ケニア共和きょうわ国こく Republic of Kenya　2011年ねん

序章じょしょう　アフリカ農村のうそん社会しゃかいと公共こうきょう圏けんの概念がいねん／児玉こだま由佳ゆか
第だい1章しょう　エチオピア農村のうそん社会しゃかいにおける公共こうきょう圏けんの形成けいせい -市民しみん社会しゃかい／共同きょうどう体たいの二元論にげんろんをこえて-／松村まつむら圭けい一郎いちろう
第だい2章しょう　アフリカ農村のうそんの生産せいさん者しゃ組織そしきと市民しみん社会しゃかい−ガーナの事例じれいから−／高根たかね務つとむ

第だい3章しょう　東ひがしアフリカ農村のうそんにおける森林しんりん資源しげん管理かんりと生計せいけい安全あんぜん保障ほしょう-タンザニアとケニアの参加さんか型がた制度せいどの事例じれい分析ぶんせき-／上田うえだ元はじめ
第だい4章しょう　ザンビアの農村のうそんにおける土地とちの共同きょうどう保有ほゆうにみる公共こうきょう圏けんと土地とち法ほうの改正かいせい／大山おおやま修一しゅういち
第だい5章しょう　ルワンダの農村のうそん社会しゃかいと民衆みんしゅう司法しほう-アブンジを中心ちゅうしんに−／武内たけうち進一しんいち
補ほ章しょう1　新あたらしい公共こうきょう圏けんの創そう生せいと消費しょうひの共同きょうどう体たい-タンザニア・マテンゴ社会しゃかいにおけるセングの再さい創造そうぞうをめぐって-／杉村すぎむら和彦かずひこ

サブサハラ・アフリカで最もっとも成功せいこうしたと言いわれてきた国家こっか的てき潅漑かんがい計画けいかくの歴史れきしと、1990年代ねんだい末まつから始はじまった新あたらしい動うごきを伝つたえる。

ケニアにある国際こくさい昆虫こんちゅう生理せいり生態せいたい学がくセンター（ICIPE）、ナイジェリアにある国際こくさい熱帯ねったい農業のうぎょう研究所けんきゅうじょ（IITA）等とうでアフリカの昆虫こんちゅう研究けんきゅうに従事じゅうじした日本人にっぽんじん研究けんきゅう者しゃが、人ひとびとの健康けんこうや農業のうぎょうに関かかわる昆虫こんちゅう研究けんきゅうの課題かだいを紹介しょうかいする。

アフリカの人ひとびとがラジオ、カセットテープを通とおして親したしんでいるポップスを多数たすう紹介しょうかい。最後さいごに収録しゅうろくされたエイズで亡なくなった大だいスター自身じしんのエイズの恐おそろしさをえがく歌うたが印象いんしょう的てき。

十じゅう代だいでケニア土地とち解放かいほう軍ぐんの闘たたかいに参加さんかし、ケニア独立どくりつ後ごは政治せいじ家かとしても活躍かつやくした女性じょせいの自叙伝じじょでんの前半ぜんはん。後半こうはんの翻訳ほんやくも待またれる。70歳さいを超こえて、ケニア独立どくりつの理念りねんを高たかく掲かかげた政党せいとうを立たち上あげた著者ちょしゃから目めが離はなせない。

イベリンコとガメサ、ケニアの風力ふうりょく発電はつでん所しょ建設けんせつで提携ていけい 2011年ねん01月がつ10日とおか

スペインの電力でんりょく大手おおてイベルドローラグループのエンジニアリング・建設けんせつ部門ぶもんを担になうイベリンコ（Iberdrola Ingenieria）と風力ふうりょくタービン製造せいぞう大手おおてガメサ（Gamesa）による企業きぎょう連合れんごうは、ケニアに出力しゅつりょく13.6メガワットの風力ふうりょく発電はつでん所しょを建設けんせつする。建設けんせつ費ひは2000万まんユーロ。発電はつでん所しょは首都しゅとナイロビ（Nairobi）から約やく30キロ離はなれたンゴング（Ngong）に18ヶ月かげつかけて建設けんせつされる。

ケニア電力でんりょく公社こうしゃ（Kenya Electricity Generating Company）と契約けいやくしたこのプロジェクトには、発電はつでん所しょの設計せっけい、設備せつび資材しざいの供給きょうきゅう、建設けんせつ工事こうじ、試運転しうんてんなどが含ふくまれている。ヌゴング II（Ngong II）と名付なづけられた発電はつでん所しょには、ガメサ社しゃ製せいの風力ふうりょくタービン16基きが用もちいられるという。

イベリンコは2006年ねんからケニアに進出しんしゅつしており、2009年ねんまでにケニア電力でんりょく公社こうしゃの水力すいりょく発電はつでん所しょの自動じどう化かやコントロールセンターの建設けんせつプロジェクトに携たずさわってきた。一方いっぽう、ガメサにとっては初はつのプロジェクトとなり、今回こんかいを機きにケニア国内こくないでの市場いちば開拓かいたくを計画けいかくしている。

アフリカで見みた教育きょういくへの希望きぼうとそれが失うしなわれた日本にっぽん

認識にんしきギャップを埋うめない限かぎり、「就職しゅうしょく難なん」は解消かいしょうしない

2011年ねん1月がつ28日にち　金曜日きんようび 御立みたち 尚なお資し

以前いぜん、ケニアに行いく機会きかいを得えた。国連こくれんのWFP（世界せかい食糧しょくりょう計画けいかく）のお手伝てつだいをしている関係かんけいで、食糧しょくりょう援助えんじょの現場げんばに行いくことになり、ソマリアとの国境こっきょうにある難民なんみんキャンプ、干かんばつが続つづいて家畜かちくを失うしなった遊牧民ゆうぼくみんの仮かり居住きょじゅう地ち、そして首都しゅとナイロビにある世界せかい最大さいだいのスラム、キベラの3カ所かしょを回まわった。

その際さいに感かんじたエイズをはじめとする感染かんせん症しょうの問題もんだいについては、一度いちどこのコラムの前身ぜんしん（関連かんれん記事きじ：アフリカで見みたもの）でも触ふれたので、ご記憶きおくの方ほうもいらっしゃるかもしれない。

今回こんかいは、今いま振ふり返かえってみても、ケニアで見聞みききしたことの中なかで一番いちばんガツンと衝撃しょうげきを受うけたことについて書かいてみたい。極度きょくどの貧困ひんこんや生命せいめいの危機ききに囲かこまれた状況じょうきょうでの、「次世代じせだいの将来しょうらいをつくるもの」への熱情ねつじょうということについてである。

援助えんじょ物資ぶっしよりも教育きょういくを望のぞんだケニアの人々ひとびと

ケニアで回まわった3カ所かしょそれぞれで、同おなじ質問しつもんをしてみた。食糧しょくりょう援助えんじょの現場げんばなので、「食糧しょくりょう以外いがいに、どのような援助えんじょを期待きたいしますか」という内容ないようだ。

日本人にっぽんじんからのこういう質問しつもんに対たいして、もし読者どくしゃの皆みなさんが次つぎのような立場たちばに置おかれていたら、どういう答こたえをすると思おもわれるだろうか。

• 内戦ないせんで国くにを追おわれ、数すう百ひゃくキロメートルにもわたる距離きょりを、ゲリラや強盗ごうとうの襲撃しゅうげきの恐怖きょうふに襲おそわれながら逃にげてきた難民なんみん
• 生活せいかつの糧かてであり、さまざまな文化ぶんかの中核ちゅうかくでもある家畜かちくたちを相次あいつぐ干かんばつですべて失うしなってしまった遊牧民ゆうぼくみん
• エイズで両親りょうしんをなくし、思春期ししゅんきの10代から小学生しょうがくせいまでの4人にんだけで、段だんボールとほんの少すこしの板いた切きれを組くみ合あわせたスラム街がいの家いえで暮くらす子供こどもたち

その場ばにいた私わたしは、大変たいへん恥はずかしながら、「衣類いるいや医薬いやくを欲ほしがるかな、あるいは日本人にっぽんじんということで、何なにか家電かでん製品せいひんが欲ほしいと言いうのだろうか」と浅薄せんばくなことを考かんがえていた。

ところが、返かえってきた答こたえは、3カ所かしょとも同おなじ。何なんと「教育きょういくを援助えんじょしてほしい」というのだ。

難民なんみんキャンプでは、次つぎのような答こたえが返かえってきた。

「自分じぶんたちの国くには、自分じぶんたちの世代せだいではきっと復興ふっこうに至いたらないだろう。ただ、ここにいる子供こどもたち、ここでこれから生うまれてくる子供こどもたちの世代せだいが、平和へいわになった国くにに帰かえれるようになった際さいに、ソマリアの復興ふっこうに役やくに立たち、かつ暮くらし向むきの良よい生活せいかつができるようにしたい」

「ついては、難民なんみんキャンプの中なかでの初等しょとう教育きょういくだけでは不足ふそくなので、中学ちゅうがく、高校こうこうを作つくる、あるいは外そとの学校がっこうに優秀ゆうしゅうな子こだけでも行いけるように奨学しょうがく金きん制度せいどを作つくる、といったことを、是非ぜひお願ねがいしたい」

自みずからは読よみ書かきのできない遊牧民ゆうぼくみんは、次つぎのように語かたった。

「遊牧ゆうぼくをしている限かぎりは、学問がくもんというのはあまり意味いみがあるとは思おもえない。（部族ぶぞくのしきたりや遊牧ゆうぼくの中なかでの伝承でんしょうを通つうじて）必要ひつようなことは自然しぜんと覚おぼえられるから。ただ、村むらに定住ていじゅうするとなると、子供こどもたちは、村むらの子供こどもたち同様どうように、読よみ書かきができ、数字すうじを操あやつれるようにならないと、対等たいとうに暮くらしていくことができない。仮住かりずまいの定住ていじゅう地ちではあるが、何なにとか、小学校しょうがっこうの教育きょういくを提供ていきょうしてもらえるよう助たすけてもらえないか」

スラムに住すむ4人にん兄弟きょうだいの2番目ばんめの男おとこの子こは、中学ちゅうがくレベルの学校がっこうで優秀ゆうしゅうな成績せいせきを上あげているらしいのだが、自分じぶんもエイズに感染かんせんしており、既すでに腹水ふくすいがたまって大おおきくお腹なかがふくれている。

そういう状況じょうきょうで、「自分じぶんは勉強べんきょうが好すきなので、上うえの学校がっこうに行いきたい。そして、キベラ（スラム地区ちく）に住すんでいる、自分じぶんと同おなじような境遇きょうぐうの子供こどもたちを教おしえる教師きょうしになりたい」と夢ゆめを語かたり、はにかみながら、それを助たすけてもらえるとうれしいと答こたえた。

正直しょうじきなところ、私わたし自身じしんには、とても考かんがえが及およばなかったような答こたえが、3回かい続つづけて返かえってきた。

「今こん現在げんざいの飢餓きがすれすれの状況じょうきょうから抜ぬけ出だすのに、食糧しょくりょうを援助えんじょしてくださって本当ほんとうにありがとう。でも、これからのことを考かんがえると、『教育きょういく』を助たすけてもらえることが、もっともありがたい」

要約ようやくしてしまえば、こういうことだろうが、同様どうようの問といを先進せんしん国こくで貧困ひんこんに苦くるしんでおられる方ほうに投なげかけてみたら、どういうふうに返かえってくるだろう。逆ぎゃくに、さまざまな支援しえん活動かつどうに携たずさわる側がわに聞きいてみたら、どうだろうか。

就業しゅうぎょう訓練くんれんの話はなしはきっと出でてくるような気きがするし、何人なんにんかの方ほうは「子供こどもたちの教育きょういく」に触ふれられるだろう。ただ、ケニアで聞きいたような「初等しょとう・中等ちゅうとう教育きょういくさえきちんと受うけられれば、子供こどもたちの将来しょうらいは、きっと今いまより良よいものになるはずだ」という、未来みらいに向むけた強つよい気持きもち、教育きょういくに対たいする深ふかい信念しんねんと熱意ねつい、というものは、同おなじレベルでは返かえってこないような気きがしてならない。

いったん、ちょっと引ひいて考かんがえてみよう。

初等しょとう・中等ちゅうとう教育きょういくが行いきわたり、軽工業けいこうぎょうから少すこしずつ工業こうぎょう化かが始はじまる。それに伴ともなって、工業こうぎょう社会しゃかい型がたの流通りゅうつう業ぎょうやサービス業ぎょうも整備せいびされていく。

社会しゃかい経済けいざい全体ぜんたいの生産せいさん性せいが上あがり始はじめ、ある段階だんかいから労働ろうどう者しゃの賃金ちんぎんも上あがっていき、工業こうぎょう社会しゃかいの勤労きんろう層そうが、中流ちゅうりゅう階級かいきゅうの仲間入なかまいりをし、社会しゃかいの中なかで大おおきな割合わりあいを占しめるようになる。

産業さんぎょう革命かくめい以降いこう、多おおくの国くにの発展はってんは、上記じょうきのようなパターンをたどってきた。

もちろん、国くにの経営けいえいの巧拙こうせつ、資源しげん価格かかくの乱らん高下こうげや戦争せんそうといった大おおきな変化へんか、さらには「地ちの利り」や、恐おそらく「運うん」という存在そんざいもあって、うまくいった国くに、それほどでもない国くに、いろいろとある。だが、大おおきく言いってしまえば、「初等しょとう・中等ちゅうとう教育きょういく充実じゅうじつ→工業こうぎょう化か→中流ちゅうりゅう社会しゃかい形成けいせい」というのが典型てんけいパターンだといってもよいだろう。

ケニアのように、このパターンに入はいりかけている国くに、あるいは昨今さっこん大おおきく伸のびてきている大だい部分ぶぶんの新興しんこう国こくのように、このパターンの真まっ只中ただなかにいる国くに。こういった国くにでは、教育きょういくに対たいする信仰しんこう的てきなまでの信頼しんらいと熱意ねついが、素直すなおかつ自然しぜんに醸成じょうせいされやすい気きがする。1970年代ねんだいぐらいまでの日本にっぽんも同様どうようだったかもしれない。

先進せんしん国こくになると教育きょういくが成長せいちょうに直結ちょっけつしなくなる

ところが、１人ひとり当あたりGDPが3 万まんドル（約やく246万まん円えん）あたりを超こえ、いわゆる先進せんしん国こくの仲間入なかまいりをした後のちは、事ことはそう単純たんじゅんではない。初等しょとう・中等ちゅうとう教育きょういくの義務ぎむ化かは何なん年ねんも前まえに終おわっており、また、生活せいかつレベルを向上こうじょうさせ、国くにを発展はってんさせるということと、教育きょういく投資とうしをすることとが、目めに見みえるような形かたちでリンクしにくくなる。

イノベーションを生うみ、企業きぎょう競争きょうそう力りょくを上あげるうえで、高等こうとう教育きょういくの重要じゅうよう性せいが高たかまってくるが、一方いっぽうで、中流ちゅうりゅう社会しゃかいの中なかでの進学しんがくブームは、高等こうとう教育きょういく自体じたいをマス化かしてしまう。

大学だいがく卒そつの希少きしょう性せいが次第しだいに失うしなわれ、また、（大学だいがく教育きょういくが企業きぎょうニーズに合あわせる形かたちでよほどの自己じこ変革へんかくを行おこなわない限かぎり）大学卒だいがくそつというだけでは、過去かこには大学卒だいがくそつだから就つくことができていた職種しょくしゅに就つけなくなってくる。

今いま、日本にっぽんで起おこっていることは、こういった工業こうぎょう化か・中流ちゅうりゅう化かを数すう十じゅう年ねん前まえに達成たっせいしてしまった国くにならではの、さまざまなミスマッチの顕在けんざい化かだろうと思おもえる。

これが最もっとも顕著けんちょに表あらわれているのが、現在げんざいの大学生だいがくせいの「就職しゅうしょく難なん」だと思おもう。就職しゅうしょく氷河期ひょうがき論ろんが叫さけばれて久ひさしいし、実際じっさいに正社員せいしゃいんの職しょくに就つけない大卒だいそつ者しゃも多数たすう存在そんざいして、社会しゃかい問題もんだい化かしていることはご存知ぞんじの通とおりである。

文部もんぶ科学かがく省しょうの学校がっこう基本きほん調査ちょうさを見みると、大学だいがく卒業そつぎょう者しゃの就職しゅうしょく率りつは、いわゆる失うしなわれた20年ねんの間あいだに、大おおきく低下ていかしている。

しかし、気きをつけて見みてみると、同おなじ期間きかんの大学だいがく卒業そつぎょう者しゃ数すうは、大おおきく増加ぞうかしていることに気きづかされる。

この2つの数字すうじを掛かけ算ざんしてみれば明あきらかなのだが、この間あいだの大卒だいそつ就職しゅうしょく者しゃ数すうは30万まん人にん台だいで増減ぞうげんしているものの、実じつは大おおきな変化へんかを見みせていない。

確たしかに、年としによって「大卒だいそつ採用さいよう数すう」あるいは「大卒だいそつ募集ぼしゅう数すう」はある程度ていど変化へんかする（従したがって、卒業そつぎょう年ねんによる運うん不運ふうんは一定いってい程度ていど存在そんざいする）ものの、そのこと自体じたいよりも、1990年ねんから2005年ねんまでの間あいだに、大学だいがく卒業そつぎょう者しゃ数すうが15万まん人にん、3割わり以上いじょうも増ふえたことの方ほうが、就職しゅうしょく難なんにより大おおきなインパクトを与あたえているといってもよいだろう。

少子化しょうしかと言いわれつつも、大学だいがくの定員ていいん大幅おおはば増ぞう、進学しんがく率りつの高たかまりから、大学だいがく卒業そつぎょう者しゃ数すうが増ふえ続つづけた。このため、求職きゅうしょく者しゃ数すうと採用さいよう者しゃ数すうのミスマッチが起おこっているのだ。

さらに、卒業生そつぎょうせい本人ほんにんも、その親おやも、過去かこの大卒だいそつ者しゃの就職しゅうしょく先さき・職種しょくしゅのイメージを引ひきずり、大だい企業きぎょうのホワイトカラー中心ちゅうしんの就職しゅうしょくを当然とうぜん視ししている可能かのう性せいが高たかく、それがパーセプション（認識にんしき）上じょうのミスマッチを引ひき起おこしていそうだ。

リクルートワークス研究所けんきゅうじょの調査ちょうさによれば、2011年ねん3月がつ卒そつの大学生だいがくせいに対たいする民間みんかん企業きぎょうの求人きゅうじん総数そうすうは、58万まん2000人にん。これに対たいして、民間みんかん企業きぎょうへの就職しゅうしょく希望きぼう者しゃは、45万まん6000人にん。求人きゅうじん総数そうすうの方ほうが求職きゅうしょく者しゃよりも多おおいらしい。

一方いっぽう、企業きぎょうの規模きぼ別べつの求人きゅうじん倍率ばいりつを見みてみると、従業じゅうぎょう員いん数すう5000人にん以上いじょうの大だい企業きぎょうでは0.47、1000人にん以上いじょうでは0.63と、求職きゅうしょく者しゃ数すうの方ほうが上回うわまわる狭せまき門もんなのだが、300人にん未満みまんの中小ちゅうしょう企業きぎょうでは、これが4.41となり、圧倒的あっとうてきな売うり手て市場いちばになる。

大卒だいそつ者しゃが、企業きぎょう規模きぼや職種しょくしゅにこだわらず、中小ちゅうしょう企業きぎょうも含ふくめて、職しょくを求もとめれば、全体ぜんたいとしては、募集ぼしゅう人数にんずうの方ほうが卒業生そつぎょうせいより多おおい。にもかかわらず、皆みなが限かぎられた大だい企業きぎょうを志望しぼうするため、就職しゅうしょく難なんが起おこっているということだろう。

大変たいへんドライな物言ものいいになってしまって恐縮きょうしゅくだが、親おやの世代せだいと同おなじ感覚かんかくで、「大卒だいそつの就職しゅうしょくは、大だい企業きぎょうのホワイトカラー」という思おもい込こみがある限かぎり、景気けいきの良よし悪あしにかかわらず、現在げんざいのような「就職しゅうしょく難なん」は解消かいしょうしない。

大卒だいそつ者しゃ全般ぜんぱんを取とってみれば、中小ちゅうしょう企業きぎょうや現場げんばの仕事しごとも含ふくめて、もう少すこし幅広はばひろくキャリア形成けいせいを考かんがえていかない限かぎり、出口いでぐちがないのではなかろうか。

もっと言いえば、これは大学生だいがくせいの側がわだけでなく、企業きぎょうの側がわにも、パーセプションギャップ解消かいしょうの責任せきにんがあるように思おもえる。人口じんこう減少げんしょう、デフレ経済けいざいという状況じょうきょうの中なかでも、従来じゅうらい型がたの大卒だいそつ求人きゅうじんは何なにとか同どう程度ていど続つづけてきているものの、どこかではっきりと「従来じゅうらいのような大学だいがくを出でた新卒しんそつの仕事しごと、というだけでは、大だい部分ぶぶんの大学だいがく卒業そつぎょう者しゃに職しょくを提供ていきょうすることはできない」ということを率直そっちょくに伝つたえることが必要ひつようだろう。

企業きぎょうはほしい人材じんざいについて本音ほんねを語かたるべき

これは、単純たんじゅんに、「現在げんざいの大卒だいそつの多おおくは、過去かこの高卒こうそつ者しゃの仕事しごとについてもらうしかない」ということではない。これからグローバル展開てんかいの度合どあいをさらに強つよめていく多おおくの企業きぎょうは、海外かいがい人材じんざいをどんどん採用さいようしていくことになろう。しかし、必要ひつような能力のうりょくを有ゆうする日本人にっぽんじん大学だいがく卒業そつぎょう者しゃがもっと多おおく出でてくれば、彼かれら、彼女かのじょらを（日本人にっぽんじんの採用さいよう数すうを増ふやしても）採用さいようする企業きぎょうは数多かずおおいはずだ。

例たとえば、議論ぎろんしてみると、本音ほんねでは次つぎのように思おもっている企業きぎょうがいくつも存在そんざいする。

「新興しんこう国こくへの事業じぎょう拡大かくだい、あるいはイノベーション拡充かくじゅうによって、企業きぎょうの成長せいちょう、そして日本人にっぽんじんの雇用こよう維持いじは可能かのうである。逆説ぎゃくせつ的てきに言いえば、こういう方法ほうほうでしか、日本にっぽんの経済けいざいと社会しゃかいを元気げんきにしていくやり方かたはない」

「従したがって、学歴がくれきにかかわらず、異い文化ぶんか・言語げんごについて深ふかく学まなんだ人材じんざい、あるいは異い分野ぶんやの人ひととチームで働はたらきイノベーションに貢献こうけんできる人材じんざいを強つよく求もとめるので、それに向むけて、（大学だいがく在学ざいがく中ちゅうに）自みずからを鍛きたえてきてほしい」

「教育きょういくによって、自みずからの生活せいかつを向上こうじょうし、さらにより良よい社会しゃかい・国くにづくりにも役立やくだつ」という熱気ねっきを取とり戻もどすためにも、企業きぎょう側がわはこういった本音ほんねを語かたっていき、大学だいがく教育きょういく、そして大学生だいがくせいの自みずからのキャリア設計せっけいを進化しんかさせていく手助てだすけをすることも不可欠ふかけつだと考かんがえる。

ケニアやその他たの新興しんこう国こくの「教育きょういく」信仰しんこうは、一いち面めんうらやましいところがある。しかし、彼かれらから見みれば、もっとうらやましいレベルまで社会しゃかい・経済けいざいを進歩しんぽさせてきた我々われわれは、現在げんざいの日本にっぽんおよび日本にっぽん企業きぎょうのニーズに応おうじた形かたちで、新あらたな「より良よい社会しゃかいづくりにつながる教育きょういくへの熱意ねつい」を、意思いしをもって構築こうちくしていく時期じきにある。

「昔むかしは良よかった」とか「最近さいきんの大学生だいがくせいは…」といった出口でぐちのない堂々巡どうどうめぐりの教育きょういく論ろんが目立めだつけれども、もっと前向まえむきの「新あたらしい日本にっぽんの教育きょういく論ろん」を戦たたかわせ、そして何なによりも、学まなぶ内容ないよう、自みずからのパーセプションの両面りょうめんのギャップから、暗くらい気持きもちになりがちな学生がくせいの皆みなさんを元気げんきづけていく方ほうが、建設けんせつ的てきだと思おもっている。

読者どくしゃの皆みなさんは、どうお考かんがえになるだろうか？

御立みたち尚なお資しの帰かえってきた「経営けいえいレンズ箱ばこ」

コンサルタントは様々さまざまな「レンズ」を通とおして経営けいえいを見みつめています。レンズは使つかい方かた次第しだいで、経営けいえいの現状げんじょうや課題かだいを思おもいもよらない姿すがたで浮うかび上あがらせてくれます。いつもは仕事しごとの中なかで、レンズを覗のぞきながら、ぶつぶつとつぶやいているだけですが、ひょっとしたら、こうしたレンズを面白おもしろがってくれる人ひとがいるかもしれません。 【「経営けいえいレンズ箱ばこ」】2006年ねん6月がつ29日にち〜2009年ねん7月がつ31日にちまで連載れんさい

御立みたち 尚なお資し（みたち・たかし）

ボストン コンサルティング グループ日本にっぽん代表だいひょう。京都きょうと大学だいがく文学部ぶんがくぶ卒そつ。米べいハーバード大学だいがく経営けいえい学修がくしゅう士し(MBA with High Distinction)。日本航空にほんこうくうを経へて現在げんざいに至いたる。様々さまざまな業界ぎょうかいに対たいし、事業じぎょう戦略せんりゃく、グループ経営けいえい、M＆A（合併がっぺい・買収ばいしゅう）などの戦略せんりゃく策定さくてい、実行じっこう支援しえん、経営けいえい人材じんざい育成いくせい、組織そしき能力のうりょく向上こうじょうなどのプロジェクトを数多かずおおく手てがけている。著書ちょしょに『戦略せんりゃく「脳のう」を鍛きたえる』（東洋経済新報社とうようけいざいしんぽうしゃ、2003年ねん）、『使つかう力ちから』（PHP研究所けんきゅうじょ、2006年ねん）、『経営けいえい思考しこうの「補助ほじょ線せん」』（日本経済新聞にほんけいざいしんぶん出版しゅっぱん社しゃ、2009年ねん）など。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20110126/218154/?ST=print

緑みどりのＭＯＴＴＡＩＮＡＩ：ケニア西部せいぶに２５万まん本ほん植林しょくりん

アフリカ・ケニア西部せいぶのキエニ地区ちくの約やく１３００平方へいほうキロメートルに約やく２５万まん本ほんが植林しょくりんされた。毎日新聞社まいにちしんぶんしゃが昨年さくねん取とり組くんだ「緑みどりのＭＯＴＴＡＩＮＡＩ」プロジェクトの成果せいかで、住民じゅうみんが非常ひじょうに熱心ねっしんに取とり組くんだほか、当初とうしょ計画けいかくを上回うわまわる寄付きふが寄よせられた効果こうかという。

プロジェクトは０９年ねん４月がつに始はじまった。毎日新聞社まいにちしんぶんしゃ、伊藤忠商事いとうちゅうしょうじが中心ちゅうしんとなって資源しげん循環じゅんかん型がた社会しゃかいの構築こうちくを目指めざす「ＭＯＴＴＡＩＮＡＩキャンペーン」の一環いっかんとして、ノーベル平和へいわ賞しょうを受賞じゅしょうしたワンガリ・マータイさんらの植林しょくりん活動かつどうを寄付きふなどで支援しえんしている。

当初とうしょ、０９年ねんからの３年間ねんかんに２０００万まん円えんを集あつめ２０万まん本ほんを植林しょくりんする計画けいかくだったが、すでに４０００万まん円えんが集あつまり２４万まん８９６１本ほんを植林しょくりんした。

また、シンポジウム開催かいさいを通とおして、森林しんりん保全ほぜんが水源すいげんを確保かくほし農業のうぎょうに好影響こうえいきょうを与あたえるということが住民じゅうみんに浸透しんとう。樹木じゅもくの管理かんりも徹底てっていさせた。１１年ねんはさらに１５万まん本ほんを植林しょくりんする。現地げんちでの植林しょくりんの様子ようすはホームページ（http://www.mottainai.info/)で見みられる。【山本やまもと建けん】

毎日新聞まいにちしんぶん　2011年ねん2月がつ21日にち　東京とうきょう朝刊ちょうかん

オーストラリア市場いちばレポート　2011年ねん2月がつ25日にち： Base Resources (ASX:BSE) がケニア Kwale 鉱物こうぶつ砂すなプロジェクトにおける資源しげん量りょう717万まんトン増ぞうを発表はっぴょう

Sydney, 2011年ねん2月がつ25日にち, (ABN Newswire) - Base Resources Limited (ASX:BSE) はケニア Kwale 鉱物こうぶつ砂すなプロジェクトに対たいする更新こうしん版ばん JORC 規格きかく推定すいてい資源しげん量りょうを発表はっぴょうした。重じゅう鉱物こうぶつ計けい4.89%での合計ごうけい1億おく4,600万まんトンに対たいする中央ちゅうおう・南みなみ砂丘さきゅうでの測定そくてい済ずみ・表示ひょうじ済ずみ資源しげん量りょうにおいて717万まんトンの増加ぞうかとなっている。同どう資源しげん量りょうの59%が現在げんざい「測定そくてい済ずみ」カテゴリーである。同どうプロジェクトでは2013年ねんの生産せいさん開始かいしが見込みこまれている。

Liquefied Natural Gas Limited (ASX:LNG) は、 Callide インフラ回廊かいろう地帯ちたいから Gladstone 港みなとにある同社どうしゃ完全かんぜん保有ほゆうの液化えきか天然てんねんガス (LNG) プロジェクトへの21kmガスパイプラインを同社どうしゃの完全かんぜん子会社こがいしゃ Gladstone LNG Pty Ltd が建設けんせつすることに対たいし、クイーンズランド州しゅう環境かんきょう・資源しげん管理かんり局きょくから環境かんきょう承認しょうにんを取得しゅとくした。このパイプラインは初期しょきにおいて、年間ねんかん300万まんトン規模きぼの LNG プロジェクトへ180 PJ/year の供給きょうきゅうが可能かのうとなる予定よていである。