柳谷やなぎや智さとし宣せんのkintoneマスターへの道みち 第だい100回かい

顧客こきゃくマスタから顧客こきゃく名めいを引ひっ張ぱってくるルックアップをカスタマインで魔ま改造かいぞうしてみた

　kintoneで売上うりあげを管理かんりするアプリを作つくる際さい、項目こうもくの1つに顧客こきゃく情報じょうほうが必要ひつようになる。顧客こきゃくはある程度ていど決きまっているのに、毎回まいかい毎回まいかい、顧客こきゃく名めいや連絡れんらく先さきなどを手て入力にゅうりょくするのはムダだ。そのため、顧客こきゃくリストを別途べっと作つくり、そこから名前なまえなどで検索けんさくして情報じょうほうを自動じどう入力にゅうりょくできるようにしておけばいい。

　これは、ルックアップフィールドを使つかえば簡単かんたんに設定せっていできる。ユーザーは氏名しめいの一部いちぶを入力にゅうりょくして検索けんさくしたり、一覧いちらんから選択せんたくするだけで、マスタアプリに登録とうろくされているメールアドレスや電話でんわ番号ばんごうといった情報じょうほうを自動じどうで引ひっ張ぱってきてくれる。

　もちろん、情報じょうほうを引ひっ張ぱってくるためには、あらかじめ顧客こきゃく情報じょうほうアプリに登録とうろくしておく必要ひつようがある。新規しんき顧客こきゃくの売上うりあげを入力にゅうりょくしようとするとエラーになるのだ。

　こういうものだ、と割わり切きってしまえば、このままでも運用うんようすることは可能かのう。しかし、現場げんばで作業さぎょうしているときに、売上うりあげを入力にゅうりょくしてエラーになり、アプリを切きり替かえるのは面倒めんどうだし、手間てまがかかる。そこでオススメなのがkintoneアプリのきめ細こまかいカスタマイズが可能かのうになる「カスタマイン」（アールスリーインスティテュート）だ。

　まずは、ルックアップで検索けんさくに失敗しっぱいする、つまり顧客こきゃく情報じょうほうアプリにない新規しんき顧客こきゃくの場合ばあいは、そのまま登録とうろく作業さぎょうを行おこない、売上うりあげの入力にゅうりょく作業さぎょうを続行ぞっこうできるようにしてみよう。

　カスタマインで新規しんきカスタマイズを開ひらき、「売上うりあげ台帳だいちょう」アプリを選択せんたくする。カスタマインでは「条件じょうけん」と「やること」をセットで設定せっていし、アクションを積つみ重かさねていく。日本語にほんごの選択肢せんたくしから選えらぶだけでよく、プログラムの知識ちしきが必要ひつようないのがありがたいところ。

　最初さいしょのアクションの条件じょうけんはもちろん、「ルックアップで取得しゅとくが失敗しっぱいした時とき」。条件じょうけんは大量たいりょうに登録とうろくされているので、右みぎ上じょうのフォームから検索けんさくするとすぐに見みつけられる。ルックアップのフィールドも選択せんたくしたら条件じょうけん設定せっていは終了しゅうりょう。

　「やること」は「入力にゅうりょくダイアログを表示ひょうじする」を選択せんたく。その時ときに表示ひょうじするメッセージも指定していできる。例たとえば、「顧客こきゃく台帳だいちょうに登録とうろくがありません。新規しんき登録とうろくをするので氏名しめいを入力にゅうりょくしてください」のように丁寧ていねいに説明せつめいすれば、他たの人ひとでも迷まよわず利用りようできるだろう。

　次つぎのアクションはメールアドレスを入力にゅうりょくしてもらう。条件じょうけんは「確認かくにん・入力にゅうりょくダイアログで「OK」を押おした時とき」にして、そのアクション番号ばんごうを選択せんたくする。ここではもちろん「1」番目ばんめのアクションとなる。続つづいて同おなじように「入力にゅうりょくダイアログを表示ひょうじする」を選択せんたくし、メッセージを入力にゅうりょくすればいい。

　ポップアップで入力にゅうりょくさせるのは、顧客こきゃく名めいとメールアドレスのみにした。ここで無理むりして顧客こきゃくの全ぜん情報じょうほうを入力にゅうりょくさせる必要ひつようはないし、それで面倒めんどうになっても逆ぎゃく効果こうかだ。

　そのため、次つぎのステップはもうレコード追加ついかとなる。条件じょうけんは前まえのアクションで「確認かくにん・入力にゅうりょくダイアログで「OK」を押おした時とき」で、「やること」は「レコードを追加ついかする」。アプリを選択せんたくし、どのアクションで入力にゅうりょくしてもらったデータをどのフィールドに追加ついかするのかをマッピングすれば準備じゅんびは完了かんりょう。

　「kintoneアプリへ登録とうろく」をクリックし、kintoneアプリを開ひらいて動作どうさ確認かくにんをしてみよう。

　新規しんき顧客こきゃくを検索けんさくすると「データがありません」とエラーになり、入力にゅうりょく画面がめんが開ひらくようになった。顧客こきゃく名めいとメールアドレスを入力にゅうりょくすると、顧客こきゃく台帳だいちょうアプリの最新さいしんレコードに「名前なまえ」と「メールアドレス」が入力にゅうりょくされるようになった。

　「売上うりあげ台帳だいちょう」アプリはエラー画面がめんのままなので、もう一度いちど「取得しゅとく」をクリックすると、追加ついかされたデータを読よみ込こみ、メールアドレスが表示ひょうじされる。

　せっかくレコードを追加ついかしたのに、元もとの画面がめんがエラーのママというのは格好かっこう悪わるいし、何なにより正常せいじょうに動作どうさした感かんじがない。そこで、レコードを追加ついかしたら、「取得しゅとく」を自動的じどうてきに押おすようにしてみよう。

　新あたらしいアクションを作つくり、レコードを追加ついかのアクションが完了かんりょうしたときに、「ルックアップを取得しゅとくし直なおす」ようにすればいい。これで、自動的じどうてきにルックアップが更新こうしんされる。

　これで目的もくてきの動作どうさは完了かんりょうしたのだが、時々ときどきエラーになって更新こうしんできないことがあった。調しらべたところ、ルックアップで検索けんさくした文字もじ列れつと、ダイアログに入力にゅうりょくした文字もじ列れつが異ことなる場合ばあいにエラーになった。検索けんさく時じは適当てきとうに入力にゅうりょくしたが、台帳だいちょう登録とうろく時じに再さい確認かくにんしたら漢字かんじを間違まちがえていた、なんてことがあったのだ。

　そこで、レコードを追加ついかした後のち、ルックアップを取得しゅとくする前まえに、「フィールドに値ねをセットする」のアクションを追加ついかした。「1」番目ばんめのアックションで入力にゅうりょくした顧客こきゃく名めいをルックアップフィールドにセットするようにしたのだ。

　これで、ルックアップを取得しゅとくし直なおす条件じょうけんを、フィールドに値ねをセットするアクションが終おわった後のちに設定せっていし直なおせばいい。

　これでルックアップは劇的げきてきに使つかいやすくなったのだが、顧客こきゃく台帳だいちょうアプリには顧客こきゃく名めいとメールアドレスしか入力にゅうりょくされていないので、そのうち他たの情報じょうほうも登録とうろくしなければならない。

　そこでルックアップを取得しゅとくし直なおした後のち、自動的じどうてきに顧客こきゃく台帳だいちょうアプリのレコード編集へんしゅう画面がめんを別べつタブで開ひらくようにすれば、売上うりあげ登録とうろく後ご、すぐに顧客こきゃく情報じょうほうの登録とうろく作業さぎょうに取とりかかれるようになる。

　とは言いえ、何なにも表示ひょうじさせずに実行じっこうすると、ユーザーが驚おどろいてしまうので、まずは確認かくにんダイアログを表示ひょうじさせる。そこに「顧客こきゃく台帳だいちょうに登録とうろくしました」と表示ひょうじさせ、「OK」ボタンを「顧客こきゃく台帳だいちょうを開ひらく」に変更へんこうする。その上うえで、次つぎのアクションで「レコード編集へんしゅう画面がめんに遷移せんいする」を実行じっこうするようにすればいい。

　しかし、使つかっているとまたまた課題かだいが出でてきた。顧客こきゃく番号ばんごうは一覧いちらんを見みて手動しゅどうで連れん番ばんを付つけていたのだが、直接ちょくせつ顧客こきゃく情報じょうほうの編集へんしゅう画面がめんが開ひらいているので、番号ばんごうがわからない。一覧いちらんに戻もどるなら、逆ぎゃくに作業さぎょうが増ふえて本末転倒ほんまつてんとうだ。

　そこで、カスタマインで自動的じどうてきに顧客こきゃく番号ばんごうが入はいるようにしてみた。まずは、新あたらしいアクションを追加ついかし、メールアドレスを入力にゅうりょくしてもらった後のちに、顧客こきゃく台帳だいちょうアプリのレコード番号ばんごうの最大さいだい値ちを取得しゅとくしておく。

　そして、レコードを追加ついかする際さいに、最新さいしんレコードの顧客こきゃく番号ばんごうに1を加くわえたものを顧客こきゃく番号ばんごうフィールドにマッピングする。これで、自動的じどうてきに編集へんしゅう画面がめんに連れん番ばんが入力にゅうりょくされるようになった。

　いろいろとこねくり回まわしたが、標準ひょうじゅん状態じょうたいと比くらべると格段かくだんに便利べんりになっている。確たしかに最初さいしょ設定せっていするときは頭あたまを使つかうが、一度いちど作業さぎょうしてしまえば、その後ごずっと便利べんりに使つかえるようになる。複数ふくすうのユーザーが頻繁ひんぱんに使つかうアプリであれば、可能かのうな限かぎり少すくない手順てじゅんでミスなく操作そうさできるようにしておくと業務ぎょうむ効率こうりつがアップする。

　カスタマインはフリープランも用意よういされているので、まずは試ためしてみることをオススメする。びっくりするくらい色々いろいろなことができるので、kintoneをいじり倒たおしてみよう。