哲学てつがくはいかにして現実げんじつに至いたるのか
人間にんげんならざるものとは、「いまだ」人間にんげんでないもの=自然しぜんであり、「もはや」人間にんげんでないもの=神かみ々である。それらに浸透しんとうされ、みずからが人間にんげんならざるものとなった人間にんげんは、ただちに政治せいじ的てき動物どうぶつとしてではなく、非ひ政治せいじ的てきなものへと開ひらかれた存在そんざいとして捉とらえることができる。新あたらしい政治せいじ的てき関与かんよの在あり方かたは人間にんげんならざるものの実存じつぞん主義しゅぎによって、本書ほんしょにおいてはじめて哲学てつがく的てきに根拠こんきょづけられ、その真意しんいが明あきらかにされるだろう。

［目次もくじ］

イティネラリウム——人間にんげんならざるものから反はん政治せいじへ

第だい一部いちぶ　戦後せんごの京都きょうと学派がくはの遺産いさん
第だい一いち章しょう　ポスト・ヒューマンへの東洋とうよう的てきな見方みかた
第だい二に章しょう　日本にっぽん哲学てつがくという意味いみの場ば

第だい二に部ぶ　人間にんげんならざるものと思弁しべん的てき実在じつざい論ろん
第だい一いち章しょう　グラントのシェリング主義しゅぎについて
第だい二に章しょう　ドイツ観念論かんねんろんと思弁しべん的てき実在じつざい論ろん――メイヤスーとグラント
第だい三さん章しょう　充足じゅうそく理由りゆう律りつの問題もんだいとメイヤスーの不在ふざい——二ふたつのワークショップ
第だい四よん章しょう　下方かほう解体かいたいか掘削くっさくか——ハーマンのグラント批判ひはん
第だい五ご章しょう　思弁しべん的てき実在じつざい論ろんから加速かそく主義しゅぎへ——ブラシエとグラント

第だい三さん部ぶ　新あたらしい実在じつざい論ろんと二ふたつの実存じつぞん主義しゅぎ
第だい一いち章しょう　新あたらしい実在じつざい論ろん——フェラーリス・ボゴシアン・ガブリエル
第だい二に章しょう　ガブリエルとポストモダン——ボゴシアン『知ちへの恐おそれ』評ひょうによせて
第だい三さん章しょう　いかにして哲学てつがくは現実げんじつに至いたるのか
第だい四よん章しょう　〈構成こうせい的てき退すさ隠かくれ〉から〈無む世界せかい観かん〉へ——ガブリエルと形而上学けいじじょうがく
第だい五ご章しょう　形而上学けいじじょうがくの根本こんぽん的てき問といに答こたえる——シェリングとガブリエル
第だい六ろく章しょう　意味いみ論ろん的てき観念論かんねんろんの批判ひはん——意味いみの場ばの存在そんざい論ろんへの通路つうろとして

第だい四よん部ぶ　反はん政治せいじの政治せいじ学がく
第だい一いち章しょう　反はん政治せいじと再さい自然しぜん化か
第だい二に章しょう　〈もの〉の政治せいじ的てきエコロジー——ベネットの生気せいき的てき唯物ゆいぶつ論ろん
第だい三さん章しょう　ポスト・トゥルースを突つき抜ぬける新あたらしい哲学てつがくの挑戦ちょうせん
第だい四よん章しょう　脱だつグローバリゼーションの存在そんざい論ろん的てき基礎きそ

あとがき

［著者ちょしゃ］浅沼あさぬま光ひかり樹じゅ（あさぬま・こうき）
1964年ねん、岩手いわて県けんに生うまれる。京都きょうと大学だいがく大学院だいがくいん文学ぶんがく研究けんきゅう科か博士はかせ後期こうき課程かてい哲学てつがく専攻せんこう（西洋せいよう哲学てつがく史し）研究けんきゅう指導しどう認定にんてい退学たいがく。京都きょうと大学だいがく博士はかせ（文学ぶんがく）。専せん門もんは哲学てつがく・哲学てつがく史し。著書ちょしょに『非ひ有ゆうの思惟しい――シェリング哲学てつがくの本質ほんしつと生成せいせい』（知泉ちせん書しょ館かん、2014年ねん）、『ポスト・ヒューマニティーズへの百ひゃく年ねん――絶滅ぜつめつの場所ばしょ』（青土おうづち社しゃ、2022年ねん）がある。