キーボードマクロで繰くり返かえし作業さぎょうを楽らくに：いまさら聞きけないVim（7）（1/3 ページ）

ユーザーの操作そうさを記録きろくして再生さいせい

　Vimは、ユーザーの一連いちれんの操作そうさを記録きろくする「キーボードマクロ」という機能きのうを備そなえている。この機能きのうを利用りようすると、記録きろく開始かいしから記録きろく終了しゅうりょうまでの間あいだにユーザーが操作そうさした内容ないようをそのまま再さい利用りようできる。データの整形せいけいなど、同おなじ作業さぎょうを何なん回かいも繰くり返かえすようなときに活用かつようできる機能きのうだ。

　Vimを使つかうときは、基本きほん的てきに繰くり返かえし作業さぎょうはすべてVimにやらせ、人間にんげんは考かんがえなければできない作業さぎょうに集中しゅうちゅうして編集へんしゅう作業さぎょうの効率こうりつを引ひき上あげることを考かんがえた方ほうがよい。数すう回かいでも繰くり返かえすような処理しょりをするときは、キーボードマクロ機能きのうを使つかって作業さぎょう効率こうりつを引ひき上あげよう。

　前回ぜんかい紹介しょうかいした設定せっていファイルの1つに、日本語にほんご入力にゅうりょくがあったときはすべて挿入そうにゅうモードへ移行いこうし自動的じどうてきに入力にゅうりょくを始はじめさせるようにするファイルがあった。この設定せっていはWikipediaにある「常用漢字じょうようかんじ一覧いちらん」の項目こうもくのHTMLから加工かこうしたものだ。加工かこうにはキーボードマクロを利用りようしている。ここではこのデータの加工かこう処理しょりを通つうじて、Vimのキーボードマクロ機能きのうを紹介しょうかいしよう。

加工かこうしやすいように余分よぶんな部分ぶぶんをカット

　まず、Wikipediaにある常用漢字じょうようかんじ一覧いちらんの項目こうもくのHTMLをテキストファイルとして保存ほぞんする。元もとのテキストがUTF-8になっている点てんに注意ちゅういしよう。WindowsのVimではうまく扱あつかえないので、ブラウザでページのHTMLを表示ひょうじさせた状態じょうたいで、全ぜんテキストをコピーし、gVimに貼はり付づけてファイルに保存ほぞんするといった手順てじゅんで保存ほぞんするとよい。ほかのエディタや変換へんかんツールを使つかってWindowsのVimが利用りようできる形式けいしきに変換へんかんしてもよいだろう。Mac OS XやLinux/FreeBSDでは特とくに問題もんだいなく編集へんしゅうできる。

　保存ほぞんしたファイルは、UTF-8なら2.4Mbytesほど、Windowsのコピー＆ペーストで作つくると1.7Mbytesほどになる。行くだり数すうは2万まん行ぎょうを超こえている。すべて手動しゅどうで作業さぎょうするのは絶対ぜったいに嫌いやだ。利用りようしたいのは、常用漢字じょうようかんじ一覧いちらん表ひょうの特定とくていのカラムの値ねだけだ。まず不要ふようなデータを削除さくじょしよう。

　常用漢字じょうようかんじ一覧いちらんを見みてみると、最初さいしょに掲載けいさいされている漢字かんじは「亜あ」で、最後さいごは「腕うで」だ。検索けんさくでこの文字もじのある場所ばしょまでジャンプして、後のちはビジュアル選択せんたくで余計よけいなテキストを選択せんたくして削除さくじょする。まずは先頭せんとうから「亜あ」の1つ前まえの行くだりまでを図ず1のように削除さくじょ。

以降いこうは、図ずの番号ばんごうに従したがって操作そうさしてみよう。

図ず1　「/亜あ[Enter]」で表ひょうの最初さいしょに掲載けいさいされている漢字かんじの行くだりへジャンプ

図ず2　1つ上うえの行くだりへカーソルを移動いどうさせたら、「V」で行くだり単位たんいのビジュアルモードへ移行いこう

図ず3　「gg」などで1行ぎょう目めまでジャンプ。「d」や「x」で選択せんたくした行くだりを削除さくじょ

図ず4　1行ぎょう目めが「亜あ」のデータが掲載けいさいされた行くだりになった

　テキスト冒頭ぼうとうの余計よけいな文字もじ列れつをまとめて削除さくじょできた。今度こんどは、同様どうようの手順てじゅんで「腕うで」以降いこうの行くだりを削除さくじょする。次つぎのように作業さぎょうすれば良よい。

図ず5　「/腕うで[Enter]」で「腕うで」という文字もじがある行くだりへ移動いどう

図ず6　次つぎの行くだりに移動いどうし「V」でビジュアルモードへ移行いこう

図ず7　「G」で最後さいごの行くだりまで移動いどうし、「d」を押おすなどして選択せんたくした行くだりを削除さくじょ

　ここまでの作業さぎょうは、前回ぜんかいまでに紹介しょうかいしてきたVimの機能きのうを利用りようすればできる。「/キーワード[Enter]」「?キーワード[Enter]」で対象たいしょうとする行くだりまで移動いどうし、「V」でビジュアルモードに入はいって、「gg」や「G」でファイルの先頭せんとうや末尾まつびまで一気いっきに選択せんたくし「d」で削除さくじょという作業さぎょうは良よく使つかうテクニックなので、覚おぼえておくとよいだろう。