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だい581かい

しんiPad Pro/iPad Airハンズオン。高画質こうがしつだけじゃないProのタンデムOLED

アップルがイベントを開催かいさいした、えい・ロンドンのBattersea Power Station

5月7にち、アップルはイギリス・ロンドンなどでしん製品せいひん発表はっぴょうイベントを開催かいさいした。すでにニュースなどでご存知ぞんじとおり、発表はっぴょうされたのは「iPad」のしん製品せいひんぐんだ。

あたらしいiPad Pro
あたらしいiPad Air

発表はっぴょうかいのちにハンズオンがおこなわれたので、まずはその様子ようす速報そくほうしよう。

タンデムOLEDは高画質こうがしつだけじゃない

まずはiPad Proから。

おおきなちがいは「ディスプレイ」だ。

既存きそんのモデルがミニLEDだったのにたいし、しん製品せいひん有機ゆうきEL(OLED)。それも、2まいのOLEDパネルを使つかった「タンデムOLED」。くろがはっきりとくろいのは当然とうぜんだが、輝度きどげも非常ひじょうにはっきりとしている。きゅうモデルとべてくらべることはできていないが、パッとちがいがわかる。写真しゃしんからでもその様子ようすがわかるのではないか、とおもう。

iPad Pro(13インチ)。タンデムOLEDによる輝度きど発色はっしょくさがわかる

2まいかさねにしたのはより輝度きどかせぐため。プロセッサーである「M4」内蔵ないぞう専用せんようコントローラーで、2まいのOLEDパネルに発光はっこうりょう分散ぶんさんさせ、輝度きどげが必要ひつよう部分ぶぶんでのあかるさをかせぐ。

また、2まいのOLEDで発光はっこう部分ぶぶん分散ぶんさんした結果けっか、1まいのOLEDあたりの輝度きど負担ふたんがることになる。これはいわゆる「き」の低減ていげん効果こうかもあるようだ。

今回こんかい、ストレージが1TB・2TBの上位じょういモデルについては、通常つうじょう反射はんしゃ低減ていげんコーティングにくわえ、「Nano-textureガラス」がえらべる。

ひかりうつまない場所ばしょでは「それほどがあるのか……?」とおもったが、わざと照明しょうめいうつませてみると、そのちがいははっきりする。

左側ひだりがわ通常つうじょう反射はんしゃコーティングだけのiPad Pro。反射はんしゃおさ気味ぎみではあるものの、ハイライトがはっきりうつんでいる
おなじシチュエーションで、右側みぎがわが「Nano-textureガラス」搭載とうさいモデル。中央ちゅうおうひだりにぼんやりとしろ部分ぶぶんがあるが、ぜん写真しゃしんのハイライト反射はんしゃくらべかなり目立めだちづらい

これをると「いいなあ……」とおもうが、ストレージが1TBもしくは2TBのモデルでなくてはならないこと、さらにNano-textureガラスを選択せんたくする追加ついかコストがかかることをかんがえると、価格かかくはだいぶついてしまう。

Nano-textureガラスは反射はんしゃおさえたいこと以上いじょうに、すでにそのたねそとけディスプレイを使つかっている環境かんきょうで、より厳密げんみついろわせをしたいときなどにとく有効ゆうこうだ。微細びさい加工かこう反射はんしゃおさえているので、あぶらよごれなどは頻繁ひんぱんったほうがいい。だが、Apple Pencilでこすってもきずもつかないし、Nano-textureがいたむこともない。ただ、Nano-textureグラスのうえからフィルムをると、のりなどの影響えいきょうけてダメになってしまうので注意ちゅうい必要ひつようだ。

なお、Nano-textureガラス同様どうよう、1TB・2TBのモデルと256GB・512GBモデルでは機能きのうことなる。

下位かいの2モデルはCPUの高性能こうせいのうコアが3つでメインメモリーが8GB、1TB・2TBモデルは高性能こうせいのうコアが4つでメインメモリーが16GBになる。ただし、GPU性能せいのうやメモリー・ストレージ帯域たいいきなどにちがいはないとのことだ。Nano-textureガラスの選択せんたくとともにをつけておきたいところだ。

うすさ・かるさは「キーボードとのセット」でさらに拡大かくだい

かるさ・うすさもちがう。

スペックてきにいうと、13インチばん軽量けいりょうおおきい。12.9インチばんたいして100gちかかるくなるので、った瞬間しゅんかんにわかる。

13インチばんうすく・かるくなった感覚かんかくがよりつよ

面積めんせきおおきい13インチのほう相対そうたいてきうすさ・かるさが目立めだつものの、日常にちじょうてきにiPad Proを使つかっている人間にんげん感触かんしょくとして「かなりちがう」とわかるくらい(13インチの場合ばあいで1.3mm、11インチで0.6mm)になっている。

一方いっぽう、11インチばん同士どうしだと20g程度ていどちいさくなる。とはいえ、こちらももちろん、「かるくなった」「うすくなった」のは十分じゅうぶんわかるのだが。

11インチばん。コンパクトなぶんうすさは目立めだちづらい

それにくわえ、13インチばんについてはべつ事情じじょうもある。

OLEDが2まいになってもなお、これまで12.9インチばんiPad Proが採用さいようしてきたミニLED搭載とうさい液晶えきしょうよりうすく、かるくなるのだ。結果けっかとして、13インチばんは11インチばんよりも「かるさ・うすさの進化しんか目立めだつ」モデルになった。

タンデムOLEDの制御せいぎょはM4ない専用せんようコアでおこなっているし、M4自体じたい電力でんりょく効率こうりつたかめているのと放熱ほうねつ設計せっけいによってエアギャップのすくない構造こうぞう実現じつげんしているので、「M4になったからiPad Proはうすく・かるくなった」ともえる。

ただ、「かるさ」「うすさ」というはなしでいうならば、あたらしいiPad ProけのMagic Keyboardのインパクトもおおきい。

11インチばんiPad ProしんMagic Keyboard
13インチばんしんMagic Keyboard

アップルの公表こうひょう情報じょうほうにはMagic Keyboardの重量じゅうりょうがないため、こちらでも正確せいかく数字すうじはわかっていない。だが、ってみると「劇的げきてきかるくなった」とわかるくらいちがう。

すなわち、iPad ProとMagic Keyboardをセットにしてったとき重量じゅうりょうは、しんモデルになるとさらに劇的げきてきわるということだ。このてんは、予定よてい方々かたがた期待きたいしていい。

iPad ProけのMagic Keyboardは本当ほんとうおおきな変更へんこうくわえられている。従来じゅうらいはプラスチック + 表面ひょうめん加工かこうだったパームレスト部分ぶぶんはアルミになり、キー配列はいれつにはファンクションキーが追加ついかされ、タッチパッドも大型おおがたでガラスのものになった。ようはより「Macにちかくなった」のだ。iPad Pro自体じたい変化へんかおなじくらい、こちらの進化しんかこのましい。

タッチパッドめんがガラスに、パームレストがアルミになった

なお、カメラの位置いちはiPad Airと同様どうように「本体ほんたい横長よこながったとき(ランドスケープがた)にうえる」かたちになった。

しんiPad Proの写真しゃしんのコントラストなどをいじってみると、カメラ位置いちが「ランドスケープがた配置はいちしたときうえ」にるようになった

「Pro」がりてきたしんiPad Air

iPad Airについては、11インチと13インチの2モデルになった。

しんiPad Pro。ひだりが13インチでみぎが11インチ

こちらはうすくなったわけではなく、従来じゅうらいのiPad Airのそれを踏襲とうしゅうした感覚かんかくちかい。

ただ、13インチモデルがえた結果けっか相対そうたいてきにだが「画面がめんひろく、うすい」モデルにかんじる。

こちらの使用しようかんは、ディスプレイこそちがうものの、現行げんこうのiPad Proにちかくなった印象いんしょうける。使つかうMagic Keyboardも、新型しんがたではなく、現在げんざいiPad Proけにられているものとおなじデザインだ。

Magic KeyboardにつけたしんiPad Air。デザイン現行げんこうのMagic Keyboardとおなじで、あたらしいiPad Proよう使つかえない

センサーなどを追加ついかして「手元てもとにフォーカス」したApple Pencil Pro

もうひとつ、おおきな変化へんかはApple Pencil Proだ。こちらは新型しんがたのiPad Pro/iPad Air、両方りょうほう使つかえる。

iPad ProにけられているApple Pencil Pro
Apple Pencil Pro自体じたいながさ・重量じゅうりょうバランスなどは現行げんこうのApple Pencilとほぼおな

Apple Pencil Proのちがいは「振動しんどう」と「モーションセンサー」。これによって使つか勝手がっておおきくわる。

たとえば、ペンのきをえると、それにわせてブラシの形状けいじょうやストロークがわる。これはモーションセンサーでの検出けんしゅつ結果けっか使つかったもので、「スクイーズ」とばれる動作どうさ。ブラシをかせつつはばえていくようなえがかたや、一部いちぶをつまんで加工かこうするような使つかかたく。

Apple Pencil Proをひねるとストロークの形状けいじょう変化へんかする

また、メニューのしやペンのモードえ、段階だんかいてきなアンドゥなどを振動しんどうによるフィードバックでらせるのだが、これもかなりわかりやすい。

ちょっと使つかかたれが必要ひつようかな、とはおもったが、Apple Pencilでイラストや漫画まんがなどをえがいているアーティストにとっては、「たんなるスタイラスペン」以上いじょうのアップデートとっていい。

なお、Apple Pencil Proには、アップルの「さがす」ネットワークを使つか機能きのうがついた。いえなか外出がいしゅつさきつからないときには便利べんりなので、日常にちじょうてきにApple Pencilを使つかっているひとには、こちらもおおきな変化へんかえそうだ。

なお、しん機種きしゅはどちらも、Apple Pencil Proだけでなく、Apple Pencil(USB-C)も使つかえる。価格かかくがってしまったから……という場合ばあい、そちらをえらもあるが、しん機能きのうけるのはちょっともったいないもする。

西田にしだ そう千佳ちか

1971ねん福井ふくいけんまれ。フリージャーナリスト。得意とくいジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電かでん、そしてネットワーク関連かんれんなど「電気でんきかデータがながれるもの全般ぜんぱん」。おもに、取材しゅざい記事きじ個人向こじんむ解説かいせつ記事きじ担当たんとう朝日新聞あさひしんぶん読売新聞よみうりしんぶん日本経済新聞にほんけいざいしんぶん、AERA、週刊しゅうかん東洋とうよう経済けいざい週刊しゅうかん現代げんだい、GetNavi、モノマガジンなどに寄稿きこうするほか、テレビ番組ばんぐみ雑誌ざっしなどの監修かんしゅうがける。 近著きんちょに、「生成せいせいAIの核心かくしん」 (NHK出版しゅっぱん新書しんしょ)、「メタバース×ビジネス革命かくめい」( SBクリエイティブ)、「デジタルトランスフォーメーションでなにきるのか」(講談社こうだんしゃ)などがある。
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