ビデオカードなしで「FFXIV: 黄金のレガシー」の60fps超えが狙える!? 「AMD Ryzen 5 8600G」の実力を見た!
2024年08月30日 10時00分更新
文● 宮崎真一 編集●ハイサイ比嘉
提供: 日本AMD
「AMD Ryzen 5 8600G」なら、ビデオカードなしで自作PCを構築できる!
昨今のビデオカードは性能が向上すると同時に価格も高騰し、ミドルレンジでも10万円を超えるものも登場している。これだけ高価になると、PCのコストを抑えたい人にとってビデオカードは重荷になるだろう。
そこで注目したいのが、AMDの「APU」(Accelerated Processing Unit)だ。簡単にいうとAPUとはグラフィック機能を統合したCPUを指し、AMDのAPUにはAMD Radeonシリーズで採用された技術が用いられている。ビデオカードなしでも自作PCの構築が可能だ。
そこで今回は、AMDのAPU「AMD Ryzen 5 8600G with Ryzen AI」(以下、Ryzen 5 8600G)を用いて、実際にゲームを快適にプレイできるかどうか確かめたのだ。
AMD Ryzen 7000シリーズと同じZen 4ベース、GPUはRDNA 3世代のAMD Radeon 780Mを統合
まずはAMD Ryzen 8000Gシリーズのスペックについておさらいしよう。Ryzen 8000Gシリーズは、「AMD Ryzen 7 8700G with Ryzen AI」、上記のRyzen 5 8600G、そして「AMD Ryzen 5 8500G」「AMD Ryzen 3 8300G」の4製品からなり、それぞれコア数や内蔵GPUなどが異なっている(Ryzen 3 8300Gは国内未発売)。またAMD Ryzen 7000シリーズと同じZen 4アーキテクチャーを採用し、TSMCの4nm FinFETで製造されている。なお、Socket AM5に対応しているため、Ryzen 7000シリーズなどと同じマザーボードで利用可能だ。
Ryzen 8000Gシリーズは、Ryzen 7000シリーズと同じSocket AM5のマザーボードで利用可能だ
名称 |
Ryzen 7 8700G |
Ryzen 5 8600G |
アーキテクチャー |
Zen 4(4nm) |
コア/スレッド |
Zen 4 ×8/16 |
Zen 4 ×6/12 |
ベースクロック |
4.2GHz |
4.3GHz |
ブーストクロック |
5.1GHz |
5.0GHz |
L2キャッシュ |
8MB |
6MB |
L3キャッシュ |
16MB |
対応メモリー |
DDR5-5200 |
PCI-Express |
PCIe 4.0 x20 |
TDP |
65W |
内蔵GPU |
Radeon 780M |
Radeon 760M |
GPUアーキテクチャー |
RDNA 3 |
CU数 |
12 |
8 |
GPUクロック |
2.9GHz |
2.8GHz |
NPU |
XDNA(16TOPS) |
対応ソケット |
AM5 |
CPUクーラー |
Wraith Spire |
Wraith Stealth |
名称 |
Ryzen 5 8500G |
Ryzen 3 8300G(国内未発売) |
アーキテクチャー |
Zen 4(4nm) |
コア/スレッド |
Zen 4 ×2+Zen 4c ×4/12 |
Zen 4 ×1+Zen 4c ×3/8 |
ベースクロック |
3.5GHz |
3.4GHz |
ブーストクロック |
5.0GHz |
4.9GHz |
L2キャッシュ |
6MB |
4MB |
L3キャッシュ |
16MB |
8MB |
対応メモリー |
DDR5-5200 |
PCI-Express |
PCIe 4.0 x14 |
TDP |
65W |
内蔵GPU |
Radeon 740M |
GPUアーキテクチャー |
RDNA 3 |
CU数 |
4 |
GPUクロック |
2.8GHz |
2.6GHz |
NPU |
─ |
対応ソケット |
AM5 |
CPUクーラー |
Wraith Stealth |
そのなかでRyzen 5 8600Gは、正式なモデル名からも分かるとおりAI機能の「AMD Ryzen AI」が利用できる。また、6コア12スレッドタイプのCPUで、L2キャッシュは6MB、L3キャッシュは16MBがそれぞれ用意されている。ベースクロックは4.3GHz、最大ブーストクロックは5GHzだ。ベースクロックやキャッシュの差異はあるものの、「AMD Ryzen 5 7500F」に近いスペックといっていいだろう。
今回のテストに用いたAPUのRyzen 5 8600G
そしてRyzen 5 8600Gに統合されているグラフィック機能は、「AMD Radeon 760M Graphics」(以下、Radeon 760M)だ。このRadeon 760Mは、デスクトップ向けAMD Radeon RX 7000シリーズでも採用されているRDNA 3アーキテクチャーに基づくGPUとなっている。ちょっと乱暴な表現になるが、Ryzen 5 8600Gは、Ryzen 7000シリーズ+Radeon RX 7000シリーズといったイメージのAPUだ。
ちなみに、Ryzen 7 8700GはAMD Radeon 780M、Ryzen 5 8500GとRyzen 3 8300GはAMD Radeon 740Mと内蔵のグラフィック機能が異なっている。そのため、より高いグラフィック性能がほしいなら、Radeon 780Mを持つRyzen 7 8700Gが現実的な選択肢になるだろう。なおAMDによると、AMD Radeon 700Mシリーズは「GeForce GTX 1650」に匹敵する性能だという。
CPU-Z(Version 2.10.0)の実行結果
GPU-Z(Version 2.59.0)の実行結果
Ryzen 7000シリーズでも、「AMD Radeon Graphics」と“Radeon”の名を冠したグラフィック機能が用意されているモデルはあるが、こちらはRDNA 2世代、つまりAMD Radeon 6000シリーズと同世代のもの。APUのRyzen 8000GシリーズとCPUのRyzen 7000シリーズとでは、グラフィック機能の世代がまったく異なる。感覚的には、Ryzen 7000シリーズのグラフィック機能は画面が映ればいい程度の性能で、Ryzen 8000Gシリーズはゲームがプレイできる性能を備えているといえば分かりやすいだろう。そして、それは最新のRyzen 9000シリーズでも変わらない。グラフィック性能でいえば、Ryzen 9000シリーズよりもRyzen 8000Gシリーズに1日の長がある。
ただ、Ryzen 5 8600Gが内蔵しているRadeon 760Mの演算ユニット数は8基と控えめだ。Radeon RX 7000シリーズのエントリー向け「AMD Radeon RX 7600」の演算ユニット数が32基であるのに比べると少ない。また、Radeon 7000シリーズにあるようなレイアクセラレーターやAIアクセラレーター、それにAMD Infinity Cacheテクノロジーなども用意されていない。
CPUに統合するためか、Radeon 760Mはかなり機能を簡略化されてはいるのだが、動作クロックは2800MHzと、Radeon RX 7600の最大動作クロック2655MHzを上回っている点はトピックとして挙げられよう。AI機能についても、先に挙げたRyzen AIはCPU、NPU(Neural Processing unit)、内蔵GPUを組み合わせて動作するものとなっている。
また、ビデオメモリーとしてシステムメモリーの一部を利用するため、システムメモリーの容量や速度が描画性能に影響している点も覚えておきたい。
Ryzen 8000Gシリーズを使用する際は、DDR5-6000などの高速なメモリーを組み合わせたい。掲載した画像はCrucial DDR5 Proシリーズのものだ