焚火山

地図ちずを眺ながめていました。
庄原しょうばら市し東城とうじょう町まち、市街地しがいちの北きたに通信つうしん塔とうのある山やまがあります。資材しざい運搬うんぱんの道路どうろが完備かんびされてるから登のぼるには値あたいせんな。
ぼーっと見みていると、あれぇ、南みなみから道みちがあるじゃないか。
国土こくど地理ちり院いんの地形ちけい図ずだけでは心こころもとない。ネットでMapion の地図ちずで見みてみた。ある、道みちがある。これなら登のぼれるぞ。
高速こうそく道路どうろで東城とうじょうで降おりる。駐車ちゅうしゃ場所ばしょを探さがしてうろうろしました。ちょっと離はなれたところに白線はくせん外がいの余地よちがある。ほんとは歩道ほどうなんだろうが、縁石えんせきで区切くぎってないから、そこはカンニン。
歩あるき始はじめると、老人ろうじん保健ほけん施設しせつこぶしの里さと・こぶしの里さと病院びょういん、ここにも駐車ちゅうしゃできるが、それはまずいだろうと避さけたのですよ。
目めの前まえに長ながい石段いしだんが伸のびている。花谷はなたに山さん千手寺せんじゅうじ、石段いしだんの両側りょうがわは墓地ぼちが延々えんえんと広ひろがっている、東城とうじょうの古刹こさつなんですよ。

備後西びんごにし国こく三さん十じゅう三さん観音かんのん霊場れいじょう巡めぐりで、平成へいせい16年ねん3月がつ8日にちに来きたことがある。
地図ちずで見みると、国土こくど地理ちり院いんでもMapionでも、墓地ぼちの中なか間あいだあたりから道みちが伸のびているようになっている。
地図ちずを信しんじて入はいってみるか。いかんね。どうもこれから先さきは行いき止どまりじゃないかい。引ひき返かえそう。
千手寺せんじゅうじの本堂ほんどう前まえまで石段いしだんを登のぼってきた。
あ、お坊ぼうさんがいる。聞きいてみよう。焚火たきび山さん（たきびやま）へ行いく道みちはどこなんでしょうか。
焚火たきび山さん（たきびやま）？焚火たきび山さん（たくひやま）、焚火たきび山さん（たくひやま）と言いうんじゃ。そこから入はいったら行いけるけぇの。
坐禅ざぜん堂どうと何なにかの建物たてものの間あいだに道みちがある。愛宕あたごの滝たきと案内あんないがある。ここから進すすめばええのだな。
墓地ぼちの間あいだに道みちがある。さっきの墓地ぼちは道みちとは言いえなかったな。

なんぼ国土こくど地理ちり院いんの地図ちずとはいっても、明治めいじ大正たいしょうの細道ほそみちを記録きろくして、それからは修正しゅうせいすることがないものね。地図ちずに間違まちがいがあるのは承知しょうちの上うえだが、ついつい信しんじてしまうんだよね。
墓地ぼちの中なかを屈曲くっきょくしながら進すすむのだが、自然しぜんな成なり行ゆきで進すすめばよろしい。やっと墓地ぼちの切きれ目めまで歩あるいてきた。
古道ふるみちを進すすみながら、道みちばたに古ふるい墓はかがあるなと眺ながめていたが、石仏いしぼとけに紀三井寺きみいでらと彫ほってある。二に番ばんとある。西国さいこく三さん十じゅう三さん箇所かしょの石仏いしぼとけじゃないか。
すると、さっきの石仏いしぼとけは墓石はかいしではなく、青あお岸きし渡わたる寺てら、一番いちばん札所ふだしょの石仏いしぼとけだったのだ。
読よみにくい石仏いしぼとけもあるが、順番じゅんばんに札所ふだしょをたどって行いっているようだよ。
尾根おねに登のぼるか水平すいへいに山腹さんぷくを行いくか、分岐ぶんきで迷まよったが、水平すいへい道どうの先さきに札所ふだしょの石仏いしぼとけが見みえている。絶好ぜっこうの道みちしるべになるよなぁ。
水平すいへい道どう、念入ねんいりに谷たにの襞ひだまで入はいって山腹さんぷくを行いくのを何なん度ども繰くり返かえす。

雪ゆきが融とけて夜よるに凍しみてコチコチに氷こおり化かしている。靴くつが滑すべって踏ふん張ばりが効きかない。大股おおまたでは歩あるけない。小幅こはばに歩あるいてよちよち歩あるきになってしまう。
何なん度ども谷たにを渡わたって、最後さいごの谷たにになってきた。ここは谷たにの奥おくへと登のぼって行いくのだ。
谷川たにがわの流ながれが見みえるようになって、ちょろちょろと水みずが岩いわの上うえを伝つたう、これも滝たきと言いってええのかしら。
休憩きゅうけい舎しゃがあって、東城とうじょう観光かんこう特選とくせん愛宕あたごの滝たきと看板かんばんがある。
小屋こやの前まえに滝たきがあるのだが、杉すぎの倒木とうぼくが滝たきの眺ながめを塞ふさいでいる。愛宕あたごの滝たきとはこの塞ふさがれた滝たきのことだろうね。この下したのちょろちょろ滝たきも含ふくめるのだろうか。
滝たきに沿そう道みちは傾斜けいしゃが急きゅうなのは、全国ぜんこくどこでも同おなじなんだよね。
踏ふみ上あがったところに大岩おおいわがあって、愛宕あたご神社じんじゃと石柱せきちゅうに彫ほってある。神社じんじゃの祠ほこらはないが、ここで愛宕あたご神社じんじゃの清きよめ祓ばらいをするんだろうね。滝たきの名前なまえが愛宕あたごの滝たき、ここから由来ゆらいしているのか。

ええと、この上うえで道みちは二分にぶんしている。
地図ちずに添そう道みちは左ひだりへ行いく道みちなんだが、右みぎの道みちには西国さいこく観音かんのんの札所ふだしょの石仏いしぼとけが見みえている。地図ちずから外はずれるが、観音かんのん札所ふだしょの道みちを行おこなった方ほうがええような気きがするよ。
ここで尾根おねを越こえる。人間にんげんが足あしで踏ふむと、次第しだいに雨水あまみずが侵食しんしょくして、掘ほり込こんで、切きり通どおし状態じょうたいになってくる。
峠とうげを越こえて、ここの谷たには、昔むかし々はたんぼだったんですよ。相当そうとう前まえから耕作こうさく放棄ほうきしてしまっている。便利べんりが悪わるいところだもの、耕作こうさく放棄ほうきも仕方しかたがないよなぁ。
もうひとつ尾根おねを越こえ、もうひとつ尾根おねを越こえ、太山寺たいさんじの門前もんぜんに出でた。
予想よそうとは違ちがうところに出でた。地形ちけい図ずに道みちがないところを歩あるいてきたのだよ。地図ちずに載のってないほうがおかしいよ。普通ふつうに歩あるけば必かならずここに出でるのだよ。
焼しょう火ひ林道りんどう竣工しゅんこう記念きねんという石碑せきひの前まえを通とおって、道みちを上うえに進すすむ。
焚火たきび山さんとか焼やき火ひとか、ずいぶん物騒ぶっそうな名前なまえが飛とび交かっているが、焚火たきびと焼やき火ひとは近きん縁えんのものだよねぇ、なにやら伝説でんせつ・い伝いつたえがありそうに思おもえるがねぇ。

この先さきで道みちは分岐ぶんきしている。どっちへ進すすむか。タイヤの跡あとがある右側みぎがわへ進すすもう。
ありゃ、この先さきに農家のうかがあるんだよ。そこの車くるまのタイヤの跡あとだった。
道みちは下くだり勾配こうばい、どうやら間違まちがっているな、と見当けんとうが付ついて、駐車ちゅうしゃ場じょうに案内あんない板ばんがある。見みてみると、なるほど、間違まちがっている。
引ひき返かえして、左側ひだりがわへの道みちに入はいる。
次つぎの分岐ぶんきで、始はじめて道標どうひょうを見みる。よしよし、焚火たきび山やまへの矢印やじるしがある。
登のぼって行いくと、焚火たきび山荘さんそうという建物たてものがある。ネットで検索けんさくしてみると、引退いんたいした政治せいじ家かの別荘べっそうだった。
頂上ちょうじょうまで来きたぞ。
三角さんかく点てんがあるはずなんだが、雪ゆきに覆おおわれているから探さがしようがない。

NHK民放みんぽう各局かくきょく共同きょうどうの地ちデジアンテナ、県けんの防災ぼうさい行政ぎょうせい無線むせん、あれやこれや、小ちいさな祠ほこらもある。アズマヤまである。
さて、降おりますか。
太山寺たいさんじまで下おりて、ちょっと参拝さんぱいしましょうか。
石段いしだんを登のぼって、四よん脚きゃく門もんを潜もぐって、恵めぐみ谷山たにやま太山寺たいさんじ、そんなに大おおきくないこじんまりした本堂ほんどうなんだね。扁額へんがくに恵めぐみ谷山たにやまとある。
太山寺たいさんじの東ひがしの谷たにを降おりるつもりだったんですよ。
地図ちず上じょうには太山寺たいさんじという文字もじがあるけど寺てらマークがない。寺てらの境内けいだいを突つき抜ぬければ道みちがあるかな、と考かんがえた。
ありませんでした。行いき止どまりだった。
東ひがしの谷たにの道みちはあきらめよう。来きた道みちをそのまま引ひき返かえそう。

尾根おねを越こえて、耕作こうさく放棄ほうきの谷たにを横目よこめに見みて、最後さいごの尾根おねを越こえて、あとは愛宕あたごの滝たきへとどんどん降おりて行いくんだね。
朝あさには雪ゆきが凍しみてつるつる滑すべって歩あるき難がたかったが、今度こんどは融とけて腐ぐされ雪ゆきになってずるりと滑すべって行いく。
二に番目ばんめの紀三井寺きみいでらの石仏いしぼとけは見みたから、最初さいしょの青あお岸きし渡わたる寺てらの石仏いしぼとけをじっくり見みてみよう。
那智なちの刻きざみは見みえる。一番いちばんの刻きざみも見みえる。紀伊きい国こくの刻きざみも見みえる。間違まちがいない、青あお岸きし渡わたる寺てらの石仏いしぼとけだ。
その先さきに十じゅう六ろく丁ちょうの石柱せきちゅうがあった。ここから始はじまりなんだね。登のぼるにつれてカウントダウンして、最後さいご、二に丁ちょうの石柱せきちゅうは見みた。一丁いっちょうは見みなかったぞ。
そういえば、最後さいごに見みたのは、２８番ばん、成相寺なりあいじの石仏いしぼとけだった。松尾寺まつおじから谷汲たにぐみ寺てらまでの石仏いしぼとけはどこにあるのだろうね。
西国さいごく観音かんのんの石仏いしぼとけは千手寺せんじゅうじから太山寺たいさんじまでの山道さんどうに道みちしるべとして置おかれていたのだろうな。
古ふるい石仏いしぼとけは明治めいじ２４年ねんと彫ほってあったのは見みつけた。西国さいこく観音かんのんの石仏いしぼとけは、まだ摩耗まもうしていないし、苔こけに侵おかされてもいないいない、ここ、十じゅう年ねん、二に十じゅう年ねん前まえに置おいたものかもしれない。

墓場はかばを通とおり抜ぬけて、千手寺せんじゅうじの全貌ぜんぼうが見みえる。千手寺せんじゅうじの本堂ほんどう前まえまで戻もどってきた。
本堂ほんどうの扁額へんがくに、花谷はなたに山さん千手寺せんじゅうじ、そう書かいてあるはずなんだが、そのように読よめますか。
芸能人げいのうじんのサインが判読はんどく不可能ふかのうだが、それに近ちかいぞ。花谷はなたに山さんと書かくのにどんなに崩くずしても盛もり上あげてもこんな字じにはならないぞ。
東城とうじょうの町まちを見下みおろすと、谷たにいっぱいに住宅じゅうたくが埋うまってなかなかの市街地しがいちなんですよ。
駐車ちゅうしゃ場所ばしょまで帰かえってきたぞ。
国道こくどうを走はしって、焚火たきび山やまが正面しょうめんに見みえるところまで行いって、どの道みちを歩あるいたのか眺ながめてみよう。


カシミール展望てんぼう図ずをつけました。立体りったい的てきに地形ちけいが浮うき出でて一目いちもくでイメージを把握はあくできます。
轍わだちでも軌跡きせきを示しめしています、高低こうていを示しめす断面だんめん図ずも表示ひょうじできます

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