Core i9-12900K＆GeForce RTX 3080を搭載とうさい

高こう発熱はつねつCPU＆GPUを完全かんぜん管制かんせい！静せい音おんかつメンテナンス性せいも抜群ばつぐんのデュアル水冷すいれいゲーミングPCを触さわる

　「G-Master Hydro」シリーズはサイコムの代表だいひょうモデルとも言いえる水冷すいれいPCだ。一般いっぱん的てきにBTOパソコンで水冷すいれいPCと言いえば、CPUクーラーに簡易かんい水冷すいれいクーラーを採用さいようしたモデルのことを指さす。しかし、G-Master Hydroシリーズはほかの製品せいひんと異ことなり、CPUだけではなくビデオカードも水冷すいれい化かしている。もちろん、最初さいしょから水冷すいれいクーラーを搭載とうさいするビデオカードはほぼない。あったとしても高価こうかでレアな製品せいひんとなるため、BTOパソコンのメニューではめったに見みかけない。

　サイコムの水冷すいれいビデオカードは市販しはんの水冷すいれい化かキットを使つかっている。しかしながら、安定あんてい動作どうさのために銅どうプレートを自作じさくしているほか、ヒートシンクの加工かこう、多数たすうの負荷ふかテストによる動作どうさ確認かくにんなど、個人こじんでは実現じつげんが難むずかしい工夫くふうが多数たすう施ほどこされている。この「自作じさくPC」と「BTOパソコン」のいいとこ取とりした仕様しようが同社どうしゃの際立きわだった特徴とくちょうだ。なお、この水冷すいれいビデオカードの話はなしは以前いぜんASCII.jpに掲載けいさいした「GeForce RTX 3080 Tiの過熱かねつ問題もんだいはサイコム独自どくじの銅どうプレートで解決かいけつ！ 開発かいはつ秘話ひわを聞きいてみた」で詳くわしく紹介しょうかいしているので、興味きょうみがある人ひとはぜひ参照さんしょうしてほしい。

　この水冷すいれい化かしたビデオカードと水冷すいれいCPUクーラーを搭載とうさいしたBTOパソコンがG-Master Hydroシリーズとなるわけだ。他社たしゃ製品せいひんではまず見みることがない構成こうせいだけに、サイコムの顔かおと言いってもいいモデルとなる。G-Master Hydroシリーズは多数たすうのモデルをラインアップしているが、今回こんかい紹介しょうかいする製品せいひんは「G-Master Hydro Z690/D4」という、第だい12世代せだいインテルCoreプロセッサーを搭載とうさいした最新さいしんモデルだ。

白しろいボディーとライトアップパーツで魅みせるデュアル水冷すいれいPC「G-Master Hydro Z690/D4」。標準ひょうじゅん構成こうせいの直販ちょくはん価格かかくは36万まん7900円えん～（配送はいそう料りょう込こみ）

　このモデルの特徴とくちょうはDDR4メモリーを採用さいようすることで価格かかくを抑おさえていること。現在げんざい、16GBモジュールで価格かかくを比くらべてみると、DDR4なら8000円えん台だいくらいから購入こうにゅうできるところ、DDR5だと1万まん8000円えん台だいとGB単価たんかが高たかい。さらに、DDR5対応たいおうマザーボードはフラッグシップモデルが中心ちゅうしんになるため、高価こうかになりがちだ。 事実じじつ、DDR5メモリーの兄弟きょうだいモデル「G-Master Hydro Z690 Extreme/D5」の標準ひょうじゅん構成こうせいの直販ちょくはん価格かかくは46万まん7230円えん～と、G-Master Hydro Z690/D4よりも10万まん円えん近ちかくも高たかくなる。

　もちろん、DDR5メモリーのほうがDDR4メモリーよりも性能せいのうは高たかい。しかし、現状げんじょうその恩恵おんけいに預あずかれるアプリは多おおくない。それならいくぶん近ちかい構成こうせいで価格かかくを抑おさえたDDR4メモリーモデルを選えらび、差額さがくをSSDやCPUの強化きょうかにあてたほうが、汎用はんよう的てきな用途ようとではスマートな選択せんたくとも言いえる。また、価格かかくを抑おさえていると言いっても、あくまでDDR5メモリーモデルと比較ひかくすればの話はなしだ。特殊とくしゅなデュアル水冷すいれいPCということもあり、決けっして安やすいPCではない。しかし、一般いっぱん的てきな自作じさくPCでもBTOパソコンでも得えられない魅力みりょくが満載まんさいの1台だいだ。

　今回こんかい試用しようしたモデルは標準ひょうじゅん構成こうせいからCPUはCore i9-12900K、ビデオカードはGeForce RTX 3080（12GB GDDR6X）、メモリーは8GB×4にカスタマイズしている。詳くわしい構成こうせいは下記かきのスペック表ひょうにまとめたので参照さんしょうしてほしい。

まずは気きになるデュアル水冷すいれいをチェック！
240mmラジエーターを2枚まいも内蔵ないぞう

　ミドルタワーのPCケースに240㎜ラジエーターを2枚まい内蔵ないぞうしていると、内部ないぶはかなりゴチャゴチャしているのではないかと考かんがえてしまうだろう。しかし、実際じっさいに見みるとわかる通とおり、意外いがいにもスッキリしている。

240mmラジエーターの水冷すいれいクーラーが2枚まい内蔵ないぞうしているとは思おもえないほど、スペースに余裕よゆうが感かんじられるレイアウト

　一般いっぱん的てきなPCケースではフロント側がわにドライブベイを備そなえるが、これを取とり払はらって水冷すいれいクーラーのラジエーターを配置はいちしている。結果けっか、スペースの余裕よゆうを生うみ出だし、エアフローも向上こうじょうしている。また、ケーブルは目立めだたない裏うら配線はいせんで、ケーブルの束たばね方かたといったノウハウが生いかされているという点てんも、PCケース内ないがスッキリと見みえる要因よういんだ。このあたりに、長年ながねんBTOパソコンを手掛てがけてきたサイコムらしさが出でている。

　そして、水冷すいれいCPUクーラーはAsetekの「670LS」をベースに独自どくじカスタマイズしたもの。ポンプを内蔵ないぞうする水冷すいれいヘッドでロゴマークが光ひかっている。同おなじ製品せいひんでもこういったオリジナル仕様しようが興味深きょうみぶかい。240mmラジエーターは天てん板ばんに固定こていし、Enermaxの静せい音おん120mmファン「UCTB12P」（PWM、500～1500rpm）×2基きで送風そうふうしている。 　

水冷すいれいCPUクーラーの240mmラジエーターは天てん板ばん固定こてい。2基きの120mmファンでPCケース内ないから外そとに向むかって送風そうふうしている

　CPUはPCパーツの熱源ねつげんでは最もっとも気きを配くばらなければならないもの。それだけに、熱ねつはPCケース内ないに拡散かくさんさせず、すぐに外そとへ排出はいしゅつできる天てん板ばんにラジエーターを固定こていしているのだろう。

　一方いっぽうで、ビデオカードの240mmラジエーターはフロント部分ぶぶんに固定こていしている。こちらは自作じさくerの間あいだでも人気にんきのNoctua製せい120mmファン「NF-A12x25 ULN」（1200rpm）×2基きで冷却れいきゃくしている。なお、風向ふうこうは排気はいきではなく、吸気きゅうきとなっている。 　

ビデオカードの水冷すいれいクーラーもAsetek製せいを使つかって、サイコムが独自どくじに水冷すいれい化かしている

　PCケース内ないに熱ねつが戻もどってしまうが、その代かわりに冷つめたい外気がいきでしっかりと冷ひやせる点てんがメリットだ。ビデオカードはゲームプレイ中ちゅうに温度おんどが上あがりやすく、負荷ふかが長ながく続つづきがちだ。それだけに、長ながく安定あんていして冷却れいきゃくできるこのレイアウトは理りにかなっていると言いえるだろう。

　もちろん、PCケース内ないに熱ねつを溜ため込こまないような工夫くふうも施ほどこしている。天面あまつらと背面はいめんの2ヵ所かしょに排気はいき用ようのPCケースファンを装備そうびしている点てんもその1つだ。背面はいめんだけでもこと足たりると思おもうが、熱ねつはPCケース内ないの上部じょうぶに溜たまりやすい。この熱ねつを天面あまつらから排出はいしゅつすることで、PCケース内ない温度おんどの上昇じょうしょうを防ふせいでいる。

水冷すいれいCPUクーラーのラジエーターの後部こうぶに天面あまつらファン、さらにその下したに背面はいめんファンを設もうけて、排はい熱ねつ効率こうりつを上あげている

　そして、こうした効率こうりつの良よいエアフローの実現じつげんには、すっきりとしたケーブルレイアウトも助力じょりょくしている。では、裏うら配線はいせんケーブルは混雑こんざつしているのかというと、これが驚おどろくほどキレイに配線はいせんされていた。

単純たんじゅんにケーブルを裏うらに追おいやるのではなく、PCケースのフチに添そわせるよう、キレイにまとめられていた

　基本きほん的てきに白しろいPCケースでは黒くろいケーブルが目立めだつはずなのだが、驚おどろくほどケーブルが少すくないように感かんじる。よくよく見みると場所ばしょごとに無理むりなくまとめられ、太ふといケーブルの裏うらに細ほそいケーブルが隠かくれるよう組くみ立たてられていた。こういった細こまかな気遣きづかいが、組くみ立たて技術ぎじゅつの高たかさを物語ものがたっている。