業務ぎょうむを変かえるkintoneユーザー事例じれい 第だい153回かい

kintone先輩せんぱいのアドバイスをそのまま実行じっこう　社外しゃがいにもkintoneの輪わを

導入どうにゅう成功せいこうのキーワードは「居酒屋いざかや」？　kintone開発かいはつには対話たいわが大事だいじ

　今年ことしも仙台せんだいPITにkintone hiveが帰かえって来きた。オンライン視聴しちょうとリアル会場かいじょうの併催へいさいとなったkintone hive sendai 2022。リアル会場かいじょうとなった仙台せんだいPITにも熱心ねっしんなオーディエンスが集あつまり、kintoneの使つかい手て6人にんの工夫くふうに耳みみを傾かたむけた。まずはファーストバッターとしてステージに上あがったクリーンテックの神戸こうべ 光こう氏しの発表はっぴょう「kintoneは居酒屋いざかや？ 出会であいで変かわった業務ぎょうむ改善かいぜん」からレポートしていこう。

kintone hive sendai 2022の会場かいじょうとなった仙台せんだいPIT

最初さいしょのアプリが好評こうひょうでkintoneに心酔しんすい、次々つぎつぎにアプリを開発かいはつ　しかし……？

　クリーンテックは、福島ふくしま県けんで産業さんぎょう廃棄はいき物ぶつの最終さいしゅう処分しょぶん場じょうを運営うんえいしている。積極せっきょく的てきな情報じょうほう公開こうかいを心こころがけ、顧客こきゃくや地域ちいきの人ひとたちに安心あんしんしてもらえる企業きぎょうを目指めざしているという。神戸こうべ氏しは同社どうしゃの情報じょうほうシステム部ぶに所属しょぞくし、各部かくぶ署しょが抱かかえる課題かだいをPCやソフトウェアを使つかって解決かいけつしている。

クリーンテック 神戸こうべ 光こう氏し

　kintone導入どうにゅう以前いぜんから、社内しゃないにはいくつかの業務ぎょうむシステムがあった。しかし営業えいぎょう部ぶは営業えいぎょう支援しえんシステムをうまく使つかえていなかったり、部署ぶしょ毎ごとに違ちがうシステムを使つかっていて連携れんけいされていなかったりといくつかの課題かだいを抱かかえていた。あちこちにデータが分わかれており、それぞれの部署ぶしょがそれぞれのシステムに重複じゅうふく入力にゅうりょくするなど、無駄むだも多おおかった。

「システムを導入どうにゅうして解決かいけつしようと提案ていあんしたこともありました。しかし、そこまでコストをかけられない、難むずかしくてわからない、業務ぎょうむの実態じったいに合あわないなどの理由りゆうから、なかなか進すすみませんでした」（神戸こうべ氏し）

　転機てんきとなったのは、2018年ねん頃ごろ。システム部ぶの上司じょうしが「はやっているみたいだから使つかってみよう」と、kintoneを導入どうにゅうした。神戸こうべ氏しにプログラミング経験けいけんはなかったが、触ふれてみると簡単かんたんにアプリを作つくることができた。

　最初さいしょに作つくったのは、案件あんけん管理かんりアプリ。二に重じゅう入力にゅうりょくしなくて済すむように、通知つうち設定せっていですぐに気きづけるようにと、思おもいついた機能きのうを盛もり込こんで作つくった自信じしん作さくだ。営業えいぎょう担当たんとう者しゃが案件あんけん情報じょうほうを入力にゅうりょくすれば事務じむ員いんがすぐに内容ないようを確認かくにんできるようにした。営業えいぎょう支援しえんシステムや担当たんとう者しゃの目めもなどあちこちに散在さんざいしていたデータも、見みやすくまとめることができた。

「完成かんせいした案件あんけん管理かんりアプリを使つかってもらったら、すんなり受うけ入いれてもらえました。kintoneめっちゃ使つかえるじゃん！　神かみだなこれ！！となりました」（神戸こうべ氏し）

初はじめて作つくったアプリは案件あんけん管理かんりアプリ。思おもいついた機能きのうを盛もり込こんだ自信じしん作さく

　もっと使つかってもらおうと、神戸こうべ氏しはアプリをどんどん作つくって広ひろめた。しかしふと気きづくと、レコードがあまり増ふえていないアプリが目めについた。kintoneはとても使つかいやすいのに、どうして使つかわれないのか？　当時とうじの神戸こうべ氏しには理由りゆうがわからなかったという。

一方いっぽう的てきに「良よい物もの」を押おしつける高級こうきゅうレストランから、お互たがいに話はなし合あえる居酒屋いざかやへ

　福島ふくしま県内けんないにkintoneを活用かつようしている人ひとがいるらしい――2020年ねん頃ごろ、そんな噂うわさを聞きいて神戸こうべ氏しが会あいに行いったのは有限ゆうげん会社かいしゃ矢内やない石油せきゆの矢内やない哲あきら氏し（関連かんれん記事きじ：人口じんこう5000人にんの村むらで燃料ねんりょう屋やが始はじめたリフォーム事業じぎょうをkintoneが支ささえる）、そして飯塚いいづか産業さんぎょうの市川いちかわ 睦あつし氏し（関連かんれん記事きじ：現場げんばの不便ふべん解消かいしょうを優先ゆうせんしてスムーズなkintone導入どうにゅうを実現じつげんした飯塚いいづか産業さんぎょう）だった。ふたりともkintoneを使つかいこなしており、社内しゃないにも浸透しんとうしていたということで、とても勉強べんきょうになったという。

「いろいろなことを教おしえてもらいましたが、中なかでも印象いんしょうに残のこったのは、『まずは60点てんくらいのシステムを目指めざした方ほうが、いいシステムになるよ』という話はなしでした。100点てんのシステムを作つくった方ほうがいいと考かんがえていたので、当時とうじはどういうことか理解りかいできませんでした。ですが、アプリ開発かいはつに困こまっていたので、先輩せんぱいのアドバイスをそのまま実行じっこうしてみました」（神戸こうべ氏し）

kitoneの先輩せんぱいからのアドバイスで100点てんではなく60点てんのアプリ開発かいはつを目指めざすことに

　これまではしっかり作つくり込こんでから現場げんばの担当たんとう者しゃに共有きょうゆうしていたのだが、必要ひつよう最低限さいていげんの機能きのうだけを組くみ込こんだ段階だんかいでとりあえず見みてもらうことにした神戸かんべ氏し。すると、現場げんばからは「ここの部分ぶぶんはこうなっていてほしかったです」と要望ようぼうが返かえってきた。返かえってきた要望ようぼうに対たいして、打合うちあわせをしながらその場ばで画面がめん修正しゅうせいしていくと、「kintoneってそんなに簡単かんたんに修正しゅうせいできるんですね」と、kintoneの手軽てがるさも知しってもらうことができた。

　kintoneアプリの作つくり方かたが広ひろまったおかげで、kintoneの限界げんかいについても知しってもらうことができた。kintoneでは実現じつげんが難むずかしい部分ぶぶんに対たいして、現場げんばの運用うんようを変かえることで対応たいおうする提案ていあんが出でてくるなど、システムだけではなく運用うんようまで含ふくめた業務ぎょうむの流ながれを一緒いっしょに考かんがえてもらえるようになったのだ。

「使つかってもらえなかった頃ころのkintoneは、システムありきでアプリを作つくっていたのだと思おもいます。作つくって提案ていあんしても、ユーザーが声こえを上あげてくれませんでした。修正しゅうせいにはお金かねがかかるから無理むりだろうと諦あきらめていたのかもしれません。たとえるなら、お高たかくとまった料理りょうり店てんのようです。こういうのがあったらいいですよね？と店みせ側がわが決きめつけた料理りょうりが出でてくるけど、食たべ方かたが難むずかしかったり気楽きらくに食たべられなかったりと不満ふまんがあっても、声こえを上あげにくい状況じょうきょうだったのだと思おもいます」（神戸こうべ氏し）

開発かいはつ側がわの決きめつけで作つくったアプリはユーザーが声こえを上あげてくれなかった

　上うえから目線めせんの100点てん満点まんてんではなく、60点てんくらいのシステムを提案ていあんすることで、利用りよう者しゃと一緒いっしょに話はなし合あいながらアプリを作つくっていくことができるようになった。完璧かんぺきを目指めざすのではなく、運用うんよう者しゃにとって適切てきせつなアプリを作つくることができるようになったのだ。

「お高たかくとまった料理りょうり店てんから、お互たがいに話はなし合あえる居酒屋いざかやのような作つくり方かたに変かわりました。一方いっぽう的てきなシステム提案ていあんから、システムだけではなく運用うんよう者しゃと一緒いっしょに考かんがえてアプリを作つくれるようになりました。これを例たとえるなら、お互たがいに話はなし合あえる居酒屋いざかやのようなアプリ作づくりになってきたのだと思おもいます」（神戸こうべ氏し）

kintoneの輪わを広ひろげて、今度こんどは自分じぶんたちが誰だれかのきっかけになりたい

　居酒屋いざかやのように一緒いっしょに開発かいはつするようになってから、現場げんばにもkintoneが浸透しんとうしていった。次第しだいに、自分じぶんでアプリを作つくりたいという声こえも出でてくるようになり、kintone率りつは高たかまっているという。

居酒屋いざかやでの飲のみ会かいのように、みんなで話はなしをしながら作つくることでkintone率りつが高たかまる

　契約けいやく書しょと見積みつもり書しょの作成さくせいでは、案件あんけん管理かんりアプリに入力にゅうりょくされた情報じょうほうを活用かつようして、印刷いんさつ用ようプラグインであるプリントクリエイターを使つかってフォームを整ととのえて出力しゅつりょくすることにした。契約けいやく書しょや見積みつもり書しょを作つくるためだけに情報じょうほうを二に重じゅう入力にゅうりょくする必要ひつようがなくなり、手間てまを省はぶけて転記てんきミスも防ふせげる。基幹きかんシステムとの連携れんけいも、自動じどう化かされた。kintoneにたまったデータが、RPAで基幹きかんシステムに自動じどう登録とうろくされる仕組しくみを構築こうちくしたのだ。

　新規しんき案件あんけんの営業えいぎょう活動かつどうにもkintoneは使つかわれている。営業えいぎょう担当たんとう者しゃは写真しゃしんを添そえて搬入はんにゅうの相談そうだんをするようになり、現場げんばはより早はやく、より正確せいかくな費用ひよう見積みつもりを出だせるようになった。情報じょうほうをきちんと共有きょうゆうすることで受注じゅちゅうまでの時間じかんが短みじかくなり、経緯けいいをあとで見返みかえすこともできるようになった。

「これらを通とおして、営業えいぎょう、営業えいぎょう事務じむ、現場げんばが一丸いちがんとなって業務ぎょうむに当あたれるようになりました。まとまると、強つよくなる！を実感じっかんしています」（神戸こうべ氏し）

　今後こんごは、社内しゃないにkintoneをもっと浸透しんとうさせ、社外しゃがいの人ひとにもkintoneを紹介しょうかいしてkintoneの輪わを広ひろげていきたいと語かたる神戸こうべ氏し。

「矢内やない石油せきゆさん、飯塚いいづか産業さんぎょうさんに出会であってきっかけをもらったように、今度こんどは私わたしたちが誰だれかのきっかけになりたいと考かんがえています。kintone活用かつようで悩なやんでいる方ほうは、ぜひ連絡れんらくをください。処分しょぶん場じょうでは施設しせつ見学けんがくも受うけ付つけています」（神戸こうべ氏し）