(Translated by https://www.hiragana.jp/)
立岩真也「自分が選んだ人をヘルパーにする――知ってることは力になる・2」
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自分じぶんえらんだひとをヘルパーにする

ってることはちからになる・2―

立岩たていわ しん 98803 『こちら”ちくま”』7
発行はっこう自立じりつ支援しえんセンター・ちくま


 今回こんかい介助かいじょ介護かいご)のことをどうするか、です。生活せいかつ保護ほご他人たにん介護かいご加算かさんについては前回ぜんかいすこげたので、ここではホームヘルプサービスについて。現在げんざい、ヘルパーの派遣はけんしゅうかい、1かいあいだといったところがおおくて、平日へいじつあさから夕方ゆうがたまでの時間じかんたいで、こうが派遣はけんしてきたひとがやってくる。おもうように仕事しごとしてくれなくても、相性あいしょうわなくても、なかなかえてもらえない。男性だんせいのヘルパーのほうがよくても女性じょせいしかいない。そういうわけで使つか勝手がってわるい。
 こんなことを指摘してきすると「それがきまりだ」と「当局とうきょく」はうかもしれません。しかし、そんなきまりはくにのレベルではどこにもないのです。むしろ、派遣はけん時間じかん上限じょうげんもうけるべきでない、日曜にちよう祝日しゅくじつあさよるいつでも対応たいおうすべきだというのがくに方針ほうしんです。実際じっさい地方ちほう都市としでもつき 100あいだえて派遣はけんしているところがいくつもてきています。 つぎに、これもおさだまりで「おかねがない」とわれるかもしれません。しかしホームヘルプサービスの財源ざいげんは(利用りようしゃ負担ふたんぶんべつにして)こくぶんの1、けんぶんの1、ぶんの1。非常勤ひじょうきんのヘルパーの時給じきゅう1440えん(1997年度ねんど)だから、負担ふたんは(利用りようしゃ負担ふたんがない場合ばあいでも)1あいだあたり 300えんだいです。かりに 400えんとして、予算よさんとし4000まんえん上積うわづみすれば(松本まつもと市民しみんにんあたり 200えん負担ふたん年間ねんかん10まん時間じかんやすことができます。しゅうかい、1かいあいだなら年間ねんかんやく 200あいだですが、それを、たとえば利用りようしゃ 100にんについて、プラス年間ねんかん1000時間じかんけい1200あいだ)にできるということです。それくらいのことができないはずはないのです。
 最後さいごきむはあっても「じんがいない」とうかもしれません。しかし、時給じきゅう1000えん以上いじょう仕事しごとじんがいないなんていうことは、ちょっと不思議ふしぎなはなしです。そしてここがねらです。介助かいじょしてくれるひとさがしてきて(「ちくま」も協力きょうりょくしてくれるはずです)、「ひとほう自分じぶん確保かくほできてます」とえばよいのです。いままで介助かいじょしてくれてて自分じぶんのことをよくっているひとならなお使つか勝手がってがよいでしょう。そのひとを「ヘルパーとして登録とうろくします。ひとはいます。だいたいいまいるヘルパーは障害しょうがいしゃらしのことをよくわかっていない。わたしっているひとほうがずっといい仕事しごとをしてくれます。」とう。これにたいしてまともな反論はんろんはありえません。これがみとめられれば、おかね税金ぜいきんから、でもサービス利用りよう選択せんたく自分じぶんで、というかたちが実現じつげんされるわけです。
 そして、これは(こまかなてんはぶくと、おおくの場合ばあいこん現在げんざいある制度せいど変更へんこうせず、あらたな制度せいどつくらずに、担当たんとう部局ぶきょく趣旨しゅし理解りかいすれば(理解りかいできない理由りゆうは、普通ふつうは、かんがえつかない)、すぐに可能かのう方法ほうほうです。行政ぎょうせい用語ようごではありませんが「自薦じせん登録とうろくヘルパー制度せいど」とばれたりします。(いくつかの自治体じちたいにある「介護かいごじん派遣はけん事業じぎょう」は、やはり財源ざいげんてきにはホームヘルパーの制度せいど使つかうのですが「要綱ようこう」などをけんあるいはあらたにつくらせることになって、くらべるとすこ面倒めんどうです。)いま全国ぜんこく各地かくちでこういう方向ほうこうでの交渉こうしょうおこなわれ、かなりの割合わりあい実現じつげんしてきています。そしてつき 100時間じかん以上いじょう日曜にちよう夜間やかんもといった派遣はけんは、おおくの場合ばあいこの方式ほうしき導入どうにゅうによって可能かのうになりました。松本まつもとでもこういう方向ほうこうねらってみたらいかがでしょう。よりくわしい情報じょうほう障害しょうがいしゃ自立じりつ生活せいかつ介護かいご制度せいど相談そうだんセンター」事務じむきょく東京とうきょう)にあります。またわたしどものホームぺージの「障害しょうがいしゃ自立じりつ生活せいかつ介護かいご制度せいど相談そうだんセンターからの情報じょうほう」というコーナーからも情報じょうほうることができます。(http://www.arsvi.com)

  ※おまけ 前々回ぜんぜんかい予告よこくした報告ほうこくしょ障害しょうがい当事とうじしゃ提案ていあんする地域ちいきケアシステム――英国えいこくコミュニティケアへの当事とうじしゃ挑戦ちょうせん』(ヒューマンケア協会きょうかいケアマネジメント研究けんきゅう委員いいんかいちょ発行はっこう:ヒューマンケア協会きょうかい日本にっぽん財団ざいだん非売品ひばいひん)が刊行かんこうされました。興味きょうみのあるほうは「ちくま」にご連絡れんらくを。


REV: 20161031
介助かいじょ介護かいご  ◇自立じりつ支援しえんセンター・ちくま  ◇立岩たていわ しん
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