フランス買春ばいしゅん処罰しょばつ法ほうがセックスワーカーの仕事しごとと生活せいかつに及およぼした影響えいきょう

2024.03.31

フランスのセックスワークと法律ほうりつについて、パリ政治せいじ学院がくいんの研究けんきゅう者しゃ、エレン・ルバイさんにインタビューしました。
Part.3では、2016年ねんにフランスで成立せいりつした、性せいサービスを買かったお客きゃくさんを処罰しょばつする法律ほうりつ「買春ばいしゅん処罰しょばつ法ほう」が、セックスワーカーたちの仕事しごとや生活せいかつに及およぼした影響えいきょうについてお聞ききしました。
（Part.1「フランスのセックスワークってどうなってるの？」、Part.2「フランスのセックスワークに関かんする法律ほうりつ「買春ばいしゅん処罰しょばつ法ほう」はどんな法律ほうりつか？」もぜひご覧らん下ください）

以下いか、動画どうがの字幕じまくテキストです。

2016年ねんの法律ほうりつの可決かけつ後ごに私わたしと数すう人にんの研究けんきゅう者しゃがたくさんのNPOと働はたらいて、2年間ねんかんに渡わたって調査ちょうさを行おこない、2018年ねんに結果けっかを発表はっぴょうしました。

大勢おおぜいの人ひとが参加さんかしたその調査ちょうさは、2016年ねんの法律ほうりつに関係かんけいを持もった人ひとたち、つまりセックスワークをする人ひとたちが、その法律ほうりつの可決かけつによって受うけた影響えいきょうを研究けんきゅうの対象たいしょうにしました。

研究けんきゅう結果けっかがとても多おおいのですが、まとめて見みましょう。

そのまとめの主おもなポイントをいうと、まずは、調査ちょうさを受うけた人達ひとたちの大だい多数たすうが客きゃくの刑罰けいばつ化かに反対はんたいしていた事ことが分わかりました。

それは重要じゅうような点てんです。なぜ反対はんたいしているかと言いうと、セックスワーカー達たちは客きゃくの刑罰けいばつ化かによって、自分じぶんたちの人生じんせいに良よい変化へんかがあると思おもっていないからです。

むしろ、人生じんせいを複雑ふくざつにしたと思おもっているそうです。

もちろん、人生じんせいというのは、ただ労働ろうどう条件じょうけんだけではなくて、日常にちじょう生活せいかつも含ふくまれています。

例たとえば、63％の人達ひとたちは、自分じぶんの生活せいかつ水準すいじゅんが悪化あっかしたと答こたえました。

論理ろんり的てきに考かんがえれば、セックスサービスの購入こうにゅうが違法いほう化かされ、客足きゃくあしが少すくなくなり、給料きゅうりょうが減へりました。

よく言いわれたのが、それと同時どうじにサービス料りょうが値下ねさげしたという事ことです。値段ねだんの減少げんしょうも生活せいかつ水準すいじゅんの悪化あっかをもたらしました。

そして、買春ばいしゅん犯罪はんざい化か以前いぜんに断ことわっていたサービスを売うるようになったとたくさんの人々ひとびとが述のべました。

2016年ねんの法律ほうりつの支持しじ派はによって考かんがえられていた法案ほうあんの大事だいじなメリットは、客きゃくを犯罪はんざい化かすることによって、客きゃくとセックスワーカーのパワーバランスを裏返うらがえす事ことができ、客きゃくの権力けんりょくが弱よわまるというアイデアでした。

しかし、我々われわれの調査ちょうさで行おこなわれた面接めんせつ結果けっかだと、期待きたいされていたその現象げんしょうを証明しょうめいする事ことができませんでした。逆ぎゃくに、サービスの値下ねさげを要求ようきゅうするような圧力あつりょくや、セックスワーカーがやりたくないようなサービスを強要きょうようする圧力あつりょくを掛かけられるようになってしまったそうです。

少すくなくなった客きゃくたちは、その現象げんしょうを逆手さかてに取とる上じょうで、自分じぶんに関かかわるリスクを主張しゅちょうしながら、値下ねさげを要求ようきゅうするようになりました。“僕ぼくは君きみからセックスを買かうから、リスクを取とっているよ”だとか、“お前まえは捕つかまらないかもしれないけど、俺おれは捕つかまるリスクあるから安やすくしろ“だとか、“これもやってくれ” などのような圧力あつりょくですね。

大体だいたいの人々ひとびとは、そのようにして、労働ろうどう条件じょうけんと日常にちじょう生活せいかつの水準すいじゅんが悪化あっかしたそうです。

この調査ちょうさに答こたえた78％の参加さんか者しゃは、セックスワークの経済けいざい的てきな利益りえきの減少げんしょうを経験けいけんしたと述のべました。

要ようするに、セックスワーカーたちの貧困ひんこん化かです。

その現象げんしょうの中なかに最もっとも懸念けねんされるところは、社会しゃかい的てき弱者じゃくしゃのセックスワーカーたちも、その貧困ひんこん化かを経験けいけんしているという事ことです。

その人達ひとたちは、普段ふだん、突然とつぜんに売春ばいしゅん活動かつどうを止とめる事ことができない立場たちばのセックスワーカーを指さします。

そのせいで、彼女かのじょら・彼かれらは、国くにに提案ていあんされている売春ばいしゅん脱却だっきゃくプログラムに自みずから積極せっきょく的てきに手てを挙あげることができません。

売春ばいしゅん脱却だっきゃくプログラムのメリットとデメリットを後あとで紹介しょうかいしたいと思おもうのですが、今いまの話はなしに関かんする一ひとつのデメリットは、そのプログラムは、売春ばいしゅんとの縁えんを断たち切きってからではないと開始かいしできない上うえに、その査定さていがかなりの時間じかんを有ゆうするという事ことです。

ですから、弱よわい立場たちばのセックスワーカーは、収入しゅうにゅう源げんをなくす事ことを恐おそれて、すぐに売春ばいしゅんを辞やめられず、そのプログラムへの参加さんかが複雑ふくざつです。

もちろん、生活せいかつ水準すいじゅんが一番いちばん悪化あっかしたのは、低てい所得しょとく層そうのセックスワーカーなので、辞やめられる余裕よゆうは更さらにないでしょう。

他たに調査ちょうさの回答かいとうに表あらわれた重要じゅうような事ことは、大勢おおぜいの人達ひとたちが以前いぜんより多おおくのリスクを取とるようになってしまったという事ことです。

それと共ともに、暴力ぼうりょくが増加ぞうかし始はじめたのです。

それも客きゃくの刑罰けいばつ化か・犯罪はんざい化かの影響えいきょうであると思おもわれます。

客きゃく側がわが犯罪はんざい者しゃになったので、セックスワークを隠かくさなければならなくなりました。

道端みちばたで仕事しごとをし続つづけている人々ひとびとは、前まえより隠かくれた場所ばしょ、離はなれた場所ばしょや、暗くらいエリアで客きゃくと接触せっしょくする事ことになりました。

当然とうぜん、遠とおざかったり、暗くらかったりした場所ばしょになれば、暴力ぼうりょく事件じけんに発展はってんする場合ばあいにはセックスワーカーも、一般人いっぱんじんも少すくなくなりますし、連帯れんたい感かんと団結だんけつ力りょくも少すくなくなってしまいます。

その影響えいきょうとしては、以前いぜんよりたくさんの移動いどうをするようになったセックスワーカーがいます。

労働ろうどう条件じょうけんをよくするつもりで、フランスの町まちを転々てんてんとしますが、結果けっかは残念ざんねんな事ことに、暴力ぼうりょくを振ふるわれたり、援助えんじょが必要ひつようとなったりする時ときに、サポートネットワーク、特とくにNPOと離はなれてしまいました。

性病せいびょうの防止ぼうしや感染かんせんに対たいしてもサポートできるNPOとの縁えんが弱よわまってしまうのです。

少すこしまとめると、2016年ねんの法律ほうりつの影響えいきょうで、客きゃく側がわとのパワーバランスが変かわってしまって、客きゃくが以前いぜんよりも強要きょうようするようになり、セックスワーカーの権力けんりょくが弱よわくなり以前いぜんよりも、値段ねだんやサービスが交渉こうしょうされる事ことになりました。

その中なかでセックスワーカーたちの間あいだの団結だんけつ力りょくが削けずられた影響えいきょうもあります。

多おおくの女性じょせいセックスワーカーが述のべたのは、前まえよりコンドームを使つかわなくなってしまった事ことです。

何故なぜかというと、彼女かのじょたちは生活せいかつする必要ひつようがあるから、コンドームを使つかわずサービスを売うることを受うけ入いれてしまいます。

それはもちろん、客きゃくがそのようなサービスをもっと頼たのめるようになってしまいました。

そして、健康けんこうについて、2018年ねんの調査ちょうさの結果けっかで少すこしだけわかっていたが、以降いこうの別べつの研究けんきゅうで確たしかめられたもう一ひとつの現象げんしょうがあります。

それは、たくさんのHIVと共ともに生いきるセックスワーカーは、先さきほど話はなしをしていたセックスワーカーたちの移動いどうの増加ぞうかに伴ともなって、医者いしゃとの関かかわりが減へり、治療ちりょうを受うけるのが困難こんなんになるか、完全かんぜんに治療ちりょうをやめることになってしまいます。セックスワーカーたちの貧困ひんこん化かがもう一ひとつの原因げんいんだと考かんがえられます。

調査ちょうさを経へて、警察けいさつとの関係かんけいについても学まなぶ事ことができました。

実際じっさいは、セックスワーカーと警察けいさつとの関係かんけいは、改善かいぜんしなかったと考かんがえられています。

2016年ねんの法律ほうりつによると、売春ばいしゅんをしているすべての人々ひとびとは被害ひがい者しゃとして認みとめられています。つまり、警察けいさつが守まもるべき立場たちばの人々ひとびとです。

しかし、調査ちょうさの回答かいとうが示しめしているのは、一般いっぱん的てきに警察けいさつとの交まじわりがよくならなかったという事ことです。

もちろん、警察けいさつとの関係かんけいがいつも悪わるいという意味いみではありません。暴力ぼうりょくの事件じけんがあると、捜査そうさを最もっとも真面目まじめに、効果こうか的てきに行いったり、被害ひがい者しゃの人々ひとびとを丁寧ていねいに対応たいおうするいくつかの警察けいさつ団体だんたいがあります。

しかし、警察けいさつとセックスワーカーの初対面しょたいめんは、特とくに路上ろじょうで行おこなわれている捜査そうさやコントロールの時ときで、関係かんけいの改善かいぜんが見みられませんでした。

2018年ねんの調査ちょうさだけではなく、路上ろじょうでの売春ばいしゅんが減へり、オンラインで行おこなわれているセックスワークが発展はってんした事ことが一般いっぱん的てきに確認かくにんされています。

路上ろじょうでの接触せっしょくではなくて、オンライン求人きゅうじんの方ほうが使用しようされる事こと自体じたいが問題もんだいであるわけではないが、セックスワーカーのプロフィールによって、問題もんだいになることがあります。

路上ろじょうで仕事しごとをした方ほうが自分じぶんを守まもってくれるサポートネットワークの近ちかくに居おられると思おもえます。

路上ろじょうからオンラインに変更へんこうした人々ひとびとは、その援助えんじょを失うしなう事ことがあるのでしょう。

もちろん、オンライングループでそのようなサポートネットワークを新あたらしく生うみ出だすことができます。

例たとえば、whatsappのグループを使つかって連帯れんたいを行おこなう事ことができます。

たくさんのセックスワーカーは、自みずからインターネットを使用しようしようと思おもわないで、客きゃくにおけるコントロールが多おおくなりすぎたそうです。

しかし、それは懸念けねんするところであると思おもいますが、その状況じょうきょう変化へんかを吊つるし上あげたのは、セックスワーカーたちだけではなくて、いくつかの警察けいさつ団体だんたいも非難ひなんを申もうし立たてるようになりました。

セックスワーカーのインターネットへの移動いどうは警察けいさつの調査ちょうさを複雑ふくざつにしてしまったと考かんがえられます。

結局けっきょく、警察けいさつも性的せいてきな人身じんしん売買ばいばいに関かんする調査ちょうさに協力きょうりょくできていたセックスワーカーとの絆きずなが薄うすくなってしまったからです。

そして、客きゃくを違法いほうにしたその法律ほうりつはよく、人々ひとびとを守まもったり手伝てつだったりする事ことより、町まちの治安ちあん維持いじの方法ほうほうとして色々いろいろな警察けいさつ団体だんたいに使用しようされるようになっています。

という事ことは、ある市役所しやくしょが、管理かんりしている近所きんじょから売春ばいしゅんを排除はいじょしたいので、警察けいさつは指導しどうに従したがう事ことになってしまいます。ですから、結局けっきょくその法律ほうりつは可決かけつされた時ときの目標もくひょう以外いがいの目標もくひょうに使つかわれてしまっています。

もちろん元々もともとの目的もくてきは、やりたくないのに売春ばいしゅんをしている人ひとたちを守まもることでした。

これで2016年ねんの法律ほうりつの影響えいきょうを大体だいたい説明せつめいしたと思おもいます。

これから、先さきほど軽かるく触ふれた売春ばいしゅん脱却だっきゃくプログラムについて、もう少すこし詳くわしく話はなしをしたいと思おもいます。

昨年さくねん（2023年ねん）に、売春ばいしゅん脱却だっきゃくプログラムに関かんする最新さいしんデータが発表はっぴょうされました。

それによると564人にんがプログラムに参加さんかする事ことになりました。

ほとんどの全すべてはシスかトランスジェンダーの女性じょせいで、男性だんせいは数すう人にんです。

ですが、フランスでの売春ばいしゅんに携たずさわる人ひとの推計すいけいによると、現在げんざいフランスで約やく4万まん人にんの人々ひとびとが売春ばいしゅんをしているそうです。

正直しょうじきにいうと、その数値すうちは昔むかしから変化へんかしておらず、毎年まいとしずっと同おなじなので、どうやって計算けいさんされているのかはよく分わからないですね。

しかし、その4万まん人にんの推計すいけいを想像そうぞうすれば、564人にんという数かずは、かなり少すくないでしょう。

予想よそう通どおり、その564人にんの中なかには、フランス人じんが存在そんざいしないのです。その上うえで、EU圏内けんないの国籍こくせきの女性じょせいもいません。

確たしかに、フランス人じんとEU圏内けんないの国籍こくせきの人達ひとたちにとって、売春ばいしゅん脱却だっきゃくプログラムの経済けいざい的てきな支援しえんは仕事しごとを変かえようと思おもえば、国くにから別べつの措置そちの経由けいゆでもらえる他ほかの経済けいざい的てきな支援しえんより、安やすいので、プログラムに参加さんかする意味いみはないと考かんがえられます。

ですから、国内こくないの支援しえんが複雑ふくざつな移民いみんにしか利益りえきになりません。それはもちろんポジティブなポイントです。

プログラムに参加さんかした移民いみんは、フランスの滞在たいざい許可きょか証しょうをもらい、それは一時いちじ的てきだが、その参加さんか者しゃの人々ひとびとは満足まんぞくしていると述のべていました。

プログラムに参加さんかする人々ひとびとは、セックスワークに苦くるしんでいて、その仕事しごとを辞やめたいという人ひとたちだと忘わすれてはいけません

その中なかには、人身じんしん売買ばいばいの被害ひがい者しゃなのに、フランス政府せいふから被害ひがい者しゃとしての認定にんていが取得しゅとくできなかったので、そのプログラムへと変更へんこうする人々ひとびともいます。

そのようなプロフィールなら、このプログラムは悪わるい措置そちだと言いえません。

ただ、データが示しめしている通とおり、少数しょうすうの人々ひとびとにしか利益りえきにならなかったのです。

それはなぜでしょう？簡単かんたんに言いうと、プログラムの入いり口くちがかなり狭せまいからです。

その上うえで、プログラムが長期ちょうきに渡わたります。参加さんかできるまでに、長ながくて手続てつづきの多おおいプロセスがあります。まずはNPOがスポンサーになる必要ひつようがあります。

そして、スポンサーとなるNPOが、売春ばいしゅん脱却だっきゃくプログラムの現地げんち委員いいん会かいで希望きぼう者しゃを推薦すいせんしなければなりません。

その長ながくて、複雑ふくざつな手続てつづきはかなり非難ひなんされてしまいました。

非難ひなんされ、変更へんこうできるかもしれませんが、とにかく、批判ひはんを述のべたNPO組織そしきの中なかには、以前いぜんから売春ばいしゅんを辞やめたい人々ひとびとを、少すくない資源しげんで活動かつどうを変かえる支援しえんをしているNPOが多おおかったのです。

それらのNPOは、プログラムが設置せっちされる前まえからもっと独自どくじに似にたような活動かつどうをしていたので、新あたらしいプログラムの少すこし狭せまく感かんじられる条件じょうけんが非難ひなんの元もととなっています。

その上うえで、フランスの各地かくちの地方ちほうにある現地げんち委員いいん会かいに対たいする批判ひはんもありました。

原因げんいんとしては、地方ちほうによって希望きぼう者しゃの待遇たいぐうに対たいする統一とういつ性せいが取とれていない事ことです。

ある委員いいん会かいが差別さべつ的てきに、または移民いみんの場合ばあいならレイシスト的てきに応募おうぼ者しゃの申請しんせいを処理しょりしたという事件じけんが浮うき彫ぼりになりました。他たにセックスワーカー自身じしんが自主じしゅ的てきに挙あげた非難ひなんもあります

その売春ばいしゅん脱却だっきゃくプログラムは、結局けっきょく、フランス社会しゃかいに元々もともとある“いい女おんな”対たい“悪わるい女おんな”、または

“いいセックスワーカー”対たい“悪わるいセックスワーカー”と言いう仕分しわけをさらに強調きょうちょうしてしまいます。

つまり、プログラムに応募おうぼしたり参加さんかしたりする気きのない女性じょせいは、フランス語ふらんすごで“悪わるい女おんな”と呼よばれ、日本語にほんごらしく言いうと、“不良ふりょうな女おんな”、または“ふしだらな女おんな”か、“淫婦いんぷ”、のように思おもわれてしまいます。

最終さいしゅう的てきにそのプログラムは社会しゃかいスティグマ（集団しゅうだん差別さべつ）を強調きょうちょうしているという風ふうに考かんがえられる。

そこから、結論けつろんに移うつりたいと思おもいます。

私わたしにとって、2016年ねんの法律ほうりつが呼よび起おこした大おおきい影響えいきょうは、二ふたつあります。一ひとつ目めのとても間違まちがった判断はんだんは、結局けっきょくのところ、法律ほうりつは暴力ぼうりょくの減少げんしょうを促うながせず、むしろ可決かけつされてから、暴力ぼうりょく事件じけんが増加ぞうかした事ことが見みられます。

近年きんねん、いくつかのセックスワーカー殺人さつじん事件じけんがありました。

その一ひとつは、明あきらかに2016年ねんの法律ほうりつに繋つながっています。

先さきほど話はなしをしたパリの売春ばいしゅんが多おおい森林公園しんりんこうえんでは、一人ひとりの女性じょせいセックスワーカーが、客きゃくとその客きゃくを喝かつ上あげしに来きていた若者わかもの達たちの喧嘩けんかの仲裁ちゅうさいに入はいりました。

客きゃくの犯罪はんざい化かの影響えいきょうとして、客きゃくをターゲットにした不良ふりょうは、告発こくはつを脅おどしに使つかい、喝かつ上あげ事件じけんが多発たはつしました。

その女性じょせいは、自分じぶんの客きゃくらがそのように怯おびえさせられたり、お金かねを盗ぬすまれたりするのが我慢がまんできず、不良ふりょうたちと口論こうろんになり、結果けっか、彼女かのじょは殺ころされてしまいました。

この事件じけんには明あきらかに2016年ねんの法律ほうりつが背景はいけいにあります。

中国ちゅうごく国籍こくせきの女性じょせいセックスワーカーもよく、売春ばいしゅんと繋つながった暴力ぼうりょくのターゲットにされることに非難ひなんをしています。

彼女かのじょたちによると、暴力ぼうりょく犯はんにアプリの経由けいゆで探さがされ標的ひょうてきにされ、売春ばいしゅんの売うり上あげが一番いちばん多おおい時ときに喝かつ上あげや強盗ごうとうをされてしまいます。

犯罪はんざい者しゃたちは売春ばいしゅんの合法ごうほう範囲はんいを狭せまくした新あたらしい法律ほうりつを逆手さかてにとって、その犯罪はんざい作戦さくせんを考かんがえました。

暴力ぼうりょく犯はんは、実際じっさいセックスワーカーなのか、客きゃくなのか、誰だれが犯罪はんざい化かされているのかちゃんと分わかりませんが、結局けっきょく、女性じょせいたちは警察けいさつに犯罪はんざいを告発こくはつしないと正まさしく理解りかいしています。

この法律ほうりつは、セックスワーカーへの暴力ぼうりょくに対たいする罪悪ざいあく感かんを軽減けいげんできず、むしろ強つよめたのではないかと考かんがえられます。

2016年ねんの法律ほうりつの二ふたつ目めの間あいだ違ちがった判断はんだんを紹介しょうかいします。実際じっさい、社会しゃかいスティグマが減少げんしょうしなかった事ことです。

今いま、話はなしをしていた暴力ぼうりょく、喝かつ上あげ、殺人さつじん事件じけんなどももちろん差別さべつの象徴しょうちょうであるのですが、2018年ねんに行おこなわれた研究けんきゅうインタビューによると、それらを伴ともなった道端みちばたでの侮辱ぶじょく行為こういや、日常にちじょう生活せいかつでの軽蔑けいべつが全まったく減へりませんでした。

もう一度いちど言いいますが、その法律ほうりつの目標もくひょうの一ひとつは、セックスワーカーを被害ひがい者しゃのように見みせることでした。

しかし、他たの選択せんたくがないから売春ばいしゅんをしている人ひとたちも、セックスワークをしたいと思おもいながらとても真面目まじめにこの仕事しごとをしている人ひとたちも、新あたらしい法律ほうりつの可決かけつから非常ひじょうに増加ぞうかした社会しゃかいスティグマに直面ちょくめんするようになりました。

なので、2016年ねんの法律ほうりつの影響えいきょうを勉強べんきょうしてみると、かなりネガティブな景色けしきが描えがかれてしまいます。

あ、すみません、三みっつ目めのとても大事だいじな点てんを忘わすれるところでした。それを紹介しょうかいし、話はなしを終おわりたいと思おもいます。

その点てんは、フランスにおける売春ばいしゅんやセックスワークをしている人ひとたちの人数にんずうが減少げんしょうしたと言いえる証拠しょうこはありません。 ですから、その法律ほうりつが目指めざしていたのが、売春ばいしゅんに関かんする活動かつどうを減へらす事ことが本当ほんとうであれば、それに対たいしても、効果こうか的てきな影響えいきょうがあったとは言いえません。

【フランスのもっと詳くわしい情報じょうほう（今いまのところ英語えいごのみですみません）】

●調査ちょうさ報告ほうこく書しょ
「セックスワーカーはフランスの売春ばいしゅん法ほうについてどう考かんがえているか?」

●セックスワーカーの労働ろうどう組合くみあい・STRASS

●セックスワーカーへの暴力ぼうりょくと闘たたかうプログラム