ブランチ向むけコントローラーにSD-WANゲートウェイを統合とうごう、クラウド管理かんりで「SD-WANの先さきを行いく」

HPE Aruba、店舗てんぽ／拠点きょてんのWANとLANを一元いちげん管理かんり「SD-Branch」発表はっぴょう

2018年ねん06月がつ22日にち 07時じ00分ふん更新こうしん

文ぶん● 末岡すえおか洋子ようこ　編集へんしゅう● 大塚おおつか／TECH.ASCII.jp

　Hewlett Packard Enterprise傘下さんかのアルバネットワークス（HPE Aruba）は2018年ねん6月がつ19日にち、店舗てんぽやブランチオフィス向むけのネットワークソリューション「Aruba Software-Defined Branch（SD-Branch）」を発表はっぴょうした。多数たすうの拠点きょてんにおけるSD-WANと無線むせん／有線ゆうせんLANをクラウドサービスから一括いっかつ管理かんりできるソリューションで、「従来じゅうらいのSD-WANソリューションの先さきを行いく」とアピールしている。

HPE Arubaが「SD-Branch」を発表はっぴょう。ブランチオフィスに設置せっちする無線むせんLANコントローラーにSD-WANゲートウェイを統合とうごうし、Aruba CenteralからSD-WANと無線むせん／有線ゆうせんLANを一元いちげん管理かんりできる

　SD-Branchの発表はっぴょうは、米国べいこくで開催かいさいされたHPEのプライベートカンファレンス「HPE Discover Las Vegas 2018」において行おこなわれた。

　SD-Branchは、ブランチオフィスのSD-WAN、無線むせんLANアクセスポイント、スイッチをまとめてエンドトゥエンドで管理かんりできるネットワークソリューション。これまで設定せっていに手間てまのかかっていた多た拠点きょてんのWAN/LAN環境かんきょうを、クラウド型がた管理かんりサービス「Aruba Central」を通つうじて一括いっかつで設定せってい／管理かんりできる。さらに「Aruba ClearPass」を導入どうにゅうすることで、SD-WAN／LANの接続せつぞくポリシーも統合とうごう管理かんりできるようになる。こうした仕組しくみにより、小売こうり業ぎょうやファストフードなどの店舗てんぽ、ホテル、病院びょういんなど、IT／ネットワークの専任せんにん担当たんとう者しゃがいない拠点きょてんにおけるネットワーク管理かんりをシンプルかつ容易よういなものにするのが狙ねらいだ。

　多た拠点きょてんのWAN/LANを一元いちげん管理かんりできる背景はいけいには、Software-Defined（ソフトウェア定義ていぎ）のアプローチがある。HPE Arubaでは数すう年ねん前まえからSoftware-Defined分野ぶんやの取とり組くみを拡大かくだいしており、Aruba Centralを通つうじて自社じしゃのLANを管理かんりしている顧客こきゃくはすでに5000社しゃにおよぶ。今回こんかいは、その対象たいしょう領域りょういきをSD-WANにも拡大かくだいした。

　SD-Branchでは、ブランチオフィスに設置せっちされる「Aruba 7000シリーズ・クラウド・サービス・コントローラー」（5モデル）が、同時どうじにSD-WANゲートウェイ（Branch Gateway）としても機能きのうする。

　Aruba 7000シリーズは無線むせんLANコントローラーの機能きのうだけでなく、LAN接続せつぞく時じの認証にんしょう、ファイアウォール、QoS、トラフィック暗号あんごう化かといった機能きのうを備そなえており、SD-WANにおいてはVPN、トラフィック圧縮あっしゅく、ポリシーベースルーティング、ハイブリッドWAN（インターネット回線かいせんとLTE回線かいせんなどの併用へいよう）といった機能きのうを提供ていきょうする。なお、7000シリーズをインターネット接続せつぞくすれば、本社ほんしゃなどの中央ちゅうおう拠点きょてんに設置せっちされた「7200シリーズ・モビリティ・コントローラー」から設定せっていがダウンロードされるゼロタッチプロビジョニングの機能きのうも備そなえる。

ブランチオフィスのネットワーク環境かんきょう変化へんかに対応たいおうするソリューション

　なぜブランチオフィス向むけに特とく化かした統合とうごうネットワークソリューションが必要ひつようなのか。これについてHPE Aruba VPでクラウドソリューション担当たんとうGMを務つとめるキショア・セシャドリ氏しは、ブランチオフィスを取とり巻まくネットワーク環境かんきょうの変化へんかを説明せつめいした。

　「（ブランチオフィスのネットワークでは）クラウドへの移行いこう、SaaSによるトラフィックの変化へんかなどに加くわえ、モノ（IoT）を含ふくむさまざまなデバイスが接続せつぞくすることで、セキュリティリスク、管理かんりの複雑ふくざつさなどの問題もんだいが生しょうじている」（セシャドリ氏し）

HPE Aruba バイスプレジデント兼けんクラウドソリューション担当たんとうジェネラルマネージャーのキショア・セシャドリ（Kishore Seshadri）氏し

　たとえば業務ぎょうむの中なかでのSaaS利用りようが増ふえたことで、ブランチのネットワークはクラウドデータセンターへのバックホールとして扱あつかわれるようになっており、コスト負担ふたんが増ふえているという。「トラフィックのパターンが変化へんかしており、ネットワークはこれに対応たいおうする必要ひつようがある」（セシャドリ氏し）。

　また、2020年ねんには世界せかいで200億おく台だいのIoTデバイスがネットワーク接続せつぞくされるようになると予測よそくされており、セキュリティ専門せんもん家かの70％は「IoTデバイスを保護ほごできない」と回答かいとうしている。運用うんよう管理かんりコスト、あるいはセキュリティの観点かんてんから、大量たいりょうのデバイスを簡単かんたんかつ確実かくじつに接続せつぞくできる仕組しくみが求もとめられている。

　今回こんかいのSD-Branchにおいては、Aruba Centralにおけるエンドトゥエンドでの一括いっかつ管理かんりに加くわえて、機器きき導入どうにゅうを支援しえんする「Aruba Installer」アプリも用意よういされている。これはIT担当たんとう者しゃのいないブランチオフィスにおけるネットワーク機器きき（アクセスポイントなど）の設定せっていを容易よういにするモバイルアプリで、具体ぐたい的てきには設置せっち現場げんばでスマートフォンのカメラを使つかって製品せいひんのバーコードを読よみ取とらせ、表示ひょうじされるガイドに従したがって設定せっていしていく。一方いっぽうで管理かんり者しゃ側がわのAruba Centralでは、各かくブランチにおける導入どうにゅう作業さぎょうの進捗しんちょくを一覧いちらんできる機能きのうが用意よういされている。

　「省しょうスペース、分散ぶんさん環境かんきょうの実装じっそう合理ごうり化かなどにより、SD-BranchはSD-WANの先さきを行いく」（セシャドリ氏し）

Aruba Centralの「Installer Manager」

モバイルアプリの「Aruba Installer」

　セシャドリ氏しは「ユーザー体験たいけん」におけるメリットも強調きょうちょうした。アプリケーション／ユーザー／デバイスのコンテキストを理解りかいし、ロールベースのアクセス制御せいぎょ機能きのう（ClearPass）と組くみ合あわせることによって、きめ細こまかなQoSが提供ていきょうできる。またBranch Gatewayは、ポリシーベースルーティングやダイナミックパス管理かんりなどの機能きのうで、動的どうてきにトラフィックをルーティングできるため、たとえば「店舗てんぽにあるPOSシステムのトラフィックを最さい優先ゆうせんする」といった設定せっていが可能かのうだ。