船通山２

船通山せんつうざん（せんつうざん）、鳥取とっとり県けんからは短時間たんじかん

毎度まいど、毎度まいど、広島ひろしま県内けんないばっかりじゃなんだよね、たまには他た県けんに遠征えんせいしてみようか。島根しまね県けん、鳥取とっとり県けんの県境けんきょうの山やまに行いってみようよ。
地図ちずを見みてみ、意外いがいに盲点もうてんなんだが、鳥取とっとり県けんは広島ひろしま県けんと県境けんきょうを接せっしているんだよ。その県境けんきょうを越こえて、鳥取とっとり県けんと島根しまね県けんとの県境けんきょうに行いこうと思おもうんだよ。
道みちは、庄原しょうばら市しの西城にししろ町まちから道後山どうごやまを目指めざして行いく、ほら、岩いわ樋山ひやまから道後山どうごやまへの稜線りょうせんが鳥取とっとり県けんとの県境けんきょうだったのを覚おぼえているだろう。
今日きょうは、道後山どうごやまには行いかないよ。県境けんきょうの高原こうげんを走はしり抜ぬけていく。
県境けんきょうの峠とうげを越こえると、一挙いっきょに坂道さかみちは下くだって行いく、この辺あたりは日南にちなん町まちなんだよ。平成へいせい町村ちょうそん合併がっぺいには無関係むかんけいで、以前いぜんのまんまの名前なまえでいるのだよ。
集落しゅうらくの名前なまえが多た里さと、道みちの駅えき風ふうの建物たてものがあって、そこを過すぎると、国道こくどうから県道けんどうに鋭角えいかくに曲まがる、県道けんどう１５号線ごうせんなんだよ。
どこまでもどんどん進すすんで行いけばええみたいだね。いずれ、どこかで案内あんない標識ひょうしきが出でてくるだろ、このまま進すすんで行いこうよ。

あった、船通山せんつうざん遊歩道ゆうほどう入口いりくち、天然記念物てんねんきねんぶつイチイの木き、大おおきな看板かんばんが出でてきたよ。
ここから林道りんどうに入はいって行いけばええのね。工事こうじ中ちゅう通行止つうこうどめとなっているが、登山とざん口こうまでは車くるまで行いけるみたいよ。舗装ほそう路ろを歩あるくのは止とめようよ。
なるほどなぁ、これは歩あるくとしんどい距離きょりだな。船通山せんつうざん頂上ちょうじょう展望てんぼう広場ひろばというのが出でてきたぞ。
頂上ちょうじょうが展望てんぼうできるとしても、どのあたりが頂上ちょうじょうなのかしらね。ええと、駐車ちゅうしゃ場じょうはこの先さき、６５０メートルと書かいてあるよ。もうちょっと走はしろ。
登山とざん口こうの駐車ちゅうしゃ場じょうだ、バスの駐車ちゅうしゃ場じょうと普通ふつうの駐車ちゅうしゃ場じょうと両方りょうほうあるよ。バスが来くるほどここは人気にんきが高たかいの？
カタクリのシーズンには、頂上ちょうじょうがひとで埋うまるほど殺到さっとうするそうだよ。そのとき、バスが何なん台だいも押おし寄よせるんだろうね。
もちろん、島根しまね県けん側がわからもやって来くるさ。そっちからの方ほうが少すこし距離きょりが長ながい。３年ねん前まえの１１月がつにわたしも登のぼったことがある。

さぁ、登山とざん口こうから入はいって行いこうか。セメントの道みちなんだね。生なまコン車しゃを持もってくると作業さぎょうが簡単かんたんなんだよ。アスファルトにすると、ローラーを持もって来きたりで、機材きざいが他たに要いるので面倒めんどうなんだな。
舗装ほそう路ろはここまでなのね。広場ひろばがあって、トイレ、炊事すいじ場じょう、ここはキャンプ場じょうなのかしら。この先さきは山道さんどうだぞぉ。
道みちは直すぐに分岐ぶんきしているのね、健脚けんきゃくコース４０分ふん、一般いっぱんコース５０分ふん、当然とうぜん、健脚けんきゃくコースよね。
丸太まるたの階段かいだんになっているのね、そんなに急坂きゅうざかじゃないじゃないの。避難ひなん小屋こやがあった、ずいぶん里さと道どうに近ちかい避難ひなん小屋こやね。
谷たにの沢さわを渡わたるようだよ。ここからが切きり返かえし折おり返かえしの道みちが続つづくみたいだぜ。
なるほど、沢さわに沿そって登のぼるのね、なんぼ道みちを曲まげてもやっぱり急きゅうよね。さすが健脚けんきゃくコースよね。

岩いわが道みちの上うえにのしかかっている、天狗岩てんぐいわというんだとさ、根元ねもとから仰あおぎ見みるのだが、折おり返かえして、切きり返かえして、岩いわの上うえまで道みちが付ついているんだな。
岩いわの上うえからは、県道けんどう沿ぞいの集落しゅうらくが見みえる、あそこから辿たどって来きたのだ。ほんのちょっと踏ふみ込こんだのに、えらい山奥やまおくだ。
次つぎの看板かんばんはなに、頂上ちょうじょう２０分ふん、イチイの木き１５分ふん、金きむ名水めいすい、とある。足許あしもとに金きむ名水めいすいがあるんだな。
ポツポツと雫しずくがしたたるほどの水量すいりょうしかないのね、味あじはどう、なんか甘味あまみ、ほんの少すこしの味あじづけがある水みずね。
ブナが目立めだってきたね。クヌギとの混在こんざい林りんだったが、ここまで登のぼると、ブナのほうが優勢ゆうせいになってきている。
柵しがらみに囲かこまれた木きがある、看板かんばんはないが、これはイチイだぞ。ほら、竹たけ箒ほうきの先さきのように根元ねもとから幹みきが何なん本ほんも出でている、これはイチイの特徴とくちょうだよ。
イチイの看板かんばんがあるはずなんだが、どうして無ないんだろう。前まえに来きた時ときは看板かんばんを見みたはずなんだがな。

ハイマツのように枝えだが斜面しゃめんを覆おおっている、これはダイセンキャラボクなんだろうか。
脇わきには看板かんばんがあって、これがイチイの木きと説明せつめいにある。
そうだった、そうだった、中途ちゅうとで木きが折おれて、もはや成長せいちょうできない姿すがたを見みたのを思おもい出だした。
ふぅむ、そうなのか、上うえに成長せいちょうできないから、枝えだを伸のばして横よこに広ひろがろうとしているのか。
前まえに来きたときには、横よこへの成長せいちょうを見落みおとしていた。これが１０００年ねんの樹齢じゅれいと言いわれても、違ちがうんじゃないの、そんな風格ふうかくは感かんじなかった。
今いまなら１０００年ねんの樹齢じゅれいの値打ねうちがわかる、大おおきく絨毯じゅうたんを広ひろげたような姿すがたで、１０畳じょう敷じきか２０畳じょう敷じきか、広ひろさの見当けんとうが付つかないぞ。
丸太まるた階段かいだんをとんとんとんと登のぼって、芝生しばふの山頂さんちょうが広ひろがっている。石いしの鳥居とりい、石いしの祠ほこら、石塔せきとう、石塔せきとうにはアメノムラクモノツルギ出現しゅつげんの地ちとある。
ヤマタノオロチ伝説でんせつについては、前回ぜんかいの船通山せんつうざんで語かたったから、繰くり返かえさない、そっちも読よんでみてね。

頂上ちょうじょうに樹きがないから展望てんぼうは周囲しゅうい全部ぜんぶ見渡みわたせる、ただし、水蒸気すいじょうきが漂ただよっているので、大山おおやまは見みえない。
東ひがしに、通信つうしん塔とうがある山やまが見みえる、鬼林山きりんざんかしら、大倉山おおくらやまだろうか。登のぼったことがないので断定だんていできないのが残念ざんねん。
南みなみに目めを移うつすと、道後山どうごやまが見みえる。さらに目めを移うつすと、比婆ひば山さん、吾妻山あづまやまが見みえる。猿政山さるまさやまは不ふ等辺とうへん三角形さんかっけいの山稜さんりょうが特徴とくちょう的てきで、山やま列れつの終おわりに大万木山おおよろぎさん。
大万木山おおよろぎさんの向むこうの県境けんきょうは大万木山おおよろぎさんがさえぎってもう見みえない。西にしの山々やまやまは、出雲いずもの山々やまやまで里山さとやま、わたしの知しらない山やま。
西にしの麓ふもとに横田よこた町まちの集落しゅうらく、今いまは合併がっぺいして奥出雲おくいずも町まちが見みえる。あそこの集落しゅうらくを通とおり抜ぬけたのは覚おぼえているよ。
島根しまね県けん側がわからグループが登のぼってきた。こんにちわぁ。
おばちゃんたちは固かたまって弁当べんとうを食たべてる、おじさんは離はなれて、一人ひとりで食たべてる。馴染なじんでいないグループだなぁ。

おじさんがおばちゃんたちを引ひき連つれて来きたものらしい。おじさん、仲間なかまのおばちゃんたちに話はなしかけずに、こっちに向むかって話はなしかけてくる。
一方いっぽう的てきに自分じぶんのことばかり語かたりかけるぞ。岡山おかやまから来きたんだとさ、おばちゃんたちは津山つやまのひと、おじさんは真庭まにわのひと。
今日きょうは晴はれてよかったぞね、誘さそったけれど、天気てんきが心配しんぱいで気きを揉もんだんだそうな。また、同おなじことを繰くり返かえし、天気てんきが晴はれてよかった、よかった。
９時じに登山とざん口こうに到着とうちゃくしたんだとさ、ゆっくりゆっくり、登のぼったんだとさ、そうかい、思おもうだけで黙だまっていたが、普通ふつうより時間じかんがかかり過すぎ。
何なん度どもこの船通山せんつうざんには登のぼったんだとさ。次つぎには、比婆ひば山さんに登のぼるつもりなんだとさ。今年ことしの夏なつは、北きたアルプスの穂高ほたかに登のぼったんだとさ。
おじさん、息いきもつかずにしゃべり過すぎ、おばちゃんたちに煙けむたがられて、こっちに来きたんじゃないのかい。
（目めで合図あいずするから話はなしを合あわせるよ）なぁなぁ、汗あせでシャツが冷ひえてはいないかい、そろそろ腰こしをあげて降おりるとするか。それじゃ、お先さきにぃ。

どんな種類しゅるいのグループなんだろうな、おじさん、浮ういてしまって、空回からまわりしてるようで気きの毒どくだったね。
二に番目ばんめのイチイの木きのところで道みちが分岐ぶんきしている、健脚けんきゃくコースを戻もどらずに、一般いっぱんコースを降おりるとしような。
健脚けんきゃくコースは谷道たにみちだった、この一般いっぱんコースは尾根おね道どうなんだね。
いくらか楽らく、なのかねぇ。こっちの道みちもなかなか階段かいだんの段差だんさがあるよねぇ。
にょっきりと岩がんが屹立きつりつしている、これが烏帽子岩えぼうしいわという名前なまえの岩いわなんだな。
柴栗しばぐりが落おちている。食たべてみよう。生なまではもひとつだなぁ。子供こどもの頃ころはこれが美味うまくて、なんぼでも生なまで食たべたのにね。
いわゆる懐なつかしい味あじね、たしかにね、そうよね、ひとつ食たべればじゅうぶんよね。

尾根おねから次つぎの尾根おねに渡わたって、今度こんどは谷たにを渡わたるのね、ほぅ、道みちは登のぼりに、登のぼり直なおすこともあるのね。
広場ひろばが見みえた、トイレと炊事すいじ場じょうの屋根やねが見みえた。ここで朝あさの道みちと合流ごうりゅうするのね。
さて、もとの駐車ちゅうしゃ場じょうまで戻もどったぞ。
展望てんぼう広場ひろばまで車くるまを走はしらせた、振ふり返かえって頂上ちょうじょうを見みると、そうか、今いまならわかる、奥おくのあの山やまが船通山せんつうざんなのか。
ここからイチイの木きが見みえると書かいてある、双眼鏡そうがんきょうを持もっていたら見みえるはずなのね。
さぁ、県境けんきょうを越こえて、戻もどって行いこう。

前ぜんページへ
あちこちの山やまへかえる
トップページへかえる
囲炉裏いろりへリンク