花粉症やインフルエンザ対策には「鼻うがい」が効く(depositphotos.com)
花粉の飛び交う時期、「鼻水が止まらない」「鼻が詰まり息苦しい」「鼻がムズムズする」などの症状に悩んでいる人も多いだろう。家庭でできる花粉症対策として有効なのが「鼻うがい」だ。
鼻うがいは、耳鼻科の治療で行われる鼻洗浄と同様に、鼻腔内に付着した異物や粘りのある鼻水を洗い流すことで、鼻がすっきりと通り、不快な症状を緩和できる。それだけではない。
風邪やインフルエンザの予防、さらには免疫や自律神経の働きを改善し、全身の健康維持にも役立つという。知られざる鼻うがいの効果について、「堀田修クリニック」(宮城県仙台市)の堀田修院長に訊いた。
「上咽頭」の洗浄がポイント!
少し前に、美女の鼻の穴から豪快に水が流れ落ちる「鼻うがい液」のCMが話題になった。そのため「入れたのと反対側の鼻の穴から出す」方法のほうが知られているかもしれない。
だが実は「鼻から入れて口から出す」方法のほうが、より効果が高いと考えられる。鼻の穴から出す方法だと鼻腔だけしか洗えないが、口から出す方法は鼻腔の奥深く、さらには上咽頭(喉のいちばん上の部分)まで洗える。この上咽頭がポイントなのだ。
「上咽頭は鼻の穴から入った空気が最初に通る場所で、常に細菌やウイルス、異物などの刺激にさらされ、非常に炎症の起こりやすい部位です」
「上咽頭で慢性的に炎症が起こっていると(慢性上咽頭炎)、鼻や喉の不快症状にとどまらず、全身のさまざまな不調にまでつながっていくのです」(堀田院長)
風邪やインフルエンザの予防にと推奨される「ガラガラうがい」は、上咽頭よりも下の中咽頭、下咽頭しか洗浄できない。
中咽頭や下咽頭の表面は「扁平上皮」といい、ツルッとしているのに対して、上咽頭の表面は「繊毛上皮」という、毛のようなものがたくさん生えており、ウイルスや細菌が付着しやすい。だから、鼻うがいのほうが、風邪やインフルの予防効果も高いと考えられるのだ。
さらに、「慢性上咽頭炎」を放置すると、免疫や自律神経の異常を招き、さまざまな病気や不調を引き起こす原因になるという。