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飢餓人口削減に向けた活動における組織の連携のあり方
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横浜市立大学よこはましりつだいがく国際こくさい総合科学部そうごうかがくぶ国際こくさい総合そうごう科学かがく政策せいさく経営けいえいコース卒業そつぎょう論文ろんぶん

飢餓きが人口じんこう削減さくげんけた活動かつどうにおける組織そしき連携れんけいのありかた
―ケニアの事例じれい横浜よこはま国際こくさいフェスタの事例じれいからかんがえる―


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last update: 20170824


田坂たさか 

※ MSワードのファイルはこちらからダウンロードできます。ワード・ファイル「飢餓きが人口じんこう削減さくげんけた活動かつどうにおける組織そしき連携れんけいのありかた

目次もくじ

序論じょろん テーマ設定せっていにあたり

本論ほんろん

しょう 横浜よこはま国際こくさいフェスタにおける組織そしき連携れんけい
1. 横浜よこはま国際こくさいフェスタ概要がいよう
2. 沿革えんかく
3. 連携れんけい概観がいかん
4. かく組織そしき目的もくてきとその評価ひょうか
(1)主催しゅさい組織そしき
(2)出展しゅってん団体だんたい
(3)企画きかく協力きょうりょく団体だんたい
5. 連携れんけい分析ぶんせき、その課題かだい、ありかた

しょう ケニアの事例じれい
1. ケニア概要がいよう
(1)社会しゃかい全般ぜんぱん
(2)経済けいざい
(3)ケニアの経済けいざい農業のうぎょうかんする背景はいけい部族ぶぞく土地とち政治せいじ
2. 農業のうぎょう生産せいさんかかわる問題もんだい
3. ケニア農業のうぎょう政策せいさく関係かんけいせい
4. 農村のうそん開発かいはつかかわる活動かつどうおこな組織そしき

しょう ふたつの事例じれいむすびつける
1. 農村のうそん開発かいはつけた連携れんけいのありかた
2. 連携れんけいけた世界せかいうご

結論けつろん

参考さんこう資料しりょう文献ぶんけん情報じょうほう提供ていきょうもと一覧いちらん

序論じょろん テーマ設定せっていにあたり

FAOによると、2010ねん10がつ現在げんざい世界せかい飢餓きが人口じんこうやく9おく2500まんにんである。これは、世界せかい人口じんこうやく14.5%にたり、やく7にん1人ひとり慢性まんせいてき飢餓きが状態じょうたいにあるということになる。飢餓きが人口じんこうは2009ねんにピークにたっし、10おく2000まんにん記録きろくした。これは2007ねん、2008ねん発生はっせいした食料しょくりょう価格かかく高騰こうとうひとつのおおきな要因よういんであるとかんがえられる。2010ねんはいり、飢餓きが人口じんこう推移すいいはピークをぎたとうことができるが、それでもなお高水準こうすいじゅんでの推移すいいつづいており、2000ねん採択さいたくされ、2015ねん達成たっせい期限きげんとしたミレニアム開発かいはつ目標もくひょう(1)だいいちかかげられた、「2015ねんまでの飢餓きが人口じんこう半減はんげん(2)は、達成たっせい悲観ひかんされている。わたしはそうした現実げんじつがいちはや改善かいぜんされるべきとかんがえ、本稿ほんこうでは、飢餓きが人口じんこう削減さくげんのための方法ほうほうかんがえることを最終さいしゅうてき目標もくひょうとする。

飢餓きが人口じんこう集中しゅうちゅうしている地域ちいきはアジア、アフリカであり、世界せかい栄養えいよう不足ふそく人口じんこうの3ぶんの2はバングラデシュ、中国ちゅうごく、コンゴ、エチオピア、インド、インドネシア、パキスタンの7カ国かこく集中しゅうちゅうしているという。また、もっとも栄養えいよう不足ふそく人口じんこうおおいのはアジア・太平洋たいへいよう地域ちいきで5おく7800まんにんである。割合わりあいではアフリカのサブ=サハラ地域ちいきもっとおお人口じんこうの30%にたっし、2おく3900まんにんとしている。

その地域ちいきにより政治せいじ経済けいざい状況じょうきょう地理ちりてき条件じょうけん気候きこうなどの背景はいけいことなることから、飢餓きが程度ていどやその要因よういんことなる。そこで本稿ほんこうでは、対象たいしょうもっと飢餓きが深刻しんこくであるサブ=サハラ地域ちいき位置いちするケニアにしぼり、ケニアの飢餓きが人口じんこう削減さくげんするための方法ほうほうさぐることにする。 ケニアはサブ=サハラ地域ちいき位置いちするくにで、首都しゅとはナイロビである。ナイロビはアフリカ有数ゆうすう都市としであり、ひと、モノのながれの中心ちゅうしんとなっている。ひがしアフリカ、あるいはひろくサハラ以南いなんのアフリカ(サブサハラ)の中心ちゅうしんてき都市としとして、おおくの国際こくさい機関きかん本部ほんぶあるいはアフリカの代表だいひょうなどをく。2010ねん、アメリカの外交がいこう専門せんもんフォーリンポリシーにより、ビジネス活動かつどう人的じんてき資源しげん情報じょうほうりょう文化ぶんか政治せいじの5項目こうもくから評価ひょうかされた結果けっか世界せかいだい56のグローバル都市としえらばれており、サブサハラではヨハネスブルグにだい2である。そのような評価ひょうかているナイロビであるが、その大都市だいとしにはキベラという世界せかい最大さいだいきゅうのスラムが存在そんざいし、やく60〜120まんにん生活せいかつしている。また、2007ねん現在げんざい飢餓きが人口じんこう比率ひりつは30%前後ぜんこう推移すいいしており、サブ=サハラアフリカの平均へいきんどうレベル、あるいは上回うわまわっているという事実じじつがある。このギャップはどこに原因げんいんがあるのか疑問ぎもんち、本稿ほんこうではケニアを事例じれいげることとした。

わたし大学だいがく年間ねんかんにおいて、インターンシップやボランティアとうでの活動かつどうつうじて、国連こくれん各国かっこく政府せいふ企業きぎょう、NGOとう様々さまざま組織そしき途上とじょうこく経済けいざい発展はってんや、持続じぞく可能かのう開発かいはつ目指めざ活動かつどうおこなっていることを度々たびたび実感じっかんした。様々さまざま組織そしき類似るいじした目的もくてき問題もんだい意識いしきって活動かつどうをしているのであれば、そうした組織そしき連携れんけいすることで、たがいの活動かつどう長所ちょうしょたかめあったり、欠点けってん補填ほてんしあったりすることでよりよい成果せいかることができるのではないだろうか。飢餓きが人口じんこう削減さくげんけた活動かつどう同様どうように、様々さまざま組織そしき連携れんけいすることでより効果こうか発揮はっきできるのではないだろうか。ぎゃくに、連携れんけいすることでたがいの長所ちょうしょしあう結果けっかになるかもしれない。そのような結果けっかにならないためにはどのような連携れんけいをすべきなのか。そうかんがえたことが、「組織そしき連携れんけいのありかた」をかんがえることを本稿ほんこうのテーマとした理由りゆうである。

毎年まいとしあきに、国際こくさい協力きょうりょく国際こくさい交流こうりゅう在住ざいじゅう外国がいこくじん支援しえん環境かんきょう保全ほぜんかんする活動かつどうおこなっているNGO・NPO、国際こくさい機関きかん行政ぎょうせい機関きかん学校がっこう企業きぎょうとう一同いちどうかいし、それぞれの活動かつどうひろ市民しみん紹介しょうかいするとともに、出展しゅってん団体だんたい同士どうし連携れんけい・ネットワークをはかることを目的もくてきに「横浜よこはま国際こくさいフェスタ」というイベントが開催かいさいされている。わたしはそのイベントの運営うんえいにボランティアスタッフとして5年間ねんかんたずさわってきた。このイベントでは出展しゅってん団体だんたい同士どうし連携れんけい・ネットワークをはかることを目的もくてきにしているほか、イベントの運営うんえい自体じたいにおいて、NGO、行政ぎょうせい連携れんけいっている。

ケニアの事例じれいのみを本稿ほんこうのテーマにかんがえていたが、もっと自分じぶん身近みぢかなところに"連携れんけい"の事例じれい存在そんざいすることにづいた。それが横浜よこはま国際こくさいフェスタの事例じれいだった。そこで、横浜よこはま国際こくさいフェスタの事例じれい本稿ほんこう分析ぶんせきすることで、ひとつのプロジェクトを策定さくてい実行じっこうしていくさい複数ふくすう組織そしきがどのように連携れんけいしているのか、連携れんけいすべきなのかを考察こうさつこととする。そして、ケニアの飢餓きが人口じんこう削減さくげんけた活動かつどうをマクロでのうごきとしてとらえることで単純たんじゅんし、横浜よこはま国際こくさいフェスタの事例じれい投影とうえいしてそのありかたかんがえる。それぞれの事例じれいにおいて、どのような組織そしきがどのような目的もくてきってプロジェクトにかかわっているのかをあきらかにする。

だいしょうでは横浜よこはま国際こくさいフェスタについて、概要がいよう沿革えんかく網羅もうらし、運営うんえい状態じょうたい変化へんかについて把握はあくする。NGO、国際こくさい機関きかん行政ぎょうせい機関きかん企業きぎょうとうがどのような活動かつどう目的もくてきっているか、このフェスタについてどのような評価ひょうかをしているのかを把握はあくし、どのようにしてフェスタをつくげているのかをあきらかにする。そして、連携れんけいのありかたについてかんがえることとする。

だいしょうでは、ケニアの飢餓きが人口じんこう削減さくげんけた活動かつどう事例じれいとする。まずケニアの概要がいよう経済けいざい状況じょうきょう農業のうぎょう生産せいさんかかわる現状げんじょう歴史れきしてき背景はいけいなど、現在げんざいのケニアの食糧しょくりょう事情じじょうにまつわる情報じょうほう把握はあくする。そしてそのような状況じょうきょうなかでどのような組織そしきがどのような活動かつどうをしているのかを把握はあくし、それらの活動かつどうにどのような長所ちょうしょ短所たんしょがあるのかをしめす。

だいしょうでは、いままでの横浜よこはま国際こくさいフェスタとケニアの事例じれい比較ひかくし、ケニアの飢餓きが人口じんこう削減さくげんのためにどのような活動かつどうおこなっていくべきかを考察こうさつする。それぞれの組織そしき連携れんけいをとるべきなのか、とるべきであるとするならばどのようにとっていくべきなのか、考察こうさつおこない、最終さいしゅうてき提案ていあんおこなうことを本稿ほんこう最終さいしゅう目標もくひょうとする。

本論ほんろん

しょう 横浜よこはま国際こくさいフェスタにおける組織そしき連携れんけい

1.横浜よこはま国際こくさいフェスタ概要がいよう

横浜よこはま国際こくさいフェスタは、横浜よこはまおよび周辺しゅうへん地域ちいき活動かつどう拠点きょてんいている、国際こくさい協力きょうりょく国際こくさい交流こうりゅう在住ざいじゅう外国がいこくじん支援しえんむNGO/NPO、行政ぎょうせい機関きかん国際こくさい機関きかん学校がっこう企業きぎょうとう活動かつどう市民しみん紹介しょうかいすることと、出展しゅってん団体だんたい同士どうし連携れんけい・ネットワークをはかることをおおきな目的もくてきとして、としに1かい、2日間にちかん開催かいさいされているイベントである。名称めいしょうには変化へんかがあるが、その母体ぼたいである「横浜よこはま国際こくさい協力きょうりょくNGOさい」が1997ねん開催かいさいされてから14かい開催かいさいされている。沿革えんかくについては次項じこうくわしくていくこととする。主催しゅさい組織そしき規模きぼについても、その開催かいさいねんによって変化へんかがある。

イベント企画きかく中心ちゅうしん横浜よこはま市内しないおよびその周辺しゅうへん地域ちいき活動かつどう拠点きょてんいているNGO/NPO、行政ぎょうせい機関きかん国際こくさい機関きかん学校がっこう企業きぎょう出展しゅってんブースであり、かく団体だんたい来場らいじょうしゃたい活動かつどう直接ちょくせつPRするである。その、セミナーやワークショップの開催かいさいや、民族みんぞく楽器がっき演奏えんそう民族みんぞく舞踊ぶよう披露ひろうされるステージ企画きかく、フェアトレード商品しょうひん世界せかい料理りょうり販売はんばいなど、老若男女ろうにゃくなんにょ幅広はばひろ関心かんしん対応たいおうできるような様々さまざま企画きかくおこなわれ、来場らいじょうしゃ国際こくさい協力きょうりょく国際こくさい交流こうりゅうへの関心かんしんふかめることを目指めざしている。

2.沿革えんかく

1997ねんに「横浜よこはま国際こくさい協力きょうりょくNGOさい」が開催かいさいされてから今年ことしまでのあいだに、毎年まいとしけい14かいイベント開催かいさいされている。その名称めいしょう主催しゅさい組織そしき開催かいさい場所ばしょ変化へんかするととも変化へんかしているものの、その母体ぼたいおなじものとして変化へんかつづけている。このイベントはおおきくけてよっつの時期じきけられる。

だいいちは、1997ねんに「横浜よこはま国際こくさい協力きょうりょくNGOさい」として、このイベントの母体ぼたいができた時期じきである。イベント開催かいさいは、横浜よこはま国際こくさい交流こうりゅう協会きょうかい(YOKE)(3)活動かつどう一環いっかんとして、「NGOネットワーク事業じぎょう」という事業じぎょうげられ、地域ちいき(横浜よこはま市内しない)の国際こくさい協力きょうりょく団体だんたいのネットワークはかることで、それらの団体だんたい育成いくせいはかられたことがきっかけではじまった。そうした事業じぎょう一環いっかんとして開催かいさいされたのが、「横浜よこはま国際こくさい協力きょうりょくNGOさい」である。そのため、横浜よこはま国際こくさい交流こうりゅう協会きょうかい(以下いかYOKE)単独たんどくでの主催しゅさいとなっており、規模きぼちいさいものであった。また、そのとしは、アジア太平洋たいへいよう地域ちいき都市とし・NGOが協力きょうりょくして活気かっきあふれる都市とし環境かんきょうづくりを推進すいしんすることを目指めざしているアジア太平洋たいへいよう都市としあいだ協力きょうりょくネットワーク(CITYNET)の総会そうかい開催かいさいされることもあり、イベント開催かいさいへのうごきがよりたかまった。横浜よこはま国際こくさい協力きょうりょくNGOさいほかにも、CITYNET総会そうかい関連かんれんしたシンポジウムとうイベントが開催かいさいされ、横浜よこはま国際こくさい協力きょうりょくけいNGOが本格ほんかくてき前面ぜんめん活動かつどうをしはじめたとしであるということができる。

イベントの継続けいぞく開催かいさいにあたり、1998ねんに「横浜よこはま国際こくさい協力きょうりょくまつり」と名称めいしょうわり、主催しゅさい組織そしき形態けいたい変化へんかしたのがだいであり、2004ねんまでつづく。イベント会場かいじょうもクイーンズスクエアから、当時とうじYOKEが事務所じむしょかまえていた産業さんぎょう貿易ぼうえきホールへとうつし、イベント自体じたい規模きぼも2001ねんには来場らいじょうしゃが1まんにんえるなど、拡大かくだいをしていった時期じきである。

だいさんは、「横浜よこはま国際こくさいフェスタ」とし、会場かいじょうパシフィコ横浜ぱしふぃこよこはまうつし、規模きぼいちじるしく拡大かくだいした時期じきである。主催しゅさい組織そしき規模きぼ拡大かくだいし、イベントを運営うんえいする組織そしき複雑ふくざつられる時期じきである。また、イベントとの併催へいさいにより、併催へいさいイベントとの連携れんけいられる時期じきである。2002ねんから2009ねんにかけての時期じきである。 だいよんは、「よこはま国際こくさいフェスタ」とし、2010ねんはじまった。イベントの規模きぼ自体じたいおおきくわらないものの、主催しゅさい組織そしきひとつのイベントをえた枠組わくぐみとしてさい編成へんせいされ、より継続けいぞくてき活動かつどうになうようになった。会場かいじょうぞうはなパークへとうつし、ひとつの独立どくりつしたイベントとして体制たいせいととのってくる時期じき幕開まくあけととらえることができる。また、だいさんでは併催へいさいというかたちイベントとの連携れんけいられたが、今期こんき単独たんどくでの開催かいさいとなった。来場らいじょうしゃは5まん4000にんで、単独たんどくでの開催かいさいではいままででもっとおお来場らいじょうしゃすう記録きろくした。

イベント沿革えんかく

年号ねんごう

名称めいしょう

主催しゅさい

事務じむきょく

来場らいじょうしゃすう

団体だんたいすう

ボランティア

会場かいじょう

1997

横浜よこはま国際こくさい協力きょうりょくNGOさい

YOKE

YOKE

 

37団体だんたい

YOKE

クイーンズ

スクエア

1998

横浜よこはま国際こくさい協力きょうりょく

まつり

YOKE

まつり実行じっこう委員いいんかい

YOKE

 

 

YOKE

産業さんぎょう貿易ぼうえき

ホール

1999

YOKE

 

 

YOKE

2000

YOKE

10,000にんちょう

 

YOKE

2001

YOKE

11,000にん

 

YOKE

2002

YOKE

 

112団体だんたい

YOKE

2003

YOKE

 

 

YOKE

2004

YOKE

 

 

YOKE

2005

横浜よこはま国際こくさい

フェスタ

フェスタ

組織そしき委員いいんかい

YOKE

25,000にん

238団体だんたい

フェスタネット

パシフィコ

横浜よこはま

2006

全体ぜんたいYOKE

NGO:YNN

65,000にん

254団体だんたい

フェスタネット

2007

全体ぜんたいYOKE

NGO:YNN

73,000にん

260団体だんたい

YNN

2008

全体ぜんたいYOKE

NGO:YNN

63,000にん

267団体だんたい

YNN

2009

全体ぜんたいYOKE

NGO:YNN

66,000にん

279団体だんたい

e-vo

2010

よこはま国際こくさい

フェスタ

Yokohama C Plat

運営うんえい委員いいんかい

YNN

54,000にん

106団体だんたい

e-vo

ぞうはな

パーク

横浜よこはまNGO連絡れんらくかい提供ていきょう情報じょうほうより作成さくせい

3.連携れんけい概観がいかん

それぞれのよっ時期じきにどのような連携れんけいなかでイベントが開催かいさいされていたのか、主催しゅさい組織そしき体制たいせい変化へんかなどを中心ちゅうしんていくこととする。

だいいちである「横浜よこはま国際こくさい協力きょうりょくNGOさい」は、当時とうじ横浜よこはま行政ぎょうせいなか国際こくさい協力きょうりょく団体だんたいのネットワークはかろうといううごきがこったことから開催かいさいされた。その国際こくさい協力きょうりょく団体だんたいのネットワーク推進すいしん役割やくわりになっていたのがYOKEであり、その関係かんけいからYOKEが主催しゅさいというかたちでの開催かいさいであった。YOKE単独たんどくでの主催しゅさいは1997ねんのみである。そこに、市内しない活動かつどうしているNGOが出展しゅってんするというかたちでイベントにかかわっていた。NGOがこの規模きぼ一同いちどうかいするのは横浜よこはま市内しないでははじめての出来事できごとであった。また、市民しみんがボランティアとしてイベント開催かいさいたずさわった。市民しみんボランティアのれは現在げんざいまで継続けいぞくしていることであり、その管理かんり時期じきごとに変化へんかした。だいいちでは、NGO/NPOの活動かつどう促進そくしんしようとするうごきが行政ぎょうせいなかであり、そのうごきにたいしてNGO/NPOがすこしずつ活動かつどうはばひろげていった。行政ぎょうせい国際こくさい協力きょうりょく団体だんたい活動かつどう評価ひょうかはじめた時期じきであるというところが、この時期じき注目ちゅうもくすべきてんである。

「横浜国際協力NGO祭」におけるアクター相互の関係

だいである、「よこはま国際こくさい協力きょうりょくまつり」は、YOKEでの単独たんどく開催かいさいではなく、「まつり実行じっこう委員いいんかい」というかたち実行じっこう委員いいんかい組織そしきされ、実行じっこう委員いいんかいとYOKEの共催きょうさいとして開催かいさいされた。委員いいんかい前年ぜんねんにイベントにかかわったNGOなどのスタッフが団体だんたいから派遣はけんされるかたち構成こうせいされた。このイベントの特徴とくちょうは、YOKEとNGOスタッフの共催きょうさいというかたちをとっていたが、実質じっしつてき実行じっこうりょくはYOKEにあるというてんであった。たとえば、全体ぜんたい事務じむきょくはYOKEがすべになっており、市民しみんボランティアスタッフのれ、管理かんりもYOKEがになっていた。それは、前年ぜんねんのYOKE単独たんどく開催かいさい比較ひかくし、主催しゅさい組織そしきなかにNGOのメンバーがくわわったのはおおきな変化へんかではあったが、当時とうじのNGOには現在げんざいくら社会しゃかいたいする影響えいきょうりょくがまだまだよわく、行政ぎょうせいちからがイベント開催かいさいおおきなちからっていたということである。この「まつり実行じっこう委員いいんかい」による開催かいさいが2004ねんまでつづくが、そのあいだ実行じっこう委員いいんかい体制たいせい変化へんかつづけた。

そのなかでのおおきな変化へんかとして、2001ねんに、営利えいり法人ほうじんである(とくかつ横浜よこはまNGO連絡れんらくかい(YNN)が結成けっせいされたてんである。横浜よこはまNGO連絡れんらくかい以下いかYNN)の活動かつどう目的もくてきは、これまでのイベントなどをとおして交流こうりゅうのあった横浜よこはま神奈川かながわ県内けんない国際こくさい協力きょうりょく国際こくさい交流こうりゅう在住ざいじゅう外国がいこくじん支援しえんかんする活動かつどうおこなっているNGOのネットワーク推進すいしん、その調整ちょうせいおこなうことである。YNNはその現在げんざいいたるまでこのイベント運営うんえい中心ちゅうしん活動かつどうをしている。また、イベントの運営うんえいだけでなく、NGOをげたいひと、スタッフとしてNGOに所属しょぞくしたいひと、NGOの活動かつどうかんする相談そうだんや、フォーラムなどの開催かいさいによりNGO/NPOの情報じょうほう交換こうかん提供ていきょうなどをおこなうことで、NGO/NPO活動かつどう促進そくしんや、ネットワーク促進そくしん寄与きよしている。

もうひとつのおおきな変化へんかとして、2003ねんから実行じっこう委員いいんかいなかに、前年ぜんねんまでイベントに参加さんかしていた市民しみんボランティアがくわわるようになった。これにより、YOKEをはじめとする行政ぎょうせい、YNNなどのNGO、くわえて市民しみんボランティアの連携れんけいがイベントの開催かいさいささえる体制たいせい構築こうちくされた。「横浜よこはま国際こくさい協力きょうりょくまつり」は、「横浜よこはま国際こくさい協力きょうりょくNGOさいのYOKEの単独たんどくでの開催かいさいから、NGOスタッフや市民しみんボランティアが運営うんえいくわわり、さらにその連携れんけいなかでNGOのネットワーク目指めざした横浜よこはまNGO連絡れんらくかい以下いかYNN)が誕生たんじょうするなど、組織そしき複雑ふくざつすすんだ期間きかんであると位置いちづけることができる。ここで特筆とくひつすべきてんは、YNNの誕生たんじょうにより、国際こくさい協力きょうりょく団体だんたいのネットワーク推進すいしんを、そのきっかけをつくった行政ぎょうせいになつづけるのではなく、NGOがみずからその役割やくわりたすようになったということである。このことは、NGO活動かつどう行政ぎょうせいからの自立じりつはじめ、社会しゃかいなかでの活動かつどう自分じぶんたちひらけるようになってきたことを意味いみする。また、行政ぎょうせいとNGOの活動かつどうなか市民しみん主体しゅたいてき参加さんかをするようになったこともおおきな変化へんかである。

「よこはま国際協力まつり」におけるアクター相互の関係

2005ねんになってからの5年間ねんかんは、「横浜よこはま国際こくさいフェスタ」とあらため、主催しゅさいも「横浜よこはま国際こくさいフェスタ組織そしき委員いいんかい」となり体制たいせい変化へんかした。「まつり実行じっこう委員いいんかい」はYOKEとかくNGOのスタッフ、市民しみんボランティアと個人こじん単位たんいでの所属しょぞくとなっていたが、組織そしき委員いいんかいへと変化へんかしたのちは、フェスタ開催かいさいかかわる組織そしき委員いいんかいへの所属しょぞくをするようになり、委員いいんかい自体じたい規模きぼ拡大かくだいした。ここでの注目ちゅうもくすべきてんは、いままでの行政ぎょうせいとNGO、市民しみんとの連携れんけいに、JICA横浜よこはまをはじめとするくに行政ぎょうせい民間みんかん企業きぎょうであるパシフィコ横浜ぱしふぃこよこはまくわわり、さらにその連携れんけい複雑ふくざつしたことである。また、これまでYOKEがイベント開催かいさいたり事務じむきょくになってきたが、2006ねんより、NGO/NPO担当たんとう事務じむきょくをYNNがになうようになったのもおおきな変化へんかひとつである。もう1てん市民しみんボランティアの管理かんりにもこの時期じき変化へんかられる。1997ねんからつづけてきた市民しみんボランティアスタッフのれはYOKEが管理かんりしてきたが、このとしに「フェスタネット」という名称めいしょうで、イベントのためのボランティア組織そしき誕生たんじょうし、実行じっこう委員いいんかいにも所属しょぞくした。フェスタネットはNGOメンバーと市民しみんボランティアで構成こうせいされており、いままでYOKEがになっていた、市民しみんボランティアスタッフのれや管理かんりぎ、ほかにもイベントないでの企画きかく提案ていあんやその運営うんえいになった。しかしそのフェスタネットは活動かつどう縮小しゅくしょうさせ、2007ねんには事実じじつじょう解散かいさん、2008ねんには実行じっこう委員いいんかいから脱退だったいをした。その市民しみんボランティアスタッフのれ、管理かんりなどはいちにYNNがいだ。そして、2009ねんに、「横浜よこはま国際こくさいフェスタ(2005ねん〜2009ねんにおける名称めいしょう)」のイベントを中心ちゅうしん活動かつどうおこなうボランティアの組織そしき、「e-vo」が誕生たんじょうした。フェスタネットとe-voの誕生たんじょうは、あらたな組織そしきとしてボランティアれの枠組わくぐみができたことで、ボランティアの活動かつどうがよりイベントない独立どくりつしたものとなり、その活動かつどうはイベント開催かいさい手伝てつだいといったものではなく、イベント開催かいさい積極せっきょくてきかかわっていくような体制たいせいへと変化へんかをしていった。

「横浜国際フェスタ」におけるアクター相互の関係

「よこはま国際こくさいフェスタ2010」の開催かいさいによりまくけただいよんでは、主催しゅさい組織そしきが「よこはま国際こくさい協力きょうりょく国際こくさい交流こうりゅうプラットフォーム(Yokohama C plat)運営うんえい委員いいんかい以下いかCプラット)」となり、ふたた変化へんかられる。横浜よこはま国際こくさいフェスタ組織そしき委員いいんかいとCプラットのおおきなちがいは、組織そしき委員いいんかいとしに2にちおこなわれるイベントの運営うんえいのために活動かつどうおこなってきたが、Cプラットは、イベントの運営うんえい活動かつどう中心ちゅうしんとはするものの、セミナー企画きかくをイベントからはなしてべつ機会きかい開催かいさいすることや、国際こくさい協力きょうりょく国際こくさい交流こうりゅうけい団体だんたいのポータルサイトの運営うんえい市民しみんボランティアの活動かつどう促進そくしんのためのセミナーの実施じっしなど、活動かつどうはばひろげ、年間ねんかんつうじた継続けいぞくてき活動かつどうおこなうようになったところにある。また、いままでYOKEがその役割やくわりになってきた事務じむきょくを、YNNがになうようになったこともおおきく変化へんかしたてんとしてげることができる。継続けいぞくてき活動かつどうおこなうことで組織そしきとしての安定あんていせいすとともに、YNNが事務じむきょくになうようになることにより、行政ぎょうせいによる開催かいさいから、NGOによるイベント運営うんえいへと変化へんかしてきたのが今年ことしからの特徴とくちょうである。また、いままで予算よさんからだい部分ぶぶん捻出ひねりだされていたが、今年ことしからはイベント開催かいさいのために組織そしきから独立どくりつしたかたち助成じょせいきん交付こうふけ、開催かいさいったことである。名実めいじつども行政ぎょうせいからの独立どくりつすすめたということができる。もうひとつの変化へんかは、前述ぜんじゅつとおり、だいさん併催へいさいというかたちイベントとの連携れんけいがみられたが、今年ことしはそういった連携れんけいではなく、イベントない企画きかくなかで、地元じもと企業きぎょう市民しみん活動かつどう団体だんたいとの連携れんけいられた。

「よこはま国際フェスタ2010」におけるアクター相互の関係

ここまでのところで、かく時期じきにおいてどのような連携れんけい変化へんかられたかということに着目ちゃくもくしたが、ここでわかることは、としかさねるにれ、ひとつのイベントを母体ぼたい組織そしきあいだ関係かんけいせいわるということ、また、NGOが行政ぎょうせいから独立どくりつをし、自分じぶんたち活動かつどうはばひろげているという事例じれいとしてげることができる。

4.かく組織そしき目的もくてきとその評価ひょうか

イベント開催かいさいたずさわっているしょ団体だんたいのイベント開催かいさい参加さんか目的もくてきやその評価ひょうか把握はあくし、連携れんけい関係かんけいがそれぞれの団体だんたいあいだでどのようにっているのかの考察こうさつおこなう。

(1)主催しゅさい組織そしき

主催しゅさい組織そしき目的もくてきはイベントの開催かいさいかぎるが、そのイベント開催かいさい目的もくてきにも変化へんかがある。

上記じょうきとおり、当初とうしょ横浜よこはま市内しない活動かつどうおこなっている国際こくさい協力きょうりょく団体だんたいのネットワークはかることが目的もくてきでこのイベントが企画きかくされた。ネットワークがすすむことで、団体だんたいあいだでの情報じょうほう交換こうかん協力きょうりょく関係かんけい強化きょうかすすみ、たがいの団体だんたい育成いくせいむすびつき、そうした団体だんたい活動かつどう活発かっぱつされることでより世界せかいひらかれたまちづくりへとつながっていくとかんがえられたからである。その目的もくてきはイベントのなかである程度ていど団体だんたいどおしのつながりができていくなか変化へんかした。YNNがつくられたのがそのあかしであるとかんがえている。いままでネットワーク推進すいしんはかるものであったが、現在げんざいではさらにそのネットワークがよりよく機能きのうすることがYNNの活動かつどう目的もくてき重要じゅうよう部分ぶぶんめるようになったからである。

イベント自体じたい現在げんざい目的もくてきは、横浜よこはまおよび周辺しゅうへん地域ちいき活動かつどう拠点きょてんいている、国際こくさい協力きょうりょく国際こくさい交流こうりゅう在住ざいじゅう外国がいこくじん支援しえんむNGO/NPO、行政ぎょうせい機関きかん国際こくさい機関きかん学校がっこう企業きぎょうとう活動かつどう市民しみん紹介しょうかいすることである。NGOなどの国際こくさい協力きょうりょくおこながわ体制たいせいととのえるという目的もくてきから、そういった団体だんたい一般いっぱん市民しみんげかけるような目的もくてきへと進化しんかをしている。これは、国際こくさい協力きょうりょくおこながわ体制たいせいがある程度ていどととのってきて、つぎ段階だんかいへとすすんだことを意味いみする。いままで内部ないぶでのやりとりに重点じゅうてんかれていたものが、外部がいぶへの発信はっしんへと変化へんかしたことで、イベント開催かいさい意義いぎが、社会しゃかいなかでよりおおきなものへと進化しんかしたということができる。また、主催しゅさい組織そしき構成こうせいしているそれぞれの団体だんたい存在そんざい活動かつどうをよりおおくの市民しみんってもらうことで、市民しみん国際こくさい協力きょうりょく国際こくさい交流こうりゅうへの興味きょうみさせるとともに、問題もんだい提起ていきおこなうことで、より国際こくさいてき活動かつどう活発かっぱつすることもおおきな目的もくてきひとつとしている。

主催しゅさい組織そしきはイベント開催かいさい評価ひょうかをいくつかの方法ほうほうおこなっている。ひとつは、アンケート調査ちょうさである。来場らいじょうしゃたいするアンケートで、イベントの企画きかく自体じたい直接的ちょくせつてき評価ひょうかる。また、出展しゅってん団体だんたい市民しみんボランティアへのアンケートを実施じっしすることで、イベント運営うんえいかんする評価ひょうかる。もうひとつ、来場らいじょうしゃすうのカウントをおこない、どれだけおおくの市民しみん国際こくさい協力きょうりょくについての活動かつどうひろめられているかということの指標しひょうとしている。また、収支しゅうし経済けいざいてきめんでの評価ひょうかおこなっている。重要じゅうようしているのは来場らいじょうしゃへのアンケートと出展しゅってん団体だんたいへのアンケートであり、イベント開催かいさいへのニーズをここから把握はあくし、次回じかいへの課題かだいとして毎年まいとしイベントを進化しんかさせてきた。

(2)出展しゅってん団体だんたい

いくつかの出展しゅってん団体だんたいへのヒアリングをおこない、イベント参加さんか活動かつどうにどう影響えいきょうをしているのかの把握はあくをする。

以上いじょうのことから、出展しゅってん団体だんたいにはおおきくふたつの目的もくてきがあり、このイベントへ出展しゅってんしている。そのひと活動かつどう資金しきん会員かいいんることである。かく団体だんたい活動かつどう直接ちょくせつむすびつくてんであり、げとして成果せいかえるかたちあらわれる。出展しゅってんりょう支払しはらってイベントに出展しゅってんをしているため、現地げんちでの活動かつどうささえるためには、その出展しゅってんりょう以上いじょうげが必要ひつようになる。そのためには、かく団体だんたいがそれぞれで販売はんばい活動かつどう促進そくしんさせる必要ひつようがある。ふたは、活動かつどう現状げんじょうなどの情報じょうほう提供ていきょうや、団体だんたい活動かつどうPRをおこなうことである。興味きょうみし、直接ちょくせつ活動かつどうくわわるメンバーの確保かくほおおきな目的もくてきひとつであるが、同時どうじに、市民しみん問題もんだい意識いしき向上こうじょう目的もくてきとし、そこから世界中せかいじゅう存在そんざいする課題かだい問題もんだい改善かいぜん方向ほうこうへとみちびくことも目的もくてきひとつである。イベントの主催しゅさい組織そしきにとって、出展しゅってん団体だんたい活動かつどう促進そくしんがイベント開催かいさいおおきな目的もくてきであり、おおくの団体だんたい出展しゅってんすることで様々さまざまくに分野ぶんやかんする情報じょうほうあつまり、イベントの魅力みりょくすため、団体だんたい出展しゅってんし、活動かつどうをよりおおくの市民しみんにPRできるつくることが重要じゅうようである。そこで、出展しゅってん団体だんたい活動かつどうにイベント出展しゅってん負担ふたんになるようなことがないように、それぞれの活動かつどう十分じゅうぶんくだりなえるようにげがるような工夫くふう必要ひつようになってくる。

「よこはま国際フェスタ2010」出展者と主催団体

(3)企画きかく協力きょうりょく団体だんたい(2010ねん

前述ぜんじゅつとおり、よこはま国際こくさいフェスタ2010では行政ぎょうせい企業きぎょうなど様々さまざま組織そしき出展しゅってんとはちが部分ぶぶんでの企画きかくたい協力きょうりょくおこない、イベントを形成けいせいしていた。それらの団体だんたいとイベントの関係かんけいせい把握はあくし、イベントと外部がいぶとの連携れんけいについての考察こうさつおこなう。

以上いじょうてんから、おも地元じもと企業きぎょう企画きかくへの協力きょうりょくおこない、イベントとの連携れんけいをとっていることがわかる。その協力きょうりょくには、イベント成功せいこうねがうものと、それぞれの組織そしきにとってなんらかの意図いとやプラスにてんじる要素ようそがあり、連携れんけい関係かんけいっていることがかる。今後こんご継続けいぞくてき連携れんけいつづけていくのであれば、その都度つどある程度ていど成果せいかし、相互そうごにプラスとなるような側面そくめんつづける必要ひつようがある。

「よこはま国際フェスタ2010」企画協力団体と主催団体

ここまで様々さまざま団体だんたいがイベントにたいしどのようなニーズをっているのかをてきたが、ここで共通きょうつうしていえることは、イベントを成立せいりつさせているかく団体だんたいあいだ関係かんけいは、一方いっぽうてき協力きょうりょく関係かんけいというより、双方そうほうにとってなんらかのプラス要素ようそがあり、その実現じつげんがイベントでなされているということである。

「よこはま国際フェスタ2010」に関わる団体相互の関係

それぞれのイベントないでの関係かんけいせいをまとめるとうえのようなになる。あらたにスポンサー、一般いっぱん来場らいじょうしゃ存在そんざいくわえた。2010ねん開催かいさいではいままでの予算よさんでの開催かいさいから、外部がいぶ機関きかん助成じょせいきんからの調達ちょうたつへと変化へんかした。来年度らいねんどからの助成じょせいきん交付こうふけるには、イベントとしての一定いってい成果せいかげ、助成じょせいきんけるだけの価値かちがあることをしめ必要ひつようがある。また、このイベントのもっとおおきな目的もくてき市民しみんによる国際こくさい協力きょうりょく活動かつどう促進そくしんである。かれらに、国際こくさい協力きょうりょく国際こくさい交流こうりゅうかんする情報じょうほうや、外国がいこく製品せいひん料理りょうり、ステージなどによる文化ぶんか交流こうりゅう提供ていきょうすることで、よりおおくの市民しみん国際こくさい協力きょうりょくへの興味きょうみ理解りかいふかめ、そういった活動かつどうたずさわるようになることを目指めざしている。よって、この連携れんけいなかしょ組織そしきにとって一番いちばん重要じゅうよう存在そんざいなのは来場らいじょうしゃである一般いっぱん市民しみんなのである。一般いっぱん市民しみんは、このイベントに参加さんかし、興味きょうみったり、なんらかの活動かつどうたずさわるようになることでこの連携れんけいなかでの役割やくわりたすことになる。

5.連携れんけい分析ぶんせき、そのありかた課題かだい

ぜん項目こうもくで、それぞれの組織そしきがどのような目的もくてきでどのようなかたちでイベントにかかわってきているのかということを把握はあくしてきた。そこでわかったことは、イベントないでのそれぞれの組織そしき目的もくてき活動かつどうは、行政ぎょうせい、NGO、国際こくさい機関きかん企業きぎょうといった組織そしき法人ほうじんかく性質せいしつちがいではなく、主催しゅさいなのか、出展しゅってんしている団体だんたいなのか、企画きかく協力きょうりょくなのかといったイベントないでの立場たちばちがいによってことなってくるということである。主催しゅさい組織そしき出展しゅってん団体だんたいにはそれぞれNGOや行政ぎょうせい組織そしき存在そんざいしているが、イベントにたいする目的もくてきことなったものであり、イベントにたいする評価ひょうか方法ほうほうやその内容ないようことなる。そして、主催しゅさい出展しゅってん企画きかく協力きょうりょくじゅんでイベントにたいして外部がいぶ存在そんざいとなり、その連携れんけいはより成果せいかもとめられる関係かんけいになっていくということもれる。それぞれの組織そしきはなにかの目的もくてきがあってイベントにかかわってきていて、そのそれぞれの目的もくてきがなんらかのかたち達成たっせいされるからこそ継続けいぞくてき連携れんけいってきているのである。主催しゅさい組織そしき存在そんざいはもちろんのこと、出展しゅってん団体だんたい協力きょうりょく団体だんたい存在そんざいやそれぞれの連携れんけいがあるからこそ、このイベントは14ねんわた開催かいさいされ、評価ひょうかている。

個々ここ目的もくてきことなるが、共通きょうつうしてひとつの目標もくひょうがあるから連携れんけいっているととらえることもできる。このイベントの場合ばあいは、横浜よこはまから国際こくさい協力きょうりょく推進すいしんしていく、たがいの活動かつどう活発かっぱつさせることで世界中せかいじゅう人々ひとびと満足まんぞく生活せいかつしていけるような世界せかいつくっていくという、最終さいしゅうてきな、共通きょうつう目標もくひょうがある。だからこそこのイベントの枠組わくぐみに参加さんかしようというインセンティブがまれるし、ある程度ていど自分じぶんたち目的もくてき完全かんぜん達成たっせいされなくとも継続けいぞくした参加さんかられるのである。また、イベントを開催かいさいする以上いじょうは、よりおおくの市民しみん国際こくさい協力きょうりょく国際こくさい交流こうりゅうについての理解りかいふかめてもらいたい、興味きょうみってもらい、あわよくば自分じぶんたち活動かつどう参加さんかしてもらいたい、結局けっきょくはそれが世界せかいにつながっていくというおもいもある。共通きょうつうした、イベント開催かいさい目的もくてき、イベント参加さんかへの目的もくてきじゅう目的もくてき存在そんざいする。そしてそれぞれの目的もくてきにはなんらかのつながりや相関そうかん関係かんけい存在そんざいし、イベント開催かいさい意義いぎたかめる。

「よこはま国際フェスタ2010」に関わる団体相互の関係

ここからわかる、このケースでの連携れんけいにとって重要じゅうようなことは、まずは共通きょうつうした、最終さいしゅうてき目標もくひょう連携れんけいなかかく主体しゅたい認識にんしきし、それに共感きょうかんすることが必要ひつようである。自分じぶんたちはこの目的もくてきのために一緒いっしょ活動かつどうをしている、活動かつどうしたいとおもっていると認識にんしきをすることで、自分じぶんたち活動かつどう意義いぎ自覚じかくし、たがいに協力きょうりょく関係かんけいきずこうというインセンティブがまれる。もうひと重要じゅうようなことは、共通きょうつうしたものだけではなく、それぞれの個々ここっている目的もくてきをそれぞれが認識にんしきし、それぞれの目的もくてきにとってよい成果せいかあらわれるような状況じょうきょう可能かのうかぎ目指めざすことである。いくら共通きょうつう目標もくひょうっていても、自分じぶんたち目標もくひょう達成たっせい困難こんなん、あるいはむしろ達成たっせいたいしマイナスであるなら、その連携れんけい枠組わくぐみのなかには参加さんかすることができない。また、参加さんかしていたとしてもうまく協力きょうりょく関係かんけいきずくことはできない。

この2てん実現じつげんし、連携れんけいをうまく構築こうちくしていくためには、中心ちゅうしんとなる組織そしき枠組わくぐみのなかのすみずみに情報じょうほう提供ていきょうおこない、また、情報じょうほう交換こうかん提供ていきょうし、それぞれの団体だんたいたいする調整ちょうせいおこなうことで連携れんけい円滑えんかつすすむようかく組織そしきあいだのつなぎやくにな必要ひつようがある。このイベントの場合ばあいには、その役割やくわりたしているのが主催しゅさい組織そしきであり、現在げんざいのCプラットである。かく団体だんたい出展しゅってん目的もくてき把握はあくし、その目的もくてき達成たっせいのためにイベント運営うんえい企画きかく工夫くふうし、団体だんたい出展しゅってんすることに魅力みりょくかんじるイベントづくりを目指めざすことが重要じゅうようである。それがイベント開催かいさい意義いぎにつながると同時どうじに、出展しゅってん団体だんたい確保かくほ最終さいしゅうてきにはイベントの存続そんぞくおおきく貢献こうけんすることになるからだ。

その役割やくわりになうには、連携れんけい参加さんかしている団体だんたいのイベント参加さんかへの目的もくてきや、そのおもい、イベントにたいする評価ひょうか把握はあくする必要ひつようがある。現在げんざい、このイベントを運営うんえいするじょうで、それらの情報じょうほう把握はあくするためにもっと重要じゅうようされているのが、イベント開催かいさいおこなわれる、参加さんか団体だんたい対象たいしょうのアンケート調査ちょうさである。イベント開催かいさい自体じたいかんする評価ひょうか企画きかくたいする評価ひょうか、イベント運営うんえいたいする評価ひょうか参加さんかによる成果せいかなどをアンケートにより把握はあくしている。その結果けっか集計しゅうけい分析ぶんせきおこな年度ねんど以降いこうのイベント開催かいさいかすかたちで、参加さんか団体だんたいのニーズを把握はあく、イベントを継続けいぞくしていくなかでそれにこたえている。また、イベント開催かいさいまえやイベントとイベントのあいだ時期じきに、参加さんか団体だんたいへの説明せつめいかい意見いけん交換こうかんかい開催かいさいしている。直接ちょくせつ参加さんか団体だんたいのメンバーとのやりとりをおこなうことで、アンケートのように設問せつもんしばられないより率直そっちょく意見いけんすことができる。それら内容ないよう主催しゅさい組織そしきなか共有きょうゆう議論ぎろんおこなうことで、今後こんごのイベント開催かいさい方向ほうこうせいめていく。それが主催しゅさい組織そしき参加さんか団体だんたいたいする責任せきにんであり、イベントの成果せいかおおきくしていく要素ようそとなりうる。

ここでもうひと重要じゅうようなことは、参加さんか団体だんたいがわにも、情報じょうほう提供ていきょうする責任せきにんがあるということである。イベントに参加さんかする以上いじょう自分じぶんたち目的もくてき達成たっせいしたい。そのためには、自分じぶんたちのイベント参加さんか目的もくてきやそのおもい、イベントにたいする評価ひょうかを、主催しゅさい組織そしき率直そっちょくに、つきちんとつたえる必要ひつようがある。そのため参加さんか団体だんたいには、実施じっしされたアンケートにたい真摯しんしこたえること、あたえられた情報じょうほう交換こうかん参加さんかし、自分じぶんたちおもいを発信はっしんするが重要じゅうようである。

主催しゅさい組織そしき参加さんか団体だんたい連携れんけいおこなうことで、自分じぶんたち目的もくてきのためにもさらなる成果せいかそうと、相手あいて目的もくてきにも協力きょうりょくするかたちになる、たがいにたがいの目的もくてきかっていい方向ほうこうへとすすめようと活動かつどうする、そのことがよりおおきな成果せいかへとむすびついてくる。と同時どうじに、そのためにはたがいにはたがいにたいする責任せきにんい、たがいのことを意識いしきして活動かつどうする義務ぎむしょうじる。このことは出展しゅってんをしている参加さんか団体だんたいかぎらず、市民しみんボランティアにおいても同様どうようのことをうことができる。

この連携れんけいがうまく機能きのうしているかどうかは、参加さんか団体だんたい市民しみんボランティアへのアンケートのほかに、来場らいじょうしゃのアンケートを指標しひょうることもできる。イベントの成果せいか来場らいじょうしゃ評価ひょうか判断はんだんし、成果せいかがでているということはイベント開催かいさい成功せいこうだったということ、それは、イベント運営うんえいにおいて連携れんけいがうまく機能きのうしているということにつながってくるからだ、ととらえる。主催しゅさい組織そしき来場らいじょうしゃへのアンケートの結果けっかつぎ年度ねんど以降いこうのイベントの運営うんえい企画きかくなどの内容ないようかし、市民しみんにとっても魅力みりょくてきなイベントづくりを目指めざす。また主催しゅさい組織そしきは、これらのアンケート結果けっか報告ほうこくしょとして公開こうかいし、参加さんか団体だんたいへフィードバックをおこな責任せきにんがある。参加さんか団体だんたい来場らいじょうしゃ回答かいとうしたアンケートの結果けっかることで、自分じぶんたちのイベント参加さんか成果せいかを、来場らいじょうしゃがわからの視点してん把握はあくし、自分じぶんたち出展しゅってん内容ないよう方法ほうほうなどを見直みなおすときの材料ざいりょうにすることができる。また、参加さんか団体だんたいのアンケート結果けっかることで、自分じぶんたちまわりの団体だんたいがイベントにたいしてどのような評価ひょうかをしているのか把握はあくし、再度さいどイベントにたいする評価ひょうかおこなうことができる。


ここまでのところで、横浜よこはま国際こくさいフェスタにはどのような連携れんけい変化へんかがあり、それぞれの団体だんたいがどのような目的もくてきでイベントに参加さんかしているかということを把握はあく考察こうさつし、連携れんけいがどのようにっているのか、うまく連携れんけい機能きのうさせるにはどうすればいいのかということについての分析ぶんせきおこなった。ひとつわかったことは、複数ふくすう組織そしき連携れんけいをとってひとつのプロジェクトを実施じっししていくにたって重要じゅうようなのは、組織そしきあいだ情報じょうほう共有きょうゆうみつにとることである。プロジェクトを実施じっしするにたって、その目的もくてき共有きょうゆうすることがまず重要じゅうようであり、実施じっししていくうちに、プロジェクトにたいしてどのような評価ひょうかがなされているのか、内部ないぶ外部がいぶ双方そうほうからの視点してんでの評価ひょうかを、連携れんけい構成こうせいしている組織そしき把握はあくすることで、プロジェクトの進捗しんちょく成果せいかなどをることができ、たがいにつぎのアクションをこすさいがかりとなる。また、それぞれの団体だんたいがプロジェクトにたいしどのような評価ひょうかをしているかをたがいにることで、プロジェクト実施じっしたいする意見いけん交換こうかん意思いし疎通そつうはかることができる。前述ぜんじゅつとおり、このイベントには、主催しゅさい組織そしき参加さんか団体だんたい双方そうほうに、双方そうほうたいたすべき責任せきにんがあり、その責任せきにんたしていくことがイベントでの成果せいかむすびついてくる。しかし、たがいが責任せきにんをしっかりとたしていくためには、たがいにたいする信頼しんらい協力きょうりょく関係かんけい重要じゅうようとなってくる。その信頼しんらい構築こうちくするためには、情報じょうほう共有きょうゆうみつおこない、つねたがいの状況じょうきょうなどを把握はあくできるような体制たいせいづくりが不可欠ふかけつとなってくる。

この信頼しんらい協力きょうりょく関係かんけいかんするかんがかたは、ソーシャルキャピタルのかんがかたにもつながってくる。ソーシャルキャピタルとは、Putnam(1993)によれば、「人々ひとびと協調きょうちょう行動こうどううながすことにより社会しゃかい効率こうりつせいたかめるはたらきをする信頼しんらい(trust)、規範きはん(norm)、ネットワーク(network)といった社会しゃかい組織そしき特徴とくちょう」と定義ていぎされている。今回こんかいのケースでは、連携れんけいなかでの信頼しんらい関係かんけい構築こうちくすることでイベントとしてのおおきな成果せいかをあげていることを確認かくにんすることが出来できる。ソーシャルキャピタルは近年きんねん途上とじょうこくにおける開発かいはつ援助えんじょをするさいに、その開発かいはつ援助えんじょがきちんと現地げんち機能きのうするか、成果せいかすのかといった議論ぎろんおこなさい重要じゅうようされている。このイベントの事例じれいかんがえるさいにも、最終さいしゅうてきには、このソーシャルキャピタルについてのかんがかたもとづく結果けっかとなった。

しょう ケニアの事例じれい

まえしょうでは、自分じぶん身近みぢか連携れんけいれいである、横浜よこはま国際こくさいフェスタの事例じれい把握はあく分析ぶんせきおこない、ひとつのプロジェクトをおこなさい連携れんけいおこなうことの有用ゆうようせいや、そのためのありかた課題かだいについての考察こうさつおこなってきた。このしょうでは、本稿ほんこう問題もんだい意識いしき中心ちゅうしんである、ケニアの飢餓きが人口じんこう削減さくげんのためのありかたについてさぐる。まずはケニアの概要がいようや、食糧しょくりょう農業のうぎょう事情じじょうとその課題かだいについてていくことで問題もんだいてん整理せいりし、その解決かいけつさく糸口いとぐち模索もさくする。

ケニアにおける飢餓人口比率推移

ケニアの飢餓きが人口じんこう比率ひりつは1996ねん以降いこう2005ねんまで30%をたもっている。1996ねん時点じてんでは、アフリカ、サブサハラ以南いなんアフリカ地域ちいき平均へいきんとほぼひとしい水準すいじゅんにまで比率ひりつげたが、そのアフリカ、サブサハラ以南いなんアフリカは比率ひりつげているのにたいし、ケニアはがっていないのが現状げんじょうである。3にん1人ひとり飢餓きが状態じょうたいである状態じょうたいつづいているのである。

この事実じじつ問題もんだい意識いしき出発しゅっぱつてんとし、ケニアの飢餓きが人口じんこう削減さくげん目的もくてき本稿ほんこう構成こうせいしていく。

1.ケニア概要がいよう

(1)社会しゃかい全般ぜんぱん

ケニアは2009ねん現在げんざい人口じんこう3,861まんにんである。人口じんこう成長せいちょうりつは1990年代ねんだいはいってからは1〜2%を推移すいいしており、発展はってん途上とじょうこくのなかではそれほどたかくない。それにはHIV/AIDSの蔓延まんえんによる平均へいきん寿命じゅみょう低下ていかと、劣悪れつあく衛生えいせい状況じょうきょうによる5さい未満みまん死亡しぼうりつたかさといった原因げんいんげられる。これらの原因げんいんによって、平均へいきん寿命じゅみょう女性じょせい46.2さい男性だんせい47.9さいと、いずれも192カ国かこく対象たいしょうのうち、160下回したまわっている。また、5さい未満みまん死亡しぼうりつは11.8%である。これは、世界せかい平均へいきんである3.9%にくらべ非常ひじょうたか水準すいじゅんになっている。

また、治安ちあん悪化あっか貧困ひんこん失業しつぎょうおおきな問題もんだいとなっている。都市としにはホームレスが激増げきぞうし、犯罪はんざい頻発ひんぱつしている。また、道路どうろ状態じょうたい劣悪れつあく交通こうつう事故じこ多発たはつしている。

世界銀行せかいぎんこう定義ていぎである、1人ひとりたりどしあいだ所得しょとく370ドル以下いか所得しょとく生活せいかつしている貧困ひんこんそう割合わりあいは、1990ねんに48.8%、2003ねんに56%と年々ねんねん増加ぞうかし、歯止はどめのかかるきざしはられない。そのうえ労働ろうどう貧困ひんこんしゃおおくは、自給自足じきゅうじそく生活せいかつ、あるいは家事かじ労働ろうどう従事じゅうじしており、失業しつぎょうしゃにはふくまれていないため、生産せいさん活動かつどう関与かんよしていない労働ろうどうしゃ割合わりあい統計とうけいからわかる数値すうちよりあきらかにたかくなる。

労働ろうどうしゃ教育きょういく基本きほんとなる、基礎きそ教育きょういく現状げんじょうは、現在げんざいのケニアでは小学校しょうがっこうねん中等ちゅうとう学校がっこうねん大学だいがくねん制度せいど採用さいようしており、義務ぎむ教育きょういくせいっていない。しかし小学校しょうがっこう就学しゅうがくりつは2005ねん現在げんざい79%と、中央ちゅうおうひがしアフリカの平均へいきんである62.5%にくらたか水準すいじゅんである。それは小学校しょうがっこうの8年間ねんかん学費がくひ無料むりょうであるというのがおおきな理由りゆうである。これは、政府せいふ公共こうきょう財政ざいせいおおくを教育きょういく分野ぶんやてているということになり、2004ねん現在げんざい公共こうきょう財政ざいせいめる教育きょういく支出ししゅつ割合わりあいは34.8%にものぼる。公用こうよう英語えいご、スワヒリで、15さい以上いじょう男女だんじょ識字しきじりつは2004ねん現在げんざい、73.4%である。

独裁どくさい政権せいけん政治せいじ腐敗ふはいにより、治安ちあん悪化あっかともに、国中くになか汚職おしょく賄賂わいろ授受じゅじゅ頻繁ひんぱんおこなわれている。それは一般いっぱん市民しみん例外れいがいではない。ケニア都市とし賄賂わいろ指数しすうによると、ケニアの平均へいきんてき都市とし生活せいかつしゃは1ヵ月かげつに16かい賄賂わいろ支払しはらっているということがあきらかになった。2003ねんにおいて1ヶ月かげつにおける平均へいきん賄賂わいろ支払しはらいがくは、市民しみん平均へいきん月給げっきゅうやく3ぶんの1にものぼる。公務員こうむいんもっとおおくの賄賂わいろっており、賄賂わいろ総額そうがくの99%をにしている。とくに、警察けいさつ最悪さいあく常習犯じょうしゅうはんで、都市とし生活せいかつしゃの10 にんのうち6 にん警察けいさつたいして賄賂わいろ支払しはらっているという。この傾向けいこう個人こじんにはまらず、企業きぎょうなどの組織そしきにおいてはさらにだい規模きぼ賄賂わいろ授受じゅじゅおこなわれている現状げんじょうがある。

衛生えいせい医療いりょうについては、前述ぜんじゅつとおり、衛生えいせい状態じょうたいわるさが国民こくみん平均へいきん寿命じゅみょう低下ていかさせ、乳幼児にゅうようじ死亡しぼうりつ上昇じょうしょうさせている。現状げんじょうでは、ナイロビでは下水道げすいどう水洗すいせん便所べんじょ完備かんびされ、衛生えいせい状態じょうたいわるくはなく、また、公立こうりつ私立しりつ病院びょういん診療しんりょうしょもうけられており、国立こくりつ病院びょういん外来がいらい患者かんじゃ治療ちりょう無料むりょうである。しかし、スラムや農村のうそん衛生えいせい状態じょうたい劣悪れつあくである。また、農村のうそんにおいては小規模しょうきぼ診療しんりょうしょがあるのみで、十分じゅうぶん設備せつび技術ぎじゅつった医師いしをもつ病院びょういん存在そんざいしない。2008ねん現在げんざい、15〜49さい男女だんじょのHIV/AIDSのゆうびょうりつが7.8%とたか水準すいじゅんであるケニアは、衛生えいせい状態じょうたい医療いりょう技術ぎじゅつ向上こうじょうもとめられている。

(2)経済けいざい

ケニアの実質GDP成長推移

独立どくりつのケニアには、おおきくよっつの時期じきけることができる。だいいちは、初代しょだい大統領だいとうりょうケニヤッタが政権せいけんになっていた時期じきである。1964ねんから1983ねんまでの期間きかんで、その期間きかん実質じっしつGDP成長せいちょうりつ平均へいきんは6.2%をしめしている。とくに1970年代ねんだい平均へいきん11.6%とたか水準すいじゅんしめしている。ケニアが独立どくりつ、「アフリカの優等生ゆうとうせい」とばれていたのは、この時期じき高水準こうすいじゅんでの経済けいざい成長せいちょう安定あんていてき記録きろくしていたことが理由りゆうである。この経済けいざい成長せいちょうには、ケニヤッタがった政策せいさく経済けいざいたいして機能きのうし、ケニアの農業のうぎょうをはじめとする産業さんぎょう軌道きどうったためである。項目こうもくでその詳細しょうさいについての把握はあくをする。だいは、ケニヤッタが1983ねん逝去せいきょし、当時とうじふく大統領だいとうりょうだったモイがだいだい大統領だいとうりょう就任しゅうにんし、その政権せいけんえる2004ねんまでの期間きかんである。上下じょうげ変動へんどうはげしく、たかいときにはやく30%の成長せいちょう記録きろくしているが、この期間きかん平均へいきんGDP成長せいちょうりつは1.6%と低迷ていめいしている。その理由りゆうとしてまず、世界せかいてききょうによる影響えいきょうがある。1978ねん、1979ねんだい石油せきゆ危機きき、レーガノミクスにたんほっする1980年代ねんだい前半ぜんはん世界せかいきょうが、交易こうえき条件じょうけん国際こくさい収支しゅうし悪化あっかさせることとなった。さらに、1980ねんと1984ねんかんばつがおそい、深刻しんこく食糧しょくりょう危機きき発生はっせいした。そうした世界せかい規模きぼでのきょう国内こくない経済けいざい影響えいきょうあたえ、ケニヤッタ確立かくりつした政策せいさくによる資源しげんこう循環じゅんかんくずれ、国内こくない経済けいざい農業のうぎょうなやむこととなった。

だいさんは、モイにわり、キバキが政権せいけんになうようになった時期じきである。この時期じきはモイ低迷ていめいからだっし、10%以上いじょうたか水準すいじゅん成長せいちょうげている。

だいよんは、2007ねん、2008ねんきた金融きんゆう危機きき石油せきゆ価格かかく高騰こうとう、それを発端ほったんにした食料しょくりょう価格かかく高騰こうとうにより世界せかい経済けいざい全体ぜんたいきょうおちいった時期じきである。ケニアも例外れいがいではなくその影響えいきょうけ、2007ねんにはやく20%の成長せいちょうりつ記録きろくしていたものの、2009ねんにはマイナス成長せいちょうにまでんでいる。それには、世界せかいてききょうなみのほかに、国内こくない政情せいじょう不安ふあんかさなった。大統領だいとうりょう選挙せんきょをめぐる民族みんぞくあいだでの対立たいりつ暴動ぼうどう発生はっせいさせ、2008ねん暴動ぼうどうではやく1500まんにん死亡しぼうした。また、国内こくない有数ゆうすう穀倉こくそう地域ちいき暴動ぼうどう発生はっせいし、農業のうぎょう生産せいさんとどこおったケースもあり、国内こくない経済けいざい活動かつどう阻害そがいされる状態じょうたいつづいている。そのうえ、天候てんこう不順ふじゅんによる災害さいがいつづいており、2008ねん、2009ねんには2わたかんばつをけ、2010ねんには洪水こうずい見舞みまわれている。

食料しょくりょう価格かかく高騰こうとうにより世界せかいてき飢餓きが人口じんこう増加ぞうかしたが、現在げんざいすこしずつ回復かいふくしてきている。しかし、ケニアについては以上いじょうてんから他国たこく以上いじょう複雑ふくざつ深刻しんこく経済けいざいダメージをけたことからいまだに経済けいざいなおすことに成功せいこうしておらず、飢餓きが人口じんこう減少げんしょうしていない。 これらのよっつの時期じきおも政権せいけんごとにけているが、それぞれの時期じき経済けいざい成長せいちょう状況じょうきょうことなることがわかる。また、だいだいよんられるような天候てんこう不順ふじゅんによる影響えいきょう作用さようしていることもわかる。ここから、国内こくない経済けいざい成長せいちょうには、政府せいふがどのような政策せいさくるかでおおきくことなってくるということがかる。項目こうもくで、時代じだいてきながれでは直接的ちょくせつてきにつながりがあるにもかかわらず、経済けいざい成長せいちょういちじるしいしょうじている、ケニヤッタ政権せいけんとモイ政権せいけん政策せいさくちがいを把握はあくし、現在げんざいのケニア経済けいざい改善かいぜんしていくためにはどのような政策せいさく有用ゆうようであるかを考察こうさつする。

また、天候てんこう国内こくない経済けいざいおおきな影響えいきょうあたえていることがわかる。これにはまず、ケニア経済けいざいにおいて農業のうぎょうおおきな比重ひじゅうめているということ、そして、その農業のうぎょう気候きこう世界せかいてき情勢じょうせい影響えいきょうけやすく不安定ふあんていであることを仮説かせつとしてげる。 ケニア経済けいざいにおいて農業のうぎょうがどれだけの比重ひじゅうめているかということをぜん人口じんこうたいする農業のうぎょう人口じんこう比率ひりつと、かく産業さんぎょうのGDP構成こうせい比率ひりつ把握はあくすることで検証けんしょうする。

2010ねん現在げんざい労働ろうどうりょく人口じんこうやく7わりだいいち産業さんぎょうぞくする農業のうぎょう従事じゅうじしており、産業さんぎょう中心ちゅうしんだいいち産業さんぎょうにあるといえる。しかし、産業さんぎょうべつGDP構成こうせい比率ひりつをみると、だいさん産業さんぎょうだいいち産業さんぎょうだい産業さんぎょうじゅんたか割合わりあいしめしている。

産業さんぎょうべつていくと、だい産業さんぎょう安定あんていして20%前後ぜんこう推移すいいしている。だいさん産業さんぎょう独立どくりつ当時とうじから40〜50%以上いじょうもっとおおきな割合わりあいめており、その割合わりあい徐々じょじょえている。一時いちじ1977ねんに40%をきったが、ふたたいきおいをもどした。だいいち産業さんぎょう独立どくりつ当時とうじ40%を推移すいいしていたが、徐々じょじょ割合わりあい低下ていかし、2004ねん現在げんざい30%をきっている。

だいさん産業さんぎょう大幅おおはば低下ていかしている1977ねんにおいては、だいいち産業さんぎょう比率ひりつ観光かんこうぎょういておおきく上昇じょうしょうしている。GDP成長せいちょうりつのグラフをみると、1977ねんは22%とたか水準すいじゅんしめしている。ぎゃくに、だいいち産業さんぎょうが28%とひく比率ひりつである1991ねんのGDP成長せいちょうりつはマイナスをしめしている。すなわち、ケニアのGDPにおいてだいいち産業さんぎょうおおきな影響えいきょうあたえているということになる。農業のうぎょう人口じんこう比率ひりつ推移すいいても、アフリカ平均へいきんたいし20%以上いじょうたか水準すいじゅん推移すいいをしていることがわかる。ここから、ケニアにおいて農業のうぎょうおおくの国民こくみん生活せいかつささえる、重要じゅうよう産業さんぎょうであるととらえることができる。

ケニア農業人口比率推移 ケニア産業別GDP構成比の推移

労働ろうどうりょく人口じんこう大半たいはんめているだいいち産業さんぎょうがGDPにおいておおきな割合わりあいめず、だいさん産業さんぎょうもっと割合わりあいめているのは、政府せいふ関係かんけい組織そしき公共こうきょうセクターにおける生産せいさん活動かつどうだいさん産業さんぎょうふくまれ、ケニアの生産せいさん活動かつどう寡頭政治かとうせいじ名残なごりもあり、現状げんじょうとしてだい部分ぶぶん組織そしきはいまだに政府せいふかかわっているという理由りゆうひとつあげられる。また、農業のうぎょう従事じゅうじするひとだい部分ぶぶん自給自足じきゅうじそく生活せいかつおくっており、生産せいさんしたものを自分じぶん消費しょうひしているため、付加ふか価値かちしょうじることはなく、GDPにはひょうわれてこない。よって、実際じっさいには、数値すうちている国民こくみんの70%をえる人々ひとびと農業のうぎょうたずさわっていることがうかがえる。

また、だい産業さんぎょう中心ちゅうしんとなっているのは食品しょくひん加工かこう繊維せんい金属きんぞく加工かこうと、付加ふか価値かちひくいものがおおい。農業のうぎょう産業さんぎょう中心ちゅうしんとなっているケニアでは、とく食品しょくひん加工かこう重要じゅうよう産業さんぎょうとなっている。そこからも、食品しょくひん加工かこう原料げんりょう供給きょうきゅうおこな農業のうぎょうは、ケニア経済けいざいにおいて重要じゅうよう役割やくわりたしている。


ケニア経済けいざいにおいてだいいち産業さんぎょうおおきな影響えいきょうりょくっており、また、農業のうぎょう活発かっぱつ安定あんていかさせることは食糧しょくりょう生産せいさん増加ぞうかさせ、安定あんていした食糧しょくりょう供給きょうきゅう貢献こうけんすることから、ケニアの農業のうぎょう部門ぶもん改善かいぜん目指めざし、食糧しょくりょう安全あんぜん保障ほしょう改善かいぜんにつなげていくことを提案ていあんする。つぎ項目こうもくでは、ケニアの食糧しょくりょう事情じじょう農業のうぎょう現状げんじょうやその背景はいけい課題かだい把握はあくすることで、ケニアの食糧しょくりょう安全あんぜん保障ほしょう改善かいぜんさく模索もさくすることへとつなげる。

(3)ケニアの経済けいざい農業のうぎょうかんする背景はいけい部族ぶぞく土地とち政治せいじ

ケニアにはやく40の部族ぶぞく存在そんざいするが、なかでもキクユ、ルイヤ、ルオ、カレンジンのよっつの民族みんぞく人口じんこうやく91%をめている。これらの勢力せいりょく構造こうぞうがケニア国内こくない政治せいじ経済けいざいおおきな影響えいきょうあたえているため、よっつの民族みんぞく概要がいよう勢力せいりょく構造こうぞうについてここで整理せいりおこなう。

よっつの部族ぶぞくなかでも人口じんこうもっとおおく、勢力せいりょくつよいのはキクユで、はやくから政治せいじてき権力けんりょくにぎり、国内こくないエリートそう形成けいせいしている。初代しょだいケニヤッタもキクユの出身しゅっしんである。また、農業のうぎょうこう適地てきち(4)あつまっているセントラルしゅうやリフトバレーしゅう中心ちゅうしん居住きょじゅうしている。人口じんこうだいのルイヤは南西なんせい高知こうち西側にしがわ公的こうてき居住きょじゅうしている。人口じんこうおおいものの、本来ほんらいじゅうすう言語げんご集団しゅうだんかれていたため結束けっそく時間じかんがかかり、独立どくりつ政治せいじてき進出しんしゅつ出遅でおくれた。人口じんこうだいのルオが政治せいじてき勢力せいりょくでは2番目ばんめつよさをほこっている。ビクトリア沿岸えんがんのニャンザしゅう居住きょじゅうし、定住ていじゅう農耕のうこう漁業ぎょぎょういとなんでいる。キクユとともにKANU(ケニア、アフリカじん国民同盟こくみんどうめい)をひきいるエリートそう形成けいせいしていたが、ケニヤッタ政権せいけん後期こうきにはケニヤッタと対立たいりつする勢力せいりょくとなり、その、キクユ中心ちゅうしん勢力せいりょくから政治せいじ経済けいざいてき礼遇れいぐうけることとなった。4番目ばんめ勢力せいりょくであるカレンジンはキクユとおなじくリフトバレーしゅう中心ちゅうしん居住きょじゅうしているが、キクユとことなるてんは、農業のうぎょうこう適地てきち居住きょじゅうしているキクユにたいし、カレンジンはリフトバレーしゅうなかはん乾燥かんそう居住きょじゅうしているというてんである。気候きこう条件じょうけんにより農業のうぎょうのみの生活せいかつではなく、農業のうぎょうとも遊牧ゆうぼくいとなんで生活せいかつをしている。そのため民族みんぞく定住ていじゅうをせずじゅうしており、植民しょくみん支配しはいにはその傘下さんかおおきくはまれなかった。このよっつの部族ぶぞくなかでもっとも自然しぜん作用さようけやすく、安定あんていした経済けいざい活動かつどう困難こんなんであり、貧困ひんこん飢餓きがにさらされやすい状態じょうたいである。なお、ケニアヤッタにつづ国内こくないおおきな影響えいきょうあたえただいだい大統領だいとうりょうであるモイはカレンジンの出身しゅっしんである。

国内こくないおおきな勢力せいりょくめるよっつの部族ぶぞく概要がいようったが、このよっつの部族ぶぞくなかだけでも民族みんぞく政治せいじてき勢力せいりょくおおきながある。その理由りゆうは、ケニアの地理ちりてき性質せいしつと、植民しょくみん支配しはい支配しはい方法ほうほう独立どくりつ土地とち分配ぶんぱい要因よういんひとつがある。

ケニアの地理ちりてき性質せいしつとして、土地とちごとに降水こうすいりょうおおきながあるというてんげられる。南西なんせい沿岸えんがんでは降水こうすいりょうおおく、その地域ちいきだい部分ぶぶんはん砂漠さばく砂漠さばく状態じょうたいである。また、リフトバレーしゅうのように高度こうどひく乾燥かんそうした土地とちと、はん乾燥かんそう農業のうぎょうこう適地てきち併存へいそんした地域ちいきもある。こうした、その土地とちによって気候きこうをはじめとする自然しぜん環境かんきょう様々さまざまであり、そういった様々さまざま環境かんきょう併存へいそんしていることが、ケニアの農業のうぎょう、ひいては政治せいじ経済けいざいかんがえるうえ重要じゅうようであり、前提ぜんてい条件じょうけんである。

人々ひとびとはより安定あんていした生産せいさんもとめることから農業のうぎょうこう適地てきちでの居住きょじゅうこのむ。それは、地域ちいきごとの人口じんこう密度みつど比較ひかくすることであきらかになる。

しゅう地域ちいき

ぜん面積めんせきkm2)

構成こうせい

のうまき/ぜん面積めんせき(%)

好適こうてき農地のうち/のうまき(%)

人口じんこう(ひと)

構成こうせい(%)

人口じんこう密度みつど(%)

セントラルしゅう

13,220

2.3

73.0

94.2

3,724,159

13.0

281.7

ニャンザしゅう

12,546

2.2

99.8

97.3

4,392,196

15.3

350.1

ウエスタンしゅう

8,263

1.4

89.7

100.0

3,358,776

11.7

406.5

リフトバレーしゅう

182,538

31.4

84.2

19.7

6,987,036

24.4

38.3

 

好適こうてき地域ちいき

13,662

2.3

84.1

100.0

2,945,287

10.3

215.6

 

中間ちゅうかん地域ちいき

57,458

9.9

82.4

35.9

3,041,288

10.6

52.9

 

乾燥かんそう地域ちいき

111,418

19.2

85.1

1.8

1,000,461

3.5

9.0

イースタンしゅう

153,472

264.0

92.2

3.6

4,631,779

16.1

30.2

 

中間ちゅうかん地域ちいき

12,409

2.1

72.8

34.0

1,858,522

6.5

149.8

 

乾燥かんそう地域ちいき

141,063

24.3

93.9

1.5

2,779,257

9.7

19.7

コーストしゅう

82,816

14.2

82.5

5.5

2,487,264

8.7

30.0

ノースイースタンしゅう

128,124

22.0

99.0

0.0

962,143

3.4

7.5

ナイロビ特別とくべつ

696

0.1

77.6

29.6

2,143,254

7.5

3,079.4

ケニア総計そうけい

581,675

100.0

89.5

13.0

28,686,607

100.0

49.3

高橋たかはし 基樹もときちょ開発かいはつ国家こっか参照さんしょう

人口じんこう密度みつどは1999ねんにアフリカ平均へいきんで27.8にん/km2、ケニア平均へいきんで49.3にん/km2であるが、南西なんせいでは164.3にん/km2、そのなかでも農業のうぎょうてきしているとされる地域ちいきでは、平均へいきん302.4にんkm2にもたっしている。人口じんこう密度みつど農業のうぎょうこう適地てきち比率ひりつには一定いってい相関そうかん関係かんけいられる。うえひょうから、のうまきめる好適こうてき農地のうち比率ひりつ人口じんこう密度みつど相関そうかんると、そのは0.94とつよ相関そうかんがあることが確認かくにんできる。これは、植民しょくみん時代じだい以前いぜんにさかのぼるが、人々ひとびと居住きょじゅう農耕のうこうてきした土地とちえらり、生活せいかつをしてきたということになる。

しかし、植民しょくみん支配しはい時代じだい突入とつにゅうすると、近代きんだい西欧せいおう特有とくゆうである排他はいたてき土地とち所有しょゆうけん導入どうにゅうされ、登記とうき制度せいど導入どうにゅうされた。そして、独立どくりつのケニアもその制度せいどぐことになる。いままで自由じゆう土地とち移動いどうおこなってきたそれぞれの民族みんぞくが、土地とち所有しょゆうけん導入どうにゅう統治とうち効率こうりつのために居住きょじゅう移動いどう制限せいげんされるようになった。現在げんざい民族みんぞくごとにかたまって居住きょじゅうする傾向けいこうがあるのは植民しょくみん支配しはい名残なごりである。

1964ねんにケニア共和きょうわこくとして独立どくりつたした。建国けんこくちちとして初代しょだい大統領だいとうりょう就任しゅうにんしたのは、キクユ出身しゅっしんのケニヤッタであった。かれはそのみずからの政策せいさくすすめていくのだが、まずったのが土地とちさい分配ぶんぱいである。ヨーロッパ入植にゅうしょくしゃ所有しょゆうしていた土地とちげ、有償ゆうしょうでの配分はいぶんおこなった。これは、当時とうじからエリートそう確立かくりつしていたキクユに有利ゆうり製作せいさくであった。すなわち、すでに植民しょくみん支配しはい段階だんかいで、キクユは民族みんぞく圧倒あっとうするほどの権力けんりょくにぎっていた。キクユがそこまで勢力せいりょくつよめた理由りゆうれる。植民しょくみん支配しはいはじまったとき、前述ぜんじゅつのようにキクユはこう適地てきち中心ちゅうしん居住きょじゅうしていた。植民しょくみん支配しはいこう適地てきち中心ちゅうしんおこなわれたため、植民しょくみん支配しはい影響えいきょうもっとこうむった民族みんぞくである。しかし一方いっぽうで、ヨーロッパじんのコミュニティーにせっする機会きかいおおく、居住きょじゅう地区ちくにはキリスト教きりすときょう学校がっこう設立せつりつされたため、教育きょういく水上すいじょう民族みんぞくくら格段かくだんたかくなった。その結果けっか国内こくないエリートそう形成けいせい政治せいじてき勢力せいりょくにぎるにいたったのである。すなわち、植民しょくみん支配しはいはじまったときにどこにんでいたか、こう適地てきちかそうでないかによって、支配しはい民族みんぞくあつかいやヨーロッパじんコミュニティーとのかかわりかたことなった。その結果けっか独立どくりつには民族みんぞくごとに勢力せいりょく格差かくさひろがり、さらにケニヤッタの土地とちさい分配ぶんぱい政策せいさくによって、その格差かくさはよりひろがることとなったのである。

土地とちさい配分はいぶんをめぐり、民族みんぞくあいだ関係かんけい緊張きんちょう状態じょうたい現在げんざいまでつづいている。とく民族みんぞくはキクユにたいしてつよ反感はんかんっており、政治せいじなかでも度々たびたびキクユ出身しゅっしん政治せいじたい反発はんぱつする民族みんぞく政治せいじ度々どどあらわれる。しかし、キクユ出身しゅっしん政治せいじらによるいちとう独裁どくさい政権せいけんには、そうした政治せいじ暗殺あんさつされる事件じけんなどがしょうじており、民族みんぞくあいだ関係かんけいはより悪化あっかしたものになった。2002ねんより複数ふくすう政党せいとう連合れんごうをとるかたちでの政権せいけん運営うんえい選挙せんきょによってまり、憲法けんぽう改正かいせいなどもつうじて、民主みんしゅすすんでいるが、民族みんぞくあいだ対立たいりつによる暴動ぼうどう現在げんざいでもこりつづけている。その源流げんりゅうは、植民しょくみん支配しはい独立どくりつ直後ちょくご政策せいさく、ひいては植民しょくみん支配しはい支配しはい仕方しかたにある。

2.農業のうぎょう生産せいさんかかわる問題もんだい

前述ぜんじゅつのように、農業のうぎょうはケニア経済けいざい構成こうせいするおおきな要素ようそひとつである。食料しょくりょう生産せいさんおこな産業さんぎょうおおきな比率ひりつ国内こくない産業さんぎょうめている一方いっぽうで、飢餓きが人口じんこうはアフリカ諸国しょこく平均へいきんどう水準すいじゅん、むしろアフリカ平均へいきん減少げんしょう傾向けいこうにあるが、ケニアは減少げんしょうしていない。そこで、ケニア農業のうぎょう課題かだいについてここでは整理せいりおこない、改善かいぜん方法ほうほう模索もさくする。

ぜん項目こうもくしめしたように、ケニアには地理ちり気候きこう条件じょうけんとく地域ちいきごとに降水こうすいりょうがあり、乾燥かんそう地域ちいきはん乾燥かんそう地域ちいき比率ひりつたかいことから、農業のうぎょうてきしているとされる農業のうぎょうこう適地てきちかぎられている。しかし、グラフをると、国土こくど面積めんせきたいする農業のうぎょう面積めんせき比率ひりつのアフリカ諸国しょこくくらたかいということがかる。ケニアは農業のうぎょう人口じんこう比率ひりつたかいことにより、農業のうぎょう使用しようする面積めんせきおおいということと、こう適地てきち以外いがいでの農業のうぎょう余儀よぎなくされている人々ひとびと存在そんざいするということが要因よういんとしてげることができる。

ケニア農業用地面積比率の推移

ケニアは降水こうすい不安定ふあんていであり、度々たびたびかんばつにおそわれている。また、乾燥かんそうはん乾燥かんそうでは農業のうぎょう用水ようすい確保かくほ困難こんなんである。安定あんていして農業のうぎょう用水ようすい確保かくほするには灌漑かんがい設備せつび有用ゆうようである。しかしケニアは、のアフリカ諸国しょこく、サブサハラ以南いなん国々くにぐに平均へいきん比較ひかくしても、農業のうぎょう面積めんせきめる灌漑かんがい面積めんせき比率ひりつひくいことがかる。アフリカ平均へいきんは6〜7%だい、サブサハラ以南いなん平均へいきんは2〜3%だい推移すいいしているのにたいし、ケニアは0〜2%だい非常ひじょうひく水準すいじゅんでの推移すいいである。

ケニアにおける農業用地潅漑比率の推移

このこと穀物こくもつ生産せいさんりょう増加ぞうかりつ結果けっかとなってあらわれている。したのグラフをてみると、ケニアの増加ぞうかりつ推移すいいはばあきらかにおおきいことがかる。とくおおきなかんばつに見舞みまわれた1984ねんには−36.2%とおおきな現象げんしょうとなっている。これは、おなじようにかんばつの被害ひがいけたサブサハラ地域ちいき国々くにぐに平均へいきんである−9.2%をおおきく下回したまわっている。そして、そのつぎとしである1985ねんには前年ぜんねんおおきく減少げんしょうしたわかおおきな回復かいふくせている。

ケニアにおける穀物生産増加率の推移

このように、灌漑かんがい設備せつび整備せいびおくれによって、気候きこう変動へんどう影響えいきょうけやすく、安定あんていした農業のうぎょう生産せいさんおこなえていないことがケニア農業のうぎょうおおきな課題かだいである。2008ねん、2009ねんとケニアはふたたかんばつの被害ひがいけ、さらに2010ねんには洪水こうずい被害ひがいけており、データとしての確認かくにん現在げんざいできていないが、既存きそん灌漑かんがいをはじめとするインフラの荒廃こうはい農業のうぎょう生産せいさん減少げんしょう飢餓きが人口じんこう比率ひりつ増加ぞうかけられない事態じたいとして予想よそうすることができる。

もうひとおおきな課題かだいとしてげることができるのは、民族みんぞくあいだ対立たいりつによる政情せいじょう不安ふあんである。2008ねん上述じょうじゅつとおり、ケニアはかんばつの被害ひがいけたが、おなじように被害ひがいけたはずの周辺しゅうへんこく平均へいきん減少げんしょうしていない。ケニアにはかんばつのほかに穀物こくもつ生産せいさんりょう現象げんしょうさせる要因よういんがあったということである。それは、大統領だいとうりょう選挙せんきょともな民族みんぞくあいだ闘争とうそうにより、本来ほんらい農業のうぎょうこう適地てきちであるリフトバレーしゅうでの農業のうぎょう生産せいさん不可能ふかのうになったということである。リフトバレーしゅうは、"パンのバスケット"とばれるほどおおくの穀物こくもつ収穫しゅうかくりょうほこ地域ちいきで、ながあめとともに到来とうらいする収穫しゅうかくには、国内こくない生産せいさんの80%以上いじょう穀物こくもつ豆類まめるい生産せいさんされている。その地域ちいき人々ひとびとは、生計せいけいてるのに、前述ぜんじゅつのような商品しょうひん作物さくもつ生産せいさんすること、自分じぶんたちがべるぶん食料しょくりょう小規模しょうきぼ生産せいさんすること、畜産ちくさんをすることに依存いぞんしてきた。しかしそこは複数ふくすう民族みんぞく地域ちいきであるため、大統領だいとうりょう選挙せんきょ暴動ぼうどう矛先ほこさきとなり、やく162000世帯せたい強制きょうせい退去たいきょ余儀よぎなくされ、人々ひとびと家畜かちくとともに難民なんみんキャンプに移動いどうした。その結果けっか農業のうぎょう生産せいさん不可能ふかのう国内こくない生産せいさんされるはずだった穀物こくもつおおくがうしなわれたことになり、国内こくない穀物こくもつ市場いちば混乱こんらん状態じょうたいおちいった。

ここからケニア農業のうぎょう問題もんだいてんとして、本稿ほんこうではおおきく以下いかの3てんげる。

これらの問題もんだいてんから、こう適地てきち以外いがい地域ちいきでの灌漑かんがいなど農業のうぎょう設備せつび整備せいびすすめることにより気候きこう変動へんどうによる影響えいきょうけにくい安定あんていてき農業のうぎょう生産せいさん目指めざすこと、民族みんぞく対立たいりつ早期そうき解決かいけつ目指めざすこと、民族みんぞく対立たいりつ農業のうぎょうとどこおらせることがないようガイドラインを策定さくていするなど農業のうぎょう部門ぶもん保護ほごするような制度せいど確立かくりつすることをだいいち取組とりくみ、農業のうぎょう環境かんきょうととのえることがケニア農業のうぎょうには必要ひつようであると主張しゅちょうする。

3.ケニア農業のうぎょう政策せいさく関係かんけいせい

ケニア農業のうぎょうには上記じょうきのような問題もんだいてんがあることがわかった。これらの問題もんだいてんはケニア独立どくりつ、あるいはその以前いぜんからつづくものであり、農業のうぎょうかかわる環境かんきょう基本きほんてきおおきい変化へんかはない。そこで、ケニア独立どくりつから現在げんざいいたるまでの農業のうぎょう状況じょうきょうと、そのとき政府せいふがどのような政策せいさくっていたかを把握はあくし、政府せいふうごきが国内こくない農業のうぎょう経済けいざいにどのような影響えいきょうあたえるかということを考察こうさつする。前述ぜんじゅつで、政府せいふ政策せいさくがGDPを指標しひょうとする国内こくない経済けいざいおおきな影響えいきょうあたえるということと、農業のうぎょうがケニア経済けいざいにおいておおきな比重ひじゅうめているということをしめした。そこから、政府せいふがどのような政策せいさくるかが農業のうぎょうおおきな影響えいきょうおよぼし、ケニア経済けいざいおおきく左右さゆうするとかんがえられる。過去かこのGDP推移すいいてみると、前述ぜんじゅつのとおり、1964ねんから1983ねんまでのケニヤッタ政権せいけん実質じっしつGDP成長せいちょうりつ平均へいきんは6.2%をしめしている。一方いっぽうで、1983ねんから2004ねんまでのモイ政権せいけんは、平均へいきんGDP成長せいちょうりつは1.6%と低迷ていめいしている。対照たいしょうてきなこのふたつの期間きかんにおいてどのような政策せいさくられ、農業のうぎょうにどのような成果せいかがあったのかをていくこととする。

1968ねんから1980ねんまでの農業のうぎょう部門ぶもんとし平均へいきん成長せいちょうりつは4.2%である。アフリカ諸国しょこく平均へいきんは2%だい低迷ていめいしていたことから、世界せかいてきこうきょう良好りょうこう交易こうえき条件じょうけんによるものではないことがわかる。

ケニアにおける穀物生産量と収穫面積の推移

うえのグラフは穀物こくもつ生産せいさんりょう収穫しゅうかく面積めんせき推移すいいあらわしたものである。1970年代ねんだい後半こうはんまでの生産せいさんりょう急速きゅうそくびがれる。その期間きかんでのピークは1976ねんで、1961ねんから1976ねんまでの生産せいさんりょう増加ぞうかりつは、とし平均へいきんで5.9%と、同期どうきあいだのサブサハラ以南いなん地域ちいき平均へいきんが2.2%であることからおおきく平均へいきん上回うわまわっている。同様どうように、1970ねんまでの穀物こくもつ収穫しゅうかく面積めんせき拡大かくだい急速きゅうそくであり、1961ねんから1969ねんまでの収穫しゅうかく面積めんせき拡大かくだいりつ平均へいきんやく6.2%とたか水準すいじゅんしめしている。同期どうきあいだとし平均へいきん人口じんこう増加ぞうかりつは3.0%であることから、この収穫しゅうかく面積めんせき増加ぞうかは、たん労働ろうどう投入とうにゅうりょう増加ぞうか需要じゅよう増加ぞうかによるもののみではないことがわかる。

1962ねんから1970ねんにかけて「100まんエーカー計画けいかく」という、きゅうヨーロッパけいだい農場のうじょう小農しょうのう配分はいぶんし、入植にゅうしょくさせる政策せいさくられたのをはじめ、アフリカけい農民のうみん土地とち所有しょゆうけん取得しゅとくすすんだ。そのことは、入植にゅうしょくしゃ増産ぞうさん意欲いよくたかめたとかんがえることができ、生産せいさんりょう急速きゅうそくびた理由りゆうけのひとつとすることができる。それはのアフリカ諸国しょこく独立どくりつにもこのような理由りゆうにより農業のうぎょう生産せいさん増加ぞうかしているれいおおくあるが、ケニヤッタ成長せいちょうのもうひとつの理由りゆうとして、市場いちば農業のうぎょう生産せいさんうながすための投資とうし、インフラ整備せいびすすめられたことをげることができる。

ケニアの農業のうぎょう特徴とくちょうは、植民しょくみん時代じだいにヨーロッパけい入植にゅうしょくしゃによって形作かたちづくられた市場いちば指向しこうがた農業のうぎょう継承けいしょうされたために、生産せいさん構成こうせいにおいて商品しょうひん作物さくもつ比率ひりつ比較的ひかくてきたかいこと、および食料しょくりょう生産せいさん市場いちばがケニヤッタにおいてかなりすすんでいたことである。その商品しょうひん作物さくもつれいとしてコーヒーやちゃ生産せいさんげることができる。ケニヤッタは独立どくりつ、インフラの整備せいび小農しょうのう支援しえんおこなったが、その好例こうれいちゃ生産せいさんである。ちゃ生産せいさんは、ちゃりが年間ねんかんつうじて可能かのうであるという利点りてんがあるが、その一方いっぽうで、ちゃじゅ栽培さいばいや、流通りゅうつう加工かこうたか技術ぎじゅつ組織そしきせい必要ひつようとすることから、植民しょくみん時代じだいには困難こんなんであるとかんがえられていた。しかし、植民しょくみん時代じだい末期まっきから独立どくりつにかけて、小農しょうのうちゃ生産せいさん促進そくしんのためのさくすすめられた。独立どくりつ直後ちょくごの1964ねんには、それまでの組織そしき再編さいへんして、「ケニアちゃ開発かいはつ公社こうしゃ以下いか、KTDA)」が設立せつりつされた。ケニヤッタの意思いし反映はんえいし、KTDAは世界銀行せかいぎんこう巨額きょがく融資ゆうしもちいて、小農しょうのう生産せいさん振興しんこうおこなった。政府せいふちゃ精算せいさん振興しんこう政策せいさくにおいてはしらとなったのは、たか品質ひんしつまもるための農民のうみんへの技術ぎじゅつ指導しどう生産せいさんぶつ投入とうにゅうぶつ流通りゅうつうとうかかわる支援しえんくわえて、加工かこう施設しせつおよどう施設しせつまでの道路どうろもう整備せいびである。ちゃ特性とくせいじょうちゃ集荷しゅうか加工かこう迅速じんそくしなければならないが、そのために小農しょうのうちゃ生産せいさん地区ちく加工かこう施設しせつつくられるとともに「茶道さどう」とばれる輸送ゆそう建設けんせつされた。キクユなど、ヨーロッパ居住きょじゅう地区ちく周辺しゅうへん居住きょじゅうしていた人々ひとびと植民しょくみん時代じだいはや時期じきからそうした商品しょうひん作物さくもつれ、生産せいさんのための知識ちしきにつけていたため、市場いちば生産せいさんへのたか意欲いよくっていた。政府せいふはそうした意欲いよくたいし、小農しょうのうけのインフラ投資とうしつうじてこたえることが重要じゅうよう課題かだいであり、ケニヤッタ政権せいけんはその課題かだい政策せいさく反映はんえいさせた。そして小農しょうのうもまた、そうした政府せいふ積極せっきょくてき支援しえんこたえてちゃをはじめとする生産せいさん急速きゅうそくやしていった。そして、そうした商品しょうひん作物さくもつ中心ちゅうしんとする農業のうぎょう部門ぶもん成長せいちょうは、ケニア経済けいざい全体ぜんたい好影響こうえいきょうあたえた。まず製造せいぞうぎょう製品せいひんたいする需要じゅようび、輸入ゆにゅう代替だいたい工業こうぎょう推進すいしんされた。1968ねんから1980ねんにかけての家計かけい最終さいしゅう消費しょうひ支出ししゅつとし平均へいきんやく6.6%の増加ぞうかしめした。また、農家のうかどもたちの教育きょういくへの投資とうしすすみ、学校がっこう教育きょういくけた人々ひとびとがナイロビなどのとし移動いどうし、都市とし工業こうぎょう部門ぶもんでの労働ろうどう需要じゅよう拡大かくだいこたえた。べつめんかられば、都市とししょくもとめたひとたちのおおくは失業しつぎょうせずに都市とし産業さんぎょう部門ぶもん雇用こようされた。

そのような都市とし部門ぶもんでの成長せいちょうは、法人ほうじんぜいなどの増収ぞうしゅうからケニヤッタ政権せいけん財源ざいげん確保かくほ寄与きよし、政府せいふ歳入さいにゅう拡大かくだい安定あんていをもたらした。1970年代ねんだい、ケニア政府せいふ経常けいじょう予算よさん黒字くろじであった。このことが、農村のうそん農業のうぎょう部門ぶもんへのインフラ投資とうしをはじめとする農業のうぎょう環境かんきょう整備せいび容易よういにした。ようするに、当時とうじのケニアでは、農業のうぎょう部門ぶもん発展はってん工業こうぎょう部門ぶもん成長せいちょうささえ、工業こうぎょう部門ぶもん成長せいちょう政府せいふ歳入さいにゅう拡大かくだい貢献こうけんし、それが政府せいふ農業のうぎょう部門ぶもんへのインフラ投資とうしうながすという、資源しげんこう循環じゅんかんっていたのである。そしてその循環じゅんかんみなもと政府せいふのインフラ投資とうし成果せいかによる農業のうぎょう部門ぶもん発展はってんであることをしんめておく必要ひつようがある。

ケニヤッタ政策せいさくには以上いじょうのようなすぐれた成果せいかをもたらしたという事実じじつがあるが、その一方いっぽうで、前述ぜんじゅつで、独立どくりつ土地とち配分はいぶん方法ほうほう一定いってい民族みんぞく優位ゆういはたらくような要素ようそがあるとしめしたが、同様どうように、インフラ整備せいび中心ちゅうしんとする投資とうしには地域ちいきによる格差かくさ存在そんざいした。

 

1978とし

1993とし

増加ぞうかりつ(%)

しゅう

舗装ほそう道路どうろ

ぜん道路どうろ

舗装ほそうりつ(%)

舗装ほそう道路どうろ

ぜん道路どうろ

舗装ほそうりつ(%)

舗装ほそう道路どうろ

ぜん道路どうろ

セントラルしゅう

1,125

5,862

19

1,944

7,736

25

73

32

コーストしゅう

312

3,106

10

653

5,246

12

109

69

イースタンしゅう

501

10,081

5

1,097

12,991

8

119

29

ノースイースタンしゅう

3,694

25,973

14

ニャンザしゅう

508

5,461

9

747

7,200

10

47

32

リフトバレーしゅう

1,332

10,102

13

3,169

18,668

17

138

85

ウエスタンしゅう

269

2,951

9

405

4,049

10

51

37

高橋たかはし 基樹もときちょ開発かいはつ国家こっか参照さんしょう

うえひょうは、ナイロビとモンバサという2大都市だいとしのぞいた、ケニアの各州かくしゅうにおけるぜん道路どうろ舗装ほそう道路どうろそう延長えんちょうしめしたものである。1978ねんにおけるセントラルしゅう優位ゆういれる。このふたつのしゅうはキクユが居住きょじゅうしている地域ちいきで、道路どうろ整備せいびひとつのれいぎないが、ケニヤッタ政権せいけんにおいて財政ざいせい資源しげん配分はいぶんかたよりがあったことを示唆しさしている。このことが、のち民族みんぞくあいだ格差かくさから民族みんぞくあいだ対立たいりつへと発展はってんし、現在げんざい政情せいじょう不安ふあんへとつづいている。

1978ねんにケニヤッタが死去しきょすると、つづいて当時とうじふく大統領だいとうりょうであったモイが大統領だいとうりょう就任しゅうにんした。2004ねんまでのモイ政権せいけんのGDPは前述ぜんじゅつとおり、平均へいきん1.6%と低迷ていめいしている。農業のうぎょうはどうだろうか。構造こうぞう調整ちょうせい開始かいしされた1980ねんから、複数ふくすう政党せいとうせい採用さいようされる1992ねんまでの期間きかん農業のうぎょう部門ぶもんとし平均へいきん成長せいちょうりつは2.7%と、ケニヤッタの4.2%からおおきく下降かこうしている。また、穀物こくもつ生産せいさんりょうびはケニヤッタくらべ0.4%のびにとどまっており、どう時期じきのサブサハラ以南いなん地域ちいき平均へいきんが2.1%であることからその平均へいきんおおきく下回したまわっている。また、ケニヤッタ穀物こくもつ生産せいさん最大さいだいりょうは1977ねんやく318まんトンであるが、その2002ねんまでのあいだ上回うわまわったのはいつつのとしのみである。商品しょうひん作物さくもつ売上うりあげだかについては、1977ねんおなじくケニヤッタさい高値たかねであるが、その2002ねんまでこの上回うわまわ売上うりあげだか記録きろくされていない。その理由りゆうは、工業こうぎょう部門ぶもん農業のうぎょう部門ぶもん双方そうほうにある。まず、石油せきゆ危機ききやレーガノミクスにはしほっする世界せかいてききょうと、さらに製品せいひん仕向しむさきともなってきた近隣きんりん諸国しょこくとのひがしアフリカ共同きょうどうたいが、タンザニアとの外交がいこうてき軋轢あつれきにより崩壊ほうかいかさなり製造せいぞうぎょう部門ぶもん低迷ていめいした。農業のうぎょう部門ぶもん前述ぜんじゅつのように、1980ねんと1984ねんかんばつの被害ひがいけ、食糧しょくりょう危機きき深刻しんこくなものであった。農業のうぎょう部門ぶもん停滞ていたい国内こくない需要じゅよう抑制よくせいすることとなり、製造せいぞうぎょう部門ぶもん低迷ていめい決定的けっていてきなものになった。そしてそのことが政府せいふ財政ざいせい収支しゅうし悪化あっかにつながった。このように、ケニヤッタつくげられた資源しげんこう循環じゅんかんおおきくくずれたことがモイ経済けいざい成長せいちょう低迷ていめいおおきな要因よういんである。しかし、このような世界せかいてき状況じょうきょうなかで、1990年代ねんだい前半ぜんはんからおおくのアフリカ諸国しょこくすこしずつ回復かいふく基調きちょうはいっていく。しかしケニアの低迷ていめいは21世紀せいきはいってからもつづいていることから、これらの要因よういんのみでは説明せつめいがつかない。そこで、どう時期じき農業のうぎょう状態じょうたいとそこでられた政策せいさくうことで、ケニア農業のうぎょうかれた状況じょうきょう把握はあくし、低迷ていめい要因よういんについて考察こうさつおこなう。モイ政治せいじ農業のうぎょう経済けいざい関係かんけいせいるためには、まず土地とち問題もんだいについて把握はあくしていく必要ひつようがある。

ケニアにおける穀物収穫面積の推移

うえのグラフをると、穀物こくもつ収穫しゅうかく面積めんせきは1977ねんひとつのピークにむかえ、そのモイ政権せいけん末期まっきの2001ねんまでこれを上回うわまわることはなかった。このあいだ農業のうぎょう人口じんこうつづけていることから、人口じんこう増加ぞうか対応たいおうする土地とち拡大かくだい限界げんかいちかづいたともられる。この現象げんしょうはアフリカ全体ぜんたいられるものだが、同時どうじに、農地のうちのかなりの部分ぶぶん休閑きゅうかん状態じょうたい効率こうりつ遊休ゆうきゅう状態じょうたいにある(5)ということを留保りゅうほする必要ひつようがある。遊休ゆうきゅう状態じょうたいもっと重要じゅうようしなければならないてんは、そのだい部分ぶぶんだい土地とち所有しょゆうしたにあり、その土地とちかならずしも人口じんこう増加ぞうか対応たいおうして極限きょくげんまで効率こうりつてき利用りようされるにいたっていないということである。

耕作こうさく可能かのう土地とち拡大かくだい限界げんかい直面ちょくめんは、人口じんこう稠密ちゅうみつ地域ちいきからはじまり、前述ぜんじゅつのような人口じんこう移動いどうともなって地域ちいきおよんだと推測すいそくすることができる。前述ぜんじゅつとおり、植民しょくみん自体じたい名残なごりおな地域ちいきおな民族みんぞくあつまって居住きょじゅうしていることから、人口じんこう移動いどうさいに、そと地域ちいきとする民族みんぞく集団しゅうだんが、人口じんこう密度みつどひく地域ちいき流入りゅうにゅうすることになる。そのさいに「よそもの」が侵入しんにゅうしてきたとみなされやすく、従来じゅうらい居住きょじゅうしてきたものと、流入りゅうにゅうしてきたものあいだには軋轢あつれき摩擦まさつきる可能かのうせいたかくなる。実際じっさいに、ニャンザしゅうからリフトバレーしゅうへと進入しんにゅうしたキクユ、ルイヤ、ルオと、先住せんじゅうしゃであるカレンジンやマサイのあいだでは、土地とちについてのかんがかたおおきなちがいがみられ、リフトバレーしゅうでは、前者ぜんしゃ後者こうしゃとのあいだ暴力ぼうりょくともな紛争ふんそうがみられた。そうした紛争ふんそう政治せいじへと影響えいきょうし、だい規模きぼしたのが、2008ねんきた暴動ぼうどうである。そこには、アフリカじん本来ほんらいかえしてきた移動いどう論理ろんりと、植民しょくみん支配しはいによってもたらされた近代きんだいヨーロッパのかんがかたである、排他はいたてき土地とち所有しょゆうけん制度せいどとのあいだしょうじた軋轢あつれきふか根付ねついている。

そうした民族みんぞくあいだ土地とちをめぐる軋轢あつれきふかまるなかで、モイ政権せいけん統治とうち変質へんしつさせていった。前述ぜんじゅつとおり、ケニヤッタはキクユへと資源しげん集中しゅうちゅうさせ、政治せいじエリートそうきずき、寡頭支配しはいおこなっていったが、一転いってんしてもモイは、自分じぶん出身しゅっしんであるカレンジンをはじめとする「わすれられた人々ひとびと」の利益りえき擁護ようごした。また、大臣だいじんとう政府せいふ要職ようしょくにはキクユじんわって徐々じょじょにカレンジンの人々ひとびとき、ケニヤッタ部族ぶぞく主義しゅぎてき性格せいかくは、モイにより強化きょうかされたとることができる。また、農業のうぎょう関連かんれん開発かいはつれいとして、穀物こくもつ集荷しゅうか施設しせつ増設ぞうせつげることができる。穀物こくもつ流通りゅうつうかかわる後者こうしゃ統合とうごう再編さいへんし、カレンジンの居住きょじゅうであるリフトバレーしゅう穀物こくもつ集荷しゅうか施設しせつ急激きゅうげき増加ぞうかさせ、同時どうじ雇用こようを3ばい拡大かくだいさせた。

また、カレンジン擁護ようご政策せいさくはインフラ整備せいびてんからも確認かくにんすることができる。

 

1978とし

1993とし

増加ぞうかりつ(%)

しゅう

舗装ほそう道路どうろ

ぜん道路どうろ

舗装ほそうりつ(%)

舗装ほそう道路どうろ

ぜん道路どうろ

舗装ほそうりつ(%)

舗装ほそう道路どうろ

ぜん道路どうろ

セントラルしゅう

1,125

5,862

19

1,944

7,736

25

73

32

コーストしゅう

312

3,106

10

653

5,246

12

109

69

イースタンしゅう

501

10,081

5

1,097

12,991

8

119

29

ノースイースタンしゅう

3,694

25,973

14

ニャンザしゅう

508

5,461

9

747

7,200

10

47

32

リフトバレーしゅう

1,332

10,102

13

3,169

18,668

17

138

85

ウエスタンしゅう

269

2,951

9

405

4,049

10

51

37

高橋たかはし 基樹もときちょ開発かいはつ国家こっか参照さんしょう

ひょうると、ケニヤッタの1978ねんからモイの1993ねんにかけて、セントラルの優位ゆういわらないものの、リフトバレーしゅうにおける舗装ほそう道路どうろおよびぜん道路どうろそう延長えんちょうびのいちじるしさが目立めだつ。これはモイ政権せいけんみずからの民族みんぞく集団しゅうだん利益りえき誘導ゆうどうてき財政ざいせい支出ししゅつ配分はいぶんをした結果けっかということができる。

もうひと注目ちゅうもくすべきなのは、農業のうぎょう部門ぶもんへの開発かいはつ支出ししゅつはケニヤッタくらてい水準すいじゅん不安定ふあんていになっていることである。これは、世界せかいてききょうにより財政ざいせい状況じょうきょう悪化あっかしたことがげられるが、きょうもうひとつの原因げんいんとして、一般いっぱん行政ぎょうせい開発かいはつ支出ししゅつというあいまいな項目こうもく拡大かくだいげることができる。基本きほんてきにこの項目こうもく大刀たちおもんばか以下いか政権せいけん中枢ちゅうすう最良さいりょうまかされている部分ぶぶんおおく、政治せいじてき配慮はいりょによって生産せいさんてき費消ひしょうされている場合ばあいがしばしばだとおもわれる。いずれにせよ、モイ政権せいけんしたでは、ケニヤッタ政権せいけんられるような、目覚めざましい生産せいさん拡大かくだい効果こうかった政府せいふ開発かいはつ支出ししゅつやインフラ投資とうしおこなわれなかったとかんがえられる。


ケニヤッタとモイ経済けいざい農業のうぎょう状況じょうきょうと、そのときられた政策せいさくをここまでてきてあきらかになったことは、まず政策せいさく農業のうぎょうおおきな影響えいきょうあたえるということ、そしてケニアにおいては農業のうぎょう部門ぶもん発展はってん安定あんてい直接ちょくせつ国内こくない経済けいざい発展はってん安定あんていにつなげるということである。ケニヤッタにおいては独立どくりつくにづくりの時期じきということもあり農家のうかのインセンティブもたかかったことが成功せいこう要因よういんひとつとしてかんがえられるが、同時どうじに、民族みんぞくあいだ格差かくさなど、現在げんざいにまでのこ問題もんだいが、政策せいさくられかたによってしょうじてしまうということもあきらかになった。モイでは、世界せかいてききょう影響えいきょうけるなかで、本来ほんらいであるならば国内こくない経済けいざい状況じょうきょう正確せいかく把握はあくし、政府せいふ対策たいさくこうじるべきであったが、政治せいじてき意図いと政策せいさくおおきな影響えいきょうあたえ、その判断はんだんゆがみがしょうじた。政策せいさく重要じゅうようせいあらためてあきらかになった。

また、ケニヤッタ政権せいけんとモイ政権せいけん共通きょうつうしてえることは、自分じぶん民族みんぞく集団しゅうだんへの優遇ゆうぐう政策せいさく横行おうこうしているということである。そうした政策せいさく一部いちぶ民族みんぞく恩恵おんけいあた格差かくさすとともに、政権せいけんわるたびに政策せいさく方向ほうこうせいおおきくわることから、国内こくない経済けいざい安定あんていせい期待きたいすることはできない。

ケニア政府せいふは、国内こくない経済けいざいにおいておおきな比重ひじゅうめている農業のうぎょう部門ぶもんへの投資とうし積極せっきょくてきおこな必要ひつようがある。とくに、かぎられた農業のうぎょう用地ようち効率こうりつてき利用りようするための灌漑かんがい流通りゅうつう効率こうりつうなが道路どうろ設備せつび制度せいどなどのインフラ整備せいび重要じゅうようで、それも投資とうしおこなさいには、その対象たいしょうを、民族みんぞくちがいではなく、投資とうしおこなうことによってられる成果せいかやその必要ひつようせいにより優先ゆうせん順位じゅんいをつけおこなうべきであると主張しゅちょうする。

4.農村のうそん開発かいはつかかわる活動かつどうおこなう組織そしき

いままでのところで、ケニア農業のうぎょう課題かだいと、過去かこにどのような政策せいさくられてきたかをてきた。そして、ケニアにおいて、農業のうぎょう経済けいざい政治せいじふかかかわっていることがあきらかになった。ここでは、現在げんざい実際じっさい農業のうぎょう分野ぶんや根本こんぽんてき単位たんいである農村のうそん開発かいはつたずさわる活動かつどうおこなっている組織そしき活動かつどう内容ないようれい組織そしき特徴とくちょう把握はあくすることで、ケニア農業のうぎょう分野ぶんや発展はってん目指めざした連携れんけい枠組わくぐみのなかでプレーヤーになりうる組織そしき特徴とくちょうり、連携れんけいのありかたについてかんがえる要素ようそひとつとする。

たりまえのことではあるが、もっとも国内こくない状況じょうきょう精通せいつうしており、現状げんじょう把握はあくしているのはケニア政府せいふである。農務のうむしょうという農業のうぎょうせんもん省庁しょうちょう存在そんざいし、国内こくない農業のうぎょう発展はってん目指めざした活動かつどうおこなっている。2008ねん6がつに、「ケニア・ビジョン2030」という長期ちょうき開発かいはつ戦略せんりゃくて、a)経済けいざい年間ねんかん10%平均へいきん経済けいざい成長せいちょうりつ達成たっせいとその2030ねんまでの維持いじ b)社会しゃかい清潔せいけつ安全あんぜん環境かんきょうにおける構成こうせい公平こうへい社会しゃかい開発かいはつ c)政治せいじ課題かだいたち成型せいけい人々ひとびと中心ちゅうしん結果けっか重視じゅうし説明せつめい責任せきにんのある民主みんしゅシステムの実現じつげん目指めざしている。政府せいふによる活動かつどう長所ちょうしょは、まず権力けんりょくせいがあり、国内こくないだい規模きぼ活動かつどうおこなうことができるてんである。また、企業きぎょうことなり、利益りえき追求ついきゅうをしないために、長期間ちょうきかんにわたったビジョンにもとづきプロジェクトを策定さくていできるてんげることができる。しかし同時どうじに、プロジェクト策定さくていから実施じっしまでにかなりの時間じかんゆうする短所たんしょがある。時間じかんがかかることで、支援しえん活動かつどう必要ひつようなタイミングや効果こうかてきなタイミングをのがすケースがかんがえられるということ、軌道きどう修正しゅうせいするのにもまた時間じかんがかかることがげられる。また、利益りえき追求ついきゅうしないがためにしょうじるすき現場げんばへの対応たいおうりょくよわさ、コストパフォーマンスのわるさも指摘してきできる。

国連こくれん活動かつどうは、くにえた世界せかい規模きぼでの活動かつどうくだりなえること、専門せんもんやプロジェクトにかかわる人材じんざいを、くにえてすぐれた人材じんざいあつめることができること、そういった体制たいせいととのっていることを長所ちょうしょとしてげることができる。同時どうじに、ある一定いっていくにでの活動かつどうは、そのくに政府せいふ要請ようせい必要ひつようであること、また、国家こっかあいだ中立ちゅうりつてき立場たちばである必要ひつようがあり、ひとつのくにかたよった活動かつどうおこなえないといった短所たんしょげることができる。

企業きぎょうは、利潤りじゅん追求ついきゅうおこなうことで経済けいざいてき持続じぞく可能かのう活動かつどうのノウハウをち、より効率こうりつてき活動かつどうつね目指めざしている性質せいしつ長所ちょうしょとしてとらえることができる。しかし一方いっぽうでその性質せいしつが、利潤りじゅん追求ついきゅう最大さいだい目的もくてきであるがために、かならずしもその活動かつどうおおやけ福祉ふくしにつながるとはかぎらない、ときには経済けいざいてきなリスクを立場たちばしょうじる可能かのうせいがあるという短所たんしょにつながる。

現地げんち活動かつどうしているNGOの長所ちょうしょとして、その団体だんたい活動かつどう内容ないようやその方法ほうほう規模きぼにより差異さいはあるが、くさてき活動かつどうおこなっている団体だんたいについては、現地げんち住民じゅうみんのニーズにたいし、よりきめささやかな支援しえん可能かのうということ、より住民じゅうみんちか組織そしきであり、かおかおえる関係かんけいである場合ばあいおおいため、信頼しんらい関係かんけいきずきやすいことがおおきな長所ちょうしょである。しかし一方いっぽうで、経済けいざいてき活動かつどう持続じぞくさせるのが困難こんなんである場合ばあいおおかったり、そういった経済けいざいてきめんからだい規模きぼなプロジェクトの実施じっし困難こんなんであるという短所たんしょげることができる。また、住民じゅうみんちかいがゆえに客観きゃっかんせいける可能かのうせいがあるといったてんかんがえることができる。

以上いじょうのように、それぞれの組織そしき活動かつどうには長所ちょうしょがある一方いっぽうで、短所たんしょ存在そんざいする。これらの組織そしきたがいの短所たんしょおぎなうと同時どうじに、長所ちょうしょ相乗そうじょうてきばすことを連携れんけいによる活動かつどうおこなうことで期待きたいする。

しょう ふたつの事例じれいむすびつける

1.農村のうそん開発かいはつけた連携れんけいのありかた

ぜん項目こうもくで、ケニアにおいてしょ団体だんたいがケニア農業のうぎょうおよ飢餓きが人口じんこう削減さくげん関連かんれんした課題かだい改善かいぜんすべく、どのような活動かつどうをしているのかをてきた。それぞれの活動かつどうには長所ちょうしょがあり、同時どうじ弱点じゃくてんもある。そのような弱点じゃくてん上手うまおぎなうような連携れんけいをどのようなかたちてていくべきか、その枠組わくぐみを単純たんじゅんしたかたちかんがえる。そのさいに、横浜よこはま国際こくさいフェスタにおける連携れんけいのケースを参考さんこうに、かく組織そしきがどのような目的もくてきでその枠組わくぐみに参加さんかし、どのような役割やくわりたしていくべきかということについてここでは言及げんきゅうする。

した前述ぜんじゅつでももちいた、横浜よこはま国際こくさいフェスタにおける連携れんけい概念がいねんをまとめたである。この連携れんけいにおいて重要じゅうようなことは、行政ぎょうせい、NGO、企業きぎょうなど様々さまざま組織そしきひとつのプロジェクトにたずさわり、それをつくげていること、もうひとつは、それぞれの組織そしき存在そんざいすることでひとつのイベントがっているというてんである。

よこはま国際フェスタにおける連携の概念図

横浜よこはま国際こくさいフェスタでの連携れんけいをケニアの農業のうぎょう部門ぶもん改善かいぜんけた連携れんけい投影とうえいするとき、前者ぜんしゃでのそれぞれの組織そしき後者こうしゃ場合ばあいはどういった組織そしきがどのような立場たちばになっていくことになるかということをまずかんがえる。そこで、このイベントにおける連携れんけいなか活動かつどうしている組織そしきと、それぞれの活動かつどう役割やくわりについて整理せいりおこなう。

主催しゅさい組織そしきは、連携れんけい全体ぜんたいのコーディネートや、それぞれのニーズの把握はあく、イベントにたいする評価ひょうか把握はあくし、年度ねんど以降いこうのイベント運営うんえい反映はんえいさせる。連携れんけいたずさわるしょ組織そしきへの情報じょうほう提供ていきょうおこない、しょ組織そしき連携れんけいかんする活動かつどう適切てきせつおこなえるよううなが役割やくわりたす。主催しゅさい組織そしき裁量さいりょうひとつのプロジェクトの成果せいかおおきくえる。出展しゅってん団体だんたいは、イベントになくてはならないプレーヤーである。それぞれの団体だんたい活動かつどう次第しだいでプロジェクトの成果せいかわってくる。そのため、それぞれはこのプロジェクトの目的もくてきをよく理解りかい活動かつどうすることが重要じゅうようである。ボランティアスタッフは、もっとも実務じつむてきな、イベント開催かいさいともな直接的ちょくせつてき作業さぎょうおこな立場たちばである。ひとひとつの作業さぎょうおおきくなくとも、ひとひとつの活動かつどう成果せいかがプロジェクト全体ぜんたい作用さようしてくる。企画きかく協力きょうりょく団体だんたい外部がいぶからの協力きょうりょくおこなう。技術ぎじゅつ情報じょうほう提供ていきょうにより、課題かだい解決かいけつ改善かいぜん寄与きよする。スポンサーは資金しきんめんでの協力きょうりょくになう。プロジェクトをはじめるにはまとまった資金しきん必要ひつようとなる。そうなった場合ばあい不可欠ふかけつ存在そんざいである。一般いっぱん来場らいじょうしゃは、最終さいしゅうてき受益じゅえきしゃであり、この受益じゅえきしゃのためにプロジェクトを実施じっししているということになる。よって、プロジェクトをおこなさいはその受益じゅえきしゃのニーズを正確せいかくとらえ、真摯しんしにそれにこたえることがさい優先ゆうせんである。そのニーズをどのようにとらえるかがひとつのおおきなポイントとなってくる。

立場たちば

役割やくわり

よこはま国際こくさいフェスタ2010では

主催しゅさい組織そしき

連携れんけい全体ぜんたいのコーディネート、調整ちょうせい

Yokohama C Plat

出展しゅってん団体だんたい

連携れんけいなか活動かつどうおこなうプレーヤー

NGO、国連こくれん行政ぎょうせい学校がっこう企業きぎょう

ボランティアスタッフ

もっとも直接的ちょくせつてきな、具体ぐたいてき作業さぎょうをこなす

e-vo(=市民しみん

企画きかく協力きょうりょく団体だんたい

技術ぎじゅつ情報じょうほう提供ていきょう外部がいぶからの協力きょうりょく

企業きぎょう行政ぎょうせい市民しみん活動かつどう団体だんたい

スポンサー

資金しきん提供ていきょう投資とうし

外部がいぶ機関きかん

一般いっぱん来場らいじょうしゃ

最終さいしゅうてき受益じゅえきしゃ

市民しみん

それぞれの役割やくわりをケニアにおける連携れんけいかんがえた場合ばあい、どのような組織そしきてはまるか、てはめていくべきかをかんがえる。

横浜よこはま国際こくさいフェスタ

 

ケニア

主催しゅさい組織そしき

連携れんけい全体ぜんたいのコーディネート、調整ちょうせい

政府せいふ+国連こくれん

出展しゅってん団体だんたい

連携れんけいなか活動かつどうおこなうプレーヤー

政府せいふ国連こくれん企業きぎょうNGO

ボランティアスタッフ

もっとも直接的ちょくせつてきな、具体ぐたいてき作業さぎょうをこなす

市民しみん、それぞれの組織そしきのメンバー

企画きかく協力きょうりょく団体だんたい

技術ぎじゅつ情報じょうほう提供ていきょう外部がいぶからの協力きょうりょく

企業きぎょう海外かいがい政府せいふ国連こくれん研究けんきゅう機関きかん

スポンサー

資金しきん提供ていきょう投資とうし

先進せんしんこく政府せいふ国連こくれん海外かいがい企業きぎょう

一般いっぱん来場らいじょうしゃ

最終さいしゅうてき受益じゅえきしゃ

国民こくみん

まず、横浜よこはま国際こくさいフェスタにおいては主催しゅさい組織そしき役回やくまわり、連携れんけい目的もくてきさだめ、その方向ほうこうせいめていく役割やくわりたし、連携れんけい全体ぜんたいのコーディネートをおこない、それぞれの活動かつどう調整ちょうせいおこなうことで連携れんけい成果せいかをあげるよう活動かつどうおこなうべきなのは、ケニア政府せいふである。くに全体ぜんたい統括とうかつし、国民こくみん生活せいかつくにというおおきな存在そんざいささえるべき組織そしきであり、その権利けんり義務ぎむゆうする唯一ゆいいつ組織そしきだからである。しかし、前述ぜんじゅつとおり、ケニア政府せいふには課題かだいのこされている。ひとつは民族みんぞく問題もんだいである。過去かこには、大統領だいとうりょう自分じぶん出身しゅっしん民族みんぞく有利ゆうりなような政策せいさくり、民族みんぞくあいだ格差かくさへと発展はってんしている。現在げんざい複数ふくすう政党せいとうせい採用さいようし、以前いぜんのような寡頭状態じょうたい緩和かんわされたが、以前いぜん民族みんぞくあいだ政治せいじてき権力けんりょく存在そんざいしている。複数ふくすう民族みんぞく居住きょじゅうしている国家こっか政府せいふであるからには、政府せいふ内部ないぶにおける民族みんぞく差異さいはなくしていかなければならない。また、汚職おしょく横行おうこうしているが、その温床おんしょう行政ぎょうせいにある。莫大ばくだい不正ふせい資金しきんながれがあるかぎり、生産せいさんてき投資とうしおこなわれにくい。そういった政府せいふたいし、助言じょげん監督かんとくおこなうのが国連こくれん役割やくわりである。各国かっこく政府せいふ連携れんけい機関きかんである国連こくれんは、政府せいふたいしてある程度ていど介入かいにゅうおこなうことができる。国内こくない農業のうぎょう部門ぶもん発展はってんけたプロジェクトをげるさい国連こくれんたずさわり、公平こうへいせいのある計画けいかくなのか、実現じつげん可能かのうなのか、客観きゃっかんてき立場たちばからの監督かんとく必要ひつようであるとかんがえる。

出展しゅってん団体だんたい役回やくまわりであり、連携れんけいなかでそれぞれ目的もくてき達成たっせいけた活動かつどうおこなうのは、政府せいふ国連こくれん国内こくない企業きぎょう、NGOである。ぜん項目こうもくのように、それぞれの組織そしきにはそれぞれ活動かつどうたいする長所ちょうしょ短所たんしょわせている。それぞれがどのような活動かつどう連携れんけいなかおこなっていくことが有効ゆうこうてきか、それぞれの組織そしきあいだでの合意ごうい協調きょうちょうをする必要ひつようがある。また、連携れんけいおこな実施じっしするプロジェクトの目的もくてきなどの情報じょうほう共有きょうゆうしあう必要ひつようがある。その合意ごうい形成けいせい情報じょうほう共有きょうゆう連携れんけいないでコーディネートするのは、政府せいふ役割やくわりである。もっとも直接的ちょくせつてき具体ぐたいてき作業さぎょうおこな役割やくわりになっている、ボランティアスタッフにたる役割やくわりたすのは、それぞれの組織そしき所属しょぞくするメンバーと、国民こくみん自身じしんである。そうした組織そしき所属しょぞくしているメンバーは国民こくみんである可能かのうせいたかいので、結局けっきょく国民こくみん国民こくみんのためのプロジェクト実施じっし尽力じんりょくそそぐのが理想りそうてきである。そうしたかんがかたが、海外かいがいからの支援しえん依存いぞんしない、自立じりつした開発かいはつ自発じはつ可能かのう開発かいはつおこなうえでなくてはならない。よって、かれらはそれぞれの組織そしきからあたえられた作業さぎょう坦々たんたんとこなすのではなく、プロジェクトの目的もくてき理解りかいし、みずからがどのような活動かつどうをすれば成果せいかがるのかをかんがえ、行動こうどうすべきである。

外部がいぶからの協力きょうりょくおこなうのは、企業きぎょう海外かいがい政府せいふ国連こくれん研究けんきゅう機関きかんである。企業きぎょうは、専門せんもんてきなノウハウを提供ていきょうすることで、持続じぞく可能かのう開発かいはつ目指めざす。海外かいがい政府せいふ国連こくれん研究けんきゅう機関きかんとく先進せんしんこくのそうした機関きかんには最先端さいせんたん技術ぎじゅつあつまる可能かのうせいたかい。そうした技術ぎじゅつ提供ていきょうすることで、連携れんけいない活動かつどう促進そくしん可能かのうにする。資金しきんてき支援しえん先進せんしんこく政府せいふ国連こくれん海外かいがい企業きぎょう中心ちゅうしんとなっておこなうことになる。途上とじょうこく政府せいふ財政ざいせい余裕よゆうがなく、だい規模きぼなプロジェクトをおこなさいには外部がいぶからの資金しきん提供ていきょうたよらざるない部分ぶぶんがある。しかし、それはプロジェクトの序盤じょばんのみとし、終始しゅうし外部がいぶからの資金しきん依存いぞんすることはけなくてはならない。経済けいざいてき持続じぞく可能かのう開発かいはつ実現じつげんする必要ひつようがある。また、とく海外かいがい企業きぎょうによる投資とうし期待きたいする場合ばあい投資とうしさきとしての魅力みりょく必要ひつようである。投資とうしさきとしての魅力みりょくとは、将来しょうらいせいである。将来しょうらい国内こくない市場いちば発展はってんし、あらたな市場いちばとして評価ひょうかできるようになるとおもえるような状況じょうきょうでないと、投資とうしさきとしてのリスクがたかい。そのため、国内こくない市場いちば環境かんきょう効率こうりつせいたかめることが政府せいふ役割やくわりになってくる。また、そういったてんでも、国内こくない汚職おしょくなど、不透明ふとうめい資金しきんうごきはなくしていかなければならない。投資とうしした資金しきん効率こうりつてき利用りようされないところに投資とうしさきとしての期待きたいをすることは出来できないからである。最後さいごに、最終さいしゅうてき受益じゅえきしゃ国民こくみんである。国民こくみん受益じゅえきしゃであり、同時どうじにプレーヤーでもある。かれらには、ニーズをつたえたり、自分じぶんたち状況じょうきょう改善かいぜんするにはどうすればいいのかみずかかんが提案ていあんしたりする責任せきにんがある。最終さいしゅうてきなプロジェクトの目的もくてきさきには国民こくみん存在そんざいすることから、もっと重要じゅうよう存在そんざいなのは受益じゅえきしゃである国民こくみんである。

ここまで、それぞれの組織そしきがどのような役割やくわりをどのようにたすべきかかんがえてきた。それらをまとめたのがしたである。

国内での連携のフレームワーク

あらたに、農村のうそん地域ちいきコミュニティーと、地方ちほう行政ぎょうせい存在そんざいくわえた。農村のうそん農業のうぎょう部門ぶもん市民しみん活動かつどうおこなう最小さいしょう単位たんいであり、その管理かんり地方ちほう行政ぎょうせい担当たんとうする。地方ちほう行政ぎょうせい市民しみん生活せいかつにもっともちか行政ぎょうせい機関きかんであり、市民しみんのニーズを把握はあくしやすい長所ちょうしょつ。

ケニアの農村のうそん部門ぶもん発展はってんのための農村のうそん開発かいはつプロジェクトを策定さくていすることを仮定かていし、プロジェクト策定さくていから実行じっこう、その評価ひょうかなどながれに沿って、この連携れんけい参考さんこうに、それぞれの組織そしき活動かつどうとその連携れんけいのありかたかんがえる。

まず、プロジェクトのげからかんがえる。政府せいふげたプロジェクトであることを仮定かていする。策定さくていにあたり、その対象たいしょう地域ちいきさだめる必要ひつようがある。そのさい留意りゅういすることは、前述ぜんじゅつのように、過去かこのケニアのかく政権せいけんは、政治せいじ勢力せいりょくつよ民族みんぞく居住きょじゅうしている地域ちいきに、インフラ整備せいびなどの投資とうしおこなわれる傾向けいこうにあった。しかし、その地域ちいきかならずしもインフラ整備せいびもっと必要ひつよう地域ちいき整備せいびをすることで成果せいかをあげる地域ちいきであるとはいえない。そこで、統計とうけいきょく作成さくせいしている統計とうけい資料しりょう利用りようはもちろん、地域ちいき研究けんきゅうなどによるかく地域ちいき現状げんじょう分析ぶんせきおこない、優先ゆうせんてき改善かいぜんすべき地域ちいき、あるいは改善かいぜんすることでよりおおきな成果せいかをあげ、国内こくない全体ぜんたい活性かっせいにつながるような地域ちいき対象たいしょう地域ちいきさだめるべきである。そのさいに、政府せいふをはじめ、国連こくれん専門せんもん機関きかん国内外こくないがい研究けんきゅう機関きかん連携れんけいして活動かつどうすることがのぞましい。対象たいしょう地域ちいき選定せんていんだところで、さらにその地域ちいきかれている状況じょうきょう問題もんだいてん把握はあくする必要ひつようがある。そのさいには、前述ぜんじゅつのような統計とうけいデータのような客観きゃっかんてき数値すうちもとづいた分析ぶんせき必要ひつようであるが、同時どうじに、その地域ちいき住人じゅうにんのニーズをまず把握はあくする必要ひつようがある。その地域ちいきによって人々ひとびと生活せいかつことなり、すべ数値すうち判断はんだんすることは困難こんなんであるからである。その作業さぎょう活躍かつやくするのが、地方ちほう行政ぎょうせい現地げんち活動かつどうしているNGOである。地方ちほう行政ぎょうせい前述ぜんじゅつとおり、国民こくみん生活せいかつによりちか行政ぎょうせいという性質せいしつがあり、国民こくみんとの距離きょりちかい。そのてんかし、普段ふだん業務ぎょうむ国民こくみんかかえている問題もんだい内容ないようやその状況じょうきょう把握はあくすることができる。また、その団体だんたい活動かつどう方法ほうほう規模きぼにより差異さいはあるが、くさてき支援しえん活動かつどうおこなっている団体だんたいはその地域ちいき住民じゅうみん直接的ちょくせつてきなやりとりのなかで活動かつどうおこなっており、かれらが日々ひびどのような生活せいかつおくり、問題もんだいてんかかえているか把握はあくしやすい立場たちばにある。とくに、普段ふだんひょうることのない、社会しゃかいてきよわ立場たちばである女性じょせいどもの状況じょうきょうやニーズを把握はあくすることが可能かのう立場たちばであり、農村のうそんでの開発かいはつたり、そういった立場たちば人々ひとびとのニーズは重要じゅうようすべきであるため、貴重きちょう存在そんざいである。そのため、政府せいふはそのような組織そしきとのやりりをおこない、その地域ちいきでどのようなプロジェクトを実施じっしすべきかめることがのぞましい。また、そのさい直接ちょくせつ住民じゅうみんにアンケート調査ちょうさおこない、プロジェクトの方向ほうこうせいめることものぞましい。プロジェクトを実際じっさいすすめていくさいに、定期ていきてき会議かいぎひらき、そこにはなるべくおおくの立場たちばのメンバーを出席しゅっせき対象たいしょうにすべきである。プロジェクトの目的もくてきや、実施じっしじょうきょう把握はあく、その成果せいか共有きょうゆうするとし、それぞれが意見いけん交換こうかんおこなうことで、より成果せいかがるとおもわれる方法ほうほう模索もさくしていくことができる。度々たびたびさまざまな組織そしき意見いけん交換こうかんをし、意思いし決定けっていおこなっていくことは時間じかんがかかるうえ困難こんなんである。しかし、その会議かいぎにはかなら地域ちいき住民じゅうみん代表だいひょう参加さんかすることとし、最終さいしゅうてき決定けってい住民じゅうみんおこなうことがのぞましいとかんがえる。プロジェクトの最終さいしゅうてき受益じゅえきしゃ住民じゅうみんであり、かれらの生活せいかつにそのプロジェクトが必要ひつようなのか、どうすれば有効ゆうこうてきなのかを判断はんだんすべきなのは住民じゅうみんである。具体ぐたいてきなプロジェクト実施じっしたり、技術ぎじゅつてき支援しえん、その運営うんえい方法ほうほう資金繰しきんぐりなど、行政ぎょうせいだけではなく民間みんかん企業きぎょう研究けんきゅう機関きかんなどが協力きょうりょくおこなうことで、行政ぎょうせい短所たんしょである、作業さぎょう効率こうりつわるさや経済けいざいてき持続じぞくりょくめんでの問題もんだい緩和かんわされる。そのさい注意ちゅういすべきてんは、かんみんではプロジェクトおこなうスピードがことなるというてんである。くに事業じぎょうとなれば支払しはらめんでのリスクはないが、行政ぎょうせい短所たんしょひとつとして、実施じっし時間じかんがかかるというてんがある。企業きぎょうはある程度ていど段階だんかい成果せいかさなければ採算さいさんわない。また、経済けいざいてき持続じぞく可能かのう開発かいはつをしようとこころみるのであれば、コストの回収かいしゅう不可欠ふかけつである。行政ぎょうせいはより柔軟じゅうなん対応たいおう可能かのうとするような体制たいせいづくりをこころがけ、スピードアップをはかることが必要ひつようだ。

プロジェクトをすすめていくなかで、定期ていきてきにプロジェクトにたいする評価ひょうか必要ひつようがある。そうすることでプロジェクトの現状げんじょうやその成果せいかをより具体ぐたいてき把握はあくすることができ、その活動かつどうかすことができるからである。その評価ひょうかは、前述ぜんじゅつ同様どうよう、なるべくおおくの立場たちばからの評価ひょうかていく必要ひつようがあるが、やはり一番いちばん重視じゅうしすべきなのは住民じゅうみん評価ひょうかである。政府せいふはじめプロジェクト実施じっしがわには、その評価ひょうか真摯しんしめ、それにこたえる責任せきにんがあり、一方いっぽう住人じゅうにんには、公平こうへい具体ぐたいてき評価ひょうかをし、つたえ、どうすべきか、どうしたいかの提案ていあんをする責任せきにんがある。

最終さいしゅうてきにプロジェクト完了かんりょうには、その成果せいか客観きゃっかんてき分析ぶんせきすることが必要ひつようであると同時どうじに、そのアフターケアの方法ほうほうさだめておく必要ひつようがある。アフターケアにつとめる必要ひつようがあるのはその住民じゅうみんである。そして、その住民じゅうみん活動かつどうたいして地方ちほう行政ぎょうせい地元じもと企業きぎょうやNGO団体だんたい協力きょうりょくし、プロジェクト完了かんりょう連携れんけい体制たいせい構築こうちくされ、住民じゅうみん生活せいかつっていくことがのぞましい。

ケニアの場合ばあいには、かんばつや洪水こうずいによって灌漑かんがい設備せつびなどが崩壊ほうかいし、農業のうぎょう生産せいさん不可能ふかのうになっている農業のうぎょうこう適地てきち優先ゆうせんてきにその対象たいしょうとし、インフラ整備せいび中心ちゅうしんとしたプロジェクト策定さくてい有効ゆうこうであるとかんがえる。灌漑かんがい整備せいびだけでなく、農業のうぎょう生産せいさんぶつ輸送ゆそう必要ひつよう道路どうろ整備せいび市場いちば環境かんきょう整備せいび情報じょうほう通信つうしん設備せつび整備せいび工場こうじょう整備せいびなど、だい規模きぼなハードのめんでの実施じっし予想よそうされる。その住民じゅうみんへの技術ぎじゅつ支援しえん公共こうきょうサービスの充実じゅうじつなどソフトのめんでは行政ぎょうせいやNGOなどがきめささやかな支援しえんおこなうことがのぞましい。


このモデルはケニアの現状げんじょう世界せかいうごきをかなり単純たんじゅんしたもので、実際じっさい現場げんばでの実現じつげんをするには本稿ほんこうではげていないすうおおくの要素ようそかかわってくることが容易ようい予想よそうされる。しかし、ケニアの農業のうぎょう部門ぶもん発展はってん目的もくてきとした活動かつどうへのおおきなかんがかたひとつとしてこの概念がいねん提案ていあんする。また、地域ちいきによっておかれた状況じょうきょうかかえる問題もんだい様々さまざまであり、その改善かいぜんさく様々さまざまである。よって、その地域ちいきにあわせたプロジェクト策定さくてい必要ひつようであり、そのためには現状げんじょう分析ぶんせきだけではなく、その地域ちいき文化ぶんかてき歴史れきしてき背景はいけいふくめた理解りかい必要ひつようである。

2.連携れんけいけた世界せかいうご

いままでのところで、それぞれの組織そしきがケニアの農業のうぎょう部門ぶもんかかわる活動かつどうおこなっており、本稿ほんこうではリフトバレーしゅうにおける農村のうそん開発かいはつ目的もくてきとした連携れんけい枠組わくぐみのモデルを、横浜よこはま国際こくさいフェスタにおける連携れんけい参考さんこうにし、てた。実際じっさい現在げんざい世界せかいではこうした連携れんけいうごきが注目ちゅうもくされはじめている。たとえば、2010ねん世界せかい食料しょくりょうデーは、「United Against Hunger(飢餓きが結束けっそくする)」をテーマとしてかかげられており、FAOを中心ちゅうしんとして国連こくれん各国かっこく政府せいふ活動かつどうはじめている。2002ねん開催かいさいされた世界せかい食料しょくりょうサミットねん会合かいごうにおいては、飢餓きがしつくすための世界せかいてき連携れんけい必要ひつようせい指摘してきされ、これをけて、2003ねん国際こくさいてき枠組わくぐみであるInternational Alliance Against Hunger(IAAH)が設立せつりつされた。それにともない、国内こくない連携れんけいのフレームワークであるAlliance Against Hunger and Malnutrition(AAHM)が設立せつりつされ、世界せかい26ヶ国かこくにおいてその活動かつどうおこなわれている。このIAAHとAAHMが双方そうほうでの連携れんけいおこなうことで、世界せかい国々くにぐに飢餓きが人口じんこう削減さくげんけた包括ほうかつてき活動かつどうおこなうことが可能かのうになる。しかし、ケニアも日本にっぽんもそのうごきにおくれており、AAHMのげにいたっていないのが現状げんじょうである。

 AAHMの日本にっぽんでのげは今年ことしの3がつ予定よていされている。現在げんざい予定よていされている活動かつどう内容ないようとしては、ウェブサイトのげをおこない、NGO/NPO、その市民しみん組織そしき農業のうぎょう組織そしき民間みんかん企業きぎょう農業のうぎょう関連かんれん研究けんきゅう機関きかん開発かいはつ援助えんじょ機関きかん国際こくさい機関きかん政府せいふ関係かんけい機関きかんとうのメンバー団体だんたいあいだ情報じょうほう共有きょうゆう一般いっぱん市民しみんへの情報じょうほう発信はっしんをすること、開発途上国かいはつとじょうこく支援しえん、セミナー、国内こくない啓発けいはつ活動かつどうなどの共同きょうどうイベントの実施じっし学校がっこうとう連携れんけいした開発かいはつ教育きょういくへの参画さんかく飢餓きが栄養えいよう不良ふりょう問題もんだい関連かんれんする国内こくない活動かつどう、FAO世界せかい食料しょくりょう安全あんぜん保障ほしょう委員いいんかいへの参加さんかなどがげられる。いずれも従来じゅうらいからFAO日本にっぽん事務所じむしょ業務ぎょうむ内容ないようかさなる部分ぶぶんがあるが、様々さまざま組織そしき共通きょうつうした活動かつどうおこなうことで、より多角たかくてき幅広はばひろ情報じょうほう提供ていきょうや、状況じょうきょうにあった融通ゆうずう途上とじょうこく支援しえん可能かのうになる。飢餓きが人口じんこう削減さくげんけた活動かつどうにおいて先進せんしんこくがすべきことは、途上とじょうこくのそうした飢餓きが人口じんこう削減さくげんけた活動かつどう協力きょうりょくすること、そうした枠組わくぐみに参加さんかし、技術ぎじゅつ資金しきんなどのめんからの支援しえんおこなうことと、国内こくないにおいて一般いっぱん市民しみんたい情報じょうほう提供ていきょうおこない、よりおおくの市民しみんがそうした現状げんじょう機会きかい提供ていきょうすることである。そうした役割やくわりを、様々さまざま組織そしきたすことを促進そくしんするのがこのAAHMという枠組わくぐみである。

一方いっぽう、ケニアでのAAHMのげの情報じょうほうはいってきていない。国内こくないでの課題かだいかかえるくにでこそ、そうした枠組わくぐみをきずき、状況じょうきょう改善かいぜん目指めざすメカニズムを構築こうちくしていくことを期待きたいする。連携れんけい枠組わくぐみをきずいていくにはおおきな労力ろうりょく時間じかん資金しきん必要ひつようになることがかんがえられる。そこで、その枠組わくぐみをつく課程かていで、国連こくれん先進せんしんこくをはじめとする各国かっこく政府せいふ企業きぎょうとう協力きょうりょくしていくようなうごきがこることがのぞましい。今後こんごそういったうごきをつくしていくのが、途上とじょうこく政府せいふであることがのぞましいが、困難こんなんである場合ばあい国連こくれん、あるいは先進せんしんこく政府せいふ先頭せんとうってそういった枠組わくぐみがつくられていくようなながれをつくっていくことが必要ひつようである。そうしたうごきが世界せかいではこりつつある。

また、FAOのほかに、UNDPをはじめとして、官民かんみん連携れんけい活動かつどう注目ちゅうもくされはじめている。JICAの活動かつどうもそのひとつであり、そのれいひとつとして、ソニー、JICA,UNDPが共同きょうどうプロジェクトとして、ガーナやカメルーンでのHIV/AIDSの蔓延まんえん対策たいさく目的もくてきとした活動かつどうおこなっている。 今後こんごさらに官民かんみん連携れんけいをはじめとした、しょ組織そしき連携れんけい注目ちゅうもくたかめていくと予想よそうする。

結論けつろん

横浜よこはま国際こくさいフェスタにおける組織そしき連携れんけい

横浜よこはまおよび周辺しゅうへん地域ちいき活動かつどう拠点きょてんいている、国際こくさい協力きょうりょく国際こくさい交流こうりゅう在住ざいじゅう外国がいこくじん支援しえんむNGO/NPO、行政ぎょうせい機関きかん国際こくさい機関きかん学校がっこう企業きぎょうとう活動かつどう市民しみん紹介しょうかいすることと、出展しゅってん団体だんたい同士どうし連携れんけい・ネットワークをはかることをおおきな目的もくてきとして、としに1かい、2日間にちかん開催かいさいされているイベントが横浜よこはま国際こくさいフェスタである。このイベントはその母体ぼたいである国際こくさい協力きょうりょくNGOさい開催かいさいされてからよこはま国際こくさいフェスタ2010が14かい開催かいさいである。当初とうしょ横浜よこはま行政ぎょうせい市内しない国際こくさい協力きょうりょく団体だんたいのネットワーク目的もくてき開催かいさいしたイベントであったが、主催しゅさい組織そしきにNGOのスタッフや市民しみんボランティア、イベント開催かいさいなか誕生たんじょうした横浜よこはまNGO連絡れんらくかいなどがくわわるようになり、徐々じょじょ行政ぎょうせいから自立じりつし、市民しみんによるイベント開催かいさいおこなわれるようになってきた。また、イベント開催かいさいかさねるにつれ、当初とうしょ目的もくてきであった国際こくさい協力きょうりょく団体だんたいのネットワークがすすみ、イベントの目的もくてき市民しみんたいする情報じょうほう発信はっしん提供ていきょうへと変化へんかしていった。イベントの沿革えんかくていくことで、ひとつのプロジェクトのなかときつにつれその目的もくてき変化へんかすること、そうした変化へんかによりそれぞれの組織そしき関係かんけいせい変化へんかするということがあきらかになった。

それぞれの組織そしきにはイベントないでの位置いちによってイベント参加さんかへの目的もくてきことなっている。主催しゅさい組織そしきには、出展しゅってん団体だんたい活動かつどうPRの提供ていきょう市民しみんへの情報じょうほう提供ていきょうという目的もくてきがあり、出展しゅってん団体だんたいには団体だんたいにより差異さいはあるが共通きょうつうするところは、自分じぶんたち団体だんたい活動かつどうPR、活動かつどう資金しきんるための活動かつどう活動かつどう支援しえんしゃ獲得かくとくなどの目的もくてき企画きかく協力きょうりょく団体だんたいには、イベント協力きょうりょくつうじた活動かつどうPRなどの目的もくてきがそれぞれにある。主催しゅさい組織そしきはそれらの組織そしきがどれだけイベントで目的もくてき達成たっせいしているのか、イベントを評価ひょうかしているのかをアンケートを中心ちゅうしん評価ひょうかし、年度ねんど以降いこうのイベント開催かいさいへと役立やくだてている。主催しゅさい組織そしき必要ひつようなことは、それらの組織そしき目的もくてき把握はあくし、それらを達成たっせいするためにはどのようなイベント開催かいさいおこなうべきなのかをかんがえ、実現じつげんしていくことである。そして出展しゅってん団体だんたいには、自分じぶんたち目的もくてき、イベントにたいしどのような評価ひょうかをしているのかを主催しゅさい組織そしきつたえる義務ぎむがある。 そしてひとつのプロジェクトを実現じつげんさせていくために重要じゅうようなことは、それぞれの組織そしきが、そのプロジェクトにたいする共通きょうつうしたひとつの目標もくひょうち、それを共有きょうゆうすることと、それぞれがそのプロジェクトにっている目的もくてきをそれぞれが認識にんしきし、たがいの目的もくてき達成たっせいするための方法ほうほうをそのプロジェクトのなか模索もさくすることである。そのためには中心ちゅうしんとなる組織そしき、このイベントでいう主催しゅさい組織そしきがその連携れんけい枠組わくぐみのなか隅々すみずみにまで情報じょうほう提供ていきょうし、つね情報じょうほう共有きょうゆう情報じょうほう交換こうかんできる提供ていきょうするということが重要じゅうようである。情報じょうほう共有きょうゆうたがいの信頼しんらいへとむすびつき、ひとつのプロジェクトの成功せいこうへとつながる。そうしたかんがかたは、近年きんねん途上とじょうこくにおける開発かいはつ援助えんじょをするさいに、その開発かいはつ援助えんじょがきちんと現地げんち機能きのうするか、成果せいかすのかといった議論ぎろんおこなさい重要じゅうようされている、ソーシャルキャピタルのかんがかた共通きょうつうする。


【ケニアの飢餓きが人口じんこう削減さくげんけた連携れんけいのありかた

ケニアは20年間ねんかん飢餓きが人口じんこう比率ひりつは30%前後ぜんこう水準すいじゅんたもっており、のアフリカ諸国しょこくでは飢餓きが人口じんこう減少げんしょう傾向けいこうがあるが、ケニアはその減少げんしょういたっていない。植民しょくみん支配しはい独立どくりつのケニアはとし平均へいきん経済けいざい成長せいちょうりつが10%をえ、「アフリカの優等生ゆうとうせい」とばれていた。しかし1980年代ねんだい突入とつにゅうして現在げんざいまで、経済けいざい成長せいちょうりつは2%をるほど低迷ていめいつづけている。前者ぜんしゃ時期じきはケニヤッタが政権せいけんにない、独立どくりつ土地とち分割ぶんかつや、それにともな小農しょうのうへの支援しえん商品しょうひん作物さくもつ生産せいさん効率こうりつせいたかめるインフラをはじめとする環境かんきょう整備せいびにより、農業のうぎょう部門ぶもんでのおおきな成長せいちょうられる。農業のうぎょう部門ぶもん成長せいちょう国内こくない需要じゅよう牽引けんいんし、同時どうじ製造せいぞうぎょう部門ぶもん発展はってん、そのことによる税収ぜいしゅうにより政府せいふ財政ざいせい安定あんていした。ここから、ケニア経済けいざいにおいて農業のうぎょう部門ぶもん発展はってん重要じゅうようであることがあきらかになった。一方いっぽうでモイ政権せいけんは、世界せかいてききょうと、2わたかんばつの被害ひがいけ、農業のうぎょう部門ぶもん製造せいぞうぎょう部門ぶもん双方そうほう成長せいちょう低迷ていめいした。また、ケニヤッタのようなおおきな成果せいかげるような開発かいはつ支援しえん、インフラ整備せいびおこなわれず、穀物こくもつ生産せいさんりょう成長せいちょうりつはわずか0.4%にとどまった。ここから、農業のうぎょう部門ぶもんにおいて、政策せいさくおおきな影響えいきょうりょくっていることがあきらかになった。また、前者ぜんしゃ後者こうしゃ政権せいけん双方そうほうにおいて、大統領だいとうりょう出身しゅっしん民族みんぞく集団しゅうだん優位ゆうい政策せいさくることにより、民族みんぞくあいだ格差かくさしょうじ、おおきな軋轢あつれきとなっている。その軋轢あつれき現在げんざいにまでのこり、民族みんぞくあいだ暴力ぼうりょくともな衝突しょうとつしょうじている。このことは農業のうぎょう部門ぶもんにもまけ影響えいきょうあたえており、農業のうぎょう部門ぶもん安定あんていした成長せいちょうのためにはそうした政情せいじょう不安ふあん早期そうき解決かいけつする必要ひつようがある。また、ケニア農業のうぎょうにはそうした民族みんぞくあいだ問題もんだいと、土地とちによる制約せいやく問題もんだいがある。まず、気候きこう条件じょうけんにより農業のうぎょうこう適地てきちかぎられる。また、かんばつなどの気候きこう変動へんどう影響えいきょうけやすく、農業のうぎょう生産せいさん不安定ふあんていである。そこで、灌漑かんがいなどのインフラを整備せいびすることで土地とち有効ゆうこうてき使つかうこと、気候きこうによる影響えいきょうけにくくし、安定あんていした農業のうぎょう生産せいさん可能かのうにすることが重要じゅうようである。

現在げんざい、ケニアにおいて様々さまざま組織そしき農業のうぎょう環境かんきょう整備せいびかんする活動かつどうおこなっているが、その連携れんけい枠組わくぐみは存在そんざいしない。連携れんけい枠組わくぐみをつくり、より効果こうかてき整備せいび活動かつどうおこなうことを提案ていあんする。

その枠組わくぐみはつね政府せいふ中心ちゅうしんとなり、コーディネートしていくことがのぞましい。そして、かく組織そしき長所ちょうしょかし、同時どうじ短所たんしょおぎな連携れんけい目指めざすべきだ。その連携れんけいかんがえるさいに、横浜よこはま国際こくさいフェスタの事例じれいげた。おなじイベントないでもそれぞれの組織そしきには共通きょうつう目標もくひょうと、ことなった目的もくてきがあった。その共通きょうつうてん相違そういてんたがいに認識にんしきし、協調きょうちょうしあうことがひとつのプロジェクトをおこなさい連携れんけいもっと必要ひつようなことである。そのためには、連携れんけい中心ちゅうしんである主催しゅさい組織そしき、すなわちケニアの場合ばあい政府せいふがいかにかじり、連携れんけいをいい方向ほうこうすすめるかが重要じゅうようである。また、それぞれの長所ちょうしょをプロジェクトの要所ようしょかし、最終さいしゅうてきには現地げんち住民じゅうみんのニーズや評価ひょうか重要じゅうようすることが必要ひつようである。現在げんざい世界せかいでは、飢餓きがなど、世界せかい直面ちょくめんしている深刻しんこく問題もんだいたいし、結束けっそくしようといううごきが活発かっぱつしている。2010ねん世界せかい食料しょくりょうデーは「United Against Hunger(飢餓きが結束けっそくする)」をテーマとしてかかげられており、その一環いっかんとしてFAOにおいて飢餓きが人口じんこう削減さくげんけた世界せかいてき連携れんけい枠組わくぐみがげられたのがおおきなれいひとつである。今後こんご、そのような枠組わくぐみが構築こうちくされていくなかで、ひとつモデルとなるケースが誕生たんじょうし、そのケースを参考さんこう連携れんけい活発かっぱつしていくことを期待きたいする。

本稿ほんこうんだモデルはかなり単純たんじゅんされたもので、現実げんじつするにはより複雑ふくざつ規模きぼおおきなプロジェクトになることは容易ようい予想よそうされる。しかし、ケニアの飢餓きが人口じんこう削減さくげん目的もくてきとする、農業のうぎょう部門ぶもん発展はってんけた活動かつどうにおけるおおきなかんがかたひとつとして、本稿ほんこうでの連携れんけいのケースを提案ていあんし、最終さいしゅうてきには世界せかい飢餓きが人口じんこう削減さくげんにつながっていくことを期待きたいする。

参考さんこう資料しりょう文献ぶんけん情報じょうほう提供ていきょうもと一覧いちらん

高橋たかはし基樹もときちょ開発かいはつ国家こっか アフリカ政治せいじ経済けいざいろん序説じょせつ』 勁草書房しょぼう 2010ねん

FAOプレスリリース No.177 2010/10/6

国際こくさい協力きょうりょくマガジン 2008ねん4がつごう

ひゃくしまとおる(2009.8)『CSRの実践じっせんうながすソーシャル・キャピタル〜経済けいざいてきリターンと社会しゃかいてきリターンのこう循環じゅんかんうなが触媒しょくばい機能きのう〜』ニッセイ基礎研究所にっせいきそけんきゅうしょ

Henri Carsalade(2003.4)『FIELD PROGRAMME CIRCULAR』FAO

FAO(1998.1)『Evaluation Mission Brief』

FAO(2009.8)『Country Brief Kenya』

CBS,THE WORLD BANK,SIDA,SID『Geographic Dimensions of Well-being in Kenya』

http://www.kenyarep-jp.com/ ちゅうにちケニア共和きょうわこく大使館たいしかん

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/kenya/data.html 外務省がいむしょう:ケニア共和きょうわこく

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http://africa-rikai.net/edudata/KENYA.html ケニア共和きょうわこく:アフリカ教育きょういく情報じょうほう

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THE WORLD BANK An Online Atlas of the Millennium Development Goals

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THE WORLD BANK World Development Indicator 2008

http://www.ilo.org/global/lang--en/index.htm International Labour Organization -Home-

http://www.wfp.or.jp/index.php WFP国連こくれん世界せかい食糧しょくりょう計画けいかく

http://www.jica.go.jp/ JICA―国際こくさい協力きょうりょく機構きこう

国連こくれん世界せかい食糧しょくりょう農業のうぎょう機関きかん(FAO)日本にっぽん事務所じむしょ

ちゅうにちケニア大使館たいしかん

営利えいり活動かつどう法人ほうじん 横浜よこはまNGO連絡れんらくかい

バオバブのかい

ピース・オブ・ケニア

営利えいり活動かつどう法人ほうじん アフリカ日本にっぽん協議きょうぎかい


(1) ミレニアム開発かいはつ目標もくひょう Millennium Development Goals, MDGs
2000ねんに189の国連こくれん加盟かめいこく代表だいひょうにより採択さいたくされた「国連こくれんミレニアム宣言せんげん」を契機けいき作成さくせいされた、途上とじょうこく開発かいはつ課題かだい解決かいけつけた国際こくさい社会しゃかい共通きょうつう開発かいはつ目標もくひょうであり、2015ねん達成たっせい期限きげんとした8つの目標もくひょう、18のターゲット、48の指標しひょうさだめられている。8つの目標もくひょう以下いかとおりである。(1)極端きょくたん貧困ひんこん解消かいしょう (2)初等しょとう教育きょういく普及ふきゅう (3)男女だんじょ平等びょうどう女性じょせいのエンパワーメントをはかる (4)幼児ようじ死亡しぼうりつ低下ていか (5)妊産婦にんさんぷ健康けんこう状態じょうたい回復かいふく (6)HIV/AIDSえいず、マラリアとう病気びょうきたたかう (7)環境かんきょう持続じぞく可能かのうせい確保かくほ (8)開発かいはつのためのグローバルパートナーシップの構築こうちく > 本文ほんぶん

(2) 2015ねんまで飢餓きが人口じんこう半減はんげん
2000ねん当時とうじ世界せかい飢餓きが人口じんこうは8おく3000〜4000まんにんたっしており、2015ねんまでに4おくにんまでらすという目標もくひょうてられた。 > 本文ほんぶん

(3) 公益こうえき財団ざいだん法人ほうじん 横浜よこはま国際こくさい交流こうりゅう協会きょうかい(YOKE)
市民しみん国際こくさい交流こうりゅう国際こくさい協力きょうりょく活動かつどう支援しえん目的もくてきに1981ねん設立せつりつした法人ほうじん現在げんざいは、市内しない在住ざいじゅう外国がいこくじんけの相談そうだんコーナーの運営うんえいや、市内しない国際こくさい交流こうりゅうラウンジの支援しえん日本語にほんご教室きょうしつ実施じっしなどの事業じぎょう展開てんかいし、国際こくさいすす横浜よこはまにおいて「文化ぶんか共生きょうせいのまちづくり」を目指めざしている。 > 本文ほんぶん

(4) 農業のうぎょうこう適地てきち
ここでは、ケニア政府せいふにより農業のうぎょうポテンシャルがたかいとされた、平均へいきん年間ねんかん降水こうすいりょう857.5mm以上いじょうのうまきす。 > 本文ほんぶん

(5) 遊休ゆうきゅう状態じょうたい
CSB/SA[1977]によれば、だい規模きぼ農場のうじょうそう面積めんせきのうち、やく74.9%が耕作こうさく牧草ぼくそうとなっている。また、耕作こうさくみの農地のうちもそのやく26.1%が休閑地きゅうかんちとされている。 > 本文ほんぶん






*このファイルは文部もんぶ科学かがくしょう科学かがく研究けんきゅう補助ほじょきんけてなされている研究けんきゅう基盤きばん(B)・課題かだい番号ばんごう16330111 2004.4〜2008.3)の成果せいか/のための資料しりょう一部いちぶでもあります。
 http://www.ritsumei.ac.jp/acd/gr/gsce/p1/2004t.htm

UP 2011 REV: 20170824
世界せかい  ◇アフリカ  ◇ケニア共和きょうわこく  ◇アフリカの食料しょくりょう農業のうぎょう問題もんだい 
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