業務ぎょうむを変かえるkintoneユーザー事例じれい 第だい40回かい

今年ことしもkintone hive 2019が名古屋なごやからスタート

社員しゃいんがkintoneに入力にゅうりょくしてくれない！地元じもと密着みっちゃく型がたIT企業きぎょうがやったこと

　kintoneのユーザーイベントである「kintone hive 2019」が今年ことしもスタートした。2019年ねん2月がつ25日にちは皮切かわきりとなる名古屋なごやのkintone hive nagoyaが開催かいさいされ、地元じもと4社しゃのユーザー事例じれいとkintone hackと呼よばれる活用かつようLTが披露ひろうされた。

kintoneの事例じれいやアイデアを共有きょうゆうするkintone hiveが今年ことしもスタート

サイボウズ地方ちほう担当たんとうが司会しかいで活躍かつやくする今年ことしのkintone hive

　サイボウズが主催しゅさいする「kintone hive」は、kintoneユーザーが事例じれいやアイデアを共有きょうゆうするイベントで、今年ことしは名古屋なごや、仙台せんだい、福岡ふくおか、大阪おおさか、松山まつやま、東京とうきょうの6都市としで開催かいさいされる。6会場かいじょうではそれぞれAWARDファイナリストが選出せんしゅつされ、秋あきのCybozu Daysで行おこなわれるkintone AWARD 2019」に登壇とうだんする権利けんりを得えることになる。

　例年れいねんは全ぜん会場かいじょうでkintoneプロダクトマネージャーの伊佐いさ政隆まさたか氏しが司会しかいを務つとめてきたが、今年ことしは各かく地区ちくの所長しょちょうが司会しかいを務つとめることになった。kintone hive nagoyaでは、26年間ねんかん名古屋なごや在住ざいじゅうで、昨年さくねん50歳さいを機きにサイボウズに転職てんしょくしてきた吉原よしはら克志かつし氏しが司会しかいを務つとめた。「サイボウズの坊主ぼうず」という見みた目めの吉原よしはら氏しが、「多少たしょう視線しせんが痛いたい感かんじがしますが（笑）、大丈夫だいじょうぶでしょうか？」と問とうと、会場かいじょうからもきちんと「大丈夫だいじょうぶですー！」という声こえが戻もどってくる。

サイボウズの坊主ぼうずを謳うたう名古屋なごや所長しょちょうの吉原よしはら克志かつし氏し

　吉原よしはら氏しは、チームワークにこだわるサイボウズの経営けいえい理念りねんについて説明せつめいした。2005年ねんに同社どうしゃの離職りしょく率りつは28％となり、「チームワークをよくするためにグループウェアを提供ていきょうしているのに、われわれ社内しゃないでこんなことでいいのか？」（吉原よしはら氏し）という疑問ぎもんが生うまれた。しかし、青野あおの慶久よしひさ氏しが社長しゃちょうになって以来いらい、100人にん100通とおりの働はたらき方かたを目指めざす改革かいかくが始はじまり、現在げんざいは離職りしょく率りつも4％台だいになった。

　そんなサイボウズのノウハウが詰つまったグループウェアがkintoneだ。契約けいやく社しゃ数すうは1万まん1000社しゃに達たっし、稼働かどう中ちゅうの総そうアプリはすでに75万まん件けんを超こえるという。「先さきほど100人にん100通とおりの働はたらき方かたという話はなしをしたのですが、みなさんの業務ぎょうむ課題かだいもそれぞれ違ちがう。この課題かだいを解決かいけつできるのが、kintoneがここまで受うけ入いれられている理由りゆう」と吉原よしはら氏しは語かたる。

kintoneで業務ぎょうむを見みえる化かし、働はたらき方かたを変かえたちらし屋やドットコム

　トップバッターはちらし屋やドットコム 常務じょうむの河田かわた菊夫きくお氏し。IT系けい商社しょうしゃでの営業えいぎょう経験けいけんを持もちながら、実家じっかがやっていた刃物はものの職人しょくにんでもあり、FC岐阜ぎふのファンでもあるという河田かわた氏しは、自己じこ紹介しょうかいと会社かいしゃ概要がいようからスタートした。

ちらし屋やドットコム 常務じょうむ 河田かわた菊夫きくお氏し

　岐阜ぎふ県けんの各務原かがみはら市しに本社ほんしゃを置おくちらし屋やドットコムは、今年ことしで20期き目めを迎むかえる会社かいしゃ。社名しゃめいでは「ちらし屋や」だが、事業じぎょうはWebサイトの制作せいさくや活用かつようサポートがメインで、3年ねん前まえから700社しゃいる顧客こきゃくの商品しょうひんを海外かいがいに向むけて販売はんばいする物販ぶっぱん事業じぎょうもスタートさせた。「グローバルだけど超ちょうローカルなWeb会社かいしゃ」（河田かわた氏し）というのが同社どうしゃのビジョンだという。

　同社どうしゃがkintoneを導入どうにゅうしたきっかけは、Web事業じぎょう部ぶでの長時間ちょうじかん労働ろうどうをなくしたいというものだ。Web制作せいさくの現場げんばでは、ユーザーのヒアリングを経へて、企画きかくや取材しゅざい、撮影さつえい、デザインなどを手てがけるわけだが、締しめ切きり間際まぎわに修正しゅうせい作業さぎょうが繰くり返かえされていたという。「お客様きゃくさまが満足まんぞくいくまで、残業ざんぎょう、徹夜てつや、休日きゅうじつ出勤しゅっきんなどを当あたり前まえのように繰くり返かえしていた」と河田かわた氏しは語かたる。また、コスト意識いしきも欠如けつじょしていた。「がんばって納期のうきに間あいだに合あわせても、いくら儲もうかったのか？　会社かいしゃとしていい仕事しごとだったのか？　こんなことがわからない状態じょうたいでした」と河田かわた氏しは語かたる。

がんばって納期のうきに間あいだに合あわせても、果はたして儲もうかったのかわからなかった

　そんな課題かだいを抱かかえた2013年ねんに「簡単かんたんでシンプル、安価あんかですぐ始はじめられる」という条件じょうけんで導入どうにゅうされたのがkintoneだ。現在げんざい、ちらし屋やドットコムでは、案件あんけんの内容ないよう、制作せいさく状じょう況きょう、納期のうき、受注じゅちゅう金額きんがく、請求せいきゅう予定よてい日びなどがすべてkintoneのアプリに登録とうろくされており、誰だれがどの業務ぎょうむを何なん時じ間あいだくらいかけたのかもわかるようになっている。当然とうぜん、合計ごうけい作業さぎょう時間じかんがわかると、コストとして数値すうち化かできるので、目標もくひょう原価げんかとの比較ひかくも容易よういになった。

　「受注じゅちゅう金額きんがくより赤字あかじになってしまった案件あんけんでも、今いままではお客様きゃくさまが満足まんぞくしてくれたし、納期のうきにも間まに合あったと、次つぎもがんばろうというコメントが飛とび交かっていた」という河田かわた氏し。しかし、見みえる化かができたことで、各人かくじんがコスト意識いしきをもって業務ぎょうむ改善かいぜんに取とり組くむようになったという。たとえば、ユーザーに対たいして、SkypeやZoomなどの打うち合あわせを提案ていあんしたり、赤字あかじだった定期ていき更新こうしん作業さぎょうの値上ねあげを交渉こうしょうできるようになったほか、社内しゃないでも「●●さんしかわからない」といった属人ぞくじん性せいが大幅おおはばに排除はいじょされたという。

kintone入力にゅうりょくは社員しゃいんにとって負担ふたんでしかなかった

　とはいえ、「kintoneに入力にゅうりょくする」という作業さぎょうを継続けいぞくさせることには苦労くろうもあった。「私わたしにとっては業務ぎょうむ改善かいぜんのために必要ひつようでしたが、スタッフにとってみれば、激務げきむにさらに仕事しごとが増ふえたという負担ふたんでしたかなかった」と河田かわた氏しは振ふり返かえる。入力にゅうりょくを促うながす張はり紙がみを貼はったり、朝礼ちょうれいで訴うったえたりしたが、なかなか定着ていちゃくしなかったため、最終さいしゅう的てきには会議かいぎ中ちゅうにkintoneを入力にゅうりょくする時とき間あいだを作つくったという。「苦肉くにくの策さく」と語かたる河田かわた氏しだが、会議かいぎの時間じかんをkintone入力にゅうりょくにあえて割わり当あてたことで、常務じょうむとして入力にゅうりょくを重要じゅうよう視ししたことが社員しゃいんに伝つたわったようだ。こうした地道じみちな活動かつどうの結果けっか、kintoneへの入力にゅうりょくが「面倒めんどうな雑務ざつむ」から「業務ぎょうむ改善かいぜんに必要ひつような業務ぎょうむ」という意識いしきに変革へんかくされたことで利用りようが根付ねつき、今いまでは顧客こきゃく管理かんりや在庫ざいこ管理かんりまでkintoneが使つかわれているという。

会議かいぎの時間じかんをkintone入力にゅうりょくにあててしまった

　「システムの導入どうにゅうがうまく行いかないのは、システムの問題もんだいだけではなく、最終さいしゅう的てきには人ひとの気持きもちがある。安価あんかで簡単かんたんで柔軟じゅうなん性せいの高たかいkintoneは、この2つの課題かだいから解決かいけつしてくれた」と語かたる河田かわた氏し。そして、kintoneを業務ぎょうむ改善かいぜんを実感じっかんした同社どうしゃは、昨年さくねん11月がつにサイボウズのパートナーとなり、kintoneの構築こうちくや業務ぎょうむ改善かいぜんまで提供ていきょうしているという。kintoneによる業務ぎょうむ改善かいぜんを自みずから進すすめたからこそ提供ていきょうできるノウハウは、同社どうしゃの大おおきな強つよみになったようだ。