なぜ人工じんこう知能ちのうは「今年ことしの1枚まい」に戦場せんじょうの写真しゃしんを選えらんだのか

2016年ねん12月02日にち 15時じ08分ふん更新こうしん

文ぶん● 西牧にしまき/ASCII

©Carl Court/ Getty Images News

　12月に入はいり今年ことしを振ふり返かえる機会きかいがちらほらと出でてきている。真まっ先さきにあがるのは新語しんご・流行りゅうこう語ご大賞たいしょうだろう。センテンススプリングの方ほうがキャッチーだったのでは？　と思おもったり、人気にんきグループ解散かいさんは衝撃しょうげき的てきだったのになんで選えらばれてないんだと勘かんぐってみたり。今年ことしもいろいろあったなと、しみじみ感かんじるのがこの時期じきだ。

　では冒頭ぼうとうの写真しゃしんを知しっているだろうか。今年ことしの1枚まいに選えらばれたこの写真しゃしんは、遠とおくの炎ほのおと微笑びしょうする少年しょうねんのコントラストが印象いんしょう的てきだ。撮影さつえいされたのは10月21日にちで、自転車じてんしゃに乗のった少年しょうねんが、モスルの爆発ばくはつ現場げんば前まえで停車ていしゃしたときの様子ようす。国連こくれんが人ひとの壁かべとして犠牲ぎせいになる可能かのう性せいがあると警告けいこくしたため、数すう百ひゃく人にんのイラク人じん家族かぞくが土地とちを離はなれなくてはいけなくなった状況じょうきょう下かで撮影さつえいされたという。

　衝撃しょうげき的てきな1枚まいだが、さらに驚おどろくのはAI（人工じんこう知能ちのう）が選えらんだことだ。

　実際じっさいは人ひとの脳のうに強つよく残のこったものをAIが割わり出だした、というのが正確せいかくかもしれない。20～40代だいの男女だんじょに写真しゃしんをいくつも見みてもらい、頭あたまに浮うかんだ感想かんそう（言葉ことば）をMRI検査けんさで取とり出だし、今年ことしのテーマである「語かたり継つぐ」に近ちかい印象いんしょうを最もっとも集あつめた写真しゃしんをAIが選えらんだそうだ。

　企画きかくをしたのはゲッティイメージズジャパンとNTTデータだ。ゲッティイメージズは報道ほうどう・出版しゅっぱん・広告こうこくなどメディア向むけの写真しゃしん・動画どうがを提供ていきょうしており、保有ほゆうする作品さくひんは2億おく点てん近ちかくにのぼる。一方いっぽうNTTデータはデでータ通信たつうしんやシステム構築こうちく事業じぎょうを展開てんかいするシステムインテグレーターだ。NTTデータが提供ていきょうしている脳のう科学かがくソリューションが、ゲッティイメージズが持もつ大量たいりょうの写真しゃしんの中なかから1枚まいを選えらぶという企画きかくだったという。

　ちなみにゲッティイメージズはもうひとつおもしろい取とり組くみとして、噺家はなしかに今年ことしの1枚まいを選えらんでもらい、写真しゃしんに合あわせて落語らくごを演えんじてもらうイベントを開催かいさいした。選えらんだのは立川たちかわ志こころざしらく師匠ししょうと桃もも月がつ庵あん白酒しろざけ師匠ししょう。ともに落語らくご界かいではかなりの実力じつりょく者しゃだ。

　2人ふたりが選えらんだ写真しゃしんはこちら。

©The Asahi Shimbun

©Getty Images News

　立川たちかわ志こころざしらく師匠ししょうは熊本くまもと地震じしんの際さいに撮影さつえいされた子こどもの写真しゃしんで「子別こわかれ」を、桃もも月がつ庵あん白酒しろざけ師匠ししょうは3月がつに開催かいさいされたEUリーダースサミットでの1枚まいで「松まつ曳ひき」を演えんじた。志こころざしらく師匠ししょうは「地震じしんという大おおきな悲かなしみの中なかでもおもちゃを見みつけた瞬間しゅんかんにうれしそうな表情ひょうじょうを見みせている」と写真しゃしんについてコメント。白酒しろざけ師匠ししょうは「大喜だいぎ利りのように吹ふき出だしを付つけられそうな1枚まい」と評ひょうした。