ユーザーが編集へんしゅう可能かのう、Amazon社しゃの音楽おんがくサイト『SoundUnwound』

Eliot Van Buskirk

『Wikipedia』は、バンドについて調しらべようとするとき、紛まぎれもなく便利べんりな情報じょうほう源げんだ。データはかなり正確せいかくで、ほぼリアルタイムで更新こうしんされる傾向けいこうにある。

米べいAmazon.com社しゃは、同社どうしゃの新あたらしい音楽おんがく情報じょうほうサイト『SoundUnwound』で、同おなじ状況じょうきょうが生うまれることを期待きたいしている。Wikipediaの戦略せんりゃくの一部いちぶを取とり入いれた同どうサイトでは、バンド、レーベル、アルバム、楽曲がっきょくに関かんするあらゆる情報じょうほうをユーザーが編集へんしゅうできるのだ。

SoundUnwoundを開始かいしするにあたり、Amazon社しゃは自社じしゃの小売こうりサイトのほか、『Internet Movie Database』や『Musicbrainz』(メタデータをCDやデジタル・ファイルと関連付かんれんづけることが可能かのうな、オープンソースの『Gracenote』形式けいしきデータベース)からの音楽おんがく情報じょうほうを掲載けいさいした。

9月8日にち(米国べいこく時間じかん)のSoundUnwound開設かいせつに先立さきだち、Amazon社しゃのスタッフおよび同社どうしゃの人力じんりき仕事しごと仲介ちゅうかいサービス『Mechanical Turk』グループがデータを構築こうちくした。

ユーザーはこうした情報じょうほうをWikipediaと同様どうように編集へんしゅうできるが、直接ちょくせつ書かき込こめるわけではない。すべての更新こうしん内容ないようは、サイトに掲載けいさいされる前まえにAmazon社しゃのスタッフが入念にゅうねんにチェックする。だから、自分じぶんがもとからRun D.M.C.[ヒップホップ・グループ]のメンバーだったことにしよう、などと考かんがえないこと。

SoundUnwoundには、その日ひ、その週しゅう、あるいはそれまでに掲載けいさいされたなかで、特とくに人気にんきを集あつめた情報じょうほうを提供ていきょうしたユーザーをリストにしたランキング・チャートがあり、こうした方面ほうめんで権威けんいになりたいと思おもう人ひとたちに多少たしょうのモチベーションを提供ていきょうしている。

SoundUnwoundはうまくレイアウトされており、すでに豊富ほうふな情報じょうほうを提供ていきょうしている。たとえば、英国えいこくのバンド『The Fall』の場合ばあい、リリースの種類しゅるいが多おおく収録しゅうろく内容ないようの違ちがいもさまざまなので、情報じょうほうを網羅もうらするのが非常ひじょうに難むずかしいと思おもわれるが、SoundUnwoundのページには、前身ぜんしんとなるバンドの多数たすうのメンバーや結成けっせいの正確せいかくな日付ひづけ、28枚まいのスタジオ・アルバムを含ふくむ153ものリリースに関かんする情報じょうほうが掲載けいさいされている。サイトの拡大かくだいに伴ともない、ファンが細こまかな情報じょうほうを追加ついかするスペースも十分じゅうぶん用意よういされている。

ディスコグラフィーは、スタジオ・アルバム、シングル、ライブ・アルバム、コンピレーション、EP盤ばんレコードに分わけて表示ひょうじできる。アルバムのページにまで進すすむと、デジタル音楽おんがく配信はいしんサービス『Amazon MP3』で該当がいとうのバンドの楽曲がっきょくを購入こうにゅうできるリンクが現あらわれる。関連かんれんのある『YouTube』の動画どうがも、サイトのいたるところに埋うめ込こまれている。

だが、最もっとも魅力みりょく的てきな要素ようその1つは、バンドの歴史れきしを画像がぞうで表現ひょうげんした、スクロールおよび拡大かくだい可能かのうなフラッシュベースの年譜ねんぷだ。

再ふたたびThe Fallを例れいにとると、年譜ねんぷの右側みぎがわ部分ぶぶんは、ギタリストのCraig Scanlon氏し、べーシストのStephen Hanley氏し、ドラマーのSimon Wolsencraft氏しがこのバンドを去さった後のちの時期じきとなっている。バンドメンバーの情報じょうほうをディスコグラフィーとマッシュアップすることにより、ユーザーは、メンバーの交代こうたいによってバンドのサウンドがどのように変化へんかしたかを検討けんとうできる。

こうしたデータに関かんしては、すべて、他たのサイトで利用りようできる方法ほうほうを提供ていきょうしていないため、Amazon社しゃに対たいしては、いくらか非難ひなんの声こえも上あがっている。

『Duke Listens!』というブログを書かいているPaul Lamere氏しは、「Wikipedia形式けいしきのサイトで、ユーザーの提供ていきょうによるデータを自由じゆうに使つかえないということに、私わたしは疑問ぎもんを抱だいている」と述のべている。データをインターネット上じょうのあらゆるところに流ながれるようにしてくれればいいのに、というLamere氏しの思おもいはもっともだ。

一方いっぽうで私わたしは、Amazon社しゃがこうしたデータについて、自由じゆうに共有きょうゆう可能かのうという印象いんしょうを与あたえているとは思おもわない。ユーザーは、自分じぶんが編集へんしゅうしているのはAmazon社しゃのサイトだと承知しょうちしているわけで、データを外部がいぶに提供ていきょうしないのは欺瞞ぎまんだ、というふうには見みえないのだ。

結局けっきょくのところ、SoundUnwoundが成功せいこうするかどうかは、忠実ちゅうじつで熱意ねついあふれるコミュニティーを築きづけるかどうかにかかっている。情報じょうほう量りょうでは、おそらくWikipediaの方ほうが常つねにSoundUnwoundよりも多おおいだろうが、Amazon社しゃのスタッフがユーザーの提供ていきょうした情報じょうほうをうまく整形せいけいして、音楽おんがく関係かんけいの調査ちょうさにはSoundUnwoundの方ほうが好このましいと、一部いちぶの人ひとたちに受うけ止とめてもらえる可能かのう性せいはある。

そしてユーザーが好このみの曲きょくを見みつけたとき、そこにはAmazonの用意よういした「購入こうにゅうする」ボタンが並ならんでいるというわけだ。

[日本語にほんご版ばん：ガリレオ-向井むかい朋子ともこ／福岡ふくおか洋一よういち]

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