかぁ～...」と。

「家いえのことをしっかりやって、時間じかんがあるんだったら別べつにいいよ」といったこともあるようですが、男性だんせいのほうが「あいつんち、ヨメさんが働はたらかないと食くっていけないんだよ」と言いわれてしまうというのもあるんでしょうね。まだ「男おとこだったら、自分じぶん以外いがいの人間にんげんを食くわせてなんぼ」という価値かち観かんが色濃いろこくあるみたいです。

「あ、なるほど。女性じょせいが抱かかえている問題もんだいと、男性だんせいが社会しゃかいで受うけるプレッシャーの問題もんだいは、思おもったよりずっと、対たいになっているんだな」と思おもいました。 読書どくしょ会かいに来きている男性だんせいに「どんな女おんなが結婚けっこんしたくなさそうにみえますか？」と聞きいたら、「趣味しゅみが充実じゅうじつしていて、仕事しごとを頑張がんばっていて、人生じんせいをひとりで楽たのしんでそうな人ひと」と言いったんですよ。

でもこれ、逆ぎゃくに男おとこの人ひとだったら、仕事しごとを頑張がんばっていて、趣味しゅみが充実じゅうじつしているからといって、結婚けっこんしたくなさそうに見みえないですよね？

この男性だんせいは、あまり自分じぶんに自信じしんがないそうなんですよ。そんなに稼かせげてもいないし、父親ちちおやの世代せだいの人ひとたちができていたようなことを、そのままできるような体勢たいせいは整ととのっていない、と。そういう状況じょうきょうで、自分じぶんよりすごく充実じゅうじつしていて楽たのしそうで、稼かせいでいる女おんなの人ひとを見みると、「あの人ひと、結婚けっこんしたくなさそう」と思おもうんですって。

そうなんです。そこはボタンの掛かけ違ちがいみたいなもので。その女おんなの人ひとが結婚けっこんしたいかどうかは、この男性だんせいの自信じしんのあり方かたには関係かんけいないんですよ。ただ、「俺おれが、夫おっととして役やくに立たてなさそうな女おんな」と思おもい込こんでるだけなんです。

でも、みんなこういうからくりを、あんまり把握はあくしてないんですよ。わたしも読書どくしょ会かいをやるまで、そんなに明確めいかくには把握はあくできてなかったですし。 それで、こういうことをちゃんと話はなしていかないとな、と。

「あなたたちは恵めぐまれているんでしょ」と言いわれて後回あとまわしにされがちですが、ある程度ていどの学歴がくれきがあって都市とし部ぶで働はたらいている女性じょせいたちが一定いってい数すういることも事実じじつなので、「その女おんなの人ひとたちが、自分じぶんがいま属ぞくしている社会しゃかいをどう理解りかいしいけばいいのか」という話はなしはしていきたいんです。

そうなんですよ。

日本にっぽんでは、結婚けっこんを経へての出産しゅっさんが一番いちばんスムーズに受うけ容いれられる社会しゃかいですし、そうならないと、少子化しょうしかのままでしょう。結婚けっこんしている人ひとの数かず も増ふえないですよね。

「自分じぶんがあてはまるものはどれですか」というアンケートをとったら、１位いが「いかなる時ときもセーフティーネットとして機能きのうする女おんな友達ともだちがいる」とでした。あとは「結婚けっこんしたくなさそうに見みえると友ともだちに言いわれる」とか、「本気ほんきを出だせばどうにかなると思おもっている」とか（笑）。「結婚けっこんする気き、まるでないだろう！」と、みんなでゲラゲラ笑わらっていたんです。

でも、みんな「結婚けっこんしたい」とも思おもってはいるんですよ。まわりの期待きたいに応こたえたいという気持きもちからだったりもするんでしょうけれど。

こういった女性じょせいたちは、いままで親おやや周囲しゅういの期待きたいに応こたえて、ある程度ていどの打率だりつを上あげてきたわけです。そういう人ひとたちが、ここに来きてこれだけ打点だてんがとれないというのは、「すごくつらいだろうな～」と思おもうんですよね。

多おおいです。読書どくしょ会かいとか、サイン会かいとかでお会あいした読者どくしゃの方かたたちを思おもい浮うかべると、やっぱりすごく「真面目まじめ」ですね。

しかもまた、親おやが娘むすめを袋小路ふくろこうじに追おい込こんでいたりするんですよ。いい学校がっこうに行いって、いい仕事しごとについて、きちんと稼かせぎなさいと育そだてておいて、「それ以上いじょうのダンナさんを求もとめなさい」といったら、結婚けっこんする可能かのう性せいは当然とうぜん、下さがるじゃないですか。娘むすめをボトムアップしながら、しかも相手あいての男性だんせいには親おやの世代せだいと同おなじように「もっと上うえ」を求もとめるんだから、パーセンテージは減へります。

現実げんじつは親おやの世代せだいのイメージと乖離かいりしていますよね。