(Translated by https://www.hiragana.jp/)
森壮也「開発と障害」
HOME >

開発かいはつ障害しょうがい

もりたけし(アジア経済けいざい研究所けんきゅうじょ
障害しょうがいがく研究けんきゅうかい関東かんとう部会ぶかい だい35かい研究けんきゅうかい 2003ねん8がつ30にち午後ごご1時半じはんー4時半じはん



司会しかい
  では、はじめます。
  今日きょうは、関東かんとう部会ぶかいの35かい研究けんきゅうかいです。
  「障害しょうがい開発かいはつひさしぶりですが、げて、すすめます。このテーマについては、このテーマは、現在げんざい国連こくれんですすめられている障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやくなかでも使つかわれ、発展はってんまさにおおきな議論ぎろんとなっています。また、もりさんのおはなしなか、レジメにもれてますが、世界銀行せかいぎんこう従来じゅうらい社会しゃかいてき問題もんだいには熱心ねっしんおもわれてこなかった世界銀行せかいぎんこうが、ジュディー障害しょうがい問題もんだい本格ほんかくてきげようと、ジュディさんが顧問こもんとなり、9月くがつ18にち東京大学とうきょうだいがくのバリアフリーシンポジウムで、基調きちょう後援こうえんしゃとして来日らいにちされ、現在げんざい国際こくさい協力きょうりょく事業じぎょうだん日本にっぽんDPI主催しゅさいで、障害しょうがい開発かいはつかんするシンポジウムを予定よていしているといいます。そう意味いみで、非常ひじょうにホットなトピックをアジア経済けいざい研究所けんきゅうじょもりさんから、おはなししていただきます。すすかたです。発言はつげんは、マイクをったほう発言はつげんしてください。
  また、名前なまえっていただき、長瀬ながせですというように。それから発言はつげん、というかたちで、おねがいします。通例つうれい、どういったかたがいらしているか、名前なまえ紹介しょうかいを、いちとおりして、それからはじめます。
  1あいだくらいもりさんにはなしていただき、そのあと休憩きゅうけいです。会費かいひは、あと封筒ふうとうまわすので、それにれていただくよう、よろしくおねがいします。

もり
  では、テーマ、「障害しょうがい開発かいはつ」について、おはなしします。
  さきほど、おはなししましたアジア経済けいざい研究所けんきゅうじょで15ねんはたらいています。ほとんど、毎年まいとしのように東南とうなんアジアに出張しゅっちょうしてアジアのくにてきております。今年ことしは、先日せんじつ、フィリピンにってきたばかりです。
  たとえば、普段ふだん仕事しごとでは、経済けいざい研究所けんきゅうじょ関係かんけいなので、障害しょうがいしゃ関係かんけいではない仕事しごとになりますが、土日どにちには障害しょうがいしゃとくに、ろうしゃうようにしています。途上とじょうこくにいるろうしゃ状況じょうきょうを、インタビューすることもあります。フィリピンについては、10ねん以上いじょうかかわってきています。
  「障害しょうがい開発かいはつ」に興味きょうみっていたので、職場しょくばにテーマとして研究けんきゅうしたい、ともうたのですが、なかなかみとめられませんでした。またなん交渉こうしょうつづけているうちに、今度こんど障害しょうがい場合ばあいは、研究けんきゅう範囲はんいせまくなる、ということでみとめられなかったんです。
  障害しょうがい場合ばあい、それをテーマにすることは範囲はんいせまいのだな、ということがわかりました。
  みなさんご存知ぞんじかとおもいますが、アジア経済けいざい研究所けんきゅうじょというのは、くに予算よさん関係かんけいがありますので、景気けいきわるい、ということもありまして、まず、経済けいざい優先ゆうせんになってしまうというめんがあるということです。
  優先ゆうせん、プライオリティがありますので、そういった問題もんだいされました。
  障害しょうがい分野ぶんやでの研究けんきゅうで、おかねをいただくということに大変たいへん苦労くろうしています。
  本日ほんじつくばりした資料しりょう、9がつごうなのですが、わたしあんが、やっとのおもいでみとめられ、原稿げんこういて、この特集とくしゅう出版しゅっぱんされました。3にちまえ印刷いんさつえ、発行はっこうしたばかりです。
  一般いっぱんにはまだていないかとおもいますが、いま、1をここにってきています。
  障害しょうがい開発かいはつ、というテーマでいままでやってきたのですが、そのなかづいたことを、本日ほんじつはなしたいとおもいます。
  まず、障害しょうがい開発かいはつですが、そのテーマについて、さきほど長瀬ながせさんからおはなしいただいたように国連こくれんなど、いろいろな場所ばしょいま注目ちゅうもくびている、おおくのひと魅力みりょくをもっているテーマだとおもいます。
  しかし、障害しょうがい開発かいはつ意味いみなになのでしょうか。
  あらためてかんがえてみると、反省はんせいしてみると、意外いがいに、とてもむずかしい。
  簡単かんたんにいえば、開発かいはつ途上とじょうこくにも障害しょうがいしゃがいるということ。
  しかし、開発かいはつ途上とじょうこくにも障害しょうがいしゃがいる、ということの研究けんきゅう、それはそれで面白おもしろいとおもいますが、それだけでは、まだまだ不足ふそくしているとおもいます。
  たとえば、開発途上国かいはつとじょうこくも、先進せんしんこくにも障害しょうがいしゃはいますよね。それぞれに障害しょうがいしゃがいますが、両者りょうしゃにはちがいがあります。
  おなめんちがめんなにかということを、必要ひつようがあります。2番目ばんめに、開発途上国かいはつとじょうこくというとおくれているといういいかたをするひとがいますよね。
  おくれている、という意味いみなになのかとかんがえると、開発かいはつ途上とじょうこくというのはたとえば、フィリピンと日本にっぽんくらべた場合ばあい、30ねんおくれている、というはなしがあります。
  というのは、日本にっぽんの30ねんまえが、フィリピンとおなじなのか、というようなかんがえです。
  障害しょうがいしゃも30ねんまえおなじなのかということです。
  日本にっぽん経験けいけんおな経験けいけんがあるのか、ということになります。
  30ねんまえおな状況じょうきょうが、フィリピンでいまこっているのか、ということです。
  また、先進せんしんこく経験けいけんといったようなものを、いろいろ開発かいはつ途上とじょうこくにもっていったとき、開発かいはつ途上とじょうこく障害しょうがいしゃにもやくつのかという問題もんだいがあります。先進せんしんこく障害しょうがいしゃたいしていろいろ政府せいふ見方みかたからすると、失敗しっぱいしたとか、間違まちがいがおおかった、とかいったことがあります。開発途上国かいはつとじょうこくに、っていたとき、情報じょうほう提供ていきょうとしてってったとき、開発かいはつ途上とじょうこく障害しょうがいしゃたいする政府せいふ失敗しっぱいやミス、それらが先進せんしんこく経験けいけんがまたかえされてしまいかねないというめんがあります。
  そのあたりをかんがえる必要ひつようがあります。
  3番目ばんめに、おなめんているめんがありますが、開発かいはつ途上とじょうこくに、そのままおな問題もんだいっていっていいかということですね。開発途上国かいはつとじょうこく障害しょうがいしゃ場合ばあい先進せんしんこく障害しょうがいしゃからて、まだまだおくれているというめんもありますが、それをおくれている、と我々われわれがわえるのか。先進せんしんこくなかにも、障害しょうがい福祉ふくし年金ねんきん日本にっぽんにいる韓国かんこくじん年金ねんきんをもらえないというケースがあります。ですが、この基礎きそ年金ねんきんにしても日本人にっぽんじん障害しょうがいしゃは、障害しょうがい基礎きそ年金ねんきんはもらえますが、開発かいはつ途上とじょうこくでは、自分じぶんくににそれがないという問題もんだいがあります。先進せんしんこく途上とじょうこくとがいまおな時間じかんなか存在そんざいしている。そのなかでの「障害しょうがい開発かいはつ」の問題もんだいなのです。

  そうした3てんについて、かんがえないといけません。
  「障害しょうがい開発かいはつ」というテーマは、非常ひじょう大切たいせつかんじています。
  最近さいきんいろいろかんがえていることがあります。1999ねん明石書店あかししょてんからたこちらのほん
  Coleridgeというほうきました。『アジアとアフリカの障害しょうがいしゃとエンパワメント』というほんです。
  もと英語えいごほんです。オックスファームという名前なまえ国際こくさいてきなNGO、とく開発かいはつ途上とじょうこく援助えんじょしているNGOがあります。そのなかで、出版しゅっぱんされました。英語えいご原題げんだいは、資料しりょうほうにあります。
  「Disability, Liberation and Development」障害しょうがい開放かいほう発展はってん、また開発かいはつみっつのテーマがあります。
  非常ひじょうにラディカルなほんです。
  まだまだかんがかた整理せいりができていないほんおもいます。
  しかし、大事だいじなことがここにはあります。そのために、簡単かんたんにこのほんについて説明せつめいします。
  まず最初さいしょに、途上とじょうこくについてです。むかし、1970年代ねんだいわりごろは、「かわいそう」というような慈善じぜんかんがかたでした。
  まずしい、かわいそう、というような、援助えんじょしないといけないというかんがかたでした。いまは、エンパワメントのかんがえにかわってきています。開発かいはつ問題もんだいは、かわいそうではなく、エンパワメントの方法ほうほうとして、わってきています。
  しかし、発展はってん途上とじょうこくにいる障害しょうがいしゃ問題もんだいとなると、まだまだ、かわいそうという視点してんからの援助えんじょになっています。エンパワメントにかわっているかというと、まだですね。CBRとか、そういった状況じょうきょうが、日本にっぽんなどからみつつあります。
  2番目ばんめに、途上とじょうこくですが、さきほどのプライオリティの問題もんだいがあります。
  障害しょうがいしゃ問題もんだい障害しょうがいしゃ解決かいけつしなければ、という問題もんだいですが、それが後回あとまわしになっています。まずは、くに問題もんだいまえ問題もんだい解決かいけつしてから、となっています。
  3番目ばんめに、すこあたらしいかんがかたです。
  障害しょうがいしゃ問題もんだいは、慈善じぜんではなく、社会しゃかい福祉ふくし問題もんだいということです。慈善じぜんから社会しゃかい福祉ふくしへ、という問題もんだいになっています。社会しゃかい福祉ふくし問題もんだいとしては大切たいせつですが、それをみなさんみとめてますが、アジアの国々くにぐにてみると、社会しゃかい福祉ふくしとして大切たいせつということは、みなさん、認識にんしきするようになってきています。そういった変化へんかられます。
  わたし研究所けんきゅうじょでも、障害しょうがいしゃ問題もんだい社会しゃかい福祉ふくし問題もんだいなかひとつとして、られる傾向けいこうがあります。社会しゃかい福祉ふくしだけではないとっても、こまったようなかおをされるだけという現状げんじょうがあります。
  また、社会しゃかい福祉ふくしといっても、とく関係かんけいふかいのは、参加さんか問題もんだいです。社会しゃかい福祉ふくしとしての見方みかたをした場合ばあい、それだけではりないめんがあります。社会しゃかい福祉ふくしというのは、あたらしい援助えんじょのやりかた慈善じぜんみたいな、かわいそうというのではなく、やはり援助えんじょという問題もんだいがあるため、障害しょうがいしゃ意見いけん一応いちおうく。でも、一緒いっしょ活動かつどうするのとはちがいます。
  参加さんかではない、ということですね。いま、DPIなどの関係かんけいしゃが、国連こくれんなか論議ろんぎされていますが、レジュメ1まい最後さいごに、英語えいごぶんがありますね。
  わたしともかかわりがありますが、わたしはなれたところで、いろいろなことがめられています。その意味いみ英語えいごです。
  障害しょうがいしゃかかわりのあるひとくべきか、どうやって解決かいけつすべきか、そのあたりをかんがえなければなりません。また、4番目ばんめに、障害しょうがいという問題もんだいげたとき、いろいろな場所ばしょで、貧困ひんこんという、先程さきほど社会しゃかい福祉ふくしのひとつとしてかんがえる、とみとめられているといましたが、そのつぎのステップとして、べつめん国際こくさいてき援助えんじょ関係かんけいとしての機関きかんは、障害しょうがいということは、貧困ひんこん問題もんだいひとつである、とかんがえている。そういった見方みかたになっています。
  しかし、貧困ひんこんということも、あとでくわしく説明せつめいしますが、障害しょうがいしゃと、貧困ひんこん関係かんけいふかいということはいえるとおもうのですが、貧困ひんこんだけで、障害しょうがいということにリンクさせるということは、すごくむずかしいはなしだとおもいます。
  そういうことについて、さきほど紹介しょうかいしたほんいてあります。
  つぎよっつが、むずかしい問題もんだいとして、掲載けいさいされています。
  障害しょうがいについて、その解決かいけつ方法ほうほうは、途上とじょうこくなかでも、日本にっぽんでいえば、厚生こうせい労働省ろうどうしょうのような機関きかんはあります。そうした機関きかんだけで責任せきにんかたちいのか。とく途上とじょうこくなかで。
  くに機関きかんのなかで、責任せきにんつのが、厚生省こうせいしょうだけでいいのか。
  または、すべての部署ぶしょ障害しょうがいについての責任せきにん所在しょざい分散ぶんさんさせるようなことも、必要ひつようなのではないか。こたえはまだていません。
  一緒いっしょにやっていくのがいいのではないか、というかんがかた
  2番目ばんめ開発かいはつ行政ぎょうせいですね。
  効率こうりつをみると、行政ぎょうせい機関きかん役割やくわり大事だいじだということがわかります。
  障害しょうがいをもっているひと特別とくべつひと、という見方みかたをしたときに、それにたいするサポートがややこしい問題もんだいになってきます。
  ニーズですね。障害しょうがいニーズを解決かいけつさせるためにやる行政ぎょうせいが、障害しょうがいしゃ本人ほんにんから、ニーズをうったえられたときに、混乱こんらんしてしまいます。
  ニーズ解決かいけつ方法ほうほうが、後回あとまわしにされてしまいます。
  そういった状況じょうきょう打開だかいするためにどういった方法ほうほうかんがえられるのか、が2番目ばんめ
  障害しょうがいしゃが、なにかんがえているのか、理解りかいするという、啓発けいはつ活動かつどう

  その活動かつどうをするにも費用ひようがかかります。
  途上とじょうこくには貧困ひんこんなので、おかねがないということになります。
  啓発けいはつ活動かつどうのための予算よさんもありません。
  社会しゃかいえるための、おかねがないということになります。
  また、障害しょうがいしゃかくグループが、たとえばフィリピンをれいにしますと、このくに島国しまぐにです。
  そのために、ひととの連絡れんらくする場合ばあいに、ふね必要ひつようになります。
  いまは、聴者ちょうしゃ場合ばあい電話でんわができます。
  ろうの場合ばあいはどうなりますかね。
  電話でんわ出来できませんよね。
  10ねんまえは、情報じょうほう伝達でんたつ手段しゅだんかんがえると、非常ひじょう時間じかんがかかるんですね。
  島国しまぐにですね。
  フィリピンの首都しゅとである、メトロマニア、こういう手話しゅわになりますが、この市内しないでも、ろうしゃ同士どうしでのネットワークは、すこまえまで直接ちょくせつって情報じょうほうつたえるということですね。
  キリスト教会きょうかいがあり、そのなかでミサがありますが、それに手話しゅわ通訳つうやくをつけるというはなしもどこの教会きょうかいでのミサにつくのかというのは、おたがいにって情報じょうほうつたわるという非常ひじょう時間じかんがかかる方法ほうほうでやっていたこともありました。それが、10ねんまえ状況じょうきょうです。
  ですから、かく地域ちいきでまとまって、全国ぜんこく組織そしきをつくるのも大変たいへんになります。
  いまは、状況じょうきょうがだいぶわってきましたが、れいをあげれば携帯けいたい電話でんわですね。それを使つかって情報じょうほう提供ていきょうします。携帯けいたい電話でんわ流行はやったことで、以前いぜんくらべれば情報じょうほう伝達でんたつがスムーズになってきています。しかし、携帯けいたい電話でんわは、コストがかかります。フィリピンの場合ばあい
  みんながっているわけではありません。
  しまはなれている場合ばあいは、インターネットを使つかった方法ほうほうもあります。ところがインターネットを使つかうにはパソコンをわなければいけません。そういうおかねがない、ということもあります。おかねがかかるということです。実際じっさいには、携帯けいたい電話でんわほうやすいというので、それがおもいに全国ぜんこくレベルでも使つかわれています。かく地域ちいきちからわせてやるのがいいとよく簡単かんたん先進せんしんこく人間にんげんおもいますが、そういった予算よさん関係かんけいで、PR、活動かつどうができない、ということもあります。
  政府せいふなど、権力けんりょくっているひとたちをると、障害しょうがいしゃについて、興味きょうみっているとはえない状況じょうきょうもあり、慈善じぜんという気持きもちでやっているのが、現状げんじょうです。
  途上とじょうこく場合ばあいはそういっためんがむずかしいです。
  4番目ばんめ政府せいふ予算よさんがないという状態じょうたい、また、政府せいふがない、という場合ばあいもあります。
  難民なんみん場合ばあいは、自分じぶんくにがないという状況じょうきょうですから、おかねをもらえる手段しゅだんがありません。
  (自分じぶんくにから逃亡とうぼうしたため)
  障害しょうがいのために、年金ねんきんがほしい場合ばあいも、もらえないということになります。
  このよっつが、むずかしい状況じょうきょうになります。
  開発かいはつ障害しょうがいを、かんがえた場合ばあいに、このよっつが問題もんだいになります。
  最近さいきんみを積極せっきょくてきにするようになってきた国際こくさい援助えんじょ機関きかんとして、世銀せぎんアジア開発銀行あじあかいはつぎんこう、があります。日本にっぽん場合ばあいは、JICAじゃいかがあります。
  そういった援助えんじょ機関きかんがありますが、障害しょうがいたいしてのみが、すこしずつえています。
  JICAじゃいか積極せっきょくてきみがはじまっていますが、国際こくさい協力きょうりょく銀行ぎんこう(JBIC)みたいなところは、まだそういったみはしていません。
  わたし研究所けんきゅうじょでは、研究けんきゅう協力きょうりょくということで、金銭きんせんめんでの援助えんじょは、していません。いろいろ研究けんきゅう活動かつどうとしてやっております。障害しょうがいかんしては、まだ興味きょうみってません。しかし、国際こくさいてきると、以前いぜんよりや、興味きょうみっている機関きかんはふえてます。
  わった状況じょうきょうについては、9がつごう原稿げんこうにありますが、世界せかい人口じんこうすう、10%の障害しょうがいしゃがいるということですね。に、世界銀行せかいぎんこう統計とうけいで、貧困ひんこんしゃの5にん1人ひとりが、障害しょうがいしゃがいるというデータがあります。データをもとに貧困ひんこん障害しょうがい関連かんれんづけることがえています。以前いぜん、アジア通貨つうか危機きき、1997ねんの7がつ、タイのバーツが急落きゅうらくしたことがありました。アジアのくにで、その影響えいきょうがあり、7がつまでに、1980ねんから87ねんにかけて、10%ちかくの経済けいざい発展はってんがありましたが、その通貨つうか危機ききにより景気けいきわるくなりました。
  そういう問題もんだいをみると、急落きゅうらくした場合ばあい貧困ひんこん障害しょうがいしゃへの影響えいきょうがかなりられる。そのために、国際こくさい援助えんじょ機関きかんとしては、貧困ひんこん問題もんだいたいし、その重要じゅうようせいあたまれるようになり、世界銀行せかいぎんこうかんがかたわりました。
  また、世界銀行せかいぎんこうからの総裁そうさい世界銀行せかいぎんこう総裁そうさいのウォルフェンソン総裁そうさいさん。
  かれ貧困ひんこんたいし、問題もんだい解決かいけつをせよという指令しれいをしました。
  そのとき、貧困ひんこんについてやる、ということですが、貧困ひんこんなかに、障害しょうがいまれました。
  実際じっさい障害しょうがいつということで、学校がっこう通学つうがく出来できない状況じょうきょうがありました。
  フィリピンの場合ばあい通学つうがくようのスクールバスがあるのは一部いちぶ学校がっこうだけです。そのときの通学つうがく手段しゅだんとして、おおきな道路どうろまでは、自転車じてんしゃのとなりに特別とくべつなシートをもうけたトライシクル、そういった手段しゅだん学校がっこうく。また、ジプニーにって、通学つうがくする。
  障害しょうがいしゃは、バリアがあるというかんじになります。自転車じてんしゃにもジプニーにもれません。
  くるまいすのひとれません。それ以外いがい方法ほうほう出来できません。
  それが出来できるとしたら、裕福ゆうふく家庭かていだけになります。
  通学つうがくができないということは、就学しゅうがく出来できないことになります。
  ということは、仕事しごとにつけないことになります。
  仕事しごとがないということで、文章ぶんしょうけないし、会社かいしゃ採用さいようされることもありません。
  生活せいかつ出来できないことになります。
  まずしい場合ばあいどもがまれたとき病気びょうき高熱こうねつとき病院びょういんにいくおかねがなく、仕方しかたなくいえ看病かんびょうしたら、えなくなったり、みみこえなくなったりして、貧困ひんこん障害しょうがいかかわりも非常ひじょうつよいです。
  悪循環あくじゅんかんおちいります。貧困ひんこん障害しょうがいかかわりですが、貧困ひんこんかなら障害しょうがいになるわけでなく、障害しょうがいがあるからかなら貧困ひんこんになるというわけではありませんが、非常ひじょうかかわりはあります。
  3番目ばんめ解決かいけつ方法ほうほうかんがえたとき、先進せんしんこくひとには経験けいけんがあるため、途上とじょうこく支援しえんができます。
  しかし、通学つうがくとき大変たいへんということで、くるま支援しえんした場合ばあいでも、ガソリンが必要ひつようです。そのガソリンの費用ひようはらうのはだれでしょう?くるまをあげても、ガソリンがえない。補聴器ほちょうきおなじです。日本にっぽんでは、「ろうしゃ子供こども補聴器ほちょうき必要ひつよう」ということで、中古ちゅうこ補聴器ほちょうきあつめ、途上とじょうこくおくっていますが、実際じっさい補聴器ほちょうき修理しゅうりできますが、おくったのち使つかえるようにするのは、むずかしいです。こえるほう検査けんさして、データをて、その補聴器ほちょうきのフィッティングをしなければなりません。聴者ちょうしゃ手助てだすけがつね必要ひつようとなってしまいます。補聴器ほちょうきこわれたとき、こえないとき、ろうしゃには、それがわかりません。反応はんのうがないということで、補聴器ほちょうきこわれているのではないかと、修理しゅうりをしてもらいます。こえるひと従属じゅうぞくするかかわりがつよくなります。ガソリンとおなじで、また、補聴器ほちょうき電池でんちだいだれはらうのでしょうか。電池でんちなどもおくってもらわないといけなくなりかねません。
  そのようにして、先進せんしんこくから途上とじょうこくにいろいろなものをおくっていかなければならない状況じょうきょうになります。
  ですから、先進せんしんこくおな状況じょうきょうを、途上とじょうこく提供ていきょうしていくとうことは、なかなかむずかしいことになります。
  国際こくさいてきに、障害しょうがい予防よぼうとか、障害しょうがいしゃモデル、CBR、この3てんについてのかんがかたは、だんだん認識にんしきされつつあります。
  また、アジア通貨つうか基金ききんなどにわれるように、セイフティーネットが大切たいせつだというかんがかたひろまりつつあります。障害しょうがいしゃもセイフティーネットが大切たいせつ、そういったかんがかたひろまってきています。
  2番目ばんめに、国際こくさいてき状況じょうきょうがかわってきているということで、障害しょうがいしゃ見方みかた障害しょうがいしゃかんわりつつあります。
  以前いぜんは、障害しょうがいしゃ特別とくべつだ、とか、障害しょうがいしゃけん聴者ちょうしゃ、というかんがかたがありました。
  (周縁しゅうえんかんがかたがありました。)また、インクルージョンというかんがかたもあります。
  技術ぎじゅつ医療いりょう方法ほうほう障害しょうがいしゃにあわせていく、というかんがかた
  あたらしくかわったのは、社会しゃかいモデルですが、わせるのではなく、社会しゃかい障害しょうがいしゃにあわせる。
  社会しゃかいてき環境かんきょうととのえる、ということ。
  社会しゃかい障害しょうがいしゃかんかかわりが、大変たいへん問題もんだいになってくる、というわけです。

  社会しゃかい障害しょうがいしゃかかわりを、えていく必要ひつようがあります。
  どうやってえるかというと、エンパワメントになります。
  障害しょうがいとのかかわり、分類ぶんるいですが、いままでは、ICIDH、いまは、ICFにわってきていますが、ごぞんじのほうおおいとおもいますが。
  大事だいじなのは、環境かんきょうですね。
  障害しょうがいしゃがいる、まわりの環境かんきょう施策しさくととのえていくとうことが大事だいじです。
  日常にちじょう生活せいかつができること、障害しょうがいしゃ日常にちじょう生活せいかつができることが大切たいせつかんがかただ、というようにかわってきています。
  また、環境かんきょう大切たいせつ、ということで、ICFのかんがかたは、途上とじょうこく場合ばあい環境かんきょう大切たいせつですが、障害しょうがいしゃがいるのは先進せんしんこくにいるのか、途上とじょうこくにいるのか、どちらにいるのか、という問題もんだい大切たいせつだ、というようにかんがかたわってきています。
  しかし、貧困ひんこんなかに、そういった問題もんだいれていく必要ひつようがあります。
  貧困ひんこん問題もんだいなか障害しょうがい問題もんだいれて解決かいけつすることは非常ひじょうむずかしいです。
  貧困ひんこんはどうしてこるのか、ということをかんがえると、所得しょとく低減ていげんやすいので、貧困ひんこんこるということがありますよね。
  たとえば、世界銀行せかいぎんこう場合ばあい毎年まいとし発行はっこうしています広報こうほうがありますが、そのなか報告ほうこくがあります。
  開発かいはつ報告ほうこくがあります。世界せかい開発かいはつ報告ほうこくほん毎年まいとし発行はっこうされています。
  そのなかの、2000年版ねんばんでは、貧困ひんこんとはなにかというと、所得しょとくやすいということだけではない、といてあります。
  世界銀行せかいぎんこうも10ねんまえまでは、貧困ひんこんとはなにか、というのは、給料きゅうりょうやすいということ、というような意味いみがあったのですが、いまでは、そのかんがえがかわってきています。
  アジア通貨つうか危機ききのあと、アジア、アフリカなどの途上とじょうこく全体ぜんたいに、政府せいふではなく一般いっぱん市民しみんこえあつめて、調査ちょうさをしました。
  報告ほうこくしょには、貧困ひんこんしゃこえ、というほんがあります。
  まずしく、大変たいへんだという、そういったこえあつめた結果けっかかんがかたわったということです。
  貧困ひんこんしゃ給料きゅうりょう低減ていげんしているということではない、ということ。
  (ア)の部分ぶぶん給料きゅうりょう所得しょとくひくい、というのがありますが、貧困ひんこん見方みかたですが、これがひろがってきています。
  よっつの分類ぶんるいがありますが、機会きかい十分じゅうぶんでない、ということが2番目ばんめ
  ケイパビリティがひくいということ。ケイパビリティとはなにか、というと、Senという名前なまえ経済けいざい学者がくしゃがいます。インドでまれた、イギリスにいるノーベル経済けいざいがくしょうをとったひとです。かれが、提唱ていしょうしたケイパビリティというのは、人間にんげん場合ばあい資料しりょうした部分ぶぶんいてあるように、人間にんげんとして出来でき機能きのうひろげて、それを選択せんたくすることができる、という意味いみです。機能きのう、というのは、栄養えいよう状況じょうきょうがいいとか、また、難病なんびょうにならないとか、高齢こうれい早死はやじにしないとか、社会しゃかい生活せいかつ参加さんかできるとか、ひととしての機能きのうめんひろげて、そのなか自分じぶん選択せんたくできる、ということをケイパビリティというと提唱ていしょうしています。
  それらがひく場合ばあい貧困ひんこんという定義ていぎになります。
  また、それがない、という場合ばあい貧困ひんこんになります。
  リスク、たとえば、アジア通貨つうか危機ききのような状況じょうきょうになったとき、昨日きのうまでは、普通ふつう生活せいかつ出来できほうが、突然とつぜん生活せいかつができない、ものがない、ということがこらない。
  実際じっさいにそれが出来できなくなったときに貧困ひんこんになる。
  ぎりぎりの状況じょうきょう生活せいかつしていった場合ばあい貧困ひんこんになります。
  余裕よゆうがない、という状況じょうきょうです。
  4番目ばんめに、エンパワメントですが、まだまだです。
  貧困ひんこんですね。

  そういったかんがかた大切たいせつです。
  いますこしずつひろがってきています。
  しかし、世界銀行せかいぎんこうなかで、昨年さくねん貧困ひんこん問題もんだい解決かいけつするためには、ノースブックというほん、すごくあつい2さつほんがでました。途上とじょうこく問題もんだい解決かいけつするためのあんがたくさんせられています。
  農村のうそん問題もんだい都市としのスラム問題もんだい障害しょうがいしゃ保健ほけん栄養えいよう問題もんだいなど、様々さまざま分野ぶんや問題もんだいがあります。女性じょせいのジェンダーの問題もんだいもあります。しかし、障害しょうがいについての問題もんだいは、いくらさがしてもありませんでした。その2さつですが、障害しょうがい解決かいけつについてが、まったくありませんでした。
  世界銀行せかいぎんこうでも去年きょねんから、ヒューマンという、ポリオの後遺症こういしょう女性じょせい写真しゃしん掲載けいさいされています。(左上ひだりうえ
  アメリカでの障害しょうがい活動かつどう指導しどうしゃというほうを、世界銀行せかいぎんこうによび、専門せんもん顧問こもんをしてもらう。
  いま研究けんきゅうという活動かつどうになっていますが、研究けんきゅう活動かつどうは、現在げんざいは、はじめたばかりのため、りていない。
  3番目ばんめとして、国連こくれん国際こくさい関係かんけい機関きかん討議とうぎをみると、先進せんしんこく途上とじょうこく障害しょうがいしゃ代表だいひょうやリハビリ関係かんけいしゃ政府せいふ関係かんけいしゃふくめ、討議とうぎをしますが、それをみると、開発かいはつせんもんじんがいない。
  意味いみするものは、先進せんしんこく途上とじょうこくちがいがなにかをっている専門せんもんがいないということです。障害しょうがいコミュニティまたは、国際こくさい障害しょうがいコミュニティのなかだけではなしをしている。
  そのため、だい3しゃ見方みかたがわからず、視野しやせまくなります。ユニバーサルデザイン、UDたとえば、ビルを設計せっけいするときに、スロープやトイレ、ろうしゃようのパトランプなどがついていたりしますが、途上とじょうこく農村のうそんでそうした設備せつびをそのままというわけにはいきません。電気でんきかよっていない状況じょうきょうですから。先進せんしんこくのUDはそのままではいけないのです。
  また障害しょうがいしゃ団体だんたいでも、融資ゆうしやおかねりるという、たとえばマイクロ・ファイナンスということも出来できます。
  バングラデシュでは、グラミンバンクという有名ゆうめいな、女性じょせい農村のうそんにいる女性じょせいに、企業きぎょう運営うんえい資金しきん機関きかんがあります。自立じりつ支援しえんあん成功せいこうをおさめているところもあります。
  開発かいはつ専門せんもん現場げんば支援しえんすることもできます。障害しょうがいコミュニティだけではなしたときには、知識ちしき情報じょうほう不足ふそくします。はなすだけでわってしまい、結果けっかられない状況じょうきょうとなる。
  討議とうぎをもっとオープンにしたり、PR活動かつどう積極せっきょくてきおこなわないとなりません。
  最後さいごに、大事だいじなことをふたはなします。
  「障害しょうがい開発かいはつ」というテーマで研究けんきゅうしているイギリス在住ざいじゅう久野くの研二けんじさん、1ヶ月かげつまえに、JICAでかれた博士はかせ論文ろんぶん一部いちぶ抜粋ばっすいした報告ほうこくしょがあります。こちらです。いことがいろいろかれています。
  ツイン・トラック・アプローチ(Twin-Track Approach)というものが、そのTwinというのは、ふたつで、一方いっぽう障害しょうがいしゃのインクルージョンとメインストリーミング。
  もうひとつが、エンパワメント。
  ようするに、メインストリーミングと、インクルージョンとエンパワメントが一緒いっしょになったというかんがかたです。
  ジェンダーというのも、ジェンダーと開発かいはつGADの研究けんきゅう蓄積ちくせきがあります。わたし職場しょくばでも、GADについて研究けんきゅうしていますが、このGADの分野ぶんやてきているTwin-Track Approachという方法ほうほうをとっています。障害しょうがいしゃたいしてもそういった方法ほうほうをとっています。
  久野くのさんのは、情報じょうほう整理せいりされていていとおもいます。
  ツインということに、すごく詳細しょうさいいています。
  内容ないようてきにおもしろいものです。
  ただ、そのなかで、久野くのさん自身じしん立場たちばとして、自分じぶん健常けんじょうしゃという立場たちば、リハビリ療法りょうほう、ということで、どう障害しょうがいしゃちかづいていけるか、アプローチできるかという立場たちばいています。ただ、その場合ばあい途上とじょうこくにいる障害しょうがいしゃ自身じしん立場たちば、そこまではタッチしておられません。これは今後こんご課題かだいだとおもいます。
  障害しょうがい開発かいはつというテーマのなかではとても大事だいじなもの。
  最後さいごに、長瀬ながせさんもいろいろな会議かいぎて、ごぞんじかとおもいますが、国際こくさい会議かいぎ経験けいけんのあるひとなら、わかるとおもいますが、昨年さくねん滋賀しが大津おおつで、会議かいぎがありました。
  または、国連こくれん障害しょうがい権利けんり条約じょうやく会議かいぎると、おおきな問題もんだいがあります。
  日本にっぽん政府せいふ代表だいひょうと、他国たこく政府せいふ代表だいひょうはなしているのをると、国連こくれんのいろいろな発言はつげんがありますよね。
  その発言はつげん出来できるのが、政府せいふ代表だいひょうだけになります。NGOのひとは、発言はつげんができない、ということです。
  しかし、途上とじょうこくなかで、障害しょうがいしゃ生活せいかつしやすい環境かんきょうととのえるために、さきほどからはなしているように、おかね必要ひつようです。
  そういうことできる問題もんだいとして、たとえば、先進せんしんこく政府せいふたとえば日本にっぽんや、そのくに、そういった先進せんしんこくあたらしいことにチャレンジすることがないようながします。社会しゃかい福祉ふくし制度せいどを、かえるのではなく、すこしだけ変更へんこうすることで方法ほうほうかんがえているだけです。
  権利けんり条約じょうやく自国じこくさだめている法律ほうりつとずれている場合ばあいは、その権利けんり条約じょうやくなか排除はいじょするというあんいてあります。
  また、NGOも、いろいろえるために費用ひようがかかります。
  自分じぶんくにからの援助えんじょがないために、もし、国際こくさい条約じょうやく提携ていけいされた場合ばあい先進せんしんこくきたからおかね期待きたいっているために、みなみと、南北なんぼく問題もんだい発生はっせいします。
  NGOの場合ばあい自分じぶん発言はつげんできないために、国際こくさいてき討議とうぎでは、くに規模きぼ関係かんけいなく、発言はつげんりょくおなじですから、くに同士どうしちからわせて発言はつげんしてもらう、という交渉こうしょう大事だいじになります。しかし、そのなかで、もし、らくみち、というか、解決かいけつしやすい方法ほうほうかんがえた場合ばあい、そのために、権利けんり条約じょうやく内容ないよう骨抜ほねぬきにされる心配しんぱいがあります。
  一方いっぽう内容ないようくても、きたくに反対はんたいをした場合ばあい権利けんり条約じょうやくはつぶれてしまいます。
  そのバランスを、うまく調整ちょうせいして進行しんこうさせていかないということを、念頭ねんとうにおかなければなりません。そういうことで、問題もんだいはかなりあります。
  一時いちじあいだちょっとぎてしまいましたが、ここらへんで、おはなしをわりたいとおもいます。

司会しかい
  非常ひじょう刺激しげきてきなおはなしし、ありがとうございました。
  ふたつ。
  ひとつは、いまから10ふん休憩きゅうけいですので、310ふんから再開さいかいして、そのみなさんから質問しつもん、コメントを。
  ふたつめは、もりさんのはなしと、ワタナベさんの、「よるバナ」とりゃくしますが、介助かいじょ必要ひつようひとが、まがりなりにも、日本にっぽんのようなある程度ていど制度せいどととのったくにちがうようなくにらしていたときに、どういうことがこるのかな、ということもかんがえながらいていました。
  さきほど、ワタナベさんからもおはなしがありましたが、関心かんしんのあるほうは、ぜひんでみてください。
  ちなみに、北海道新聞ほっかいどうしんぶん出版しゅっぱんで、初版しょはんが4000で、すでに3000れているということで、「障害しょうがいがくへの招待しょうたい」が初版しょはん2000ということで、わたしとしては嫉妬しっとが。
  あまりれてほしくないなと。
  たぶん、数ヶ月すうかげつ以内いないに、道内どうない有名ゆうめい、というほんから、全国ぜんこくになるほんだとおもいます。
  今日きょうはワタナベさんからっていただいて、直接ちょくせつサインももらえる、貴重きちょう機会きかいおもいます。
  では、10分間ふんかん休憩きゅうけいにはいります。

  **********************************

  (以下いか質疑しつぎ応答おうとう編集へんしゅうしたものです)

質問しつもん従来じゅうらい経済けいざい開発かいはつ効率こうりつばかりが追求ついきゅうされてきた開発かいはつ世界せかいがありましたが、障害しょうがいしゃ一緒いっしょきていく社会しゃかいがもしかしたら出来できることが、従来じゅうらい開発かいはつのありかた自体じたい見直みなお契機けいきになるのでは、とかんがえています。その意味いみで、開発かいはつひろ文言もんごんなかで、障害しょうがい位置いちづけて、障害しょうがいがわからとらがえすと意味いみで、もりさんのコメントをおねがいします。
もり障害しょうがいしゃについてかんがえないといけないことは、開発かいはつのテーマに障害しょうがいしゃれるというかんがかたですよね。第一歩だいいっぽとしては、それでかまいませんが、障害しょうがいしゃ開発かいはつ分野ぶんやれる、というのとはちがうとおもいます。理由りゆうは、「開発かいはつ」がなにかにもかかわりがありますが、わたしとしては、はじめに説明せつめいしましたが、途上とじょうこく障害しょうがいしゃ基本きほんになります。日常にちじょう生活せいかつなかで、実際じっさい生活せいかつ不便ふべんだ、とか、そういったかたちではないです。まあまあ、生活せいかつはできている状況じょうきょうなんです。毎日まいにちこまっている、かわいそうな生活せいかつ状態じょうたいというわけではないです。ろうしゃ場合ばあいは、通学つうがくとか、きなところ自由じゆうにいけますし、そういっためんでは自由じゆううごけるような、ジプニーも自由じゆう使つかえる状況じょうきょうです。食事しょくじについては、両親りょうしんあたえてくれますので、両親りょうしんのすねかじり、というかんじで、できます。
しかし、困難こんなんめんというのは、両親りょうしんべつ生活せいかつしている、1人ひとりらしの場合ばあい、それがちょっと、むずかしくなります。また、自分じぶん自宅じたく近辺きんぺんではなく、全国ぜんこくてき活動かつどうはじめる、という場合ばあい制限せいげんてきます。そこがおおきな問題もんだいになります。
そのふたつがむずかしいめんです。
そこが障害しょうがい開発かいはつのテーマのひとつと、わたしおもっています。
開発かいはつ問題もんだいなかに、障害しょうがいしゃ問題もんだいれるというとき、それでおおきな変化へんかきる、ということではありません。現実げんじつ問題もんだいとして、解決かいけつできる問題もんだい解決かいけつできない問題もんだいなにかということを、きっちりけて、整理せいりしていく、という状況じょうきょうもまだです。いまは、そういう状況じょうきょうになってきています。
質問しつもん発展はってん途上とじょうこくで、障害しょうがいしゃ位置いちづけといいますか、っていけるとか、医療いりょう方面ほうめん健康けんこう方面ほうめんでは、現在げんざいほうむかしより向上こうじょうしたのは当然とうぜんだとおもいますが、もうすこ障害しょうがいしゃ居場所いばしょとか、社会しゃかいからの差別さべつといったことで、開発かいはつ以前いぜんとはちがっていたのではないか。
あるいは、もっと原始げんしてきには、障害しょうがいっているひとが、あがめられた、というはなしも、民俗みんぞく学的がくてきにはあります。そういうような、むかし障害しょうがいしゃ状態じょうたいと、いま開発かいはつ開発かいはつちゅうのところの状況じょうきょうと、ちがいを見聞けんぶんされていないかということが、ひとつ。
もうひとつは、さきほどのおはなしのなかで、もりさんのおつとめのところに、開発かいはつ障害しょうがい、というテーマを提案ていあんしたら、障害しょうがいでは範囲はんいせまい、とかいうことでけられなかった、とありますが、なんで、障害しょうがい問題もんだいが、せまいのでしょうか。
もり/1番目ばんめ質問しつもん
開発かいはつまえ」といういいかたですが、まえとかあとというのはないのですね。開発かいはつというのは、英語えいごえますと、development。その意味いみは、以前いぜんくらべ、わったということで、開発かいはつという言葉ことば使つかいます。前後ぜんご関係かんけい関係かんけいなく、つづいているということです。
経済けいざい発展はってんしていって、あるときに、障害しょうがいしゃ生活せいかつわったかどうか、という意味いみがありますが、そのとおりですね。障害しょうがいしゃだけでなく、障害しょうがいしゃふく貧困ひんこんしゃもよくなったということが、実際じっさいあります。
フィリピンの場合ばあいですが、はじめてフィリピンにいったのは、1988ねんでした。
そのとき状況じょうきょうは、アキノ大統領だいとうりょうになったころでした。ろうしゃなか仕事しごとをしているひとは、割合わりあいすくなかった。仕事しごとをしている場合ばあいは、郵便ゆうびんきょく障害しょうがいしゃ団体だんたい仕事しごといまでは、経済けいざい発展はってんし、1996ねんぐらいからフィリピンの経済けいざい発展はってんし、アジア通貨つうか危機きき以後いごすこちましたが、いまは、もどしています。それにつれ、ろうしゃで、携帯けいたい電話でんわひと徐々じょじょにふえてます。そのためコミュニケーションがスムーズになっている。
仕事しごと細分さいぶんされ、ろうしゃのリーダーてき存在そんざいひとは、キリストきょう教会きょうかい仕事しごと就労しゅうろうしゃのろうしゃえている。教会きょうかい場合ばあい寄付きふをとおして、資金繰しきんぐりですね。経済けいざい全体ぜんたい状況じょうきょうとも関係かんけいします。
しかし、聴者ちょうしゃ健常けんじょうしゃくなったりつ、また、障害しょうがいしゃりつくらべると、障害しょうがいしゃのほうが、いい比率ひりつとはいえない。聴者ちょうしゃ健常けんじょうしゃ場合ばあい就業しゅうぎょうじょうきょう指数しすうを50とすると、障害しょうがいしゃ場合ばあいは、1〜3ぐらい。かなりちいさい。以前いぜんくらべればいが、依然いぜんすくない数字すうじです。
で、一人暮ひとりぐらしをしている途上とじょうこく障害しょうがいしゃは、あまりいないです。
障害しょうがいをもつということは、かえることが出来できないとられて、家族かぞくごして、だい家族かぞくという形式けいしき生活せいかつをするというのが、ごく一般いっぱんてきです。
その問題もんだいとして、一人暮ひとりぐらしをしたいときに問題もんだいがおきる、ということですね。
家族かぞく一緒いっしょにいたくないので、一人暮ひとりぐらしをするということは、無理むりということです。
もともと一人暮ひとりぐらしということは、ないです。
障害しょうがいをもっているということで、家族かぞく一緒いっしょ生活せいかつをする、という状況じょうきょうです。
一人暮ひとりぐらしをしたいときは、やはり、限界げんかいがあります。
家族かぞく無理むり、という見方みかたをした結果けっか、そのひと一人暮ひとりぐらしができないということになります。

かく家族かぞくなんですが、わたし範囲はんいでは、途上とじょうこくではこっていないですね。
いまは、中間なかま階層かいそう、タイや、マレーシアの一部いちぶこっているくらいですかね。
まず中間ちゅうかん階層かいそうえれば、そのかく家族かぞく問題もんだいになるとおもいます。
ラテンアメリカのなか状況じょうきょう、アフリカは、さらにおくれているので、まだまだ。
ラテンアメリカの場合ばあいは、いま中間ちゅうかん階層かいそうがやっとおきたということですので、爆発ばくはつてきにそれがえる、そういった状況じょうきょうにはならないとおもいます。
フィリピンの場合ばあい中間なかま階層かいそうがはっきりなった、という状況じょうきょうではないので、かく家族かぞくは10ねんあとの状況じょうきょうになるとおもいます。

2番目ばんめ質問しつもん
開発かいはつ障害しょうがい」がせまいテーマとわれたことです。
本日ほんじつ、レジメのなかで3ページに1)(ア)「障害しょうがいしゃのニーズは特別とくべつである」という文章ぶんしょうありますが、その見方みかた関連かんれんがあるとおもいます。普通ふつうひとちがうということで、周縁しゅうえんこっている、という状況じょうきょうがあります。だい多数たすうとしての人間にんげん重要じゅうようせい障害しょうがいしゃなかでの重要じゅうようせいに、ちがいがある。それで障害しょうがいしゃはぶかれるので、周縁しゅうえんです。その意味いみで、わたし職場しょくばで「せまい」とわれたと。
これへの対策たいさくですが、研究けんきゅう論文ろんぶん沢山たくさんしていくことですね。
質問しつもん先進せんしんこく障害しょうがいしゃ問題もんだいと、発展はってん途上とじょうこくの、障害しょうがいしゃ問題もんだい区別くべつする必要ひつようせい、という視点してんをおっしゃっていましたが、になるのは、先進せんしんこくといわれる、たとえば、アメリカの障害しょうがいしゃ日本にっぽん障害しょうがいしゃでは、やはり問題もんだいちがうとおもいますし、発展はってん途上とじょうこくというくくりのなかでも、たとえば、宗教しゅうきょうであったり、一人暮ひとりぐらしのはなしがありましたが、家族かぞくあいだ問題もんだいであったり、経済けいざいてき発展はってんというじくると、おおきく先進せんしんこくと、発展はってん途上とじょうこくというかたはできるとおもいますが、やはり、社会しゃかいというか、各国かっこく文化ぶんかてき要素ようそというところをふくめて、かんがえる必要ひつようがあるとおもいましたので、そのあたりについて、もりさんのかんがえがあれば、おうかがいしたいとおもいます。
もり非常ひじょうにいい質問しつもんだとおもいます。
レジメの1まいにあります、Aの1の1。みっ項目こうもくがありまして、特別とくべつくに地域ちいきせい、ということがいてあります。
われたとおり、先進せんしんこく同士どうしなかでも、日本にっぽんとアメリカはちがいます。
また、途上とじょうこくなかにも、フィリピンと、マレーシアあいだではやはりちがいます。
マレーシアからインドネシアも、やはりちがいますね。
アジアとアフリカでもちがいます。
先進せんしんこく途上とじょうこくだけをるのでは、ちょっとまずいとおもいます。
しかし、現代げんだい全部ぜんぶくにちがいますが、そのなか基準きじゅんというか、簡単かんたんにいえば、アメリカと日本にっぽんちがう、ということ、そういった意味いみもありますが、フィリピンと日本にっぽんちがう、ちがいのなかでも意味いみちがうとおもいます。
ぎゃくに、国々くにぐにちがっているのはわかりますが、それプラス、途上とじょうこくたいする見方みかた先進せんしんこく途上とじょうこくちがう、ということ。
それをふくめていかないといけないとおもっています。
司会しかいいまはなしですが、そういうめんもあるとおもいます。
たとえば、国際こくさいてき基準きじゅんであるとか、権利けんり条約じょうやくというはなしになると、そのちがいの部分ぶぶんは、ちがいのままのこして、共通きょうつうこうというのも、まとめないと国際こくさいてきなにかをやろう、というときにはうごかないのかなと。
それは、女性じょせい差別さべつ撤廃てっぱい条約じょうやくのときも、こどもの権利けんり条約じょうやくときおなじでした。
国際こくさいてきなにおおきなはしらをたててうごいていこうというときには、その共通きょうつうこうさが必要ひつよう一方いっぽうではあるのかなと。
質問しつもん一般いっぱんてき開発かいはつのことをかんがえたとき、地域ちいき文化ぶんか尊重そんちょうして開発かいはつしていくときに、チェンバースの開発かいはつというのを日本にっぽんでもれているとおもいますが、障害しょうがい開発かいはつかんがえたときに、チェンバースの参加さんかがた開発かいはつというのがなに参考さんこうになるものがあれば。
チェンバースの参加さんかがた開発かいはつ関係かんけいするような、障害しょうがい開発かいはつかんする先行せんこう開発かいはつや、モデルなどがあれば。
もうひとつ、先進せんしんこく途上とじょうこくはなすときに、先進せんしんこく障害しょうがいしゃが、優位ゆういになってしまうというのがつよいのかな、と。
たとえば、もりさんがろうしゃなのでおきすると、ASLが、おも言語げんごとして仕切しきられるのか。
わからないので、現地げんち手話しゅわ言語げんご尊重そんちょうしてすすめられていくのか、世界せかいてき規約きやく場合ばあいは、ASLではなしていくとか、なに基準きじゅんがあるのか。
これはわからないので、単純たんじゅん質問しつもんですが。
司会しかいいま質問しつもん関連かんれんして、もりさんも関係かんけいしてますが、世界せかいろうれんなかで、北欧ほくおう組織そしきがアフリカの組織そしきとパートナをきずく。民間みんかんれべる、NGOの関係かんけいがあるといていますが、そことDさんの質問しつもん関連かんれんしておねがいします。
もり/まず、モデルがあるかどうかについて。
いまわたし自身じしん、モデルがこれだということを発表はっぴょうすることは出来できません。
モデルがあると、わたしおもってないので、できません。しかし、いま状況じょうきょうをみたときに、先進せんしんこくのリーダーシップや途上とじょうこくげていくようなことが、世界せかいてきにあるとおもいます。しかし、北欧ほくおうとアフリカ、北欧ほくおうのみならず、ヨーロッパ全体ぜんたいとアフリカ、また、アフリカそ援助えんじょするろうしゃ組織そしき、また日本にっぽんろうあ連盟れんめい、タイを援助えんじょしているような デンマークのろうしゃ組織そしき援助えんじょしていくかたちをとっています。やりかたは、各国かっこくまちまちです。
ヨーロッパをると、基本きほんてきふたつ。まず、資金しきん援助えんじょ経済けいざいてき援助えんじょだけです。
もうひとつは、人的じんてき援助えんじょがあります。ヨーロッパの場合ばあいは、アフリカだけではなく、カンボジアの場合ばあい人的じんてき援助えんじょだけをしています。資金しきん援助えんじょ人的じんてき援助えんじょをしているのは、アメリカです。タイとベトナム、カンボジア、その3カ国かこく人的じんてき援助えんじょ資金しきん援助えんじょをしています。しかし、全体ぜんたいてきおなめんは、地域ちいきにいるろうしゃ団体だんたい活動かつどうをもりてるという意味いみでは、活動かつどうはふえています。
しかし、フィリピンの場合ばあいも、イギリスのVSO、日本にっぽん青年せいねん海外かいがい協力きょうりょくたいおなじような組織そしきですが、そこから、ろうしゃ一人ひとり派遣はけんして、フィリピンに2〜3ねんくらい滞在たいざいし、活動かつどうをするのですが。
フィリピンのろうしゃ団体だんたい全国ぜんこくてき組織そしきてたばかりのよわ立場たちばで、中身なかみもまだまっていない状況じょうきょうで、政府せいふつよ要求ようきゅうする運動うんどうなど、まだまだむずかしいです。一般いっぱんてきなろうしゃも、それに興味きょうみをもたない活動かつどうじょうきょうです。
興味きょうみたせるためには、スポーツとか、それに興味きょうみたせ、フィリピンのろうのスポーツ協会きょうかいをたてるために、一所懸命いっしょけんめい活動かつどうしているというVSOという組織そしきがあります。
ろうしゃのVSOから2人ふたり派遣はけんし、ろうの団体だんたい活動かつどうをもりてるために、一人ひとり1ねん、もう一人ひとりは、2ねんくらいき、援助えんじょします。
まだまだその活動かつどうは、はじめたばかりです。フィリピンのろう体育たいいく協会きょうかいもVSOのかれかえったのちねん、その組織そしきあぶない状況じょうきょうになっています。人的じんてき援助えんじょ資金しきん援助えんじょは、むずかしい状況じょうきょうです。
アフリカでは、ヨーロッパから経済けいざい援助えんじょっている状況じょうきょうがふえているようです。
世界せかいろうあ連盟れんめいもフィンランド政府せいふから以前いぜん資金しきん援助えんじょがありましたが、それをって、非常ひじょう経済けいざいてきくるしい状況じょうきょうにあります。
フィンランド政府せいふも、アフリカへの資金しきん援助えんじょっています。経済けいざいてきめん、いつ援助えんじょわるのかが、えないめんもあります。
障害しょうがいしゃ関係かんけいだけではないですが、これはいというモデルを障害しょうがいしゃ関係かんけいでいえは、CBRが説明せつめいしているだけです。
しかし、CBRにも問題もんだいがあります。この雑誌ざっしなか久野くのさんの論文ろんぶんに、べついてありますね。モデルとわれると、みんな一緒いっしょにやっていく方法ほうほうは、いまわないとはおもいます。
司会しかいいまのDさんの2てん質問しつもんは、ODAであれ、NGOであれ、援助えんじょというかたちつうじて、支配しはいてき欧米おうべいモデルが、さらに拡大かくだいされる現象げんしょうがなかったか、という質問しつもんでした。そのてんについて、もう一度いちど
もりいままでの?
補聴器ほちょうきはなしさきほどしましたが、いまもその補聴器ほちょうきつづき、援助えんじょしている。
補聴器ほちょうき援助えんじょを、先進せんしんこくのやりかたで、そのまま後進こうしんこくてはめると、けるひとは、うれしいですが、補聴器ほちょうきくち話法わほうがありますから。経済けいざいてきくるしくて、手話しゅわほうおしえていましたが、補聴器ほちょうきをもらうことにより、くち話法わほうひろめるところもあります。
先進せんしんこくのヘタなコピーというか、そういう状況じょうきょうえています。
司会しかい/そうすると、ODA、NGOなど、援助えんじょまったほうが、かえってのぞましい場合ばあいもあるとかんがえたほうがいいでしょうか。
もり全体ぜんたいてき援助えんじょ停止ていしさせるということは、よくないことだとおもいます。
援助えんじょだれがするのか、どうやってするのかを、それをきちっと確認かくにんしたほうがいいですね。
たとえば、手前味噌てまえみそになりますが、いまのフィリピンでは、フィリピンのろうしゃ団体だんたいと、フィリピンのなかでの言語げんご研究けんきゅうしゃ博士はかせ一緒いっしょ活動かつどうして、手話しゅわほんつくっています。
つくっているというか、プロジェクトを進行しんこうちゅうです。
いままで、フィリピンのなか手話しゅわほんを、したというれいが1かいだけあります。
しかも、そのほんは、フィリピン手話しゅわと、アメリカ手話しゅわざった、混合こんごう言語げんごというかたちでっているんですね。
フィリピン手話しゅわについてのきちんとした説明せつめいがかかれていません。フィリピン手話しゅわ文法ぶんぽうについてもかれていないんです。進行しんこうちゅうほんについては、きちっと、それがかれています。
しかし、原稿げんこういて、手話しゅわ写真しゃしんって、ほん印刷いんさつするおかねがないんです。
ですから、見通みとおしがわからないので、出版しゅっぱん会社かいしゃに、このほんしたい、ということで要望ようぼうしてもことわられてしまいます。内容ないようはとてもいいのですが、出版しゅっぱんをする機会きかいがないんです。
出版しゅっぱんですね。
ODAに関連かんれんづけて、または、NGOですね。
いろいろわせて、やっと出来できるかな、と。
今年ことし来年らいねんあたり出版しゅっぱんできるかなとおもいます。
フィリピン手話しゅわについてのほんよつで、聴者ちょうしゃがそのほんんで、手話しゅわ理解りかいできますよね。
社会しゃかいてき環境かんきょうで、ろうしゃ見方みかたわるとおもいます。
いい影響えいきょう絶対ぜったいるとおもいます。
フィリピンの場合ばあいは、援助えんじょもあればいいとおもいます。
ようするに、一方いっぽうてき援助えんじょをやめる、ということではないとおもいます。
そのほん場合ばあいは、ほんしたのち援助えんじょるという方法ほうほうもあります。
センターをてる、はこぶつみたいな援助えんじょと、人的じんてき援助えんじょの、中間なかまがたかんがえてもいいとおもいます。
そういったほん場合ばあいは。
ですので、ほんについては、いまは、援助えんじょをしたほうがいいとおもっています。
さきほど、Dさんから質問しつもんがありましたが、アメリカ手話しゅわのおはなしがありました。
実際じっさいには、途上とじょうこく、つまりアジア周辺しゅうへんくにでは、ASLが非常ひじょう普及ふきゅうしていまして、その影響えいきょうつよいんです。
その背景はいけいとしてアジアの国々くにぐには、ひとに、裕福ゆうふく家族かぞくのろうしゃどもの場合ばあい大学だいがくくのは、アメリカのギャローデット大学だいがくということになります。
ろうしゃの4ねんせい大学だいがくがあります。
世界せかいにひとつだけです。
そこにアジア周辺しゅうへん子供こどもたちがきます。
だけですが。1のこどもだけ帰国きこくして、アメリカからかえるということで、祝福しゅくふくされます。そのくになかで、リーダーシップをとり、ろうしゃとしてのモデルですね、ロールモデルをしめすことができます。

ロールモデルは、ASLを使つかうことになりますので、その国内こくないでは、アメリカの手話しゅわひろまることになります。
アメリカの場合ばあい海外かいがい青年せいねん協力きょうりょくたいのような、ものがありますが、2、30ねんくらいまえからろうしゃ派遣はけんしていました。
現在げんざいでは、派遣はけんをしたときに、ろうしゃたいする自国じこく文化ぶんかけないでください、というような指導しどうをしています。
その指導しどうりないめんもあったため、ろうしゃがアジアのくに援助えんじょにきた場合ばあい、そのくに手話しゅわを、排除はいじょして、ASLで表現ひょうげんしてしまう、という状況じょうきょうがありました。
そのなかでろう学校がっこう先生せんせい講師こうしとしてんだときに、ASLをまなんでしまう、という状況じょうきょうがあります。
ろう学校がっこう状況じょうきょう考慮こうりょにいれ、そういう背景はいけいがある、ということでASLが普及ふきゅうしてきました。
現在げんざいでは、フィリピンでも、タイでも、ベトナムでも自国じこく手話しゅわとアメリカ手話しゅわちがいがなにか、ということに自分じぶんたちをつめなおすことがえているとおもいますので、それは大変たいへんいいことだとおもいます。アメリカ手話しゅわっていることは大切たいせつですが、自国じこく文化ぶんか目覚めざめるということは、いことだとおもいます。
日本にっぽん国内こくないくらべると、アジア周辺しゅうへんの、アジア諸国しょこくは、ASLをっているひとがかなりの人数にんずういます。
そのなかで、自国じこく手話しゅわかんするほこりというか、大切たいせつさにづいているひとえているのはいいとおもいます。
アジアのなかで、人口じんこうもっとおおくにとして中国ちゅうごくがありますが、中国ちゅうごく手話しゅわと、アメリカ手話しゅわは、まったべつ言語げんごで、ASLの文法ぶんぽうや、影響えいきょうもないです。中国ちゅうごく場合ばあいは。
実際じっさい中国ちゅうごく手話しゅわというのはないんですが。
司会しかい/このテーマになるともりさんは、あとすうあいだ、おはなしになるとおもいますので、それはまた、個別こべつに。ちなみに、ASLは、アメリカ手話しゅわ頭文字かしらもじをとったものです。
関心かんしんのあるかたは、わったあとに、じっくりといていただければ。
障害しょうがい開発かいはつ」にまたもどりまして、Eさん。
質問しつもん素朴そぼく質問しつもんです。障害しょうがいしゃ健常けんじょうしゃという概念がいねんは、途上とじょうこくではあるのですか?インドなどでは、片足かたあしのないひとみちっています。えんえんと。それが聖人せいじんのようにあがめられます。
下半身かはんしんがないじんがいたり、ずっと逆立さかだちしているじんがいたり。そういう人達ひとたち印度いんどではたして障害しょうがいしゃばれるのか?それは近代きんだいふかくかかわりがあるとおもいます。近代きんだい以前いぜん日本にっぽんでも、中世ちゅうせい日本にっぽん村落そんらく社会しゃかいでは、障害しょうがいしゃ差別さべつは、いま観点かんてんでは差別さべつだが、居場所いばしょ確保かくほされていたとか。いじめられたり、バカにされたりしたかもしれないが、いっぱぐれのないように一生いっしょう面倒めんどうをみてもらっていた。ぼくは、くわしく文献ぶんけんんだわけではないが。
それはとてもよくかります。おそらく発展はってん途上とじょうくに一概いちがい障害しょうがいしゃ健常けんじょうしゃという概念がいねん。これも一種いっしゅ欧米おうべいモデルだとおもいますが、それにてはめて援助えんじょすること自体じたいが、いいのかどうか。ちゃぶだいをひっくりかえすようなはなしですが、どうでしょうか?
もり以前いぜん、こちらの雑誌ざっしの87ごう特集とくしゅうきましたが、障害しょうがいしゃかんは、くにでは様々さまざま精神せいしん障害しょうがいかんしては、障害しょうがいという概念がいねんいという状況じょうきょうです。
日本にっぽんでも、キツネツキということがありますが、精神せいしん障害しょうがいかんしては、時々ときどき症状しょうじょうるだけで障害しょうがいではない、というかんがかたです。ろうしゃ場合ばあい途上とじょうこくでは、ろうと、知恵ちえおくれ(発達はったつ障害しょうがい)のあいだ区別くべつがありません。コミュニケーションが出来できない発達はったつ障害しょうがい、それが知的ちてき障害しょうがい、ということになる。発達はったつ障害しょうがいという見方みかたも、くにによって様々さまざま見方みかた出来できる。
日本にっぽんでは、差別さべつ、いじめのめんだけでなく、福子ふくこ伝承でんしょうという言葉ことばがあります。障害しょうがいしゃどもがまれた場合ばあい、いつかはしあわせがるということで、そだてるのが大事だいじへびおなじ。
有名ゆうめいれいですが、豊臣とよとみ秀吉ひでよし出世しゅっせしたときに、屏風びょうぶにおいのがあった。そのに、障害しょうがいしゃのようながあります。えないひと、ろうしゃ、など。
おいのときに障害しょうがいしゃ排除はいじょしているような様子ようすがない。障害しょうがいしゃ一般いっぱんひとおなじく、なかかれています。
そういう有名ゆうめいがあります。
日本にっぽんもまた、途上とじょうこくのような、障害しょうがいしゃについてなにかんがえなかったというめんがありました。
のうがありますね。のうにも、ろうしゃ作品さくひんがあります。室町むろまち時代じだい作品さくひんにあります。
現代げんだい現在げんざい、そういうものは、めずらしいとおもわれますが、なにかんがえずにかれている時代じだいがありました。
障害しょうがいしゃ特別とくべつなものとはない、というかんがえがそこにあり、様々さまざまかんがかたくににより、ありました。
乞食こじき場合ばあい、もうしゃあし不自由ふじゆうひとのほうが、たくさんかせいでいたことが、ありました。
質問しつもん障害しょうがいしゃがいないで活動かつどうしている団体だんたいは、リハビリテーション、医療いりょう提供ていきょう車椅子くるまいす松葉杖まつばづえをあげる活動かつどうおおい。そういう活動かつどうおおいのは、援助えんじょしゃがわ障害しょうがいしゃがいないのでは、とかんがえ、開発かいはつ援助えんじょしゃがわ障害しょうがいしゃはいれば、人権じんけんうったえる活動かつどうになるのではないかとかんがえてきたが、最近さいきん新聞しんぶんで、障害しょうがいしゃ当事とうじしゃ団体だんたいがアフガニスタンに車椅子くるまいすをあげたという記事きじをみました。
補聴器ほちょうきはなしつうじますが、先進せんしんこくもの途上とじょうこくっていっても、うまく機能きのうしない、こわれやすく、こわれても修理しゅうりできないという問題もんだいがあることは、あきらかだとおもいますが、にもかかわらず、日本にっぽんくるまいすをつかっている方々かたがたが、国際こくさい協力きょうりょくとして車椅子くるまいすっていくということをしていました。
そこで、援助えんじょしゃがわ障害しょうがいしゃがいればいいということではない。
でも、いなくてもダメであるという、ということにおちいってしまったのですが、そのことについて、もしなにかアドバイスとか、おかんがえをおかせいただければ。
質問しつもん:この論文ろんぶんしゅうの、4ページのたいして、今日きょうもりさんのはなしいて、開発かいはつ障害しょうがい、という問題もんだいは、貧困ひんこん障害しょうがい、という問題もんだいに、まず、ポイントとしてかんがえられるのではないか、とおもいました。
ぼくも、この問題もんだいについて、いろいろとかんがえてきたのですが、この問題もんだいかんがえる場合ばあいに、この4ページのような、貧困ひんこん障害しょうがいに、スパイラル、めぐりめぐるような状況じょうきょうからけられないようなことというのがありますよね。
それに対処たいしょする方法ほうほうとして、貧困ひんこんたいして、たとえば、ODAのようなおかね援助えんじょをする解決かいけつ方法ほうほうと、もりさんが強調きょうちょうされるような、エンパワメントを、ポイントとした方法ほうほうがある、ということが今日きょうはっきりしてきました。
そこで、質問しつもんなんですが、貧困ひんこんをポイントとしないで、エンパワメントということを中心ちゅうしんかんがえた場合ばあいたとえば、途上とじょうこく先進せんしんこくではそれをめぐる状況じょうきょうについて、どのようなちがいがあるのか。
たとえば、さきほどからいろいろ質問しつもんてきたように、途上とじょうこくでは、コミュニティーが崩壊ほうかいしていないために、障害しょうがいしゃたいして理解りかいがあるから、エンパワメントのような活動かつどうが、CBRのような活動かつどうも、すすみやすいのではないか、ともかんがえられるし、エンパワメントでもコンピューターのようなことをかんがえた場合ばあい、おかね必要ひつようだから援助えんじょ必要ひつようかとおもうし。
そのあたりのおかんがえもおかせいただければ。
質問しつもんもりさんの3ページの一番いちばん貧困ひんこんアプローチの、限界げんかい妥当だとうせい多面ためんてき貧困ひんこん、ア・イ・ウ・エ・オとありますが、これは障害しょうがいかさなる視点してんだとおもいます。
どこで貧困ひんこん障害しょうがい、のちがいがせるのか。
わたしはそのとききたられませんでしたが、すうねんまえにこの研究けんきゅうかいで、城田しろたさんが発表はっぴょうしたとき、レジュメをかぎりでは、途上とじょうこくでは障害しょうがいというじくは、貧困ひんこんじくなか埋没まいぼつしがちだ、というかんじで発表はっぴょうされたとおもっているのですが、ここでも、この貧困ひんこん定義ていぎかんがえると、そうとう障害しょうがいかさなっていると、おもえるんです。
ところが他方たほういま権利けんり条約じょうやく議論ぎろんなかで、日本にっぽん政府せいふは、明確めいかくに、権利けんりベースでの権利けんり条約じょうやくというのを支持しじする、というのを表明ひょうめいしました。
でも、日本にっぽん政府せいふ構図こうずのなかでは、貧困ひんこん障害しょうがいべつ問題もんだいなんだよ、と。
障害しょうがいのディスアビリティ、社会しゃかいてき不利ふり部分ぶぶん解決かいけつすれば、えないこと、こえないことという、インペアメントは、社会しゃかいてき不利ふり貧困ひんこんにはむすびつかない。
これはODAの義務ぎむのようなかたちでしばられたくない、という、先進せんしんこく立場たちばからの主張しゅちょうなのですが。
もりさんとしては、5ばん広義こうぎ貧困ひんこん定義ていぎと、障害しょうがい定義ていぎと、どこがちがうのか、ポイントとしてちがてんはどことおかんがえか。
もり最初さいしょ質問しつもん、NGOの援助えんじょのときに、障害しょうがいしゃがいないということですが、久野くのさんの論文ろんぶんでは、ひと注意ちゅういがあるんです。
障害しょうがい種類しゅるいはなんでもいい、ということではないんです。
障害しょうがい自分じぶんはもっているけど、あまりそれをかんがえていない、というほうはいっただけの場合ばあいには、いまわらない状況じょうきょうになります。
障害しょうがいしゃ必要ひつようということではなく、障害しょうがいをもっていてなおかつ意識いしきてきほう一緒いっしょにやっていくことが必要ひつようになるかとおもいます。障害しょうがいをもっているひと自身じしん現地げんちにいける場合ばあいは、実際じっさいなければならないとおもいます。そのほう現地げんち状況じょうきょうにやきつけて、自分じぶん経験けいけんを、また、そのでいかせない、ということにづくことが必要ひつようだとおもいます。
モデレーターという、コーディネーターやく必要ひつようです。
先進せんしんこく途上とじょうこく中立ちゅうりつひと必要ひつようだとおもいます。
一番いちばんいいのは障害しょうがいっているひと自身じしん現地げんち滞在たいざいすることが必要ひつようだとおもいます。
ねんや2ねん
先進せんしんこくひとが、現地げんちくという経験けいけんとはちが経験けいけんができるとおもいます。
ケースバイケースで、コーディネーターというものが、必要ひつようだとおもいます。
モデレーターがいる状態じょうたいが、いま障害しょうがい援助えんじょかんしては、ないです。3日間にちかん、4日間にちかん援助えんじょして帰国きこくするというのでは、えませんね。
つぎのご質問しつもん。エンパワメントの先進せんしんこく後進こうしんこく状況じょうきょうとの比較ひかくです。
むずかしいテーマですね。
エンパワメントを進行しんこうさせる場合ばあい自分じぶんだけ解決かいけつすることではありません。まわりのひととの環境かんきょう整備せいびですね。自分じぶんだけでぱしると、環境かんきょうととのいません。
先進せんしんこくにあったエンパワメントのつくかた、モデルはあります。
理解りかいやエンパワメントをひろめていくことが出来できるとおもいます。
後進こうしんこく場合ばあいまわりの環境かんきょう整備せいびされてないので、かんがかたわることは、めったにありません。
エンパワメントの予算よさん配慮はいりょもありませんし。
そのなかちかいのは、CBRというものですかね。自宅じたくまわりの人達ひとたち一緒いっしょえていくことはできます。いま実践じっせんちゅうというこたえが、一番いちばんいでしょう。

あと、貧困ひんこん問題もんだい障害しょうがいれる、ということですが、援助えんじょ関係かんけいしゃは、はなせばかってくれます。研究けんきゅうじょうでも、貧困ひんこん障害しょうがい関係かんけいある、大事だいじだとはなせば、理解りかいしてもらえます。社会しゃかい福祉ふくしなかれるより、貧困ひんこんなか障害しょうがいれたほうが、幅広はばひろくつかんでいきます。そのためいまわたし戦略せんりゃくてき貧困ひんこん障害しょうがい関連かんれんづけてはなしをし、原稿げんこうきました。それだけで充分じゅうぶんとはおもいませんが、障害しょうがいしゃ全員ぜんいん貧困ひんこんというわけではない。ろうしゃ場合ばあいは、とくに、以前いぜん、7がつにフィリピンにったとき、お金持かねもちの息子むすこがいました。
その息子むすこさんは、自分じぶんのトヨタせいくるまをもっていました。のろうしゃも、ジプニーにったり、電車でんしゃったり。毎日まいにち電車でんしゃ状況じょうきょうではないです。貧富ひんぷはかなりあります。ただ、ろうしゃ場合ばあいには、それをにせず、コミュニティーとして一緒いっしょはなしている。貧困ひんこん問題もんだいは、全部ぜんぶ解決かいけつできているとは、かならずしもえません。
金持かねもちの息子むすこ場合ばあい後進こうしんこくでは、制度せいどめんりないためれいです。
たとえば、くるま免許めんきょ取得しゅとくするとき、ろうしゃにはみとめられていない。
しかし、その金持かねもちの息子むすこ免許めんきょれたのは、賄賂わいろですね。お金持かねもちだから、賄賂わいろができ、金回かねまわりがよければ、賄賂わいろがとれる。貧富ひんぷです。それを解決かいけつしないといけない。
障害しょうがい問題もんだいは、貧困ひんこんかさなる部分ぶぶん多々たたあるとおもいます。
貧困ひんこんえて、はみでるということです。
貧困ひんこん問題もんだいは、はみる、ということがあります。いまは、援助えんじょ関係かんけいしゃは、貧困ひんこん障害しょうがい関連かんれんづけてはなしたとき、障害しょうがい興味きょうみってくれるそのはなしづいてもらえるような戦略せんりゃくを、いい戦略せんりゃくをとって、こん原稿げんこういているところです。
司会しかい今日きょうながあいだ、ホットなテーマで、「障害しょうがい開発かいはつ」で、もりさんありがとうございました。

当日とうじつ配布はいふのレジュメ 「障害しょうがい開発かいはつ

 日本にっぽん貿易ぼうえき振興しんこうかいアジア経済けいざい研究所けんきゅうじょ もり たけし

A.あたらしいテーマとしての「障害しょうがい開発かいはつ
1. 広義こうぎには「開発かいはつ途上とじょうこく障害しょうがいしゃのこと」、狭義きょうぎには「途上とじょうこく発展はってん障害しょうがいとのかかわり」
@ 開発かいはつ途上とじょうこくにも先進せんしんこく同様どうよう障害しょうがいしゃはいる…
世界中せかいじゅう、どこにでも障害しょうがいしゃはいるが、共通きょうつうする問題もんだいことなる問題もんだい区別くべつする必要ひつようせい
とく各国かっこく歴史れきし地域ちいきせい
A 開発かいはつ途上とじょうこくは、「かつての先進せんしんこく」か
先進せんしんこく障害しょうがいしゃ施策しさく運動うんどう経験けいけん応用おうようすることの限界げんかい先進せんしんこく失敗しっぱいかえさないこと(「環境かんきょう問題もんだい」や「女性じょせい問題もんだい」といった先行せんこうイシューからまなぶもの)
B いま先進せんしんこく開発かいはつ途上とじょうこくとが共存きょうぞんしている世界せかい状況じょうきょう
てるものとたざるもののあいだ関係かんけいとそのなかしょうじる政治せいじせい障害しょうがい

2. Coleridgeの"Disability, Liberation and Development"(1993)(中西なかにしやく、1999ねん
@ 開発かいはつ世界せかいではすでに過去かこのものとなった「慈善じぜん」が「障害しょうがい開発かいはつ」の分野ぶんやではまだのこっている〜「慈善じぜん」から「エンパワメント 」へ
慈善じぜん開発かいはつ過程かてい一部いちぶではないので、障害しょうがいしゃ慈善じぜんから利益りえきなかったのです。慈善じぜんは、国家こっか社会しゃかい経済けいざい発展はってん一部いちぶではありません。障害しょうがいしゃ権利けんり一般いっぱん市民しみんのようにあつかわれることをのぞんでいます。」
(Joshua Malinga)
A おおくの途上とじょうこくでは、障害しょうがい問題もんだいではあっても、優先ゆうせん事項じこうとはかんがえられていない
Ex. 「多数たすう子供こどもがいずれにしても下痢げりのような原因げんいんいちさい誕生たんじょうむかえるまえぬとき、障害しょうがい優先ゆうせん事項じこうではない。まず幼児ようじ死亡しぼうりつ低下ていかさせてから、つぎ我々われわれ障害しょうがいのような事柄ことがらについてかんがえることができる」
B 「障害しょうがい開発かいはつ」は「慈善じぜん」から「社会しゃかい福祉ふくし」の分野ぶんやれられたところで本質ほんしつてき解決かいけつにはつながらない〜There shouldn't be anything about us without us、「参加さんか」あるいは政策せいさく決定けってい過程かてい関与かんよ問題もんだい
1) 現代げんだいリハビリテーションのさん分類ぶんるい
(ア) 施設しせつがた 〜 だかコスト、隔離かくりがた社会しゃかい復帰ふっき困難こんなん限定げんていされた人数にんずう
(イ) CBR〜だつ施設しせつだつ専門せんもん家族かぞく地域ちいき社会しゃかいかかわり、分権ぶんけんてき
(ウ) 近隣きんりんセンター〜地域ちいき障害しょうがい委員いいんかいによる運営うんえいていコスト、小規模しょうきぼ
2) 政府せいふは、障害しょうがいしゃ慈善じぜん団体だんたい責任せきにん、もしくは政府せいふ責任せきにんかんがえているのか?
(ア) 「政府せいふ重要じゅうよう役割やくわりは、障害しょうがいしゃのすべてのひとのように市民しみんとして自分じぶんたちの権利けんり要求ようきゅうし、法律ほうりつじょう枠組わくぐみをつくること」(Amer Mukaram)
C 「障害しょうがいわたしたちすべてに関係かんけいする問題もんだいである。それはただ、もしくは大半たいはん場合ばあいにおいてすら貧困ひんこんむすびついているのではない」
1) ゆたかさと障害しょうがい発生はっせい年齢ねんれいちがい:開発かいはつ途上とじょうこく障害しょうがいは、生産せいさん年齢ねんれい発生はっせいすることがおお一方いっぽうで、先進せんしんこく障害しょうがい高齢こうれいしゃ世代せだい発生はっせいする傾向けいこう相対そうたいてきたか

インタビューにるいくつかの「障害しょうがい開発かいはつ」をめぐ重要じゅうよう政治せいじ経済けいざいがくてき難問なんもん(Aporia )
(ア) 障害しょうがい関連かんれん事業じぎょうは、専門せんもん省庁しょうちょうにゆだねたほうがいいのか?それともすべての省庁しょうちょうでやられるべきか?〜予算よさんかぎられている状況じょうきょうなかではどちらがこのましい選択せんたくか?あるいはどちらでもよいのか?
(イ) 開発かいはつ行政ぎょうせいが「特別とくべつなニーズ」に対応たいおうすることは、「事態じたい複雑ふくざつにする」からけられるべきか?〜「特別とくべつなニーズ」の社会しゃかい構築こうちくてき性格せいかく
(ウ) 開発かいはつ貧困ひんこんがそこの人々ひとびと開発かいはつ理解りかい限定げんていしてしまうことによる貧困ひんこん開発かいはつ撲滅ぼくめつへのステップの障害しょうがいになっているという側面そくめんは、「開発かいはつ障害しょうがい」の問題もんだいでもまぬかない
@ 障害しょうがいしゃ自身じしん全国ぜんこく組織そしき支部しぶあいだ連携れんけいよわ
A 障害しょうがいしゃ権利けんり要求ようきゅうにも補助ほじょきん必要ひつようなのにもかかわらず社会しゃかい政策せいさく決定けっていしゃあいだ存在そんざいする障害しょうがいしゃ問題もんだいへの関心かんしん
(エ) 障害しょうがいしゃ団体だんたい存在そんざいするためには要求ようきゅう相手あいてさきである政府せいふあるいは担当たんとう部局ぶきょく必要ひつようであるが、それが存在そんざいしなかったり、弱小じゃくしょうだったりする場合ばあいにはどうしたらいのか?UNRWA(国連こくれんパレスチナ難民なんみん救済きゅうさい事業じぎょう機関きかん)のような代理だいり政府せいふにどこまでできるのか?(難民なんみん障害しょうがいしゃ

3. 世界せかい援助えんじょ機関きかんのイシューになってきた「障害しょうがい開発かいはつ
@ 世界せかいぜん人口じんこうの10%は障害しょうがいしゃ(WHO)
1) 10%という数字すうじ各所かくしょ引用いんようされているが、統計とうけい不備ふび問題もんだいもあり、実態じったい不明ふめい
貧困ひんこんしゃの5にんにひとりは障害しょうがいしゃ世銀せぎん)〜Aとのかかわり
2) 8わり開発かいはつ途上とじょうこく居住きょじゅうしているという数字すうじもある
A 障害しょうがい貧困ひんこん
1) 開発かいはつ援助えんじょ機関きかんのほとんどで障害しょうがい貧困ひんこん問題もんだいのひとつとしてあつかわれている
2) 障害しょうがいひく教育きょういくしかけられないリスク⇒ひく所得しょとくレベルにまれるリスク
3) 障害しょうがいのみが貧困ひんこんリスクをたかめるわけではないが、障害しょうがい貧困ひんこんリスクを確実かくじつたかめる
B 障害しょうがいしゃ関連かんれん援助えんじょのありかたさい検討けんとう
1) 先進せんしんこくから輸入ゆにゅうされた技術ぎじゅつやシステムによるもの、リハビリテーションがた教育きょういくがた隔離かくりがた雇用こようプログラム・タイプではこうコスト⇒ひろがらない、先進せんしんこくおなじような隔離かくり問題もんだい
2) 「障害しょうがい予防よぼう」、「障害しょうがい社会しゃかいモデル・ベース」、CBRが基本きほん要素ようそ
3) セイフティ・ネットワーク の整備せいびとしての障害しょうがいしゃ施策しさく
C 障害しょうがいかん変化へんか
1) 従来じゅうらいがた障害しょうがいかん
(ア) 障害しょうがいしゃのニーズは「特別とくべつ」である⇒「周縁しゅうえん
(イ) 障害しょうがいしゃをいかにマジョリティ社会しゃかい要求ようきゅうわせるか
(ウ) 技術ぎじゅつてき医療いりょうてき解決かいけつさくもとめる方向ほうこう
2) あたらしい障害しょうがいかんとしての「社会しゃかいモデル」
(ア) 社会しゃかいそのものに障害しょうがいしゃへの接近せっきんもとめる
(イ) 障害しょうがいは、当事とうじしゃ問題もんだいというよりは、社会しゃかい当事とうじしゃとの関係かんけいせい問題もんだい
(ウ) エンパワメントをつうじての障害しょうがいしゃ社会しゃかい参加さんか促進そくしん
3) ICIDHからICFへ
(ア) ICIDH:身体しんたい機能きのう障害しょうがいによる生活せいかつ機能きのう障害しょうがい社会しゃかいてき不利ふり)を分類ぶんるい
(イ) ICF:環境かんきょう因子いんしという要因よういん、また障害しょうがいしゃ自身じしん日常にちじょう普通ふつう生活せいかつ視点してん
D 貧困ひんこんアプローチの妥当だとうせい限界げんかい
1) 多面ためんてき貧困ひんこん広義こうぎ貧困ひんこん)〜『世界せかい開発かいはつ報告ほうこく2000/2001』
(ア) 所得しょとくひくいこと
(イ) 機会きかい十分じゅうぶんでないこと
(ウ) ケイパビリティ がひくい、またはないこと
(エ) しょリスクをささえる保障ほしょう基盤きばんていレベルなこと
(オ) エンパワメントが必要ひつよう状況じょうきょう
2) 一方いっぽうで、障害しょうがいは「貧困ひんこん」のサブ項目こうもくにすらなっていない
農村のうそん都市とし貧困ひんこん保健ほけん栄養えいよう教育きょういくとう埋没まいぼつ
ベースとなる文献ぶんけん研究けんきゅう不足ふそくゆえか?

3) 開発かいはつ途上とじょうこく先進せんしんこくのそれぞれの障害しょうがい関係かんけいしゃだけの議論ぎろんいのか?
農村のうそんでのユニバーサル・デザイン?
小規模しょうきぼ組織そしき支援しえん議論ぎろんやマイクロ・ファイナンスの議論ぎろん不在ふざい
開発かいはつ専門せんもんあるいは経済けいざい開発かいはつ専門せんもん不在ふざい

B.現在げんざい関心かんしん問題もんだい
1. Twin-Track Approach(久野くの
(ア) 「開発かいはつ全体ぜんたい障害しょうがい視点してん反映はんえいすることによって開発かいはつにおける障害しょうがいしゃ)のメインストリーミング・インクルージョンをおこなうことと、障害しょうがい当事とうじしゃのエンパワメントをおこなうことのふたつのみを並行へいこうしておこなうアプローチ・枠組わくぐみ」
(イ) 「開発かいはつ」において「障害しょうがい」についてむための、具体ぐたいてきみの枠組わくぐ
@ 基礎きそてきなフレームワーク=ケイパビリティ・アプローチ(A.セン)
A 障害しょうがい分野ぶんやみの目標もくひょう
保護ほご機能きのう回復かいふくにではなく、機会きかい均等きんとうとエンパワメント、自立じりつ支援しえん
B 目標もくひょう転換てんかん方法ほうほう
1. 回復かいふくのためのリハビリテーション・アプローチから包括ほうかつてき生活せいかつ支援しえんのアプローチへ
2. 障害しょうがいしゃ他動的たどうてき受益じゅえきしゃとしてのみとらえるアプローチから参加さんかがたインクルージョン・アプローチへ
3. 分野ぶんや・セクターごとの縦割たてわりのアプローチから分析ぶんせき統合とうごうてきなアプローチへ

2. BMFや権利けんり条約じょうやくにみる南北なんぼく問題もんだい回避かいひ姿勢しせいについて
(ア) 各国かっこく福祉ふくし枠組わくぐみのなか解決かいけつ回答かいとう調整ちょうせい可能かのう範囲はんいにとどめようとする政府せいふ代表だいひょう
(イ) 障害しょうがい分野ぶんやでも援助えんじょそうとする南側みなみがわとそれを忌避きひしようとする北側きたがわ
(ウ) NGOと小国しょうこく代表だいひょうとの協調きょうちょう行動こうどうゲーム


UP:20030925
もりたけし  ◇障害しょうがいがく  ◇障害しょうがいがく研究けんきゅうかい関東かんとう部会ぶかい  ◇全文ぜんぶん掲載けいさい
TOP HOME (http://www.arsvi.com)