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脱施設 2006
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だつ施設しせつ 2006

施設しせつだつ施設しせつ


文献ぶんけんとう
■ニュース など

◆20060131 船形ふながたコロニー「2010ねん解体かいたい困難こんなん」 村井むらい知事ちじ視察しさつ見直みなお示唆しさ /宮城みやぎけん――朝日新聞あさひしんぶん

◆20060131 船形ふながたコロニー:知事ちじ視察しさつ「4ねん閉鎖へいさむずかしい」 計画けいかく見直みなお意向いこう示唆しさ /宮城みやぎ――毎日新聞まいにちしんぶん

◆20060131 「2010ねんまでに閉鎖へいさ困難こんなん」 船形ふながたコロニー視察しさつ村井むらい知事ちじ表明ひょうめい宮城みやぎ――読売新聞よみうりしんぶん

◆20060206 (ニュースインサイド)一家いっか地域ちいきから孤立こりつ 北九州きたきゅうしゅう通院つういん男性だんせい両親りょうしん殺傷さっしょう事件じけん福岡ふくおかけん――朝日新聞あさひしんぶん

◆20060207 船形ふながたコロニー解体かいたい計画けいかく見直みなおもとめる意向いこう表明ひょうめい−−村井むらい知事ちじ /宮城みやぎ――毎日新聞まいにちしんぶん

◆20060207 船形ふながたコロニーの「解体かいたい宣言せんげん見直みなお表明ひょうめいへ あす村井むらい知事ちじ浅野あさの会談かいだん宮城みやぎ――読売新聞よみうりしんぶん

◆20060209 障害しょうがいしゃ自立じりつくに目標もくひょう 「だっ施設しせつ鮮明せんめい――朝日新聞あさひしんぶん

◆20060209 宮城みやぎけん知的ちてき障害しょうがいしゃ施設しせつ、「解体かいたい期限きげん知事ちじ撤回てっかい――朝日新聞あさひしんぶん

◆20060209 船形ふながたコロニー:「10ねんまで閉鎖へいさ計画けいかく撤回てっかい合意ごうい−−村井むらい知事ちじ浅野あさのぜん知事ちじ /宮城みやぎ――毎日新聞まいにちしんぶん

◆20060209 船形ふながたコロニー「解体かいたい宣言せんげん見直みなお表明ひょうめい 会談かいだん知事ちじ浅野あさのれへ=宮城みやぎ――読売新聞よみうりしんぶん

◆20060215 けん一般いっぱん会計かいけいは1ちょう4268おく1600まんえん−−しん年度ねんどけん予算よさんあん /千葉ちば――毎日新聞まいにちしんぶん

◆20060220 船形ふながたコロニー:「存続そんぞくを」 育成いくせいかい要請ようせい方針ほうしん確認かくにん /宮城みやぎ――毎日新聞まいにちしんぶん

◆20060315 施設しせつ障害しょうがいしゃ地域ちいき生活せいかつに 来年度らいねんどからけいまんにん厚労省こうろうしょう発表はっぴょう――読売新聞よみうりしんぶん

◆20060319 船形ふながたコロニーから れる「施設しせつ解体かいたい」:うえ地域ちいき移行いこうなや家族かぞく /宮城みやぎけん――朝日新聞あさひしんぶん

◆20060320 船形ふながたコロニーから れる「施設しせつ解体かいたい」:した退すさしょ、どうささえる /宮城みやぎけん――朝日新聞あさひしんぶん

◆20060321 社説しゃせつ精神せいしん障害しょうがいしゃ まちでらせるために――朝日新聞あさひしんぶん

◆20060404 太陽たいようくにから 障害しょうがいしゃ自立じりつ」の行方ゆくえ:1)だつ施設しせつ 新法しんぽう施行しこう家族かぞく不安ふあん /福島ふくしまけん――朝日新聞あさひしんぶん

◆20060405 太陽たいようくにから 障害しょうがいしゃ自立じりつ」の行方ゆくえ:2)グループホーム 整備せいびおくれ /福島ふくしまけん――朝日新聞あさひしんぶん

◆20060406 太陽たいようくにから 障害しょうがいしゃ自立じりつ」の行方ゆくえ:3)就労しゅうろう支援しえん てい賃金ちんぎんすすまぬ雇用こよう /福島ふくしまけん――朝日新聞あさひしんぶん

◆20060407 太陽たいようくにから 障害しょうがいしゃ自立じりつ」の行方ゆくえ:4)にちちゅう活動かつどう もとめられる安定あんてい /福島ふくしまけん――朝日新聞あさひしんぶん

◆20060408 太陽たいようくにから 障害しょうがいしゃ自立じりつ」の行方ゆくえ:5)地域ちいき連携れんけい 職員しょくいん派遣はけん人材じんざい育成いくせい /福島ふくしまけん――朝日新聞あさひしんぶん

◆20060805 けん施設しせつ定員ていいんわりげんへ 11年度ねんどまでに49施設しせつの270にんぶん 障害しょうがい福祉ふくし計画けいかく /栃木とちぎけん――朝日新聞あさひしんぶん

◆20060805 [ルポ・福祉ふくし現場げんば](3)「地域ちいき移行いこう停滞ていたいも(連載れんさい)=千葉ちば――読売新聞よみうりしんぶん

◆20060807 [ルポ・福祉ふくし現場げんば](5)理念りねんいが実現じつげん困難こんなん連載れんさい)=千葉ちば――読売新聞よみうりしんぶん

◆20060823 精神せいしん患者かんじゃ病棟びょうとう退院たいいん支援しえん施設しせつ厚労省こうろうしょう検討けんとう 「数字すうじわせ」批判ひはん――毎日新聞まいにちしんぶん

◆20060824 精神せいしん患者かんじゃ退院たいいん支援しえん施設しせつ計画けいかく撤回てっかいを 患者かんじゃ団体だんたい交渉こうしょう――毎日新聞まいにちしんぶん

◆20060902 わたし視点してんウイークエンド)障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう 福祉ふくし共生きょうせい社会しゃかい逆行ぎゃっこう 山田やまだ雅人まさと――朝日新聞あさひしんぶん

◆20060916 土曜どよう特集とくしゅう負担ふたんぞうやはり、不安ふあんつのる 障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう利用りようしゃは… /新潟にいがたけん――朝日新聞あさひしんぶん

◆20060927 精神せいしん病院びょういん退院たいいん支援しえん施設しせつ転換てんかん 計画けいかく実施じっし来年らいねんがつに/厚労省こうろうしょう――読売新聞よみうりしんぶん

◆20061118 検証けんしょう村井むらい県政けんせいの1ねんちゅう 知事ちじのカラー /宮城みやぎ――毎日新聞まいにちしんぶん

◆20061122 検証けんしょう村井むらい県政けんせいねん](うえ)リーダーシップ(連載れんさい)=宮城みやぎ――読売新聞よみうりしんぶん

◆20061124 検証けんしょう村井むらい県政けんせいねん](した知事ちじインタビュー(連載れんさい)=宮城みやぎ――読売新聞よみうりしんぶん


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◆20060131 船形ふながたコロニー「2010ねん解体かいたい困難こんなん」 村井むらい知事ちじ視察しさつ見直みなお示唆しさ /宮城みやぎけん――朝日新聞あさひしんぶん

けん福祉ふくし事業じぎょうだん現在げんざいけん社会しゃかい福祉ふくし協議きょうぎかい)が2010ねん解体かいたいすると宣言せんげんした知的ちてき障害しょうがいしゃ入所にゅうしょ施設しせつ船形ふながたコロニー」(大和やまとまち)で、入所にゅうしょしゃ家族かぞく解体かいたい方針ほうしん見直みなおしをもとめている問題もんだいで、村井むらい嘉浩よしひろ知事ちじは30にち、コロニーなどを視察しさつし、「10ねん解体かいたい物理ぶつりてきむずかしいのではないか」と見直みなおかんがえを示唆しさした。2がつ中旬ちゅうじゅん開会かいかいする県議会けんぎかいまえにも、しゃ協会きょうかいちょう浅野あさの史郎しろうぜん知事ちじ会談かいだんし、最終さいしゅうてき対応たいおうめるとしている。
 村井むらい知事ちじはこの船形ふながたコロニーを視察しさつし、入所にゅうしょしゃ家族かぞく構成こうせいする「船形ふながたコロニー育成いくせいかい」や社協しゃきょう職員しょくいん意見いけんわしたのち大和やまと町内ちょうないのグループホームをまわった。
 意見いけん交換こうかんかいでは、育成いくせいかいのメンバーが、施設しせつからグループホームなど地域ちいきうつったもと入所にゅうしょしゃ家族かぞく対象たいしょう実施じっししたアンケート結果けっか公表こうひょうした。164つう送付そうふし、83つう回答かいとうたという。
 それによると、「地域ちいき移行いこうをしてどうかんじているか」との質問しつもんに、「移行いこうしてよかった」が34%、「どちらともいえない」が38%、「コロニーにいたほうがよかった」が28%。メンバーらは「かならずしも地域ちいき移行いこうのぞまれているわけではない」などとコロニー存続そんぞく要望ようぼうした。
 視察しさつ村井むらい知事ちじ報道陣ほうどうじん質問しつもんこたえ、「社協しゃきょう育成いくせいかい地域ちいき移行いこうすすめていくという方向ほうこうせいおなじだ」としたうえで、10ねんまでのコロニー解体かいたい撤回てっかいのほか、今後こんごあらたな入所にゅうしょしゃれをみとめることも検討けんとうするかんがえをしめした。施設しせつ解体かいたい宣言せんげんについても、「名前なまえ誤解ごかいんでいるのではないか。たとえば、『地域ちいき移行いこう宣言せんげん』などと表現ひょうげんえることも検討けんとうしてみたい」とはなした。

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◆20060131 船形ふながたコロニー:知事ちじ視察しさつ「4ねん閉鎖へいさむずかしい」 計画けいかく見直みなお意向いこう示唆しさ /宮城みやぎ――毎日新聞まいにちしんぶん

村井むらい嘉浩よしひろ知事ちじは30にち入所にゅうしょしゃ地域ちいき移行いこう計画けいかく是非ぜひ課題かだいとなっている知的ちてき障害しょうがいしゃ入所にゅうしょ施設しせつ船形ふながたコロニー」(大和やまとまち)を訪問ほうもんした。村井むらい知事ちじ記者きしゃだんたいし「理念りねんはすばらしいが、2010ねんまでにコロニーを閉鎖へいさするのはむずかしいという印象いんしょうけた」とべ、運営うんえいするけん社会しゃかい福祉ふくし協議きょうぎかい浅野あさの史郎しろう会長かいちょう)に計画けいかく見直みなおしをもとめる意向いこう示唆しさした。

 知事ちじどう施設しせつ訪問ほうもんしたのは、就任しゅうにんはじめて。

 知事ちじ入所にゅうしょしゃ部屋へや食堂しょくどう見学けんがくし、入所にゅうしょしゃこえをかけるなどして施設しせつ視察しさつ。そのどう施設しせつ職員しょくいん入所にゅうしょしゃ保護ほごしゃでつくる「けん船形ふながたコロニー育成いくせいかい」(高見たかみひさしけん会長かいちょう)の関係かんけいしゃとの意見いけん交換こうかんのぞんだ。

 施設しせつがわからは「本人ほんにんしあわせの実現じつげんのためにも、地域ちいきへの移行いこう着実ちゃくじつすすめるべきだ」などの意見いけんがあがった。一方いっぽう育成いくせいかい保護ほごしゃ対象たいしょうにしたアンケートを提示ていじ地域ちいき移行いこうしたもと入所にゅうしょしゃ保護ほごしゃの9わり施設しせつ存続そんぞくもとめていることなどをしめし「どうしても地域ちいきへの移行いこうができないひとのための場所ばしょとしてのこしてほしい」とうったえた。

 施設しせつには当初とうしょやく500にん入所にゅうしょしゃがいたが、02ねん12月じゅうにがつきゅうけん福祉ふくし事業じぎょうだんげんけん社協しゃきょう)が10ねんまでに施設しせつ解体かいたいする計画けいかく発表はっぴょう。その、グループホームなど入所にゅうしょしゃ地域ちいき移行いこうすすみ、今月こんげつ16にち現在げんざいで287にん施設しせつ生活せいかつしている。

 一方いっぽう計画けいかく反対はんたいする育成いくせいかい昨年さくねん12がつ村井むらい知事ちじ見直みなおしをもとめる要請ようせいぶん提出ていしゅつ県議会けんぎかい保健ほけん福祉ふくし委員いいんかいも、知事ちじ見直みなおしをもとめている。【石川いしかわたかきょう

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◆20060131 「2010ねんまでに閉鎖へいさ困難こんなん」 船形ふながたコロニー視察しさつ村井むらい知事ちじ表明ひょうめい宮城みやぎ――読売新聞よみうりしんぶん

浅野あさの史郎しろうぜん知事ちじした「みやぎ知的ちてき障害しょうがいしゃ施設しせつ解体かいたい宣言せんげん」に施設しせつ入所にゅうしょしゃ保護ほごしゃらが反発はんぱつしている問題もんだいで、村井むらい知事ちじは30にち心身しんしん障害しょうがいしゃ施設しせつ船形ふながたコロニー」(大和やまとまち)を視察しさつした。宣言せんげん船形ふながたコロニーの2010ねんまでの解体かいたい明記めいきしているが、知事ちじは「2010ねんまでに閉鎖へいさするのはかなりむずかしいという印象いんしょうけた」とべた。
 知事ちじ船形ふながたコロニーのうち、重度じゅうど高齢こうれい障害しょうがいしゃ入所にゅうしょする「とがくらえん」を視察しさつ施設しせつ職員しょくいんから説明せつめいいたり、入所にゅうしょしゃはなしかけたりしたのち施設しせつがわと、宣言せんげん反発はんぱつする保護ほごしゃでつくる「船形ふながたコロニー育成いくせいかい」の会員かいいんたちのそれぞれのかんがえをいた。
 施設しせつがわは、地域ちいきのグループホームなどにうつり、いきいきと生活せいかつしているもと入所にゅうしょしゃ事例じれい紹介しょうかいし、地域ちいき移行いこう必要ひつようせい強調きょうちょう地域ちいきざらととのっていない現状げんじょう移行いこうすすめていることについては、「移行いこうしながら、ざら整備せいびしていく必要ひつようがある」などとはなした。
 一方いっぽう育成いくせいかいがわは、地域ちいき移行いこうしたもと入所にゅうしょしゃ保護ほごしゃらにたいするアンケート調査ちょうさ結果けっか提示ていじ。「実際じっさい移行いこうして利用りようしゃはどうかんじているか」との質問しつもんで、「コロニーのときよりよろこんでいる」が34%だったのにたいし、「あまりわらない」が48%、「コロニーのほうがよろこんでいる」が18%もあった。このため「ざら不十分ふじゅうぶんなまま、重度じゅうど障害しょうがいしゃ地域ちいき移行いこうしても、本人ほんにん保護ほごしゃとも安心あんしんしてらせない」などとべ、拙速せっそく解体かいたいおこなわないようもとめた。
 知事ちじは「双方そうほうとも地域ちいき移行いこうすすめていくてんではおな方向ほうこうせいだが、2010ねんという目標もくひょう年限ねんげんさだめていることで齟齬そご(そご)がしょうじている」とべた。今後こんご地域ちいき移行いこう方法ほうほうふくめたけん福祉ふくし政策せいさく宣言せんげん見直みなおしなどについて検討けんとうし、けん社会しゃかい福祉ふくし協議きょうぎ会長かいちょう浅野あさのぜん知事ちじとも意見いけん交換こうかんするかんがえを表明ひょうめいした。

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◆20060206 (ニュースインサイド)一家いっか地域ちいきから孤立こりつ 北九州きたきゅうしゅう通院つういん男性だんせい両親りょうしん殺傷さっしょう事件じけん福岡ふくおかけん――朝日新聞あさひしんぶん

 北九州きたきゅうしゅう民家みんかで1がつ無職むしょく男性だんせい(37)が両親りょうしん包丁ほうちょう事件じけんがあった。男性だんせいけつけた警察官けいさつかん逮捕たいほされ、母親ははおや死亡しぼうした。男性だんせい統合とうごう失調しっちょうしょう治療ちりょうけながら両親りょうしんらしていたが、近所きんじょでは存在そんざいすららないひとのほうがおおかった。一家いっかは、なぜ地域ちいきから孤立こりつしていったのか。事件じけん背景はいけい課題かだいさぐった。(藤井ふじい裕介ゆうすけ

 1がつにち午後ごご1020ふんごろ、男性だんせい父親ちちおや当時とうじ81)から110番ひゃくとおばん通報つうほうがあった。警察官けいさつかん急行きゅうこうすると、平屋ひらやての住宅じゅうたく居間いま母親ははおや当時とうじ75)が、和室わしつ父親ちちおやがいずれも包丁ほうちょう背中せなかされてたおれていた。母親ははおややくあいだ死亡しぼうし、父親ちちおやたいけがをして入院にゅういんしている。
 県警けんけい調しらべでは、男性だんせいは83ねんから03ねんにかけてふくすうかい統合とうごう失調しっちょうしょう市内しない病院びょういん入院にゅういんしていた。03ねん以降いこう通院つういんしていた。
 調しらべには「自分じぶんつくったみそしるんでもらえなかったから」「両親りょうしんがけんかをしてねむれなかった」と動機どうき供述きょうじゅつ地検ちけん小倉こくら支部しぶは1がつ31にち責任せきにん能力のうりょくはあるとして男性だんせい殺人さつじんざいなどで起訴きそした。
 自宅じたくちかくの住民じゅうみんくちをそろえる。「息子むすこさんが一緒いっしょらしていたなんて、らなかった」。隣家りんかひとだけは「おかあさんが『息子むすこがごはんつくってくれる』とはなしていて、同居どうきょっていた」とかたるが、「回覧かいらんばんまわときいえっても息子むすこさんのこえいたことがなかった」。
 県警けんけいによると、一家いっか両親りょうしん年金ねんきん男性だんせい障害しょうがい年金ねんきんらしていた。男性だんせいはテレビゲームなどをして、つきかい通院つういん以外いがい、ほとんどからることはなかった。区役所くやくしょ保健ほけん福祉ふくし精神せいしん保健ほけん福祉ふくし相談そうだんいんや、精神せいしん障害しょうがいしゃ家族かぞくかい家族かぞく相談そうだんすることもなかった。
 北九州きたきゅうしゅうにある家族かぞくかいひとつ、「あかつきかい」の事務じむ局長きょくちょう守谷もりや栄二えいじさん(64)は指摘してきする。「精神せいしん障害しょうがいへの偏見へんけんからか、ご両親りょうしん世間体せけんていにして周囲しゅうい相談そうだんもできず、息子むすこさんをいえじこめることになったのではないか。それではおたがいにストレスがたまってしまう」
 家族かぞく患者かんじゃ一緒いっしょじこもらず、いちがいせば、家族かぞくかいのような場所ばしょでストレスを解消かいしょうできるという。「家族かぞくらくになれば、患者かんじゃらくになる。男性だんせい両親りょうしんもそれにづいてくれればかったのだが」
 厚生こうせい労働省ろうどうしょうは02ねん、「しん障害しょうがいしゃプラン」をし、07年度ねんどまでの5年間ねんかん精神せいしん障害しょうがいへの偏見へんけん解消かいしょうし、社会しゃかい復帰ふっき施設しせつなかではなく地域ちいき社会しゃかいおこなう「だつ施設しせつ」のみをすすめている。
 北九州きたきゅうしゅう市立しりつ精神せいしん保健ほけん福祉ふくしセンターの保健ほけん肥塚こいづか美由紀みゆきさんによると、授産じゅさん施設しせつ共同きょうどう作業さぎょうしょといった地域ちいき拠点きょてん整備せいびされつつあるが、雇用こようざらになる企業きぎょうすくない。誤解ごかい偏見へんけんくために、講演こうえんかい交流こうりゅう事業じぎょうで「くすりめば症状しょうじょうおさえられる」「だれでもかかる可能かのうせいがあり、特別とくべつ病気びょうきではない」といている。
 守谷もりやさんの家族かぞくかいは、授産じゅさん施設しせつやグループホームの設置せっちすすめている。民家みんかやアパートをよく利用りようするが、住民じゅうみんおおくは理解りかいしめし、活動かつどう参加さんかしてくれるひともいるという。
 「『精神せいしん障害しょうがいしゃだからいやがられるのでは』と、こちらがぎゃくおもんでいた部分ぶぶんもあった。周囲しゅうい理解りかいもとめていくとともに、患者かんじゃ家族かぞく偏見へんけんをなくすことからはじめたい」。守谷もりやさんは、自分じぶんにいいきかせるようにはなした。

 ◆キーワード
 <統合とうごう失調しっちょうしょう> 全国ぜんこく精神せいしん障害しょうがいしゃ家族かぞくかい連合れんごうかい資料しりょうによると、のう神経しんけい)のはたらきが活発かっぱつになりすぎて、くるまたとえるとエンジンがオーバーヒートした状態じょうたいになる病気びょうき不眠ふみん幻聴げんちょうなどの症状しょうじょうがある。厚生こうせい労働省ろうどうしょう調査ちょうさによると、入院にゅういんまたは外来がいらい治療ちりょうけた推計すいけい患者かんじゃすう全国ぜんこくやく23まんせんにん(02ねん)。

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◆20060207 船形ふながたコロニー解体かいたい計画けいかく見直みなおもとめる意向いこう表明ひょうめい−−村井むらい知事ちじ /宮城みやぎ――毎日新聞まいにちしんぶん

村井むらい嘉浩よしひろ知事ちじは6にち定例ていれい会見かいけんで、入所にゅうしょしゃ地域ちいき移行いこう計画けいかく是非ぜひ課題かだいとなっている知的ちてき障害しょうがいしゃ入所にゅうしょ施設しせつ船形ふながたコロニー」(大和やまとまち)について、運営うんえいするけん社会しゃかい福祉ふくし協議きょうぎかいたい計画けいかく見直みなおしをもとめる意向いこう表明ひょうめいした。浅野あさの史郎しろう会長かいちょうと8にち会談かいだん正式せいしきつたえる。

 先月せんげつ30にちどうコロニーを視察しさつした村井むらい知事ちじは「(計画けいかくしていた)10ねんまでの閉鎖へいさむずかしいとかんがえた」と理由りゆう説明せつめいした。浅野あさの会長かいちょう見直みなおしに否定ひていてきかんがえをしめしているが「イニシアチブはけんにあるし、責任せきにんるのもわたしわたしかんがえを優先ゆうせんしていただかざるをないとおもう」とべた。

 知事ちじはまた、民間みんかんからのふく知事ちじ採用さいようについては、県議会けんぎかいの2がつ定例ていれいかいでの提案ていあんにはこだわらない意向いこうしめした。【石川いしかわたかきょう

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◆20060207 船形ふながたコロニーの「解体かいたい宣言せんげん見直みなお表明ひょうめいへ あす村井むらい知事ちじ浅野あさの会談かいだん宮城みやぎ――読売新聞よみうりしんぶん

浅野あさの史郎しろうぜん知事ちじした「みやぎ知的ちてき障害しょうがいしゃ施設しせつ解体かいたい宣言せんげん」に施設しせつ入所にゅうしょしゃ保護ほごしゃらが反発はんぱつしている問題もんだいで、村井むらい知事ちじは8にちけん社会しゃかい福祉ふくし協議きょうぎかい会長かいちょう浅野あさのぜん知事ちじ会談かいだんする。「解体かいたい宣言せんげん」の名称めいしょうや、どう宣言せんげん明記めいきされたけん心身しんしん障害しょうがいしゃ施設しせつ船形ふながたコロニー」(大和やまとまち)を2010ねんまでに解体かいたいするとした数値すうち目標もくひょうについて、見直みなおかんがえをつたえる方針ほうしんだ。
 知事ちじは6にち会見かいけんで、「(施設しせつ入所にゅうしょしゃの)家族かぞくにどうしても反対はんたいほうがいる以上いじょう、2010ねん解体かいたい非常ひじょうむずかしい」と説明せつめい施設しせつ入所にゅうしょしゃ地域ちいき移行いこう理念りねん浅野あさのぜん知事ちじと「おな方向ほうこう目指めざす」としながらも、名称めいしょうについても「誤解ごかいあたえる可能かのうせいもあり、あらためたい」とべた。
 また新規しんき入所にゅうしょについて、船形ふながたコロニーは原則げんそくとしてれていないが、知事ちじは「どこの施設しせつにも入所にゅうしょできないほうを、てらてきれざるをないのではないか」とはなした。
 船形ふながたコロニーはけんけん社会しゃかい福祉ふくし協議きょうぎかい管理かんり運営うんえい委託いたくしている。このため、知事ちじは「イニシアチブ(主導しゅどうけん)はけんにあり、最終さいしゅうてき責任せきにんるのもわたしなので、わたしかんがえを優先ゆうせんしてもらわざるをない」とする。
 ただ、浅野あさのぜん知事ちじ会長かいちょうつとめていることもあって、「浅野あさの会長かいちょうはなし納得なっとくできる部分ぶぶんがあれば、わたしかんがえをえる場合ばあいもあるとおもう」と配慮はいりょせている。

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◆20060209 障害しょうがいしゃ自立じりつくに目標もくひょう 「だっ施設しせつ鮮明せんめいに――朝日新聞あさひしんぶん

厚生こうせい労働省ろうどうしょうは9にち、4がつからの障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう施行しこうともなって都道府県とどうふけん市町村しちょうそんさだめる「障害しょうがい福祉ふくし計画けいかく」のもととなるくに基本きほん方針ほうしんをまとめた。障害しょうがいしゃ施設しせつ入所にゅうしょしゃやく15まんにんを11年度ねんどまでにやく7%らすことや、精神せいしん病院びょういん入院にゅういん患者かんじゃの5まんにん削減さくげん現在げんざい年間ねんかんせんにん新規しんき民間みんかん雇用こようを4ばいやすなどの数値すうち目標もくひょうはじめて設定せってい障害しょうがいしゃ地域ちいきらせるようにする「だつ施設しせつ」の姿勢しせい鮮明せんめいした。自治体じちたい今後こんご、この計画けいかくもとづいて必要ひつようなサービスの基盤きばん整備せいびすすめる。(清井きよいさとし

 厚労省こうろうしょう昨年さくねん10がつった実態じったい調査ちょうさでは、障害しょうがいしゃ施設しせつ入所にゅうしょしゃ身体しんたい障害しょうがいしゃまん9500にん知的ちてき障害しょうがいしゃ10まん1800にん精神せいしん障害しょうがいしゃ4500にんけい14まん5800にん基本きほん方針ほうしんはこのうち1まんにんを11年度ねんどまでに削減さくげんするとしている。
 精神せいしん病院びょういん入院にゅういん患者かんじゃについては、環境かんきょう整備せいびなど条件じょうけんととのえば退院たいいんできるひとやくまんにん推計すいけい、うち5まんにん退院たいいんさせるとした。退すさしょ退院たいいんしゃは、地域ちいきのグループホームや一般いっぱん住宅じゅうたくなどにうつることになる。
 障害しょうがいしゃ雇用こようは、昨年さくねんがつ時点じてんで58%の企業きぎょう法定ほうてい雇用こようりつ達成たっせいしていないなどすすんでいない。NPO法人ほうじんなどと雇用こよう促進そくしんのネットワークをつくって職業しょくぎょう紹介しょうかい訓練くんれんをしている自治体じちたいもあり、基本きほん方針ほうしんはこうしたみで雇用こようぞうもとめる。
 障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう障害しょうがいによってことなる福祉ふくしサービスを一本いっぽん都道府県とどうふけん市町村しちょうそんに、施設しせつすう必要ひつようなサービスりょうんだ3ねんごとの障害しょうがい福祉ふくし計画けいかくをつくり、サービス提供ていきょう態勢たいせい整備せいびするようもとめている。
 今回こんかいくに基本きほん方針ほうしんはこの計画けいかくづくりのもとになるもので、自治体じちたいには計画けいかく達成たっせいのために目標もくひょうえる入所にゅうしょ施設しせつ指定してい拒否きょひや、入所にゅうしょ施設しせつをグループホームにえるさい助成じょせい、ホームヘルプサービスなどの充実じゅうじつはかるなどの施策しさくもとめられることになる。
 これまで障害しょうがい福祉ふくし予算よさんおおくは施設しせつ使つかわれ、精神せいしん障害しょうがいしゃけのグループホームのある自治体じちたいも3わり以下いか。このため施設しせつ長期間ちょうきかんごす障害しょうがいしゃおおく、グループホームなど地域ちいきらす「だつ施設しせつ」が欧米おうべい諸国しょこくくらおくれていると指摘してきされてきた。
 02ねんまつ閣議かくぎ決定けっていされた「しん障害しょうがいしゃプラン」でも「入所にゅうしょ施設しせつしん必要ひつようなものに限定げんていする」として「だつ施設しせつ」の方向ほうこうせいしたが、家族かぞく施設しせつ希望きぼうするケースもおおく、その施設しせつ入所にゅうしょしゃつづけていた。
 障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうは、自立じりつした生活せいかつ必要ひつよう福祉ふくしサービス提供ていきょうなどが目的もくてきで、障害しょうがいしゃ地域ちいき安心あんしんしてらせる「ノーマライゼーション」のかんがかた沿ったものだが、自己じこ負担ふたんをサービス利用りようりょうおうじた「原則げんそくわり」とするてん障害しょうがいしゃ団体だんたいなどが反発はんぱつしていた。

障害しょうがいしゃの「だつ施設しせつ」へけた居住きょじゅうけいサービスの数値すうち目標もくひょう
<05年度ねんどけい25まんにん)>
施設しせつ入所にゅうしょしゃ                15まんにん
精神せいしん入院にゅういん患者かんじゃのうち退院たいいん可能かのうおもわれるひと  7まんにん
グループホーム・ケアホーム         3まんにん

<11年度ねんどけい28まんにん)>
施設しせつ入所にゅうしょしゃ         14まんにん
精神せいしん入院にゅういん患者かんじゃ        2まんにん
グループホーム・ケアホーム(けいまんにん
 入院にゅういん入所にゅうしょからの移行いこう    3まんにん
 それ以外いがい          6まんにん自然しぜんぞうまんにんふくむ)

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◆20060209 宮城みやぎけん知的ちてき障害しょうがいしゃ施設しせつ、「解体かいたい期限きげん知事ちじ撤回てっかい――朝日新聞あさひしんぶん

 宮城みやぎけん福祉ふくし事業じぎょうだん現在げんざい宮城みやぎけん社会しゃかい福祉ふくし協議きょうぎかい)が02ねんに、2010ねんまでの「解体かいたい」を宣言せんげんしていた知的ちてき障害しょうがいしゃ入所にゅうしょ施設しせつ宮城みやぎけん船形ふなかたコロニー」(どうけん大和やまとまち)について、宮城みやぎけん村井むらい嘉浩よしひろ知事ちじは8にち解体かいたい期限きげんにこだわらずに地域ちいき移行いこうすすめていくかんがえをしめした。
 どうけん浅野あさの史郎しろうぜん知事ちじ時代じだいに、施設しせつ障害しょうがいしゃ地域ちいき移行いこうするとして、全国ぜんこくはじめて県内けんないにある知的ちてき障害しょうがいしゃ施設しせつの「解体かいたい」を宣言せんげんした。どうコロニーはどう県内けんない施設しせつ象徴しょうちょうてき存在そんざいとされている。
 どうコロニーでは解体かいたい宣言せんげん沿って、宣言せんげん当時とうじ485にんいた入所にゅうしょしゃのうち今年ことしがつ中旬ちゅうじゅん時点じてんで168にんがグループホームなどに地域ちいき移行いこうしたが、現在げんざい、コロニーにのこっている入所にゅうしょしゃおおくは重度じゅうど障害しょうがいしゃとされ、入所にゅうしょしゃ家族かぞくから「地域ちいき移行いこう無理むり」とのこえがっていた。

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◆20060209 船形ふながたコロニー「解体かいたい宣言せんげん見直みなお表明ひょうめい 会談かいだん知事ちじ浅野あさのれへ=宮城みやぎ――読売新聞よみうりしんぶん

浅野あさの史郎しろうぜん知事ちじした「みやぎ知的ちてき障害しょうがいしゃ施設しせつ解体かいたい宣言せんげん」に施設しせつ入所にゅうしょしゃ保護ほごしゃらが反発はんぱつしている問題もんだいで、村井むらい知事ちじは8にちけん社会しゃかい福祉ふくし協議きょうぎかい会長かいちょう浅野あさのぜん知事ちじ会談かいだんした。知事ちじは「解体かいたい宣言せんげん」の名称めいしょう使用しようと、2010ねん期限きげんとするけん心身しんしん障害しょうがいしゃ施設しせつ船形ふながたコロニー」(大和やまとまち)の解体かいたい計画けいかく見直みなおかんがえをつたえた。浅野あさのぜん知事ちじれる方針ほうしん
 会談かいだん知事ちじは、〈1〉10ねん解体かいたい期限きげんにこだわらず地域ちいきへの移行いこうすすめる〈2〉「解体かいたい宣言せんげん」の名称めいしょうを「地域ちいき移行いこう」に変更へんこうする〈3〉障害しょうがいしゃ新規しんきれをみとめる――の3てん説明せつめい会談かいだん終了しゅうりょう、「『解体かいたい宣言せんげん』の文言もんごん変更へんこうするが、浅野あさのさんの福祉ふくし政策せいさく踏襲とうしゅうする」とはなした。
 一方いっぽう浅野あさのぜん知事ちじは「2010ねん解体かいたい設定せっていには無理むりをしないという前提ぜんていがあった」と説明せつめい。ただ、「コロニーには『おわり(つい)の棲家(すみか)』という意味いみがあり、入所にゅうしょしゃぬまでむことを我々われわれめていいのか」とし、最終さいしゅうてきには施設しせつ解体かいたいする必要ひつようがあるとのかんがえをあらためてしめした。

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◆20060215 けん一般いっぱん会計かいけいは1ちょう4268おく1600まんえん−−しん年度ねんどけん予算よさんあん /千葉ちば――毎日新聞まいにちしんぶん

1人ひとりたりけんさい残高ざんだか過去かこ最高さいこうの40・2まんえん
 けんは14にち、06年度ねんど当初とうしょ予算よさんあん発表はっぴょうした。一般いっぱん会計かいけいは1ちょう4268おく1600まんえんで、前年度ぜんねんど(1ちょう4385おく100まんえん)にくらべ0・8%げんとなった。法人ほうじんぜいなどけんぜい収入しゅうにゅうやく641おくえんやく11%)の大幅おおはば増収ぞうしゅう見込みこむが、地方ちほう交付こうふぜい前年度ぜんねんどやく600おくえんやくわりげんとなるなど、増収ぞうしゅう見合みあ予算よさんめない状況じょうきょう財源ざいげん不足ふそくやく180おくえん発生はっせいし、県民けんみんにんたりのけんさい借金しゃっきん残高ざんだか過去かこ最高さいこうの40・2まんえんとなった。【もりただしぎょう
 □特徴とくちょう

 不要ふよう事業じぎょう判別はんべつする民間みんかんシンクタンクによる「仕分しわけ」などにもとづき、廃止はいし見直みなおしを実施じっし。「選択せんたく集中しゅうちゅう」でメリハリをけた。やくおくえん立地りっち企業きぎょう補助ほじょきん新設しんせつし、企業きぎょう投資とうし雇用こよう増加ぞうか見込みこんだ。障害しょうがいしゃ地域ちいき移行いこうのため、福祉ふくし作業さぎょうしょ関係かんけい事業じぎょうなどにも重点じゅうてん配分はいぶん県立けんりつ学校がっこう耐震たいしん改修かいしゅう事業じぎょうや「交番こうばん解消かいしょう対策たいさくなどにも力点りきてんいた。

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◆20060220 船形ふながたコロニー:「存続そんぞくを」 育成いくせいかい要請ようせい方針ほうしん確認かくにん /宮城みやぎ――毎日新聞まいにちしんぶん

大和やまとまち知的ちてき障害しょうがいしゃ施設しせつ船形ふながたコロニー」の入所にゅうしょしゃおやなどでつくる「けん船形ふながたコロニー育成いくせいかい」(高見たかみひさしけん会長かいちょう)は19にち集会しゅうかいで、けん施設しせつ存続そんぞくもとめていく方針ほうしんあらためて確認かくにんした。どうかいのメンバーは「退すさしょも、問題もんだいがあればもどってきたられるようにコロニーは必要ひつよう本人ほんにんおや将来しょうらいへの不安ふあんらしてほしい」とうったえた。

 コロニーは、浅野あさの史郎しろうぜん知事ちじが「解体かいたい宣言せんげん」で10ねんまでの閉鎖へいさ発表はっぴょう当初とうしょやく500にんいた入所にゅうしょしゃは、グループホームなどへの地域ちいき移行いこうやく300にん減少げんしょうした。一方いっぽう村井むらい嘉浩よしひろ知事ちじは「(地域ちいき移行いこうの)方針ほうしんおなじ」としながらも、地域ちいき体制たいせいととのっていないことから、閉鎖へいさ時期じきなどを見直みなお意向いこうしめしている。

 集会しゅうかいでは「地域ちいき移行いこう並行へいこうして、コロニーの管理かんり手薄てうすになってきた」「障害しょうがいしゃ安心あんしんしてらせるようにするのが行政ぎょうせい義務ぎむ」などの意見いけんされた。

 高見たかみ会長かいちょうは「解体かいたい宣言せんげん見直みなおしは歓迎かんげいしている。今後こんご施設しせつ存続そんぞく前提ぜんていに、地域ちいき移行いこうしやすい環境かんきょうづくりをもとめていきたい」とはなした。【青木あおきじゅん

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◆20060315 施設しせつ障害しょうがいしゃ地域ちいき生活せいかつに 来年度らいねんどからけいまんにん厚労省こうろうしょう発表はっぴょう――読売新聞よみうりしんぶん

施設しせつ病院びょういんにいる障害しょうがいしゃ地域ちいき移行いこうすすめている厚生こうせい労働省ろうどうしょうは、来年度らいねんどからの具体ぐたいてき移行いこう計画けいかく公表こうひょうした。施設しせつ入所にゅうしょ知的ちてき身体しんたい障害しょうがいしゃと、精神せいしん病院びょういん社会しゃかいてき入院にゅういん状態じょうたいになっている精神せいしん障害しょうがいしゃけい22まんにんを、2011年度ねんどまでの6年間ねんかんで16まんにんらす。
 同省どうしょうによると、施設しせつ入所にゅうしょしゃ現在げんざい15まんにん精神せいしん病院びょういん社会しゃかいてき入院にゅういん患者かんじゃは7まんにん
 計画けいかくでは、このうち施設しせつ入所にゅうしょしゃまんにん社会しゃかいてき入院にゅういん患者かんじゃまんにんけいまんにんについて、支援しえんがあれば地域ちいき普通ふつうらせるとして、地域ちいき生活せいかつ移行いこうしてもらう。さきは、3まんにんはグループホームやケアホーム、のこりの3まんにん一般いっぱん住宅じゅうたく福祉ふくしホームなどを予定よていしている。
 必要ひつようざらは、4がつ施行しこうされる障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうにより、自治体じちたい協力きょうりょくして整備せいびする。
 都道府県とどうふけん市町村しちょうそんは、地域ちいき生活せいかつおくじょう必要ひつよう福祉ふくしサービスのニーズを調しらべ、来年度らいねんどちゅう障害しょうがい福祉ふくし計画けいかく策定さくていする。

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◆20060319 (船形ふながたコロニーから れる「施設しせつ解体かいたい」:うえ地域ちいき移行いこうなや家族かぞく /宮城みやぎけん――朝日新聞あさひしんぶん

 知的ちてき障害しょうがいしゃ施設しせつ入所にゅうしょしゃ地域ちいきでの生活せいかつ移行いこうさせようと、けん宣言せんげんした「施設しせつ解体かいたい」がらいでいる。施設しせつないでのじられた生活せいかつから、障害しょうがいしゃみずからがえらんだ自立じりつした生活せいかつへの転換てんかんをめざす宣言せんげんだったが、「2010ねんまでに」とされた目標もくひょうげられた。「解体かいたい推進すいしんとなってきた入所にゅうしょ施設しせつ船形ふながたコロニー」(大和やまとまち)などをたずね、この問題もんだい現状げんじょうをみた。
     ◇
 おかうえつづくなだらかなさかをたどると、広大こうだい敷地しきちにいくつもの建物たてものならんでいるのがはいってくる。「えん」とばれる施設しせつよっつあり、知的ちてき障害しょうがいしゃ281にんかれてらす。
 敷地しきち西端せいたんにある「とがくらえん」。もっと症状しょうじょうおもく、投薬とうやく定期ていきてき診療しんりょうなど医療いりょうてきなケアが必要ひつような81にんはいる。
 午後ごご夕食ゆうしょく職員しょくいんにんかれ、食堂しょくどうあつまった入居にゅうきょしゃ食事しょくじくばる。おかゆやペーストじょうきざんだおかず、とろみをつけたみそしる症状しょうじょうわせてスプーンやストローきのコップが用意よういされ、おな献立こんだてでも一人ひとりひとりちがもののようだ。
 大勢おおぜいいちにみられないため、一部いちぶひと自室じしつってもらい、順番じゅんばん介助かいじょする。ちきれなくなった女性じょせい(33)が、上半身じょうはんしんはだかになってごえげながら食堂しょくどうはいってきた。職員しょくいん自室じしつかえり、ふくせる。配膳はいぜん(はいぜん)だけではまされない現実げんじつがのぞく。
 コロニーでは、25にん前後ぜんこう男女だんじょべつひとつのファミリーを構成こうせいする。とがくらえんでは、ファミリーごとに10にん職員しょくいん配置はいちされ、1にち交代こうたい世話せわをする。夕食ゆうしょく介助かいじょ手早てばやませると、寝間着ねまき着替きがえさせたりオムツをえたり。消灯しょうとう時刻じこく午後ごごはあっとぎていく。
 この当直とうちょくだった係長かかりちょう女性じょせい(52)は、コロニーに勤務きんむして5ねん。「ちいさいグループでらしたほういとおもう。自宅じたくちかくて家族かぞくとも面会めんかいしやすいし、外出がいしゅつたのしみにしている。なんねんもここにいて、施設しせつおわり(つい)のすみかになるのは、なんだかかなしい」とはなす。
     ◇
 知的ちてき障害しょうがいしゃ介護かいごになは、もとは家族かぞくだった。障害しょうがいしゃおやはたらきかけなどでほう整備せいびすすんだ70年代ねんだい家族かぞく負担ふたん軽減けいげんするため、大型おおがた施設しせつってわった。全国ぜんこく知的ちてき障害しょうがいしゃ入所にゅうしょがた施設しせつつくられ、宮城みやぎけんも73ねん船形ふながたコロニーを開設かいせつした。民間みんかん施設しせつでは対応たいおうむずかしい障害しょうがいしゃ優先ゆうせんてき入所にゅうしょし、ピーク定員ていいん500にん規模きぼになった。
 入所にゅうしょしゃ地域ちいき移行いこう先立さきだち、自立じりつ訓練くんれんける。住宅じゅうたくふう建物たてものやアパートなどに職員しょくいんらとともにらし、生活せいかつ習慣しゅうかんにつける。2カ月かげつから半年はんとしほどぎると、県内けんないななつある地域ちいき支援しえんセンターの世話人せわにんがれ、地域ちいきでのらしをフォローしていく仕組しくみだ。
 解体かいたい宣言せんげん以降いこうの3年間ねんかんで、これまで171にん地域ちいきた。現在げんざいは、意思いし表示ひょうじむずかしい入居にゅうきょしゃ数多かずおおのこり、65さい以上いじょう高齢こうれいしゃが15%をめる。
     ◇
 地域ちいき移行いこうすすめる場合ばあい課題かだい障害しょうがいおもさだけではない。入居にゅうきょしゃ家族かぞくでつくる「船形ふながたコロニー育成いくせいかい」は昨年さくねんまつ解体かいたい宣言せんげん見直みなおしをもとめる活動かつどうはじめた。この1がつには家族かぞくなどやく430にんにアンケートを実施じっし回答かいとうした会員かいいん186にんの74%が「施設しせつでの生活せいかつほう本人ほんにんにとってい」とこたえた。
 次女じじょ(32)が入所にゅうしょする高見たかみひさしけん育成いくせいかい会長かいちょうは「家族かぞく介護かいご限界げんかいかんじた我々われわれおやは、コロニーができてたすけられた。看護かんご常駐じょうちゅうし、安心あんしんしてあづけられる。地域ちいき移行いこう否定ひていするわけではないが、現時点げんじてん施設しせつ解体かいたいするのは拙速せっそくだ」と主張しゅちょうする。
 20ねん以上いじょう長男ちょうなん(42)をあづけてきた母親ははおや(71)は、障害しょうがいおも息子むすこ将来しょうらいおもい、なやつづけている。「息子むすこくなるまでコロニーでお世話せわしてほしい。でも、内心ないしんでは、そと生活せいかつもやってみないとからないともおもう。地域ちいき施設しせつとどっちがいのか、からないんです」
 (この連載れんさい田中たなか美保みほ担当たんとうします)

 <知的ちてき障害しょうがいしゃ施設しせつ解体かいたい宣言せんげん> けん福祉ふくし事業じぎょうだん現在げんざいけん社会しゃかい福祉ふくし協議きょうぎかい)が02ねんけんから委託いたくされて運営うんえいしている「船形ふながたコロニー」のぜん入所にゅうしょしゃを2010ねんまでに地域ちいきうつすことを目指めざす「解体かいたい宣言せんげん」を発表はっぴょう。04ねんには当時とうじ浅野あさの史郎しろう知事ちじが、県内けんないすべての知的ちてき障害しょうがいしゃ施設しせつ入所にゅうしょしゃ地域ちいきうつすと宣言せんげんした。現在げんざい村井むらい嘉浩よしひろ知事ちじは、入所にゅうしょしゃ家族かぞくらが宣言せんげん見直みなおしをもとめたことなどをけ、移行いこうすすめるうえでは10ねんまでとした期限きげんにこだわらない方針ほうしんあらためた。
 県内けんない知的ちてき障害しょうがい療育りょういく手帳てちょうひとは1まん1895にん(05年度ねんど)。県内けんない入所にゅうしょ施設しせつ定員ていいんは1639にんどう)。

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◆20060209 船形ふながたコロニー:「10ねんまで閉鎖へいさ計画けいかく撤回てっかい合意ごうい−−村井むらい知事ちじ浅野あさのぜん知事ちじ /宮城みやぎ――毎日新聞まいにちしんぶん

村井むらい知事ちじ浅野あさのぜん知事ちじ会談かいだん

 村井むらい嘉浩よしひろ知事ちじは8にちけん社会しゃかい福祉ふくし協議きょうぎかい浅野あさの史郎しろう会長かいちょう仙台せんだい市内しない会談かいだんし、入所にゅうしょしゃ地域ちいき移行いこう計画けいかく是非ぜひ課題かだいとなっている知的ちてき障害しょうがいしゃ入所にゅうしょ施設しせつ船形ふながたコロニー」(大和やまとまち)について、計画けいかくしていた10ねんまでの閉鎖へいさ撤回てっかいすることで合意ごういした。

 村井むらい知事ちじ会談かいだんで(1)10ねんまでのコロニー閉鎖へいさ方針ほうしん撤回てっかいする(2)「知的ちてき障害しょうがいしゃ施設しせつ解体かいたい宣言せんげん」の名称めいしょう変更へんこうする(3)施設しせつでのれが困難こんなんひとのためにコロニーがさきとなる−−の3てん提示ていじ浅野あさの会長かいちょうはそれぞれについて了承りょうしょうしたという。

 会談かいだん村井むらい知事ちじは「解体かいたい宣言せんげん」は「地域ちいき移行いこう宣言せんげん」などに変更へんこうする意向いこうしめしたうえで、「表現ひょうげんえたが目指めざ方向ほうこう一緒いっしょだ」とべた。

 一方いっぽう浅野あさの会長かいちょうは「名称めいしょうえるのは趣味しゅみ問題もんだい問題もんだい中身なかみだ」と指摘してき。しかしながら、コロニーの閉鎖へいさについては「10ねん目標もくひょうけて順調じゅんちょうすすんでいるので(目標もくひょうは)達成たっせいできるとおもう」とこだわりをみせた。

 「解体かいたい宣言せんげん」は浅野あさの会長かいちょう知事ちじ時代じだい策定さくていし、発表はっぴょうした。【石川いしかわたかきょう青木あおきじゅん

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◆20060320 (船形ふながたコロニーから れる「施設しせつ解体かいたい」:した退すさしょ、どうささえる /宮城みやぎけん――朝日新聞あさひしんぶん

石巻いしのまきのグループホーム「こもれび」は、今月こんげつにち開所かいしょしたばかりのあたらしいホームだ。
 平屋ひらやての民家みんか改修かいしゅうし、知的ちてき障害しょうがいしゃ入所にゅうしょ施設しせつ船形ふながたコロニー」から男性だんせいにんと、べつ施設しせつから比較的ひかくてき障害しょうがいかる男女だんじょにんくわわり、けいにんらす。コロニーにはなかった個室こしつもあり、しゅうにち世話人せわにん運転うんてんするくるまでデイサービスにかける。
 昨年さくねん10がつにコロニーをて、開所かいしょ準備じゅんび段階だんかいからこもれびで自立じりつ訓練くんれんはじめた男性だんせい(44)は、小学生しょうがくせいのときから白石しらいし施設しせつはいり、その20ねんちかくコロニーでごした。心臓しんぞうびょうわずらい、医師いし診察しんさつ投薬とうやくかせない。
 石巻いしのまき市内しない母親ははおや(70)は「できればずっとコロニーにいさせたかった。不安ふあんもあったけれど、どうせるならちかくにいてほしかった」とはなす。このホームを見学けんがくし、近所きんじょ医師いしがかかりつけになるなど支援しえんととのっていたため、こもれびをえらんだ。自宅じたくからくるまで40ふんほど。
 男性だんせい担当たんとうしたコロニーの職員しょくいんは「はなれてらしていたのがながいから、そのぶん、おかあさんはめんこい、めんこいと可愛かわいがるんです」と説明せつめいした。
     ◇
 地域ちいきでの生活せいかつにつまずき、ふたたびコロニーにもどったひともいる。
 いま、コロニーの「おおくらえん」でらす男性だんせい(45)は昨年さくねんがつ仙台せんだい市内しないのグループホームでさき自立じりつ訓練くんれんけていた男性だんせいにん合流ごうりゅうし、共同きょうどう生活せいかつはじめた。コロニーの職員しょくいんのほか世話人せわにんにんがついて2カ月かげつごした。しかし、世話人せわにんだけでケアをするようになった11月じゅういちがつから、様子ようすわったという。トイレでの排泄はいせつ(はいせつ)ができなくなったり、すぐにふくいではだかになったり。11月じゅういちがつまつ、コロニーにもどった。
 コロニーの野内やない信夫しのぶ地域ちいき移行いこう推進すいしん部長ぶちょうは「世話人せわにんとの関係かんけい連携れんけい不十分ふじゅうぶんで、ささえるがわ問題もんだいがあった」とはなす。現在げんざい職員しょくいんしゅうかいホームをたずねるようにしてフォローする態勢たいせい強化きょうかした。
 この男性だんせいのようにさい入所にゅうしょしたひとは3年間ねんかん2人ふたり。もう一人ひとりはてんかんの発作ほっさ入院にゅういん治療ちりょう必要ひつようになり、退院たいいん、コロニーにもどったという。
     ◇
 グループホームでの生活せいかつそのものが目標もくひょうではない。大郷おおさとまちのグループホーム「おおさとホーム」で4にんらしの男性だんせい(37)は10ねんまえ、コロニーからた。しゅうにち、バスでとなりまちまで清掃せいそう仕事しごとているが、つぎ徒歩とほかよえるちかくの職場しょくばさがそうとおもっている。「いいじんつかれば、結婚けっこんもしてみたい」とはにかむ。
 おおさとホームなどのコロニー退すさしょしゃをフォローする仙台せんだいきた地域ちいき福祉ふくしサービスセンター「ぱれっと」(大和やまとまち)の三浦みうらあつしセンターちょうは「施設しせつではごせたが、そのままの意識いしき地域ちいきはたらはじめてもつづかない。自信じしん責任せきにんそだて、やる意欲いよくすことが重要じゅうようになる」と指摘してきする。
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 障害しょうがいしゃ本人ほんにん努力どりょくだけでなく、れる環境かんきょう必要ひつようだ。就労しゅうろうさきや、生活せいかつたのしむ活動かつどう確保かくほ、グループホームへの住民じゅうみん理解りかい――。「ぱれっと」では、昨年さくねんからグループホームの世話人せわにん予備よび登録とうろくする制度せいどはじめた。三浦みうらセンターちょうは「まちなかにもっと支援しえん機関きかんつくり、地域ちいきにとけんで理解りかいしゃやしていく必要ひつようがある」とう。
 コロニーではいま、3年間ねんかん退すさところした全員ぜんいんのききと調査ちょうさつづけている。職員しょくいん手分てわけし、本人ほんにんだけでなく家族かぞく世話人せわにんい、支援しえんりない部分ぶぶん改善かいぜん分析ぶんせきすすめる。
 コロニーないのとがくらえん千葉ちば俊夫としお園長えんちょうは「我々われわれ地域ちいきでの生活せいかつ有効ゆうこうだといくら説明せつめいしても、納得なっとくしてもらうには時間じかんがかかる。実績じっせきつくっていかなければ、地域ちいき理解りかいすすまないとおもうのです」とはなした。

 <グループホーム> 知的ちてき障害しょうがいしゃ認知にんちしょう高齢こうれいしゃなど介助かいじょ必要ひつようすうにんあつまり、世話人せわにんたすけをりながら住宅じゅうたく施設しせつ共同きょうどう生活せいかつする家庭かていてき雰囲気ふんいきとともに、個室こしつでプライバシーもたもてるのが一般いっぱんてき
 県内けんない知的ちてき障害しょうがいしゃのグループホームは今年度こんねんどまつで184カ所かしょ入所にゅうしょしゃすう777にん)。けんは05年度ねんどから5年間ねんかんで500にんぶんのグループホーム新設しんせつ計画けいかくしている。

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◆20060321 (社説しゃせつ精神せいしん障害しょうがいしゃ まちでらせるために ――朝日新聞あさひしんぶん

治療ちりょうすすんだり、すでにわったりして入院にゅういん必要ひつようがないのに病院びょういんらしている。そんな精神せいしん障害しょうがいしゃ地域ちいき安心あんしんして生活せいかつできるように、厚生こうせい労働省ろうどうしょう計画けいかくすすめている。
 昨年さくねん成立せいりつした障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうによって、精神せいしん障害しょうがいしゃ地域ちいき福祉ふくしサービスをけられるようになったからだ。その費用ひようくに地方ちほう責任せきにんってまかなう。
 自治体じちたいは「障害しょうがい福祉ふくし計画けいかく」をまとめ、ざらととのえる。厚労省こうろうしょうしょう人数にんずうらすグループホームやホームヘルプサービスなどの整備せいび目標もくひょう設定せっていする。くに自治体じちたい連係れんけいプレーで、7ねんをかけてまちうつれるようにするのだ。
 そううつびょう統合とうごう失調しっちょうしょう精神分裂病せいしんぶんれつびょう)などで入院にゅういんしている患者かんじゃやく32まんにん。そのうち7まんにん地域ちいき態勢たいせいがあれば退院たいいんできる「社会しゃかいてき入院にゅういん」とみられてきた。
 入院にゅういん期間きかん欧米おうべいよりながく、人口じんこうあたりのベッドすうえる一方いっぽうだった。欧米おうべい患者かんじゃ地域ちいきささえ、ベッドすうらす努力どりょくかさねてきたのとは対照たいしょうてきだ。無駄むだ医療いりょう使つかわれていることにもなる。
 おそすぎたとはいえ、厚労省こうろうしょう方針ほうしん歓迎かんげいしたい。病状びょうじょう安定あんてい通院つういんむようになったひとにとって、病室びょうしつよりもまいでらすのが自然しぜんだし、気持きもちもくだろう。
 厚労省こうろうしょう知的ちてき障害しょうがいしゃなどについても「だつ施設しせつ」をはかり、地域ちいきたりまえらすことのできるノーマライゼーションをすすめる。
 このうち精神病せいしんびょうにかかった人々ひとびとについては、地域ちいきのなかに周囲しゅういとのトラブルや犯罪はんざいなどを不安ふあんがるこえちいさくないことはたしかだ。
 だが、だれでもかかる可能かのうせいがある病気びょうきで、効果こうかたかくすり開発かいはつされた。適切てきせつ治療ちりょうつづければ症状しょうじょう安定あんていする。必要ひつよう支援しえんけることで普通ふつうらせるというのは精神せいしん医療いりょう常識じょうしきだ。
 厚労省こうろうしょうはこうした知識ちしきをもっとひろめ、偏見へんけんをなくす努力どりょく必要ひつようだ。わたしたちも、精神病せいしんびょうたいするただしい理解りかいつとめたい。そうでないと、せっかくのこころみは(え)にえがいたもちわってしまう。
 実際じっさい退院たいいんすすめるにあたって、いくつかがかりなてんがある。
 そのひとつがあらたに精神せいしん障害しょうがいしゃ福祉ふくしにな市町村しちょうそん対応たいおうだ。まちむかれることには住民じゅうみん反発はんぱつがあるかもしれない。自治体じちたい根気こんきつよ住民じゅうみん理解りかい納得なっとく姿勢しせいもとめられる。
 精神せいしん障害しょうがいしゃささえる人材じんざい確保かくほ大事だいじだ。ホームヘルプなどの知識ちしき技量ぎりょうもとめられる。厚労省こうろうしょうは、専門せんもんヘルパーの養成ようせい技能ぎのう向上こうじょういそぐべきだ。
 もちろん通院つういん投薬とうやく必要ひつようひとには、それを途中とちゅうでやめてもらってはこまる。治療ちりょう中途半端ちゅうとはんぱわらせないよう、しっかり見守みまも態勢たいせいかせない。
 精神せいしん病院びょういんはこれにわせてベッドをらし、従来じゅうらい入院にゅういん中心ちゅうしん医療いりょうあらためるべきだ。医療いりょう改革かいかくすすめるうえで、社会しゃかいてき入院にゅういん解消かいしょうかせない。

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◆20060404 (太陽たいようくにから 障害しょうがいしゃ自立じりつ」の行方ゆくえ:1)だつ施設しせつ 新法しんぽう施行しこう家族かぞく不安ふあん /福島ふくしまけん――朝日新聞あさひしんぶん

 西郷さいごうむらにある、けん総合そうごう社会しゃかい福祉ふくし施設しせつ太陽たいようくに」。知的ちてき障害しょうがいしゃ身体しんたい障害しょうがいしゃ施設しせつ特別とくべつ養護ようご老人ろうじんホームなど、やく90ヘクタールの敷地しきちに8施設しせつ整備せいびされ、やく850にん生活せいかつしている。県内けんない最大さいだい入所にゅうしょ施設しせつだ。
 3がつ上旬じょうじゅん、8むねのうちのひとつ、知的ちてき障害しょうがいしゃ更生こうせい施設しせつ「けやきそう」で、入所にゅうしょしゃ家族かぞく集会しゅうかいひらかれた。参加さんかしゃは、むら職員しょくいん太陽たいようくに運営うんえいするけん社会しゃかい福祉ふくし事業じぎょうだんから、障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうについて説明せつめいけた。
 「よう負担ふたんえるということです」。入所にゅうしょしゃ家族かぞくかい会長かいちょうつとめる渡辺わたなべ力蔵りきぞうさん(75)は、説明せつめいき、そうなげいた。
 新法しんぽうは、障害しょうがいしゃ施設しせつ地域ちいきなからすことをうながすのが目的もくてき就労しゅうろう支援しえんをさらにすすめ、自立じりつした生活せいかつ必要ひつよう福祉ふくしサービスを提供ていきょうする基盤きばん整備せいびする。一方いっぽう、サービスの財源ざいげん確保かくほするため、利用りようしゃが、原則げんそくわり負担ふたんしなければならない。てい所得しょとくしゃ配慮はいりょした軽減けいげん措置そちもあるが、預貯金よちょきんが350まんえん以上いじょうある場合ばあい適用てきようされない。
 「障害しょうがい年金ねんきんをコツコツためたら、そこそこの貯金ちょきんができる。でも、それは『おやあと』をかんがえて倹約けんやくしたもの。ここでらすほとんどのひとは、軽減けいげん措置そちけられず、将来しょうらい貯金ちょきん目減めべりする」と渡辺わたなべさんはう。
   ■   ■
 太陽たいようくに整備せいびはじまったのは1973ねん当時とうじ介護かいごする家族かぞく負担ふたん軽減けいげんするため、障害しょうがいしゃ共同きょうどう生活せいかつする「コロニー」の建設けんせつが、全国ぜんこくすすんだ。
 だが90年代ねんだいから、施設しせつへの入所にゅうしょ基本きほんとした政策せいさくたいし、見直みなお議論ぎろんさかんになる。
 政府せいふは02ねんまつ、「しん障害しょうがいしゃプラン」を閣議かくぎ決定けっていし、「入所にゅうしょ施設しせつしん必要ひつようなものに限定げんていする」として、「だつ施設しせつ」の方向ほうこうした。
 宮城みやぎけんでは、知的ちてき障害しょうがいしゃ入所にゅうしょ施設しせつ船形ふながたコロニー」を運営うんえいするけん福祉ふくし事業じぎょうだんが02ねんぜん入所にゅうしょしゃ地域ちいきうつすことを目指めざした「コロニー解体かいたい宣言せんげん」を発表はっぴょう。04ねんには、当時とうじ浅野あさの史郎しろう知事ちじが、県内けんないすべての知的ちてき障害しょうがいしゃ施設しせつ入所にゅうしょしゃ地域ちいきうつすと宣言せんげんした。
 福島ふくしまけんが、太陽たいようくに段階だんかいてき縮小しゅくしょうする方針ほうしんしたのも、同年どうねんだった。
 自立じりつ支援しえんほう施行しこうひかえた05年度ねんどまつけんは「地域ちいき生活せいかつ移行いこう促進そくしんプログラム」をまとめ、5年間ねんかん県内けんないで300にん地域ちいきらす目標もくひょう設定せっていした。
 目標もくひょうすうは、05ねん入所にゅうしょしゃへの意向いこう調査ちょうさもとになっている。回答かいとうした2200にんのうち、地域ちいき移行いこう希望きぼうしたひとは779にんやく35%にのぼる。
   ■   ■
 だがだつ施設しせつたいし、入所にゅうしょしゃ家族かぞくが、不安ふあんをぬぐえないのも現実げんじつだ。
 障害しょうがいしゃ保護ほごしゃ対象たいしょうに、けんが04ねん実施じっしした調査ちょうさでは「いまのまま」をのぞ回答かいとうが、7わり以上いじょうたっした。
 太陽たいようくに知的ちてき障害しょうがいしゃ厚生こうせい施設しせつひとつ「かしわそう」の家族かぞくかい会長かいちょう安斎あんざい高志たかしさん(78)が代弁だいべんする。
 「30ねん以上いじょうらすひともいる。施設しせつれたひとには、(だつ施設しせつに)ついていけないひともいる。高齢こうれいした重度じゅうどひとたちが施設しせつからられるような環境かんきょう整備せいびが、すすんでいるともおもえない」
    ◇
 1にち施行しこうされた障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうで、県内けんない障害しょうがいしゃ施設しせつでもだつ施設しせつ本格ほんかくする。太陽たいようくにみをとおし、だつ施設しせつ現状げんじょう課題かだいう。
 (この連載れんさいは、永沼ながぬまひとし担当たんとうします)

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◆20060405 (太陽たいようくにから 障害しょうがいしゃ自立じりつ」の行方ゆくえ:2)グループホーム 整備せいびおくれ /福島ふくしまけん――朝日新聞あさひしんぶん

白河しらかわ市内しないにある「地域ちいき生活せいかつ体験たいけんハウス」。太陽たいようくに運営うんえいするけん社会しゃかい福祉ふくし事業じぎょうだん昨年さくねんがつ入所にゅうしょしゃ地域ちいきらす準備じゅんびをさせるため、民家みんかげて設置せっちした。
 1がつ下旬げじゅん夕方ゆうがた知的ちてき障害しょうがいしゃ更生こうせい施設しせつ入所にゅうしょする50さいだいと40さいだい男性だんせいにんが、通所つうしょ授産じゅさん施設しせつからかえってきた。
 一人ひとり男性だんせいは、台所だいどころ食事しょくじ準備じゅんび。もう一人ひとりは、風呂ふろ掃除そうじえ、それを見守みまもる。コメのとぎかた、サラダに使つか野菜やさいかた総菜そうざいあたためるための電子でんしレンジの使つかかたなど、事業じぎょうだん職員しょくいんっておしえる。
 やくあいだかけて「チキンのあぶりき」が出来上できあがり、2人ふたり居間いまでゆっくり食事しょくじはじめた。2人ふたりとも「(施設しせつらしよりも)こっちのほうたのしい」とはなした。
   ■   ■
 ハウスでの体験たいけんは、すうにん障害しょうがいしゃ同士どうしがグループホームで生活せいかつすることを想定そうていしている。事業じぎょうだんによると、3がつ中旬ちゅうじゅんまでに20にんがハウスを利用りようしたという。1かいあたり3はくか4はくで、3、4かい利用りようする入所にゅうしょしゃおおかったとしている。
 「グループホームの生活せいかつについては、いままでビデオなどを使つかって説明せつめいしてきましたが、体験たいけんしたほうかりやすい」と、事業じぎょうだん職員しょくいん久保くぼ良知よしともさんははなす。
 県内けんないではグループホームの整備せいびに、まだ課題かだいのこる。
 けんによると、グループホームは現在げんざい70カ所かしょけんの「地域ちいき生活せいかつ移行いこう促進そくしんプログラム」では、5ねんに、さらに61カ所かしょやすという目標もくひょう設定せっていされている。だが、施設しせつ地域ちいきらすことを希望きぼうしている入所にゅうしょしゃが800にんちかくいる現状げんじょうで、十分じゅうぶんとはえない。
 「目標もくひょうは、あくまで最低限さいていげんのもの。既存きそん施設しせつ改修かいしゅうすすめる」。けんさわがいしゃ支援しえんグループでは意気込いきごむが、ほう改正かいせい可能かのうになった公営こうえい住宅じゅうたくのグループホームへの活用かつようすすんでいない。
 「自治体じちたいのサポート態勢たいせい見通みとおしなどがつかないため」(けん建築けんちく住宅じゅうたく企画きかくグループ)という。
   ■   ■
 昨年さくねんあき事業じぎょうだんは、西郷さいごうむらない活用かつようして「グループホームやしお」をもうけた。「身体しんたい知的ちてき精神せいしん」ということなる障害しょうがい女性じょせいにんが、洗濯せんたく掃除そうじなどを分担ぶんたんしながら生活せいかつしている。
 村内むらうち女性じょせいにん世話人せわにんとなり、交代こうたい食事しょくじ支度したくなどにているが、よるは5にんだけとなる。世話人せわにん一人ひとり大塚おおつか真知子まちこさん(53)は「いまのところはトラブルはほとんどありません。でもかえときは、やっぱり心配しんぱいですね」とはなす。
 事業じぎょうだんでは、グループホームなどでらす障害しょうがいしゃからの電話でんわ相談そうだんを24時間じかんけるため、6がつに「地域ちいき生活せいかつ支援しえんセンター(仮称かしょう)」を設置せっちする予定よていだ。
 「仕事しごと愚痴ぐちでもなやみでも、とにかくいてあげる『いのちの電話でんわ』のようなものです」と、事業じぎょうだん永沢ながさわ裕二ゆうじふく理事りじちょうはいう。
 将来しょうらいは、社会しゃかい福祉ふくし協議きょうぎかいやNPOなどとネットワークをつくり、障害しょうがいしゃらしを見守みまも態勢たいせいをつくることもかんがえているという。

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◆20060406 (太陽たいようくにから 障害しょうがいしゃ自立じりつ」の行方ゆくえ:3)就労しゅうろう支援しえん てい賃金ちんぎんすすまぬ雇用こよう /福島ふくしまけん――朝日新聞あさひしんぶん

 矢吹やぶきまちけん社会しゃかい福祉ふくし事業じぎょうだん運営うんえいする「矢吹やぶきしらうめ通勤つうきんりょう」には、知的ちてき障害しょうがいしゃ19にん生活せいかつする。入寮にゅうりょうしゃ一般いっぱん企業きぎょうなどで仕事しごとをしており、「自立じりつ」にちかかたちらす。
 だが入寮にゅうりょうしゃ一人ひとり、スーパーでアルバイトをしている女性じょせい(21)は、すこ不満ふまんかんじている。午前ごぜんまえ起床きしょうし、午前ごぜん時半じはんから1にちあいだ商品しょうひん管理かんりをする。
 「残業ざんぎょうしてもつきに8まんから9まんえん。なかなか時給じきゅうがらない」
 アパートで一人暮ひとりぐらしするというゆめは、実現じつげん見通みとおしがたない。
 どうりょう入居にゅうきょ期間きかんは、平均へいきんで2ねんカ月かげつ。だがなかには、6ねん以上いじょう在籍ざいせきするひともいる。入寮にゅうりょうしゃ賃金ちんぎんは、平均へいきんするとつきまんせんえん寮費りょうひ負担ふたんは、障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう施行しこうつきに7、8せんえんほどえるという。
 職員しょくいん木戸きどかおるさんがつぶやく。「すくない賃金ちんぎんなので、本人ほんにんにはきついでしょうね」
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 新法しんぽうは、就労しゅうろう支援しえんをさらに強化きょうかしていくことを目指めざしている。だが、雇用こよう現実げんじつきびしい。
 障害しょうがいしゃ雇用こよう促進そくしんほう法定ほうてい雇用こようりつとして、常用じょうよう労働ろうどうしゃ雇用こよう期間きかんさだめがないか、一定いっていさだめがあっても、期間きかん反復はんぷく更新こうしんされる労働ろうどうしゃ)が56にん以上いじょういる企業きぎょうたいし、56にんに1にん(1・8%)の割合わりあいで、障害しょうがいしゃ雇用こようするようさだめている。05ねんがつ現在げんざい県内けんない民間みんかん企業きぎょう障害しょうがいしゃ雇用こようりつは、平均へいきんで1・47%と、法的ほうてき雇用こようりつ下回したまわっている。
 子会社こがいしゃ障害しょうがいしゃ採用さいようした場合ばあい親会社おやがいしゃ採用さいようりつ反映はんえいできる「特例とくれい子会社こがいしゃ」を利用りようしている企業きぎょうも、県内けんないでは皆無かいむだ。
 けんは、法定ほうてい雇用こようりつ達成たっせいけ、08年度ねんどに6300にん雇用こようという目標もくひょうかかげているが、「景気けいき上向うわむきでも、県内けんないにはちいさな会社かいしゃおおく、むずかしいめんもある」(けん雇用こよう対策たいさくグループ)としている。
 しらうめ通勤つうきんりょうには障害しょうがいしゃ就職しゅうしょくをハローワークなどと連携れんけいしながら支援しえんする、けん障害しょうがいしゃ就業しゅうぎょうサポートセンターも設置せっちされている。
 センターで企業きぎょうまわりを担当たんとうしている職員しょくいんは「企業きぎょう実習じっしゅう協力きょうりょくしてくれても、やとっていただけるのはいちにぎり。雇用こようした場合ばあい助成じょせい制度せいどらない事業じぎょうぬしすくなくない」とらす。
 どうセンターには3年間ねんかんで124にん登録とうろくし、実習じっしゅうなどをて、やく半数はんすう就職しゅうしょくした。だが、職場しょくば定着ていちゃくするまえに、めさせられたケースもあり、満足まんぞくできる結果けっかとはいえないという。
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 企業きぎょうへの就職しゅうしょくすすまないなかけんは、障害しょうがいしゃにホームヘルパーの資格しかく取得しゅとくしてもらう事業じぎょうを02年度ねんどからはじめている。
 事業じぎょうだんなどで実施じっしした養成ようせい研修けんしゅうで、けい40にんが3きゅうヘルパーの資格しかく取得しゅとくしたが、実際じっさい就労しゅうろうにつながるケースは、まだすくない。
 そこで、事業じぎょうだんでは今年度こんねんど福島ふくしま猪苗代いなわしろまち西郷さいごうむらない運営うんえいする特別とくべつ養護ようご老人ろうじんホームなどで、3にん知的ちてき障害しょうがいしゃをヘルパーとして雇用こようすることにした。
 8あいだ労働ろうどう日給にっきゅう6500えん。2年間ねんかんはたらいてもらい、ヘルパーとしての専門せんもん技術ぎじゅつたかめてもらう予定よていだ。事業じぎょうだん永沢ながさわ裕二ゆうじふく理事りじちょうう。「まず、『隗(かい)よりはじめよ』ですね」

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◆20060407 (太陽たいようくにから 障害しょうがいしゃ自立じりつ」の行方ゆくえ:4)にちちゅう活動かつどう もとめられる安定あんてい /福島ふくしまけん――朝日新聞あさひしんぶん

 太陽たいようくににある救護きゅうご施設しせつ「からまつそう」。かままえさら花器かきならたなまえで、入所にゅうしょしゃにん一心いっしん粘土ねんどっていた。どう施設しせつ陶芸とうげいはんのメンバーだ。
 「以前いぜんみずれする作品さくひんもありましたが、完成かんせいたかくなりました。地域ちいき美術びじゅつてん入選にゅうせんするひともいますよ」
 陶芸とうげい施設しせつ職員しょくいん菊地きくちたかしさんが昨年さくねんはるから4にん指導しどうしている。「太陽たいようかま」ので、作品さくひん施設しせつ展示てんじしつなどで販売はんばいされている。
 けん社会しゃかい福祉ふくし事業じぎょうだんでは今年度こんねんど知的ちてき障害しょうがいしゃ陶芸とうげい木工もっこう工芸こうげいひんつくってもらう「にちちゅう活動かつどう」をもうける。定員ていいんは20〜30にん講師こうしやくに、からまつそう陶芸とうげいはんりる。
 太陽たいようくにでは、これまでも自立じりつ訓練くんれん一環いっかんとして創作そうさくけい作業さぎょうんできた。だが、それぞれの施設しせつないおこなわれていたため、施設しせつそとるという体験たいけんにはつながらなかった。「にちちゅう活動かつどう」のねらいのひとつは、施設しせつがいしてもらうことだという。
 事業じぎょうだん永沢ながさわ裕二ゆうじふく理事りじちょうは「生活せいかつはばひろげることが大事だいじ一般いっぱんひと利用りようできるカルチャーセンターてきなものにしていきたい」とはなす。
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 障害しょうがいしゃ施設しせつたものの、一般いっぱん企業きぎょうなどではたらくのがむずかしい場合ばあいは、授産じゅさん施設しせつ小規模しょうきぼ作業さぎょうしょなど、「にちちゅう活動かつどう」にかようことになる。だが県内けんないでは、そうした活動かつどうも、まだ不十分ふじゅうぶんだ。
 けんさわがいしゃ支援しえんグループによれば、無認可むにんか小規模しょうきぼ作業さぎょうしょのぞ県内けんない授産じゅさん施設しせつは、05年度ねんどまつで90カ所かしょ今年度こんねんどから5年間ねんかんで300にん地域ちいき移行いこうという目標もくひょう実現じつげんには、あらたに25カ所かしょ整備せいびする必要ひつようがあるとする。
 工賃こうちんひくい。全国ぜんこく社会しゃかい就労しゅうろうセンター協議きょうぎかいによれば全国ぜんこく平均へいきん工賃こうちんつきまん5524えん障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうでは、授産じゅさん施設しせつかよ場合ばあいも、利用りようりょうの1わり負担ふたんもとめられるため、利用りようひかえるうごきもあるという。
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 また、小規模しょうきぼ作業さぎょうしょきびしい経営けいえい直面ちょくめんしそうだ。くに今年度こんねんどから、障害しょうがいしゃ団体だんたいとおして支給しきゅうしてきた年間ねんかん110まんえん補助ほじょきん廃止はいしする。「安定あんていした組織そしきでのサービス提供ていきょう必要ひつよう」(厚生こうせい労働省ろうどうしょう障害しょうがい福祉ふくし)とするためだ。
 「利用りようしゃやさないと補助ほじょきんはいらず、ちゆかなくなる」
 太陽たいようくに事業じぎょうにも協力きょうりょくしている、白河しらかわ表郷おもてごう地区ちく小規模しょうきぼ作業さぎょうしょゆい(ゆい)工房こうぼう」の指導しどういん高橋たかはし有紀子ゆきこさんがためいきをつく。
 むすぶ工房こうぼう利用りようしゃ現在げんざいにんけん支給しきゅうする補助ほじょきんも、経過けいか措置そちぎる07年度ねんどから、「おおむね10にん」の利用りようしゃ確保かくほ条件じょうけんとなるという。
 今後こんご送迎そうげいサービスなどにちかられて拡大かくだいしなければ、利用りようりょう値上ねあげするか、法人ほうじん傘下さんかはいることをせまられる。
 「新法しんぽう理念りねんは、障害しょうがいしゃへのサービス拡充かくじゅう地域ちいきざら選択肢せんたくしとして身近みぢかかよいやすい『すき施設しせつは、地方ちほうでこそ必要ひつようなはず。どうして経営けいえい効率こうりつだけですすめようとするのか」。高橋たかはしさんはれないおもいでいる。

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◆20060408 (太陽たいようくにから 障害しょうがいしゃ自立じりつ」の行方ゆくえ:5)地域ちいき連携れんけい 職員しょくいん派遣はけん人材じんざい育成いくせい /福島ふくしまけん――朝日新聞あさひしんぶん

 満開まんかいさくらしたはし馬車ばしゃなかで、入所にゅうしょしゃ地元じもとひとたちが、ともにからだらす。模擬もぎてんのテントも、大勢おおぜい花見はなみきゃくでにぎわった。
 昨年さくねんがつ西郷さいごうむら太陽たいようくには、施設しせつ一般いっぱん開放かいほうした。600ほんさくら敷地しきちで、はじめて「さくらまつり」をひらいた。
 「将来しょうらいそなえて、できるだけ施設しせつ以外いがいひとたちとせっする機会きかいやしたかった」
 「だつ施設しせつ」を念頭ねんとういたまつりのねらいを、けん社会しゃかい福祉ふくし事業じぎょうだん永沢ながさわ裕二ゆうじふく理事りじちょうかたる。「このはるは、もっと盛大せいだいにやりますよ」
 今年ことしは、むら商工会しょうこうかいなどが参加さんかした実行じっこう委員いいんかい主催しゅさいとなる。15にちからライトアップ、22、23にちは、太鼓たいこやバトントワリングなどのイベントを実施じっしし、特産とくさんひん販売はんばいなどにもちかられる。
 むら担当たんとうしゃは「同時どうじにウオーキング大会たいかいなども開催かいさいします。花見はなみたのしむ、むら全体ぜんたいまつりになりそうです」と期待きたいする。
    ■ ■
 むらとの交流こうりゅうは、教育きょういく分野ぶんやにもおよぶ。
 事業じぎょうだんでは今年度こんねんど村内むらうち中学生ちゅうがくせい対象たいしょうに、ホームヘルパー養成ようせい研修けんしゅうはじめる。介護かいごについての学習がくしゅう体験たいけん実習じっしゅうやく50あいだおこない、3きゅうヘルパーの資格しかくってもらう予定よていにしている。
 事業じぎょうだん長谷川はせがわ京子きょうこ地域ちいき福祉ふくし課長かちょうは「これまでは知識ちしきがなくてことわってきた中学生ちゅうがくせいボランティアをれやすくなる。将来しょうらい人材じんざい育成いくせいにもつながる」とねらいをかたる。
 むら教委きょういも「子供こどもたちが福祉ふくし関心かんしんつのはいいこと」と歓迎かんげいする。
 ざら整備せいびおくれている過疎かそ中山なかやまあいだ地域ちいきとの連携れんけいさぐる。
 たとえば、田村たむら地区ちく。これまで知的ちてき障害しょうがいしゃけの地域ちいき資源しげんがなく、「空白くうはく」とされていたが、事業じぎょうだんでは今年度こんねんどから、グループホームなどの建設けんせつ支援しえんすすめる。
 職員しょくいん直接ちょくせつ地域ちいき派遣はけんし、自治体じちたい保健ほけん福祉ふくし事務所じむしょ福祉ふくし関係かんけいしゃ調整ちょうせいしていくという。
 「地域ちいき格差かくさは、人材じんざい格差かくさでもある。高齢こうれいしゃ介護かいごから障害しょうがいしゃへの対応たいおうまで、事業じぎょうだんには様々さまざまなノウハウをった職員しょくいんがいる。職員しょくいん派遣はけんし、地元じもと人材じんざいそだてたい」と永沢ながさわふく理事りじちょうはなす。
    ■ ■
 事業じぎょうだんでは、おく会津あいづ地区ちくでも、高齢こうれいしゃけに夜間やかん介護かいごなどに対応たいおうした小規模しょうきぼ機能きのうがたサービスを展開てんかいするために、地域ちいき職員しょくいん派遣はけんする予定よていだ。
 それでも、職員しょくいん派遣はけんについて、高崎たかさき健康けんこう福祉大ふくしだい北沢きたざわ清司せいじ教授きょうじゅ障害しょうがいしゃ福祉ふくし)は、「福島ふくしまは、福祉ふくし資源しげん配置はいちバランスがわるい。さらにすすめるべきでは」とする。
 北沢きたざわ教授きょうじゅ委員いいんちょうつとめた「けん地域ちいき生活せいかつ移行いこうかんする検討けんとうかい」は昨年さくねんあき施設しせつ入所にゅうしょしゃらが地域ちいきらすための支援しえんさくをまとめた。
 報告ほうこくしょには、障害しょうがいしゃ地域ちいき生活せいかつ支援しえんする情報じょうほうやサービスの窓口まどぐちとなる拠点きょてんを、むっつのけんいきごとに整備せいびする必要ひつようせいしるした。
 北沢きたざわ教授きょうじゅは、拠点きょてんづくりに、事業じぎょうだんから展開てんかい予想よそうする。「縮小しゅくしょうされた太陽たいようくに職員しょくいんたちが、廃校はいこうなど、地域ちいき障害しょうがいしゃちかくにしていくようなことも必要ひつようかもしれません」=おわり
 (この連載れんさいは、永沼ながぬまひとし担当たんとうしました)

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◆20060805 けん施設しせつ定員ていいんわりげんへ 11年度ねんどまでに49施設しせつの270にんぶん 障害しょうがい福祉ふくし計画けいかく /栃木とちぎけん――朝日新聞あさひしんぶん

けんは、障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうが4がつ施行しこうされたのをけ、県内けんない障害しょうがいしゃ施設しせつ定員ていいんを2011年度ねんどまでに10%らすことをはしらとするけん障害しょうがい福祉ふくし計画けいかくあんをまとめた。グループホームやケアホームなど、地域ちいき生活せいかつおくることのできる環境かんきょう整備せいびすることで「だつ施設しせつ」の環境かんきょうづくりをすすめ、障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんしたいとしている。
 厚労省こうろうしょうは11年度ねんどまでに障害しょうがいしゃ施設しせつ定員ていいんくに全体ぜんたいで7%らす方針ほうしんし、かく都道府県とどうふけん同様どうよう目標もくひょう設定せっていもとめている。
 けん障害しょうがい福祉ふくしによると、身体しんたい障害しょうがいしゃ療護りょうご施設しせつ身体しんたい障害しょうがいしゃ授産じゅさん施設しせつなど、長期ちょうき入所にゅうしょ常態じょうたいしている県内けんない49施設しせつ入所にゅうしょ定員ていいんは、現在げんざい2758にんけん目標もくひょうでは、このうち410にん(15%)程度ていどが11年度ねんどまでに退すさところし、生活せいかつ拠点きょてんをグループホームやケアホーム、一般いっぱん住宅じゅうたくといった地域ちいきでの生活せいかつうつれるように基盤きばん整備せいびすすめる。その結果けっか施設しせつ入所にゅうしょ定員ていいんを270にんぶん(10%)程度ていどらすことをめざす。
 けん県内けんない施設しせつにききと調査ちょうさをしたところ、このうち45施設しせつは、障害しょうがいしゃ生活せいかつ訓練くんれんなどをかさねることで、11年度ねんどまでに全体ぜんたいの25%にたる657にん退すさところ可能かのうで、入所にゅうしょ定員ていいんも13%にたる339にん削減さくげん可能かのう回答かいとうした。
 けんはこれをけ、厚労省こうろうしょう方針ほうしん上回うわまわ施設しせつ定員ていいんの10%削減さくげん可能かのう判断はんだんした。
 けんはまた、地域ちいき基盤きばんととのえ、精神せいしん病院びょういん入院にゅういん患者かんじゃを670にん程度ていど減少げんしょうさせることや、施設しせつから一般いっぱん企業きぎょうへの就職しゅうしょくしゃ現在げんざい年間ねんかん30にん程度ていどから、120にん程度ていどやすことも目標もくひょうかかげた。
 県内けんないかく市町しちょうけん目標もくひょうまえ、施設しせつ定員ていいんなどをさだめる独自どくじ障害しょうがい福祉ふくし計画けいかくをまとめる方針ほうしんかく市町しちょう計画けいかくげるかたち今年度こんねんどちゅうにはけん計画けいかくまることになっている。
 障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう障害しょうがいによってことなるサービスを一本いっぽんさせ、都道府県とどうふけん市町村しちょうそん施設しせつすう必要ひつようなサービスりょうんだ3ねんごとの障害しょうがい福祉ふくし計画けいかく策定さくていし、サービス提供ていきょう基盤きばん整備せいびをするようもとめている。

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◆20060805 [ルポ・福祉ふくし現場げんば](3)「地域ちいき移行いこう停滞ていたいも(連載れんさい)=千葉ちば――読売新聞よみうりしんぶん

自立じりつ支援しえんほう波紋はもん
 「いまのホームとまえにいたセンター、どっちがいい?」
 7がつなかば、袖ケ浦そでがうら市内しないのあるグループホーム。運営うんえいするNPO(営利えいり組織そしき法人ほうじん代表だいひょうが、夕食ゆうしょくえた2人ふたり入居にゅうきょしゃたずねた。2人ふたりは「こっち」と即答そくとうし、理由りゆうを「ごはんがおいしい」「しずか」「あんたはよるかしができるからでしょ」「だからあさねむい」などとこたえながらわらした。
 重度じゅうど知的ちてき障害しょうがいがある和子かずこさん(仮名かめい、53さい)となか美智子みちこさん(どう、40さい)は以前いぜんけん袖ケ浦そでがうら福祉ふくしセンター(袖ケ浦そでがうら)の知的ちてき障害しょうがいしゃ更生こうせい施設しせつにいた。施設しせつすすめる地域ちいき移行いこう事業じぎょうでグループホームにうつったのだ。
 平日へいじつにちちゅうはデイサービスにかよって様々さまざま活動かつどうみ、かえってくると世話人せわにんつくってくれるあたたかい食事しょくじみなかこむ。休日きゅうじつはヘルパーと一緒いっしょ近所きんじょのショッピングセンターにき、まわりのしな洋服ようふくなどのものたのしんだりもする。
 「センターにかえりたい?」。世話人せわにんくと、美智子みちこさんはわらい、和子かずこさんは「いやだよ!」とった。
 福祉ふくしセンターの更生こうせい施設しせつは1966ねん開設かいせつされ、利用りようしゃ最大さいだい270にんまで増加ぞうか。04ねんけんだい障害しょうがいしゃ基本きほん計画けいかく策定さくていしたさい堂本どうもと知事ちじの「今後こんご年間ねんかんで100にん程度ていど地域ちいきへの移行いこう実現じつげんしたい」との発言はつげんをきっかけに、05年度ねんどまでの2年間ねんかん入所にゅうしょしゃ105にん退すさところ今年ことし10がつからは定員ていいんを120にんらす。
 退すさしょしゃさきは、自宅じたくが3にん、グループホーム62にん施設しせつ31にん高齢こうれいしゃ施設しせつにん、グループホームにた「生活せいかつホーム」が4にん。「わたしかぎり、自分じぶんから『センターにもどりたい』というひとはいません」と地域ちいき移行いこう担当たんとうした飯田いいだ厚子あつこさん(49)はう。
 障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうは「だれもが地域ちいき普通ふつうらす」を旗印はたじるしかかげる。くに施設しせつ入所にゅうしょちゅう知的ちてき身体しんたい障害しょうがいしゃ社会しゃかいてき入院にゅういんちゅう精神せいしん障害しょうがいしゃ地域ちいき移行いこう目指めざし、支援しえんほうによって必要ひつようざら整備せいびする方針ほうしんだ。ざらになるのは、グループホームなど。センターの地域ちいき移行いこうは、ほう理念りねん先取さきどりする実践じっせんといえる。
 ただ、センターで地域ちいき移行いこうすすんだのは、ざらがあったからこそ。君津きみつ地域ちいきには県内けんないのグループホームの36%が集中しゅうちゅう更生こうせい施設しせつひとのためホームを新設しんせつし、慢性まんせい疾患しっかん栄養えいよう管理かんりのため管理かんり栄養士えいようしやとうNPO法人ほうじんもあった。
 しかしいま、自立じりつ支援しえんほうによって、グループホームの新設しんせつにブレーキがかかっている。報酬ほうしゅう単価たんかひくく、運営うんえいむずかしいとの見方みかたつよいからだ。新設しんせつのためのけんへの7がつ申請しんせいすうはゼロ。「申請しんせい凍結とうけつしたりげたりする事業じぎょうしゃ相次あいついでいる」(県内けんないのある自治体じちたい関係かんけいしゃ状況じょうきょうだ。
 船橋ふなばし市内しない入所にゅうしょ更生こうせい施設しせつと7かしょのグループホームなどを運営うんえいする社会しゃかい福祉ふくし法人ほうじん大久保おおくぼ学園がくえん学園がくえんちょうけん知的ちてき障害しょうがいしゃ福祉ふくし協会きょうかい中原なかはらつよし理事りじちょうは、「うちの法人ほうじんでは、としに2かしょぐらいのグループホームを新設しんせつしてきたが、しん報酬ほうしゅうではとても計画けいかくすすめられない。事業じぎょうしゃおなじ。自立じりつ支援しえんほうの『地域ちいき移行いこう推進すいしん』という理念りねん評価ひょうかするが、それを促進そくしんする仕組しくみにしてほしい」とはなしている。
 
 〈地域ちいき移行いこう
 入所にゅうしょ施設しせつ精神せいしん病院びょういんにいる障害しょうがいしゃ退すさしょ退院たいいんうながし、グループホームや一般いっぱん住宅じゅうたくなどで生活せいかつさせること。くには2011ねんまでに知的ちてき身体しんたい障害しょうがいしゃまんにん精神せいしん障害しょうがいしゃまんにん地域ちいき移行いこうという目標もくひょう設定せってい自立じりつ支援しえんほうなかで、ざらとなるグループホームやケアホームの整備せいびすすめ、就労しゅうろうふくめた地域ちいき生活せいかつ支援しえんおこなうとしている。
 
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◆20060807 [ルポ・福祉ふくし現場げんば](5)理念りねんいが実現じつげん困難こんなん連載れんさい)=千葉ちば――読売新聞よみうりしんぶん

自立じりつ支援しえんほう波紋はもん
 ◆東洋大とうようだいライフデザイン学部がくぶ北野きたの誠一せいいち教授きょうじゅく 
 障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうは、障害しょうがいしゃにどういう影響えいきょうあたえるのか。障害しょうがいしゃ福祉ふくしながたずさわり、おおくの自治体じちたい地域ちいき福祉ふくし計画けいかく障害しょうがい福祉ふくし計画けいかく策定さくてい委員いいんちょうつとめる北野きたの誠一せいいち東洋大とうようだいライフデザイン学部がくぶ教授きょうじゅいた。
 ――障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうをどう評価ひょうかするか。
 ほう理念りねんである「全国ぜんこくどこでも必要ひつよう訪問ほうもんけいサービスやにちちゅう活動かつどう保障ほしょうする」「施設しせつ病院びょういんから地域ちいき移行いこう」――などは評価ひょうかできる。問題もんだいは、その理念りねん実現じつげん可能かのうかどうかだ。
 支援しえん制度せいど障害しょうがいしゃサービスは一気いっき拡充かくじゅうし、この傾向けいこう自立じりつ支援しえんほうでもつづくかと注目ちゅうもくしたが、財政ざいせいてき基盤きばん十分じゅうぶん確立かくりつされなかった。むしろ、障害しょうがい程度ていど区分くぶん区分くぶんもとづくサービス利用りようしゃ限定げんていなどによるサービスの抑制よくせいかんいなめない。
 ――障害しょうがいしゃ福祉ふくしでははじめての定率ていりつ(1わり負担ふたん導入どうにゅうされた。
 高齢こうれいしゃ障害しょうがいしゃも、以前いぜんは「社会しゃかいてき弱者じゃくしゃ」ということで費用ひよう負担ふたん免除めんじょされてきた。それが、高齢こうれいしゃ所得しょとく形成けいせいができているのでおうぶん負担ふたん当然とうぜんとされ、介護かいご保険ほけん制度せいどで1わり負担ふたん導入どうにゅうされた。しかし、障害しょうがいしゃ所得しょとく形成けいせいができていない。就労しゅうろう支援しえんさくもまだ展開てんかいされていない時点じてんで、1わり自己じこ負担ふたんもとめるのは理屈りくつわない。
 ――就労しゅうろう支援しえんはどの程度ていど効果こうかがあるだろうか。
 実際じっさい非常ひじょうむずかしいとおもう。いくら障害しょうがいしゃがトレーニングをけても、就労しゅうろうには相手あいて企業きぎょう)がある。養護ようご学校がっこう卒業そつぎょうして就職しゅうしょくしても、補助ほじょきんなどがれる1ねんはんにはおおくのひとめてしまう。そのひとたちをさい訓練くんれんしてまた企業きぎょうおくすには、あらたな支援しえんさく必要ひつようとなる。
 ――知的ちてき障害しょうがいしゃ精神せいしん障害しょうがいしゃからは、障害しょうがい程度ていど区分くぶん判定はんてい結果けっかまさしくないという批判ひはんている。
 障害しょうがい程度ていど区分くぶんは、介護かいご保険ほけんよう介護かいご認定にんていまえたものだが、よう介護かいご認定にんてい自体じたい矛盾むじゅんがまずおおきい。最大さいだい問題もんだいは、食事しょくじはいせつ介助かいじょ必要ひつようかどうかが、全体ぜんたい結果けっかおおきな影響えいきょうあたえてしまうてんだ。身体しんたい障害しょうがいしゃであればある程度ていど反映はんえいされるが、精神せいしん知的ちてきなどの場合ばあいは、かれらに必要ひつよう見守みまもとう介助かいじょまった評価ひょうかされないことになってしまう。全面ぜんめんてき見直みなおしが必要ひつようだ。
 ――地域ちいき移行いこうすすむだろうか。
 地域ちいき移行いこうざらとして想定そうていされているのは、グループホームとケアホームだが、報酬ほうしゅう単価たんかはかなりひくい。このままだと、ひとつやふたつのグループホームをっている事業じぎょうしょちゆかなくなり、あらたに事業じぎょう展開てんかいするところもないだろう。くに報酬ほうしゅう見直みなおしが必要ひつようだが、自治体じちたいも、東京とうきょうなどのように、設置せっちをある程度ていど補助ほじょしたり、報酬ほうしゅう上乗うわのせをしたりしないと、地域ちいき移行いこうすすまないだろう。
 ――ほう理念りねん実現じつげんするには、なに必要ひつようだろうか。
 まず、障害しょうがい程度ていど区分くぶん報酬ほうしゅう見直みなおしが必要ひつようだ。知的ちてき障害しょうがいしゃ精神せいしん障害しょうがいしゃ必要ひつよう介助かいじょ確保かくほされるような判定はんてい基準きじゅんつくり、報酬ほうしゅう事業じぎょうしゃがくにしなければならない。
 また、懸念けねんしているのは、自立じりつ支援しえんほうでは、費用ひよう負担ふたん家族かぞくにももとめられることだ。障害しょうがいしゃ本人ほんにんはサービスを利用りようしたくても、家族かぞく費用ひよう負担ふたんのせいでサービスをおさえようとするなど、本人ほんにん家族かぞく利益りえき相反あいはんき、亀裂きれつはいりかねない。このてんについてもさい検討けんとう必要ひつようではないか。(おわり) (この連載れんさいは、針原はりはら陽子ようし担当たんとうしました)

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◆20060823 精神せいしん患者かんじゃ病棟びょうとう退院たいいん支援しえん施設しせつ厚労省こうろうしょう検討けんとう 「数字すうじわせ」批判ひはんも――毎日新聞まいにちしんぶん

精神せいしん障害しょうがい入院にゅういんしている患者かんじゃ病院びょういんから地域ちいき社会しゃかい復帰ふっきさせる施策しさく推進すいしんしている厚生こうせい労働省ろうどうしょうが、病院びょういん敷地しきちない病棟びょうとうを「退院たいいん支援しえん施設しせつ」として移行いこうへのざらにする計画けいかく検討けんとうしていることがかった。施設しせつうつれば数字すうじうえでは「退院たいいん」したことになるが場所ばしょはほとんどおなじ。長期ちょうき入院にゅういんいられてきた患者かんじゃなどからは「看板かんばんえただけの数字すうじわせ。実質じっしつてき地域ちいきへの移行いこうすすめるべきだ」との批判ひはんこえがっている。【北川きたがわ仁士ひとし

 現在げんざい国内こくない精神せいしん入院にゅういん患者かんじゃは32まんにんなかでも病気びょうきすでなおり、退院たいいんできるのに偏見へんけんなどでがない「社会しゃかいてき入院にゅういん」は6まん9000にんのぼる。こうした状況じょうきょうからくには02ねんしん障害しょうがいしゃプラン」(10年間ねんかん)のなか社会しゃかいてき入院にゅういん患者かんじゃ退院たいいん社会しゃかい復帰ふっき目指めざすことをかかげた。

 今回こんかい、「社会しゃかい復帰ふっきへのなかあいだ施設しせつ」として考案こうあんされた退院たいいん支援しえん施設しせつは、入所にゅうしょ期限きげんが2〜3ねん病院びょういん敷地しきちがい施設しせつでは定員ていいん20〜30にん個室こしつ条件じょうけんとなるが、敷地しきちない病棟びょうとう転用てんようする場合ばあいどう20〜60にんで4にん部屋へやみとめられる。また、病院びょういんでは4にんに1にん生活せいかつ支援しえんいん退院たいいん支援しえん施設しせつでは6にんに1にんでよくなり、入所にゅうしょしゃへの援助えんじょ手薄てうすになると指摘してきするこえがある。

 10がつ完全かんぜん実施じっしされる障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうは、精神せいしん障害しょうがいしゃ退院たいいん促進そくしんおおきな目標もくひょうかかげる。中間ちゅうかん施設しせつて、地域ちいき移行いこうへの最終さいしゅうてきざらとなる都道府県とどうふけん市町村しちょうそんには、自立じりつ支援しえんのための障害しょうがい福祉ふくしサービスにかんして「障害しょうがい福祉ふくし計画けいかく」のなか具体ぐたいてきさだめることがもとめられている。しかし、計画けいかく今年度こんねんどちゅうさだめること以外いがいなにまっておらず、「どのぐらいの市町村しちょうそん態勢たいせいととのえられるかわからない」(同省どうしょう)というのが実情じつじょうだ。

 障害しょうがい福祉ふくしでは「退院たいいん支援しえん施設しせつは、あくまで地域ちいき生活せいかつしていくことを目的もくてきとしたなかあいだ施設しせつ選択肢せんたくしひとつとかんがえてほしい」と説明せつめいする。

 しかし、精神せいしん障害しょうがいしゃらでつくる「こらーる・たいとう」(東京とうきょう)の加藤かとうしん規子のりこ代表だいひょうは、日本にっぽん精神せいしん障害しょうがいしゃ他国たこくくら長期間ちょうきかん病院びょういん収容しゅうようされてきたことにれたうえで、「中間なかま施設しせつでなく地域ちいきざらくにととのえるべきだ。市町村しちょうそんには能力のうりょく格差かくさがあり、このままでは地域ちいき移行いこうすすまない」と指摘してきする。

 加藤かとう代表だいひょうらは退院たいいん支援しえん施設しせつ撤回てっかいもとめる署名しょめいけ、22にち現在げんざい、5000にんぶん同省どうしょう提出ていしゅつされている。また、障害しょうがいしゃ団体だんたいでは23にち同省どうしょう交渉こうしょうし、抗議こうぎ行動こうどう展開てんかいする。

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◆20060824 精神せいしん患者かんじゃ退院たいいん支援しえん施設しせつ計画けいかく撤回てっかいを 患者かんじゃ団体だんたい交渉こうしょう――毎日新聞まいにちしんぶん

 精神せいしん障害しょうがい入院にゅういんしている患者かんじゃ地域ちいき移行いこうさくとして、厚生こうせい労働省ろうどうしょう病院びょういん敷地しきちない病棟びょうとうを「退院たいいん支援しえん施設しせつ」として利用りようする計画けいかくてている問題もんだいで、患者かんじゃ団体だんたいらは23にち同省どうしょうおとずれ、計画けいかく撤回てっかいもとめて交渉こうしょうおこなった。同省どうしょうは24にち関係かんけい課長かちょう会議かいぎ事実じじつじょう計画けいかく推進すいしんめる予定よていで、まれば予定よていどおり10がつにちから施設しせつ利用りようはじまる。

 交渉こうしょうには11団体だんたい参加さんか精神せいしん障害しょうがいしゃらでつくる「こらーるたいとう」の加藤かとうしん規子のりこ代表だいひょうが「敷地しきちない施設しせつ社会しゃかいほこりをもってきる地域ちいき移行いこうかんがえにはんする。地域ちいきでの生活せいかつづくりにちかられるべきだ」と撤回てっかいもとめたのにたいし、宮本みやもと真司しんじ障害しょうがい施策しさく推進すいしんかんは「いきなりすべての市町村しちょうそん地域ちいきざらつくることはむずかしい。施設しせつ利用りよう希望きぼうしゃかぎっている」として理解りかいもとめた。

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◆20060902 (わたし視点してんウイークエンド)障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう 福祉ふくし共生きょうせい社会しゃかい逆行ぎゃっこう 山田やまだ雅人まさと――朝日新聞あさひしんぶん

 4がつから施行しこうされた障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうは、「地域ちいき移行いこう」(施設しせつ生活せいかつから地域ちいき生活せいかつへ)と「就労しゅうろう支援しえん」(就労しゅうろう促進そくしん)をおおきなはしらとしている。「自立じりつ共生きょうせい地域ちいき社会しゃかいづくり」をスローガンにかかげているが、せい省令しょうれい順次じゅんじしめされる施行しこう内容ないようをみると、地域ちいき社会しゃかい安心あんしんして希望きぼうってらせる施策しさくにはなっていない。
 だい1に、福祉ふくし支援しえん利用りようしたさい個人こじん負担ふたんが「おうのう負担ふたん」から「応益おうえき負担ふたん」へ変更へんこうとなり、過分かぶん負担ふたんいるものとなった。たとえば、わたし所属しょぞくする法人ほうじん運営うんえいする身体しんたい障害しょうがい関係かんけい入所にゅうしょ施設しせつでは、平均へいきん個人こじん負担ふたん月額げつがくが、やくまんせんえんからやくまんせんえんへと2ばい以上いじょうえた。知的ちてき障害しょうがい通所つうしょ施設しせつ利用りようしゃでは13ばいぞうである。
 福祉ふくし支援しえん必要ひつようにもかかわらず、あきらめるひと次々つぎつぎている。全国ぜんこく社会しゃかい就労しゅうろうセンター協議きょうぎかい調査ちょうさでは、施行しこう直前ちょくぜんの3がつまつまでに、授産じゅさん施設しせつの1・33%のひと負担ふたんぞう理由りゆう退すさところ。その6わりじゃくが「自宅じたくきこもり状態じょうたい」となっている。
 福祉ふくし支援しえんを「利益りえき」だとし、とくをしたのだからその利益りえきおうじてかねはらえ、という発想はっそうあさはかだ。福祉ふくし支援しえんは「利益りえき」ではなく、「きるのに必要ひつようささえ」である。もの売買ばいばい対人たいじんサービスと同様どうように、「市場いちば原理げんり交換こうかん原理げんり」の視点してんかんがえるのは的外まとはずれだ。
 だい2に、障害しょうがい程度ていど判定はんてい調査ちょうさ内容ないよう的確てきかくである。106項目こうもくちゅう79項目こうもく介護かいご保険ほけんのもので、障害しょうがい特性とくせい支援しえん必要ひつようせい評価ひょうかされず、実態じったいよりもひく判定はんてい結果けっかしかてこない。そのため、必要ひつようかつ希望きぼうする福祉ふくし支援しえんけられない。日本にっぽん知的ちてき障害しょうがいしゃ福祉ふくし協会きょうかいによる4がつ調査ちょうさでは、強度きょうど行動こうどう障害しょうがいのあるほうでさえも、6わりじゃく入所にゅうしょ利用りようできないおそれが指摘してきされている。
 だい3に、ざらもないのに根拠こんきょのない目標もくひょう数値すうち設定せっていし、「地域ちいき移行いこう」をアメとムチてきすすめようとしている。民間みんかん企業きぎょうにおける障害しょうがいをおったひとじつ雇用こようりつは05ねんがつ現在げんざい1・49%。法定ほうてい雇用こようりつの1・8%を達成たっせいしている企業きぎょうは42・1%でしかなく、地域ちいきはたらきたくてもはたらじょうがない。また、障害しょうがいをおったひとめる住宅じゅうたくすくないし、家賃やちんはらうおかねもない。うしな不安ふあん切実せつじつだ。地域ちいき社会しゃかい福祉ふくし文化ぶんか成熟せいじゅく不可欠ふかけつにもかかわらず、そのための施策しさくえてこない。
 だれのための支援しえんほうなのか。福祉ふくし共生きょうせい社会しゃかい構築こうちく逆行ぎゃっこうする愚行ぐこうは、早急そうきゅう見直みなおすべきだ。
 (やまだまさひと 群馬ぐんまけん身体しんたい障害しょうがいしゃ施設しせつ運営うんえい協議きょうぎかい会長かいちょう

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◆20060916 (土曜どよう特集とくしゅう負担ふたんぞうやはり、不安ふあんつのる 障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう利用りようしゃは… /新潟にいがたけん――朝日新聞あさひしんぶん

 4がつ障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう施行しこうされて半年はんとし福祉ふくしサービスの原則げんそくわり自己じこ負担ふたんや、事業じぎょうしょ補助ほじょきん削減さくげんなどがはじまり、利用りようしゃあいだに「自立じりつ支援しえんをうたいながら、自立じりつはばんでいるのでは」という不安ふあんひろがっている。けん調しらべでは、経済けいざいてき負担ふたんぞう理由りゆう障害しょうがいしゃ福祉ふくし施設しせつ退すさところしたひとは5がつまつまでに20にんけん退すさしょしゃふくしょうながすため、経済けいざいてき支援しえん検討けんとうしている。10がつからのほん施行しこうまえに、自立じりつ支援しえんほう現状げんじょう課題かだいさぐった。
 (川上かわかみひろしひさし

 ●なやんだすえ世帯せたい分離ぶんり
 新潟にいがた佐藤さとう康子やすこさん(58)は3がつ知的ちてき障害しょうがいしゃ更生こうせい入所にゅうしょ施設しせつ太陽たいようむら」(同市どうし太夫浜たゆうはま)に入所にゅうしょする一人ひとり息子むすこ修吉しゅうきちさん(33)と世帯せたい分離ぶんりめた。修吉しゅうきちさんは重度じゅうど自閉症じへいしょうで、20さいから施設しせつ入所にゅうしょしていた。
 障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうにより、福祉ふくしサービスりょう原則げんそくわり利用りようしゃ負担ふたんとなった。負担ふたんがくかく世帯せたい所得しょとく区分くぶんまる=ひょう1・2。修吉しゅうきちさんが父親ちちおや(60)の扶養ふよう家族かぞくのままでは、「一般いっぱん課税かぜい)」に分類ぶんるいされ、負担ふたん急増きゅうぞうする。世帯せたい分離ぶんり修吉しゅうきちさんが「てい所得しょとく2(障害しょうがい基礎きそ年金ねんきんきゅう受給じゅきゅう)」に認定にんていされるよう、そう決断けつだんした。
 「こんなに重度じゅうどとなぜ世帯せたいけなければならないのか」と、られるおもいで、毎日まいにちいてばかりだった。なやんだすえ友人ゆうじんから「書類しょるいじょう別々べつべつになっても、しんはつながっているんだから」と背中せなかされ、決心けっしんした。
 それでも、自己じこ負担ふたんおもくのしかかった。
 3がつまでは、1カ月かげつ施設しせつ利用りよう光熱こうねつなどをふくめて4まんえんじゃく。ところが、どうほう施行しこうの06ねんがつやくまんせんえんとなり、自己じこ負担ふたんがくやくまんせんえんえた。
 8まんせんえん障害しょうがい基礎きそ年金ねんきん支払しはらえる範囲はんいだが、修吉しゅうきちさんの支出ししゅつ施設しせつだけではない。衣類いるいにち用品ようひん年金ねんきんから購入こうにゅうする。4月しがつからは歯医者はいしゃなどの医療いりょう負担ふたん必要ひつようになった。
 康子やすこさんは「いまおやがみてやれますが、おやくなったのち障害しょうがい基礎きそ年金ねんきんだけでらしていかなければなりません。将来しょうらいがとても不安ふあんです」とせつうったえる。

■1、ホームヘルプ(つき125あいだ)を利用りようする場合ばあい事業じぎょう:22まんえん
                支援しえん制度せいど     障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう
               (〜06ねんがつ)  (くに基準きじゅん)(負担ふたんりつ
市町しちょう村民そんみんぜい課税かぜい世帯せたい        4600えん  22000えん(10%)
てい所得しょとく2:障害しょうがい基礎きそ年金ねんきんきゅう受給じゅきゅう     0えん  12300えん(6%)
てい所得しょとく1:障害しょうがい基礎きそ年金ねんきんきゅう受給じゅきゅう     0えん   7500えん(3%)
出典しゅってん新潟にいがた障害しょうがい福祉ふくし

■2、知的ちてき障害しょうがいしゃ入所にゅうしょ更生こうせい施設しせつ入所にゅうしょする場合ばあい(20さい以上いじょう)(事業じぎょう:23まんえん
          支援しえん制度せいど 障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうくに基準きじゅん食費しょくひ実費じっぴ負担ふたんがく   合計ごうけい
                 と定率ていりつ負担ふたんがく負担ふたんりつ
市町しちょう村民そんみんぜい課税かぜい世帯せたい 42400えん 23000えん(10%)  58000えん 81000えん
てい所得しょとく2      39800えん  8500えん(4%)   46500えん 55000えん
てい所得しょとく1      31800えん     0えん(0%)   41000えん 41000えん

 ●報酬ほうしゅう日割ひわ計算けいさん施設しせつ経営けいえいにも波紋はもん
 自立じりつ支援しえんほうは、福祉ふくしサービスのになである施設しせつやグループホームなど事業じぎょうしょ経営けいえいにも波紋はもんひろげている。
 最大さいだい変化へんかは、報酬ほうしゅう単価たんか日割ひわ計算けいさん導入どうにゅうされたことだ。補助ほじょきん定員ていいんすうによってさだめられていたが、4がつからは1にちごとに何人なんにん利用りようしていたかでがくまる。
 新潟にいがたのある知的ちてき障害しょうがいしゃ入所にゅうしょ施設しせつは、補助ほじょきん確保かくほするため、利用りようしゃ週末しゅうまつ外泊がいはくすう制限せいげんした。利用りようしゃは、4がつまでは金曜きんよう夕方ゆうがた自宅じたくかえり、月曜げつようあさ施設しせつもどっていたが、現在げんざい土曜どよう朝食ちょうしょく帰宅きたくし、日曜にちよう夕食ゆうしょくまえもどる。この変化へんかきらい、休日きゅうじつったため、パニックにおちいった利用りようしゃすくなくない。
 新潟にいがたななにちまち入所にゅうしょ施設しせつまんさと」の中野なかのみのる園長えんちょうは、日割ひわ計算けいさん導入どうにゅうされたことにより、「将来しょうらい建物たてもの修繕しゅうぜん職員しょくいん人材じんざい育成いくせい使つかっていたおかね先細さきぼそりする」と不安ふあんかたる。
 どう施設しせつは00ねん開所かいしょ知的ちてき障害しょうがいしゃ50にん入所にゅうしょするが、ほう施行しこうにより、補助ほじょきんやく8%減額げんがくされた。運営うんえい支障ししょうるほどの影響えいきょうていないが、将来しょうらいけた経費けいひ確保かくほするために、正規せいき職員しょくいん欠員けついんたらパート職員しょくいんえて人件じんけん抑制よくせいしたり、ホームヘルプやショートステイ(短期たんき入所にゅうしょ)など事業じぎょう多角たかくんだりすることをかんがえている。
 中野なかの園長えんちょうは「わたしたちもだつ施設しせつ目指めざしたい。しかし、地域ちいき重度じゅうど障害しょうがいしゃれる条件じょうけん整備せいびされているとはえない」とはなす。
 県内けんない授産じゅさん施設しせつ同士どうし情報じょうほう交換こうかんのために設立せつりつされた「けん法人ほうじんりつ授産じゅさん施設しせつ連絡れんらく協議きょうぎかい」(新潟にいがた)が6がつった調査ちょうさでは、アンケートにこたえた県内けんないの41施設しせつ補助ほじょきんは、昨年さくねん平均へいきん15%げんやすみがちな利用りようしゃおお施設しせつでは、補助ほじょきん昨年さくねんくらやく30%げんになったところもている。
 自治体じちたいがつくる障害しょうがい福祉ふくし計画けいかくについてくには、「11年度ねんどまつまでに入所にゅうしょ施設しせつ入所にゅうしょしゃの1わり以上いじょう地域ちいき生活せいかつ移行いこうさせる」ことや、「11年度ねんどちゅうに、福祉ふくし施設しせつから一般いっぱん就労しゅうろう移行いこうするもの現在げんざいの4ばい以上いじょうとする」ことなどを数値すうち目標もくひょうとしてかかげ、法律ほうりつでも就労しゅうろう移行いこう支援しえんたいする報酬ほうしゅう単価たんかたか設定せっていしている。
 「障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんするかい」の田中たなかのりきょ事務じむ局長きょくちょうは「障害しょうがいしゃ競争きょうそう原理げんり導入どうにゅうするのは間違まちがっている。施設しせつがわ就職しゅうしょくのできそうなひとって、重度じゅうど障害しょうがいしゃ排除はいじょすることにつながりかねない」と心配しんぱいしている。

 ●新潟にいがた一律いちりつわり負担ふたんげん
 利用りようしゃ負担ふたんぞう事業じぎょうしょ補助ほじょきん減額げんがくたいし、負担ふたん軽減けいげんさくしている自治体じちたいがある=ひょう3。
 福祉ふくしサービスの負担ふたん軽減けいげんもっと積極せっきょくてきなのは新潟にいがただ。障害しょうがい程度ていど収入しゅうにゅうにかかわらず、一律いちりつわり軽減けいげんする。今年度こんねんど予算よさんではやく3200まんえん計上けいじょうした。同市どうし障害しょうがい福祉ふくしは「負担ふたん急激きゅうげきえることで、福祉ふくしサービスの利用りようひかえることがないように」と説明せつめいする。
 自治体じちたいなどからの「新潟にいがた財政ざいせい規模きぼおおきいからだ」というこえたいして、担当たんとうしゃ反論はんろんする。「利用りようしゃ原則げんそくわり負担ふたんで、くにけん市町村しちょうそん分担ぶんたんしていた支出ししゅつ減少げんしょうした。新潟にいがたが2わり軽減けいげんするがくは、支出ししゅつ減少げんしょうしたがくとほぼおなじ。問題もんだい自治体じちたいがどこにおかね使つかうかだ」とはなす。
 けん専門せんもん機関きかん障害しょうがいしゃ更生こうせい相談そうだんしょ」の調査ちょうさでは、利用りようしゃ負担ふたんぞう理由りゆう障害しょうがい福祉ふくし施設しせつ入所にゅうしょ通所つうしょ)を退すさところした障害しょうがいしゃが、5がつまつまでに県内けんないで20にんいた。
 けん市町村しちょうそん作業さぎょうしょ連携れんけいし、退すさしょしゃ説明せつめい出向でむいた。けん障害しょうがい福祉ふくしは「制度せいど理解りかいしてもらうことで、将来しょうらいへの不安ふあん解消かいしょうする場合ばあいもあった」とい、すうにん施設しせつ復帰ふっきしたという。
 今月こんげつ県議会けんぎかい提案ていあんする補正ほせい予算よさんでは、家庭かてい崩壊ほうかいするなど、深刻しんこく事情じじょう復帰ふっき困難こんなん障害しょうがいしゃ経済けいざいてき支援しえんおこなうことを予定よていだ。
 しかし、利用りようしゃ一部いちぶからは「経済けいざいてき無理むりをしてかよっているひとおおなか退すさしょしゃにのみ経済けいざいてき支援しえんをしても、問題もんだい解決かいけつにはならない」と疑問ぎもんこえている。

■3、自治体じちたい独自どくじ負担ふたん軽減けいげんさく(06ねん4〜5がつ現在げんざい出典しゅってん:きょうされん
新潟にいがた
 ●福祉ふくしサービス
 (1)施設しせつ居宅きょたくサービス利用りようしゃ負担ふたんがくを2わり軽減けいげん (2)障害しょうがい程度ていど区分くぶん除外じょがいしゃに、現行げんこう支援しえん・サービスりょう確保かくほ (3)社会しゃかい福祉ふくし法人ほうじん軽減けいげん措置そち民間みんかん事業じぎょうしゃ拡大かくだい
 ●自立じりつ支援しえん医療いりょう
 知的ちてき障害しょうがいしゃ施設しせつ入所にゅうしょしゃ医療いりょう助成じょせい療育りょういく手帳てちょうA・B保持ほじしゃたいして1わり負担ふたんぶん外来がいらいかい530えん入院にゅういん1200えん自己じこ負担ふたんとし、それ以上いじょう負担ふたん

長岡ながおか
 ●福祉ふくしサービス
 (1)社会しゃかい福祉ふくし法人ほうじん軽減けいげん措置そち民間みんかん事業じぎょうしゃ拡大かくだい (2)生活せいかつサポート、障害しょうがい程度ていど区分くぶん該当がいとうしゃたいして支援しえん (3)外出がいしゅつ介護かいご利用りようしゃ負担ふたんきん免除めんじょ

三条さんじょう
 ●福祉ふくしサービス
 児童じどうデイサービス、利用りようしゃ自己じこ負担ふたんぶんの1を利用りようあいだあたりの負担ふたん単価たんかとする
 ●自立じりつ支援しえん医療いりょう
 更生こうせい医療いりょう受給じゅきゅうしゃ自己じこ負担ふたんがくの2ぶんの1を助成じょせい

阿賀あが野市のいち
 ●福祉ふくしサービス
 児童じどうデイサービス利用りようしゃ全員ぜんいん自己じこ負担ふたん免除めんじょ(1年間ねんかんのみ)

十日町とおかまち
 ●自立じりつ支援しえん医療いりょう
 精神せいしん通院つういん医療いりょうぶんの1助成じょせい継続けいぞく限度げんどがく月額げつがくまんえん

上越じょうえつ
 ●福祉ふくしサービス
 (1)社会しゃかい福祉ふくし法人ほうじん減免げんめん制度せいど法人ほうじんかくをもたない事業じぎょうしゃ拡大かくだい。1カ月かげつ利用りようしゃ負担ふたんがくを「てい所得しょとく1」で2ぶんの1、「てい所得しょとく2」で4ぶんの1を助成じょせい実施じっし事業じぎょうしょにおける年間ねんかん法人ほうじん減免げんめん全額ぜんがく公費こうひ助成じょせい (2)児童じどうデイサービス利用りようしゃ全員ぜんいんたい無料むりょう 

湯沢ゆざわまち
 ●自立じりつ支援しえん医療いりょう
 精神せいしん通院つういん医療いりょう5%補助ほじょ継続けいぞく

 ◇独自どくじのアイデアで事業じぎょう展開てんかい期待きたい 発言はつげんつづけてきた遁所直樹なおきさんに
 自立じりつ支援しえんほう成立せいりつまえから、どうほう勉強べんきょうかいひらくなど、積極せっきょくてき発言はつげんつづけてきた自立じりつ生活せいかつセンター新潟にいがた(CIL)のふく理事りじちょう、遁所(とんどころ)直樹なおきさん=写真しゃしん=に障害しょうがいしゃ福祉ふくし現状げんじょうについていた。
 ――施行しこうから半年はんとして、負担ふたんうったえるひとすくなくありません。
 05ねん10がつ郵政ゆうせい民営みんえい関連かんれんほう成立せいりつ直前ちょくぜんに、どうほう反対はんたいの2せんにん規模きぼ運動うんどうがマスコミでおおきくげられた。ところが、おなにあった自立じりつ支援しえんほう反対はんたい運動うんどうは、やくまんせんにん東京とうきょう代々木公園よよぎこうえんから国会こっかいまであるいたのに、ほとんどげられなかった。新潟にいがた市内しないでも、わたしたちは反対はんたい行動こうどうをしたが、参加さんかしゃすくなかった。いまになって「大変たいへんだ」とわれても、というおもいはある。
 ――自立じりつ支援しえんほうによる負担ふたんぞうで、もっと影響えいきょうけていることはなにでしょうか。
 居宅きょたく介護かいご(ホームヘルプなど)の利用りよう減少げんしょうしていること。20さい知的ちてき障害しょうがいしゃは、ガイドヘルパーを1カ月かげつに60あいだ利用りようしていたが、金銭きんせんめん余裕よゆうがなく、4がつから利用りよう制限せいげんした。いま毎日まいにち、ボランティアをさがし、世話せわをしてもらっているという。自立じりつ支援しえんとうたいつつも、実際じっさい逆行ぎゃっこうしているのではないか。
 ――自立じりつ支援しえんほうかすにはどうしていくべきでしょうか。
 自己じこ負担ふたんがかかるのは遺憾いかんだが、なげいていても仕方しかたない。たとえば、これまで福祉ふくしサービスを利用りようできなかった該当がいとうしゃが、市町村しちょうそん裁量さいりょう利用りよう可能かのうとなる。無認可むにんか作業さぎょうしょでも、条件じょうけんたせば地域ちいき活動かつどう支援しえんセンターに位置いちづけられる可能かのうせいがある。
 かく自治体じちたいにやるがあれば、補助ほじょきん上乗うわのせしたり、設置せっちすうやしたりできる。10にん規模きぼ小回こまわりがき、独自どくじのアイデアで事業じぎょう展開てんかいできる利用りようしゃ主体しゅたい居場所いばしょえることを期待きたいしたい。

 ◆キーワード
 <障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう> 身体しんたい知的ちてき精神せいしんかく障害しょうがい種別しゅべつことなっていた福祉ふくしサービスを一元化いちげんかし、これまでのくにわって市町村しちょうそんがサービスの提供ていきょう主体しゅたいとなる。公平こうへい安定あんていしたサービスの供給きょうきゅうや、地域ちいきでの自立じりつうなが就労しゅうろう支援しえん強化きょうか目的もくてきに、従来じゅうらい支援しえん制度せいど全面ぜんめんてき見直みなおされた。所得しょとくおうじて利用りようりょう負担ふたんする「おうのう負担ふたん」から、定率ていりつ負担ふたんする「応益おうえき負担ふたん」に移行いこうしたことによる負担ふたんぞうで、障害しょうがいしゃ事業じぎょうしょ波紋はもんひろがっている。05ねん10がつ自民じみん公明こうめいりょうとう賛成さんせい多数たすう成立せいりつした。

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◆20060927 精神せいしん病院びょういん退院たいいん支援しえん施設しせつ転換てんかん 計画けいかく実施じっし来年らいねんがつに/厚労省こうろうしょう――読売新聞よみうりしんぶん

厚生こうせい労働省ろうどうしょうは26にち精神せいしん病院びょういん一部いちぶを「退院たいいん支援しえん施設しせつ」に転換てんかんする計画けいかくについて、実施じっし時期じき来年らいねんがつからとする方針ほうしんあきらかにした。当初とうしょは10がつ開始かいしする予定よていだったが、障害しょうがいしゃ団体だんたい反対はんたいけ、半年はんとしあいだ延期えんき決定けっていした。「今後こんご計画けいかく周知しゅうち徹底てっていはかり、改善かいぜんさく検討けんとうしたい」としている。
 退院たいいん支援しえん施設しせつは、精神せいしん入院にゅういん患者かんじゃ地域ちいき段階だんかいてき移行いこうするため、退院たいいん2〜3ねん入所にゅうしょし、生活せいかつ訓練くんれんおこな施設しせつ入院にゅういんベッドを転換てんかんするなどして整備せいびする。がないために退院たいいんできない「社会しゃかいてき入院にゅういん」の解消かいしょう目的もくてきだが、障害しょうがいしゃ団体だんたいからは「名目めいもくのみの退院たいいんとなり、本来ほんらい地域ちいき移行いこう阻害そがいされる」として反対はんたいこえがっていた。
 このため、同省どうしょう計画けいかく延期えんきめるとともに、入所にゅうしょしゃ地域ちいきでの支援しえん市町村しちょうそん義務ぎむづけるなどのあん検討けんとうしている。

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◆20061118 検証けんしょう村井むらい県政けんせいの1ねんちゅう 知事ちじのカラー /宮城みやぎ――毎日新聞まいにちしんぶん

◇「気配きくばり」と「はん浅野あさの

 知事ちじしつ出入でいぐち廊下ろうかはさんだかいにある非常口ひじょうぐちのドアが4がつ下旬げじゅんかべおなじベージュしょくから木目もくめ調ちょう一新いっしんされた。ドアはエレベーターホールにるのに便利べんり位置いちにあるため、来客らいきゃくのほとんどはここをとおる。「非常口ひじょうぐちのようでは失礼しつれいだ」。村井むらい嘉浩よしひろ知事ちじ職員しょくいんにこう説明せつめいし、リフォームを指示しじしたという。

 来客らいきゃく上座かみざはなしときおな目線めせん見送みおくりはエレベーターがまるまで……。「気配きくばりそのもの」とえる村井むらい知事ちじいは、浅野あさの史郎しろうぜん知事ちじ時代じだいにはこえなかったエピソードだ。

 ある町長ちょうちょうは「ぜん知事ちじは、会話かいわあいだ時計とけいやスケジュールばかりにしていたが、村井むらい知事ちじはしっかりはなしてくれる。おなじ10ふんでも内容ないようちがう」。

 地方ちほうひら県民けんみんとの意見いけん交換こうかんかい村井むらい知事ちじは、おおくのひとからすこしずつはなしぜん知事ちじりゅうから、しょう人数にんずうからじっくりはなし方式ほうしき変更へんこうした。「ぜん知事ちじとき緊張きんちょうしていたいことがえなかった。今回こんかいはリラックスできたので、本音ほんねえた」。栗原くりはら開催かいさいされた意見いけん交換こうかんかい参加さんかした地元じもと千葉ちば和恵かずえさん(54)は、こうはなした。

   ■   ■

 浅野あさのぜん知事ちじとのちがいを際立きわだたせるかのような村井むらい知事ちじるまい。それはときに、ぜん知事ちじのこした政策せいさく課題かだいをきっかけに先鋭せんえいさせることがある。

 「いますぐに条例じょうれいつくはない」。10がつ16にち定例ていれい会見かいけん障害しょうがいしゃ差別さべつ禁止きんし条例じょうれい制定せいていについてたずねられた村井むらい知事ちじは、こう断言だんげんした。

 どう条例じょうれいをめぐっては、けんぜん知事ちじ時代じだいの04ねんに、素案そあんをまとめる段階だんかいまでいたった経緯けいいがあった。担当たんとうにとっては、議論ぎろんもなく知事ちじ突然とつぜん表明ひょうめいした「方針ほうしん撤回てっかい」は寝耳ねみみみずだった。やくあいだ発言はつげん修正しゅうせいする知事ちじのコメントがされる異常いじょう事態じたいとなった。

 知事ちじせん浅野あさのぜん知事ちじ後継こうけい候補こうほやぶった村井むらい知事ちじはつ登庁とうちょうしたそのあしで、ぜん知事ちじった県警けんけい捜査そうさ報償ほうしょう凍結とうけつ解除かいじょした。けん幹部かんぶOBは「ぜん知事ちじへのはん発心ほっしんが、げたものを無視むししてまで『はん浅野あさの』という立場たちばかったのでは」と推測すいそくする。「本音ほんねでは(ぜん知事ちじを)面白おもしろおもっていないようだ」とのこえこえる。

   ■   ■

 知的ちてき障害しょうがいしゃ入所にゅうしょ施設しせつ船形ふながたコロニー」(大和やまとまち)の地域ちいき移行いこう計画けいかく福祉ふくしちからそそいだぜん知事ちじのシンボルともえる政策せいさくだが、村井むらい知事ちじ見直みなおしにった。福祉ふくし関係かんけいしゃからは「浅野あさの路線ろせん否定ひてい象徴しょうちょうとして、これから福祉ふくし標的ひょうてきにされるのでは」と懸念けねんこえもあがる。

 とはえ、福祉ふくし分野ぶんやでは「はん浅野あさの」の色合いろあいをしめわりには、おおきな枠組わくぐみはぜん知事ちじ時代じだい路線ろせん踏襲とうしゅうするのにとどまり、具体ぐたいてき視点してんしめすまでにはいたっていない。

 「パフォーマンスてきに『はん浅野あさの』の姿勢しせいしめしていては、宮城みやぎ福祉ふくしはいずれだめになってしまう」。けん幹部かんぶOBはこう指摘してきした。

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◆20061122 [検証けんしょう村井むらい県政けんせいねん](うえ)リーダーシップ(連載れんさい)=宮城みやぎ――読売新聞よみうりしんぶん

職員しょくいんいなり」批判ひはんも 
 「県内けんないそう生産せいさん10ちょうえん以上いじょう数値すうち目標もくひょう明記めいきするようなおしてくれ」
 8がつ下旬げじゅん村井むらい知事ちじ知事ちじしつで、けんあたらしい総合そうごう計画けいかく「みやぎの将来しょうらいビジョン」の策定さくてい担当たんとうする政策せいさく職員しょくいん指示しじした。知事ちじは、数値すうち目標もくひょうまなかった骨子こっしあん審議しんぎ委員いいんから「きわめて普通ふつう宮城みやぎらしさがない」と酷評こくひょうされたことをつよ意識いしきしていた。
 総合そうごう計画けいかく今後こんご10年間ねんかん県政けんせい指針ししんとなる。選挙せんきょ期間きかんちゅうから「とみけん」をうったえてきた“村井むらいカラー”がされると期待きたいされていた。
 11月じゅういちがつ審議しんぎかい中間なかまあんまれた数値すうち目標もくひょうおおくの委員いいん一転いってんして好意こういてきめた。政策せいさくは「知事ちじのリーダーシップがあってこそちゅうあいだあんがまとまった」と強調きょうちょうした。
 しかし、課題かだい山積さんせきしている。現在げんざい県内けんないそう生産せいさんやく8・5ちょうえん県民けんみん景気けいき回復かいふく実感じっかんしているとはがたく、外部がいぶ政策せいさく顧問こもんからは「無理むりして計画けいかく明記めいきすべきでない」と反対はんたい意見いけんされた。金額きんがく根拠こんきょ達成たっせいけた具体ぐたいさくにもとぼしく、「けんができることとの距離きょりがありすぎる」(けん幹部かんぶ)と先行さきゆきを不安ふあんするこえつよい。
                ■
 知事ちじ浅野あさの史郎しろうぜん知事ちじ後継こうけいしゃやぶって当選とうせんすると、まず“浅野あさのしょく”のふっしょくにんだ。
 昨年さくねん11がつ21にちはつ登庁とうちょう、5かげつつづいていた県警けんけい捜査そうさ報償ほうしょう執行しっこう停止ていし解除かいじょした。そのぜん県政けんせい福祉ふくし政策せいさく象徴しょうちょうだった「知的ちてき障害しょうがいしゃ施設しせつ解体かいたい宣言せんげん」を見直みなおし、施設しせつ当面とうめん存続そんぞくめた。ぜん知事ちじきもいりで検討けんとうされていた「障害しょうがいのあるひとへの差別さべつをなくすための条例じょうれい」(仮称かしょう)を「やるちはない」と会見かいけん明言めいげんし、担当たんとうあわてさせる場面ばめんもあった。
 県政けんせい運営うんえい手法しゅほうおおきく様変さまがわりした。「トップダウンがた」だったぜん知事ちじくらべ、周囲しゅうい意見いけん重視じゅうしする「ボトムアップがた」だ。あるけん幹部かんぶは「官僚かんりょう出身しゅっしん浅野あさのさんとちがい、村井むらい知事ちじ行政ぎょうせい意思いし決定けっていシステムに精通せいつうしていないので、職員しょくいん意見いけん重視じゅうしせざるをないのでは」とみている。

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◆20061124 [検証けんしょう村井むらい県政けんせいねん](した知事ちじインタビュー(連載れんさい)=宮城みやぎ――読売新聞よみうりしんぶん

ものづくりばし、活力かつりょく
 就任しゅうにんから1ねんむかえた村井むらい知事ちじに、これまでの感想かんそう政治せいじ姿勢しせいについていた。
 ――1ねん感想かんそう
 初日しょにち県警けんけい捜査そうさ報償ほうしょう執行しっこう停止ていし解除かいじょしたことが印象いんしょうてき県警けんけいにはして情報じょうほう、いけない情報じょうほうがあるのはかっている。情報じょうほう開示かいじでは報償ほうしょう以外いがい浅野あさの史郎しろうぜん知事ちじしめした基準きじゅん継承けいしょうしている。もともどすこともできるが、わたしもどさないよう指示しじしている。
 ――浅野あさのぜん知事ちじけん社会しゃかい福祉ふくし協議きょうぎかい会長かいちょうとしてのこっているが、やりにくさは
 とく意識いしきしていない。「知的ちてき障害しょうがいしゃ施設しせつ解体かいたい宣言せんげん」を見直みなおしたが、早急そうきゅう地域ちいき移行いこうすすめるのではなく、わたしなが期間きかん地域ちいきもどってもらおうとかんがえている。福祉ふくし政策せいさく浅野あさのさんとおおきな差異さいはない。
[……]




作成さくせい三野みの 宏治こうじ
UP:20100410 REV:
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