木星もくせいとガリレオ衛星えいせい（2019年ねん）

夜半やはんの明星みょうじょう

「夜半やはんの明星みょうじょう」とも呼よばれる木星もくせいは、月つきを別べつとすれば夜空よぞらで一いち番目ばんめ立たって明あかるく見みえる天体てんたいです。建物たてものなどに遮さえぎられなければ、街まち明あかりがあるようなところでも簡単かんたんに見みつかります。

2019年ねんの木星もくせいは「へびつかい座ざ」にあります。「さそり座ざ」の1等とう星ほしアンタレスや、木星もくせいの東ひがしに見みえる土星どせいとともに、夏なつの宵よい空そらを飾かざります。空そらが暗くらいところでは木星もくせいと土星どせいの間あいだに天あまの川がわも見みえるでしょう。

2019年ねん6月がつ中旬ちゅうじゅん 22時じの空そら（東京とうきょう）。画像がぞうクリックで表示ひょうじ拡大かくだい（ステラナビゲータで星図せいず作成さくせい、以下いか同どう）。
（4月（0時じ）／5月（23時じ）／6月（22時じ）／7月がつ（21時じ）／8月（20時じ）／9月（19時じ）／10月（18時じ）／11月（17時じ30分ふん））

木星もくせいに関かんする諸しょ現象げんしょう

2019年ねん4月がつから11月がつごろまでに起おこる、木星もくせいと月つきとの接近せっきんなどは、以下いかのとおりです。このうち月がつとの接近せっきんは、やや間隔かんかくは大おおきくなりますが前後ぜんごの日ひにも見みることができます。

木星もくせいは、12月上旬じょうじゅん以降いこうは太陽たいように近ちかづいて見みえにくくなり、12月下旬げじゅんに合ごう（太陽たいようと同おなじ方向ほうこうになること）を迎むかえて見みえなくなります。その後ごは来年らいねん2月がつ上旬じょうじゅんごろから、明あけ方がたの南東なんとうの空そらに見みえるようになります。

土星どせいも見みごろ

今年ことしの夏なつから秋あきは、木星もくせいとともに土星どせいも見みごろを迎むかえます。空そらが暗くらければ、天そらの川かわの西にしに木星もくせい、東ひがしに土星どせいが輝かがやく、すばらしい光景こうけいを眺ながめることができるでしょう。

モバイルツールでシミュレーション

iOS用ようの「iステラ」「iステラ HD」やアンドロイド用よう「スマートステラ」などのモバイルアプリを使つかうと、端末たんまつを向むけた方向ほうこうの空そらを画面がめんにシミュレーション表示ひょうじするので、木星もくせいのある方向ほうこうや周まわりの星ほし、星座せいざの名前なまえが簡単かんたんにわかります。日時にちじを変化へんかさせて月つきとの接近せっきんをシミュレーションすることもできます。

• iPhone/iPod touch用よう「iステラ」
• iPad用よう「iステラ HD」
• Android用よう「スマートステラ」
  各社かくしゃの「アプリ取とり放題ほうだいサービス」でもご利用りよういただけます

他たの製品せいひんは ›› モバイル製品せいひん情報じょうほう

木星もくせいの位置いちや周囲しゅういの星座せいざ、星ほしの名前なまえをスマートステラで表示ひょうじ。コンパス連動れんどう時じには実際じっさいの空そらで見みえる方向ほうこうまでナビゲーションしてくれる。画像がぞうクリックで表示ひょうじ拡大かくだい。

ガリレオ衛星えいせい

木星もくせいには70個こ以上いじょうの衛星えいせいが見みつかっています。そのうちイオ、エウロパ、ガニメデ、カリストは大型おおがたの衛星えいせいで、双眼鏡そうがんきょうや小型こがた望遠鏡ぼうえんきょうでも存在そんざいがわかります。1610年ねんにガリレオが発見はっけんしたことから、この4つはとくにガリレオ衛星えいせいとも呼よばれています。

ガリレオ衛星えいせいのうち、一番いちばん木星もくせいに近ちかいイオはわずか2日にち弱じゃくで木星もくせいの周まわりを一いち回まわりします。一番いちばん外側そとがわのカリストも一いち回まわりするには約やく17日にちほどしかかかりません。このため、ガリレオ衛星えいせいの位置いちは目めまぐるしく変化へんかします。木星もくせいの裏うらに回まわったり木星もくせいの影かげに入はいったりして、見みえなくなっていることもあります。

衛星えいせいの動うごきをシミュレーション動画どうがにしたので、観察かんさつの際さいの参考さんこうにしてください（I：イオ／II：エウロパ／III：ガニメデ／IV：カリスト）。図ずは上うえが北きたになっています。天体てんたい望遠鏡ぼうえんきょうでは像ぞうが回転かいてんしていることが多おおいので見比みくらべるときには注意ちゅういしましょう。

2019年ねん4月がつから10月がつのガリレオ衛星えいせいの動うごき。上うえが北きた。衛星えいせいは実際じっさいよりも大おおきく描画びょうがしている。囲かこみ内ないは木星もくせいの拡大かくだい像ぞう（正せい立像りつぞう）（ステラナビゲータでシミュレーション）。

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縞しま模様もようと大だい赤あか斑まだら

天体てんたい望遠鏡ぼうえんきょうで木星もくせいを見みると、縞しま模様もようがあるのがわかります。口径こうけい5cm程度ていどの小型こがた望遠鏡ぼうえんきょうでも、目立めだつ2本ほんを確認かくにんできるでしょう。

口径こうけいが大おおきくなると、さらに多おおくの縞しま模様もようが見みえてきます。気流きりゅうが安定あんていしているとき（風ふうがないとき）や木星もくせいが南みなみの空そらに見みえるとき（昇のぼった直後ちょくごや沈しずむ直前ちょくぜんではないタイミング）のほうが条件じょうけん良よく見みえるでしょう。

さらに、大だい赤あか斑むらという模様もようも見みえるかもしれません。大だい赤あか斑まだらは直径ちょっけいが地球ちきゅう数すう個こ分ぶんもある、巨大きょだいな台風たいふうのようなものです。木星もくせいは約やく10時じ間あいだで自転じてんしているので、大だい赤あか斑まだらが裏うらにまわっていることもあります。タイミングを見計みはからって観察かんさつするようにしましょう。

探査たんさ機き「カッシーニ」が撮影さつえいした木星もくせい。縞しま模様もようや大だい赤あか斑まだら（右みぎ下かの赤あかい渦巻うずまき）が見みえる。左下ひだりしたの黒くろい丸まるは衛星えいせいの影かげ。画像がぞうクリックでリリース元もとページへ（クレジット：NASA / JPL / University of Arizona）。

公開こうかい天文台てんもんだいや科学かがく館かんなどで開催かいさいされる観望かんぼう会かい（観察かんさつ会かい、観測かんそく会かい）では、大おおきい望遠鏡ぼうえんきょうで木星もくせいを見みることができます。お近ちかくのイベント情報じょうほうは、全国ぜんこくプラネタリウム＆公開こうかい天文台てんもんだい情報じょうほうページ「パオナビ」で検索けんさくしてみてください。

ステラナビゲータで見みえ方かたをシミュレーション

オンラインショップ

木星もくせいを撮影さつえいしてみよう

カラーCMOSカメラを天体てんたい望遠鏡ぼうえんきょうに接続せつぞくして惑星わくせいを動画どうが撮影さつえいし、その中なかから写うつりの良よいフレームだけを選えらんで多数たすう枚まいコンポジットすると、精緻せいちで滑なめらかな惑星わくせい像ぞうを得えることができます。天体てんたい画像がぞう処理しょりソフトウェア「ステライメージ」を使つかうと、動画どうがからのコンポジットはもちろん、カラーバランス調整ちょうせいやディテール強調きょうちょうまで簡単かんたんかつ詳細しょうさいに行おこなえます。画像がぞうを「作品さくひん」に仕上しあげてみましょう。

「星ほしナビ」連載れんさい記事きじ：

• 2018年ねん6月がつ号ごう：「CMOSカメラで惑星わくせいを撮とる 1. 惑星わくせい撮影さつえい用ようの望遠鏡ぼうえんきょうとカメラ」
• 2018年ねん7月がつ号ごう：「CMOSカメラで惑星わくせいを撮とる 2. 惑星わくせい撮影さつえい用ようの準備じゅんびと実際じっさい」
• 2018年ねん8月がつ号ごう：「CMOSカメラで惑星わくせいを撮とる 3. 惑星わくせいの動画どうが撮影さつえい」

太陽系たいようけい最大さいだいの惑星わくせい

木星もくせいは大おおきさ（赤道あかみち部分ぶぶんの直径ちょっけい）が地球ちきゅうの約やく11倍ばい、質量しつりょうが地球ちきゅうの約やく320倍ばいある、太陽系たいようけいの惑星わくせいの中なかで最大さいだいの天体てんたいです。主成分しゅせいぶんは水素すいそやヘリウムといった気体きたいで、巨大きょだいガス惑星わくせいに分類ぶんるいされます。また、約やく10時じ間あいだで自転じてんしており、これは太陽系たいようけいの惑星わくせいの中なかで最速さいそくです。

表面ひょうめんの模様もよう

特徴とくちょう的てきな表面ひょうめんの模様もようは、木星もくせいの雲くもを見みているものです。雲くもは主おもにアンモニアやその化合かごう物ぶつでできていますが、少量しょうりょうの他ほかの物質ぶっしつが太陽光たいようこうと反応はんのうすることでオレンジ色しょくに見みえます。明あかるい部分ぶぶん（帯おび）は上昇じょうしょう気流きりゅうの部分ぶぶん、暗くらい部分ぶぶん（縞しま）は下降かこう気流きりゅうの部分ぶぶんで、その中なかに見みえる大だい赤あか斑むらや白斑はくはんは木星もくせいの嵐あらしです。まれに、木星もくせいに小しょう天体てんたいが衝突しょうとつし、その痕跡こんせきの模様もようが地上ちじょうや宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょうで観測かんそくされることもあります。

また、非常ひじょうに強つよい磁場じばを持もっているため、北極ほっきょくや南極なんきょくの周辺しゅうへんでオーロラが発生はっせいすることもあります。

星座せいざの中なかの動うごき

木星もくせいの公転こうてん周期しゅうきは約やく12年ねんです。したがって、地球ちきゅうから見みているとおよそ1年ねんごとに、星ほし占うらないの星座せいざを1つずつ進すすんでいくということになります。干支えとの12年ねんで空そらを一巡いちじゅんすることから、中国ちゅうごくでは「歳とし星ぼし（さいせい）」とも呼よばれます。

『ビジュアル宇宙うちゅう図鑑ずかん　太陽たいようと惑星わくせい』

木星もくせい探査たんさ

1970年代ねんだいに「パイオニア計画けいかく」や「ボイジャー計画けいかく」によって探査たんさ機きが木星もくせいに接近せっきんし、表面ひょうめんの詳細しょうさいな観測かんそくや環たまきの発見はっけん、新あらたな衛星えいせいの発見はっけんなどの成果せいかを挙あげました。

1989年ねんに打うち上あげられた探査たんさ機き「ガリレオ」は、史上しじょう初はじめて木星もくせいを周回しゅうかいしながら観測かんそくを行おこないました。ガリレオは1995年ねんから2003年ねんにかけて木星もくせいやその衛星えいせいを観測かんそくし、数々かずかずの美うつくしい画像がぞうや科学かがくデータをもたらしました。また、土星どせい探査たんさ機き「カッシーニ」や冥王星めいおうせい・太陽系たいようけい外縁がいえん天体てんたい探査たんさ機き「ニューホライズンズ」も、それぞれのメインターゲットへと向むかう途中とちゅうに木星もくせいを観測かんそくしています。

2011年ねん8月がつに打うち上あげられ2016年ねん7月がつに木星もくせいに到着とうちゃくした探査たんさ機き「ジュノー」は、53日にち周期しゅうきで木星もくせいの北極ほっきょくと南極なんきょくを通とおる楕円だえん軌道きどうを周回しゅうかいしながら、木星もくせいの大気たいきや磁場じば、内部ないぶの様子ようすなどを調しらべています。

• Juno (NASA)
• Mission Juno (Southwest Research Institute)

また、ハッブル宇宙うちゅう望遠鏡ぼうえんきょうによって衛星えいせいエウロパに間欠泉かんけつせんらしいものがとらえられたり、日本にっぽんの科学かがく衛星えいせい「ひさき」が木星もくせい磁気圏じきけんの観測かんそくを行おこなったりするなど、地上ちじょうの天体てんたい望遠鏡ぼうえんきょうや地球ちきゅう周回しゅうかいの衛星えいせいからの観測かんそくも活発かっぱつに行おこなわれています。

2017年ねん12月にジュノーが撮影さつえいした木星もくせいの南極なんきょく。画像がぞうクリックでリリース元もとページへ（クレジット：NASA / JPL-Caltech / SwRI / MSSS / Gerald Eichstädt）。

2018年ねん10月がつにジュノーが撮影さつえいしたイルカのような模様もよう（クレジット：NASA / JPL-Caltech / SwRI / MSSS / Brian Swift / Sean Doran）。

2018年ねん12月にジュノーが撮影さつえいした大だい赤あか斑むらと白斑はくはん（クレジット：NASA / JPL-Caltech / SwRI / MSSS / Gerald Eichstädt / Sean Doran）。