基本きほんルール

盤上ばんじょうの駒こまを自分じぶんと相手あいてが交互こうごに動うごかして、互たがいの王将おうしょうを取とり合あいます。
先さきに動うごかす方ほうを先手せんて(せんて)、後のちに動うごかす方ほうを後手ごて(ごて)と呼よびます。

相手あいての駒こまがいる場所ばしょに駒こまを動うごかすことで相手あいての駒こまを取とることができます。
取とった駒こまは自分じぶんの駒こまとして使用しようすることができます。

自分じぶんの駒こまが王将おうしょうを取とれるマスに移動いどうすることを「王手おうて(おうて)」と呼よび、
この時とき、王将おうしょうに逃にげる道みちが無ない場合ばあい、勝かちとなります。

駒こまの動うごかし方かた

将棋しょうぎでは8種類しゅるいの駒こまを使用しようします。駒こまによって動うごきが異ことなりますので、
それぞれの動うごきを知しっておきましょう。

歩ふ(ふ)、または歩兵ほへい(ふへい)

前方ぜんぽうに1マス進すすめます。
成なると、前方ぜんぽう・右みぎ斜ななめ前まえ・左ひだり斜ななめ前まえ・右みぎ・左ひだり・後方こうほうのいずれかに1マス進すすめる「と金きん(ときん)」という駒こまに変化へんかします。

香こう(きょう)、または香車きょうしゃ(きょうしゃ)

前方ぜんぽうに何なにマスでも進すすめます。ただし、他たの駒こまを飛とび越こえることはできません。
成なると、前方ぜんぽう・右みぎ斜ななめ前まえ・左ひだり斜ななめ前まえ・右みぎ・左ひだり・後方こうほうのいずれかに1マス進すすめる「成香なるか(なりきょう)」という駒こまに変化へんかします。

桂かつら(けい)、または桂馬けいま(けいま)

前方ぜんぽうに2マス進すすんだ後のち、左右さゆういずれかに1マス進すすめます。前方ぜんぽうの駒こまは飛とび越こえることができます。
成なると、前方ぜんぽう・右みぎ斜ななめ前まえ・左ひだり斜ななめ前まえ・右みぎ・左ひだり・後方こうほうのいずれかに1マス進すすめる「成桂せいけい(なりけい)」という駒こまに変化へんかします。

銀ぎん(ぎん)、または銀将ぎんしょう(ぎんしょう)

前方ぜんぽう・右みぎ斜ななめ前まえ・左ひだり斜ななめ前まえ・右みぎ斜ななめ後うしろ・左ひだり斜ななめ後うしろのいずれかに1マス進すすめます。
成なると、前方ぜんぽう・右みぎ斜ななめ前まえ・左ひだり斜ななめ前まえ・右みぎ・左ひだり・後方こうほうのいずれかに1マス進すすめる「成なり銀ぎん(なりぎん)」という駒こまに変化へんかします。

金きむ(きん)、または金将きんしょう(きんしょう)

前方ぜんぽう・右みぎ斜ななめ前まえ・左ひだり斜ななめ前まえ・右みぎ・左ひだり・後方こうほうのいずれかに1マス進すすめます。
金きむは成なることはできません。

角すみ(かく)、または角行かっこう(かくぎょう)

斜ななめ4方向ほうこうに何なにマスでも進すすめます。ただし、他たの駒こまを飛とび越こえることはできません。
成なると、角かくの動うごきに加くわえて前後ぜんご左右さゆう4方向ほうこうに1マス進すすめる「馬うま(うま)、または龍馬りょうま(りゅうま)」という駒こまに変化へんかします。

飛ひ(ひ)、または飛車ひしゃ(ひしゃ)

前後ぜんご左右さゆう4方向ほうこうに何なにマスでも進すすめます。ただし、他たの駒こまを飛とび越こえることはできません。
成なると、飛ひの動うごきに加くわえて斜ななめ4方向ほうこうに1マス進すすめる「龍りゅう(りゅう)、または龍王りゅうおう(りゅうおう)」という駒こまに変化へんかします。

王おう(おう)、または王将おうしょう(おうしょう)

周囲しゅうい8方向ほうこうのいずれかに1マス進すすめます。
王おうは成なることはできません。

玉たま(ぎょく)、または玉将ぎょくしょう(ぎょくしょう)

後手ごての王おうです。動うごきはすべて王おうと同おなじです。

「詰つみ」って何なに？

詰将棋つめしょうぎを始はじめる前まえに、「詰つみ」について勉強べんきょうしておきましょう。

詰将棋つめしょうぎの「詰つみ」とは、後手ごての「玉たま」にかかっている王手おうてを、解除かいじょする手段しゅだんがない状態じょうたいのことです。
後手ごてがどう指さしても次つぎに玉たまを取とられるため、その時点じてんで後手ごての負まけとなります。

実際じっさいに図ずを見みると分わかりやすいでしょう。
図ず1、図ず2、図ず3はいずれも「詰つみ」の局面きょくめんです。

図ず1の玉たまは金かねに王手おうてをかけられています。玉たまが金きんを取とると歩ふに取とり返かえされ、玉たまが逃げると金きんに取とられます。
よって王手おうてを解除かいじょする手段しゅだんがなく、「詰つみ」となります。
図ず2は銀ぎんに王手おうてをかけられて「詰つみ」です。2四よん香こうがあるので、銀ぎんを取とることはできません。
図ず3は桂かつらに王手おうてをかけられています。
玉たまが動うごける場所ばしょは1二に龍りゅうが利きいているので逃げられません。
これらの図ずをよく覚おぼえておいてください。

1手て詰つめを考かんがえてみよう!

図ず4、図ず5、図ず6はそれぞれ1手て詰つめです。「1手て詰つめ」とは、先手せんてが1手て指さすだけで「詰つみ」となる詰将棋つめしょうぎのことです。

盤ばんの右みぎにある「持駒もちごま」の下したにあるのは先手せんての持駒もちごまです。手て番ばんの時ときは自由じゆうに使つかってください。

正解せいかいは次つぎの通とおりです。
図ず4=▲2二に金きんまで1手て詰つめ
図ず5=▲2一いち銀ぎんまで1手て詰つめ
図ず6=▲4三さん桂かつら不ふ成なりまで1手て詰つめ

図ず5で▲2三さん銀ぎんは△2一いち玉たまと逃げられます。
図ず6で▲2三さん桂かつら不ふ成なりは△同どう角かくと取とられます。
いずれも図ず1、図ず2、図ず3の1手前てまえの局面きょくめんでした。

1手て詰つめは、すべての王手おうてを考かんがえて玉たまの逃げ道どうがあるかどうか調ちょうべるだけで、
簡単かんたんに詰つますことができます。

詰将棋つめしょうぎの解とき方かた

1手て詰つめの場合ばあい、王手おうてになる着手ちゃくしゅを手当てあてたり次第しだいに調しらべべれば、簡単かんたんに詰つますことができました。
しかし、手数てかずが長ながくなると少すこし難むずかしくなります。それは後手ごての対応たいおうを考かんがえる必要ひつようがあるからです。
「先手せんてがこう指さすと、後手ごてがこう指さして、となると先手せんては......」と考かんがえると頭あたまの中なかがこんがらがってきそうです。
そこで、詰将棋つめしょうぎの解とき方かたの基本きほんをお教おしえしましょう。

「2手て進すすめて、詰つむかどうか考かんがえる。」です。

玉たまを詰つめるため、先手せんては王手おうてをかけなければなりません。
それに対たいして後手ごては王手おうてを外はずす手てを選えらべびます。
この、先手せんて1手てと後手ごて1手て、合あわせて2手てをワンセットとします。
そして、出題しゅつだい図ずからワンセット(2手て)進すすめた図ずが詰つむかどうかを考かんがえます。
詰つめば正解せいかい、詰つまなければ最初さいしょの2手てが間違まちがっている可能かのう性せいがあります。

3手て詰つめを例れいにしてみましょう。2手て進すすめればあと1手てで詰つめむはずです。
わずか1手てなら解とくのも簡単かんたんですね。見事みごと1手てで詰づめば正解せいかいの可能かのう性せいがあります。
でも、どの王手おうてでも詰つまなければ、1手て目めが間違まちがっていたことになります。
この作業さぎょうを何なん度どか繰くり返かえすことで正解せいかいにたどりつくことができるのです。

では、実際じっさいに問題もんだいを解といてみましょう。

3手て詰つめを解といてみよう! その1

図ず7をご覧らんください。

まず、王手おうてを探さがします。
盤上ばんじょうの駒こまを動うごかす王手おうてとしては、▲2三さん歩ほ成なりや▲2一いち銀ぎん不ふ成なりなどがあります(他ほかにもあります)。
持駒もちごまを打うつ王手おうてもあります。▲1三さん金きんと▲2三さん金きんです。
今いま考かんがえたこれらの手ての中なかに必ず正解せいかいがあります。
ひとつひとつ考かんがえてみましょう。

• ▲2三さん歩ほ成しげる△同どう玉たま......詰つまない
• ▲2一いち銀ぎん不ふ成なり△1三さん玉たま......詰つまない
• ▲1三さん金きん△同どう桂かつら(途中とちゅう図ず)......▲2一いち銀ぎん不ふ成なり(最終さいしゅう図ず)で詰つみ!
• ▲2三さん金きん△同どう桂かつら......詰つまない

1手て目めに▲1三さん金きんで詰つみました。
正解せいかいは、「▲1三さん金きん△同どう桂かつら▲2一いち銀ぎん不ふ成なりまで3手て詰つめ」となります。

ところで、この問題もんだいでは、2手て目めは△同どう桂かつらしかありませんでした。
実際じっさいには、王手おうてを外はずす手ては複数ふくすうあることが多おおいので、それぞれについても考かんがえなければなりません。 その例れいを見みてみましょう。

3手て詰つめを解といてみよう! その2

図ず8は先さきほどの図ず7と似にていますが、少すこし違ちがいがあります。

図ず7と同どうじように1手て目め▲1三さん飛ひを考かんがえてみましょう。
対たいして△同どう銀ぎんなら▲2一いち銀ぎん不ふ成なりで詰つみます。
ところが△同どう金かねと取とられると、▲2一いち銀ぎん不ふ成なりに△2三さん玉たま(参考さんこう図ず)で逃げられてしまいます。
後手ごては玉たまを逃がす手しゅを優先ゆうせんするので、1手て目め▲1三さん飛ひは△同どう金かねで詰つまないということになります。

では、他たの王手おうてを探さがし、2手て進すすめて考かんがえてみましょう。

• ▲1六ろく飛ひ△1五ご歩合ぶあい(後手ごては持駒もちごまがたくさんあります)......詰つまない
• ▲1一いち銀ぎん成なり△同どう玉たま......詰つまない
• ▲2一いち銀ぎん不ふ成なり△1三さん玉たま(途中とちゅう図ず)......▲1二に飛とべで詰つみ!

正解せいかいは、「▲2一いち銀ぎん不ふ成なり△1三さん玉たま▲1二に飛ひまで3手て詰つめ」でした。
3手て詰つめが解とけるようになればしめたもの。数多かずおおく解とくことで詰将棋つめしょうぎの手筋てすじが身みにつきます。
また、手てを読よむ力ちからが鍛きたえられ、「残のこり3手ての局面きょくめん」に対たいする判断はんだんを素早すばやく行おこなえます。
そうなれば5手て詰つめだって怖こわくありません。 次つぎに5手て詰つめを解といてみましょう。

5手て詰つめを解といてみよう!

5手て詰つめの場合ばあい、2手て進すすめると残のこりは3手てです。
3手てで詰づめば正解せいかいですし、詰つまなければ他たの手てを考かんがえます。
図ず9を解といてみましょう。これは江戸えど時代じだいに作つくられた有名ゆうめいな問題もんだいです。

まず王手おうてを探さがします。 盤上ばんじょうの駒こまを動うごかす手ては▲2三さん桂かつら成しげるしかありません。
しかしこれは△同どう玉たまと取とられて、攻せめの手掛てがかりが完全かんぜんに失うしなわれてしまいます。
持駒もちごまを打うつ手ては▲2三さん金きんと▲2三さん銀ぎんが有力ゆうりょくです。他たの手て(▲3三さん銀ぎんや▲3二に金きんなど)は玉たまに取とられ、詰つむように見みえません。
有力ゆうりょくな手てを掘ほり下かげてみましょう。

• ▲2三さん金きん△3一いち玉たま(参考さんこう図ず)......▲3二に銀ぎん△4二に玉たま......1手てでは詰つまない
• ▲2三さん銀ぎん△1三さん玉たま(途中とちゅう図ず)......▲1二に銀ぎん成なり△同どう玉たま......▲2三さん金きんで詰つみ!

1手て目め▲2三さん銀ぎんで詰つみました。念ねんのため、後手ごての対応たいおうをチェックしておきましょう。

• 2手て目め△3一いち玉たまは▲3二に金きんまで3手て詰つめ
• 2手て目め△3三さん玉たまは▲4三さん金きんまで3手て詰つめ
• 4手て目め△同どう香こうは▲2三さん金きんまで5手て詰つめ

後手ごてがどう対応たいおうしても、5手て以内いないで詰つむことが確定かくていしました。
正解せいかいは、「▲2三さん銀ぎん△1三さん玉たま▲1二に銀ぎん成なり△同どう玉たま▲2三さん金きんまで5手て詰つめ」(4手て目めは△同どう香こうでも正解せいかい)です。

このように、「2手て進すすめて、詰つむかどうか考かんがえる」ことで、手数てかずが増ふえても解ときやすくなります。

5手て詰つめを解といてみよう! その2

もう1問もん、5手て詰つめ(図ず10)に挑戦ちょうせんしましょう。

まず、盤上ばんじょうの駒こまを動うごかす手てを考かんがえます。
3三角さんかくを動うごかすなら▲2二に角かく成せいか▲4二に角かく成なりですが、玉たまに取とられて損そんするだけ。
6五ご角かくを動うごかすなら▲3二に角かく成なりと銀ぎんを取とれますが、△同どう玉たまで玉だまが動うごける場所ばしょが多おおくなり、詰つむように見みえません。

次つぎに持駒もちごまを打うってみましょう。
金かねを打うつなら▲2二に金きんが有力ゆうりょく。他たの▲2一いち金きんや▲4一いち金きん、▲4二に金きんは後手ごてに取とられてパッとしません。
桂かつらを打うつなら▲2三さん桂かつらと▲4三さん桂かつらがあります。
いずれも△同どう銀ぎんと取とられますが、まだ持駒もちごまに金かねが残のこっているので詰つむ可能かのう性せいは十分じゅうぶんにあります。
よって、▲2二に金きん、▲2三さん桂かつら、▲4三さん桂かつらに絞しぼることができました。それぞれ、2手て進すすめて考かんがえます。

• ▲2二に金きん△4一いち玉たま......▲7四よん角かく△5二に歩合ぶあいで詰つまないし、▲3二に金きんや▲3二に角かく成なりは△5二に玉たまで詰つまない。
• ▲2三さん桂かつら△同どう銀ぎん(途中とちゅう図ず2手て目め)......▲2二に金きん△4一いち玉たまで詰つまない。▲2一角いっかく成なり(途中とちゅう図ず3手て目め)△同どう玉たま......▲2二に金きんで詰つみ!
• ▲4三さん桂かつら△同どう銀ぎん......▲2二に金きん△4一いち玉たまで詰つまない。

1手て目め▲2三さん桂かつらと指さして詰つむ手順てじゅんがありました。
後手ごての他ほかの対応たいおうも考かんがえてみましょう。

• 2手て目め△2一いち玉たまは▲2二に金きんまで3手て詰つめ。
• 2手て目め△4一いち玉たまは▲5一いち金きんまで3手て詰つめ。
• 4手て目め△4一いち玉たまは▲5一いち金きんまで5手て詰つめ。

後手ごてがどう対応たいおうしても5手て以内いないで詰つみました。
正解せいかいは、「▲2三さん桂かつら△同どう銀ぎん▲2一角いっかく成なり△同どう玉たま▲2二に金きんまで5手て詰つめ」(4手て目めから△4一いち玉たま▲5一いち金きんでも正解せいかい) です。

詰将棋つめしょうぎでは駒こまを捨すてる「捨駒(すてごま)」が多用たようされます。
駒こまを捨すてるのは抵抗ていこうがあると思おもいますが、後手ごての駒こまを動うごかすという重要じゅうような効果こうかがあります。
1手て目め▲2三さん桂かつらや3手て目め▲2一角いっかく成なりなど、捨駒を見逃みのがさないようにし、駒こまを捨すてる爽快そうかい感かんをたっぷり味あじわってください。