米大統領選まで残り3カ月となった。ロイターなどが8月に公表した最新の世論調査によれば、全米での支持率で、ハリス氏が42%でトランプ氏の37%に比べて5ポイントリードする状況だ。また、リサーチ会社大手「イプソス」によるアリゾナやペンシルベニアなど激戦7州を対象に行った世論調査でも、ハリス氏が37%で、トランプ氏の34%よりリードしている。
米大統領選の結果次第で世界情勢は大きく変動することから、その行方を全世界が注目しているのは当然だが、欧州各国の指導者たちの多くはハリス勝利を、ロシアのプーチン大統領や北朝鮮の金正恩総書記はトランプ氏の勝利を望んでいるとされる。
そんな中、大統領選の行方を最も冷ややかな目で見ていると言われるのが、中国の習近平国家主席だ。
「現副大統領のハリス氏は、基本的にはバイデン政権の対中姿勢を継承するはずで、台湾防衛のための軍事支援を惜しまず、半導体など、先端テクノロジー分野での対中貿易規制を積極的に導入してくるでしょう。また、対中国の結束を強化するため、日本や欧州など同盟国との関係を重視することになり、中国にとっては厄介な政治的構図となり得ます」(国際部記者)
一方、トランプ氏も中国への厳しい向き合い方には変わりがなく、仮に大統領に返り咲いても、バイデン政権が発動した対中貿易規制を解除せず、それに上乗せする形で輸出入規制や関税引き上げなどを講じていくと見られる。
「トランプ氏は、台湾が米国の半導体産業を奪った、などと不満を示しており、台湾防衛については関与を薄める可能性もありますが、中国への強硬姿勢は変わらないでしょう。要は、中国からすると、どちらが勝っても対中姿勢は変わらないので、米大統領選挙は中国にとっては単なる政治イベントに過ぎないとも言えるのです」(前出・記者)
こうした状況は、習氏も十分に認識しているはずだ。国家主席の任期制限を自ら撤廃した習氏にとっては、次の大統領への対策というよりは、むしろ、「次の次」のほうが気になるのかもしれない。