連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」
第143回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 7月13日~7月19日
生成AIのビジネス利用は中国がリード、小学生の生成AI利用に肯定的な保護者は66%、インターネット通信の42%はボット、ほか
2024年07月22日 08時00分更新
文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。
今回(2024年月13日~7月19日)は、ビジネスにおける生成AI活用の国際比較、フリーランスエンジニアの平均年収、スクレイピングボットがもたらす脅威、海外旅行とお金の扱い、小学生の生成AIに対する保護者の考えについてのデータを紹介します。
500名以上規模の企業のビジネス意思決定者、世界1600人を対象に「生成AIの活用」を調査した。生成AIの利用という点では中国(83%)がトップで、以下、英国(70%)、米国(65%)、オーストラリア(63%)と続く。生成AIを実装する「成熟度」では、米国(24%)がトップで、中国(19%)や英国(11%)を上回った。生成AIを使用する組織が直面する課題としては「明確な生成AI戦略の欠如」がトップ。同調査では「自社の生成導入戦略を十分理解している」という回答は9%にとどまった。
同社と契約するフリーランスエンジニアの平均報酬月額(税込)×12ヶ月で平均年収を算出した。2024年6月末時点の平均年収は「900万円」、最高年収は「1980万円」。2022年の平均年収997万円から減少しているが、これはベテランよりも案件単価の低い「経験1~5年程度の若手エンジニア」の契約が増えたためと分析している。なお、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」から算出したエンジニア全体の平均年収は570万円、最も報酬が高いのは「システムコンサルタント/設計者」の647万円だった。
厚生労働省「賃金構造基本統計調査/令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」をもとに算出したエンジニアの年収(出典:ACWEB)
年次調査「インターネットの現状(SOTI)|削ぎ落とされる収益:WebスクレイパーがEコマースに与える影響」より。Webサイトをクローリングし、公開データやコンテンツをスクレイピング(収集)するのがスクレイピングボットだが、フィッシングサイトや偽造品販売サイトを構築するために、ECサイトから製品写真や説明文などをデータを収集する目的でも使われている。スクレイピングを受けるとサイトのパフォーマンスが低下するなどの影響があることから、対策が必要としている。
国内外の旅行における「お金」の扱いについて、4世代(18~24歳、25~34歳、35~49歳、50~64歳)の合計671人を意識調査した。海外旅行時の両替は、全体では「クレジットカード支払い/自国通貨建て決済サービス」が最多だったが、18~24歳のみ「旅行前に外貨両替ショップで両替」が最多だった。また、18~24歳では「外貨両替機能のついたモバイルバンキングアプリ」「金融サービスアプリの外貨両替」などの新しい手法も使われている(それぞれ9.9%、12.3%)。
海外旅行時の現地通貨への両替、全世代合計では「クレジットカードで支払い、自国通貨建て決済サービスを使う」が最多(出典:REVOLUT TECHNOLOGIES JAPAN)
海外旅行時、銀行などの手数料を抑えるためにやっていることについては「やっていることはない」が最多(出典:REVOLUT TECHNOLOGIES JAPAN)
旅行中の金銭トラブル防止のための対策、18~24歳は「紛失や盗難が起きた場合にカードを利用停止またはロックできる機能を使う」が27.2%(出典:REVOLUT TECHNOLOGIES JAPAN)
全国の小学3~6年生とその保護者1032組に、生成AIの認知、利用経験、今後の利用意向などを聞いた。「生成AIを知っている」小学生は23%、保護者は53%。また生成AIを知る小学生のうち、利用経験者は70%。認知率や利用率は2023年から大きな変化はなかったが、子どもの生成AI利用に肯定的な保護者が66%と、前年比で10ポイント増の変化が見られた。保護者が子どもに使ってほしい理由としては「新しい技術の活用力を養う機会になる」(35%)、「子供が新しい興味に出会える」(22%)などが挙がる。
「生成AIを知っている」小学生(23%)のうち、70%が利用経験を持つ(出典:ベネッセHD)
保護者の66%が子供の生成AI利用に肯定的(出典:ベネッセHD)
生成AI利用に肯定的な保護者の「使ってほしい理由」(出典:ベネッセHD)