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シボレー・コルベット クーペZ06 3LZ(MR/8AT)【試乗記】 アメリカの本気 - webCG クルマ好きなら毎日みてる webCG 新車情報・新型情報・カーグラフィック

シボレー・コルベット クーペZ06 3LZ(MR/8AT)

アメリカの本気ほんき 2023.08.16 試乗しじょう 渡辺わたなべ 敏史としふみ アメリカがほこるスーパースポーツ「シボレー・コルベット」に、よりはしりをめた「Z06」が登場とうじょう。ワイドボディーにレース直系ちょっけいの5.5リッターV8 DOHCエンジンを搭載とうさいしたいちだいは、「究極きゅうきょくじゅんエンジン搭載とうさいモデル」とぶにふさわしいマシンに仕上しあがっていた。
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史上しじょうもっともレースしょくい「Z06」

シボレー・コルベットの誕生たんじょうは1953ねん。ということで、今年ことしは70周年しゅうねん節目ふしめむかえている。途中とちゅう、1983ねんのブランクなどがあったにせよ、同一どういつ名前なまえもちつづけるスポーツカーとしては世界せかい最古さいこであることは間違まちがいない。

そのなが歴史れきしにおいては、モータースポーツとの接点せってんおおきずかれてきた。Z06はC2世代せだいから設定せっていされたオプションコードで、耐久たいきゅうレースのレギュレーションにそくしたパッケージをすものだったが、C5世代せだい以降いこう正式せいしきグレードに昇格しょうかくしている。

さらにC6世代せだいでは、スモールブロックの限界げんかいまで排気はいきりょうたかめた、Z06の原点げんてんおもこさせる7リッターV8を搭載とうさい。そしてC7世代せだいではきゅうにより猛烈もうれつなパワーをはなつ6.2リッターV8を搭載とうさい……と、その過激かげきさをたかめてきたが、エンジンのどうべん機構きこうはOHVという伝統でんとうまもつづけてきた。

そのエンジンをリアミドシップにマウントするという、コルベット史上しじょう最大さいだい変革へんかくたしたC8世代せだい。MRをえらんだ最大さいだい理由りゆうはレース、とりわけ世界せかい耐久たいきゅう選手権せんしゅけんのGTE規定きていてるパッケージの獲得かくとくだった。長年ながねんにわたってFRをやりくしたてにみえたのが、コルベットのちちともいえるエンジニア、ゾーラ・アーカス=ダントフが夢見ゆめみたMRへのみちだったという帰結きけつには、歴史れきしあや(あや)がかんじられる。

それでも搭載とうさいするエンジンはOHVというところに矜持きょうじ(きょうじ)をくみっていたファンもおおいだろう。一方いっぽうで、つためにこのみちえらんだからにはエンジンも抜本ばっぽんてき手段しゅだん戦闘せんとうりょくたかめることに不思議ふしぎはない。

そういう開発かいはつじんおもいが結実けつじつしたのが、C8世代せだいのZ06だ。開発かいはつは、今年ことし100周年しゅうねんむかえたルマン24あいだレースでクラス優勝ゆうしょうたした「C8.R」と完全かんぜん並行へいこう実施じっし。また、来年らいねん以降いこうのGT3カテゴリーへのレギュレーション変更へんこう見込みこんで開発かいはつされている「Z06 GT3.R」のベースモデルにもなる。歴代れきだいでもロードゴーイングレーサーの色合いろあいがもっといモデルといえるだろう。

ゼネラルモーターズ(GM)が「ストリートリーガルレーシングカー」とひょうする「シボレー・コルベットZ06」。現行げんこうがたはスタンダードモデルおよびレーシングモデルの「C8.R」と同時どうじ進行しんこう開発かいはつすすめられ、べい本国ほんごくでは2022ねんなつ販売はんばい開始かいしされた。
ゼネラルモーターズ(GM)が「ストリートリーガルレーシングカー」と表する「シボレー・コルベットZ06」。現行型はスタンダードモデルおよびレーシングモデルの「C8.R」と同時進行で開発が進められ、米本国では2022年夏に販売が開始された。拡大かくだい
「Z06」というグレードめいは、1963ねんに2代目だいめ「コルベット」に設定せっていされた、レースけのオプションパッケージの名前なまえ由来ゆらいする。専用せんようあしまわりと強化きょうかブレーキ、フューエルインジェクションしきの5.4リッターV8エンジンなどからなるこのオプションは、わずかに199だい個体こたいのみに採用さいようされた。
「Z06」というグレード名は、1963年に2代目「コルベット」に設定された、レース向けのオプションパッケージの名前に由来する。専用の足まわりと強化ブレーキ、フューエルインジェクション式の5.4リッターV8エンジンなどからなるこのオプションは、わずかに199台の個体のみに採用された。拡大かくだい
日本にっぽん仕様しようについては、まずは“ファーストエディション”てきあつかいでくろ外装がいそう×あか内装ないそうの「3LZパッケージ」装着そうちゃくしゃのみを導入どうにゅう。その、どういった仕様しようれるか、どこまでボディーカラーなどの選択肢せんたくしやすかについては、GMジャパンないでも検討けんとうすすめられているようだ。
日本仕様については、まずは“ファーストエディション”的な扱いで黒外装×赤内装の「3LZパッケージ」装着車のみを導入。その後、どういった仕様を入れるか、どこまでボディーカラーなどの選択肢を増やすかについては、GMジャパン内でも検討が進められているようだ。拡大かくだい
運転うんてんせき助手じょしゅせきあいだ位置いちする、BOSEプレミアムオーディオシステムのスピーカー。2023ねんモデルの試乗しじょうしゃには、「コルベット」の誕生たんじょう70周年しゅうねん記念きねんした専用せんようのロゴがあしらわれていた。
運転席と助手席の間に位置する、BOSEプレミアムオーディオシステムのスピーカー。2023年モデルの試乗車には、「コルベット」の誕生70周年を記念した専用のロゴがあしらわれていた。拡大かくだい
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正規せいき導入どうにゅうされただけでもありがたい

搭載とうさいされるエンジンは型式けいしき名称めいしょう「LT6」。90°バンクのV8で自然しぜん吸気きゅうきちょく噴DOHC、排気はいきりょうは5.5リッターとなる。アルミ合金ごうきんせいシリンダーのボアピッチは111.76mmとスモールブロックの文脈ぶんみゃく継承けいしょうしており、ボア×ストロークは104.25×80mm。その比率ひりつでいえば「ホンダS2000」の「F20C」がたや「フェラーリ458」の「F136FB」がたよりもショートストロークがたという、近年きんねんまれにみるめた骨格こっかくとなっている。クランクはフラットプレーンしきとなり、コンロッドはチタン鍛造たんぞうちょうミニスカートのピストンはアルミ鍛造たんぞうとムービングパーツの軽量けいりょう徹底てっていしている。写真しゃしんでみるかぎりのはなしではあるが、徹底的てっていてきにくきされた部品ぶひんはな緊張きんちょうかんはレーシングエンジンそのものだ。

シリンダーとおなじくアルミ合金ごうきんせいとなるDOHCの4バルブヘッドまわりも、チタンせいインテークバルブやナトリウム封入ふうにゅうエキゾーストバルブを採用さいようするなど、軽量けいりょう冷却れいきゃく効率こうりつ配慮はいりょしたパーツがもちいられ、バルブのせまかくあいまって圧縮あっしゅくは12.5と非常ひじょうたか設定せっていされている。オイル潤滑じゅんかつはドライサンプとなり、クーリングチャンネルはデザインの変更へんこうにあわせて前部ぜんぶ3つ、後部こうぶ2つに増設ぞうせつ、かつだい開口かいこうだい容量ようりょうはかられた。こうしてられたアウトプットは最高さいこう出力しゅつりょく646PS/8550rpm、最大さいだいトルクは623N・m/6300rpmとなる。レッドゾーンは8600rpmに設定せっていされ、リッターあたりの出力しゅつりょくは118PSあまりと、5.5リッターというキャパシティーをかんがみれば、市販しはんしゃ屈指くっしこう回転かいてんがたユニットといえるだろう。

本国ほんごく仕様しようあたらしいZ06はセンター4ほんしのエキゾーストを特徴とくちょうとするも、消音しょうおん性能せいのう関係かんけい仕向しむによっては騒音そうおん規制きせい抵触ていしょくするのではとうわさされていた。日本にっぽんではC7世代せだいの「ZR1」も同様どうよう理由りゆう正規せいき輸入ゆにゅうがなかったため、今回こんかい導入どうにゅうむずかしいだろうと勝手かって予想よそうしていたが、MRによりみぎハンドル仕様しよう設定せっていができたことで、一定いっていすう見込みこめるという判断はんだんもあってか、日本にっぽんでの販売はんばい実現じつげんしたというわけだ。英国えいこく基準きじゅんしゃ販売はんばいからあいだもないが、かのにも日本にっぽん同様どうようのエキゾーストシステムでZ06が正規せいき導入どうにゅうされることも予想よそうされる。ひとでそれとわかる“なかし”ではないのが残念ざんねんだが、正規せいき輸入ゆにゅうされただけでもめっけもんだとおもいたい。

現状げんじょうでは、GMの市販しはんしゃのなかでも唯一ゆいいつ「コルベットZ06」のみに搭載とうさいされる5.5リッターV8 DOHCエンジン「LT6」。ブロックもヘッドも「C8.R」搭載とうさいの「LT6R」とおなじという、レーシングユニット直系ちょっけいのエンジンだ。
現状では、GMの市販車のなかでも唯一「コルベットZ06」のみに搭載される5.5リッターV8 DOHCエンジン「LT6」。ブロックもヘッドも「C8.R」搭載の「LT6R」と同じという、レーシングユニット直系のエンジンだ。拡大かくだい
エンジンルームには、このユニットをんだスタッフのネームプレートがられていた。試乗しじょうしゃのエンジンはロバート・クローニンという人物じんぶつげたようだ。
エンジンルームには、このユニットを組んだスタッフのネームプレートが貼られていた。試乗車のエンジンはロバート・クローニンという人物が組み上げたようだ。拡大かくだい
本国ほんごく仕様しようの「Z06」はド迫力はくりょくのセンター4ほんしマフラーだが、日本にっぽん仕様しようはスタンダードモデルとおなじく左右さゆう2ほんずつの4ほんしに。本国ほんごく仕様しようの“センタークアッド”は中央ちゅうおうの2ほんちょくかんで、そのサウンドは、とても日本にっぽん法規ほうきをクリアできるものではないのだ。
本国仕様の「Z06」はド迫力のセンター4本出しマフラーだが、日本仕様はスタンダードモデルと同じく左右2本ずつの4本出しに。本国仕様の“センタークアッド”は中央の2本が直管で、そのサウンドは、とても日本の法規をクリアできるものではないのだ。拡大かくだい
マフラーの変更へんこうともない、リアのトランクルームには増設ぞうせつされたサイレンサーをけるためのりが。なお、この形状けいじょうでもはずしたルーフの収納しゅうのう可能かのうとなっている。
マフラーの変更に伴い、リアのトランクルームには増設されたサイレンサーを避けるための出っ張りが。なお、この形状でも取り外したルーフの収納は可能となっている。拡大かくだい

2025mmの全幅ぜんぷくはな存在そんざいかん

一方いっぽうで、そんなこまかいはなし瞬時しゅんじわすれさせるのが、基準きじゅんしゃより80mm以上いじょう拡幅かくふくされたエクステリアだ。取材しゅざいしゃくろ仕様しようだったため目立めだちにくいが、それでもフロントフェンダーやサイドインテークで強調きょうちょうされるワイドかんがただならぬ威圧いあつかんはなっている。というか、オラっぷりが半端はんぱなく、膨張ぼうちょうけいいろをみるのがちょっとためらわれるほどだ。はばかせるというのはまさにこういうことをすのだろう。

取材しゅざいしゃはカーボンホイールやセラミックブレーキ、エアロパーツなどでサーキット走行そうこう前提ぜんていとしたパフォーマンスをきょうする「Z07パッケージ」が装着そうちゃくの、性能せいのうてきにはスタンダードな状態じょうたいのZ06だ。本格ほんかくてきなデリバリーは来年らいねん以降いこうということもあり、こういったオプション関係かんけいがどのようなあつかいになるのかは検討けんとうちゅうのようだが、基本きほんてき運動うんどう性能せいのう素性すじょうやエンジンのフィーリングは十分じゅうぶんることができる。

トランスミッションは基準きじゅんしゃでも採用さいようするトレメックしゃせいの8だんDCTをもちいている。ファイナルはことなるがギアリングはローギアードがわめたようなものではなく、巡航じゅんこう回転かいてんすう基準きじゅんしゃよりわずかにたか程度ていどおさえられている。120km/hいきは8そくがカバレッジするなど実用じつようせい十分じゅうぶんかんがえられたものになっているようだ。ツアーモードではしかぎり、発進はっしん変速へんそくいたってなめらかで駆動くどうまわりからの不快ふかいかんはまったくない。

と、いたって基準きじゅんしゃてき感覚かんかくれるのかといえば、そうとはいえないところもある。まずサスセッティングはパフォーマンスに相応そうおうなものとなっており、日常にちじょういきではさすがにアタリがかたい。げなどのかくまるめてあるが、ちいさな入力にゅうりょくではそれが車体しゃたい上下動じょうげどうとしてあらわれる。今日きょうびのスーパースポーツの感触かんしょくからいえばはっきりとドライだが、試乗しじょうしゃのバネしたまわりはランフラットタイヤ&スチールブレーキの標準ひょうじゅん仕様しようだったことをいてあげる必要ひつようもありそうだ。

カーボンルーフをはずした状態じょうたいの「コルベットZ06」。まえ:275mmはばうしろ:345mmはばという極太ごくぶとのタイヤをおさめるためにボディーは拡幅かくふくされ、全幅ぜんぷくは2025mmと2mの大台おおだいえた。
カーボンルーフを取り外した状態の「コルベットZ06」。前:275mm幅、後ろ:345mm幅という極太のタイヤを収めるためにボディーは拡幅され、全幅は2025mmと2mの大台を超えた。拡大かくだい
ステアリングホイールにそなわるカーボンせいのシフトパドル。トランスミッションはのグレードとおなじく8だんDCTのみの設定せっていで、最終さいしゅう減速げんそくはスタンダードモデル(日本にっぽん仕様しようでは標準ひょうじゅんとなる「Z51パフォーマンスパッケージ」装着そうちゃくしゃ)の5.17にたいし、5.56にひくめられている。
ステアリングホイールに備わるカーボン製のシフトパドル。トランスミッションは他のグレードと同じく8段DCTのみの設定で、最終減速比はスタンダードモデル(日本仕様では標準となる「Z51パフォーマンスパッケージ」装着車)の5.17に対し、5.56に低められている。拡大かくだい
試乗しじょうしゃにはスタンダードモデルの「2LT」とおなじく「GT2バケットシート」が装備そうびされていた。電動でんどう調整ちょうせい機能きのうきで、シートバックにはカーボンファイバーがもちいられている。
試乗車にはスタンダードモデルの「2LT」と同じく「GT2バケットシート」が装備されていた。電動調整機能付きで、シートバックにはカーボンファイバーが用いられている。拡大かくだい
あしもとには軽量けいりょうこう剛性ごうせい鍛造たんぞうアルミホイールを装着そうちゃく。ブレーキにはまえφふぁい370mm、うしろ:φふぁい380mmのだいみちディスクローターを装備そうびしており、さらにフロントキャリパーのピストンすうをスタンダードモデルの4つから6つにやすなど、サーキット走行そうこう想定そうていして強化きょうかされている。
足もとには軽量・高剛性な鍛造アルミホイールを装着。ブレーキには前:φ370mm、後ろ:φ380mmの大径ディスクローターを装備しており、さらにフロントキャリパーのピストン数をスタンダードモデルの4つから6つに増やすなど、サーキット走行も想定して強化されている。拡大かくだい

美点びてんこう回転かいてんいきだけにあらず

コルベットとしてはC4世代せだいにロータスの協力きょうりょくてつくった「ZR-1」以来いらい搭載とうさいとなるDOHCユニットだが、そのフィーリングはいかにもレーシング直系ちょっけいという剛性ごうせいかん精度せいどかんちたものだった。公差こうさちいさい部品ぶひん丁寧ていねいげたエンジンというのは、いかにもあそびなくクリアランスがめられたがゆえのほろおとほろをギュルギュルとはっしながら、こう回転かいてんいきかってギューンとかろやかにがるしんったような感触かんしょく宿やどっている。もちろん、そこにはクルマの性格せいかくわせたマウントるいかたなどもかかわってくるだろう。

Z06のそれとたような回転かいてん質感しつかん……といえば、おもかぶのは「ホンダNSXタイプR」の「C32B」がたや「フェラーリF430スクーデリア」の「F136ED」がたといったところだろうか。どちらもハナッからピュンピュンとバイクのようにためらいなくけるわけではなく、てい回転かいてんいきにある程度ていど手応てごたえをかんじさせながら、こう回転かいてんいきにかけてすべてがピシッときれいにそろっていく、そんな感触かんしょくだ。ニュルなどをはしるスクープ映像えいぞうをみるに、正直しょうじき、もうすこ軽々かるがるしいものを想像そうぞうしていただけに、これはうれしい誤算ごさんだった。エンジンの情感じょうかんはなにもこう回転かいてんがわだけに宿やどるものではない。LT6がた日常にちじょう退屈たいくつなトラフィックにいても、すきをみてそのありがたみを享受きょうじゅできるタイプだとおもう。

一方いっぽうで、こう回転かいてんいきは8500rpmのレッドゾーン付近ふきんまでしっかりパワーがついてくる。当然とうぜんながらそのいきではあきれるほどはやく、レスポンスもビシビシにまされていた。本国ほんごく仕様しようったわけではないが、エキゾーストまわりのちがいによる損失そんしつ無視むしできる程度ていどといえそうだ。ただしサウンドはこう音域おんいきにもうひとこえけるようなトーンがくわわるとなおうれしい。

「Z06」のエンジンは、フラットプレーンクランクシャフトの採用さいよう特徴とくちょうとなっている。このクランクシャフトは2振動しんどうおおきさが弱点じゃくてんとされるが、カウンターウェイトを小型こがたでき、またバンクあいだ排気はいき干渉かんしょうがないのでレスポンスがよくこう回転かいてんこう出力しゅつりょくなエンジン特性とくせい実現じつげんできる。
「Z06」のエンジンは、フラットプレーンクランクシャフトの採用も特徴となっている。このクランクシャフトは2次振動の大きさが弱点とされるが、カウンターウェイトを小型化でき、またバンク間の排気干渉がないのでレスポンスがよく高回転・高出力なエンジン特性を実現できる。拡大かくだい
エンジンのこう出力しゅつりょくともない、「Z06」ではラジエーターやオイルクーラーなどといったクーリングシステムを、スタンダードモデルの2(「Z51パフォーマンスパッケージ」装着そうちゃくしゃでは3)から5増設ぞうせつ。パワートレイン/ドライブトレインの冷却れいきゃくせい大幅おおはばたかめている。
エンジンの高出力化に伴い、「Z06」ではラジエーターやオイルクーラーなどといったクーリングシステムを、スタンダードモデルの2個(「Z51パフォーマンスパッケージ」装着車では3個)から5個に増設。パワートレイン/ドライブトレインの冷却性を大幅に高めている。拡大かくだい
ドライブモードの設定せっていはスタンダードモデルと共通きょうつうで、「スポーツ」や「トラック」など4種類しゅるいのモードを用意ようい。さらにカスタマイズモードの「Myモード」「Zモード」も設定せっていできる。
ドライブモードの設定はスタンダードモデルと共通で、「スポーツ」や「トラック」など4種類のモードを用意。さらにカスタマイズモードの「Myモード」「Zモード」も設定できる。拡大かくだい

おわりいちだいにふさわしい

運動うんどう性能せいのうはこの高性能こうせいのうエンジンのはっするパワーにおおむねけていない。DOHCによって基準きじゅんしゃたいする重心じゅうしんだかのアップを懸念けねんしたが、ダウンフォースのかせだいもあってだろう、コーナーのかえしなどでもペタリと安定あんていしている、その挙動きょどうをみるにつけ、へん心配しんぱいはしなくてもよさそうだ。前後ぜんご重量じゅうりょう配分はいぶんは40:60とミドシップの模範もはんだが、アクセルをワイドオープンすれば、345ぶくのリアタイヤにもかかわらず意図いとてきにテールをふくらませることも簡単かんたんだ。ドライブモードにおうじてその挙動きょどうはきれいにたしなめられるが、いだくパワーにたいする大人おとな配慮はいりょもとめられる。

あたらしいZ06の正式せいしき販売はんばい方法ほうほう仕様しよう、カラーやオプションなどの詳細しょうさいもなく発表はっぴょうされるだろうが、輸入ゆにゅう台数だいすうすくなく都度つど抽選ちゅうせん前提ぜんていになるものの、継続けいぞく販売はんばい検討けんとうされているという。このクルマもまた、世界中せかいじゅうでクルマ趣味しゅみおわりかつにふさわしいいちだいとして争奪そうだつせんとなっているのだろう。かえがえすもインポーターはよく日本にっぽんでの販売はんばいにこぎけてくれたとおもう。幸運こううんにもれられたほうには、ごくまれにみられるアメリカしゃ本気ほんきのとんでもなさをたっぷりと堪能たんのういただき、できるだけおおくのほう喧伝けんでん(けんでん)いただければとねがう。

ぶん渡辺わたなべ敏史としふみ写真しゃしん荒川あらかわ正幸まさゆき編集へんしゅう堀田ほったつよし

フロントにはスタンダードモデルと同様どうようにトランクがもうけられているが、ラジエーターの増設ぞうせつともない、リアトランクとおなじくねつつようになってしまった。
フロントにはスタンダードモデルと同様にトランクが設けられているが、ラジエーターの増設に伴い、リアトランクと同じく熱を持つようになってしまった。拡大かくだい
タイヤサイズはまえが275/30ZR20、うしろが345/25ZR21。タイヤは「ミシュラン・パイロットスポーツ4 S ZP」が標準ひょうじゅんで、本国ほんごく仕様しようにはオプションで「パイロットスポーツ カップ2」も用意よういされる(「Z07パフォーマンスパッケージ」にふくまれる)。
タイヤサイズは前が275/30ZR20、後ろが345/25ZR21。タイヤは「ミシュラン・パイロットスポーツ4 S ZP」が標準で、本国仕様にはオプションで「パイロットスポーツ カップ2」も用意される(「Z07パフォーマンスパッケージ」に含まれる)。拡大かくだい
べい本国ほんごくふくめ、かくマーケットで“うばい”がひろげられている「シボレー・コルベットZ06」。現行げんこうコルベットはわがくにでもたか人気にんきほこるだけに、日本にっぽんけのてがえるのをいのるばかりだ。
米本国を含め、各マーケットで“奪い合い”が繰り広げられている「シボレー・コルベットZ06」。現行コルベットはわが国でも高い人気を誇るだけに、日本向けの割り当てが増えるのを祈るばかりだ。拡大かくだい
シボレー・コルベット クーペZ06 3LZ
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テストしゃのデータ

シボレー・コルベット クーペZ06 3LZ

ボディーサイズ:全長ぜんちょう×全幅ぜんぷく×全高ぜんこう=4680×2025×1220mm
ホイールベース:2725mm
くるまじゅう:1720kg
駆動くどう方式ほうしき:MR
エンジン:5.5リッターV8 DOHC 32バルブ
トランスミッション:8だんAT
最高さいこう出力しゅつりょく:646PS(475kW)/8550rpm
最大さいだいトルク:623N・m(63.5kgf・m)/6300rpm
タイヤ:(まえ)275/30ZR20 97Y/()345/25ZR21 104Y(ミシュラン・パイロットスポーツ4 S ZP)
燃費ねんぴ:--km/リッター
価格かかく:2500まんえん/テストしゃ=2504まん6200えん
オプション装備そうび:なし ※以下いか販売はんばいてんオプション フロアマット(4まん6200えん)/ETC 2.0車載しゃさい販売はんばいてんあつか商品しょうひん

テストしゃとししき:2023ねんがた
テスト開始かいし走行そうこう距離きょり:3118km
テスト形態けいたい:ロードインプレッション
走行そうこう状態じょうたい市街地しがいち(2)/高速こうそく道路どうろ(6)/山岳さんがく(2)
テスト距離きょり:274.9km
使用しよう燃料ねんりょう:45.0リッター(ハイオクガソリン)
参考さんこう燃費ねんぴ:6.1km/リッター(まんタンほう)/6.4km/リッター(車載しゃさい燃費ねんぴけい計測けいそく

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渡辺 敏史

渡辺わたなべ 敏史としふみ

自動車じどうしゃ評論ひょうろん中古ちゅうこしゃ新車しんしゃ国産こくさんしゃ輸入ゆにゅうしゃ、チューニングカーから未来みらいものまで、どんなボールもかえ縦横無尽じゅうおうむじん自動車じどうしゃライター。二輪にりんよんりん編集へんしゅうたずさわったのちでフリーランスとして独立どくりつ海外かいがい取材しゅざいにも積極せっきょくてきで、今日きょう空港くうこうカレーに舌鼓したつづみちつつ、世界中せかいじゅうまわる。

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