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科学技術社会論研究会
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科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろん研究けんきゅうかい

http://www.forumsts.org/

2004  2005  2006  2007 



Date: Fri, 05 Dec 2003 00:46:50 +0900
Subject: 「科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろん研究けんきゅうかい参加さんかりました

皆様みなさま

さきにおらせしました以下いか研究けんきゅうかい、すでに事前じぜん参加さんか登録とうろくをいただいた
方々かたがた定員ていいんたっしています。
予定よていほうには大変たいへんもうわけありませんが、参加さんかりましたので、
しからず、おねがいいたします。
事前じぜん参加さんか登録とうろくをいただいたほうには、一両日いちりょうじつちゅうに、討議とうぎ資料しりょうをおおくりいたし
ます。事前じぜん検討けんとうのうえご参加さんかください。
いそぎ、おらせいたします。
事務じむきょく

Date: Fri, 14 Nov 2003 03:02:46 +0900
From: "NAKAMURA, Masaki"
Subject: だい37かい科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろん研究けんきゅうかいのご案内あんない

皆様みなさま

科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろん研究けんきゅうかい」では、る2003ねん12月13にち(土)に、
以下いかのワークショップをおこないます。
関心かんしんをおちのほうにご案内あんないいたします。

準備じゅんび都合つごうじょう参加さんかほうはお手数てすうでも、10日とおかまえまでに下記かき事務じむきょく
(担当たんとう中村なかむら)までそのむね連絡れんらくねがいます。かいの1週間しゅうかんまえには、発表はっぴょう
がいなどの資料しりょうをおおくりします。定員ていいんがあります。ご承知しょうちおきくだ
さい。
また、終了しゅうりょうどう会場かいじょう簡単かんたん懇親こんしんかい(会費かいひやく1000えん)があります。
研究けんきゅう交流こうりゅうふかめられたらとおもいます。参加さんかほうはこのてん10日とおかまえ
までにおらせください。

この案内あんないは、転送てんそう自由じゆうですので、ご関心かんしんきにおらせください。

事務じむきょくでは、随時ずいじ研究けんきゅうかい企画きかく提案ていあんけています。
くわしくは、ご相談そうだんください。

事務じむきょく

今回こんかい研究けんきゅうかいについては、諸般しょはん事情じじょうにより、木原きはらにかわりまして
中村なかむら連絡れんらくをつとめさせていただいております。
参加さんかもうみなどは中村なかむら(E-mail : nakamura.masaki@nifty.ne.jp)まで
連絡れんらくよろしくおねがいいたします。


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             だい37かい科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろん研究けんきゅうかい
  
ワークショップ「生命せいめい倫理りんり政治せいじがく
             2003ねん12月13にち(土) 9:45-17:30
         東京大学とうきょうだいがく先端せんたん科学かがく技術ぎじゅつ研究けんきゅうセンター13号館ごうかん 109号室ごうしつ


1.ワークショップの目的もくてき
脳死のうし臓器ぞうき移植いしょく生殖せいしょく技術ぎじゅつ、クローン技術ぎじゅつ…、日本にっぽんにおいて先端せんたん医療いりょう技術ぎじゅつ導入どうにゅうは、
そのつど論争ろんそうたたかわされながらも、かみった論争ろんそうとはなりえず結局けっきょく是認ぜにんされる、
という歴史れきしかえしてきた。そして、今後こんごかえしてゆく蓋然性がいぜんせいたかいだろう。
それはなぜか。また、かかる論争ろんそう過程かていにおいて、生命せいめい倫理りんりがくはいかなる立場たちばからど
のような役割やくわりたしてきたのか。さらには、政府せいふ省庁しょうちょう当該とうがい研究けんきゅうしゃ医者いしゃ・患
もの男性だんせい女性じょせい、マスコミ・ミニコミ、各種かくしゅ市民しみん団体だんたい、アカデミズム…、これら
々の存在そんざいとその連鎖れんさてき関係かんけい論争ろんそう導入どうにゅうじょうきょうたいしていかに機能きのうしてきたのか。
こうした分析ぶんせきはきわめて重要じゅうよう課題かだいであるようにおもわれるにもかかわらず、これま
主題しゅだいてきかえりみられることはほとんどなかった。
そこで、ほんワークショップでは、このダイナミックな問題もんだいけい分析ぶんせきいどんでみたい
おもう。具体ぐたいてきには、『操作そうさされる生命せいめい』をあらわしてこのたね分析ぶんせき先陣せんじんったはやし
真理しんり脳死のうし臓器ぞうき移植いしょくを、理論りろん実践じっせん両面りょうめんからとく生殖せいしょく技術ぎじゅつ問題もんだいかかわってき
玉井たまい真理子まりこ出生しゅっしょうぜん診断しんだんを、政府せいふ省庁しょうちょうのいくつかの生命せいめい倫理りんり委員いいんかい皆勤かいきんで睥
ねめしてきたとわれるかゆかわじゅんがクローン技術ぎじゅつを、それぞれ担当たんとうし、そのうえでアカ
デミズムのがわから市野川いちのかわようこうが、また在野ざいやがわから福本ふくもと英子えいこが、3にん批判ひはんてき検討けんとう
をさらにメタ批判ひはんする。司会しかい進行しんこうやく小松こまつ美彦よしひこつとめる。
以上いじょうのような作業さぎょうつうじて、先端せんたん医療いりょうをめぐる論争ろんそう政治せいじてききなどを歴史れきしてき
総括そうかつし、あらたな生命せいめい倫理りんりがく)の可能かのうせい議論ぎろん地平ちへい模索もさくしたい。蛇足だそくながら
ほんワークショップで論議ろんぎ主要しゅよう対象たいしょうとなるのは、かく先端せんたん医療いりょうとその導入どうにゅう是非ぜひでは
なく、導入どうにゅう帰着きちゃくしがちな論争ろんそう歴史れきし構造こうぞうである。


2. ワークショップの時間割じかんわり

9:45-10:00  ワークショップ主旨しゅし説明せつめい  小松こまつ美彦よしひこ東京とうきょう海洋かいよう大学だいがく
10:00-11:15 話題わだい提供ていきょう1 (討議とうぎ25ふんふくむ・以下いかどう)
    はやし真理まり工学院大学こうがくいんだいがく
      「生命せいめい倫理りんり歴史れきしがくけて−日本にっぽんにおける脳死のうし移植いしょく問題もんだいれいに」

ある技術ぎじゅつが、ある社会しゃかいにおいて成立せいりつするかどうか、あるいはどのようなかたち成立せいりつする
かは、その社会しゃかい様々さまざま条件じょうけん要素ようそ依存いぞんしているとかんがえられる。そういった条件じょうけんとは、
技術ぎじゅつ開発かいはつ維持いじ改善かいぜんしていく体制たいせいだけでなく、技術ぎじゅつたいする人々ひとびと期待きたい希望きぼう
技術ぎじゅつ使用しよう正当せいとうする手続てつづきといったものもふくまれる。そしてさらに、近年きんねん重要じゅうようせい
してきているのは、技術ぎじゅつとその使用しようかんする倫理りんりてき(といわれる)解釈かいしゃくである。
ほん報告ほうこくでは、日本にっぽんにおいて脳死のうし移植いしょくが(限定げんていてきにではあるが)れられていった
過程かていい、(受容じゅよう是非ぜひについてかんがえる以前いぜんに)どのようなかたち受容じゅようがなされてい
るのかということを考察こうさつしたい。とりわけ、生命せいめい倫理りんりがくてきわれる言説げんせつがどのよう
機能きのうたしたか、あるいはたしうるのかということをかんがえたい。また倫理りんりてきげん
せつや、倫理りんりてき言説げんせつにな人材じんざいおよび組織そしきがどのようにして誕生たんじょうし、また技術ぎじゅつ展開てんかい
なかまれるようになっていったかという問題もんだい関心かんしん提起ていきしたい。
生命せいめい倫理りんり世界せかいでは、いまでもヒトはい研究けんきゅう治療ちりょうクローンなどあらたな課題かだい次々つぎつぎ
かけられており、そういったあたらしい問題もんだい対応たいおうする作業さぎょう非常ひじょう重要じゅうようである。しかし
過去かこかえることにも意味いみがあるとかんがえる。ほん報告ほうこくは、1980年代ねんだい以降いこうにおける脳死のうし
移植いしょく技術ぎじゅつ生命せいめい倫理りんり歴史れきし反省はんせいてきとらえることをつうじて、生命せいめい倫理りんり歴史れきしがく提案ていあん
する。

11:15-12:30 話題わだい提供ていきょう2 
    玉井たまい真理子まりこ信州大学しんしゅうだいがく
      「出生しゅっしょうぜん診断しんだん歴史れきしてき現状げんじょう課題かだい
 
生殖せいしょく技術ぎじゅつ社会しゃかいとの関係かんけいを、単純たんじゅんしすぎるという批判ひはん覚悟かくごであえて図式ずしきてきあらわせば、
まないための生殖せいしょく技術ぎじゅつ」として「中絶ちゅうぜつ」が問題もんだいになった1970年代ねんだい、「むためのせい
ふえ技術ぎじゅつ」として「にん治療ちりょう」が問題もんだいになった1980年代ねんだい、そして、「えらんでむ/まな
いための生殖せいしょく技術ぎじゅつ」として「出生しゅっしょうぜん診断しんだん」が問題もんだいになった1990年代ねんだい、というふうに、とき
だいえがくことができるかもしれない。遺伝いでん医療いりょう現場げんばで、出生しゅっしょうぜん診断しんだん希望きぼうする(ある
いはまよっている)女性じょせいたちとのいをとおしてかんがえたことを、具体ぐたいてきなかたちで提示ていじ
したい。参加さんかしゃは、つぎしめすURLの拙稿せっこうかならんでしい。
http://square.umin.ac.jp/~mtamai/gene_info.htm
http://square.umin.ac.jp/~mtamai/PND030201.htm


12:30-13:30    昼食ちゅうしょく


13:30-14:45  話題わだい提供ていきょう3 
    かゆかわじゅん(フリーランスライター)
      「クローン技術ぎじゅつ科学かがく政治せいじ

クローン技術ぎじゅつというと、マスメディアや人文じんぶん社会しゃかいけいアカデミズムでは、「クローン人間にんげん
注意ちゅういあつまりがちである。しかし、クローン人間にんげん問題もんだいは、クローン技術ぎじゅつがはらむとい
だい一部いちぶにしかぎない。したがってクローン技術ぎじゅつをめぐる議論ぎろん残念ざんねんながら未熟みじゅくとい
わざるをえない。ほん発表はっぴょうでは、クローン技術ぎじゅつをめぐる政策せいさく決定けってい過程かてい批判ひはんてきかえりみると
同時どうじに、クローン技術ぎじゅつ研究けんきゅう現状げんじょう冷静れいせい見直みなおすことにより、先端せんたん医療いりょう現代げんだい総括そうかつ
するための材料ざいりょう提供ていきょうする。まずクローン技術ぎじゅつ概略がいりゃく、とりわけ再生さいせい医療いりょうとの関係かんけいせつ
あかりする。つぎ政府せいふ文部もんぶ科学かがくしょう内閣ないかく)の審議しんぎかいにおける議論ぎろん経過けいかと、その結果けっか
ある規制きせい内容ないよう法律ほうりつ指針ししん)を説明せつめいする。ここで方向ほうこうえ、クローン技術ぎじゅつ研究けんきゅうげん
じょう、とくにセラピューティク・クローニングのそれをいち資料しりょうをもとに冷静れいせい見直みなおす。
最後さいごに、科学かがく政治せいじ、マスメディアにたいする、発表はっぴょうしゃなりの問題もんだい提起ていきこころみる。なおまえ
もって、拙著せっちょ『クローン人間にんげん』(光文社こうぶんしゃ新書しんしょ)をおみいただけると、発表はっぴょうしゃとしては
さいわいである。

14:45-15:00    休憩きゅうけい

15:00-15:30 レスポンス1 福本ふくもと英子えいこ(ライター)
15:30-16:00  レスポンス2 市野川いちのかわようこう東京大学とうきょうだいがく

16:00-16:15     休憩きゅうけい

16:15-17:30 総合そうごう討議とうぎ 
    司会しかい 小松こまつ美彦よしひこ東京とうきょう海洋かいよう大学だいがく


17:30-18:30    懇親こんしんかい  

なお、会場かいじょうへのアクセスは以下いかのようになっております。
  ・小田急おだきゅうせん千代田ちよだせん東北沢ひがしきたざわえきより徒歩とほ7ふん・「代々木上原よよぎうえはらえきより徒歩とほ12ふん
 *「東北沢ひがしきたざわ」は小田急おだきゅうせん各駅かくえき停車ていしゃのみまります。
頭線かしらせん駒場東こまばひがし大前おおまええき、または「いけうええきより徒歩とほ10ふん
 *りょうえきとも急行きゅうこうまりません。
えきからの地図ちずなどくわしくはつぎをごらんください。
   http://www.rcast.u-tokyo.ac.jp/map/map-j.html

科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろん研究けんきゅうかい事務じむきょく  
国士舘大学こくしかんだいがく木原きはら英逸えいいつ  
東京大学とうきょうだいがく中村なかむらただしじゅ参加さんか受付うけつけ) nakamura.masaki@nifty.ne.jp
以上いじょう

 
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Date: Fri, 03 Oct 2003 19:36:55 +0900
From: Hidetoshi KIHARA <kihara@pem.kokushikan.ac.jp>
Subject: だい36かい科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろん研究けんきゅうかい」のおらせ

皆様みなさま

科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろん研究けんきゅうかい」では、る2003ねん11月1にち(土)に、
以下いかのワークショップをおこないます。
関心かんしんをおちのほうにご案内あんないいたします。

準備じゅんび都合つごうじょう参加さんかほうはお手数てすうでも、10日とおかまえまでに下記かき事務じむきょく
までそのむね連絡れんらくねがいます。かいの1週間しゅうかんまえには、発表はっぴょう梗概こうがいなどの
資料しりょうをおおくりします。
また、終了しゅうりょうどう会場かいじょう簡単かんたん懇親こんしんかい(会費かいひやく1000えん)があります。
研究けんきゅう交流こうりゅうふかめられたらとおもいます。参加さんかほうはこのてん10日とおかまえ
までにおらせください。

この案内あんないは、転送てんそう自由じゆうですので、ご関心かんしんきにおらせください。

事務じむきょくでは、随時ずいじ研究けんきゅうかい企画きかく提案ていあんけています。
くわしくは、ご相談そうだんください。
事務じむきょく

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             だい36かい科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろん研究けんきゅうかい

ワークショップ「公共こうきょう技術ぎじゅつのガバナンス:理論りろん事例じれい分析ぶんせき
             2003ねん11月1にち(土) 10:00-18:30
         東京大学とうきょうだいがく先端せんたん科学かがく技術ぎじゅつ研究けんきゅうセンター13号館ごうかん 109号室ごうしつ


1.ワークショップの目的もくてき

ほんワークショップは以下いかのような問題もんだい意識いしきにもとづいている。
1)1999ねんのJCO事故じこ雪印ゆきじるし食中毒しょくちゅうどく、2001ねん狂牛病きょきょうぎゅうびょう発生はっせい薬害やくがいエイズ裁判さいばんなど、
科学かがく社会しゃかい接点せってんにおいて発生はっせいする問題もんだいがあとをたたない。それらは環境かんきょう医療いりょう
食糧しょくりょうなど多岐たきわたっているが、そこによこたわる本質ほんしつてき問題もんだいには同型どうけいせいがあるの
ではないか。
2)この同型どうけいせいをきちんと知識ちしきとして蓄積ちくせきしていないために、いつもプリミティ
ブな論議ろんぎが、事故じこ事件じけんがおこった直後ちょくごにのみ、マスコミをさわがせるのではない
か。
3)そうではなく、これらの知見ちけん議論ぎろんかさねを「蓄積ちくせき」し、今後こんご問題もんだい
解析かいせきかすためにはなにができるだろうか。

このような問題もんだい意識いしき裏付うらづけされ、その同型どうけいせいをどのように理論りろん構築こうちく可能かのうか、を
うことがほんワークショップの目的もくてきである。
このような同型どうけいせい議論ぎろんすることは、環境かんきょう医療いりょう食糧しょくりょうとう分野ぶんやごとのちがいを明記めいき
するのとおなじくらい重要じゅうようなことである。何故なぜなら、同型どうけいせいしるすことによって、
STS(科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろん)はSTSとしての独自どくじせい(独自どくじ分野ぶんやとして探求たんきゅう必要ひつよう領域りょういきとし
ての存在そんざい理由りゆう)をしめすことができるからである。ここでほかとは、市民しみん自然しぜん
がく専門せんもん、そして行政ぎょうせい担当たんとうかんである。

我々われわれは、この同型どうけいせい議論ぎろんするために、科学かがく社会しゃかい接点せってんにおいて発生はっせいするしょとい
だいかたるときのコンセプト(分析ぶんせき視点してん)と、かく事例じれいとの対応たいおう議論ぎろんしてきた。たとえ
分析ぶんせき枠組わくぐみについては、メンバあいだによるブレーンストーミング、4S(国際こくさい科学かがくわざ
じゅつ社会しゃかいろん学会がっかい)へんのハンドブックの輪読りんどくとおして、検討けんとうしてきた。たとえば、「テク
ノグローバリズム(グローバリゼーション)」「科学かがく民主みんしゅ主義しゅぎ」「ガバナンス」
公共こうきょう空間くうかん」/「確実かくじつせい意志いし決定けってい」「予防よぼう原則げんそく」「リスク管理かんり」/「市民しみんさん
」「ローカルノレッジ」/「科学かがくコミュニケーション」「科学かがく公共こうきょう理解りかい」など
項目こうもくげられる。(これらのおおきな分析ぶんせき視点してんたいし、ちゅう程度ていど分析ぶんせき概念がいねん(コンセ
プト)もある。たとえば、フレーミング、認知にんちてき文化ぶんか(Epistemic-Culture)、状況じょうきょう
そんせい(Situated-Knowledge)、境界きょうかい作業さぎょう(Boundary-Work)、トランスサイエンスなど)

ほんワークショップのふたつの理論りろんへん(報告ほうこく1,2)では、これらの大枠おおわく分析ぶんせき枠組わくぐみを
どのようにとらえたらよいのかについて検討けんとうする。小林こばやし報告ほうこくでは「科学かがく民主みんしゅ主義しゅぎ
とらかたかんがえ、木原きはら報告ほうこくは、「グローバリゼーション」したの「ガバナンス」をこう
えることと、「市民しみん参加さんか」をつなげてとらえる。
つづみっつの事例じれいへんでは、まず杉山すぎやま報告ほうこく水俣病みなまたびょう事例じれいにおいて、上記じょうきコンセプトのう
ち、「確実かくじつせい意志いし決定けってい」「予防よぼう原則げんそく」「リスク管理かんり」「科学かがくコミュニケーシ
ョン」といった分析ぶんせき視点してんあつかわれる。つづかじ報告ほうこくによるイタイイタイ病いたいいたいびょう事例じれいでは、
上記じょうき分析ぶんせき視点してんのうち、水俣みなまた事例じれい同型どうけい分析ぶんせき視点してん必要ひつようとされるほか、何故なぜ、イタ
イイタイびょうでは現地げんち専門せんもん企業きぎょうとの連携れんけい可能かのうとなったのか、という分析ぶんせきつう
して、「公共こうきょう空間くうかん」「ガバナンス」「科学かがく民主みんしゅ主義しゅぎ」「市民しみん参加さんか」といったこと
が、さらに議論ぎろんされうるだろう。
さらに、狂牛病きょきょうぎゅうびょう事例じれいでは、「確実かくじつせい意志いし決定けってい」「予防よぼう原則げんそく」「リスク管理かんり
典型てんけいとなる事例じれいになるだけでなく、この事例じれい日本にっぽんだけでなく世界せかいにつながると
いう意味いみで、食糧しょくりょう健康けんこう問題もんだいの「グローバリゼーション」「ガバナンス」ともかか
わってくる。
ほんワークショップでは、このような分析ぶんせき視点してん同型どうけいせい問題もんだい意識いしき素描そびょうおこないなが
ら、参加さんかしゃのみなさんとともに、このコンセプト×事例じれい同型どうけいせい議論ぎろん発展はってん可能かのう
せいさぐってみたいとかんがえている。



2. ワークショップの時間割じかんわり

10:00-10:30 プロジェクトの概略がいりゃく ふじかき裕子ゆうこ (東京大学とうきょうだいがく)

10:30-11:30 話題わだい提供ていきょう1・理論りろんへん1 (討議とうぎ20ふんふくむ・以下いかどう)

    小林こばやしつたえ (南山大学なんざんだいがく)
      「テクノデモクラシー(科学かがく民主みんしゅ主義しゅぎ)」

1960年代ねんだい後半こうはんのSTS(科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろんげに関与かんよしたDavid Edgeは1995ねん
段階だんかいで、その歴史れきしかえり、現在げんざいは「車輪しゃりんさい発明はつめい」のように、社会しゃかいふたたびSTSてき
問題もんだい関心かんしんたかめているとべている。なぜ、1960年代ねんだいにSTSががり、なぜ
1990年代ねんだいになってあらためて注目ちゅうもくされるようになったのか、をかんがえたい。そのうえで、
STSはなぜ30年間ねんかん認知にんちされなかったのか、90年代ねんだい以降いこうのSTSがどのような変化へんかしめして
いるのかをかんがえる。EdgeはSTSが苦難くなん歴史れきしをたどった理由りゆうとして、「科学かがくというしゃ
かい制度せいど信頼しんらいできる知識ちしき源泉げんせん−を分析ぶんせきするということは、現代げんだい社会しゃかいにおける科学かがく
教育きょういくほうその制度せいど活動かつどう正当せいとう正統せいとうする神話しんわそのものに挑戦ちょうせんすることにな
るから。この神話しんわ除去じょきょは、社会しゃかいにおける権力けんりょく権威けんい構造こうぞう変更へんこう意味いみするという
意味いみで、政治せいじてき変化へんかをもたらすものである。」とべている。90年代ねんだい以降いこうのSTS研究けんきゅう
のひとつの焦点しょうてんが、科学かがく技術ぎじゅつ)のガバナンスという問題もんだいぐんであり、そこからさまざ
まなPublic Involvementのこころみが模索もさくされていることをると、Edgeの見立みたてはせい
可能かのうせいがある。こういった観点かんてんから、科学かがく民主みんしゅ主義しゅぎ問題もんだいあらためて検討けんとうしてみた
い。


11:30-12:30 話題わだい提供ていきょう2・理論りろんへん

    木原きはら英逸えいいつ (国士舘大学こくしかんだいがく)
      「<社会技術> 再考さいこう

社会しゃかい技術ぎじゅつ」がなに意味いみするのか、そしてなにをしようとしているのかは、いまもってあきら
らかではない。ほん報告ほうこくでは、その兄弟きょうだい概念がいねんおもわれる、科学かがく技術ぎじゅつにかかわる公共こうきょう政策せいさくりょう
いきでの「ガヴァナンス」の意味いみ検討けんとうし、それが現実げんじつたしている役割やくわりかんがえる。
昨今さっこんあたらしい社会しゃかい統治とうち方法ほうほう秩序ちつじょ環境かんきょう変化へんかという意味いみもちいられているこのガヴァ
ナンスを、おも国内こくない統治とうちのそれにかぎれば、その由来ゆらいは、70年代ねんだい後半こうはん以降いこうの、財政ざいせい赤字あかじ
増大ぞうだいと「政府せいふ失敗しっぱい」とわれる公共こうきょう部門ぶもん効率こうりつせい認識にんしきにある。それに、80年代ねんだいまつ
以降いこうは、グローバリゼーションの進展しんてんいちこく政府せいふ役割やくわり相対そうたいてき縮小しゅくしょうしつつあるとの
認識にんしきくわわる。そこで、政府せいふ行政ぎょうせいだけでなく、自治体じちたい市場いちば、NPOなど多様たよう主体しゅたいまいり
もとめ、そのあいだきょうはたらけ妥協だきょう合意ごういによる政策せいさく設計せっけいかんがえたのが、「ガヴァナンス」で
ある。しかし、このガヴァナンスという観点かんてんにはいくつか死角しかくがある。まず、これら多様たよう
主体しゅたい参加さんか公共こうきょうてき問題もんだい解決かいけつする保証ほしょうがない。たとえば、公共こうきょうてき問題もんだい解決かいけつ参加さんかする
市民しみん形成けいせいされつつある一方いっぽう利益りえき配分はいぶん政策せいさく受益じゅえきしゃとしてのわたしみん意識いしきつよい。私益しえき
えた問題もんだい解決かいけつについて、民主みんしゅ主義しゅぎ決定けっていできるかどうか、論議ろんぎはまだ成熟せいじゅくである。
市場いちばにも周知しゅうち問題もんだいがある。また、主体しゅたいあいだでのきょうはたらけ合意ごうい形成けいせいいた過程かてい設計せっけい検討けんとう
十分じゅうぶんではない。たとえば、ひとつの政策せいさく決定けっていするには、いうまでもなく、「参加さんか」が必要ひつよう
あり、同時どうじに「専門せんもんによる代替だいたいあん分析ぶんせき選択肢せんたくし提示ていじ」が必要ひつようである。しかし、この
ふたつをどうわせるかは、むずかしい問題もんだいである。専門せんもん意見いけんがあまりにもはばをきかす
と、参加さんか意欲いよくがそがれ、参加さんかをあまりにも強調きょうちょうすると、専門せんもん意見いけん軽視けいしされる。げん
じょうは「参加さんか」も不十分ふじゅうぶん、「専門せんもん家集かしゅうだんによる政策せいさく選択せんたくかんする討議とうぎ」も不十分ふじゅうぶんといったこん
らんがあるようにおもわれる。さらに、きょうはたらけが、経営けいえいシステムと支配しはいシステムという表裏ひょうり2じゅう
性格せいかくたざるをないことの認識にんしきき、もっぱら「行政ぎょうせい」から「経営けいえい」へと、社会しゃかい
経営けいえい問題もんだいのみをろんじている。こうした死角しかくはじめて、ガヴァナンスに「市民しみん
社会しゃかい自己じこ統治とうち」へのみちひらかれてくるのだとおもわれる。死角しかくへの認識にんしきけば、それは
市場いちば席捲せっけんへの露払つゆはらいに墜すだろう。


12:30-13:30    昼食ちゅうしょく


13:30-14:30 話題わだい提供ていきょう3・事例じれいへん

    杉山すぎやましげるろう (北海道大学ほっかいどうだいがく)
      「水俣みなまた事例じれい

水俣病みなまたびょう事件じけん」については、膨大ぼうだい研究けんきゅう蓄積ちくせきがある。がそれらはしゅとして、企業きぎょう
行政ぎょうせいサイドの対応たいおう問題もんだいにしたもののようにおもわれる。「水俣病みなまたびょう事件じけん」はまた、
STS教育きょういく格好かっこう題材だいざいとしても定番ていばんになっている。しかしそこでのあつかかたも、上述じょうじゅつ
視角しかくしばられすぎているようにおもわれる。 それにたい報告ほうこくしゃは、「水俣病みなまたびょう事件じけん」の
展開てんかいがあのようになってしまった一因いちいんとしての「普通ふつう人々ひとびと」の科学かがく理解りかいをとりあ
げ、科学かがくコミュニケーションのありかた報道ほうどうのありかた科学かがく教育きょういくのありかた、など)に
ついて問題もんだい提起ていきする。その問題もんだい提起ていきは、以下いかのようなてんについての分析ぶんせきをもとにした
ものである。(1)「水俣病みなまたびょう事件じけん」の展開てんかいが、当時とうじどのようにほうじられ、そのなかで
普通ふつう人々ひとびと」がどのようにかんがえたか。(2)それから50ねんちかくたった今日きょうおなじく
普通ふつう人々ひとびと」が同様どうよう報道ほうどうせっしたとき、どのようにかんがえるか。


14:30-15:30 話題わだい提供ていきょう4・事例じれいへん

    かじ 雅範まさのり (東京工業大学とうきょうこうぎょうだいがく)
      「イタイイタイ病いたいいたいびょう事例じれい

イタイイタイ病いたいいたいびょうは、富山とやまけん神通川じんづうがわりょうきし一定いってい地域ちいき発生はっせいした非常ひじょういたみをともな
うカドミウム中毒ちゅうどくしょうである。1968ねんに、この病気びょうき神通川じんづうがわ上流じょうりゅう三井金属みついきんぞく 鉱業こうぎょう神岡かみおか
鉱業こうぎょうしょから排出はいしゅつされたカドミウムを原因げんいんとする公害こうがいびょうであることが厚生省こうせいしょうによってみとめ
められた。患者かんじゃたちは、同年どうねん、カドミウム汚染おせんげんとされた三井金属鉱業みついきんぞくこうぎょうたいして被害ひがい
補償ほしょうもとめる民事みんじ訴訟そしょう提起ていきした。裁判さいばん患者かんじゃがわ勝利しょうりわり、1972ねん患者かんじゃだん
からだ三井金属鉱業みついきんぞくこうぎょうとのあいだ補償ほしょう協定きょうてい公害こうがい防止ぼうし協定きょうていむすばれた。とくに公害こうがい防止ぼうし協定きょうてい
公害こうがいびょうではられない画期的かっきてきなもので、1972ねんからまいなつ患者かんじゃ団体だんたい弁護士べんごし
科学かがくしゃ一般いっぱん市民しみんによる鉱山こうざん検査けんさ三井みついがわ費用ひよう実施じっしされた。30ねんにお
よぶ検査けんさ交渉こうしょう環境かんきょう改善かいぜん提案ていあんかさねの結果けっか神通川じんづうがわ上流じょうりゅうのカドミウム
自然しぜんかいレベルまで低下ていかさせることに成功せいこうした。この成功せいこうを、水俣病みなまたびょうれい比較ひかくしな
がら、専門せんもん一般いっぱん市民しみん参加さんか公害こうがい防止ぼうし運動うんどうにおける役割やくわりについて考察こうさつする。


15:30-16:30 話題わだい提供ていきょう5・事例じれいへん

    神里かみさといたるはく (社会しゃかい技術ぎじゅつシステム)
      「狂牛病きょきょうぎゅうびょう事例じれい

今春こんしゅん世界せかいはSARSのoutberakに混乱こんらんした。このような,かつて人類じんるい出会であったことの
ない,あるいはすで忘却ぼうきゃくしてしまった疫病えきびょう出現しゅつげんしたとき,その危険きけんせいだれ如何いかにして
見積みつもるか,そしてだれ判断はんだん責任せきにんにおいて対処たいしょするかは,現代げんだい社会しゃかい全体ぜんたいにとって喫
緊の課題かだいである。同時どうじに,これはたんなる公衆こうしゅう衛生えいせい問題もんだいにとどまらない複雑ふくざつ様相ようそう
ていすることがおおく,その意味いみ科学かがく社会しゃかいがく対象たいしょうとなりうる。
BSE,いわゆる「狂牛病きょきょうぎゅうびょう」も,その発生はっせい英国えいこくにおいて,また日本にっぽんにおいても,
様々さまざまなレベルで我々われわれ社会しゃかい弱点じゃくてん問題もんだいりにした。疾病しっぺいとしてのBSE自身じしん
そしてその発生はっせいともなってきた社会しゃかいてき現象げんしょう事件じけんは,それぞれきわめてふくあいてき性格せいかく
っており,そのために対処たいしょ困難こんなんになったともえる。そこにはたとえば,ギデン
りゅうえば「徹底てっていしたモダニティ」があらたな疾病しっぺいしたという「農業のうぎょう工業こうぎょう
」,また,BSE拡大かくだい背景はいけいとなった「グローバルした世界せかい状況じょうきょう」,そしてヒトの
ための医学いがく獣医じゅういがく制度せいどてき狭間はざまちやすい「ひとじゅう共通きょうつう感染かんせんしょう」としての困難こんなんとう
ふくまれている。
これはぎゃくれば,適切てきせつ角度かくど問題もんだい断面だんめんし,分析ぶんせきすることによって,
そこからおおくの知恵ちえられる可能かのうせいがあることを意味いみするだろう。ここではおもとし
日本にっぽんにおけるBSE発生はっせい検討けんとうすることで,我々われわれのおかれている危険きけん状況じょうきょう実像じつぞう
把握はあくする材料ざいりょうとなればとおもう。


16:30-17:00    休憩きゅうけい


17:00-18:30 総合そうごう討議とうぎ

    討議とうぎしゃ 交渉こうしょうちゅう
     司会しかい ふじかき裕子ゆうこ (東京大学とうきょうだいがく)

18:30-19:30    懇親こんしんかい  

科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろん研究けんきゅうかい事務じむきょく  
国士舘大学こくしかんだいがく木原きはら英逸えいいつ  kihara@pem.kokushikan.ac.jp
以上いじょう

 
>TOP

Date: Fri, 22 Aug 2003 08:14:08 +0900
From: kihara@pem.kokushikan.ac.jp
Subject: だい35かい科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろん研究けんきゅうかい」のおらせ

皆様みなさま

科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろん研究けんきゅうかい」では、る2003ねん9がつ13にち(土)に、
以下いかのワークショップをおこないます。
関心かんしんをおちのほうにご案内あんないいたします。

準備じゅんび都合つごうじょう参加さんかほうはお手数てすうでも、事前じぜん下記かき事務じむきょくまで
そのむね連絡れんらくねがいます。かいの1週間しゅうかんまえには、発表はっぴょう梗概こうがいなどの資料しりょう
をおおくりします。
また、終了しゅうりょうどう会場かいじょう簡単かんたん懇親こんしんかい(会費かいひやく1000えん)があります。
研究けんきゅう交流こうりゅうふかめられたらとおもいます。参加さんかほうはこのてんも1週間しゅうかん
まえまでにおらせください。

この案内あんないは、転送てんそう自由じゆうですので、ご関心かんしんきにおらせください。


事務じむきょくでは、随時ずいじ研究けんきゅうかい企画きかく提案ていあんけています。
くわしくは、ご相談そうだんください。
事務じむきょく

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             だい35かい科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろん研究けんきゅうかい

         ワークショップ「エネルギー安定あんてい供給きょうきゅう原子力げんしりょく発電はつでん
              2003ねん9がつ13にち(土) 13:00-17:30
        東京大学とうきょうだいがく先端せんたん科学かがく技術ぎじゅつ研究けんきゅうセンター13号館ごうかん 109号室ごうしつ


  1.ワークショップの目的もくてき

エネルギー政策せいさくたすべき公共こうきょう利益りえきじょう価値かち基準きじゅんとして、経済けいざい効率こうりつ安定あんてい供給きょうきゅう
環境かんきょう保全ほぜんみっつが重要じゅうようであることは、エネルギー政策せいさくろんずるすべてのもの常識じょうしきである。
これについて通産省つうさんしょう経済けいざい産業さんぎょうしょう)は、3E−−Economy, Energy security,Environ
ment −−の同時どうじ達成たっせいという標語ひょうご使つかって表現ひょうげんしてきた。もちろんエネルギーの種類しゅるい
によっては、同等どうとうまたはそれ以上いじょう重視じゅうしすべき価値かち基準きじゅんがある。たとえば原子力げんしりょく
発電はつでんでは、安全あんぜん管理かんりとセーフガードのふたつがそれに該当がいとうする。しかし上記じょうきてんは、あ
らゆる種類しゅるいのエネルギーにてはまる共通きょうつう価値かち基準きじゅんとして重要じゅうようである。2002ねんがつ
可決かけつ成立せいりつしたエネルギー政策せいさく基本きほんほうにおいても、上記じょうきてんをエネルギー政策せいさくもと
じゅんとすることがさだめられている。

日本にっぽん従来じゅうらいのエネルギー政策せいさくにおいては、原子力げんしりょく発電はつでんは「短期たんきてき」(数カ月すうかげつ程度ていど)に
も「長期ちょうきてき」(すうじゅうねん程度ていど)にも安定あんてい供給きょうきゅうせいすぐれ、またかく燃料ねんりょうサイクルの整備せいびにより、
その安定あんてい供給きょうきゅうせい一層いっそうたかまるという認識にんしきられてきた。それが政府せいふ原子力げんしりょく発電はつでん
かく燃料ねんりょうサイクルをふくむ、以下いかおなじ)にたいする量的りょうてき質的しつてき拡大かくだい政策せいさく中心ちゅうしんてき論拠ろんきょとさ
れてきた。にもかかわらず原子力げんしりょく発電はつでん安定あんてい供給きょうきゅうじょう特性とくせいかんして、学問がくもんてき吟味ぎんみ
える精密せいみつ分析ぶんせき評価ひょうかが、政府せいふによって実施じっしされたためしがない。むしろ反対はんたいに、はら
りょく発電はつでん安定あんてい供給きょうきゅうじょう特性とくせいかんする政府せいふ従来じゅうらい説明せつめい化石かせきエネルギー枯渇こかつろん
ふくむ)は、理論りろんてきにも実証じっしょうてきにもおおくの困難こんなんかかえるものだった。

そうした原子力げんしりょく発電はつでん安定あんてい供給きょうきゅうじょう特性とくせいかんする知的ちてき未熟みじゅく状態じょうたい打開だかいし、本格ほんかくてき
分析ぶんせき評価ひょうかすすめようとする気運きうんが、近年きんねんたかまってきている。その重要じゅうよう背景はいけいふたつある。
だい1は、日本にっぽん社会しゃかいにおける自由じゆう規制きせい緩和かんわ進展しんてんと、その一貫いっかんとしてすすめられている
電力でんりょく自由じゆう背景はいけいとして、政府せいふ原子力げんしりょく発電はつでん偏重へんちょう政策せいさくへの疑義ぎぎつよまり、公共こうきょう利益りえき
うえ正当せいとう理由りゆうがなければ、原子力げんしりょく発電はつでんたいする政府せいふ介入かいにゅうみとめられないとする
ろんが、有力ゆうりょくなものとなったことである。もしかり原子力げんしりょく発電はつでん安定あんてい供給きょうきゅうじょうのメリットがあ
るとしても、それを客観きゃっかんてき評価ひょうかしたうえでなければ、適切てきせつ政府せいふ介入かいにゅうについてろんずる
ことはできないというのが、そこからみちびかれる結論けつろんである。
だい2は、原子力げんしりょく発電はつでん安定あんてい供給きょうきゅうじょう特性とくせいが、実際じっさいにはおとっていることを示唆しさする理論りろん
てき実証じっしょうてき根拠こんきょが、次第しだい蓄積ちくせきされてきたことである。たとえば2002ねんがつ露見ろけんした
東京電力とうきょうでんりょく原子げんし損傷そんしょう検査けんさ点検てんけん不正ふせい事件じけん」によって、原子力げんしりょく発電はつでんにおける事故じこ事件じけん
原因げんいんとなってだい規模きぼ電力でんりょく需給じゅきゅう逼迫ひっぱく生起せいきしうることが実証じっしょうされた。これにより原子げんし
ちから発電はつでん安定あんてい供給きょうきゅう観点かんてんからみて、重大じゅうだい弱点じゃくてんかかえていることがあきらかになった。

この原子力げんしりょく発電はつでん安定あんてい供給きょうきゅうじょう特性とくせい如何いかなものかという問題もんだいについて早急そうきゅうに、本格ほんかく
てき検討けんとうすすめることが、エネルギー政策せいさく合理ごうり主義しゅぎのために必要ひつようである。このワー
クショップの目的もくてきは、今後こんご本格ほんかくてき検討けんとう手掛てがかりとなるさまざまの視点してん情報じょうほうを、
報告ほうこくしゃ方々かたがたから提供ていきょうしていただき、それを幅広はばひろ視野しやから知的ちてき吟味ぎんみしたうえで、
STS研究けんきゅうしゃあいだ共有きょうゆう財産ざいさんとすることである。


  2. ワークショップの時間割じかんわり

  13:00-13:10 ワークショップ趣旨しゅし説明せつめい

  13:10-14:10  話題わだい提供ていきょう1 (討議とうぎ20ふんふくむ・以下いかどう)

       吉岡よしおか ひとし(九州大学きゅうしゅうだいがく)
        「エネルギー基本きほん計画けいかく批判ひはんてき分析ぶんせき

経済けいざい産業さんぎょうしょうは2003ねんがつ総合そうごう資源しげんエネルギー調査ちょうさかい基本きほん計画けいかく部会ぶかい
設置せっちし、エネルギー政策せいさく基本きほんほう(2002ねんがつ施行しこう)にさだめられたエネル
ギー基本きほん計画けいかく策定さくてい作業さぎょう開始かいしした。10がつ初旬しょじゅんには、最初さいしょのエネルギーもと
ほん計画けいかく部会ぶかい承認しょうにんされ、経済けいざい産業さんぎょう大臣だいじん答申とうしんされたのち、閣議かくぎ決定けっていおよび
国会こっかい報告ほうこくにかけられるとられる。
エネルギー基本きほん計画けいかくは、エネルギー政策せいさく分野ぶんやでのさい上位じょうい国家こっか計画けいかくであり、
それゆえエネルギー利用りようかかわる公共こうきょう利益りえき増進ぞうしんにとって、きわめて重要じゅうよう
役割やくわりあたえられている。ところでエネルギー安定あんてい供給きょうきゅう(エネルギー・セキュ
リティ)の確保かくほは、いうまでもなくエネルギー利用りようかかわる公共こうきょう利益りえき重要じゅうよう
いち側面そくめんであり、高度こうど総合そうごう判断はんだんようする政策せいさく選択せんたくにおいて、適切てきせつかたちこう
おもんばかされる必要ひつようがある。すなわち、いかなる政策せいさく措置そちについても、その安定あんていきょう
きゅう増進ぞうしん効果こうか正負せいふ双方そうほう効果こうか)を正確せいかく評価ひょうかし、その評価ひょうか結果けっか適切てきせつそう
ごう判断はんだん手続てつづきにれることが、その政策せいさく措置そち実施じっし勧告かんこくする場合ばあいの必
よう条件じょうけんとなる。(もちろん十分じゅうぶん条件じょうけんではない。)
この報告ほうこくでは、エネルギー基本きほん計画けいかくにおいて、エネルギー安定あんてい供給きょうきゅうについて、
いまべたような意味いみでの適切てきせつかたち考慮こうりょがなされているかどうかについて、
しゅとして原子力げんしりょく発電はつでんおよびかく燃料ねんりょうサイクルに関連かんれんする政策せいさく素材そざいとして、批
はんてき検討けんとうくわえる。


  14:10-15:10  話題わだい提供ていきょう

       大林おおばやしミカ(環境かんきょうエネルギー政策せいさく研究所けんきゅうじょ)
        「東京電力とうきょうでんりょく需給じゅきゅう逼迫ひっぱく教訓きょうくん

2002ねんがつ発覚はっかくした東京電力とうきょうでんりょく原発げんぱつトラブルかく事件じけんはしはっし、一時いちじは、
東電とうでん管内かんないの17原発げんぱつぜんもと停止ていしするという事態じたいおちいった。このような状況じょうきょう
なかで、なつのピーク電力でんりょく不足ふそく停電ていでんおそれ喧伝けんでんおこなわれ、とくにテレビ
新聞しんぶんなどをつうじておも一般いっぱん家庭かていけにはぶけ電力でんりょくうったえかけられた。また、
もとである福島ふくしまけん新潟にいがたけんたいしては、原発げんぱつ運転うんてん再開さいかいもとめる政府せいふ報道ほうどうなど
からの社会しゃかいてき圧力あつりょくたかまり、とくくにのエネルギー政策せいさくすすかた批判ひはんして
きた福島ふくしまけんたいしては、大手おおて経済けいざい社説しゃせつ批判ひはんされるなどのおおきな圧力あつりょくがか
けられた。しかし、なつ最大さいだい電力でんりょくまかなうためには、供給きょうきゅうげん拡大かくだいではなく、
最大さいだい電力でんりょく需要じゅよう削減さくげんすることがもっとも効率こうりつてき方法ほうほうであり、そのためには、
需給じゅきゅう逼迫ひっぱくしている需要じゅよう構造こうぞう分析ぶんせきと、的確てきかくしょうエネルギー政策せいさく導入どうにゅうする
必要ひつようがある。
原子力げんしりょくは、単一たんいつ技術ぎじゅつ大型おおがた電源でんげんで、安全あんぜんせいのために一斉いっせい停止ていし余儀無よぎなくされ
特殊とくしゅ電源でんげんである。結果けっかとして、今回こんかい騒動そうどう一番いちばん教訓きょうくんとなったのは、
このような事態じたいまねいた根本こんぽんてき原因げんいんが「原子力げんしりょくかたよった日本にっぽんのエネルギー
構造こうぞう」であることがあきらかになったことである。
現在げんざい原子力げんしりょくたいするこれまで以上いじょう支援しえん記述きじゅつする「エネルギー基本きほん計画けいかく
りまとめがおこなわれている。自然しぜんエネルギー促進そくしん不振ふしんしょうエネルギーせい
さく不在ふざい突出とっしゅつするさい処理しょり・プルトニウム政策せいさくなど、日本にっぽんは、国際こくさいてき
も、先進せんしん工業こうぎょうこくとして特殊とくしゅなエネルギー政策せいさくをとりつづけている。原子力げんしりょくへん
おもしたエネルギー政策せいさく不安定ふあんていさを、関東かんとうけん需給じゅきゅう逼迫ひっぱく問題もんだいれいかんがえて
みたい。


              休憩きゅうけい


  15:30-16:10  話題わだい提供ていきょう3 (討議とうぎ10ふんふくむ)

         鈴木すずき達治たつじろう(電力でんりょく中央ちゅうおう研究所けんきゅうじょ経済けいざい社会しゃかい研究所けんきゅうじょ
         「電力でんりょく自由じゆう原子力げんしりょくバックエンド問題もんだい

電力でんりょく市場いちば自由じゆう必要ひつよう議論ぎろんは、エネルギーにともなう「公共こうきょう利益りえき」をどう確保かくほして
いくかである。自由じゆう市場いちばでは、政府せいふはこれまでとことなるあたらしい役割やくわりたさなければ
ならない。一方いっぽう電気でんき事業じぎょうはその投資とうし事業じぎょうについてはみずからの責任せきにんでリスクを必要ひつよう
がある。原子力げんしりょく発電はつでんについても、くに民間みんかん役割やくわり分担ぶんたん明確めいかくにしていく必要ひつようがある。
民間みんかん投資とうしリスクとして、まず議論ぎろんしなければいけないのが、いわゆる「ストランデッド・
コスト」(回収かいしゅう不能ふのうコスト)の問題もんだいだ。原子力げんしりょくのバックエンド、とくにさい処理しょり事業じぎょうへの投資とうし
回収かいしゅう不能ふのうになる可能かのうせいつよい。この事業じぎょう民間みんかん事業じぎょうであるので、将来しょうらいへの投資とうし
自己じこ責任せきにんおこなうべきだが、そのコストぞうぶんも『公益こうえき』を理由りゆう支援しえんすべきではないか、
という議論ぎろんすすめられようとしている。この議論ぎろん透明とうめいせいたかめ、これを機会きかいかく燃料ねんりょう
サイクル政策せいさくについて、将来しょうらい選択肢せんたくし徹底的てっていてき議論ぎろんする必要ひつようがある。さい処理しょり問題もんだいは、
プルサーマル、使用しよう燃料ねんりょうなかあいだ貯蔵ちょぞうこうレベル廃棄はいきぶつ最終さいしゅう処分しょぶん計画けいかく密接みっせつ
関係かんけいしている。欧米おうべいにおける議論ぎろん参考さんこうに、わがくににおいても総合そうごうてき選択肢せんたくし評価ひょうか
実施じっしすべきだ。そういった議論ぎろんまえて、自由じゆうのもとでの原子力げんしりょく発電はつでんすすかた
決定けっていしていくことが必要ひつようだ。


             休憩きゅうけい

  16:20-17:30  レスポンスと総合そうごう討議とうぎ

   討論とうろんしゃ  加藤かとう秀樹ひでき(構想こうそう日本にっぽん)


     司会しかい   綾部あやべ広則ひろのり(産業さんぎょう技術ぎじゅつ総合そうごう研究所けんきゅうじょ 技術ぎじゅつ社会しゃかい研究けんきゅうセンター)


  17:45-19:00  懇親こんしんかい

  科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろん研究けんきゅうかい事務じむきょく
  国士舘大学こくしかんだいがく木原きはら英逸えいいつ  kihara@pem.kokushikan.ac.jp
  以上いじょう

 
>TOP

木原きはらさんより

Date: Wed, 16 Jul 2003 12:44:32 +0900
From: kihara@pem.kokushikan.ac.jp
Subject: ワークショップ話題わだい提供ていきょうしゃ公募こうぼのおねが

皆様みなさま

案内あんないのように、「科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろん研究けんきゅうかい」では、る2003ねん9がつ13にち(土)に、
以下いかのワークショップをおこないます。
つきましては、縁故えんこ主義しゅぎけるじょうでも、このテーマに関連かんれんして話題わだい提供ていきょう
いただけるほうを、公募こうぼいたします。

話題わだい提供ていきょうをおかんがえのほうは、ワークショップ主旨しゅし検討けんとういただき、その主旨しゅし
ふくった、話題わだいめいと400-600暫定ざんていてきなアブストラクト、くわえて、今回こんかい話題わだい
提供ていきょう関連かんれんして、既刊きかん著書ちょしょ論文ろんぶん、そののお仕事しごとなどあればそのリストを、
7がつ末日まつじつまでに事務じむきょくまでメールでおおくりください。

ねがいいたしますのは、プログラムじょう話題わだい提供ていきょう3です。
複数ふくすう応募おうぼをいただきました場合ばあい、すべてのほうにおはなしねがいたいので、プロ
グラムの変更へんこう延長えんちょうかんがえますが、時間じかん制約せいやくもありますので、おねがいできない
場合ばあいもありうることをあらかじめご了解りょうかいください。

以上いじょう、ご関心かんしんをおちの皆様みなさまに、おねがいいたします。

なお、このおねがいは、転送てんそう自由じゆうですので、ご関心かんしんきにおらせください。
事務じむきょく


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             だい35かい科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろん研究けんきゅうかい

         ワークショップ「エネルギー安定あんてい供給きょうきゅう原子力げんしりょく発電はつでん
              2003ねん9がつ13にち(土) 13:00-18:00
        東京大学とうきょうだいがく先端せんたん科学かがく技術ぎじゅつ研究けんきゅうセンター13号館ごうかん 109号室ごうしつ


  1.ワークショップの目的もくてき

エネルギー政策せいさくたすべき公共こうきょう利益りえきじょう価値かち基準きじゅんとして、経済けいざい効率こうりつ安定あんてい供給きょうきゅう
環境かんきょう保全ほぜんみっつが重要じゅうようであることは、エネルギー政策せいさくろんずるすべてのもの常識じょうしきである。
これについて通産省つうさんしょう経済けいざい産業さんぎょうしょう)は、3E−−Economy, Energy security,Environ
ment −−の同時どうじ達成たっせいという標語ひょうご使つかって表現ひょうげんしてきた。もちろんエネルギーの種類しゅるい
によっては、同等どうとうまたはそれ以上いじょう重視じゅうしすべき価値かち基準きじゅんがある。たとえば原子力げんしりょく
発電はつでんでは、安全あんぜん管理かんりとセーフガードのふたつがそれに該当がいとうする。しかし上記じょうきてんは、あ
らゆる種類しゅるいのエネルギーにてはまる共通きょうつう価値かち基準きじゅんとして重要じゅうようである。2002ねんがつ
可決かけつ成立せいりつしたエネルギー政策せいさく基本きほんほうにおいても、上記じょうきてんをエネルギー政策せいさくもと
じゅんとすることがさだめられている。

日本にっぽん従来じゅうらいのエネルギー政策せいさくにおいては、原子力げんしりょく発電はつでんは「短期たんきてき」(数カ月すうかげつ程度ていど)に
も「長期ちょうきてき」(すうじゅうねん程度ていど)にも安定あんてい供給きょうきゅうせいすぐれ、またかく燃料ねんりょうサイクルの整備せいびにより、
その安定あんてい供給きょうきゅうせい一層いっそうたかまるという認識にんしきられてきた。それが政府せいふ原子力げんしりょく発電はつでん
かく燃料ねんりょうサイクルをふくむ、以下いかおなじ)にたいする量的りょうてき質的しつてき拡大かくだい政策せいさく中心ちゅうしんてき論拠ろんきょとさ
れてきた。にもかかわらず原子力げんしりょく発電はつでん安定あんてい供給きょうきゅうじょう特性とくせいかんして、学問がくもんてき吟味ぎんみ
える精密せいみつ分析ぶんせき評価ひょうかが、政府せいふによって実施じっしされたためしがない。むしろ反対はんたいに、はら
りょく発電はつでん安定あんてい供給きょうきゅうじょう特性とくせいかんする政府せいふ従来じゅうらい説明せつめい化石かせきエネルギー枯渇こかつろんふくむ)は、理論りろんてきにも実証じっしょうてきにもおおくの困難こんなんかかえるものだった。

そうした原子力げんしりょく発電はつでん安定あんてい供給きょうきゅうじょう特性とくせいかんする知的ちてき未熟みじゅく状態じょうたい打開だかいし、本格ほんかくてき
分析ぶんせき評価ひょうかすすめようとする気運きうんが、近年きんねんたかまってきている。その重要じゅうよう背景はいけいふたつある。
だい1は、日本にっぽん社会しゃかいにおける自由じゆう規制きせい緩和かんわ進展しんてんと、その一貫いっかんとしてすすめられている
電力でんりょく自由じゆう背景はいけいとして、政府せいふ原子力げんしりょく発電はつでん偏重へんちょう政策せいさくへの疑義ぎぎつよまり、公共こうきょう利益りえき
うえ正当せいとう理由りゆうがなければ、原子力げんしりょく発電はつでんたいする政府せいふ介入かいにゅうみとめられないとする
ろんが、有力ゆうりょくなものとなったことである。もしかり原子力げんしりょく発電はつでん安定あんてい供給きょうきゅうじょうのメリットがあ
るとしても、それを客観きゃっかんてき評価ひょうかしたうえでなければ、適切てきせつ政府せいふ介入かいにゅうについてろんずる
ことはできないというのが、そこからみちびかれる結論けつろんである。
だい2は、原子力げんしりょく発電はつでん安定あんてい供給きょうきゅうじょう特性とくせいが、実際じっさいにはおとっていることを示唆しさする理論りろん
てき実証じっしょうてき根拠こんきょが、次第しだい蓄積ちくせきされてきたことである。たとえば2002ねんがつ露見ろけんした
東京電力とうきょうでんりょく原子げんし損傷そんしょう検査けんさ点検てんけん不正ふせい事件じけん」によって、原子力げんしりょく発電はつでんにおける事故じこ事件じけん
原因げんいんとなってだい規模きぼ電力でんりょく需給じゅきゅう逼迫ひっぱく生起せいきしうることが実証じっしょうされた。これにより原子げんし
ちから発電はつでん安定あんてい供給きょうきゅう観点かんてんからみて、重大じゅうだい弱点じゃくてんかかえていることがあきらかになった。

この原子力げんしりょく発電はつでん安定あんてい供給きょうきゅうじょう特性とくせい如何いかなものかという問題もんだいについて早急そうきゅうに、本格ほんかく
てき検討けんとうすすめることが、エネルギー政策せいさく合理ごうり主義しゅぎのために必要ひつようである。このワー
クショップの目的もくてきは、今後こんご本格ほんかくてき検討けんとう手掛てがかりとなるさまざまの視点してん情報じょうほうを、
報告ほうこくしゃ方々かたがたから提供ていきょうしていただき、それを幅広はばひろ視野しやから知的ちてき吟味ぎんみしたうえで、STS
研究けんきゅうしゃあいだ共有きょうゆう財産ざいさんとすることである。


  2. ワークショップの時間割じかんわり

  13:00-13:15 ワークショップ趣旨しゅし説明せつめい

  13:15-14:15  話題わだい提供ていきょう1 (討議とうぎ20ふんふくむ・以下いかどう)

      吉岡よしおか ひとし(九州大学きゅうしゅうだいがく)
        「エネルギー基本きほん計画けいかくにおける原子力げんしりょく発電はつでん安定あんてい供給きょうきゅう特性とくせい
        についてのかんがかた」(かり)

  14:15-15:15  話題わだい提供ていきょう

       大林おおばやしミカ(環境かんきょうエネルギー政策せいさく研究所けんきゅうじょ)
        「東京電力とうきょうでんりょく需給じゅきゅう逼迫ひっぱく教訓きょうくん」(かり)

  15:20-16:20  話題わだい提供ていきょう

        公募こうぼ

             休憩きゅうけい

  16:40-18:00  レスポンスと総合そうごう討議とうぎ

   討論とうろんしゃ  未定みてい


     司会しかい   綾部あやべ広則ひろのり(産業さんぎょう技術ぎじゅつ総合そうごう研究所けんきゅうじょ 技術ぎじゅつ社会しゃかい研究けんきゅうセンター)


  18:00-19:00  懇親こんしんかい

____________________________________________________________________________

  科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろん研究けんきゅうかい事務じむきょく
  国士舘大学こくしかんだいがく木原きはら英逸えいいつ  kihara@pem.kokushikan.ac.jp
  以上いじょう

 
>TOP

木原きはらさんより

Date: Wed, 16 Jul 2003 12:46:43 +0900
From: kihara@pem.kokushikan.ac.jp
Subject: だい35かい科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろん研究けんきゅうかい予告よこく

皆様みなさま

科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろん研究けんきゅうかい」では、る2003ねん9がつ13にち(土)に、
以下いかのワークショップをおこないます。
関心かんしんをおちのほうは、ご予定よていください。

8がつ後半こうはんになりましたら、くわしい参加さんか要領ようりょうをご案内あんないいたします。
なお、そのころ夏期かき休暇きゅうか連絡れんらくりにくいほうは、この予告よこくをもって
参加さんか登録とうろくをおねがいします。

この案内あんないは、転送てんそう自由じゆうですので、ご関心かんしんきにおらせください。

事務じむきょく

   *うえ掲、報告ほうこくしゃ公募こうぼ文中ぶんちゅう案内あんないとほぼ同文どうぶんなのでりゃく

 
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Date: Tue, 24 Jun 2003 08:49:13 +0900
Subject: だい34かい科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろん研究けんきゅうかい」のおらせ

皆様みなさま

科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろん研究けんきゅうかい」では、る2003ねん7がつ12にち(土)に、
以下いかのワークショップをおこないます。
関心かんしんをおちのほうにご案内あんないいたします。

準備じゅんび都合つごうじょう参加さんかほうはお手数てすうでも、事前じぜん下記かき事務じむきょくまで
そのむね連絡れんらくねがいます。かいの1週間しゅうかんまえには、発表はっぴょう梗概こうがいなどの資料しりょう
をおおくりします。
また、終了しゅうりょうどう会場かいじょう簡単かんたん懇親こんしんかい(会費かいひやく1000えん)があります。
研究けんきゅう交流こうりゅうふかめられたらとおもいます。参加さんかほうはこのてんも1週間しゅうかん
まえまでにおらせください。

この案内あんないは、転送てんそう自由じゆうですので、ご関心かんしんきにおらせください。


事務じむきょくでは、随時ずいじ研究けんきゅうかい企画きかく提案ていあんけています。
くわしくは、ご相談そうだんください。
事務じむきょく


            だい34かい科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろん研究けんきゅうかい

ワークショップ「災害さいがい事故じこ組織そしき文化ぶんか災害さいがい人類じんるいがくから高信頼こうしんらいせい組織そしき研究けんきゅうへ」

              2003ねん7がつ12にち(土) 13:00-18:00
        東京大学とうきょうだいがく先端せんたん科学かがく技術ぎじゅつ研究けんきゅうセンター13号館ごうかん 109号室ごうしつ


  1.ワークショップの目的もくてき

とうワークショップの目的もくてきは、近年きんねん関心かんしんたかまりつつある、組織そしき事故じこにつ
いての知見ちけん背景はいけいにしつつ、科学かがく技術ぎじゅつ組織そしき、そして事故じこ安全あんぜんせいせき
わる議論ぎろんを、とく社会しゃかい人類じんるいがくおよしつてき組織そしきろん視点してんから総合そうごうてきてい
こうとするものである。
チェルノブイリ事故じこから医療いりょう安全あんぜんいたるまで、科学かがく技術ぎじゅつとその安全あんぜんせい
かかわる問題もんだいについての知見ちけん日々ひび増大ぞうだいしている。その過程かていで、こうした
事故じこにおける組織そしきてき文化ぶんかてき要因よういん重要じゅうようせいについてはおおくがかたられるよ
うになって一方いっぽうで、社会しゃかい人類じんるいがく組織そしきろん知見ちけんがそうした文脈ぶんみゃくじゅう
ぶんかされてきたとはいがたいのも現状げんじょうである。
今回こんかいはそうした現状げんじょう前提ぜんていとして、災害さいがい人類じんるいがく組織そしき事故じこ研究けんきゅう、そして
リスクにつよ組織そしきとしての高信頼こうしんらいせい組織そしき研究けんきゅうというみっつのながれを紹介しょうかい
ながら、このギャップをめるためのこころみをおこなう。

自然しぜん災害さいがいへのエスノグラフィック・アプローチ」では、地震じしん代表だいひょう
れる自然しぜん災害さいがい直面ちょくめんした共同きょうどうたい反応はんのう防災ぼうさい活動かつどう研究けんきゅうする災害さいがい人類じんるいがく
研究けんきゅう紹介しょうかいし、とく阪神はんしん淡路あわじ大震災だいしんさい民族みんぞくてきるアプローチを
紹介しょうかいする。
組織そしき事故じこ安全あんぜん文化ぶんか再考さいこう」では、従来じゅうらい事故じこ研究けんきゅうが、個別こべつ因子いんしから
組織そしきとテクノロジーのから全体ぜんたい視点してん拡大かくだいしていく過程かてい紹介しょうかいしなが
ら、具体ぐたいてき組織そしき事故じこ実例じつれいげて、そこにおける、とく文化ぶんかてき
要素ようそあつかかたかんがえる。
「リスクとたたか組織そしき高信頼こうしんらいせい組織そしき(HRO)研究けんきゅうとしての救命きゅうめい救急きゅうきゅうセンタ
ー」では、組織そしき事故じこ研究けんきゅうとは対照たいしょうてきに、むしろ事故じここしにくい、リ
スクにつよ組織そしき研究けんきゅうするプログラムとして、ここ10ねんあいだ研究けんきゅう
蓄積ちくせきすすんできた、高信頼こうしんらいせい組織そしき研究けんきゅう紹介しょうかいし、その観点かんてんから救命きゅうめい
救急きゅうきゅうセンターへの民族みんぞくてき視点してん紹介しょうかいする。

総合そうごう討議とうぎでは、これらのアプローチの可能かのうせい組織そしきろん研究けんきゅうしゃや、福祉ふくし
実践じっせん共同きょうどうたい研究けんきゅう研究けんきゅうしゃとも討議とうぎする。



  2. ワークショップの時間割じかんわり

  13:00-13:20 ワークショップ趣旨しゅし説明せつめい

  13:20-14:20  話題わだい提供ていきょう1 (討議とうぎ20ふんふくむ・以下いかどう)

   木村きむら周平しゅうへい東京大学とうきょうだいがく文化ぶんか人類じんるいがく)
     「自然しぜん災害さいがいへのエスノグラフィック・アプローチ
            ― 阪神はんしん淡路あわじ大震災だいしんさい事例じれい分析ぶんせきつうじて」

1995ねん阪神はんしん淡路あわじ大震災だいしんさい以降いこう災害さいがい社会しゃかいてき現象げんしょうであるという
ことがかえ主張しゅちょうされている。洪水こうずいにせよ地震じしんにせよ、災害さいがいにつ
いてまった無知むち社会しゃかいはなく、どのような社会しゃかいであれ様々さまざまなレベル
個人こじん住民じゅうみん組織そしき自治体じちたいくになど)・システム(法的ほうてき組織そしきてき
あるいはインフラや道具どうぐ伝承でんしょうなど)に分散ぶんさんされたかたちで、自然しぜん災害さいがい
たいする多重たじゅう防護ぼうごさくをもっている。それゆえ災害さいがいによる被害ひがい
しかてきなハザードとその防護ぼうごさくとの函数かんすうであるとかんがえることもできる
だろう。
ただもちろん、それらの防護ぼうご効果こうかめんでも方法ほうほうめんでも社会しゃかいによ
って多様たようである。そしてその多様たようさはとりわけ途上とじょうこくおよびこう頻度ひんど
でハザードにおそわれる社会しゃかい顕著けんちょであり、それを包括ほうかつてきに「文化ぶんか
という観点かんてんからとらえてきたのが災害さいがい人類じんるいがくである。ほん発表はっぴょうではその
ような災害さいがい人類じんるいがく蓄積ちくせき簡単かんたん紹介しょうかいしたのち具体ぐたいてき事例じれいとして、
阪神はんしん淡路あわじ大震災だいしんさい直後ちょくご対応たいおうをエスノグラフィックにとらえることを
こころみるが、そこにおいて災害さいがいというプロセスは様々さまざま知識ちしき道具どうぐ
った主体しゅたいかかわりあうとしてあらわれ、経験けいけんされるだろう。はた
災害さいがいそなえるためには、このしょ経験けいけんをいかにして今後こんご防災ぼうさい
ための「文化ぶんか」へとフィードバックするかが重要じゅうよう問題もんだいなのである。


  14:20-15:20  話題わだい提供ていきょう

    上野うえの あきら未来工学研究所みらいこうがくけんきゅうじょ内閣ないかく
     「組織そしき事故じこ安全あんぜん文化ぶんか再考さいこう

  原子力げんしりょく分野ぶんや航空こうくう分野ぶんやなど巨大きょだい複雑ふくざつけい科学かがく技術ぎじゅつにおける研究けんきゅう趨勢すうせいは、
  おも要素ようそ技術ぎじゅつやヒューマンファクタの個別こべつ因子いんしあらし、これを技術ぎじゅつ
  システムの設計せっけい改良かいりょう反映はんえいさせた段階だんかいあらした個々ここ技術ぎじゅつてき要因よういん
  ヒューマンファクタを、さらに組織そしき技術ぎじゅつシステムとのから全体ぜんたい反映はんえいさせ
  る組織そしき事故じこ研究けんきゅう段階だんかいて、事故じこ事象じしょう自体じたいこさない組織そしき特徴とくちょう
  そのマネジメントを俯瞰ふかんてきとらえる高信頼こうしんらいせい組織そしき研究けんきゅう段階だんかいはいりつつ
  ある。
  他方たほう従来じゅうらい日本にっぽん事故じこ研究けんきゅうでは、事故じこ事象じしょう要因よういん分析ぶんせきはあくまで工学こうがく
  てき観点かんてんから、それも規制きせい機関きかん本体ほんたいではなく、事故じこ当事とうじしゃである事業じぎょうしゃ
  じゅうでんメーカー所属しょぞく技術ぎじゅつしゃおこない、大学だいがくとう研究けんきゅう機関きかん重鎮じゅうちん構成こうせいされ
  る調査ちょうさ委員いいんかいがその調査ちょうさ結果けっかにお墨付すみつきをあたえるというプロセスを辿たどるも
  のであった。
  日本にっぽんにおけるこの事故じこ調査ちょうさ研究けんきゅうかたは、はじめて調査ちょうさ委員いいんかい社会しゃかい
  まなべ社会しゃかい心理しんりがく研究けんきゅうしゃくわわりレポートを公開こうかいした1999ねんのJCO臨界りんかい
  事故じこ以降いこう欧米おうべい組織そしき事故じこ研究けんきゅう安全あんぜん文化ぶんか研究けんきゅう観点かんてんれたもの
  となることが期待きたいされたが、その現実げんじつはどうか。
  ほん報告ほうこくでは、欧米おうべい日本にっぽん近年きんねん事故じこ研究けんきゅう実例じつれいげ、そこでの
  組織そしきてき要因よういん文化ぶんかてき要因よういんあつかかた成果せいか課題かだい検討けんとうする。



  15:20-16:20  話題わだい提供ていきょう

     福島ふくしま真人まさと東京大学とうきょうだいがく総合そうごう文化ぶんか文化ぶんか人類じんるいがく
     「リスクとたたか組織そしき
      ― 高信頼こうしんらいせい組織そしき(HRO)研究けんきゅうとしての救命きゅうめい救急きゅうきゅうセンター」

事故じこ災害さいがい問題もんだいにおける組織そしき要因よういん強調きょうちょうは、近年きんねんのヒューマンファクター
研究けんきゅうや、医療いりょう事故じこについてのシステムてきアプローチとうでも強調きょうちょうされるように
なってきている。しかしそれらの研究けんきゅうにおける組織そしきや、とく組織そしき文化ぶんかについ
ての視点してんは、工学こうがくけい研究けんきゅう延長えんちょうでおわっている場合ばあいすくなくない。分析ぶんせき
事後じごてきであり、また事故じこという材料ざいりょうでなければ、組織そしき動態どうたい理解りかいするりつ
てもない。結果けっかとして、そこでられる結論けつろんが、安全あんぜん文化ぶんかろんられるよう
な、一種いっしゅ標語ひょうごになってしまう傾向けいこう否定ひていできない。
つね活動かつどうし、変容へんようする組織そしき現場げんばから、事故じこ安全あんぜん問題もんだいかんがえることが
れば、従来じゅうらい事故じこ研究けんきゅうとはことなった視点してんられるかもしれない。その
のうせいひとつが高信頼こうしんらいせい組織そしき研究けんきゅうである。リスクのたか環境かんきょうたか安全あんぜんせいしめせ
組織そしき現場げんばで、リアルタイムで研究けんきゅうするということでられる知見ちけん可能かのう
せいを、現在げんざい進行しんこうちゅう救命きゅうめい救急きゅうきゅうセンターでのフィールド調査ちょうされいげて、こ
のアプローチの有効ゆうこうせいについてかんがえる。


             休憩きゅうけい

  16:40-18:00  レスポンスと総合そうごう討議とうぎ

   討論とうろんしゃ  中西なかにし あきら東京とうきょう都立とりつ科学かがく技術ぎじゅつ大学だいがく
        猪瀬いのせ浩平こうへい東京大学とうきょうだいがく文化ぶんか人類じんるいがく

     司会しかい   福島ふくしま真人まさと


  18:00-19:00  懇親こんしんかい

  科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろん研究けんきゅうかい事務じむきょく
  国士舘大学こくしかんだいがく木原きはら英逸えいいつ  kihara@pem.kokushikan.ac.jp
  以上いじょう

 
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だい33かい科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろん研究けんきゅうかい」のおらせ

> 皆様みなさま
>
> 「科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろん研究けんきゅうかい」では、る2003ねん6がつ21にち(土)に、
> 以下いかのワークショップをおこないます。
> ご関心かんしんをおちのほうにご案内あんないいたします。
>
> 準備じゅんび都合つごうじょう参加さんかほうはお手数てすうでも、事前じぜん下記かき事務じむきょくまで
> そのむね連絡れんらくねがいます。かいの1週間しゅうかんまえには、発表はっぴょう梗概こうがいなどの資料しりょう
> をおおくりします。
> また、終了しゅうりょうどう会場かいじょう簡単かんたん懇親こんしんかい(会費かいひやく1000えん)があります。
> 研究けんきゅう交流こうりゅうふかめられたらとおもいます。参加さんかほうはこのてんも1週間しゅうかん
> まえまでにおらせください。
>
> この案内あんないは、転送てんそう自由じゆうですので、ご関心かんしんきにおらせください。
>
>
> なお、2003ねん前期ぜんきには、以下いかのワークショップがおこなわれます。
> ご関心かんしんをおちのほうは、ご予定よていください。
>
> だい34かい 2003ねん7がつ12にち(土) ワークショップ「リスク、組織そしき、テクノロジー
>                         ―高信頼こうしんらいせい組織そしき研究けんきゅう現在げんざい
> (かり
>
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> 事務じむきょくでは、随時ずいじ研究けんきゅうかい企画きかく提案ていあんけています。
> くわしくは、ご相談そうだんください。
>
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>             だい33かい科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろん研究けんきゅうかい
>
>             ワークショップ 「健康けんこう科学かがくをめぐる
>
>               2003ねん6がつ21にち(土) 9:45-17:30
>         東京大学とうきょうだいがく先端せんたん科学かがく技術ぎじゅつ研究けんきゅうセンター13号館ごうかん 109号室ごうしつ
>
>
>   1.ワークショップの目的もくてき
>
>   「健康けんこう」とは「ブーム」などではない。今年ことし5がつより施行しこうされた健康けんこう増進ぞうしんほう
>  規定きていしているように、それにはもはや明確めいかくな「国民こくみん責務せきむ」として法的ほうてきスキ
>  ームがあたえられている。科学かがくてきただしいヘルスリテラシーが「国民こくみん」たちに
>  もとめられ、それは、世界せかい市場いちばでの現代げんだいてき常套句じょうとうく「ひとりひとりが自己じこ責任せきにん
>  をう」ことの典型てんけいれいともなっている。なぜこれほどまでに「国民こくみん」は健康けんこう
>  責任せきにんい、それを目的もくてきとせねばならないのか。その理由りゆうはけっして「いま
>  現在げんざい不健康ふけんこう」などではない。健康けんこうというキーワードは、ビジネスと利益りえき
>  コスト意識いしきむ。背後はいごには明確めいかく経済けいざい原理げんりはたらいており、ナショナリズム
>  や国家こっか政治せいじ原理げんりともからみながらの議論ぎろん要請ようせいされることは、科学かがく
>  技術ぎじゅつ同様どうようである。もちろんこれらのことは、わたしたちの身体しんたいかんにも重大じゅうだい
>  変更へんこうせまるものであり、したがって知覚ちかく認知にんちかんするより根源こんげんてきいか
>  けを内包ないほうしてもいる。
>
>  また、「健康けんこう科学かがく」というテーマは、ひろ近代きんだいとポスト近代きんだいとにまたがって
>  もいる。つまり一方いっぽうで、このテーマには、近代きんだい経済けいざい原理げんりだけではとらえら
>  れない、しょく文化ぶんか生活せいかつ習慣しゅうかんのグローバル、リスク社会しゃかいしん展開てんかいといった
>  この時代じだい要請ようせいがある。しかし、「健康けんこう責務せきむ」をい、機能きのうせい飲料いんりょう購入こうにゅう
>  し肥満ひまんおびえるみんを、えやかわきや栄養失調えいようしっちょうばくげきにさらされるみん存在そんざい
>  がささえていることも、もう片方かたがた重要じゅうよう事実じじつである。
>
>  すでに「健康けんこう」は、自然しぜん科学かがく人文じんぶん社会しゃかい科学かがくかをわず、多角たかくてきろん
>  られてきている。その価値かちうたがわない議論ぎろんもあれば、これを言説げんせつとしてその
>  構築こうちくせい着目ちゃくもくした議論ぎろん、また健康けんこう概念がいねん歴史れきしてき展開てんかいについての議論ぎろんなど
>  様々さまざまである。当然とうぜんのことながら、そこではろんずるもの立場たちばするどわれる。
>  しかしここでも、それぞれの立場たちばてることなくそれらを交錯こうさくさせながら、
>  しかしひろ視点してんからの議論ぎろん必要ひつようである。
>
>  いまひろ科学かがく技術ぎじゅつろん文脈ぶんみゃくで「健康けんこう」を議論ぎろんすることの利点りてんは、科学かがく
>  技術ぎじゅつくらべることで、健康けんこう科学かがくつぎのような特徴とくちょうかびがって
>  くることにある。つまり、@だれにとっても日常にちじょうである生活せいかつ習慣しゅうかんそのものを対象たいしょう
>  とすると同時どうじに、それを啓蒙けいもうする意図いと明確めいかくにもつ科学かがくであること。Aしたが
>  て、それにたいするひとびとの関心かんしんたかいこと。Bそのため、マスメディアから
>  の情報じょうほう膨大ぼうだいであること。C生産せいさん活動かつどうよりも、とくひとびとの消費しょうひ行動こうどう連動れんどう
>  していること。D市場いちば経済けいざい密接みっせつむすびついていること。E「すべての国民こくみん
>  すなわちまんにん関連かんれんする科学かがくである、とすでに位置いちづけられていること。
>
>  すわなち、健康けんこう科学かがくにおいては、専門せんもん科学かがくかん専門せんもん科学かがくかん
>  が密接みっせつにリンクし、しかもそのリンクを自己じこ管理かんりへと連動れんどうさせて、「ヘルスリ
>  テラシー」のした専門せんもん啓蒙けいもうしようといううごきが顕著けんちょなのだ。した
>  がって、このワークショップはさきだい30かいワークショップ「専門せんもん専門せんもん
>  図式ずしきさい検討けんとう」と連携れんけいしている。「ガン抑制よくせい遺伝子いでんしとガン遺伝子いでんしとで説明せつめいされ
>  る遺伝いでんびょう」、さかなのコゲをべるとガンになる、そして「さかなおおふくまれるドコ

>  ヘキサエンさんとエイコサペンタエンさんが、ガンの増殖ぞうしょく抑制よくせいする」……この
>  ような共有きょうゆう混在こんざい頻発ひんぱつ検討けんとうすることで、硬直こうちょくした専門せんもん専門せんもん
>  図式ずしきろん)の突破口とっぱこう見出みだせないだろうか?
>
>
>
>   2. ワークショップの時間割じかんわり
>
>   9:45-10:00 ワークショップ趣旨しゅし説明せつめい
>
>   10:00-11:15  話題わだい提供ていきょう1 (討議とうぎ25ふんふくむ・以下いかどう)
>
>        柄本えもと三代子みよこ(法政大学ほうせいだいがく社会しゃかいがく)
>             「身体しんたい標準ひょうじゅん機能きのうせい食品しょくひん
>
>  日本にっぽん社会しゃかいにおける健康けんこうへの関心かんしんたかさは購買こうばいりょくささえている。そして、えを
>  らない購買こうばいりょくある消費しょうひしゃたちは、様々さまざま統計とうけい資料しりょうもちいられることによって
>  「国民こくみん」として構築こうちくされると同時どうじに、その身体しんたいまでも「われわれ」にとって共通きょうつう
>  に
>  理解りかいされうるものとして構築こうちくされている。また、そもそも国民こくみんたいする健康けんこう増進ぞうしん
>  という啓蒙けいもう活動かつどう背後はいごにあったのは医療いりょうコストの問題もんだいであった。
>  このような「購買こうばいりょく」と「医療いりょうコスト」だけでなく、今日きょう健康けんこうへの関心かんしん継続けいぞく
>  さ
>  せることには「企業きぎょう戦略せんりゃく」もふかかかわっている。また、企業きぎょう戦略せんりゃく健康けんこう増進ぞうしん活動かつどう
>  とマスメディアのむすびつきを強力きょうりょくなものにしているのは、栄養えいよう成分せいぶんをはじめとし
>  た科学かがく言説げんせつにほかならない。そしてそこには共通きょうつう使用しようされているロジックが
>  ある。それは、ある食品しょくひんふくまれるある成分せいぶんがあるリスクを解消かいしょうする、というも
>  のだ。
>  したがって健康けんこうへの動機どうきづけのさいに、「しょくどうみなもと」や「養生ようじょう」をもちだすという
>  言説げんせつ戦略せんりゃくもある。しかし、現代げんだいにおける「医薬品いやくひん食品しょくひん境界きょうかい溶解ようかい現象げんしょう」や
>  「健康けんこう増進ぞうしん」とは、歴史れきしてき接続せつぞくしつつも切断せつだんされたものとして理解りかいする必要ひつよう
>  ある。
>  「われわれ」のものとして標準ひょうじゅんされた身体しんたいのメンテナンスは、「アミノ酸あみのさんあぶら
>  肪
>  を燃焼ねんしょうさせる」といったように主体しゅたいされた成分せいぶん外部がいぶ委託いたくされていく。「つよ
>  けん
>  いそだてる しょく健康けんこうだい事典じてん」(学研がっけん、2003ねん)によれば、「キレないにする
>  献立こんだて」で「どもがキレる」ことをふせいでくれるのも、だれであろうカルシウムなの
>  である。
>  どのようなものをどのようにしてべるかということは、現代げんだい道徳どうとくであり倫理りんり
>  であると同時どうじ身体しんたいメンテナンスの外部がいぶ依存いぞんともふかかかわる。
>
>
>   11:15-12:30  話題わだい提供ていきょう
>
>        佐藤さとう純一じゅんいち(高知医科大学こうちいかだいがく医療いりょう思想しそう医療いりょう社会しゃかいがく)
>             「健康けんこうだつ健康けんこう管理かんりされ治療ちりょうされる<健康けんこう>」
>
>  「国民こくみんは、健康けんこう生活せいかつ重要じゅうようせいたいする関心かんしん理解りかいふかめ、生涯しょうがいにわたっ
>  て、みずからの健康けんこう状態じょうたい自覚じかくするとともに、健康けんこう増進ぞうしんつとめなければなら
>  ない。」(健康けんこう増進ぞうしんほうだい2じょう
>  この法律ほうりつでは「健康けんこうとはなにか、どのような状態じょうたいか」という定義ていぎ明示めいじてき
>  じゅつ)はおこなわれていない。この法律ほうりつかぎらず、近年きんねん、(近代きんだい医学いがく以外いがいの)おお
>  の領域りょういきろんじられている「健康けんこうかたり」においても、健康けんこう定義ていぎかんして
>  は、 おおくの場合ばあい、あのWHOの健康けんこう概念がいねんか、または、残余ざんよカテゴリーの「やまい
>  のない状態じょうたい」という定義ていぎ使つかわれるか、または、定義ていぎなしで「わかって
>  いるもの(自明じめい実在じつざい)」としてかたりが構成こうせいされているとえる。
>  それら(近代きんだい医学いがく以外いがいの)「健康けんこうかたり」のおおくは、健康けんこうを、「医学いがく
>  よって定義ていぎ測定そくていできる実在じつざいぶつ」として措定そていして、はじめて理論りろん成立せいりつする
>  構造こうぞうにな っているとえよう。
>  では、近代きんだい医学いがく理論りろんでは、「健康けんこう」(概念がいねん)をどう定義ていぎしているか。おお
>  の「健康けんこうかたり」が期待きたいする「近代きんだい医学いがく理論りろんによる確固かっこたる健康けんこう概念がいねん」は、
>  存在そんざいしてないのである。
>  この話題わだい提供ていきょうにおいては、近代きんだい医学いがくの「健康けんこう概念がいねん(の不在ふざい)と「健康けんこう
>  かたり」を検討けんとうする作業さぎょう紹介しょうかいし、その作業さぎょうとおして、最近さいきんの「管理かんりされ、
>  治療ちりょうされ、増進ぞうしんされなければならない<健康けんこう>」概念がいねん言説げんせつ)について議論ぎろん
>  してみたい。
>
>              昼食ちゅうしょく
>
>   13:30-14:45  話題わだい提供ていきょう
>
>         田中たなかさとし(作家さっか)
>             「近代きんだい医学いがく民間みんかん医療いりょう
>
>    日本にっぽん近代きんだい医学いがくが「正統せいとう」として制度せいどされていったとき、漢方かんぽう医学いがく各種かくしゅ
>    民間みんかん療法りょうほうはどのような論理ろんり排除はいじょされていったか。そこから、いまなおつづく
>    啓蒙けいもうによる「迷信めいしん退治たいじ」の論理ろんり整理せいりしてみたい。
>    また一方いっぽうで、大正たいしょう昭和しょうわ普及ふきゅうした健康けんこうほう民間みんかん療法りょうほう、また漢方かんぽう復興ふっこう運動うんどう
>    では、どのような論理ろんりで、近代きんだい医療いりょうへの批判ひはんかたられたか。そこから、今日きょう
>    のいわゆるオルタナティブ医療いりょう動機どうき技法ぎほうが、どのような歴史れきしのなかで
>    はぐくまれてきたかを整理せいりしてみたい。
>    そうして近代きんだい医学いがく民間みんかん医療いりょうとの相互そうご批判ひはん内容ないようを、とくに両者りょうしゃ身体しんたいかん
>    相違そうい中心ちゅうしんとして検討けんとうすることをつうじて、今日きょう高度こうど医療いりょうした社会しゃかいのな
>    かでの身体しんたいについての再考さいこうにつなげたい。
>    民間みんかん療法りょうほう健康けんこうほうとしては、皇漢こうかん医学いがく復興ふっこうとなえた中山なかやま忠直ただなお西にし医学いがく
>    創始そうしした西にし勝蔵かつぞう整体せいたいほう創始そうしした野口のぐちはる哉を、中心ちゅうしんにとりあげたい。
>
>
>              休憩きゅうけい
>
>   15:00-15:30  レスポンス1 金森かなもりおさむ (東京大学とうきょうだいがく科学かがく技術ぎじゅつ思想しそう)
>
>   15:30-16:00  レスポンス2 鈴木すずきあきらひとし(慶応義塾大学けいおうぎじゅくだいがく医学いがく)
>
>               休憩きゅうけい
>
>   16:15-17:30  総合そうごう討議とうぎ  司会しかい 浮ヶ谷うきがや幸代さちよ(おちゃ水女子大学みずじょしだいがく
>                   ジェンダー研究けんきゅうセンター)
>
>   17:30-18:30  懇親こんしんかい
>
>
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_____________________________
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>   科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろん研究けんきゅうかい事務じむきょく
>   国士舘大学こくしかんだいがく木原きはら英逸えいいつ  kihara@pem.kokushikan.ac.jp
>   以上いじょう

 
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木原きはらさん→関西かんさい公共こうきょう政策せいさく研究けんきゅうかい事務じむきょくより

皆様みなさま

科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろん研究けんきゅうかい」では、る2003ねん5がつ31にち(土)に、
以下いかのワークショップをおこないます。
関心かんしんをおちのほうにご案内あんないいたします。

準備じゅんび都合つごうじょう参加さんかほうはお手数てすうでも、事前じぜん下記かき事務じむきょくまで
そのむね連絡れんらくねがいます。かいの1週間しゅうかんまえには、発表はっぴょう梗概こうがいなどの資料しりょう
をおおくりします。
また、終了しゅうりょうどう会場かいじょう簡単かんたん懇親こんしんかい(会費かいひやく1000えん)があります。
研究けんきゅう交流こうりゅうふかめられたらとおもいます。参加さんかほうはこのてんも1週間しゅうかん
まえまでにおらせください。

この案内あんないは、転送てんそう自由じゆうですので、ご関心かんしんきにおらせください。


なお、2003ねん前期ぜんきには、以下いかのワークショップがおこなわれます。
関心かんしんをおちのほうは、ご予定よていください。

だい33かい 2003ねん6がつ21にち(土) ワークショップ「健康けんこう科学かがくをめぐる
だい34かい 2003ねん7がつ12にち(土) ワークショップ「リスク、組織そしき、テクノロジー
                        ―高信頼こうしんらいせい組織そしき研究けんきゅう現在げんざい
かり


事務じむきょくでは、随時ずいじ研究けんきゅうかい企画きかく提案ていあんけています。
くわしくは、ご相談そうだんください。



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             だい32かい科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろん研究けんきゅうかい

 ワークショップ 「トランスディシプリナリティの可能かのうせい?:融合ゆうごうのゆくえ」

              2003ねん5がつ31にち(土) 9:45-17:30
        東京大学とうきょうだいがく先端せんたん科学かがく技術ぎじゅつ研究けんきゅうセンター13号館ごうかん 109号室ごうしつ


  1.ワークショップの目的もくてき

  「伝統でんとうてきでなじみのある知識ちしき生産せいさん方法ほうほうならんで、あたらしい知識ちしき生産せいさん
  方法ほうほう登場とうじょうしつつある」とうたって、M.ギボンズらがそのマニフェストの
  しょ The new production of knowledge, SAGE, 1994を発表はっぴょうしてから10ねん
  ちかく、訳書やくしょでの紹介しょうかいからも5年余ねんよつ。しかし、そこで導入どうにゅうされた「モ
  ード」という概念がいねん、つまり、知識ちしき生産せいさん(と消費しょうひ)の様式ようしきろんは、たして、げん
  だい科学かがく技術ぎじゅつ活動かつどう姿すがたを、そしてそのあるべき姿すがた適切てきせつとらえるもの
  なのだろうか。流行りゅうこう思想しそうとしての一時いちじねつがさめたいまあらためて、その
  混乱こんらんふくめ、様々さまざま視点してんからさい検討けんとう必要ひつようだとかんがえる。

  知識ちしき生産せいさんのモードという概念がいねんは、どのような知識ちしき生産せいさんするのかという
  その内容ないようだけでなく、それらをどのように生産せいさんするか、つまり、知識ちしきなま
  される(そしてそれが消費しょうひされる)コンテクストや、さらにそこでの知識ちしき
  生産せいさん組織そしきする方法ほうほう、そのありかた様式ようしきまでをふくんだものとされる。ほん
  ワークショップでは、これらそれぞれの側面そくめん焦点しょうてんてながら、モード
  ろん可能かのうせいとその一方いっぽうでそこにられるある混乱こんらん議論ぎろんしたい。

  混乱こんらんとは、たとえば、アカデミズム、そのかく学問がくもん分野ぶんやごとのコンテクストの
  なかで、しゅとしてしん知識ちしき拡大かくだい目的もくてきとしてなされてきた「伝統でんとうてきでなじみ
  のある知識ちしき生産せいさん(と消費しょうひ)の方法ほうほう」である「モード1」という様式ようしきと、既存きそん
  かく学問がくもん分野ぶんやにおいてそれを(ふくんでそれを)た「現場げんば」というアプリ
  ケーションのコンテクストのなかで、そこでの問題もんだい解決かいけつ目的もくてきとしてなされ
  る「あたらしい知識ちしき生産せいさん(と消費しょうひ)の方法ほうほう」である「モード2」という様式ようしきとのせき
  かかりにかかわる理解りかい混乱こんらんである。

  同様どうよう混乱こんらんは、そのコンテクストと知識ちしき追求ついきゅう目的もくてきはアカデミズム科学かがく
  とはことなるが、おなじく、かんさんセクターでの知識ちしき生産せいさん消費しょうひについても
  れる(また、アプリケーションとか「現場げんば」というコンテクストの意味いみ
  あやまって、かんさんセクターでの知識ちしき生産せいさん消費しょうひはそれ自体じたいすべてモード2の
  様式ようしきだとの誤解ごかいひろられる)。

  つまり、これらは、冒頭ぼうとう引用いんよう含意がんいをどうるかにかかわることであり、
  そこでは、あらたに登場とうじょうしつつあるモード2がいずれ優勢ゆうせいになりモード1に
  ってわるのか、それとも、両者りょうしゃあるところで均衡きんこうしてけるのか、
  そんな議論ぎろんかえされてきた。しかしそこには、ある混乱こんらんがあるように
  おもわれる。

  さらに、モード1のした産出さんしゅつされる知識ちしきそなえるディシプリナリな性格せいかくうち
  ようと、モード2のした産出さんしゅつされるそれのトランス・ディシプリナリな性格せいかくうち
  ようとの異同いどうをめぐる理解りかいにも混乱こんらんがある。
  ディシプリナリな知識ちしき(そしてマルチ/インター・ディシプリナリな知識ちしき)も、
  トランス・ディシプリナリな知識ちしきも、ともにある共同きょうどうへの意思いしささえられたも
  のであるが、それぞれがかう共同きょうどうせい区別くべつされなければならない。そし
  て、そのことなる共同きょうどうせいのありかた、つくりかたあきらかにしなければならない。
  ほんワークショップでは、こうしたてん具体ぐたいれいそくして議論ぎろんすることにしたい。

  そして、議論ぎろんは、みずからもモード2、トランス・ディシプリナリな知識ちしき生産せいさん
  とするSTSをめぐる可能かのうせい混乱こんらんにもおよぶだろう。


  2. ワークショップの時間割じかんわり

   9:45-10:00 ワークショップ趣旨しゅし説明せつめい

  10:00-11:15  話題わだい提供ていきょう1 (討議とうぎ25ふんふくむ・以下いかどう)
     サトウタツヤ(立命館大学りつめいかんだいがく文学部ぶんがくぶ心理しんりがく)

  「モードろんから心理しんりがく:そのがくはん形成けいせいがくとおる志向しこう

心理しんりがく人間にんげんとその生活せいかつかんする学問がくもんとしてぜん世紀せいきまつごろ成立せいりつしたと
される。この心理しんりがくという学問がくもんについて、その成立せいりつ展開てんかいについてモ
ードろん立場たちばから検討けんとうすることで、心理しんりがく特徴とくちょう一端いったんあきらかにす
るとともに、モードろんてき議論ぎろん可能かのうせいについてかんがえてみたい。
ギボンスらのちょには人文じんぶんけいれいとして歴史れきしがくのアナール学派がくはじょう
げられてはいるが、社会しゃかいけい学問がくもんについての記述きじゅつはない。心理しんりがくとその
関連かんれん領域りょういきについて検討けんとうすることは人文じんぶん社会しゃかいけい学問がくもんをモードろんてき
ることにつながりうる。

まず、議論ぎろん前提ぜんていとして、心理しんりがく科学かがく技術ぎじゅつたりうるのか、人文じんぶんけい
なのか社会しゃかいけいなのか、という議論ぎろん疑問ぎもん)もありるだろうから、そ
てんについて最初さいしょ若干じゃっかん説明せつめいおこなう。

19世紀せいき中葉ちゅうよう以降いこうに「精神せいしんについての考察こうさつ」というかいをもとめた哲学てつがく
科学かがく協同きょうどう作業さぎょう心理しんりがく源流げんりゅうとらえた場合ばあい、この学問がくもんはまさにモー
ド2てきだったのかもしれない。しかし、知的ちてき遅滞ちたい客観きゃっかんてき理解りかいとい
かいもとめる教育きょういく現場げんば実践じっせん心理しんり学者がくしゃたちの協同きょうどう作業さぎょう成功せいこうおさむ
めたことで、哲学てつがく科学かがく協同きょうどう作業さぎょうだった心理しんりがくあたらしいモード1と
して成立せいりつしたのではないか。その、モード1てきには行動こうどう主義しゅぎ精神せいしん
分析ぶんせき影響えいきょう顕著けんちょとなるが、だいいち世界せかい大戦たいせんにおける兵士へいし選抜せんばつりく
うみそら)、だい世界せかい大戦たいせんにおける戦争せんそう神経症しんけいしょうへの対処たいしょなど、おおくの
モード2てき提案ていあん心理しんりがくにはげかけられ、おおくの心理しんり学者がくしゃかかわっ
ていた。そしてその経験けいけん戦後せんご心理しんりがく展開てんかいおおきく寄与きよした。

ただし、発表はっぴょうしゃ自身じしんもこのすうねん心理しんり学者がくしゃとしてかかわった「ほう心理しんりがく
(たとえば目撃もくげき証言しょうげん信憑しんぴょうせい)にかんしていえば、共通きょうつうかいもとめられ
ているようであって、実際じっさい法廷ほうてい必要ひつよう知識ちしき供給きょうきゅうこそがもとめられ
ているとかんじるような領域りょういき存在そんざいする。最近さいきんは、のう科学かがく老人ろうじん精神せいしん
がくなどと心理しんりがくとの協同きょうどう作業さぎょうおおられるようになってきたが、こ
れいかぎらず、どのアクターの「土俵どひょう」のうえでのかい生産せいさん優勢ゆうせいたり
うると見通みとおしているのか、ということを見極みきわめないと、(心理しんり学者がくしゃ
かぎらず)あるアクターたちはたんなる技術ぎじゅつ供与きょうよしゃとして「使つかわれる」だ
けになってしまう。この意味いみで、さきにあげたぐん心理しんりがく協同きょうどう作業さぎょう
協同きょうどう作業さぎょうというあたいするのか、という検討けんとう必要ひつようになる。人文じんぶんしゃ
かいけい学問がくもんでは「アプリケーションのコンテキスト」が成立せいりつしにくいと
いう事情じじょうもあるためにこうした検討けんとう重要じゅうようになるとおもわれる。

モードろんという補助ほじょせんもちいることによって、人文じんぶん社会しゃかいけいちかがく
といにおけるがくとおる(トランスディシプリナリティ)のありかたやそれをさまたげ
げるものについて理解りかいすることも可能かのうになるのであれば、外部がいぶない
の「対立たいりつ」を止揚しようするものとしてモードろん意義いぎちいさくないの
ではないだろうか。


  11:15-12:30  話題わだい提供ていきょう
      平田ひらた光司こうじ(総合研究大学院大学そうごうけんきゅうだいがくいんだいがく教育きょういく研究けんきゅう交流こうりゅうセンター・物理ぶつりがく)

 「こうエネルギー加速器かそくき建設けんせつのモード」

先端せんたんてき加速器かそくき建設けんせつにあたっては、力学りきがく理論りろん電磁石でんじしゃく高周波こうしゅうは空洞くうどう真空しんくう
ビーム計測けいそく、フィードバックなど、せんもんのことなる専門せんもん協力きょうりょくする。ぎょう
績の評価ひょうか論文ろんぶんだけではく、プロジェクトへの貢献こうけんによってはかられる。
この意味いみ先端せんたんてき加速器かそくき建設けんせつはモード2のようにえる。しかし、この
研究けんきゅうしゃ集団しゅうだん分野ぶんや横断おうだんてき専門せんもんを「あつめ」たものではく、長年ながねん
わたって加速器かそくき建設けんせつにたずさわり加速器かそくき全体ぜんたいについての知識ちしきつ「同族どうぞく
集団しゅうだん」でもある。かくせんもんにおいては、あたえられた任務にんむ遂行すいこうするだけでな
く、専門せんもん分野ぶんや全体ぜんたいのデザインにもくち全体ぜんたいせいをもっている。
また、知識ちしき追求ついきゅうのためのモード1てき研究けんきゅう論文ろんぶん生産せいさんをベースとする)も
同時どうじにおこなわれており、それが、任務にんむ遂行すいこうにも必要ひつようである。先端せんたんてき加速かそく
うつわ建設けんせつは、加速器かそくきかんする暗黙あんもく共有きょうゆうする専門せんもん家集かしゅうだんでしか、おこなえな
い。そのために、こうエネルギー物理ぶつりがく業界ぎょうかいは、加速器かそくき研究けんきゅうしゃ集団しゅうだんかか
ているのである。さまざまな問題もんだい対処たいしょすべく、モード2のような研究けんきゅう
ありかたが必要ひつようだとしても、トップダウンてき専門せんもんあつめ、任務にんむ
あてて、成果せいかをまとめてわり、というようなものであってはならない
だろう。

             昼食ちゅうしょく

  13:30-14:45  話題わだい提供ていきょう
     山脇やまわき直司なおじ(東京大学とうきょうだいがく総合そうごう文化ぶんか相関そうかん社会しゃかい科学かがく)

  「トランスディシプリナリーな学問がくもんとしての公共こうきょう哲学てつがく学問がくもん構造こうぞう改革かいかくのため
  に」

 現在げんざい日本にっぽんのアカデミックなのモードは、学術がくじゅつ会議かいぎ公認こうにん学問がくもん分類ぶんるい(コード)
 ひょうによってつよ規定きていされている。東京大学とうきょうだいがく本郷ほんごうキャンパスの学部がくぶ学科がっか構成こうせいとほ
 ぼ合致がっちするこの分類ぶんるいほうは、日本にっぽんでの学界がっかい活動かつどうにおいてひろさい生産せいさん流通りゅうつう消費しょうひ
 され、おおくの学者がくしゃおおまかな学問がくもん理解りかい規定きていしているイデオロギーとってよい
 だろう。だが、このようなさい生産せいさん学問がくもん理解りかいによっては、21世紀せいき今日きょう
 人類じんるい直面ちょくめんしている地球ちきゅう環境かんきょう科学かがく技術ぎじゅつ平和へいわ社会しゃかいてき公正こうせいしょ文明ぶんめい諸宗しょしゅう
 きょう共存きょうぞんなどおおきな問題もんだいぐんにも、国内こくないにおける政治せいじ経済けいざい教育きょういくなど広範こうはん
 領域りょういきにわたる公共こうきょうてきしょ問題もんだい対応たいおうできない。そのためには、「ポスト専門せんもん
 時代じだいにおける公共こうきょう哲学てつがくというトランスディシプリナリーな学問がくもんによる「学問がくもんの構
 みやつこ改革かいかく」が必要ひつようである。実際じっさい実証じっしょうてき記述きじゅつ対象たいしょう規範きはんてき価値かち理念りねん双方そうほうを含
 みもつ公共こうきょうせい公共こうきょう世界せかいというキー・コンセプトは、トランスディシプリナリー
 な
 論点ろんてんとして、分断ぶんだんされだこつぼされたしょ学問がくもん共通きょうつう土俵どひょうせる起爆きばくりょく
 めている。なぜなら、公共こうきょうせい公共こうきょう世界せかいかたることで、実証じっしょうてき記述きじゅつてきもろがく
 とい理念りねんてき規範きはんてき次元じげんらざるをなくなるし、哲学てつがく倫理りんりがくは、れき
 史的してき経験けいけんてき次元じげん裏打うらうちされなければならなくなるからである。それはまた、
 グローバルな視点してん保持ほじしつつも、ローカリティ(地域ちいき現場げんば)にざした人々ひとびと
 実践じっせんともリンクする「グローカルな」公共こうきょう哲学てつがくとして展開てんかいされる必要ひつようがある
 だろう。

             休憩きゅうけい

  15:00-15:30  レスポンス1 松本まつもと三和みわおっと(東京大学とうきょうだいがく文学部ぶんがくぶ社会しゃかいがく)

  15:30-16:00  レスポンス2 桑子くわご敏雄としお(東京工業大学とうきょうこうぎょうだいがく社会しゃかい理工りこうがく
                  社会しゃかいてき合意ごうい形成けいせいろん)・依頼いらいちゅう

              休憩きゅうけい

  16:15-17:30  総合そうごう討議とうぎ  司会しかい 木原きはら英逸えいいつ(国士舘大学こくしかんだいがく政経せいけい科学かがく技術ぎじゅつろん)

  17:30-18:30  懇親こんしんかい


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  科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろん研究けんきゅうかい事務じむきょく
  国士舘大学こくしかんだいがく木原きはら英逸えいいつ  kihara@pem.kokushikan.ac.jp
  以上いじょう

 
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だい31かい科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろん研究けんきゅうかい」のおらせ

 *木原きはらさんより 

皆様みなさま

科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろん研究けんきゅうかい」では、る2002ねん12月7にち(土)に、
以下いかのワークショップをおこないます。
関心かんしんをおちのほうにご案内あんないいたします。

準備じゅんび都合つごうじょう参加さんかほうはお手数てすうでも、事前じぜん下記かき事務じむきょくまで
そのむね連絡れんらくねがいます。かいの1週間しゅうかんまえには、発表はっぴょう梗概こうがいなどの資料しりょう
をおおくりします。
また、終了しゅうりょうどう会場かいじょう簡単かんたん懇親こんしんかい(会費かいひやく1000えん)があります。
研究けんきゅう交流こうりゅうふかめられたらとおもいます。参加さんかほうはこのてんも1週間しゅうかん
まえまでにおらせください。

この案内あんないは、転送てんそう自由じゆうですので、ご関心かんしんきにおらせください。

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       だい31かい科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろん研究けんきゅうかい

        ワークショップ「人体じんたい実験じっけん政治せいじがく

            2002ねん12月7にち(土) 9:45-17:30
       東京大学とうきょうだいがく先端せんたん科学かがく技術ぎじゅつ研究けんきゅうセンター13号館ごうかん 215号室ごうしつ


1.ワークショップの目的もくてき

このワークショップでは、かつて歴史れきしてき存在そんざいした人体じんたい実験じっけん具体ぐたい事例じれい
いくつか正確せいかく回顧かいこすることをとおして、そこに錯綜さくそうしたかたち混在こんざいする科学かがく
せい政治せいじせい倫理りんりせい問題もんだいを、糾弾きゅうだんてき告発こくはつてきなスタンスをあえてけな
がら分析ぶんせきすることを目指めざす。
というのも、人体じんたい実験じっけん通常つうじょう医療いりょう不即不離ふそくふりむすびついたものであり、
それをたん外在がいざいてき弾劾だんがいするだけではとうていその複雑ふくざつ問題もんだい肌理きめ
見極みきわめることは不可能ふかのうだからである。
アメリカで隆盛りゅうせいほこるいわゆるバイオエシックスの成立せいりつにあたり、史上しじょう
存在そんざいした「人道的じんどうてきな」人体じんたい実験じっけんへの注目ちゅうもくとそれへの反省はんせいという契機けいき
重要じゅうよう役割やくわりたしたことをかんがえるなら、また90年代ねんだい初頭しょとうにアメリカで
おこなわれた放射能ほうしゃのう人体じんたい実験じっけん暴露ばくろ事件じけん以降いこう人体じんたい実験じっけんろんふたた注目ちゅうもくあつまっ
ているという現状げんじょうかんがえるなら、今日きょうふたた人体じんたい実験じっけん射程しゃていふか考察こうさつする
ことはきわめて重要じゅうようなものだとかんがえることがゆるされる。
ほんワークショップはこのテーマに統一とういつして、問題もんだい徹底的てっていてきげを
目指めざすものである。


2. ワークショップの時間割じかんわり

9:45-10:00 ワークショップ趣旨しゅし説明せつめい

10:00-11:15  話題わだい提供ていきょう1 (討議とうぎ25ふんふくむ・以下いかどう)
        市野川いちのかわようこうじゅうきゅう世紀せいき人体じんたい実験じっけん医療いりょう倫理りんり

ペッテンコーファーのコレラきん(コンマきんいん実験じっけんは、プレ細菌さいきんがくパラダイムと
細菌さいきんがくパラダイムの衝突しょうとつというてんのみならず、人体じんたい実験じっけんかんする医療いりょう倫理りんり
衝突しょうとつというてんでも、きわめて象徴しょうちょうてき出来事できごとであるようにおもわれる。ペッテン
コーファーは、「たとえその結果けっかがいかに科学かがくにとって有益ゆうえきであろうと、すなわち
他人たにん健康けんこうのために有益ゆうえきであろうと、そのひとにとってはがいにのみなるような実験じっけん
を、人間にんげんにおいてけっして実行じっこうしない」(C・ベルナール『実験じっけん医学いがく序説じょせつ』、この原則げんそく
えてみとめられるのは医学いがく研究けんきゅうしゃ自己じこ実験じっけんのみである、という19世紀せいきてき
医療いりょう倫理りんり忠実ちゅうじつであった。ペッテンコーファーは、その医学いがく理論りろんのみならず、医療いりょう
倫理りんりにおいても、コッホと細菌さいきんがくに「敗北はいぼく」していくのであり、以後いご、「科学かがくにとって
有益ゆうえき」ではあるが「そのひと[=被験者ひけんしゃ]にとってはがいにのみなるような実験じっけん」は
かえされ、事実じじつ、あまり注目ちゅうもくされないが、すくなからぬ医学いがく研究けんきゅうしゃ刑事けいじじょう有罪ゆうざい
判決はんけつくだされる。ほん報告ほうこくでは、細菌さいきんがく以前いぜんの19世紀せいきてきな、人体じんたい実験じっけんかんする
医療いりょう倫理りんりがどのようなものであったかを不十分ふじゅうぶんながらもあきらかにし、その
変容へんようとの比較ひかくにつなげたいとおもう。


11:15-12:30  話題わだい提供ていきょう
      小俣おまた和一郎かずいちろう 「731部隊ぶたいとナチスの医学いがく

そもそも医学いがくは、人体じんたい実験じっけんなしに発展はってんすることはなく、あたらしい治療ちりょうほうのほとんどは
人体じんたい実験じっけんとしてはじまる。われわれは、まずこの基本きほんてき事実じじつからスタートすべきだ。
人体じんたい実験じっけんを、たんなる「あく」として批判ひはんしてしまうのでは、医学いがくそのものを否定ひていすることに
なる。しかしながら、これまでの医学いがく倫理りんり(medical ethics, Medizinische Ethik)は、この
基本きほんてき現実げんじつ原則げんそくをどこかでおろそかにしたまま、「倫理りんり」というものを、あたかも医師いし
個人こじん道徳どうとくてき問題もんだいであるかのようにろんじ、「人間にんげんせい」とか「人道じんどう主義しゅぎ」(いわゆる生命せいめい
とうとさ)などの一般いっぱんてきモラルのレベルへと平板へいばんしてきたかのようにみえる。

だが、このようなだい問題もんだいを、たんなる一般いっぱん道徳どうとく問題もんだいとしてのみとらえていてよいのか、
−もしそうであるのなら、20世紀せいき現代げんだい医学いがく経験けいけんした日本にっぽんの731部隊ぶたいによる人体じんたい
実験じっけんや、ナチ強制きょうせい収容しゅうようしょにおいておこなわれた人体じんたい実験じっけんも、たんなる道徳どうとく欠如けつじょ人間にんげんせい
喪失そうしつとしてしか批判ひはんすることはできない。731部隊ぶたい日々ひび人体じんたい実験じっけんにあたっていた日本にっぽん
軍医ぐんいも、強制きょうせい収容しゅうようしょ人体じんたい実験じっけんめたナチの医師いしたちも、たん一般いっぱん道徳どうとく
欠落けつらくしていたというだけのことでしかないのか。

もし歴史れきしたいして謙虚けんきょであろうとするなら、われわれはもう一度いちど過去かこ歴史れきしのなかで
なにおこなわれたのか、731部隊ぶたい・ナチ医学いがく実態じったいとはなにだったのかを、さい検証けんしょうすること
から出発しゅっぱつすべきであろう。そのさい、とくに重要じゅうよう視点してんは、731医学いがくもナチ医学いがくも、その
本質ほんしつにおいてはなんへだたりもなかったというスタンスである。この両者りょうしゃ別個べっこのものとして
とらえ、一方いっぽう細菌さいきん戦争せんそう生物せいぶつせん)のためのもの、他方たほう人種じんしゅ主義しゅぎ由来ゆらいするものと区別くべつ
することは(それ自体じたい歴史れきしてきただしいとしても)、この歴史れきし事実じじつからおおくのことをみちび
さまたげとなってしまうだろう。たしかに、それらは「戦争せんそう医学いがく犯罪はんざい」として一括いっかつしてかたられ、
戦後せんごはもっぱら「あく象徴しょうちょう」「悪魔あくまのしわざ」「はん倫理りんり典型てんけい」としてのみ批判ひはんされてきた。
また、そこでおこなわれた事実じじつたんなる好奇こうきのぞむかのような「こわいものたさ」の
心理しんり誇張こちょうして叙述じょじゅつするものすらあらわれた。

だが、これらをたんなる戦争せんそう付随ふずいする医学いがく犯罪はんざいとしてのみとらえることも、またたんなる例外れいがいてき
な「悪魔あくま仕業しわざ」としてかたづけることも間違まちがっている。そうした単純たんじゅんからは、これまでの医学いがく
倫理りんり見直みなおそうとする一切いっさいこころみも、あらたな医療いりょう技術ぎじゅつ暴走ぼうそうめるための一切いっさいゆう意味いみ
提言ていげんうまれないであろう。

たしかに731部隊ぶたい・ナチ医学いがく人体じんたい実験じっけんたいするのぞ趣味しゅみてき倒錯とうさくてき反応はんのうべつとしても、
それを「倫理りんり道徳どうとくはんするもの」として例外れいがいあつかいする従来じゅうらいからの批判ひはんパラダイムを不十分ふじゅうぶん
なものとする反論はんろんは、すでにいくつかあらわれている。ナチズムを「あく極致きょくち」とめつける
ことに批判ひはんてきをむけた米本よねもと昌平しょうへい*や、731部隊ぶたい人体じんたい実験じっけん成果せいか戦後せんご医学いがく
一定いってい学問がくもんてき寄与きよをなしたとする常石つねいし敬一けいいち*らの議論ぎろんがそれである。だが、これらの議論ぎろんは、
過去かこのナチズムや日本にっぽん医学いがくぎゃく称揚しょうようして、それらにたいする根本こんぽんてき批判ひはん骨抜ほねぬきにする
危険きけんせいともなっていないか。それがぎることによって、たとえば米本よねもとのように、現在げんざい
優生ゆうせいがくへの批判ひはんじくからナチズム批判ひはんってしまおうとする危険きけん論議ろんぎ変容へんようすることは
ないのか。また、常石つねいしのいうように、本当ほんとうにこれらの人体じんたい実験じっけんは、戦後せんご医学いがく発展はってん貢献こうけん
したと断言だんげんできるのか。―

ほん報告ほうこくは、そもそも医学いがく人間にんげん基本きほんてき関係かんけい出発しゅっぱつてんとして、医学いがく必要ひつようせいはどこにある
のか、今後こんご先端せんたん医療いりょう技術ぎじゅつ進歩しんぽとともにどんな「あたらしい倫理りんり」が要求ようきゅうされるのか、などの
基本きほんてき問題もんだいたいする解答かいとう模索もさくしようとするひとつのささやかなこころみである。そのためには、
なによりもまず、これまでの過去かこ歴史れきし検証けんしょうすることからはじめなければならない。1980
年代ねんだいから90年代ねんだいにかけてのドイツでは、すでにこうした歴史れきし検証けんしょうがはじめられ、21世紀せいき
はいった現在げんざいでは、その作業さぎょうおわりにちかづいているといってよいだろう。日本にっぽんは、このドイツの
うごきにおくれはしたが、いま、その検証けんしょう作業さぎょう再開さいかいすべきときにあるのではないか。そうした仕事しごと
つうじて、はじめてわれわれはあたらしい医学いがく倫理りんり確立かくりつかって、いちすことが
できる。


           昼食ちゅうしょく

13:30-14:45  話題わだい提供ていきょう
      金森かなもり おさむ 「タスキーギ研究けんきゅう科学かがく文化ぶんか

1932ねんから40ねんにもわたってつづいた一種いっしゅ人体じんたい実験じっけんをめぐる報告ほうこく。1930年代ねんだい
初頭しょとう系統けいとうてき梅毒ばいどく罹患りかん調査ちょうさによって、アメリカ南部なんぶ、アラバマしゅうタスキーギ近辺きんぺん
黒人こくじん零細れいさい小作こさくじんたちがきわめてたか罹患りかんりつしめしているということがわかる。
本来ほんらいならその調査ちょうさ直後ちょくご治療ちりょうはじめるところだったが、経済けいざいてき理由りゆうにより治療ちりょう
実施じっし断念だんねんせざるをえなかった医師いしたちは、そこでかれ黒人こくじん零細れいさいのう純粋じゅんすい感染かんせん
集団しゅうだんとらえ、治療ちりょう放棄ほうきして経過けいか観察かんさつをすることを決意けついする。ほんのわずかの期間きかん
わるはずだったその経過けいか観察かんさつは、実際じっさいには72ねんにマスコミに暴露ばくろされるまで
40ねんつづく。ほん報告ほうこくは、この未曾有みぞう人体じんたい実験じっけん委細いさい顛末てんまつ素描そびょうあたえ、その
評価ひょうかを、擁護ようごろん反駁はんばくろんたたかわせるかたちで、その倫理りんりてき意味いみさぐる。


           休憩きゅうけい

15:00-15:30  レスポンス1 小松こまつ美彦よしひこ

15:30-16:00  レスポンス2 香川かがわともあきら

            休憩きゅうけい

16:15-17:30  総合そうごう討議とうぎ  司会しかい 金森かなもり おさむ

17:30-18:30  懇親こんしんかい
__________________________________________________________________________

科学かがく技術ぎじゅつ社会しゃかいろん研究けんきゅうかい事務じむきょく
国士舘大学こくしかんだいがく木原きはら英逸えいいつ  kihara@pem.kokushikan.ac.jp


以上いじょう

 cf.◇人体じんたい実験じっけん


REV:...20030824,..1115,1208
学会がっかい研究けんきゅうかい  ◇研究けんきゅう教育きょういく機関きかんのホームページ
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