勝光山

わたし、数すう年ねん前まえ、地元じもとの山岳さんがく会かいに入はいっていました。長ながくは続つづかなかった、２年間ねんかんだけ。
登山とざん例会れいかいで話はなしている内容ないようが、勝光山しょうこうざん（しょうこうざん）に登のぼったとか、これから登のぼるとか、風ふうに乗のって切きれ切ぎれに聞きこえてきます。
へぇ、登のぼれるのかい。そんなら勝光山しょうこうざん（しょうこうざん）も登山とざん対象たいしょうにカウントしとこうか。
記憶きおくに留とめたのが５～６年ねん前まえです。記憶きおくも薄うすれて潜伏期せんぷくき間あいだ数すう年ねん経過けいか、本気ほんきで登のぼってみようか、とその気きになりました。
なんで勝光山しょうこうざんが気きになるか。庄原しょうばらの市街地しがいちから見みると、山肌やまはだにものすごい崖がけ地ち、露天掘ろてんぼりで掘ほりまくっているから一いち面めんに露頭ろとうだらけなんですよ。どこから見みても見みえているもの。

勝光山しょうこうざんの鉱山こうざんで掘ほっているのは、蝋石ろうせき、タルク、カオリン、炭酸たんさんカルシウムに代表だいひょうされる白色はくしょく鉱物こうぶつ、こんなものを掘ほっています。
神石じんせき、三さん次じからも見みえていて、山やま座ざ同定どうていの指標しひょうに使つかっております。似にたような山やまに混まじって、勝光山しょうこうざんがあそこなら、西にしの山やまはこれだろう、背後はいごの山やまはあれに違ちがいない。
で、採掘さいくつの邪魔じゃまになるから南側みなみがわからは登のぼっちゃいけないだろう。北きたから、裏側うらがわからなら、登のぼっても構かまわないだろう。
庄原しょうばらから国道こくどう４３２号線ごうせんを進すすむが、途中とちゅうで県道けんどう４６７号線ごうせんに入はいる。盤ばん之の谷たに（はんのや）峠とうげを越こえるんですよ。
盤ばん之の谷たに（はんのや）峠とうげの南側みなみがわには積雪せきせつはないが、盤ばん之の谷たに（はんのや）峠とうげを越こえると路面ろめんはタイヤでカチカチに雪ゆきを踏ふみ固かためている。ちょっと怖こわいよ。

峠とうげからだいぶ降おりて、反転はんてんするくらい大曲おおまがりのところがある。大曲おおまがりの手前てまえ、小しょう曲まがりのところが膨ふくらんでいるので車くるまを止とめよう。
大曲おおまがりからは谷たに沿ぞいに道みちが奥おくに入はいっている。車くるまが入はいった形跡けいせきがあって、タイヤの跡あとがある。こういうところは心強こころづよいね。
獣ししの足跡あしあとがある。肉にく球だまの足跡あしあとだ。犬いぬが一緒いっしょに入はいったのだろうね。
谷たにのどん詰つまりで大曲おおまがり反転はんてんする。次つぎの尾根おねを渡わたって谷たにの頭あたまを越こえる。
次つぎは尾根おねの切きり通どおし、林道りんどうは尾根おねを深ふかく断たち割わって次つぎの谷たにへ渡わたって行いく。
今度こんどの谷たには大おおきいのですよ。水みずの流ながれがしょろしょろと聞きこえてくる。

車くるまはここまで来きて引ひき返かえしている。無理むりもない。この先さきは未み整備せいびで、重機じゅうきで引ひっ掻かいただけだから車くるまが通とおれる道みちではないものね。
おいおい、橋はしがない。切きり立たっている。橋はしでなくても、太ふといヒューム管かんを埋うめ込こんで、谷たにの水みずを流ながす工事こうじをすべき箇所かしょなんだがなぁ。
左岸さがんは幅広はばひろの道みち、右岸うがんは狭せまい道みち、狭せまい道みちは両方りょうほうからイバラが突つき出だしているから通とおりにくい、左岸さがんの幅広はばひろの道みちを行いくべきだね。
橋はしがないならしょうがない、石いしを踏ふんで流ながれを渡渉としょうする。
大型おおがたトラックが余裕よゆうで擦すれ違たがえるほどの幅広はばひろの道みちで、草木くさきが突つき出だしているけど、避さけて歩あるくスペースはなんぼでもあるよ。
また渡渉としょうすべきところがある。さっきのも今いまのも、流ながれまで深ふかく降おりて行いって渡わたって登のぼり返かえすのだ、ちょっとメンドクサイぞ。

もう一回いっかい渡渉としょう、そんなに流ながれまで降おりて行いかなくてもすむので、ここは堪忍かんにんしてやろう。
おーい、行いき止どまりになったよ。重機じゅうきで引ひっ掻かいた道みちはここまで、この先さきはヤブで、突つっ込こんで行いけるようなヤワなもんじゃないよ。
しょうがないから流ながれを渡わたって右岸うがんに移動いどうしよう。こっちにもちゃんと重機じゅうきで引ひっ掻かいた道みちがあるんですよ。
谷たにから離はなれて尾根おねへ向むかう。
尾根おねを越こえて、さっきの谷たにとは反対はんたいの谷たにの山腹さんぷくを進すすんで行いく。
あれは比婆ひば山さんと吾妻山あづまやま、西にしへ眼めを移うつして行いくと、どこから見みても判わかる八国見山やくにみやまの隣となりだから熊山くまやま、別名べつめい、笠りゅう尾山おやま、ずっと東ひがしを見みると、道後山どうごやまが見みえている。

比婆ひば山さん、吾妻あづま山さん、道後山どうごやまのページはなんぼでもあるが、熊山くまやまのページはあまり見みないでしょう。ここにあります。
ありゃりゃ、道みちが行いき止どまりになったよ。ここから先さきはヤブが分厚ぶあついので分わけて入はいるのは出来できないね。引ひき返かえそう。
尾根おねまで戻もどって、尾根おね道どうを進すすむ。昔むかし々はここを人ひとが通とおったこともあった、何なん年ねんも何なん十じゅう年ねんも歩あるくやつはいない、その程度ていどの踏ふみ跡あとがある。
なんとか頑張がんばって道みちまで抜ぬける。峠とうげのところに抜ぬけるが、二に方向ほうこうにしか道みちがないのですよ。目指めざすは勝光山しょうこうざんの方向ほうこうなんだが、そっちへ向むかう道みちがない。
なんとか頑張がんばれば道みちに出でるだろうとヤブに入はいったが、ヤブに阻はばまれ、雪ゆきが邪魔じゃまして、どうにもならんね。
やめた、あきらめた。こっちから登のぼるのは労力ろうりょくばっかり消費しょうひして見返みかえりが少すくないコースなのだ。

谷たに底そこまで降おりて来きた。右岸うがんの道みちを降おりてみようか。
だめだ、枝葉えだはが繁しげって、通とおれやしない。やはり、左岸さがんの幅広はばひろい道みちを歩あるくのが正解せいかいだね。引ひき返かえして、渡渉としょう点てんから左岸さがんに移うつる。
勝光山しょうこうざんの斜面しゃめんには道みちが櫛くしの目めのように並行へいこうしているんですよ。この櫛くしの目め、隣となりの道みちと繋つながっているのか怪あやしいのだよ。行いき止どまりの道みちも多おおいのだよ。
潔いさぎよく勝光山しょうこうざんはあきらめよう。倒産とうさんして以来いらい、メンテしてないからヤブ化かしイバラに覆おおわれ、魅力みりょくに欠かけるよなぁ。
道みちを横断おうだんする流ながれをみっつ渡渉としょうして、車くるまの通とおる林道りんどうに戻もどってきた。

朝あさに登のぼるときは、雪ゆきが締しまって体重たいじゅうを支ささえてくれた。温度おんどが上あがると、腐ぐされ雪ゆきになって、クシャクシャと靴くつが埋うまってしまう。雪ゆきから靴くつを抜ぬきながら歩あるかなきゃならない。
林道りんどうを歩あるいて、もとの駐車ちゅうしゃ場所ばしょまで帰かえって来きた。
２００９年ねんに鉱山こうざんは倒産とうさんしているんですよ。
露天掘ろてんぼりでコスト安やすで掘ほってるはずなんだが、外国がいこくにはもっと安やすく掘ほっているところがある。輸入ゆにゅう品ひんに駆逐くちくされて倒産とうさんです。
管理かんりパトロールする人ひとはいないはずだから、鉱山こうざんの入いり口くちから入はいっても咎とがめる人ひとはいないかもしれない。
でも、そんな鉱山こうざん道どうを登のぼったところで、登山とざんしました、と言いえるかしらね。

勝光山しょうこうざんにもう一回いっかい挑戦ちょうせんする気きはあるかい。いいや、もうその気きはありません。鉱石こうせきの運搬うんぱん道どうを歩あるくか、ヤブを抜ぬけるか、どっちも魅力みりょくに欠かけるよねぇ。
ところでこの会社かいしゃ、株式会社かぶしきがいしゃ勝光山しょうこうざん鉱業こうぎょう所しょ、ＨＰも存在そんざいしていて独自どくじドメインも維持いじ管理かんりしているんですよ。
２００９年ねん、民事みんじ再生さいせい法ほうを申請しんせいしているが、あれからどうなったんだろう。会社かいしゃ更生こうせい法ほうの申請しんせいじゃないので、旧きゅう経営けいえい者しゃの未練みれんは見みえ見みえですよね。
独自どくじドメインを維持いじしているということは、金かねを払はらっている、すなわち、経理けいり課かが存在そんざいしているということなんでしょうね。
生いきているのか死しんでしまったのか、よくわからん。子会社こがいしゃの勝光山しょうこうざん運輸うんゆのトラックは今いまも走はしっています。


カシミール展望てんぼう図ずをつけました。立体りったい的てきに地形ちけいが浮うき出でて一目いちもくでイメージを把握はあくできます。
轍わだちでも軌跡きせきを示しめしています、高低こうていを示しめす断面だんめん図ずも表示ひょうじできます

	縮尺しゅくしゃくは、右みぎ下かの＋－でお好このみの尺度しゃくどで見みてください
	使つかい方かたは、左上ひだりうえの[基本きほん地図ちず]の　▼　白地図はくちず、航空こうくう写真しゃしん、簡易かんい地形ちけい図ずが選えらべます
	Google Map では、使つかい方かたの変更へんこうが突然とつぜんあります、逆さからえません、従したがってください

前ぜんページへ
あちこちの山やまへかえる
トップページへかえる
囲炉裏いろりへリンク

勝光山しょうこうざん（しょうこうざん）、ヤブが濃こいので諦あきらめる