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8月がつ16日にちの日本にっぽんの昔話むかしばなし



犬いぬが片足かたあしを上あげておしっこをするわけ
吉きち四よん六ろく(きっちょむ)さん　→　吉きち四よん六ろくさんについて

にほんご(日にち语)  ・ちゅうごくご(中ちゅう文ぶん)　・日にち语＆中ちゅう文ぶん

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投稿とうこう者しゃ　ナレーター熊崎くまざき友香ゆかのぐっすりおやすみ朗読ろうどく

【大人おとなもぐっすり眠ねむれる睡眠すいみん朗読ろうどく】日本にっぽん昔話むかしばなし集しゅう13 楽たのしくワクワクする話はなし　元もとNHKフリーアナ

　むかしむかし、きっちょむさんと言いう、とんちの上手じょうずな人ひとがいました。

　ある日ひの事こと、きっちょむさんが川かわのほとりを散歩さんぽしていると、一人ひとりの侍さむらいが釣つりをしていました。
　するとそこへのら犬いぬがやって来きて、釣つりをしている侍さむらいの足元あしもとで片足かたあしを持もち上あげると、ジャージャーとおしっこをしたのです。
　それに気きづいた侍さむらいは、びっくりです。
「無む礼者れいしゃめ！　犬いぬのぶんざいで、武士ぶしに小便しょうべんをひっかけるとは！」
　侍さむらいはかんかんに怒おこって、刀かたなに手てをかけました。
　それを見みつけたきっちょむさんが、あわてて侍さむらいにかけよります。
「お侍さむらいさま、どうぞ、どうぞお待まちください！
　犬いぬの事ことなので、きっとお侍さむらいさまの足あしを木きとかん違ちがいしたのでしょう」
「いや、かんべんならん！　この場ばで切きりすててくれるわ！」
「そこを何なんとか！　犬いぬに代かわって、あやまりますので」
「だめだ！　あやまるのなら、その犬いぬにあやまらせろ！」
　犬いぬにあやまらせるなんて無理むりな話はなしですが、侍さむらいはき入きいれません。
　するときっちょむさんは犬いぬのそばに近ちかよって、犬いぬとひそひそ話ばなしをはじめました。
　そしてそれがすむと、侍さむらいに言いいました。
「お侍さむらいさま。実じつはこの犬いぬが、どうしてもあやまらないと言いっています」
「なんじゃと！　けしからん！　なぜじゃ！」
「はい、犬いぬが言いうには、犬いぬが片足かたあしを上あげて小便しょうべんをするのは、神かみさまへの恩返おんがえしだからだそうです」
「神かみさまへの、恩返おんがえしだと？！」
「犬いぬの話はなしによると、犬いぬにはむかし、三さん本ほんしか足あしがなかったそうです」
「ほう」
「三さん本ほん足あしでは、何なにかと不自由ふじゆうです。
　それで神かみさまがあわれと思おもって、犬いぬにもう一本いっぽんの足あしをくださったそうです」
「なるほど、それで四よん本ほん足あしになったというのか？」
「はい。それで神かみさまにもらった方ほうの一本いっぽんに小便しょうべんをかけては申もうし訳わけないと、犬いぬは片足かたあしを上あげて小便しょうべんをするようになったとのことです」
「うむ」
「恩おんを忘わすれぬのが、人ひとの道みち。小便しょうべんをするにも神かみさまの恩おんを忘わすれぬ犬いぬは、まことに立派りっぱな心こころがけです」
　それを聞きいた侍さむらいは、ニヤリと笑わらいました。
「なるほど、お前まえがうわさのきっちょむか。
　それを聞きいては、犬いぬを切きるわけにはいかんな。
　わかった。
　小便しょうべんもかわいた事ことだし、犬いぬを許ゆるしてやろう」
　侍さむらいは機嫌きげんをなおすと、また釣つりをはじめたということです。

おしまい