レーザー光源こうげんでより明あかるく。Ankerモバイルプロジェクタ「Nebula Capsule 3 Laser」

ポータブルを超こえられるか

プロジェクタの世界せかいは、趣味しゅみや業務ぎょうむ用ようとして固定こてい設置せっち型がたのモデルが全体ぜんたいの6～8割わりを占しめるわけだが、学校がっこう用途ようととしてはどこにでも設置せっちできるというところで、エプソンやリコーの小型こがたポータブル機きが手堅てがたく固かためている。

一方いっぽう趣味しゅみ、というところまではいかないが、個人こじんでワンポイントで楽たのしめるプロジェクタとして、「モバイル」の分野ぶんやも見逃みのがせないところである。ポータブルとモバイルの違ちがいは、サイズ感かんは当然とうぜんとして、バッテリーを内蔵ないぞうしているかどうかでもある。本体ほんたいだけで2～3時間じかんちょこっと使つかえるという「ひとくち感かん」がポイントである。

こうした用途ようととしては以前いぜんからAnkerのNebulaシリーズが頑張がんばっている。このシリーズは2018年ねん5月がつに「Nebula Capsule」という製品せいひんが登場とうじょうしたのが最初さいしょだが、同年どうねん8月がつに「Nebula Capsule Pro」を発売はつばい。以降いこう、定期ていき的てきに新しん製品せいひんを投入とうにゅうしてきている。本ほん連載れんさいでも、2019年ねん7月がつに「Nebula Capsule II」、同年どうねん9月がつに「Nebula Mars II」を取とり上あげており、Ankerのモバイルプロジェクタは結構けっこうテストしてきたところだ。

そんなNebulaシリーズの新しん製品せいひんは、いわゆる缶かんジュースタイプながらも光源こうげんにレーザーを採用さいようした「Nebula Capsule 3 Laser」である。昨年さくねん12月がつから一般いっぱん発売はつばいが始はじまっており、価格かかくは119,900円えん。

Android TV搭載とうさいモバイルプロジェクタとしては初はつのレーザー光源こうげん搭載とうさいだという。円筒えんとう形がたモデルとしては2019年ねんの「Nebula Capsule II」以来いらいとなる最新さいしんモデルを、テストしてみたい。

サイズはほぼ変かわらず

円筒えんとう形がたモデルのNebulaシリーズは、デザイン的てきには大おおきく変かわらないこともあり、サイズが多少たしょう大おおきくなってもわからないというメリット? がある。今回こんかいのCapsule 3 Laserは、高たかさ約やく167mm、直径ちょっけい約やく83mmで、前作ぜんさくより高たかさが17mm、直径ちょっけいで3mm太ふとくなっているが、見みた感かんじは大おおきくなった感かんじはしない。

サイズ感かんはほぼそのままでレーザー光源こうげん搭載とうさい

デザイン的てきにはこれまでのボディは全体ぜんたいがパンチンググリル構造こうぞうとなっていたが、今回こんかいは正面しょうめんだけパンチングなしとなっており、レンズ回まわりに赤あかの差さし色しょくを使つかうなど、高級こうきゅう感かんのある作つくりとなっている。

レンズ回まわりに赤あかい差さし色しょくが入はいっている

オートフォーカス・台形だいけい補正ほせい機能きのうも搭載とうさいしているが、これまでのモデルでは照射しょうしゃレンズの脇わきにAF用ようセンサーを搭載とうさいしていた。一方いっぽう本ほん機きではレンズの真下ました、やや離はなれた位置いちにセンサーがある。本体ほんたいを設置せっちする際さいにうっかり持もってしまう位置いちなので、AF動作どうさの際さいに手てで塞ふさがないように注意ちゅういしたい。

ボディの下部かぶにセンサー

重量じゅうりょうは900gで、前作ぜんさくの740gより重おもくなっているが、所詮しょせんは1kg以下いかなので、片手かたてで十じゅう分ふん持もてる重おもさだ。背面はいめんにはHDMI入力にゅうりょく、充電じゅうでん用ようUSB-C端子たんし、ヘッドフォンや外部がいぶスピーカーを繋つなぐアナログオーディオ端子たんしがある。背面はいめんのボタンは、電源でんげんとBluetoothスピーカーモードへの切きり替かえだ。内蔵ないぞうスピーカーはモノラル8Wで、背面はいめんから見みて右側みぎがわの下部かぶにある。

外部がいぶ入力にゅうりょくにも対応たいおうする

背面はいめん

天てん板ばんがコントローラになっており、タッチで操作そうさできる。天面あまつらをちょんと触さわるとバックライトが点つくので、ボタンの位置いちが確認かくにんできる。ただ基本きほん的てきにはリモコンで操作そうさするほうが操作性そうさせいわるは良好りょうこうだ。またスマートフォン用ようアプリ「Nebula Connect」を使用しようすると、スマホ画面がめんをタッチパッド代かわりにして操作そうさができる。

タッチ操作そうさが可能かのうな天てん板ばん部分ぶぶん

スマートフォン用ようアプリ「Nebula Connect」を使用しようすると、スマホ画面がめんをタッチパッド代かわりにして操作そうさができる

Googleアシスタント対応たいおうのマイク付つきリモコンが付属ふぞく

さて注目ちゅうもくのレーザー光源こうげんだが、輝度きど300ルーメン、寿命じゅみょう約やく25,000時じ間あいだとなっている。前作ぜんさくがLED光源こうげんで輝度きど200ルーメン、寿命じゅみょう約やく30,000時じ間あいだとなっていたので、寿命じゅみょうは8割わり程度ていどになったが輝度きどが上あがっており、円筒えんとう型がたシリーズの中なかでは一番いちばん明あかるいモデルとなっている。

とはいえ、ポータブルモデル全体ぜんたいでレーザー光源こうげん採用さいようモデルは大抵たいてい2,000ルーメンから5,000ルーメン程度ていどの輝度きどを有ゆうしており、レーザー光源こうげんモデルとしては結構けっこう暗くらい部類ぶるいとなる。バッテリー駆動くどうゆえに仕方しかたがないとはいえ、電源でんげんを繋つなげばもっとガーンと明あかるくなるといったシカケが欲ほしかったところだ。ちなみにボックス型がたの「Nebula Mars II Pro」はLED光源こうげんながら500ルーメンである。

ディスプレイは0.23インチのDLPで、解像度かいぞうどは1,920×1,080のフルHD。前ぜんモデルは720pだったので、それよりはPCなどを繋つないでPowerPoint等とうを投影とうえいするような使つかい方かたはやりやすくなっている。

なお投影とうえい距離きょりとサイズの関係かんけいは以下いかの通とおり。

内蔵ないぞうバッテリーによる連続れんぞく使用しよう時間じかんは約やく2.5時じ間あいだ。充電じゅうでん時間じかんも2.5時じ間あいだだ。バッテリーを使つかっての投写とうしゃに加くわえ、付属ふぞくのACアダプタを接続せつぞくながらの投写とうしゃもできる。

【お詫わびと訂正ていせい】記事きじ初出しょしゅつ時じ、“付属ふぞくのACアダプタは出力しゅつりょく30Wのもので、出力しゅつりょくが足たりない”という記載きさいをしておりましたが、試用しようした機体きたいに、通常つうじょう付属ふぞくするACアダプタと異ことなるものが付属ふぞくしていたためでした。通常つうじょう品ひんの充電じゅうでん器きは45W出力しゅつりょくとなります。お詫わびして訂正ていせいします。(2月がつ2日にち16時じ)

OSはAndroid TV 11.0を搭載とうさいしており、Googleアシスタントにも対応たいおうする。またChromecast機能きのうもサポートしている。

レーザーの発色はっしょくを手軽てがるに楽たのしめる

では早速さっそく使つかってみよう。今回こんかいは日ひが暮くれてから、室内しつないで投影とうえいしてみた。スクリーンは、以前いぜんリモート会議かいぎ用ようの背景はいけいとして購入こうにゅうした白しろい布ぬのである。コロナ以降いこう、こうした背景はいけいとスタンドは両方りょうほう合あわせても1万まん円えんも出ださずに買かえるようになっているので、1セットあるとなにかと便利べんりである。

リモート会議かいぎ用ようの背景はいけい布ぬのを使つかって投影とうえい

まず電源でんげんを入いれるとチャートが表示ひょうじされ、自動じどうでフォーカスと台形だいけい補正ほせいが行おこなわれる。ただこのとき、水平すいへいが取とれていなかったり手てで持もっていたりすると、本体ほんたいを水平すいへいに設置せっちするようアラートが出でる。

起動きどう時じにAFと台形だいけい補正ほせいのチャートが表示ひょうじされる

台形だいけい補正ほせいが上手うまく行いかないと、設置せっちに関かんするアラートが表示ひょうじされる

まあちゃんと測定そくていするにはちゃんとした設置せっちが必要ひつようという気持きもちはわかるのだが、こうしたモバイルプロジェクタは、ラフに設置せっちして効果こうかが高たかい、みたいなところがウリの商品しょうひんなので、あまり厳密げんみつな設置せっちを求もとめるのはどうなのかなと言いう気きがする。この動作どうさ感度かんどは「詳細しょうさい設定せってい」で決きめられるので、「低ひくい」に設定せっていした方ほうがいいかもしれない。

設置せっちの動作どうさ感度かんどは3段階だんかいに設定せってい可能かのう

自動じどうの台形だいけい補正ほせいが上手うまく行いかない場合ばあい、手動しゅどうで補正ほせいすることもできる。可変かへん範囲はんいは割わりと広ひろいので、よほど斜ななめから照射しょうしゃしない限かぎりは間まに合あうだろう。もともとどこにでも置おけるのがウリなので、台形だいけい補正ほせいを頑張がんばるより照射しょうしゃ面めんと垂直すいちょく位置いちに本体ほんたいを置おいた方ほうが早はやい。

マニュアルの台形だいけい補正ほせいは補正ほせい範囲はんいが広ひろい

ホーム画面がめんは、基本きほん的てきにはGoogle TVなので、YouTubeを中心ちゅうしんにAmazon Prime、ABEMA、Hulu、Disney+などの動画どうがサービスが使つかえる。ただNetflixだけは、インストールや操作そうさが変則へんそく的てきだ。

詳くわしくはサイトに手順てじゅんが書かいてあるが、Google Playからはインストールできない。まず本体ほんたいに「Nebula Play」アプリをインストールして、「ヒント」から必要ひつようなアプリをインストールする。その中なかのFile Explorerを使つかってダウンロードフォルダにあるNetflix.apkを起動きどうしてインストールするという方法ほうほうになる。

Netflixのインストールだけ特殊とくしゅ

またNetflix内ないの操作そうさも、リモコンの上下じょうげ左右さゆうキーの長押なげししリピートでマウスポインタを動うごかしていくという操作そうさ法ほうで、他たのサービスと操作そうさ感かんが異ことなる。まあ本体ほんたいで見みられるだけマシという見方みかたもできるが、それならHDMI外部がいぶ入力にゅうりょくにFire TV Stickでも差さし込こんだ方ほうが操作性そうさせいわるはいいだろう。

Netflix上じょうでは指ゆびカーソルをリモコンで動うごかしていく

300ルーメンと明あかるくなったのがポイントではあるが、昼間ひるまはカーテンを閉しめてもはっきり認識にんしきできるほどの投影とうえいはできない。遮光しゃこうカーテンなどでほぼ真まっ暗くらにできるなら話はなしは別べつだが、周囲しゅういが明あかるいとAFセンサーもちゃんと機能きのうしないので、昼間ひるまはまず使つかえないと思おもった方ほうがいいだろう。

標準ひょうじゅんでは輝度きど40%ぐらいになっているので、設定せっていで100%に上あげると、かなりはっきりする。またレーザー光こう特有とくゆうの発色はっしょくの良よさがあり、照明しょうめいが派手はでなライブステージ映像えいぞうなどはかなり見栄みばえがする。

今回こんかいは視聴しちょう位置いちから2.4m程度ていどのところにスクリーンを設置せっちしたので、90インチ程度ていどの画面がめんで視聴しちょうできている。台形だいけい補正ほせいを使つかうとちょっと映像えいぞうが小ちいさくなりがちだが、本ほん機きにはズーム機能きのうがあるので、スクリーンギリギリまで拡大かくだいすることもできる。モバイルプロジェクタの良よさは、本体ほんたいが近ちかくに置おけるので音量おんりょうを上あげる必要ひつようがないところだ。したがって大おおきな画面がめんだが、音おとは大だい音量おんりょうである必要ひつようがないところも、いいところである。

総論そうろん

これまでプロジェクタというと、家族かぞくで楽たのしむ的てきな方法ほうほうに行いきがちだった。だが子供こどもが小ちいさいうちならともかく、中なか・高校生こうこうせいぐらいになってしまうと「さあみんなパパと一緒いっしょに映画えいが見みるぞー」と言いっても誰だれもついてこない。嫁よめが哀あわれむような目線めせんをくれるだけである。

しかしモバイルプロジェクタという製品せいひんは、自分じぶんの部屋へやや寝室しんしつのようなパーソナルスペースで使用しようする製品せいひんである。家族かぞくから切きり離はなされて1人ひとりの時間じかんを楽たのしむためのものであり、そのためのゼイタクな装置そうちと呼よべるかもしれない。

レーザー光源こうげんの採用さいようにより、従来じゅうらい製品せいひんよりも発色はっしょくが良よくなった。スクリーンとも呼よべないような白布しろぬのに投写とうしゃしただけで、バチコーンとした色いろが出でるのはすごい。またAFもかなり正確せいかく、解像度かいぞうどもフルHDに上あがった事ことで、文字もじ情報じょうほうも読よみやすい。

難点なんてんはやはり約やく12万まん円えんという価格かかくの考かんがえ方かただろう。これまでAnkerのレーザー光源こうげんモデルはホームプロジェクタ製品せいひんにもあったが、価格かかくは17万まん円えん～25万まん円えん程度ていどであった。その代かわり輝度きどは2,000ルーメンと、かなり明あかるい。そこから比くらべればモバイルプロジェクタで約やく12万まん円えんでレーザーというのはいいように見みえるが、輝度きどはかなり下さがっている。

そもそもこれまでモバイルプロジェクタで10万まん円えんを超こえる製品せいひんがなかったのも、ドーンと価格かかくが上あがった感かんがある。

モバイルプロジェクタは、起爆きばくしそうでなかなか来こない製品せいひんの1つだ。Nebulaはその扉とびらをこじ開あけるシリーズだと思おもっているが、ポイントは光源こうげんではなく、輝度きどではないかという気きがする。