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北村健太郎「序」
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じょ

北村きたむら 健太郎けんたろう 2008/10/10
山本やまもと たかし北村きたむら 健太郎けんたろう へん 20081010 不和ふわに就て――医療いりょう裁判さいばん×せい同一どういつせい障害しょうがい身体しんたい×社会しゃかい
生存せいぞんがく研究けんきゅうセンター報告ほうこく3,199p. pp.69-70

last update:20100607

 だいは、だい一部いちぶ研究けんきゅうシンポジウム「せい同一どういつせい障害しょうがい×患者かんじゃ権利けんり――現代げんだい医療いりょう責任せきにんはんいき」のテーマに関連かんれんするしょ論文ろんぶん収録しゅうろくした。かく稿こう論点ろんてんは、医療いりょうほう・メディア・運動うんどうなど様々さまざまひろがっているが、複雑ふくざつからってもいる。関心かんしんのあるろん稿こうからんでいただければとおもう。以下いか、まことに簡単かんたんながら、かく稿こう紹介しょうかいをする。
 西田にしだ福武ふくたけ論文ろんぶんは、医療いりょうしゃ立場たちばから「薬害やくがいHIV訴訟そしょう和解わかいけ、HIV感染かんせん実態じったい徐々じょじょあきらかになっていく1980年代ねんだい当時とうじ臨床りんしょう現場げんばで「医療いりょうしゃがいかなる判断はんだんをしたのか」をべる。西田にしだ福武ふくたけは、医療いりょうとは「予想よそうしうる長所ちょうしょ短所たんしょ共存きょうぞんし、それらの推測すいそくされるかくりつ重要じゅうようせいわせて比較ひかく検討けんとう」しておこなわれるいとなみであるという冷厳れいげん事実じじつを、わたしたちの眼前がんぜんあらためてける。
 これをけた西田にしだ論文ろんぶんは、医療いりょうしゃ視点してんから「薬害やくがいHIV訴訟そしょう運動うんどうのジャーナリズムの「ぎ」を指摘してきする。だい一部いちぶのシンポジウムでも、医療いりょう論理ろんり提訴ていそしゃによる訴訟そしょう運動うんどう論理ろんりきびしく対立たいりつする局面きょくめんについて議論ぎろんされた。ジャーナリズムは提訴ていそしゃによる訴訟そしょう運動うんどうちからあたえ、それを後押あとおしできる。しかし、西田にしだは、当時とうじのジャーナリズムの功績こうせきみとめながらも、安易あんい図式ずしき批判ひはんする。
 北村きたむら拙稿せっこうは、「薬害やくがいCがた肝炎かんえん訴訟そしょう」の終結しゅうけつにあたって成立せいりつしたCがた肝炎かんえん特別とくべつ措置そちほう問題もんだいてん薬害やくがいCがた肝炎かんえん原告げんこくだん以外いがい様々さまざま立場たちばひとたちの意見いけん提示ていじする。拙稿せっこうでは、Cがた肝炎かんえん特別とくべつ措置そちほうをめぐる日本にっぽん肝臓かんぞうびょう患者かんじゃ団体だんたい協議きょうぎかい先天せんてんせい凝固ぎょうこ異常いじょうしょう患者かんじゃたち、21世紀せいきかい、Bがた肝炎かんえん訴訟そしょう原告げんこくだん難病なんびょう患者かんじゃたちの言動げんどう整理せいりしたうえで、Cがた肝炎かんえん特別とくべつ措置そちほうの「じゅう構造こうぞう」をあきらかにした。
 伊藤いとう論文ろんぶんは、医事いじ法学ほうがく立場たちばから診療しんりょう情報じょうほう開示かいじろんじるろし論文ろんぶんである。わたしたちは意外いがい気軽きがるに「カルテ開示かいじ」などというが、あらためて医療いりょうかんする情報じょうほう診療しんりょう情報じょうほう」をかんがえてみるととらえがたい概念がいねんである。だい一部いちぶかかわる医療いりょう裁判さいばんでも、診療しんりょう情報じょうほう開示かいじ偽証ぎしょうかかわって重要じゅうよう論点ろんてんである。伊藤いとうは、その学説がくせつ類型るいけい医師いし説明せつめい義務ぎむ関連かんれんする判例はんれいから「診療しんりょう情報じょうほう概念がいねん明確めいかくされる過程かていしめす。
 高橋たかはし論文ろんぶんは、トランスジェンダリズムの視角しかくから「せい同一どういつせい障害しょうがい医療いりょう」が「医療いりょう」として確立かくりつされる過程かてい確認かくにんし、「せい同一どういつせい障害しょうがい本人ほんにんたちの様々さまざま運動うんどうと「医療いりょう」の枠組わくぐみではとらえきれない微妙びみょう身体しんたいへのニーズをろんじる。医療いりょうしゃは「せい同一どういつせい障害しょうがい本人ほんにんたちの身体しんたい改変かいへんのニーズを「せい同一どういつせい障害しょうがい医療いりょう」としてめ、「せい同一どういつせい障害しょうがい本人ほんにんたちの運動うんどうつうじて「ガイドライン」「特例とくれいほう」が成立せいりつした。しかし、高橋たかはしは「医療いりょう行為こういだけで問題もんだい解決かいけつしないことを指摘してきし、トランスジェンダリズムのさらなる可能かのうせいひらこうとする。
 ヨシノろん稿こうは、「せい同一どういつせい障害しょうがい本人ほんにんとして「せい同一どういつせい障害しょうがい医療いりょう」をろんじ、男女だんじょ二元論にげんろんてはまらないかたへの可能かのうせいう。なにがしかの「フィットしていないという感覚かんかく」を説明せつめいするひとつの方法ほうほうとして「障害しょうがい」や「疾病しっぺい」がある。それに馴染なじんで安心あんしんできるひともいれば、そうでないひともいる。ヨシノは、自身じしんが「医療いりょう」では片付かたづかない問題もんだい意識いしきするまでの過程かていつい思惟しいする。
 いずれのろん稿こうも、医療いりょうほう・メディア・運動うんどうなどのひとつのカテゴリにおさまることのできない論点ろんてん内包ないほうしている。それぞれの立場たちばで、かく稿こうげかけるいをめ、今後こんごつづ議論ぎろん参加さんかしてくれることを希望きぼうする。


作成さくせい北村きたむら 健太郎けんたろう
UP: 200810015 REV: 20100607
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