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ASCII.jp:デルのEMC買収、クラウド時代には延命措置かもしれない

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大谷おおやイビサのIT業界ぎょうかい物見ものみ遊山ゆさん だい21かい

ポートフォリオは補完ほかんてきだが、クラウド市場いちばでののこりに疑問ぎもん

デルのEMC買収ばいしゅう、クラウド時代じだいには延命えんめい措置そちかもしれない

2015ねん10がつ13にち 0700ふん更新こうしん

ぶん大谷おおやイビサ/TECH.ASCII.jp

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やく8ちょうえんという未曾有みぞう規模きぼおこなわれるデル主導しゅどうによるEMCの買収ばいしゅう関連かんれん記事きじ)。昨年さくねんあたりからEMCの買収ばいしゅうばなしはちらちらていたが、ここに一気いっきはなしすすみ、結局けっきょく報道ほうどうから非常ひじょうみじか期間きかん発表はっぴょうにまでいたった。メガベンダーの登場とうじょうは、たしてIT業界ぎょうかいにどのような影響えいきょうあたえるのか? それともあたえないのか?

「やはりかん」のつよいデルとEMCの統合とうごう

 ここにいた経緯けいいが、クラウドの台頭たいとうであることはあきらかだ。クラウドファースト、ひいてはクラウドネイティブのながれが加速かそくし、オンプレミスのハードウェアビジネスが一気いっき駆逐くちくされつつある。とくにEMCにかんしては、成長せいちょうりつげといった数字すうじめんより、プレスからて、あきらかに製品せいひん戦略せんりゃくめん退行たいこうられただけに、個人こじんてきにはあまりおどろきがない。買収ばいしゅうのニュースにたいして「オンプレミスエンタープライズってニッチ市場いちばでのジャイアントになるつもりなんだとおもう」というコメントをせているひとがいたが、まさにそのとおりだとおもう。長年ながねんEMCをリードしてきたジョー・トゥッチーCEOも、みずからの在任ざいにんちゅうに、(同社どうしゃかかげていた)「REDEFINE」の方向ほうこうせいしておきたかったのだろう。

 テキサスのデル、ボストンのEMCという西海岸にしかいがん企業きぎょうではない両社りょうしゃわせ。2001ねんには戦略せんりゃくてき提携ていけいおこなってたこともあり、関係かんけいあさいわけではない。基本きほんてき両方りょうほうともITハードウェア全般ぜんぱんをカバーするものの、デルはPCとサーバー、EMCはストレージにつよみをっており、ポートフォリオてきにはかなり相互そうご補完ほかんてきだとおもう。

 まずストレージ事業じぎょうだが、EMCは専業せんぎょうベンダーとして基幹きかんけい、エンタープライズ、ミッドレンジ、SMBけのプライマリストレージはもちろん、IsilonのようなスケールアウトNAS、DataDomainのようなバックアップ装置そうち各種かくしゅソフトウェアまで幅広はばひろそろえる。デルもストレージ事業じぎょうにはかなりちかられているが、2007ねん買収ばいしゅうしたiSCSI SANストレージのEqualLogicとオブジェクトストレージあたりをEMCの事業じぎょうめばうまく整理せいりく。

 デルが本来ほんらいてきつよみをつPCやサーバー、買収ばいしゅうによってポートフォリオが強化きょうかされているネットワーク機器ききかんしては、EMCがながらく進出しんしゅつしなかった分野ぶんやなので、こちらにオーバーラップはない。統合とうごうがたインフラのVCEも継続けいぞく明言めいげんされているし、セキュリティにかんしては、EMCのRSA事業じぎょうとデルのSecureWorksの統合とうごうにより、むしろ競争きょうそうりょくたか事業じぎょうになりそうだ。

成長せいちょう市場いちばをにらんだヴイエムウェアの戦略せんりゃくかぎ

 オンプレミスのハードウェアベンダーとしてかんがえると、EMCを統合とうごうする新生しんせいデルがになえるはば相当そうとうひろい。IBMがハードウェアからあしあらいつつあるなか真正面ましょうめんから対抗たいこうできるグローバルベンダーはもはやHPとオラクルだけとえる。しかし、冒頭ぼうとうべたとおり、オンプレミスのハードウェアビジネスは、今後こんごIT市場いちばではニッチになる。これほど巨大きょだいなメガベンダーの登場とうじょうが、むしろあまり市場いちばにインパクトをもたらさないという可能かのうせいもあるわけだ。

 たしかに単価たんかおおきく、しょうりゅう確立かくりつされているため、オンプレミスの市場いちば短期たんきてき崩壊ほうかいすることはないだろう。しかし、縮小しゅくしょうつづける市場いちばでシェアと成長せいちょう確保かくほするのはむずかしい。成長せいちょう市場いちばへの投資とうし義務ぎむづけられた米国べいこくIT企業きぎょうとしては、「ゆるやかなむかえる市場いちばのシェアはなんとかまもります」だけでは投資とうしられないはず。当然とうぜんながら、マイクロソフトのように覚悟かくごめて、あたらしいクラウド戦略せんりゃく必要ひつようがある。

 焦点しょうてんとなるのはやはりヴイエムウェアだ。仮想かそう分野ぶんやたかいシェアをほこるヴイエムウェアは、EMCグループのとらてき存在そんざいで、EMCの競合きょうごうとなる他社たしゃとも良好りょうこうなアライアンスを維持いじしてきた。デル自体じたいももともとオープン指向しこう追求ついきゅうしているため、こうしたエコシステムめんでの変更へんこうはないだろう。一方いっぽう仮想かそうをリードしてきたヴイエムウェアも、パブリッククラウドやOSSのみにおいては、競合きょうごうくらべて後塵こうじんはいしている。この分野ぶんやをいかにばしていくかが、今後こんごおおきなかぎだ。デル・EMCはグループをげて、クラウド時代じだいでののこりをかんがえなければ、今回こんかい買収ばいしゅう結局けっきょく延命えんめい措置そちにしかならない。先週せんしゅうのAWS re:Invent 2015でクラウドの破壊はかいりょくをもってかんじてきたオオタニとしては、そう断言だんげんせざるをない。

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