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2014年放送のテレビアニメ「魔法科高校の劣等生」は主人公・司波達也の圧倒的な強さや、ヒロイン・深雪との仲むつまじい兄妹愛が大きな話題を集めた。兄を讃える深雪の「さすがはお兄様です」というセリフはファンの間で流行語となり、電撃文庫より刊行中の原作小説は累計790万部に達する大ヒットとなった。2017年6月17日からはシリーズ初の劇場版「劇場版 魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女」が公開され、盛り上がりを見せている最中だ。
アキバ総研では、そんな本作の監督である吉田りさこさんへのインタビューを実施した。テレビシリーズでは各話の演出として携わり、劇場版で初監督を務めたクリエイターに「魔法科」の魅力を存分に引き出した演出術を語り尽くしてもらった。
達也が最強なのは当たり前
── 「魔法科高校の劣等生」のテレビシリーズに参加した経緯を教えてください。吉田さんはたしかコンテと演出を一緒にやられてましたよね? 吉田りさこ(以下、吉田) 総作監の
吉川(
真帆)さんから
紹介されたことがきっかけでした。コンテと
演出を
同時に
手掛けるのは、
皆さんスケジュールなど
様々な
状況により
変わるかと
思いますが、
私は「
魔法科」に
参加するまでは、どちらか
片方だけを
担当することが
多かったです。テレビシリーズではローテーションのスタッフとして
参加させていただくという
事もあり、コンテと
演出の
両方をやりたいという
気持ちはありました。
── コンテと演出は異なるスタッフが担当することも多いです。両方を手がける利点はなんでしょうか? 吉田 ほかの
方のコンテを
演出する
場合は、その
意図を
汲み
取るまでに
時間がかかってしまうんです。
自分が
両方やるのであれば、コンテを
切る
段階でその
作品の
世界観やキャラクター、
前後のストーリーなども
把握しますし、
演出時のビジョンも
持つことができます。
演出家さんの
中にはコンテと
演出を
切り
離さないで
必ず
両方をやるという
方もいらっしゃいます。
私も
実際に
経験してみて、
両方やったほうが
早いなと
感じました。とはいえ、ほかの
方の
描かれたコンテをみるのは、
技術的、
感覚的な
気づきが
有り、
勉強になります。
── 原作を読まれた感想はいかがでしたか? 吉田 最初に
文体がドッシリしているという
印象を
受けました。
魔法の
理論について
細かく
説明されていて、
集中して
読み
込まないとと
思いました。
理解してやるぞ、と
思わせるところも
魅力なのかなと。
── テレビシリーズの放送中から話題になりましたが、視聴者の反応は伝わってきましたか? 吉田 まだ
作業中だったので
自分の
担当話数を
仕上げることで
精一杯でした(笑)。ただテレビシリーズを
終えて、なんとかローテーションをこなすことができたかな、と
振り
返ることはできました。
── 劇場版では監督に起用されました。映画の監督を務めるのは本作が初めてです。 吉田 実は「
魔法科」が
映画化することと、
自分が
監督だと
知ったのは
同時だったんです。キャラクターデザイン・
総作画監督の
石田(
可奈)さんから“
次の「
魔法科」” のお
仕事があるという
話を
聞いていましたが、その
時点では2
期かOVAかなと
思っていました。だから
次回作が
劇場版で、しかも
私が
監督だと
聞かされてビックリしました。
私が
子供のころに
見ていた
劇場作品に
携わっていたのはすごい
方々ばかりなので、
分不相応なお
話しをいただいたなと……。
── テレビと映画では違ったものが求められると考えていたのでしょうか? 吉田 テレビの
画面と
映画館のスクリーンではサイズがまったく
違うので、
絵がきれいであることは
大前提ではないかと
思います。テレビでは
気にならなかった
部分も
丁寧に
仕上げないとアラが
見えてしまいます。キャラクターのどアップも、テレビで
見ると
気にならなくても、
劇場の
大きいスクリーンでみるとお
客さんも「わっ」となってしまうのではないかなど、いろいろなことを
考えましたが、あまりとらわれ
過ぎると
今度は
何もできなくなってしまうので、
結局は
好きなようにやってしまったかもしれません(笑)。あとテレビシリーズでは
自分の
話数だけを
把握していればよかったのですが、
今回は
監督として
全体をまとめなければいけないという
役職上の
違いもありました。
── 劇場版の制作にあたっては何を軸にして作品を作り上げていきましたか? 吉田 テレビから
引き
続き、「『
魔法科』らしさ」を
大切にすることです。
物事を
決めるときには「
魔法科」として
違和感がないものを
選ぶようにしました。その
感覚は
今回の
劇場版にもテレビシリーズのメインスタッフの
方々がいらっしゃったおかげで、
随所で
共有できたと
思います。「
達也だったらこんなことはしないだろう」といった
行動や
性格についてだけではなく、キャラクターの
細かな
仕草も「『
魔法科』らしさ」の
中に
含まれています。とりわけポーズはキャラクターを
表現する
重要な
記号ですから、できるだけカッコよく
見えたり、かわいらしく
見えたりするように
気を
付けました。
石田さんに「このキャラクターにこのポーズはありですか?」と
相談したこともありましたね。
── 達也の最強っぷりも「『魔法科』らしさ」のひとつでしょうか? 吉田 そうですね。でも「
魔法科」という
作品にとって
達也が
最強なのはごく
普通のことだと
思っています(笑)。
当たり
前のことなので、わざわざ
強さをひけらかす
必要すらないんです。
特別に
意識をしなくても、
自然と
最強になっている
感じでしたね。