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ASCII.jp:日本の農業が危ない (1/4)

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天皇陛下てんのうへいか遺伝子いでんしまい新嘗祭にいなめさいおこなう未来みらい

日本にっぽん農業のうぎょうあぶない

2017ねん12月01にち 0700ふん更新こうしん

ぶん三橋みつはし貴明たかあき

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日本にっぽん農業のうぎょう政策せいさくはおかしな方向ほうこうすすんでいる。このまますすめば、日本にっぽんはGMO(遺伝子いでんし作物さくもつ)メジャーの進出しんしゅつゆるしてしまう。やがて天皇陛下てんのうへいか遺伝子いでんしまい新嘗祭にいなめさいおこなうことになる──『亡国ぼうこく農協のうきょう改革かいかく』(飛鳥新社あすかしんしゃ著者ちょしゃ三橋みつはし貴明たかあきさんが警鐘けいしょうらしています。


日本にっぽん農業のうぎょう穀物こくもつメジャーにらされる

 2015ねん農協のうきょう改革かいかく皮切かわきりに、安倍あべ政権せいけん日本にっぽん食料しょくりょう安全あんぜん保障ほしょう弱体じゃくたいさせる政策せいさく次々つぎつぎ推進すいしんしていっている。

 理由りゆうは、べつに「日本にっぽん食料しょくりょう安全あんぜん保障ほしょう破壊はかいしよう」といったはなしではなく、たんなる特定とくてい企業きぎょうのビジネスのためだ。

 たとえば、農協のうきょう改革かいかくでは全国ぜんこく農業のうぎょう協同きょうどう組合くみあい連合れんごうかい全農ぜんのう)について株式会社かぶしきがいしゃ可能かのうになった。なぜ協同きょうどう組合くみあいである全農ぜんのう株式会社かぶしきがいしゃにしなければならないのか。理由りゆう世界せかい最大さいだい穀物こくもつメジャー「カーギルしゃ」に、全農ぜんのう買収ばいしゅう可能かのうとするためだ。

 全農ぜんのうはアメリカに全農ぜんのうグレインという子会社こがいしゃ所有しょゆうしている。全農ぜんのうグレインは各種かくしゅ作物さくもつについて、種子しゅし段階だんかいから生産せいさん流通りゅうつうにおいて分別ふんべつ管理かんり(IPハンドリング)し、すうひゃくまんトンの穀物こくもつをアメリカから輸出ゆしゅつしている

※IPハンドリング:遺伝子いでんし作物さくもつ表示ひょうじかんする規定きてい正式せいしきには「遺伝子いでんしぐみ農産物のうさんぶつおよ遺伝子いでんしぐみ農産物のうさんぶつ生産せいさん流通りゅうつうおよ加工かこうかく段階だんかい善良ぜんりょうなる管理かんりしゃ注意ちゅういをもって分別ふんべつ管理かんりし、そのむね証明しょうめいする書類しょるいにより明確めいかくにした管理かんり方法ほうほう」(消費しょうひしゃちょう

 全農ぜんのう全農ぜんのうグレインの存在そんざいが、カーギルにとって「利益りえき最大さいだい障壁しょうへき」になっているのである。なにしろ全農ぜんのうグレインがIPハンドリングを提供ていきょうする以上いじょう、カーギルもやらないわけにはいかない。IPハンドリングは当然とうぜんコストアップ要因よういんになる。

 さらに、全農ぜんのうグレインは株式会社かぶしきがいしゃだが、親会社おやがいしゃ全農ぜんのう協同きょうどう組合くみあいである。協同きょうどう組合くみあいである以上いじょう、アメリカからの穀物こくもつ輸入ゆにゅうさいし、全農ぜんのうはそれほど利益りえきせない。もちろん適正てきせい利益りえき必要ひつようはあるが(さもなければ事業じぎょう存続そんぞくできない)、あまり無体むたい利益りえきせてこないのである。

 すると、カーギルもまた阿漕あこぎ(あこぎ)な利益りえき上乗うわのせできなくなってしまう。一応いちおう、グローバルな穀物こくもつ市場いちばでは「競争きょうそう原理げんり」がはたらいている。カーギルの値段ねだんたかすぎるとかんじた顧客こきゃくは、よりやす穀物こくもつ提供ていきょうする全農ぜんのうからうだけだ。

 全農ぜんのうはカーギルにとって、自社じしゃ利益りえき圧迫あっぱくする最大さいだいさいきょうてきなのだ。

 全農ぜんのう厳密げんみつには全農ぜんのうグレイン)さえ存在そんざいしなければ、カーギルはIPハンドリングという面倒めんどうなオペレーションから解放かいほうされ、かつ利益りえき上乗うわのせして、グローバル市場いちば穀物こくもつめる。

 カーギルとしては「企業きぎょう買収ばいしゅう」により全農ぜんのうグレインの脅威きょういのぞきたいところである。とはいえ、全農ぜんのうグレインは株式会社かぶしきがいしゃだが親会社おやがいしゃ全農ぜんのう協同きょうどう組合くみあい連合れんごうかいである。全農ぜんのう株式かぶしきり、全農ぜんのうグレインごと傘下さんかおさめることは不可能ふかのうだ。

 さて、どうする。あきらめるか。

 あきらめるはずがないのである。

 というわけで、2015ねん農協のうきょう改革かいかくにおいて、全農ぜんのう株式会社かぶしきがいしゃを5ねんから可能かのうにする法律ほうりつ可決かけつされた。2020ねん以降いこう、カーギルはあらゆる手段しゅだん使つかい、全農ぜんのう株式会社かぶしきがいしゃおよ株式かぶしき譲渡じょうと制限せいげん撤廃てっぱい)を達成たっせいしようとはかるだろう。

 農協のうきょう改革かいかく問題もんだいてん問題もんだいしかないのだが)については、筆者ひっしゃが2015ねん9がつ刊行かんこうした『亡国ぼうこく農協のうきょう改革かいかく』にくわしい。

 さて、2016ねんから2017ねんにかけ、農協のうきょう改革かいかく同様どうように、日本にっぽん食料しょくりょう安全あんぜん保障ほしょう破壊はかいする決定的けっていてき法律ほうりつ制定せいていされた。厳密げんみつには法律ほうりつがなくなったのである。

 すなわち、種子しゅしほう廃止はいしだ。

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