「次つぎに来くる」プログラミング言語げんごを占うらなってみる：OSS界かいのちょっと気きになる話はなし（2）（1/2 ページ）

P言語げんごの人気にんきはいつまで続つづくのか

　Linuxなどの、オープンソースソフトウェアを利用りようして開発かいはつしたWebアプリケーションが一般いっぱん的てきなものになってしばらくたつ。Webアプリケーション開発かいはつで多おおくの人ひとが使つかうソフトウェアの組くみ合あわせの略称りゃくしょうである「LAMP」という言葉ことばも有名ゆうめいになった。OSであるLinuxと、WebサーバであるApache HTTP Server（以降いこう、Apache）、リレーショナルデーターベース管理かんりシステム（RDBMS）MySQL、そしてサーバサイドで動作どうさするプログラム開発かいはつに使用しようするプログラミング言語げんごであるP言語げんご（PHP、Perl、Python）の頭文字かしらもじを取とった言葉ことばだ。日本にっぽんではP言語げんごの位置いちにRubyが入はいることも多おおい。

　しかしコンピュータやネットワークの技術ぎじゅつは進化しんかし続つづけており、その姿すがたは刻一刻こくいっこくと変化へんかしている。最近さいきんのLinuxは、大だい企業きぎょうの基幹きかんシステムで使つかうことを想定そうていした機能きのうの拡張かくちょうが目立めだつ。Webサーバの世界せかいを見みても、Apacheが絶大ぜつだいな支持しじを集あつめた時代じだいは過すぎ去さろうとしている。2004年ねんに登場とうじょうしたNginx（エンジンエックス）が着実ちゃくじつに成長せいちょうしているのだ。

　このように、開発かいはつ者しゃを取とり巻まく環境かんきょうは常つねに変化へんかしている。そこで気きになるのが、P言語げんごの人気にんきが続つづくのかということと、P言語げんごの次つぎにどの言語げんごが人気にんきを集あつめそうかということだ。言語げんごの流行りゅうこうを把握はあくすることは、開発かいはつ者しゃだけでなくLinuxユーザーや管理かんり者しゃにとっても悪わるいことではないだろう。

　将来しょうらいを確実かくじつに予知よちすることは不可能ふかのうだ。しかし、世界中せかいじゅうの開発かいはつ者しゃが注目ちゅうもくしている言語げんごを調しらべられれば、次つぎに流行りゅうこうしそうな言語げんごを予測よそくできるかもしれない。世界中せかいじゅうの開発かいはつ者しゃの注目ちゅうもくを集あつめている言語げんごを調しらべる方法ほうほうとしては、オランダのTIOBE Softwareが公開こうかいしているデータを利用りようするという方法ほうほうがある。今回こんかいはこのデータが意味いみするところを紹介しょうかいし、どのプログラミング言語げんごに話題わだいが集あつまっているのか、プログラミング言語げんごに関かんする話題わだいがどのように変遷へんせんしているのか解説かいせつする。

良よくも悪わるくも「話題わだいになっている言語げんご」を示しめすデータ

　TIOBE Softwareは、世界中せかいじゅうのブログや技術ぎじゅつドキュメントなどのデータを分析ぶんせきし、インターネット上じょうのドキュメントに多おおく登場とうじょうするプログラミング言語げんごを調しらべている。同社どうしゃはその結果けっかを毎月まいつき（最近さいきんは中旬ちゅうじゅんが多おおい）に公表こうひょうしている。

　同社どうしゃはこのデータを「TIOBE Programming Community Index（TIOBE PCI）」と呼よんでいる。主要しゅよう検索けんさくエンジン（Google、Bing、Yahoo!、Wikipedia、Amazon、YouTube、Baidu）を使つかって集あつめたデータから計算けいさんした値ねだ。数かずあるプログラミング言語げんごのそれぞれが、どの程度ていどインターネット上じょうで「話題わだいになっている」のかを示しめす1つの指針ししんとなっている。

　TIOBE PCIを見みるときは、1つ注意ちゅういしなければならないことがある。数かずあるプログラミング言語げんごのそれぞれが、どの程度ていどインターネット上じょうで「話題わだいになっている」のかを示しめすデータであると説明せつめいしたが、これは良よい意味いみで話題わだいになっているとは限かぎらない。悪わるい意味いみで話題わだいになっていることもあるのだ。

　上位じょういにあるプログラミング言語げんごが優すぐれたプログラミング言語げんごであるとか、下位かいにあるプログラミング言語げんごができの悪わるいものであるということを意味いみするものでもない。あくまでも検索けんさくエンジンで得えたデータを解析かいせきした値ねでしかない。

　TIOBE PCIの値ねは、月つき単位たんいで見みると意外いがいに大おおきく変動へんどうする。ちなみに、2012年ねん1月がつのTIOBE PCIのランキングの上位じょうい10言語げんごと、どの程度ていど話題わだいになっているかを示しめす値ねは次つぎの通とおり。

1. Java（17.479％）
2. C（16.976％）
3. C#（8.781％）
4. C++（8.063％）
5. Objective-C（6.919％）
6. PHP（5.710％）
7. （Visual） Basic（4.531％）
8. Python（3.218％）
9. Perl（2.773％）
10. JavaScript（2.322％）

　一方いっぽうで、年とし単位たんいでこの値ねを見みると一定いっていの傾向けいこうを示しめすようになる（図ず1）。月つき単位たんいだけでなく、年とし単位たんいのデータも見みれば、TIOBE PCIの値ねから世界中せかいじゅうの開発かいはつ者しゃが気きにしている言語げんごを探さぐれそうだ。

図ず1　最近さいきん10年ねんのTIOBE PCIの値ねの推移すいいを示しめしたグラフ。出典しゅってん：TIOBE Software。クリックすると拡大かくだい

　今回こんかいはTIOBE PCIで上位じょうい20位い以内いないに登場とうじょうするプログラミング言語げんごの中なかでも、値ねの変動へんどうが興味深きょうみぶかい傾向けいこうを見みせているものを取とり上あげ、その動向どうこうの背後はいごにある事情じじょうを探さぐっていきたい。

2強きょうであるJavaとCの差さは狭せばまりつつある

　図ず1を見みると、JavaとCが2大言たいげん語ごということになる。Javaが1位い、Cが2位いというのがそれぞれの定てい位置いちだが、逆転ぎゃくてんすることもある。そして、長期ちょうき的てきに見みるとJavaとCの差さは狭せばまっており、どちらも同おなじような値ねに収束しゅうそくしていくように見みえる。今後こんごは、JavaとCの間あいだで1位いの座ざを争あらそうような形かたちになる可能かのう性せいもあるだろう。

　JavaとCのそれぞれを「話題わだい」という面めんから考かんがえると、いくつかの共通きょうつう点てんが見みえてくる。中なかでも注目ちゅうもくしたいのは、どちらも大学だいがくなどの授業じゅぎょうで利用りようされることが多おおいということだ。学生がくせいが最初さいしょに取とり組くむプログラミング言語げんごとなることが多おおく、その結果けっか、話題わだいになる機会きかいも多おおくなる。

　Javaは大だい企業きぎょうの基幹きかんシステムでの採用さいよう、特とくにWebアプリケーションの作成さくせいで使つかうことが多おおい。大手おおてソフトウェアベンダが提供ていきょうする製品せいひんを見みても、Javaで開発かいはつしているものが少すくなくない。1位いというポジションを維持いじし続つづけている背景はいけいには、エンタープライズ分野ぶんやにおけるJavaの存在そんざい感かんが関係かんけいしていると見みられる。

　一方いっぽう、Cはハードウェアを操作そうさするなど、「低ていレベルな」処理しょりを記述きじゅつするには欠かかせない。OSの記述きじゅつにも使つかえるほど、コンピュータの機能きのう、性能せいのうをフル活用かつようできるプログラミング言語げんごだ。さらに、組くみ込こみ機器ききのプログラム開発かいはつにおいては、第だい1選択せんたくとなることが多おおい。長ながい歴史れきしがあり、多数たすうのユーザーを抱かかえている。この位置付いちづけは当然とうぜんだろう。