選手たちの笑顔や涙がもたらす感動と、新型コロナ感染の爆発的拡大という悲劇が同時進行、まさにパラレルワールドと化している東京オリンピック。
そんな中、ポジティブな面に目を向けてみると、いい意味で開催前とイメージがガラリと変わったのがスケートボードだろう。並みいるライバルたちを退け、みごとに金メダルを獲得した堀米雄斗、西矢椛、四十住さくら。日本のお家芸になりそうな勢いだが、イメージアップはそれだけが理由ではないもよう。
「ボード競技といえばアクロバティックなカッコよさの反面、チャラいというイメージが圧倒的に高かった競技。実際、チャラいのは間違いありませんが、今回ボード競技を初めてじっくり見た人たちからは、選手たちがとても楽しそうに演技をしていること、負けても笑顔を絶やさず、そしていいパフォーマンスをしたライバルを心から讃えている姿が新鮮に映ったようです。おかげで、その後の女子競技も盛り上がりましたし、自転車競技のBMXも同様のノリでとても面白いと評判だったようです」(スポーツライター)
でも、ボードのイメージをアップさせたのは選手だけではないのだとか。
「ストリート競技で解説を担当したプロボーダー・瀬尻稜さんの功績は本当に大きいですね。始まった直後は『まじヤバいっす』など、ふつうのスポーツ中継ではありえないワードの連発で視聴者を凍りつかせましたが、実況の倉田大誠アナ(フジ)とのコンビが絶妙で、ワザの説明も的確、そして日本の選手以外も同じように讃える様子、そして何といっても競技愛が半端ないということで中継中にどんどん株が上がっていったという感じでした。おかげで、その後に発した『ゴン攻め』『いやいやいや・・ないないない』『ビッタビタでしたね』という言葉もトレンド入り。ボードの楽しさに瀬尻用語ありというムードが出来たんです」(前出・スポーツライター)
ただ、世間が「ゴン攻めは流行語大賞でもいい」というほど瀬尻ワードに感化されたせいで、その反動がちょっと見られているのだとか。
「4日に行われた女子パークの解説が瀬尻さんではなかったんです。もちろん解説自体はわかりやすく丁寧でしたが、SNSでは『えーっ!瀬尻さんじゃない』『瀬尻ロスすごすぎてツライ』『BMXのオーマーガッド連発解説も瀬尻ロスを感じた』など、選手以上に瀬尻さんを求める声が連投されたんです。その渇望ぶりの証拠に、途中にハイライトで女子ストリートがプレイバックされると解説は瀬尻さんでしたから、視聴者が一気に沸騰。『瀬尻さんキターっ!』と大歓声です(笑)」(前出・スポーツライター)
それでも、スケボー女子パークは表彰台を日本人選手が金銀独占。堀米選手、そして瀬尻ワードが勢いをつけた流れは今後の競技発展にもめっちゃ繋がっていくのかも。
(飯野さつき)