※本コンテンツはアキバ総研が制作した独自コンテンツです。また本コンテンツでは掲載するECサイト等から購入実績などに基づいて手数料をいただくことがあります。
ネット小説として注目を集めた後に電撃文庫から刊行され、国内累計発行部数1400万部の大台を突破した『ソードアート・オンライン』。2012年にはTVアニメ化され、ゲーム内での死が現実の死につながるショッキングなストーリーや、ゲームごとに華麗な転換を見せる世界観を巧みに描き出した。
放送終了後もその人気は冷めやらず、2013年の大晦日には特別編「Extra Edition」をオンエア。今年7月からはファン待望の2期がスタートし、さらなる盛り上がりを見せている。
今回はシリーズ全作を手がけた伊藤智彦監督にお話をうかがった。創作のこだわりや声優の起用法、そしていよいよ突入する《キャリバー》編、《マザーズ・ロザリオ》編についてなど、本作をより深く楽しめる秘話が明かされている。
絵描きではない演出家が何をするのか?
――続編制作のお話はいつごろ監督のもとに届いたのでしょうか?2012
年の1
期制作の
終わり
頃には
続編の
話が
出ていましたね。
――というとファンの反応もビビッドだったのでしょうか?いえ、
作品の
反響はよくわからなかったというのが
正直なところですね。
海外のイベントに
行くとチヤホヤされるため
錯覚してしまうのですが、それ
以外は
実感がありませんでしたね(笑)。ただ
制作時にはA-1 Picturesの
別スタジオから「
早く
続きが
見たい」と
言われ、
身近に
見たがっている
人がいて
嬉しく
思ってました。
――2期に向けて、どのような準備をされましたか。
《ファントム・バレット》
編の
舞台である《ガンゲイル・オンライン》(
以下、GGO)はMMORPG(
大規模オンラインRPG)と
言いつつもFPS(
一人称視点のシューティング)の
要素が
強く、
銃がキーアイテムになるので、1
期が
終わってすぐ
銃器監修の
時雨沢恵一さんに
引き
連れられて、
原作の
川原礫さんやスタッフといっしょにグアムへ
銃を
撃ちに
行きました。
慰安旅行みたいでしたね(笑)。
銃声を
録音するために
効果音のスタッフも
同行していましたが、
実際に
現地で
銃を
撃ってみたら
衝撃的でしたね。もう「
大変なものを
手にしてしまった……」という
感じです。
グアムでの
体験は
第4
話でキリトが
射撃場で
銃を
撃つ
場面にも
影響しています。あそこではいくらキリトさんでもしょっぱなから
銃を
手にしてそう
簡単に
当たるわけがないという
射撃に
対しての
説得力を
持たせたかったんです。
――時雨沢さんもシナリオ段階から参加されていたそうですね。時雨沢さんは、
原作にはないアイデアを
提供してくれましたし、お
持ちのモデルガンも
参考用に
貸していただきました。
銃の
扱い
方についても、
引き
金に
指がかかっていると
素人っぽく
見えてしまうといった
細やかな
監修がありがたかったです。
第3
話で
詩乃の
銃が
排莢(はいきょう)
不良を
起こす
場面は、そのほうが
危なっかしく
見えるという
話だったと
思います。
海外のファンの
中には「
詩乃の
時間はこれで
止まってしまったのだ」と
考えてくれている
人もいると
聞いたことがあります。
また、
銃に
関しては
作画的にも
注意を
払いました。
新たなスタッフとしてアクション
作画監督に
竹内哲也さん、
銃器作画監督に
青木悠君というニューカマーが
入ってくれたのもデカいですね。
竹内さんがいなかったらキリトもああいう
風に
弾を
斬っていなかったかもしれないし、
青木君がいなかったら
銃をあんなにきちんと
描けなかったかもしれない。
特に
青木君はひたすら
銃だけを
描き
続ける
作業をして、ラッシュチェックでも
正しく
描けているか
確認してもらいました。
銃は
詳しい
人でないと
本当にわからない
分野ですからね。
――伊藤監督は今作ではじめて脚本(第1話)を担当されました。こちらの手応えはいかがでしたか?
絵描きではない
演出家が
監督をするにあたって
他に
何かできるかというと、
文芸と
音響なんです。それで
音響監督は『
銀の匙 Silver Spoon』でやらせてもらったので、
次はシナリオを
書いてみようかと。とは
言っても
原作がしっかりしているので、それをピックアップして、
調整していけばいいだけの
話ではあるのですが。
――監督が付け加えた描写などはありますか?第1
話ではコンテの
作業時に、
後の《マザーズ・ロザリオ》
編につながるアスナと
母親の
描写を
加えました。キリトが
将来の
夢を
語る
場面は、
制作が
後半まで
進んだ
後に
思いついたんです。そうやってコンテだけでなく
編集の
際にもフレキシブルに
対応して、できる
限り
最善の
策をとろうとしています。
――第11話でキリトがシノンのお尻を見る場面もシナリオにはありませんでしたね。
あのシーンは、はじめは
腰にある
拳銃のホルスターを
見る
場面だったんですけど、ホルスターを
見たら
自然と
尻に
目が
行くだろうと
思ってイタズラをしてしまいました(笑)。マジメにやるだけだと
面白くないと、どこかで
思ってしまうんですよね。
第13
話でも
恭二君が「アサダサン」って
何回言うのかなぁ、
誰かカウントしてくれないかなぁと
思って、
花江さんに「アサダサンって
沢山言って!」とリクエストしたりと、
本線があまりブレないようなかたちでいろいろと
盛り
込めていければと
考えています。
――オープニングとエンディングについても教えてください。オープニングではなるべく
最初のカットで
世界観を
込めた
何かを
見せたいと
思っていて、あの
赤い
線は
弾道予測線なんです。だから『
古畑任三郎』じゃないんだということは
大きく
宣言しておきたい(笑)。どちらかといえばヒッチコックの
映画ぽいって
言われたいですね。『サイコ』や『
北北西に
進路を
取れ』のオープニングを
手がけたソール・バスのリスペクトでー・・・というオーダーで
撮影の
廣岡さんに
仕上げてもらいました。
エンディングは
本編とは
毛色の
違う、
俺の
中からは
出てこない
映像がほしかったので
佐藤信子さんに
依頼しました。リクエストとしては
詩乃とシノン、さらに
幼い
詩乃もいるのだとか、
水色っぽいイメージかなあ・・・ということを
漠然と
伝えました。
完成した
映像を
見たときは「こうなるんだ」みたいな、いち
視聴者としての
立場で
楽しんでいましたね。