研究けんきゅう報告ほうこく 1-1

おもね すすむ (あぢち すすむ)
金沢大学かなざわだいがく大学院だいがくいん

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#報告ほうこく題目だいもく

障害しょうがいしゃ雇用こよう賃金ちんぎんとその意味いみ

#報告ほうこくキーワード

割当わりあて雇用こよう制度せいど / ベーシックインカム / ディーセントワーク

#報告ほうこく要旨ようし

障害しょうがいしゃ雇用こよう賃金ちんぎんは、根本こんぽんてきひくぎ、それだけでは生活せいかつできない賃金ちんぎん当然とうぜんのことのようおこなわれている。就職しゅうしょく困難こんなんである障害しょうがいしゃという前提ぜんていで、最低さいてい賃金ちんぎん下回したまわ賃金ちんぎんが、ハローワークでも紹介しょうかいされ違法いほうではない。
障害しょうがいしゃが、その賃金ちんぎんだけでは生活せいかつすることが困難こんなん労働ろうどう環境かんきょうたりまえのこととする背景はいけいには、障害しょうがいしゃはたらくことが、権利けんりとはかんがえられていないことがある。そして、いくつかの制度せいどもそのようなかんがかた反映はんえい助長じょちょうしている。
就職しゅうしょく困難こんなん障害しょうがいしゃのための、支援しえんてき制度せいどとして、割当わりあて雇用こよう制度せいど義務ぎむ雇用こよう制度せいど)がある。
割当わりあて雇用こよう制度せいど義務ぎむ雇用こよう制度せいど)の法的ほうてき根拠こんきょは、「障害しょうがいしゃ雇用こよう促進そくしんとうかんする法律ほうりつ昭和しょうわさんじゅうねんなながつじゅうにち法律ほうりつだいひゃくじゅうさんごう)」である。
障害しょうがいしゃ雇用こよう推進すいしん制度せいどは,世界せかいてきには,割当わりあて雇用こよう制度せいどからはじまる。だいいち世界せかい大戦たいせん傷痍軍人しょういぐんじんへの対策たいさく障害しょうがいしゃ対象たいしょうへと拡大かくだいしてったものである。
現在げんざい諸国しょこく制度せいどは、割当わりあて雇用こよう制度せいどのみ、割当わりあて雇用こよう制度せいど廃止はいしして差別さべつ禁止きんしほうのみ、両者りょうしゃ併用へいよう多様たようであるが、全体ぜんたいでは割当わりあて雇用こようから差別さべつ禁止きんしほうによる制度せいどへとうごいている。
理念りねんでみると、割当わりあて雇用こよう制度せいどは、事業じぎょうしゃに、割当わりあてすうたっするまでは求人きゅうじんじょうきょうおよびその内容ないようにかかわりなく障害しょうがいしゃった仕事しごとつくす、という課題かだいし、差別さべつ禁止きんしほうは、求人きゅうじん内容ないよう合致がっちする障害しょうがいしゃであれば就業しゅうぎょう保障ほしょうす、という相違そういたしかにある。しかし障害しょうがいしゃ合理ごうりてき配慮はいりょをして就労しゅうろう保障ほしょうすることは同様どうようである。
そして、障害しょうがいしゃ立場たちばからは、どちらの制度せいどにしても、結局けっきょく健常けんじょうしゃ恩恵おんけい同情どうじょう背景はいけいに、障害しょうがいしゃ雇用こよう促進そくしんほうもとづく、経営けいえいしゃ不利益ふりえき解消かいしょうすることを眼目がんもくとしているということにならない。職能しょくのうではなく割当わりあてられたかず雇用こようすることになる割当わりあて雇用こよう制度せいど職能しょくのうたいしては平等びょうどうになるような制度せいどであるが、雇用こよう絶対ぜったいすうで、おおくの障害しょうがいしゃ雇用こようすることに、やはり、健常けんじょうしゃ恩恵おんけい同情どうじょう背景はいけいに、障害しょうがいしゃ雇用こよう促進そくしんほうもとづく、経営けいえいしゃ不利益ふりえき解消かいしょうすることを眼目がんもくとする差別さべつ禁止きんしほうである。
そして、ここでの問題もんだいは、障害しょうがいしゃおおやとっていることが、経済けいざい競争きょうそうじょう不利ふりになるという“不公平ふこうへいかん”が、当然とうぜんのこととして制度せいど反映はんえいしているてんである。ここに、障害しょうがいしゃは「デキナイ労働ろうどうしゃ」とうことが、暗黙あんもく理解りかいとなり、このてんおおくのディスアビリティをもたらしている。
日本にっぽん障害しょうがいしゃ雇用こよう施策しさくは、割当わりあて雇用こよう制度せいどによって事業じぎょうぬし一定いってい割合わりあい障害しょうがいしゃ雇用こようすることを義務ぎむづけ、 障害しょうがいしゃ雇用こようできない事業じぎょうぬしから納付のうふきん徴収ちょうしゅうし、 それを財源ざいげん障害しょうがいしゃ雇用こよう積極せっきょくてきすすめる事業じぎょうぬしたいし、調整ちょうせいきん助成じょせいきん支給しきゅうするというものである。割当わりあて雇用こよう制度せいどおよび障害しょうがいしゃ雇用こよう納付のうふきん制度せいど中心ちゅうしんとしつつ、重度じゅうど障害しょうがいしゃ雇用こよう促進そくしんのためのダブルカウント制度せいどや、 だい企業きぎょうにおける障害しょうがいしゃ雇用こよう促進そくしんのための特例とくれい子会社こがいしゃ制度せいどなどをわせた制度せいどとなっている。しかし、このような、障害しょうがいしゃためおこなわれている制度せいどが“特別とくべつ意味いみった雇用こよう”をみ、障害しょうがいしゃ雇用こように、いくつものディスアビリティを形成けいせいしているとえる。
この制度せいどみちびかれることは、障害しょうがいしゃはたらくことが、権利けんりではなく、雇用こようぬし根拠こんきょのない同情どうじょう恩情おんじょうどころにしていることであろう。
このようなひく水準すいじゅん賃金ちんぎんてくるのは、費用ひようたい効果こうかによって障害しょうがいしゃ労働ろうどう評価ひょうかするとき、どうしてもたか水準すいじゅんてこないことがかんがえられる。
しかし、賃金ちんぎん工賃こうちんというかんがかたれると、時間じかんきゅう×労働ろうどう時間じかん工賃こうちんで、賃金ちんぎんというのは労働ろうどうさい生産せいさんてき要素ようそくわわって、工賃こうちん合計ごうけい上回うわまわるはずである。
障害しょうがいしゃ雇用こようは、正規せいき雇用こようがほとんどで、割当わりあて雇用こよう制度せいどでのカウントも、特例とくれい子会社こがいしゃ雇用こよう人数にんずうも、正規せいき雇用こよう必要ひつようはなく、ほとんどが正規せいき雇用こようである。
正規せいき雇用こようは、労働ろうどうさい生産せいさんてき要素ようそくわえることなく、工賃こうちん合計ごうけい報酬ほうしゅうとなるため、生活せいかつしていけないような賃金ちんぎん水準すいじゅんとなる。
こうして、費用ひようたい効果こうかによるひく水準すいじゅん評価ひょうかと、そのひく水準すいじゅん工賃こうちんは、障害しょうがいしゃ収入しゅうにゅう生活せいかつできない水準すいじゅんにしてゆく。
そこで、今回こんかいは、「障害しょうがいしゃ雇用こよう賃金ちんぎんとその意味いみ」ということで、ベーシックインカムてき収入しゅうにゅう構造こうぞうからかんがえてみたい。
内容ないよう箇条書かじょうがきしておく。
①ベーシックインカムてき収入しゅうにゅう構造こうぞう
制度せいどてき支援しえん
民間みんかんでの取入とりい
④ベーシックワークと収入しゅうにゅう補填ほてんやワークフェアとの根本こんぽんてきちが
農業のうぎょうでの取入とりいれ~「のうぶく連携れんけい」の問題もんだいてん
障害しょうがいしゃ雇用こよう賃金ちんぎんとその意味いみ

倫理りんりてき配慮はいりょかんしては、金沢かなざわ大学だいがく研究けんきゅうしゃ行動こうどう規範きはんしたがい、「日本にっぽん社会しゃかい学会がっかい倫理りんり綱領こうりょうにもとづく研究けんきゅう指針ししん」、「日本にっぽん社会しゃかい福祉ふくし学会がっかい研究けんきゅう倫理りんり指針ししん」などを参照さんしょうし、個人こじん情報じょうほう漏洩ろうえいとういよう心掛こころがけた。また、法人ほうじん団体だんたい名称めいしょうについては確認かくにんり、問題もんだいてん確認かくにんして、報告ほうこく配慮はいりょした。その研究けんきゅうたいする一般いっぱんてき姿勢しせいは、日本にっぽん学術がくじゅつ会議かいぎの「科学かがくしゃ行動こうどう規範きはん」などにしめされるように、みずかりっするようつとめた。