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 武漢市現地での2019障害学国際セミナー参加の体験談(和訳)
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武漢ぶかん現地げんちでの2019障害しょうがいがく国際こくさいセミナー参加さんか体験たいけんだん和訳わやく

作者さくしゃしゅう倩如台灣たいわん障礙しょうがい女性じょせいたいらけんれんせん理事りじちょう台湾たいわん障害しょうがい学会がっかい理事りじ

和訳わやくこう まさいく
校正こうせい伊東いとう 香純かすみ


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last update: 20210819


■【そのいち

原文げんぶんちゅうぶん):「實地じっち體驗たいけん武漢ぶかん:2019東亞とうあ障礙しょうがい研究けんきゅう論壇ろんだん心得こころえ外部がいぶリンク
※2021ねん6がつ16にち台湾たいわん障害しょうがい学会がっかいのブログ「障礙しょうがい研究けんきゅうよんさん」に掲載けいさいされた。

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 2019ねん10がつわたし障害しょうがいがく国際こくさいセミナー(East Asia Disability Studies Forum)」参加さんかするために中国ちゅうごく武漢ぶかん渡航とこうした。わたし高度こうど支援しえんニーズがある障害しょうがいしゃだ。海外かいがいでのセミナーに参加さんかするために、障害しょうがいしゃであるわたし自身じしんでも、そして主催しゅさいしゃでも、事前じぜんにたくさんの精力せいりょく使つかって準備じゅんびわせをする必要ひつようがあった。電動でんどうくるまいすにっているわたし武漢ぶかんでの生活せいかつ体験たいけんはどのようなものだったのか。環境かんきょう障壁しょうへき如何いか障害しょうがいしゃ心身しんしん状態じょうたい選択せんたく影響えいきょうおよぼしたのか。障害しょうがいしゃ介助かいじょしゃあいだたがいのきょうはたらけ依存いぞんはどうなっていたのか。これらのことについてわたし経験けいけんからかたりたい。

いち事前じぜん準備じゅんびわせ


 わたしすじジス患者かんじゃで、全身ぜんしんちからがなく、補助ほじょクッションとベルトにたよって固定こていすることで、安全あんぜん電動でんどうくるまいすにれる。現在げんざいわたし身体しんたい状態じょうたいは、つくえうえいたとき、みずか水平すいへい移動いどうできるのはわずか10センチの範囲はんいである。このため、身辺しんぺんなことはすべてわたし指示しじして、他人たにん介助かいじょしてもらう。全身ぜんしん筋肉きんにくちからはいらないことで、夜間やかんているさい呼吸こきゅうまってしまうときもあった。このため、るときは呼吸こきゅう使つかう。また、るとき、長期間ちょうきかんおな姿勢しせいでいると、いたみがる。そのさいには、他人たにんによる姿勢しせい変換へんかん介助かいじょ必要ひつようになる。わたしは、ほぼ24あいだ介助かいじょ必要ひつようである。
 さいわい、ふたつの要素ようそのおかげで、障害しょうがいがく国際こくさいセミナーに参加さんかができた。ひとつは、主催しゅさいしゃ武漢ぶかん現地げんち提供ていきょうしてくれる補助ほじょにより、介助かいじょしゃ負担ふたん軽減けいげんできること。もうひとつは、介助かいじょしゃ同行どうこうすることである。

1.主催しゅさいしゃとの事前じぜんわせ
 セミナーで発表はっぴょうするとめたのちわたしはメールで主催しゅさいしゃ連絡れんらくった。電動でんどうくるまいすユーザーであることをらせながら、会場かいじょうのバリアフリー環境かんきょうについてたずねた。とく会場かいじょうのトイレと部屋へやのトイレの様子ようす確認かくにんしたかった。主催しゅさいしゃとびらはば提供ていきょうしてくれて、電動でんどうくるまいすが出入でいりしやすいかどうかの判断はんだんわたしゆだねた。もし電動でんどうくるまいすが出入でいりしにくい場合ばあいは、わりに現地げんち手動しゅどうくるまいすを提供ていきょうすると主催しゅさいしゃ提案ていあんした。また、主催しゅさいしゃがホテルのシャワールームの写真しゃしんおくってくれた。そのとびらはばは64センチある。そこで、わたしはホイールき、すりのろしのできるシャワーよう補助ほじょ椅子いす必要ひつようだと説明せつめいした。ホイールきの椅子いすはシャワールームと部屋へやあいだ移動いどうをしやすくするためで、すりは、わたし身体しんたいれずに安定あんていするよう補助ほじょするためである。
 わたし自宅じたくでトイレやシャワーをするとき、リフトを使つかって移動いどうする。しかし、リフトは一般いっぱんのホテルではそなえていない。そして、入手にゅうしゅしにくい。このため、上下じょうげたかさが調整ちょうせいでき、ホイールき、すりが調整ちょうせいできる事務じむしつよう椅子いすがあれば、移動いどうするさい介助かいじょしゃ負担ふたん軽減けいげんできると主催しゅさいしゃつたえた。物理ぶつりてきなバリアフリー環境かんきょう確認かくにんしたのちつぎには、だれ介助かいじょしてくれるかという問題もんだいがある。

シャワールーム
写真しゃしん:ホテルの部屋へやのシャワールーム。(筆者ひっしゃ提供ていきょう

2.介助かいじょしゃはどこにいるか
 本来ほんらい普段ふだん介助かいじょしてくれている外国がいこくじん介護かいご労働ろうどうしゃ同行どうこうする予定よていだった。しかし、フィリピンせき彼女かのじょは、中国ちゅうごくビザを申請しんせいするために、いちにフィリピンにもどらなければならない。そうすると、彼女かのじょの「台北たいぺい武漢ぶかんあいだ往復おうふく飛行機ひこうきだいと、武漢ぶかん滞在たいざいする期間きかん宿泊しゅくはく料金りょうきん以外いがいに、彼女かのじょ中国ちゅうごくビザを申請しんせいするための「台湾たいわん―フィリピン」あいだ往復おうふく飛行機ひこうきだい、また、彼女かのじょ不在ふざい期間きかんわりに臨時りんじ介助かいじょしてくれるひとさがすことや介助かいじょ費用ひようなどをふくめ、全体ぜんたいのコストがわたしにとって重荷おもにになる。そして、彼女かのじょ中国ちゅうごくビザを順調じゅんちょうれる保障ほしょうはない。そこで、普段ふだん介助かいじょしてくれているひと中国ちゅうごく武漢ぶかん同行どうこうすることは無理むりだと判断はんだんした。
 「障害しょうがいしゃには家族かぞく同行どうこうすればいだろう、便利べんりだし」とおもひとすくなくないだろう。じつは、わたし母親ははおや同行どうこうしようかと提案ていあんした。しかし、成人せいじんであるわたしはどうしても母親ははおや介護かいごしゃやくとして同行どうこうするのはけたい。母親ははおやわたしには、上下じょうげ権力けんりょく関係かんけいがあるし、母親ははおや立場たちばでぶつくさうときも多少たしょうあるだろう。また、母親ははおや普段ふだんわたし介助かいじょしゃではないため、おおくの介助かいじょ技術ぎじゅつ彼女かのじょらないので、あらためてたがいに練習れんしゅうしなければならなかった。
 わたしせんもん介護かいごしゃ訳者やくしゃちゅう:ホームヘルパー、台湾たいわんでは「きょ服務ふくむいん」とう)をえらばずに、介助かいじょしゃ訳者やくしゃちゅう:パーソナルアシスタント、台湾たいわんでは「個人こじんじょ」とぶ)をえらんでいる理由りゆうは、障害しょうがいしゃ自立じりつ生活せいかつ運動うんどう理念りねんしたがうためである。自立じりつ生活せいかつ運動うんどう理念りねんもとづく介助かいじょしゃ研修けんしゅうでは、介助かいじょしゃ即時そくじいのち危険きけん安全あんぜん影響えいきょうしない範囲はんいで、障害しょうがいしゃ決定けっていささえるという理念りねんおそわる。せんもん介護かいごしゃは、「利用りようしゃのために」という理念りねんもとづく。これが介助かいじょしゃ専門せんもん介護かいごしゃちがいである。
 わたし以前いぜん専門せんもん介護かいごしゃ介護かいごしてもらった経験けいけんがある。そのときわたし朝食ちょうしょくにサンドイッチとミルクティをうようにたのんだけど、その介護かいごしゃは、あさつめたいものをんだらからだによくないよ!などとった。彼女かのじょ自分じぶん主観しゅかんなにわたしにとっていかを勝手かってめた。そのとき、なんでわたし介護かいごしゃにコントロールされなければならないのかとおもった。もちろんすべての専門せんもん介護かいごしゃがそうではないとっているけれど、ホームヘルパーの研修けんしゅうでは障害しょうがいしゃ主体性しゅたいせい言及げんきゅうすることは間違まちがいなくすくない。
 わたし介助かいじょしゃ年齢ねんれいわたしちかい。そして、研修けんしゅう段階だんかい習慣しゅうかんひとそれぞれことなることをっている。障害しょうがいしゃ行動こうどう習慣しゅうかん評価ひょうかする必要ひつようはないとっている。このため、介助かいじょしゃとなりにいてくれると、わたし自分じぶんのよいようにやる。
 台湾たいわんでは、自宅じたくみの外国がいこくじん介護かいご労働ろうどうしゃ利用りようするひとは、公的こうてき措置そち制度せいどでのホームヘルパーを併用へいようすることはできない。外国がいこくじん介護かいご労働ろうどうしゃつきいち休暇きゅうかには、わたし自費じひ介助かいじょしゃやとう。障害しょうがいがく国際こくさいセミナーに参加さんかするために、休日きゅうじつにたまにわたし自費じひやと介助かいじょしゃになり、そして、職場しょくば介助かいじょもしてくれることがあったいえやすしさんに武漢ぶかんへの同行どうこう可能かのういてみた。彼女かのじょもセミナーのテーマに興味きょうみがあり、時間じかんてきにも可能かのうであり、いえやすしさんの武漢ぶかんへの同行どうこうまった。

3.介助かいじょしゃとの事前じぜんわせ
 いえやすしさんはわたし介助かいじょした経験けいけんがあるとっても、1ケ月かげつもしくは2ヶ月かげつに1かい頻度ひんどなので、わたし介助かいじょする技術ぎじゅつわたし習慣しゅうかんおぼえているはずがない。
 介助かいじょさい彼女かのじょわたしは「手足てあしろん」のようにかかわる。いいかえると、介助かいじょしゃわたし手足てあしのようになり、どうやって介助かいじょするかはわたしくちから指示しじす。ものすごくこまかい指示しじをする。たとえば、くるまいすからトイレへ移動いどうするさいには、わたしからだ固定こていしているみっつのベルトをはずして、彼女かのじょわたしふともものしたのあたりにいて、わたしからだくるまいすの座席ざせきからさんぶんいちって…など次々つぎつぎひとつひとつ指示しじする。
 海外かいがいくとまりがあり、普段ふだんことなることがこりうる。わたしたちが出発しゅっぱつしてから帰国きこくするまでの10がつ10-14にちあいだかく段階だんかいで、介助かいじょ必要ひつようとするときあいだたい介助かいじょ内容ないようについてかんがえながらはなった。たとえば、飛行機ひこうきさいくるまいすのチェックイン、電動でんどうくるまいすを手動しゅどうしきえるさい電源でんげんることや、移動いどう補助ほじょシートを使つかって機内きないせき移動いどうすることなど。また、毎日まいにち起床きしょうみがき、洗面せんめん着替きがえ、トイレ、補助ほじょシートを使つかってベッドから移動いどうすることや、夜間やかん姿勢しせい調整ちょうせい呼吸こきゅうけることなどもふくむ。なお、シャワールームに補助ほじょ椅子いすいても、現場げんば状況じょうきょうおうじて調整ちょうせいする必要ひつようがある。そして、外出がいしゅつするとき、携帯けいたいようスロープを使つかいうる等々とうとう
 また、武漢ぶかん滞在たいざい期間きかんの11にちと14にち日間にちかん、セミナーのスケジュールにより、個人こじん会場かいじょうやホテルからかけて武漢ぶかん見物けんぶつする時間じかん余裕よゆうがある。現地げんちにどのような状況じょうきょうがあるかわからないので、二人ふたりともこころしておいたほうがいとおもみっつのシナリオをはなった。ひとは、参加さんかしゃ同行どうこうして外出がいしゅつする。ふたは、いえやすしさんとわたし二人ふたり武漢ぶかん探検たんけんする。みっは、バリアフリーの交通こうつう手段しゅだん情報じょうほう入手にゅうしゅできずに、外出がいしゅつのプランをてられず、外出がいしゅつをやめて、おそらくホテルにしか滞在たいざいできないというシナリオだ。
 可能かのうせいがあるシナリオをかんがえたうえで、武漢ぶかん渡航とこうするまえに、二人ふたり出発しゅっぱつまでにいえやすしさんが経験けいけんしたことがない介助かいじょ練習れんしゅうした。電動でんどうくるまいすを手動しゅどうしきえることや、くるまいすの電源でんげんること、補助ほじょシートを使つかってベッドに移動いどうすること、夜間やかん呼吸こきゅうけること、外出がいしゅつさい携帯けいたいようスロープの設置せっち片付かたづけなどを練習れんしゅうした。また、武漢ぶかん現地げんちではリフトがないため、ベッドから電動でんどうくるまいすへ移動いどうするさいに、ちからがかなりるので、注意ちゅういしないと、いえやすしさんがケガをすることにもなりうる。そこで、理学りがく療法りょうほうにおねがいして、いえやすしさんにわたし介助かいじょする技術ぎじゅつおしえてもらった。実際じっさい練習れんしゅうして問題もんだいがないかどうかをたしかめた。二人ふたり安全あんぜん確保かくほのため、出発しゅっぱつまえに2かいくらい練習れんしゅうした。
 そのつぎにはいえやすしさんの給料きゅうりょうについての課題かだいである。台湾たいわんにおける介助かいじょしゃ時給じきゅう最低さいてい賃金ちんぎんがく計算けいさんすると、わたしには絶対ぜったい負担ふたんできない。二人ふたり協議きょうぎして、にち単位たんいいちにち台湾たいわんドル2,000げん訳者やくしゃちゅうやく日本円にほんえん7,200えん)で、出発しゅっぱつから帰国きこくするまでの日間にちかん計算けいさんした。けれども、いえやすしさんは、初日しょにち夕方ゆうがた台北たいぺいから出発しゅっぱつするので、その給料きゅうりょう半日はんにちいとってくれた。いえやすしさんは介助かいじょしゃとして同行どうこうするので、雇用こようぬしわたし彼女かのじょ保険ほけんりょう、1はく宿泊しゅくはく料金りょうきん主催しゅさいしゃが3はく宿泊しゅくはく料金りょうきん負担ふたんする)、交通こうつう飛行機ひこうきだい武漢ぶかん現地げんちでの交通こうつう)などの費用ひよう支払しはらう。その各自かくじ負担ふたんすると協議きょうぎうえめた。

■【その

原文げんぶんちゅうぶん):「實地じっち體驗たいけん武漢ぶかん:2019東亞とうあ障礙しょうがい研究けんきゅう論壇ろんだん心得こころえこれ)」外部がいぶリンク
※2021ねん6がつ27にち台湾たいわん障害しょうがい学会がっかいのブログ「障礙しょうがい研究けんきゅうよんさん」に掲載けいさいされた。

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武漢ぶかん体験たいけんしたこと

 台北たいぺいから武漢ぶかんまでの直行ちょっこう便びん夜行やこう便びんしかない。台湾たいわんからの参加さんかしゃは10がつ10日とおかよる武漢ぶかん到着とうちゃくした。全体ぜんたいのスケジュールは、翌日よくじつ夕方ゆうがたにウェルカムパーティに出席しゅっせきし、12にちと13にちはセミナーに参加さんかし、14にちよる帰路きろ便びんって台湾たいわんもどるというものだった。武漢ぶかんでの滞在たいざい期間きかんの2にちぶん(11にちと14にち)の昼間ひるまと3にちぶん(11にち、12にち、13にち)のよる時間じかん自由じゆう見物けんぶつする時間じかんがある。
 そのようなスケジュールをり、武漢ぶかん出発しゅっぱつするまえに、わたしがGoogleで武漢ぶかんのバリアフリー情報じょうほうについて調しらべた。けれども、なにつけられなかった。ただ、武漢ぶかん地下鉄ちかてつえきにエレベーターが設置せっちされていることがわかった。一部いちぶえきにエレベーターがないとの情報じょうほうはいった。武漢ぶかんのバリアフリー環境かんきょうについての情報じょうほう入手にゅうしゅしにくいので、最低さいてい場合ばあい、すべての自由じゆう時間じかんをホテルに滞在たいざいするしかないという覚悟かくごっていた。
 しかし、好奇心こうきしん旺盛おうせい若者わかものとして、いろんな工夫くふうをしてようやく武漢ぶかんいたので、わたしはやはり武漢ぶかん探検たんけんしたかった。武漢ぶかん空港くうこう到着とうちゃくしたのち主催しゅさいしゃがアレンジしてくれたバリアフリー車両しゃりょうってホテルへ移動いどうした。途中とちゅうで、高層こうそうビルや現代げんだいてき施設しせつなどがえて、武漢ぶかんにはわたしれている台北たいぺいおなじように現代げんだいだい都会とかいという雰囲気ふんいきがあり、わたし自由じゆう時間じかんなにができるのか、すこ期待きたいたかまってきた。

1.電動でんどうくるまいすにってまち移動いどうすることは、なぜそんなにむずかしい?!

武漢市の道の状況
写真しゃしん武漢ぶかんみち状況じょうきょう。(筆者ひっしゃ提供ていきょう

 ホテルに到着とうちゃくしてから、ホテルの係員かかりいん武漢ぶかんのバリアフリー環境かんきょうについてたずねた。しかし、係員かかりいんたちはなにらなかった。ネット地図ちず利用りようしたいなら、「高徳こうとく」というサイトを使つかう。また、情報じょうほう調しらべたい場合ばあいは、「ひゃく」というサイトを使つかうなどの常識じょうしきだけしかおしえてくれなかった。「ひゃく」で調しらべても、バリアフリー環境かんきょうについての情報じょうほうすくなかった。
 翌日よくじつわたしいえやすしさんは二人ふたりでホテルをてすぐ、路面ろめん歩道ほどうとのあいだにはやく3センチから5センチの段差だんさがあることにづいた。もっとたか段差だんさがあるところもあった。その段差だんさによってわたし電動でんどうくるまいすは、ものすごくおおきくれた。わたしは、からだ位置いちみずからコントロールできないため、電動でんどうくるまいすがれると、わたしふうかれたかかしのようにあたまからだつづいた。もっとたか段差だんさったときは、携帯けいたいようスロープを使つかわなければならなかった。武漢ぶかんでそのスロープの使用しよう頻度ひんどがそんなにたかいとは全然ぜんぜん予想よそうしていなかった。滞在たいざいにちの11にちいちにちだけで20かい以上いじょう使つかっただろう。武漢ぶかんでは、くるまいすは道路どうろはしれない。道路どうろくるまのみのみちであり、くるまいすは道路どうろがわはしると非常ひじょう危険きけんである。現地げんち法律ほうりつがどう規定きていしているのかわからないけど、現地げんちではモーターバイクでも歩道ほどうはしるのをわたしたちはた。
 武漢ぶかんでは、台北たいぺいのように、みち沿いにおおくの店舗てんぽならんでいる。店舗てんぽ入口いりくちには、階段かいだんがついている。くるまいすユーザーはそれらの階段かいだんによって疎外そがいされる。また、コンビニやみせ歩道ほどう内側うちがわにあるのもえた。しかし、モーターバイクが歩道ほどうはいらないようにとおりの入口いりくちには障壁しょうへきぶつ設置せっちされていた。それらの障壁しょうへきぶつわたし店舗てんぽから疎外そがいした。わたしちかづけず、障壁しょうへきぶつはさんでとおくから「ウィンドウショッピング」しかできなかった。

コンビニへ
写真しゃしん筆者ひっしゃはコンビニへちかづけず、とおくからるしかなかった。(介助かいじょしゃ撮影さつえい筆者ひっしゃ提供ていきょう

 武漢ぶかん路面ろめんでの移動いどうはとても不便ふべんである。みちわたるとき、横断おうだん歩道ほどうすくないため、おもには歩道橋ほどうきょう地下道ちかどう利用りようする。わたしいえやすしさんは、やく1キロあるいてようやく横断おうだん歩道ほどうつけるような事態じたいによく遭遇そうぐうした。歩道橋ほどうきょう地下道ちかどうたよりすぎると、くるまいすユーザーや、荷物にもつはこひと、ベビーカーを使つかひとたちを完全かんぜん排除はいじょする。また、地下鉄ちかてつ利用りようしたくて、えき移動いどうするにもとても不便ふべんである。えきには出入でいぐちおおいけれども、エレベーターがある出入でいぐちは1ヶ所かしょしかない。台北たいぺいのMRTとおなじだ。

2.「ここはあなたはとおれないから、タクシーにりなさい!」
 武漢ぶかん地下鉄ちかてつえきは、ある程度ていどのバリアフリーの整備せいびがされている。乗車じょうしゃけん販売はんばいなかにはくるまいすユーザーがえやすいたかさの販売はんばい設置せっちされている。エレベーターにもくるまいすユーザーが使つかいやすいたかさのしボタンがあり、台北たいぺいのMRTえきのエレベーターのしボタンとおなじくらいのたかさである。えきにもバリアフリートイレが設置せっちされていて、スペースはひろい。しかし、補助ほじょすりは便座べんざとの距離きょりをあけすぎていて、使つかいにくい。さらに、すりはろしできないので、くるまいすを便座べんざちかづけられない。えきのホームと地下鉄ちかてつ車両しゃりょうあいだ隙間すきまはないけど、やく3センチの段差だんさがある。わたし電動でんどうくるまいすにはおおきな車輪しゃりんちいさな車輪しゃりんがついている。移動いどうするとき、おおきな車輪しゃりん車内しゃないはいりやすいけれども、ちいさな車輪しゃりんはその段差だんさ往生おうじょうにしてしまうこともあった。

武漢市の地下鉄駅内のバリアフリートイレ
写真しゃしん筆者ひっしゃ観察かんさつした武漢ぶかん地下鉄ちかてつえきないのバリアフリートイレ。(介助かいじょしゃ撮影さつえい筆者ひっしゃ提供ていきょう

 物理ぶつりてき環境かんきょう以外いがいで、もっと面倒めんどうなことは、地下鉄ちかてつるとき毎回まいかい安全あんぜん検査けんさおこなうことである。いえやすしさんは一人ひとりわたし電動でんどうくるまいすのうしろにかけているわたしのリュックサックと携帯けいたいようスロープを全部ぜんぶって、安全あんぜん検査けんさとおったのち、また電動でんどうくるまいすになおした。いえやすしさん自身じしんのリュックサックをふくめ、一人ひとりみっつの荷物にもつなんかいもそのようにしたので、彼女かのじょつかれやすくなり、うんざりしていた。さらに、毎回まいかい安全あんぜん検査けんさ対応たいおう出入でいぐち駅員えきいんによりことなる。ある駅員えきいんこうの出入でいぐちきなさいとったけど、こうの出入でいぐちくと、わたしれなかった。ある駅員えきいんわたしに、サービスカウンターへって、そこの駅員えきいんたのんでとびらけてもらってはいりなさいとった。われたとおりに、サービスカウンターへったら、そこの駅員えきいんは「安全あんぜん検査けんさとおったの?」といた。しかし、電動でんどうくるまいすは安全あんぜん検査けんさとびらとおれないのだった。さらに、ある保安ほあんいんわたしにこうった。「ここはあなたはとおれないから、タクシーにりなさい!」そのはなしいた瞬間しゅんかんわたしおこった。地元じもとひとではないのに、タクシーをどうぶのか、どうるのか、わからない。そして、武漢ぶかんにはバリアフリー車両しゃりょうわずか2だいしかないといていた。つまり、電動でんどうくるまいすユーザーは地下鉄ちかてつ以外いがい交通こうつう手段しゅだん使つかえない。それらの前提ぜんていがあったのに、その保安ほあんいんわたしに「タクシーにりなさい!」と指示しじした。そのときわたしはうんざりした気持きもちをさえて、その保安ほあんいん駅員えきいんたちに「2あいだまえに、わたしえきから地下鉄ちかてつってここまでました。ですから、わたしは、地下鉄ちかてつれますよ」と説明せつめいした。結局けっきょくかれらが上司じょうし報告ほうこくたずねてから、ようやくわたしいえやすしさんは地下鉄ちかてつ許可きょかをもらった。さいわい、最終さいしゅうてき無事ぶじにホテルにもどれた。

武漢市の地図
写真しゃしん武漢ぶかん地図ちず。(筆者ひっしゃ提供ていきょう

3.むことない好奇こうき視線しせんびられること
 台湾たいわんでは、わたし電動でんどうくるまいすにって外出がいしゅつしても、もう他人たにんから注目ちゅうもくされない。しかし、武漢ぶかん滞在たいざいした期間きかん、いつも他人たにんから視線しせんびせられていた。かれらがなにていたのか、どんなことをおもっていたのか、らないが。もしかすると、そこでは電動でんどうくるまいすを利用りようするひとがあまりいないから、電動でんどうくるまいすにっているわたしをじっとるのだろうとおもった。らないひとちかづいて電動でんどうくるまいすについていてきたこともあった。かれたさいには、「見物けんぶつりょう相談そうだんりょうわたし支払しはらってくれないの?」と一瞬いっしゅんおもってしまった。武漢ぶかん滞在たいざいした期間きかん路上ろじょうくるまいすにっている高齢こうれいしゃわずか2、3にんしかはいらなかった。「武漢ぶかん障害しょうがいしゃはどこにいるのか?」という疑問ぎもんかんできた。
 あるばんわたしいえやすしさんは夜食やしょくいに外出がいしゅつした。突然とつぜん濃厚のうこう湖北こほくアクセントのおばさんがわたしとなりにいるいえやすしさんに、「あなたは彼女かのじょくるまいすをさなくても大丈夫だいじょうぶなの?」といた。「大丈夫だいじょうぶですよ。これは電動でんどうのものです。彼女かのじょ自分じぶん操作そうさしますよ」といえやすしさんがこたえた。つぎに、情熱じょうねつてきなおばさんはわたし電動でんどうくるまいすを操作そうさしているを掴りながら、「あら、あなたはどうしてこうなったの?いつからこうなったの?」といた。そのときわたしはとてもこわかんじた。わたしはおばさんのちから抵抗ていこうできず、まんいちおばさんがわたしうごかして電動でんどうくるまいすをきゅう発進はっしんさせたらどうしようと非常ひじょうこわかった。恐怖きょうふかんいだきながら、「おさないときからこんなふうです」とこたえた。おばさんは次々つぎつぎ質問しつもんをしてきた。「どこからたの?」とかれて、「台湾たいわんからました」とこたえた。「あなたはスゴイなぁ!」とおばさんはおおげさにしょうさんした。「なにがスゴイの?くるまいすにっている障害しょうがいしゃわたしがここにあらわれることが?」とわたししんうちんだ。
 おばさんの情熱じょうねつ真摯しんし関心かんしんかんじたけれど、どうやって返答へんとうすればよいかわからなかった。とうより、返答へんとうしたくなかった。そのときわたしとなりっていたいえやすしさんをると、彼女かのじょはこっそりわらっていて、わたしけようとしないようにえた。わたしが「たすけて!」と指示しじさないかぎり、介助かいじょしゃはこのような状態じょうたい介入かいにゅうする必要ひつようはないとわかっていた。しかし、たび同行どうこうする仲間なかまとしてのいえやすしさんがわたしたすけてくれないことが、当時とうじわたしには多少たしょう不愉快ふゆかいだった。その、「あなたなら自分じぶん対応たいおうできるとしんじていたから。そして、そのおばさんの言葉ことば行為こういにあなたがきっとうんざりするとおもった。そのおばさんの誇大こだいしょうさんおおげさなジェスチャーであなたに関心かんしんがあることがわかって、無言むごんわらうことしかできなかった。」と、いえやすしさんがいいわけした。この経験けいけんもとづいて、二人ふたり検討けんとうした。今後こんごわたし電動でんどうくるまいすをコントロールしている他人たにんさわったりつかんだりする場合ばあいは、非常ひじょう危険きけんであるから、介助かいじょしゃはこういう状況じょうきょうけるように介入かいにゅうする必要ひつようがあると合意ごういした。

■【そのさん

原文げんぶんちゅうぶん):「わがよう『飆車』いち:2019東亞とうあ障礙しょうがい研究けんきゅう論壇ろんだん心得こころえだいさんかい外部がいぶリンク
※2021ねん7がつ03にち台湾たいわん障害しょうがい学会がっかいのブログ「障礙しょうがい研究けんきゅうよんさん」に掲載けいさいされた。

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さんわたしは「暴走ぼうそう」します!――環境かんきょう障壁しょうへきがいかに障害しょうがいしゃ心身しんしん状態じょうたい選択肢せんたくし影響えいきょうするのか

 武漢ぶかん滞在たいざいのうちの日間にちかん二日ふつかの11にちわたしいえやすしさんは二人ふたり武漢ぶかん探検たんけんした。環境かんきょう障壁しょうへきだらけで、バリアフリー情報じょうほう入手にゅうしゅできず、いちにちごしたのち二人ふたりとも心身しんしんどもにくたびれていた。しかし、その経験けいけんもとづいて、この都会とかい移動いどう手段しゅだんすこしわかってきたので、13にちよるふたた探検たんけんしようとめた。自由じゆう時間じかん最後さいごの14にち昼間ひるまには、よる8飛行機ひこうきうように、搭乗とうじょう準備じゅんびでオムツを着用ちゃくようする時間じかんなどを配慮はいりょし、また、地下鉄ちかてつった経験けいけんから確定かくてい要素ようそおおかったので、そのかけずにホテルでやすもうとおもっていた。さいわい、ちょうひさしごう先生せんせい峰山みねやま先生せんせい主催しゅさいしゃ相談そうだんしてくれて、1だいのバリアフリー車両しゃりょう調達ちょうたつできて、くるまって武漢ぶかんまわって見物けんぶつしてから空港くうこうかうことになった。バリアフリー車両しゃりょう調達ちょうたつできたおかけで、交通こうつう手段しゅだんをアレンジする心配しんぱい精力せいりょく省略しょうりゃくできて、その時間じかん武漢ぶかんをもっと探索たんさくできるようになった。

1.武漢ぶかん探検たんけんする挫折ざせつかん無力むりょくかん
 二日ふつかの11にち体験たいけんさらくわしくかたっていきたいとおもう。そのは、元々もともと参加さんかしゃ同行どうこうして探検たんけんこうとおもっていた。しかし、ホテルで主催しゅさいしゃいたら、「武漢ぶかん全域ぜんいきでバリアフリー車両しゃりょうが2だいしかない」という情報じょうほうがわかった。わたし探検たんけんのための送迎そうげいはできないとも告知こくちされた。そういう情報じょうほうり、仕方しかたなく、わたしいえやすしさんはにんきりでかけるしかなかった。最初さいしょはワクワクしていたけれども、ホテルからてまもなく、精力せいりょくをものすごく使つかうことがわかった。歩道ほどうとおさい段差だんさがあるため、わたしくびくるまいすのれにえられず、いえやすしさんに両側りょうがわからわたしくびささえるよう依頼いらいしなければならなかった。そして、段差だんさたかすぎると、携帯けいたいようスロープを使つかわなければならなかった。現代げんだいてきだい都会とかい武漢ぶかん歩道ほどう移動いどうするのが、こんなにつかれるとは予想よそうしていなかった。
 午前ごぜん時間じかんをかけて、まったホテルおよ会場かいじょうである「中南なかみなみ花園はなぞの飯店はんてん」から、やく2キロをあるいて移動いどうし、「ひろしさん広場ひろばえき」にむかった。中国ちゅうごくでよくられているキャッシュレスの支払しはら方法ほうほうの「ささえづけたから」をもうもうとおもっていたが、中国ちゅうごく銀行ぎんこう口座こうざつく必要ひつようがあった。口座こうざつくるためには、名前なまえきの電話でんわカードが必要ひつようである。中国ちゅうごくせきでないひと電話でんわカードをつくるには、直営ちょくえい店舗てんぽ申請しんせいするしかない。わたしたちはみち沿って、いつつの通信つうしん店舗てんぽたずねたが、すべて直営ちょくえい店舗てんぽではないとの返事へんじだった。このため、「ささえづけたから」のもうみをやめざるをえなかった。
 歩道ほどう移動いどうするあいだに、ようやく地下鉄ちかてつえきにつながるエレベーターを発見はっけんした。ゲームで関所せきしょけてつぎのレベルにがるゲートをけたときのように、とおける希望きぼうった。電車でんしゃって、「湖北こほくしょう博物館はくぶつかん」へこうとめた。しかし、最寄もよりのえきの「ひがしていえき」でりてから博物館はくぶつかんまでは徒歩とほやく40ぶん時間じかんがかかった。博物館はくぶつかんまでの歩道ほどうも、とてもあるきにくかった。博物館はくぶつかん到着とうちゃくするまえに、わたしはもうくたびれて、いちは「かえろうか!」ともおもった。ようやく博物館はくぶつかんまええたが、みちわた横断おうだん歩道ほどうがなくて、地下道ちかどうでしかけないとわかったとき、ふたた不安ふあんかんじた。さいわい、地下道ちかどうにつながるエレベーターをつけて、わたれた。エレベーターがなかったら、わたし本当ほんとうくずれただろう。地下道ちかどうわたっていたさいに、突然とつぜん、あるおねえさんがちかづいてて、わたしたちに関心かんしんせてきた。おねえさんは博物館はくぶつかん係員かかりいんで、地下道ちかどうにつながるエレベーターには時間じかん制限せいげんがあり、夕方ゆうがた6までしか使つかえないという情報じょうほうらせた。この情報じょうほういた瞬間しゅんかん、「ナニ?!行動こうどう時間じかん制限せいげんされるのか!」としんなかさけんでしまった。
 博物館はくぶつかん見学けんがくしたのち体力たいりょくすこ回復かいふくし、べつのところへもおこなってみたかったが、わたしいえやすしさん両方りょうほう体力たいりょく配慮はいりょしながら、移動いどう様々さまざま確定かくてい要素ようそかんがえざるをえないので、ホテルにもどろうとめた。帰路きろわたしはずっと「ムナシイか、ムカつくか、くよくよか」という気持きもちだった。原因げんいんはなにか、そのときにはわからなかった。不愉快ふゆかい気持きもちを他人たにん波及はきゅうさせないように、いえやすしさんには、「わたしはいまから『暴走ぼうそう』しますから、あなたはゆっくりあるいてきてください。つぎ交差点こうさてん合流ごうりゅうしましょう!」とってから、電動でんどうくるまいすを最速さいそくのスピードにしてはしった。ホテルの最寄もよりのえきからたとき、あめっていた。いえやすしさんはかさをささえながら、わたし順調じゅんちょうとおれるように、携帯けいたいようスロープを設置せっちしたり片付かたづけたりすることをなんかいもして、本当ほんとうにくたびれただろうとわたしかんじていた。

2.「暴走ぼうそう」したい気持きもちはいったい、なんなのか?
 そのような不愉快ふゆかい気持きもちがこった理由りゆうは、なぜこの現代げんだいてきえるだい都会とかいで、わたしには移動いどうするだけのことがそんなにむずかしいのかとかかわるだろう。武漢ぶかんいてにちだったのに、くびがもうれそうなくらいくたびれてしまった。それなのに、予定よていした「ささえづけたから」をもうむようなちいさなことも出来できなかった。その過程かていで、わたしうためにいえやすしさんはなんキロも徒歩とほ移動いどうせざるをなかったので、わたし随時ずいじいえやすしさんの体調たいちょう注意ちゅういはらわなければならなかった。途中とちゅう公共こうきょうのシェア自転車じてんしゃて、いえやすしさんを自転車じてんしゃせてすこらくになってもらおうとおもったが、「ささえづけたから」がないとれられなかった。さらに、れていない武漢ぶかんでは、わたし介助かいじょしゃいえやすしさんにしかたよれなかったので、彼女かのじょまんいちなにかがあったら、わたしはどうしようかと心配しんぱいせざるをなかった。また、帰路きろ地下鉄ちかてつえきで、えき保安ほあんいんに「タクシーにりなさい!」とわれたこともふくめて、いちにちだけで様々さまざま障壁しょうへきって挫折ざせつかんがたまり、武漢ぶかんでの探検たんけんがそんなにむずかしいのかとおもって、自由じゆううばわれたようなかんじもした。
 それなのに、ホテルにもどったのち参加さんかしゃのそのゆたかな武漢ぶかん見学けんがく体験たいけんだんいたら、ムカいてしまい、「相対そうたいてき剥奪はくだつ」という言葉ことばかんできた。みんなでおなじセミナーに参加さんかしにて、会議かいぎ以外いがい自由じゆう時間じかん参加さんかしゃ気楽きらくにタクシーやバスにってかけるのに、わたしいえやすしさんは様々さまざま障壁しょうへきわざるをなかった。部屋へやもどったのちも、モヤモヤした気持きもちがれなかった。さいわい、もう一人ひとり参加さんかしゃこうまさいくさんに連絡れんらくし、わたし部屋へやんで、今回こんかい武漢ぶかん渡航とこうするとまってから、そのまでの出来事できごとについてはなって、わたし気持きもちとそれらの原因げんいんについて整理せいりができた。さらに、その滞在たいざい期間きかんていることがふたたこったときの対策たいさく検討けんとうしてみた。

3.気持きもちの整理せいりができてから、探検たんけんつづけよう!
 武漢ぶかん渡航とこうすることは、なかなかない機会きかいである。まち歩道ほどうにはあるきにくくて、わたしからだをくたびれさせたけど、せっかくとおくからたのにホテルにしか滞在たいざいできないのはくやしくおもう。のこりの滞在たいざい期間きかん具合ぐあい配慮はいりょして、セミナーの二日ふつかの13にち午後ごごに、体力たいりょく消耗しょうもうしすぎないように、いつもはよるるときだけ使つか呼吸こきゅう会場かいじょうでもけようとめた。そして、まくらも使つかって、くびささえてもらい、すこらくになった。
 せっかく参加さんかしゃ同行どうこうして海外かいがいけるようになったので、みな一緒いっしょかけたいという希望きぼうっていた。セミナーが終了しゅうりょうしたばん先生せんせいかた約束やくそくし、地元じもとでも有名ゆうめい観光かんこうすわえかわかんがい」で合流ごうりゅうし、一緒いっしょ見物けんぶつった。そこは、中華民国ちゅうかみんこく成立せいりつ当初とうしょまち様子ようす再現さいげんして、1.5キロのみち沿いにやく200けん商店しょうてんやレストラン、文化ぶんか余暇よか施設しせつなどがならんでいる。しかし、そのまち地面じめんみちよりひくいところにあった。わたしいえやすしさんは最寄もよりの地下鉄ちかてつえきからて、なかなか「すわえかわかんがい」にりるエレベーターやスロープをつけられなかった。だから、二人ふたりしたにある「すわえかわかんがい」をながら、みち沿ってずっとあるき、とおれる出入でいぐちさがした。いえやすしさんとこのなん日間にちかん遭遇そうぐうしたバリアフリー問題もんだいについてはないながら、途中とちゅうった警備けいびいんかたいてみた。警備けいびいんたちもすぐにはおもいつかず、すこ時間じかんをかけて、地下ちか駐車ちゅうしゃじょうにあるエレベーター経由けいゆで「すわえかわかんがい」にとおれるとおもいついておしえてくれた。ようやく先生せんせいかた合流ごうりゅうできて、すこしの時間じかんだけ一緒いっしょ見物けんぶつした。帰路きろは、またギャンブルのようだった。かえろうとしたときにはもうよる10になっていて、地下鉄ちかてつ終電しゅうでんよる11だった。みちもどろうとすると、そのときいたところから大回おおまわりしなければならなかった。大回おおまわりをしたら、えきまでの時間じかんたときより20分間ふんかん以上いじょうかかると予想よそうされ、さらにかかる可能かのうせいもあった。そのまま、まえすすみ、出口でぐちさがそうかなとおもったとき改築かいちくちゅう工場こうじょうからてきた大工だいくさんがセメントをせた台車だいしゃしてきた様子ようすつけて、まえすすむとまった。以前いぜん経験けいけんもとづくと、台車だいしゃたほうにはきっと出口でぐちがある。さいわい、大当おおあたり!まえすすみまもなく、地面じめんとつながるスロープがえてきた。しかし、スロープをがって地面じめん道路どうろくと、みちには「工事こうじちゅう」と表示ひょうじする看板かんばんならんでいて、わたしにとっては障壁しょうへきになってしまった。こっそり電動でんどうくるまいすの動力どうりょくでそれらの看板かんばんにぶつかりながら、まえすすんだ。そうしないと、終電しゅうでんわないのではないかと非常ひじょう心配しんぱいだった。一般いっぱんひとは、終電しゅうでんわなかったら、タクシーにってかえれる。しかし、電動でんどうくるまいすユーザーのわたしは、地下鉄ちかてつわなかったら、れるバリアフリータクシーもない状況じょうきょうでどうなるのかといろいろかんがえ、配慮はいりょしなければならなかった。

■【そのよん

原文げんぶんちゅうぶん):「2019東亞とうあ障礙しょうがい研究けんきゅう論壇ろんだん心得こころえよんよん)」外部がいぶリンク
※2021ねん7がつ12にち台湾たいわん障害しょうがい学会がっかいのブログ「障礙しょうがい研究けんきゅうよんさん」に掲載けいさいされた。

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よん障害しょうがいしゃ介助かいじょしゃとのあいだきょうはたらけ依存いぞん


携帯用スロープを使用して移動する
写真しゃしん移動いどう途中とちゅう段差だんさがあるとき、筆者ひっしゃはこの3kgきろぐらむ携帯けいたいようスロープを使用しようして移動いどうする。(筆者ひっしゃ提供ていきょう

 わたし高度こうど人的じんてき支援しえん必要ひつようひとだとおもう。武漢ぶかん滞在たいざいした日間にちかんは、環境かんきょう障壁しょうへきで、介助かいじょのニーズがえた。そして、現地げんちではわたしのまわりの介助かいじょ支援しえんいえやすしさんいちにんたよるので、彼女かのじょにさらに負担ふたんがかからないように、いえやすしさんとわたし自身じしん状態じょうたいつね注意ちゅういはらっていた。

1.環境かんきょう障壁しょうへきによって介助かいじょしゃ仕事しごとえ、たがいのコミュニケーションと信頼しんらい関係かんけい重要じゅうようせいたかまった
 セミナーの会場かいじょうはバリアフリーだが、会場かいじょうからると、環境かんきょう障壁しょうへき次々つぎつぎあらわれた。たとえば、まち商店しょうてんにゅうろうとしても、中華ちゅうか文化ぶんかけん建築けんちく特徴とくちょうである、建物たてものいちかいとお廊下ろうか(アーケード)に荷物にもつ自転車じてんしゃ、バイクなどがかさなるようにならべてあって、せまいスペースしかのこっておらず、健常けんじょうしゃなら工夫くふうをしてスッととおれるが、わたし電動でんどうくるまいすではとおれない。まえにある商店しょうてんでも、とおくをまわってとおれるルートをさがさないとれない。いえやすしさんと二人ふたりものったとき、わたしみせはいりにくいので、そとっていた。介助かいじょしゃ商店しょうてんわたしあいだ往復おうふくして時間じかん体力たいりょくをとられないように、介助かいじょしゃみせはいまえに、いくつかのプランと原則げんそくはなわざるをなかった。もしはなった状況じょうきょう全部ぜんぶはずれたら、介助かいじょしゃ彼女かのじょなんかいみせからわたし説明せつめいをし、わたしのぞみを確認かくにんしなければならなかった。また、滞在たいざい最後さいごの14にちに、空港くうこうかうまえに、参加さんかしゃ見物けんぶつったところはおてらおおかった。くるまいすユーザーのわたしはおてら建物たてものはいりにくいので、おてらなかなにがあったか、いえやすしさんがさきはいり、写真しゃしんって、おてらからて、わたし写真しゃしんせた。写真しゃしんながらわたしみずからのるためにはいるかどうかを判断はんだんした。介助かいじょしゃ本来ほんらいわたし手足てあしとして介助かいじょをしてくれれば十分じゅうぶんだけど、環境かんきょう障壁しょうへきによってにんの「きょうはたらけ介助かいじょのプロセス)」モデルはわり、介助かいじょしゃ機能きのうになわなければならなくなる。
 また、11にちにんだけの探検たんけんはなしもどる。移動いどうする途中とちゅうには、3センチから5センチくらいの段差だんさおおくて、それらの段差だんさとおさいくるまいすがれるので、いえやすしさんはつねわたしあたまくび注意ちゅういはらわなければならなかった。段差だんさたかすぎると、わたしとおれるように彼女かのじょ携帯けいたいようスロープをして設置せっちする必要ひつようがあった。段差だんさだらけのところは、随時ずいじスロープを設置せっち片付かたづけできるよう、彼女かのじょはその3kg のスロープをずっとってあるいた。また、利用りようできる交通こうつう手段しゅだん制限せいげんがあり、地下鉄ちかてつしかれなかった。えきでは、安全あんぜん検査けんさ機械きかいとおすために、彼女かのじょ一人ひとりで、わたしくるまいすにけているリュックサックと携帯けいたいようスロープを全部ぜんぶおろさなければならなかった。わたしのリュックサックには電動でんどうくるまいすの充電じゅうでん補助ほじょシート、また個人こじん用品ようひんなどがはいっているので、おもたかった。そして、スロープも3㎏のおもさであり、彼女かのじょ自身じしんのリュックサックをふくめ、一人ひとりですべての荷物にもつをおろしたりもどしたりをするのをなんかいがえした。なお、武漢ぶかんには、横断おうだん歩道ほどうすくなく、エレベーターがこうにえても、地面じめん横断おうだん歩道ほどうがないため、利用りようできないことがおおかった。そして、最寄もよりの地下鉄ちかてつえきりても、観光かんこうスポットまでかなりの距離きょりがあり、そのだけで、いえやすしさんは8キロか10キロくらいあるいたと推定すいていする。わたし介助かいじょはすべて彼女かのじょたよっているので、たがいの体調たいちょうをしっかり管理かんりすることが大事だいじで、わたし彼女かのじょ体力たいりょくをすごく心配しんぱいしていた。このため、途中とちゅうわたし彼女かのじょに、「つかれたとかんじたら、やすみが必要ひつようさいに、かならわたしってください。くるまいすユーザーはあるいている健常けんじょうしゃつかれを理解りかいできない。ある健常けんじょうしゃもずっとくるまいすにすわっている障害しょうがいしゃのおしりいたみはわからない」とった。しかし、いえやすしさんはいつも「大丈夫だいじょうぶだ!」と返事へんじをした。そうわれると、わたし彼女かのじょしんじるしかなかった。前述ぜんじゅつしたように、途中とちゅうわたしは「ムナシイか、ムカつくか、くよくよか」という気持きもちになってしまい、そのとき、その気持きもちの原因げんいんがまだからなかった。その気持きもちがいえやすしさんに波及はきゅうしないように、彼女かのじょにゆっくりあるいてきてとって、わたしは「暴走ぼうそう」して、つぎ交差点こうさてん合流ごうりゅうしたことがあった。そのたがいにはなった。彼女かのじょわたしがそうったとき、「自分じぶん介助かいじょが、どこかうまくいっていなかったか?それとも、段差だんさとおさいに、くびささえていなかった?あるいは、携帯けいたいようスロープの設置せっちへんづけ時間じかんがかかりすぎ?」等々とうとう心配しんぱい憶測おくそくしていた。じつにんとも、わたしが「つぎ交差点こうさてん合流ごうりゅうしましょう」とったとき、「わたしのモヤモヤした気持きもちは彼女かのじょ介助かいじょしに関係かんけいない」ということをはっきりはなしたかおぼえていなかった。モヤモヤした気持きもちの原因げんいん環境かんきょう障壁しょうへきだったから、もしそのとき個人こじん問題もんだいではない」とはっきりはなしていたら、二人ふたりとも内心ないしんうたがいとそのうたがいによって使つかった精力せいりょくっただろう。
 また、13にちよる探検たんけんいえやすしさんは、わたし介助かいじょをする以外いがいに、もう一人ひとり身体しんたい不自由ふじゆう先生せんせい介助かいじょもしてあげた。正直しょうじき彼女かのじょ熱心ねっしんさが体力たいりょくてき負担ふたんになるかなとわたし心配しんぱいしていた。でも、そのときはもう武漢ぶかん滞在たいざい最後さいごよるで、それからのスケジュールでは、わたしには高度こうど介助かいじょ必要ひつようせいひくいため、彼女かのじょ他人たにん手伝てつだってあげても、わたし介助かいじょへの影響えいきょうすくないだろうとおもって、「体調たいちょう注意ちゅういしなさい」とくちにしなかった。もし彼女かのじょ他人たにん介助かいじょ最初さいしょなん日間にちかんかにしたら、わたしは「体調たいちょう注意ちゅういしなさい」とうだろう。
 介助かいじょしゃとのきょうはたらけでは、当事とうじしゃおもっていることをわないと、たがいにストレスと無駄むだ心配しんぱいがたまってしまい、それからの介助かいじょ過程かていにんとも影響えいきょうけてしまう。なにかあったら、二人ふたり忖度そんたくなくはなって、その解決かいけつ方法ほうほうつからなくても、せめて二人ふたりかんがえとおもいをはなして、たがいの理解りかいもとめることが非常ひじょう重要じゅうようだとわかった。

2.長期間ちょうきかん介助かいじょでは、二人ふたりとも「Me Time」が必要ひつよう
 以前いぜんいえやすしさんではなく、介助かいじょしゃ同行どうこう海外かいがいったことがあった。介助かいじょしゃらに海外かいがい同行どうこうする可能かのうせいについていてみると、連続れんぞくなん日間にちかんも24時間じかんずっとわたし一緒いっしょにいることにたいして、ある介助かいじょしゃは、同行どうこうしても、しばらく介助かいじょ仕事しごとわたしからはなれて個人こじんの「いちにんしかいないMe time」が必要ひつようだとったことがあった。その経験けいけんもとづいて、湖北こほくしょう博物館はくぶつかん館内かんないでは、いつでも二人ふたりとなりにいることのないよう、わたしはわざと一人ひとり見物けんぶつするようにした。武漢ぶかん滞在たいざい四日よっかであるセミナーにちわたしいえやすしさんに、「あなたは午後ごごやすんでもいいし、かけてもいいですよ」とった。午後ごごわたし会場かいじょうにいるので、介助かいじょのニーズはあまりないと予測よそくし、まんいちあっても、会場かいじょうひとたのんで手伝てつだってもらえると彼女かのじょった。いえやすしさんは、「よるにシャワーをびたのちは、わたし個人こじん時間じかんになるよ。スマホをて、メッセージをおくるくらいはしているよ。セミナーのときもわたし個人こじん時間じかんだよ。あなたはセミナーでいそがしいとっているので、わたし精神せいしんはずっとあなたに集中しゅうちゅうしていないから、そのときわたし個人こじん時間じかんだとおもう。そして、セミナーの時間じかん今回こんかいたび時間じかん半分はんぶんくらいだったけれど、セミナーの内容ないようわたし興味きょうみっていたから、今回こんかい渡航とこう武漢ぶかん滞在たいざい期間きかんで、実際じっさい介助かいじょした時間じかんは、予想よそうよりすくなかったとおもう」とかえってからかたった。台湾たいわん介助かいじょしていたときから、「いつでもわたし集中しゅうちゅうしている必要ひつようはない」という原則げんそくは、わたしいえやすしさんがなんかい介助かいじょ経験けいけんかさねるなかで、二人ふたりともっていた。彼女かのじょはセミナーのとき、わたしちかくにすわっていて、その距離きょりは、わたしなに必要ひつようがあるとき、彼女かのじょんでこえる距離きょりであった。しかし外出がいしゅつすると、環境かんきょう変化へんかにより、ことなる介助かいじょのニーズがてくる。
 介助かいじょしゃの「Me Time」は、介助かいじょしゃによりわる。とはいえ、障害しょうがい当事とうじしゃみずか介助かいじょしゃ状況じょうきょう注意ちゅういし、介助かいじょしゃはなうことはとても重要じゅうようだとわたしおもう。

携帯用スロープ
写真しゃしん筆者ひっしゃ電動でんどうくるまいすのうしろにかけている3㎏の携帯けいたいようスロープ。このスロープは、くるまいすのうしろにかける時間じかん以外いがいは、介助かいじょしゃいえやすしさんがつことになった。(筆者ひっしゃ提供ていきょう

たびもっと記憶きおくのこっているのは予想よそうがいのエピソード

 今回こんかい武漢ぶかんへの渡航とこうでのわたしいえやすしさんとの会話かいわあらためてかえった。さいわい、遭遇そうぐうした困難こんなん二人ふたりえることができた。だからこそ、このエッセイをけ、みなさんにんでもらうことができた。

1.彼女かのじょがいなかったら…
 もし今回こんかい普段ふだんわたし介助かいじょする外国がいこくじん介護かいご労働ろうどうしゃ同行どうこうしたら、みなさんはたぶんこのエッセイをむことができないだろう。なぜなら、このエッセイのおおくはわたしいえやすしさんとの対話たいわかえりだからだ。普段ふだんわたし外国がいこくじん介護かいご労働ろうどうしゃとは、言語げんごてきなコミュニケーションがりにくくて、いえやすしさんとのような繊細せんさい対話たいわができない。そして、中国ちゅうごくおも言語げんご中国語ちゅうごくごであり、わたし介助かいじょしゃ環境かんきょう障壁しょうへきだらけの武漢ぶかんで、わたし地元じもとひととのあいだで、コミュニケーションのはし役割やくわりをしなければならなかった。これは、環境かんきょう障壁しょうへきわたし普段ふだんらしている環境かんきょうより確定かくてい要素ようそおおくて、わたしと(地元じもとひとふくむ)環境かんきょうあいだ介助かいじょしゃ介入かいにゅうする必要ひつようおおくなったことを意味いみする。たとえば、介助かいじょしゃ階段かいだんのぼり、地元じもとひとにエレベーターの位置いち必要ひつようがあった。その状況じょうきょうで、中国ちゅうごくがわからない外国がいこくじん介護かいご労働ろうどうしゃ同行どうこうしても、みち・エレベーターなどを役割やくわりになえないだろう。そうすると、二人ふたりともさら挫折ざせつかんがたまると予想よそうできる。なぜそう断言だんげんできるのか。それは、台湾たいわんにいるときわたし外国がいこくじん介護かいご労働ろうどうしゃとの対話たいわでも、こまかいところまでコミュニケーションがりにくいからである。
 セミナーに参加さんかするとめた当時とうじいえやすしさんは唯一ゆいいつ、たまにわたし介助かいじょしゃになひとだった。二人ふたりは、一定いってい期間きかんの「きょうはたらけ」の経験けいけんがあり、ある程度ていど信頼しんらい関係かんけいきずいていた。そして、いえやすしさんは障害しょうがい当事とうじしゃ介助かいじょした経験けいけんがあり、わたし同行どうこうする介助かいじょしゃ人選じんせんとして、わたしいえやすしさんがもっともピッタリなひとだとおもった。また、情報じょうほう欠如けつじょから、中国ちゅうごくのバリアフリー環境かんきょうはたぶんまだ完備かんびしていないだろうと予測よそくされた。過去かこ介助かいじょ経験けいけんからると、いえやすしさんが同行どうこうすれば、二人ふたりとも様々さまざま奇妙きみょうなエピソードにえられるとおもった。結局けっきょく本当ほんとうおおくの予想よそうがいのエピソードがきてしまった。それらのエピソードがかさなって、二人ふたりともそれぞれことなる心身しんしん状態じょうたい奇妙きみょう気持きもちになってしまった。さいわい、二人ふたりは、たがいにはっきりはなせて、たがいにマイナスな情緒じょうちょをためずにんだ。もしいえやすしさんが同行どうこうできなかったら、わたし今回こんかい武漢ぶかん渡航とこう機会きかいあきらめただろう。もちろん台北たいぺい自立じりつ生活せいかつ協会きょうかいあるいはネットや、学校がっこうのネットワークなどを経由けいゆして介助かいじょ可能かのうひとさがすこともできる。しかし、出発しゅっぱつまでは4ヶ月かげつあいだしかなかったので、らないひと最初さいしょからたがいの状態じょうたいりあって、様々さまざま介助かいじょ技術ぎじゅつおしえてあげて、一緒いっしょ練習れんしゅうし、みじか時間じかんでうまくかみあう関係かんけいになることはむずかしいとおもう。普段ふだん生活せいかつはもうすでいそがしいし、くたびれやすいし、さらに人的じんてきコストと時間じかんてきコストをかけて、渡航とこうのためにあたらしい介助かいじょしゃさがすことは本当ほんとう無理むり投資とうしだとおもった。さらに、あたらしい介助かいじょしゃ状態じょうたいとストレスにたいする対処たいしょほうがわからないうちに、その介助かいじょしゃ中国ちゅうごく同行どうこうするための航空こうくうけんおうとは、なかなかめられなかった。そして、中国ちゅうごくのバリアフリー環境かんきょうがわからないことに、あたらしい介助かいじょしゃ同行どうこうすることがくわわったら、わたし本当ほんとう心配しんぱいだらけになるだろう。

2.介助かいじょしゃとの事前じぜん準備じゅんびはな
 高度こうど介助かいじょ必要ひつよう障害しょうがいしゃたびするためには、事前じぜん非常ひじょうおおくのことを詳細しょうさいはなわなければならない。わたしは、渡航とこう期間きかん毎日まいにちのスケジュールにおうじて、介助かいじょしゃいえやすしさんと個々こここまかいてんや、こりうると予想よそうされるエピソードの対処たいしょ方法ほうほうはなった。現在げんざいかえって、もし武漢ぶかん渡航とこうするまえに、介助かいじょしゃ二人ふたり台湾たいわんいちはくにち旅行りょこうをアレンジして予習よしゅうができれば、介助かいじょしゃ介助かいじょ実際じっさい中身なかみがもっとわかって、自分じぶん体力たいりょく心身しんしん状態じょうたい自己じこ評価ひょうか理解りかいができただろう。
 介助かいじょ過程かていにおいては、コミュニケーションが非常ひじょう重要じゅうようである。もし自分じぶんがマイナスな気持きもちになってしまったら、とりあえずしばらく相手あいてはなれて、いてから相手あいてなにがあったかを説明せつめいする。たがいにプレッシャーをかけず、相手あいてたいする忖度そんたく自分じぶんたいする懐疑かいぎしんをためまないようすると、その介助かいじょつづけられるとおもう。同時どうじに、障害しょうがい当事とうじしゃも、介助かいじょしゃ個人こじんのMe Timeが必要ひつようなことをこころにおいておくことが大事だいじだとおもう。障害しょうがいのあるわたしは、24あいだだれかがとなりにいることにもうれてきた。しかし、ひとによってちがう。Me Timeが必要ひつようひともいるので、できれば、介助かいじょしゃ個人こじん時間じかん空間くうかんつくれるとよいのではないかとおもう。
 なぜわたしがこういうようにはっきりと事前じぜん準備じゅんび介助かいじょしゃとのコミュニケーションをれるのかというと、それは以前いぜん海外かいがい渡航とこう旅行りょこうで、ことなる介助かいじょしゃとのきょうはたらけ経験けいけんかさねて、それらの体験たいけんからまなんだからだ。

3.多様たようせい想像そうぞう欠如けつじょした都会とかい
 中国ちゅうごくでは、ネットで情報じょうほう調しらべるとき、「ひゃく」を使つかう。ネットマップは、「高徳こうとく」を使つかう。支払しはらいのさいには、実名じつめいせいの「ささえづけたから」が必要ひつよう。これらのことは中国ちゅうごくせき以外いがいひとにとって、れない文化ぶんかであり、生活せいかつ支障ししょうにもなってしまう。武漢ぶかんまちづくりは多様たようなユーザーに配慮はいりょしていないとおもう。おそらく多様たようなユーザーが存在そんざいすることを認識にんしきしていないだろう。みちわたさいは、おも地下道ちかどう歩道橋ほどうきょう利用りようする。地面じめんにある横断おうだん歩道ほどうきわめてすくない。歩道ほどうには斜面しゃめんがあり、歩道ほどうとおさい路面ろめんとの段差だんさはとてもおおい。
 渡航とこうするまえに、Googleで武漢ぶかんのバリアフリー情報じょうほうについていくら調しらべても、なかなかつからなかった。帰国きこくしてからかえって、もし渡航とこうまえに、主催しゅさいしゃ利用りよう可能かのう交通こうつう手段しゅだんまち見学けんがくについてたずねていたら、あるいは、武漢ぶかん地元じもと障害しょうがいしゃ団体だんたいっていれば、地元じもと障害しょうがいしゃ現地げんちでの移動いどう生活せいかつ状況じょうきょうについてれれば、もしかするとわたしいえやすしさんの挫折ざせつかん今回こんかいよりはすこらせただろうとおもった。
 生活せいかつたいして熱情ねつじょう好奇心こうきしんっているわたしだから、「ワガママ」で多様たようせい想像そうぞういている武漢ぶかん探検たんけんができた。さらに、介助かいじょしゃいえやすしさんもわたしも「社会しゃかいモデル」の概念がいねんっていて、挫折ざせつしたときには、それらの問題もんだい環境かんきょう障壁しょうへきによるもので、わたし個人こじんてき問題もんだいではないと認識にんしきしていた。わたしは、おさないときのように、同行どうこう介護かいごしゃ介助かいじょしゃたいしてもうわけない気持きもちをかかえてしまわなかった。しかし、環境かんきょう障壁しょうへきは、個人こじん心身しんしん状態じょうたい他人たにんとのインタラクションにおいて、影響えいきょうつよけた。たとえば、わたしくび身体しんたい非常ひじょうにくたびれた。モヤモヤした気持きもちにもなってしまった。介助かいじょしゃいえやすしさんもつかれて、自己じこ懐疑かいぎてき気持きもちにもなってしまった。これらのエピソードは、緊張きんちょうかんあたえ、モヤモヤした気持きもちになってしまった。けれども、わたしいえやすしさんはその過程かていたがいにちゃんとはない、状況じょうきょうあきらかにして、対策たいさく方法ほうほう一緒いっしょつけられた。このことは、今回こんかい渡航とこうとく大切たいせつ経験けいけんになったとおもう。




作成さくせいこう まさいく
UP: 20210805 REV:20210810, 0819
障害しょうがいがく  ◇障害しょうがいがく国際こくさいセミナー  ◇障害しょうがいがく国際こくさいセミナー 2019  ◇台湾たいわん障害しょうがい学会がっかい  ◇全文ぜんぶん掲載けいさい  ◇全文ぜんぶん掲載けいさい・2021 
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