「(97)Histoire de la Folie, Plon [『狂気の歴史』、田村俶訳、新潮社、一九七五年]。われわれの資本主義的な社会構成体において、国家の「医療的」イデオロギー装置と呼ぶ権利があると考えられるものについて、われわれはこれまで沈黙してきた。この装置は、それだけで一個の研究全体に値するものであろうが、われらが〈医学界の権威〉たちによって無視されたフーコーのこの注目すべき著作(残念ながら、われらが〈権威〉たちは、もはやこうした著作を燃やしてしまうことができないのだ)は、この装置にかんする重要な諸要素の系譜学を、われわれに与えてくれる。じっさい、ピネルの〈ヒューマニズム〉やドレーの薬理学によって緩和されたとはいえ、依然として一個の抑圧の歴史である〈狂気〉の歴史は続いている。そしてこの歴史は、多くの医師たちが自分たちの便宜のために「狂気」と呼ぶものを、きわめて大幅にはみ出している。」(p.420)