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8月がつ2日にちの日本にっぽん民話みんわ



ウマをすくった鵜う
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投稿とうこう者しゃ　「ひつじも眠ねむる朗読ろうどくチャンネル」
【本気ほんきで眠ねむりたいあなたへの睡眠すいみん朗読ろうどく】日本にっぽん昔話むかしばなし集しゅう（寝ね落おち用よう）

　むかしむかし、ある山やまのふもとの野原のはらに、野生やせいのウマがたくさんいました。

　ある日ひの事こと、一いち頭とうのメスウマが、がけから谷たに底そこへ落おちて、動うごけなくなってしまいました。
　メスウマは足あしをおっているので、まったく立たち上あがれません。
　このあたりにはクマやオオカミが出でるので村人むらびとたちは心配しんぱいしましたが、谷たには深ふかいので重おもいウマを運はこぶ事ことが出来できませんでした。
「どうする？　このままでは、オオカミのえじきだぞ」
「しかし、この谷たに底そこを、おれたちの力ちからではな」
「しかたない。ウマが元気げんきになるのを待まつか」
　そこで村人むらびとたちはウマがおそわれないようにと、ウマのまわりに深ふかい堀ほり(ほり)をつくって、毎日まいにちエサの草くさを運はこんでやりました。

　それから数日すうじつ後ご、突然とつぜんに空そらがまっ黒くろになるほどの鵜う(う)の大群たいぐん(たいぐん)が、山やまに飛とんできたのです。
　鵜うの大将たいしょうは谷たに底そこに倒たおれているウマを見みつけると、ウマの体からだの上うえにとまりました。
　そして鵜うの大将たいしょうはするどいくちばしで、弱よわっているウマの体からだを突つき始はじめたのです。
「ヒヒーン」
　ウマはビックリして立たち上あがろうとしましたが、体からだが思おもうように動うごきません。
　やがて仲間なかまも鵜うも、ウマの体からだのあちこちを同おなじように突つき始はじめたのです。
　体からだが動うごかせないウマは、ただ、鵜うたちのなすがままになっていました。
　でも鵜うはウマをおそっていたのではなく、ウマの体からだについた悪わるい虫むしを取とって食たべていたのです。
　鵜うのむれは、それから毎日まいにちのようにウマのところへやってきて、体からだについた悪わるい虫むしを取とってくれました。
　ウマにもそれが分わかったらしく、ウマは自分じぶんの体からだを治なおしてくれる鵜うがやってくるのを待まつようになりました。

　ところがしばらくすると、村人むらびとたちはウマの異変いへんに気きづきました。
　ウマのお腹なかが、日ひごとに大おおきくなってきたのです。
「谷たに底そこへ落おちる前まえに、子こどもをやどしておったんだな」
「弱よわった体からだで、うまく子こどもを産うむことができるのか？」
　村人むらびとたちは心配しんぱいしましたが、それから間あいだもなくウマは子こウマを産うみました。
　子こウマは鵜うの羽はねのようなまっ黒くろの美うつくしい毛けをかがやかせながら、元気げんきに育そだっていきました。

　やがてこの子こウマは殿とのさまのところへ送おくられて、すばらしく足あしの速はやい名馬めいばになったそうです。

おしまい