■校正こうせいなんて賎業せんぎょうだろ

（追記ついき）

「俺おれは今いまでも、あの41話わをチェックした人ひとのことを思おもっている」の末尾まつびに句点くてんなし。「一番いちばん最後さいご」は口語こうご的てき表現ひょうげんでOKなのかな。

ありがとう、助たすかる。

どっか落おとしてるだろうとは思おもってたが、仕事しごと終おわりに自分じぶんの文章ぶんしょうなんかマトモに読よめねえんだよな。

句点くてんイレル。そういや同おなじ現場げんばだった校正こうせい者しゃもよくやらかしてたな。元気げんきしてるだろうか。

「一番いちばん最後さいご」はママで。副詞ふくし的てき用法ようほうだと「ぶっちぎり」みたいなニュアンスを感かんじるから、おっしゃる通とおり強調きょうちょう表現ひょうげんの範囲はんい内うちとして個人こじん的てきには違和感いわかんないかな。もちろん要よう指摘してき事項じこうだが。

“？”の後うしろに文章ぶんしょうが続つづけばスペースあり、後うしろが “」”の記号きごうならスペースなし、“これはいったい何なん年ねん前まえの学説がくせつなんだ？って” と促音そくおんでもスペースなし、が校正こうせいルールってことかなーと思おもいながら読よんだ。

だいたいそう。最後さいごの場合ばあいはスペース入いれる表記ひょうきルールも多おおいけど、俺おれは一文いちぶんとしてつながりがあるならアキなしの方ほうが好すき。

校正こうせいって、文章ぶんしょうの体裁ていさいを整ととのえるだけじゃなくて、内容ないようのチェックも求もとめられるじゃん。

科学かがく的てきに間違まちがってるとか、事実じじつ関係かんけいが間違まちがってないかとか。

そこまで求もとめるのかって思おもうわ。

この前まえもゲームの歴史れきしみたいな本ほんが、事実じじつと違ちがうって炎上えんじょうして回収かいしゅう騒さわぎになって、校正こうせいは何なにをしてるんだって出版しゅっぱん社しゃが文句もんく言いわれてたけど、こそまで調しらべられるなら著者ちょしゃに書かかせないで出版しゅっぱん社しゃが自分じぶんで書かくだろっていつも思おもうわ。

文章ぶんしょうの体裁ていさいを整ととのえるのは校正こうせいで、事実じじつ関係かんけいの確認かくにんや内容ないように踏ふみ込こんだ指摘してきをするのが校閲こうえつであり、それぞれ別べつの仕事しごとである……ってのは大昔おおむかしの話はなし。

写植しゃしょくがなくなり、ネットが普及ふきゅうした今いまじゃどっちもやるのが当あたり前まえになった。

校正こうせいしろって言いわれても最低限さいていげんの事実じじつ確認かくにんはするし、校閲こうえつしろって言いわれても行頭ぎょうとう二に分ふんアキ折おり返かえし天てんツキー、だ。

現代げんだいじゃ校正こうせいも校閲こうえつも業務ぎょうむ自体じたいはラクになったんだろうが、そのぶん求もとめられることが増ふえた。どっちの方ほうがマシなんだろうな。

ゲームの歴史れきしも、あんだけミスがありゃ業界ぎょうかい素人しろうとの校正こうせい者しゃでも1個いっこや2個こぐらいは事実じじつとの齟齬そごを見みつけてたかもな。でも「校閲こうえつは何なにをしているのか」って増田ますだにも書かかれてるように、校閲こうえつ者もののひと声こえで進行しんこうがストップするなんてまずありえない。

「じゃあAIでいいじゃん」ってブコメがあったが、全ちょんくその通とおりだと思おもうぜ。

（本文ほんぶん）

なんか一瞬いっしゅんだけ校正こうせいが話題わだいになったらしいがな、あんなんロクな仕事しごとじゃねえ。

俺おれはこの業界ぎょうかいに入はいった直後ちょくごの飲のみ会かいで「この仕事しごと、20年としくらいで頭あたまおかしくなって失踪しっそうしちゃう人ひと多おおいから気きをつけてね」って笑わらいながら言いわれたぞ。

俺おれはあと何なん年ねんもつんだろうな。もう壊こわれてるかもな。

だいたい、どこのどいつがしょーもない誤字ごじ脱字だつじを見みつけられて感謝かんしゃするんだ。

自分じぶんのミスをほじくり返がえされてイラつかない奴やつはいないだろ。

人ひとから嫌きらわれるのが仕事しごとなんだよ、校正こうせいは。

「いやいや、自分じぶんは感謝かんしゃしている」ってか？　嘘うそつけ、とんちんかんな指摘してきが来きたら逆上ぎゃくじょうしてSNSにアップするんだろどうせ。指摘してきがとんちんかんかどうかも出版しゅっぱん社しゃや著者ちょしゃによって変かわってくるんだからな、まったくやってられねえ。

ある案件あんけんで鉛筆えんぴつを入いれれば烈火れっかのごとく怒おこられ、ある案件あんけんでは鉛筆えんぴつを入いれなかったことにねちねち詰つめられた。

あの時ときの判断はんだんはどっちも間違まちがってなかったって、俺おれは今いまでも思おもってるけどな。

一番いちばんクソなのは表記ひょうき統一とういつだな。あんなの気きにする奴やつなんかいるか？

「つながる」だろーと「繋つながる」だろーと、混在こんざいしてようがどっちでもいいだろ。

一文いちぶん中ちゅうの漢字かんじと仮名かめいのバランスガーとかそんな高尚こうしょうなもんじゃなく、単純たんじゅんに気きにして読よんでる奴やつなんて誰だれもいねえんだよ。

いるとしたら、そいつは校正こうせい者しゃだ。話はなしを聞きく価値かちもねえ。

「繋つなぎ」は俗字ぞくじだから直なおせだと？　うるせーな、てめえは校正こうせい者しゃか？

今いまどき「繫」を使つかってるメディアなんかねえだろ、たぶん。

まったくもって、誰だれのためにもならない仕事しごとだ。

著者ちょしゃをキレさせて、読者どくしゃにそっぽを向むいて、出版しゅっぱんの奴やつらしか気きにしないようなエセルールを厳守げんしゅして満足まんぞくしてるわけだ。

ダーシや３点てんリーダがひとつだろうとふたつだろうと、どうでもいいんだよ。

誤脱ごだつ拾ひろわせるのなんてWordにでも任まかせとけ。

とっととAIにとって代かわればいいんだよ、こんな仕事しごと。

「非常ひじょうに複雑ふくざつな判断はんだんが求もとめられるからAIには無理むり」とか言いう奴やつも多おおいから聞きかせてもらうけどよ、人間にんげんの脳のうみそって本当ほんとうにAIより出来できがいいのか？

俺おれにはとてもそうとは思おもえねえ。あと５年ねんか10年としもすりゃ余裕よゆうで超こえるだろ。

だいいち、人間にんげんサマの書かいてる文章ぶんしょうがそこまで上等じょうとうじゃねえ。

AIのほうがよっぽどマトモな文章ぶんしょうを書かくぞ。

うさんくせえアフィ記事きじの段落だんらくひとつをまるまるコピペして、ちょろっと表現ひょうげん変かえただけでファクトチェックは全部ぜんぶぶん投なげるクソライター。

専門せんもん分野ぶんやより先さきに日本語にほんごを学まなべってレベルで主しゅ述じゅつ関係かんけいがメチャクチャで、挙あげ句くの果はてに自分じぶんとこの専門せんもん用語ようごさえ間違まちがえてるクソ学者がくしゃ。

そんなものにセコセコ鉛筆えんぴつ入いれてるこの仕事しごとも、ロクなもんじゃないに決きまってる。

AIはファクトチェックができないって？　なるほど、どうなんだろうな。

それならもしかしたら人間にんげんも、生いき残のこれるかもな。

だが、専門せんもん家かでもない俺おれらのファクトチェックなんざ、たかが知しれてるだろ。

どうせパソコンかたかたやって、ネットのマトモっぽいサイト見みつけて「うーん……これはたぶん公式こうしき！」って適当てきとうな認定にんていして、そこから情報じょうほうがきちんとコピペされてるかチラッと見みる……やっぱもう５年ねんか10年としもありゃ、普通ふつうにAIでもできそうじゃねえか？

そもそも公式こうしきサイトだって平気へいきで間違まちがってるしな。

「××駅えきから徒歩とほ10分ぶん！」とか書かいといて、GoogleMap見みたら30分ふんはかかりやがる。

俺おれら御用達ごようたしのコトバンクだって、これはいったい何なん年ねん前まえの学説がくせつなんだ？ってのがザラにあるじゃねえか。

ああ？　もっと真面目まじめに仕事しごとをやれってか。

だが校正こうせいってのはとにかく時間じかんがねえ。出版しゅっぱんルートにおける一番いちばん最後さいご、要ようするに下水道げすいどうだ。

著者ちょしゃがなかなか書かきやがらねえ。編集へんしゅうがなかなか回まわしてこねえ。そのくせ締しめ切きりは動うごかねえ。ならどうするか？　校正こうせいの時間じかんを削けずるんだよ。

つまり一番いちばんどうでもいい工程こうていなんだってことは、出版しゅっぱん業界ぎょうかいの共通きょうつう認識にんしきなんだろ？

とにかくこの仕事しごとは、必要ひつようのないことをやって金かねを得えている。

ブルシット・ジョブよりタチが悪わるい。

役やくにたないどころか、人ひとをイラつかせてるんだからな。

若者わかものの台詞せりふなのに「これはら抜ぬき！　い抜ぬき！」とか鉛筆えんぴつ入いれてる初はつ校こうを見みると「バカかテメェは？」とか言いいたくなるんだよ。

そんときばかしは著者ちょしゃに同情どうじょうするな。「あの校正こうせい者しゃをクビにしろ！」とかクレーム電話でんわの１本ほんや２本ほん入いれるかもしれねえ。

仕方しかたねえから初はつ校こうにフィードバックすると、すげえ不満ふまんそうな顔かおされんだよな。

正ただしい日本語にほんごってなんだ？　それは著者ちょしゃの表現ひょうげんしたいものより大切たいせつなのか？

俺おれもさ、はじめはさ、希望きぼうを持もってこの仕事しごとを選えらんだんだよ。

著者ちょしゃの頭あたまの中なかにある世界せかいを、誤字ごじ脱字だつじなんか余計よけいなノイズなしに、そのまま100％伝つたえるんだって。

気きづけば俺おれは、「十じゅう年ねんと一いち〇年ねんで表記ひょうきがユレてます」なんてクソどうでもいいことばかり憧あこがれの作家さっかに抜ぬかしてるわけだ。

でも仕方しかたねえじゃねえか。

木きっ葉は校正こうせい者しゃの地位ちいなんてカスみたいなもんだから、身みを守まもるには野暮やぼな指摘してきを入いれるしかねえんだよ。

「私わたしはちゃんとここに気付きづいてますけど、あえてママにしているんですよね？」ってアピールをしとくんだ。

誰だれだって入いれたくねえよ、こんな鉛筆えんぴつ。でもそうしなきゃ、いつ契約けいやくを切きられるか分わかりやしねえ。

正直しょうじきな話はなし、俺おれは小説しょうせつより漫画まんがが好すきだからよ、いつもジャンプのことを考かんがえてるんだ。

暗殺あんさつ教室きょうしつ知しってるか。あれに有名ゆうめいな誤字ごじがあるんだ。

「転ころんだ」が「殺やんだ」になってるってやつな。

俺おれは今いまでも、あの41話わをチェックした人ひとのことを思おもっている。

主人公しゅじんこうの才能さいのうがついに開花かいかしたっていう超ちょう激げき熱ねつエピソードでよ。

そんなクソ盛もり上あがるシーンなんだから、松井まつい先生せんせいもそりゃお得意とくいの言葉ことば遊あそびをするだろうさ。

俺おれがもし「（念ねん）この『殺やんだ』は『転ころんだ』の誤あやま表記ひょうきではありませんね？」なんてお伺うかがいを立たててる奴やつを見みかけたら、もう絶叫ぜっきょうしちまうよ。

当あたり前まえだろ。マジで冷さめるから鉛筆えんぴつだろうと死しんでも入いれるなよ、そんな指摘してき。

ところがどうだ、実際じっさいはマジの誤植ごしょくで、編集へんしゅう部ぶからお詫わびまで出でた。

いったいどうするのが正ただししかったんだろうな。

やっぱり指摘してきをしとけば、防ふせげるミスだったんだろうよ。

でもな、答こたえを知しっちまった今いまでも、俺おれはやっぱり「殺やんだ」をスルーするのが一番いちばんだと思おもうんだ。

たとえ校正こうせい者しゃとして間違まちがった態度たいどだとしても。

「私わたしはあなたとあなたの作品さくひんを信頼しんらいしています。だからこの表現ひょうげんには何なにも指摘してきを入いれません」

そういう仕事しごとをしてえよな。

ただまあ、もう一ひとつだけ欲よくを言いえば、俺おれが恐縮きょうしゅくしながら入いれた鉛筆えんぴつが、作品さくひんの世界せかいをちょっとだけ広ひろげることにつなげられたなら……。

いいや、それは下心したごころがありすぎだ。何様なにさまだよ、お前まえは。

校正こうせい者しゃが前まえに出でても、いいことなんか何なに一ひとつねえ。

だから俺おれは明日あしたも結局けっきょく、ホームページ代かわりにインスタを使つかってるオシャレ飯めし屋やに悪態あくたいをついたり、聞いたこともねえ企業きぎょうが前ぜん株かぶなのか後こう株かぶなのかを必死ひっしこいて調しらべたり、シャーペンの先さきっぽで一いち字じ一いち字じゲラの文字もじをぷちぷち押おさえたりするだけなんだ。

誰だれにも求もとめられてない仕事しごとのためにな。

ああ、クソッタレ。

Permalink | 記事きじへの反応はんのう(22) | 21:24

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