遠藤えんどう諭さとしのプログラミング＋日記にっき 第だい168回かい

2024年ねん5月がつに向むけて準備じゅんび中ちゅうの新しんマイコン、パソコンの聖地せいち

オープン直前ちょくぜんの新しん「マイコン博物館はくぶつかん」におじゃまして展示てんじ品ひんや施設しせつを案内あんないしてもらった！

新しん「マイコン博物館はくぶつかん」の150㎡（一般いっぱん的てきな小中学校しょうちゅうがっこうの教室きょうしつで約やく2.3個こ分ぶん）ある主しゅ展示てんじ室しつでの取材しゅざい風景ふうけい。

クラファンは目標もくひょう額がくの7倍ばいが集あつまった！

　5月に青梅おうめでオープンする「マイコン博物館はくぶつかん」については、クラウドファンディングがスタートしたタイミングで記事きじにさせてもらった。その記事きじ（日本にっぽんにはコンピューター博物館はくぶつかんが必要ひつようだ！ 青梅おうめの新しん「マイコン博物館はくぶつかん」のクラファンがスタート）では、「2日間にちかんで500万まん円えんが集あつまった」となっていたが、最終さいしゅう的てきに1427万まん6000円えんを集あつめることになった。

　前回ぜんかいの記事きじでもマイコン博物館はくぶつかんの概要がいようは、お借かりした写真しゃしんを使つかって紹介しょうかいしたが、1月がつにおじゃましてとてもその全貌ぜんぼうを伝つたえていないことが分わかった。内装ないそう工事こうじや照明しょうめい、階段かいだん昇降しょうこう機きの設置せっち、電子でんし工作こうさく室しつのエアコン設置せっちなど、クラウドファンディングの資金しきんの使つかい道みちは細こまかく報告ほうこくされている。しかし、全体ぜんたいの規模きぼ感かんは、想像そうぞうよりもスケールが大おおきいのだ。

　元もとりそな銀行ぎんこう青梅おうめ支店してんの3階かい建だてビル（青梅おうめプラザ）の中なかに、今回こんかい「マイコン博物館はくぶつかん」、続つづいて科学かがく雑誌ざっしをアーカイブした「夢ゆめの図書館としょかん」、さらに「模型もけいとラジオの博物館はくぶつかん」を開設かいせつするというのは一大いちだい事業じぎょうである。前回ぜんかいも述のべたように、本来ほんらい、国くになど公的こうてき機関きかんが作つくるべきコンピューターの博物館はくぶつかんを、館長かんちょうの吉崎よしざき武たけし氏しを中心ちゅうしんにして有志ゆうしで運営うんえいしていこうというのは、相当そうとうに大変たいへんなプロジェクトのはずである。

　そこで、マイコン博物館はくぶつかん応援おうえん企画きかくの第だい二に弾だんとして、オープン直前ちょくぜん、あらためて《動画どうが取材しゅざい》も行おこなって紹介しょうかいさせていただくことにした。2024年ねん4月がつ上旬じょうじゅん、新宿しんじゅくから快速かいそくの青梅おうめ行ゆきなら1時じ間あいだほどで青梅あおうめへ到着とうちゃく。青梅おうめ駅えきからGoogleマップで調しらべてみると徒歩とほ2分ふん（吉崎よしざき氏しによれば《渋谷しぶやのスクランブル交差点こうさてんを渡わたり切きるより早はやく到着とうちゃくできます》とのこと＝人ひとを避さける必要ひつようもなく信号しんごう待まちもない）に新しん「マイコン博物館はくぶつかん」はある。

　新しんマイコン博物館はくぶつかんは、元もと銀行ぎんこうビルの当面とうめんは裏側うらがわの通用つうよう口こうを使つかうようになっているとのこと。通用つうよう口こう側がわは、コイン駐車ちゅうしゃ場じょうのタイムズ24になっているので、車くるまなどで来くる場合ばあいはここを利用りようするのもよいだろう。以下いか、動画どうがの「マイコン博物館はくぶつかん オープン直前ちょくぜんリポート 前編ぜんぺん 2024.4 東京とうきょう青梅おうめ」より、一部いちぶの場面ばめんを紹介しょうかいする。

　その通用つうよう口前くちまえ「マイコン博物館はくぶつかん」の立だて看板かんばんとともに取材しゅざいをスタート。館長かんちょうの吉崎よしざき氏しは『月刊げっかんアスキー』の初代しょだい編集へんしゅう長ちょう、5代目だいめ編集へんしゅう長ちょうの私わたしが案内あんないしていただいたわけだ。

　吉崎よしざき氏しは、『月刊げっかんアスキー』もだが、1982年ねん5月がつに季刊きかんでスタートした『ログイン』の初代しょだい編集へんしゅう長ちょうでもある。ゲーム誌しで知しられるログインだが、創刊そうかん時じは“第だい三さんの波なみの時代じだいを生いきる人々ひとびとのための雑誌ざっし”を標榜ひょうぼうしていた。1000箱はこ（！）あるという未み処理しょり段だんボール箱ばこの向むこう側がわに、同行どうこうの6代目だいめログイン編集へんしゅう長ちょうの高橋たかはしピョン太ふとし氏し。

　建物たてもの正面しょうめんのATMはいまも稼働かどう中ちゅうだが、建物たてものの中なかにも銀行ぎんこうの設備せつびがあちこちにそのまま残のこされている。圧巻あっかんは、なんといってもこの金庫きんこ室しつ。映画えいがでしか見みたことのない巨大きょだい金庫きんこのハンドルを回まわして入はいるという経験けいけんをさせてもらいました。きわめて貴重きちょうな史料しりょうが保管ほかんされる予定よていとのこと。

　展示てんじ室しつに入はいっていくと正面しょうめんに、「きめて！」というセリフとともに南野みなみの陽子ようこ（富士通ふじつうFM77AV）と、松田まつだ聖子せいこ（ソニーHITBIT）のポスター。かつてパソコンの広告こうこくといえばアイドルと相場そうばが決きまっていた。「ひ～とび～とのヒットビット」と脳のう内ない再生さいせいされる。その左ひだりに貼はられているNEC PC-8000シリーズの広告こうこくキャラクターが誰だれなのか私わたしには分わからなかった。

　展示てんじ室しつの中なかは、前回ぜんかいも触ふれたとおり歴史れきし的てきなマシンが年代ねんだい順じゅんにズラリ。最初さいしょ期きのマイコンといえば、Altair 8800が代表だいひょう的てきだが、ここではそれ以前いぜんに国産こくさんのSEIKO S-500（インテル最初さいしょの8ビットマイクロプロセッサ8008搭載とうさい、因縁いんねんが深ふかい）やSORD SMP80（インテルが1974年ねん4月がつに8080を発表はっぴょうすると5月がつにはショウに展示てんじされたという熱あつすぎる伝説でんせつがある）が並ならんでいる。SORDは、当時とうじ「コンピューターのソニー」と評ひょうされた記憶きおくがある。

　初期しょきマイコン御三家ごさんけのApple II、TRS-80、Commodore PET 2001、日本にっぽんの8ビット時代じだいの名な機きももちろん並ならんでいる。私わたしは、同どう世代せだいよりも少すこし遅おくれてこの業界ぎょうかいに入はいってきたので、この時代じだいのユーザーのようすは、ひたすら吉崎よしざき館長かんちょうから教おしえてもらうことばかり。私わたしが最初さいしょに買かったパソコンは1984年ねん発売はつばいのAppleIIcなのだ。アスキー入社にゅうしゃ後ごは、毎日まいにちパソコンまみれの生活せいかつとなりますが。

　これは、シャープのMZ-80C／K用ようのグラフィックス拡張かくちょう機器ききで、のちに任天堂にんてんどう社長しゃちょうとなる岩田いわた聡さとし氏しらのHAL研究所けんきゅうじょによるPCG-8000。ほかにも、初期しょきのマイコンユーザーの憧あこがれの入出力にゅうしゅつりょく端はし末まつ「テレタイプ」、直径ちょっけい30センチ以上いじょうある取とり外はずし式しきのハードディスク（ディスクパック）など、マイコン、パソコンの本体ほんたい以外いがいの機器ききもそこかしこにある。

　マイクロソフトが、これで会社かいしゃとしてやっていくことになった伝説でんせつのAltair BASICをおさめた紙かみテープ（背後はいごにマニュアルも見みえる）。紙かみテープの中身なかみを示しめすための手書てがきの文字もじは、Altair BASICのオリジナルということは、ビル・ゲイツかポール・アレンのものか？

　いちばん奥おくの一いち列れつは、家庭かてい用ようゲーム機きがプレイヤブルな状態じょうたいで並ならべられている。棚たなの上うえの箱はこを見みると、任天堂にんてんどうが某ぼう電機でんきメーカーからの打診だしんでゲームの世界せかいに向むかうきっかけとなった「カラーテレビゲーム6」（15本ほんのゲームが遊あそべるモデルとLSIが同一どういつだったことが知しられている）、米国べいこくの大だいヒット家庭かてい用ようテレビゲーム機き「Atari 2600」など、伝説でんせつのマシンも置おかれていることが分わかる。

　旧きゅうマイコン博物館はくぶつかんより大幅おおはば拡充かくじゅうした電子でんし工作こうさく室しつ。過去かこの肩書かたがきを聞きいたら「おっ」と驚おどろくようなエンジニアがボランティアで指導しどうにあたるとのこと。「博物館はくぶつかんとは、子供こどもたちの学まなびの場ばであり、ここから、5年ねん後ご、10年ねん後ごに、大だい活躍かつやくする人材じんざいを輩出はいしゅつしたい」という考かんがえを実践じっせんされているのは凄すごい。

　月刊げっかんアスキーの表紙ひょうしと同おなじ『宇宙うちゅう戦艦せんかんヤマト』の絵えのあるコピー同人どうじん誌しを発見はっけん！　これは、吉崎よしざきさんが、初期しょきマイコン時代じだいに若者わかものたちが集たかったアスターインターナショナルでアルバイトをしていた時代じだいに作つくっていた同人どうじん誌しなのだそうだ。これがきっかけで西にし和彦かずひこ氏しより声こえをかけられて、月刊げっかんアスキーの初代しょだい編集へんしゅう長ちょうとなったとのこと。表紙ひょうしに月刊げっかんアスキーのTBNでもお馴染なじみの井上いのうえ泰彦やすひこさんの名前なまえも見みえる。

動画どうがを見みてほしい

　動画どうが「マイコン博物館はくぶつかん オープン直前ちょくぜんリポート 前編ぜんぺん 2024.4 東京とうきょう青梅おうめ」からポイントとなる場面ばめんをピックアップして紹介しょうかいしたが、ほかにも見みどころがいくつもある。以下いか、からご覧らんいただきたい。

　なお、この動画どうがの後編こうへんは、いよいよオープン直前ちょくぜんとなる４月がつ下旬げじゅんに公開こうかい予定よてい。マイコン博物館はくぶつかんをなぜ開設かいせつすることになったのかをはじめより深ふかいお話はなしを伺うかがうインタビューをお届とどけする予定よていだ。

　この原稿げんこうを書かき終おえようとしていたタイミングで、吉崎よしざき館長かんちょうから「取材しゅざい記事きじは完成かんせい間近まぢかと思おもいますが、資料しりょう写真しゃしんをお送おくりします」と送おくってきたのが、以下いかの写真しゃしん。マイコン博物館はくぶつかんのできる青梅おうめプラザの外観がいかん写真しゃしんなのだが、よく見みると2階かいから屋上おくじょうまで煙突えんとつが伸のびている。これは、動画どうがには出でてこないがレーザーカッター、3Dプリンタが稼働かどうする「重じゅう工作こうさく室しつ」の換気扇かんきせんからの排気はいきのためとのこと。

　実じつは、マイコン博物館はくぶつかんや夢ゆめの図書館としょかん、模型もけいとラジオの博物館はくぶつかんと併設へいせつで、この重じゅう工作こうさく室しつのほかに個人こじん利用りようできる「テレワークスペース」と、グループ活動かつどうができる「コワーキングルーム」も作つくられるのだった。2部屋へやある「コワーキングルーム」の一ひとつには、撮影さつえいスタジオ設備せつびもある。リモートワークがすっかり定着ていちゃくしたいまどきなので、青梅おうめまでの定期ていき券けんを買かってここで日々ひび仕事しごとをするのはどうだろう？

　吉崎よしざき氏しからいただいた情報じょうほうでは、1～2年ねん後ごには中央ちゅうおう線せんと青梅おうめ線せんに「2階かい建だてグリーン車しゃ」が導入どうにゅうされるとのこと。新幹線しんかんせんのグリーン車しゃよりデラックスな車内しゃないで眺望ちょうぼうを楽たのしみながら青梅おうめ駅えきまで移動いどうできる。WiFiと電源でんげん付つきで、グリーン料金りょうきんは、780円えんから1000円えんぐらい。数すう年ねん以内いないに、青梅あおうめが、吉祥寺きちじょうじや立川たちかわなんかよりもいい感かんじのワーケーション的てきな人気にんきエリアになる可能かのう性せいがある？

　マイコン博物館はくぶつかんは、開館かいかん後ご、展示てんじ室しつ中央ちゅうおうのソファのあるあたりを客席きゃくせきにイベントも行おこなわれことになるらしい。「夢ゆめの図書館としょかん」は、まだほとんどが段だんボールの中なかだが、「模型もけいとラジオの博物館はくぶつかん」に展示てんじされるものはすでにラジコン飛行機ひこうきなどが壁かべに飾かざられていた。イベントはあるは、展示てんじは楽たのしいはで、ほとんどとテレワークも仕事しごとが手てにつかない気きもするが。なお、屋上おくじょうは、数すう十じゅう人にん規模きぼでBBQなんかもできてしまいそうなスペースになっていて、青梅おうめの街まちを囲かこむ山々やまやまが眺望ちょうぼうできた。

マイコン博物館はくぶつかん

※2024年ねん5月がつオープン予定よてい（詳細しょうさいは以下いか公式こうしきページ等とうを参照さんしょうのこと）
住所じゅうしょ:〒198-0082 東京とうきょう都と青梅おうめ市し仲ちゅう町まち295 青梅あおうめプラザ
運営うんえい団体だんたい:非ひ営利えいり型がた一般いっぱん財団ざいだん法人ほうじん科学かがく技術ぎじゅつ継承けいしょう財団ざいだん
公式こうしきページ：https://scitech.or.jp/museum
公式こうしきX（旧きゅうTwitter）：https://twitter.com/dream_library_
入館にゅうかん料りょう:一般いっぱん 1,000円えん（税込ぜいこみ）
情報処理じょうほうしょり学会がっかい会員かいいん・高校生こうこうせい・中学生ちゅうがくせい:500円えん（税込ぜいこみ）
保護ほご者しゃ同伴どうはんの小学生しょうがくせい:無料むりょう

遠藤えんどう諭さとし（えんどうさとし）

　株式会社かぶしきがいしゃ角川かどかわアスキー総合そうごう研究所けんきゅうじょ 主席しゅせき研究けんきゅう員いん。MITテクノロジーレビュー日本にっぽん版ばん アドバイザー。プログラマを経へて1985年ねんに株式会社かぶしきがいしゃアスキー入社にゅうしゃ。月刊げっかんアスキー編集へんしゅう長ちょう、株式会社かぶしきがいしゃアスキー取締役とりしまりやくなどを経へて、2013年ねんより現職げんしょく。趣味しゅみは、カレーと錯視さくしと文具ぶんぐ作づくり。2018、2019年ねんに日本にっぽん基礎きそ心理しんり学会がっかいの「錯視さくし・錯聴コンテスト」で２年ねん連続れんぞく入賞にゅうしょう。その錯視さくしを利用りようしたアニメーションフローティングペンを作つくっている。著書ちょしょに、『計算けいさん機屋はたやかく戦せんえり』（アスキー）、『頭あたまのいい人じんが変かえた10の世界せかい NHK ITホワイトボックス』（共著きょうちょ、講談社こうだんしゃ）など。

Twitter：@hortense667

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