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4月がつ2日にちの日本にっぽんの昔話むかしばなし



売うり声ごえ
吉きち四よん六ろく(きっちょむ)さん　→　吉きち四よん六ろくさんについて

にほんご(日にち语)  ・ちゅうごくご(中ちゅう文ぶん)　・日にち语＆中ちゅう文ぶん

日本語にほんご＆客きゃく家か語ご

※本ほん作品さくひんは、読者どくしゃからの投稿とうこう作品さくひんです。　投稿とうこう希望きぼうは、メールをお送おくりください。→連絡れんらく先さき

投稿とうこう者しゃ　ナレーター熊崎くまざき友香ゆかのぐっすりおやすみ朗読ろうどく
【大人おとなもぐっすり眠ねむれる睡眠すいみん朗読ろうどく】日本にっぽん昔話むかしばなし集しゅう⑨ 優やさしいとんち話ばなし　元もとNHKフリーアナ　読よみ聞きかせ

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制作せいさく : 妖精ようせいが導みちびくおやすみ朗読ろうどくチャンネル

　むかしむかし、きっちょむさんと言いう、とてもゆかいな人ひとがいました。

　ある日ひの事こと、きっちょむさんが打うち綿わた(うちわた)を持もって、臼杵うすき(うすき)の町まちへ売うりに行いったのですが、久ひさしぶりに町まちへ来きたので、どの道順みちじゅんで売うり歩あるいたらいいのか分わかりません。
　するとそこへ、一人ひとりのツボ売うりがやって来きて、
「ええ、ツボはいらんかなー、ツボはいらんかなー」
と、大声おおごえで売うり歩あるいたのです。
「よしよし、あのツボ売うりの後うしろからついて行いけば、うまい具合ぐあいに町まちを一巡ひとめぐり出来できるだろう」
　そこできっちょむさんは、ツボ売うりの後うしろをついて歩あるきました。
　そしてツボ売うりが、大おおきな声こえで、
「ツボはいらんかなー」
と、言いうと、きっちょむさんもその後ごから、
「ええ、打うち綿わたー」
と、売うり歩あるいたのです。
「ツボはいらんかなー」
「打うち綿わた―」
「ツボはいらんかなー」
　さて、これを聞きいた町まちの人ひとは、くすくすと笑わらい出だしました。
　なぜなら、二人ふたりの売うり声ごえを続つづいて聞きいていると、
「打うち割わった、ツボはいらんかなー」
と、聞きこえるからです。
　これでは、ツボが売うれるはずがありません。
　それに気きづいたツボ売うりは、きっちょむさんにお金かねを渡わたして、帰かえってもらう事ことにしたのです。

　それから数日すうじつ後ご、きっちょむさんはメガネを仕入しいれると、また町まちへ売うりに行いきました。
　そしてその時とき、種たね売うりが種たねを売うり歩あるいているのに出会であったので、今度こんどは、この種たね売うりの後のちをついてメガネを売うり歩あるく事ことにしたのです。
　種たね売うりが、
「種たねはいらんかなー」
と、言いうと、きっちょむさんは、
「めがね―」
と、売うり声ごえをあげます。
「種たねはいらんかなー」
「めがね―」
「種たねはいらんかなー」
　これを聞きいた町まちの人ひとは、またくすくすと笑わらい出だしました。
　なぜなら、二人ふたりの売うり声ごえを続つづいて聞きいていると、
「芽めがねえ(無ない)、種たねはいらんかなー」
と、聞きこえるからです。
　これでは、種たねが売うれるはずがありません。
　そこで種たね売うりもまた、きっちょむさんにお金かねを渡わたして、帰かえってもらったのです。

　さてそれから数日すうじつ後ご、きっちょむさんはふるいを仕入しいれると、また町まちへ売うりに行いきました。
　そしてその時ときは魚屋さかなやを見みつけて、魚屋さかなやの後のちについて売うり歩あるいたのです。
　まず魚屋さかなやが、
「魚さかな、魚さかなはいらんかなー」
と、言いうと、きっちょむさんがあとから、
「ふるいー、ふるいー」
と、続つづけるのです。
「魚さかなはいらんかなー」
「ふるいー」
「魚さかなはいらんかなー」
　これを聞きいた町まちの人ひとは、またまたくすくすと笑わらい出だしました。
　なぜなら、二人ふたりの売うり声ごえを続つづいて聞きいていると、
「古ふるい魚さかなは、いらんかなー」
と、聞きこえるからです。
　これでは、魚さかなが売うれるはずがありません。
　そこで魚屋さかなやもまた、きっちょむさんにお金かねを渡わたして、帰かえってもらったのです。

　でも、もしかするときっちょむさん、わざとやっているのかもしれませんね。

おしまい