「ウィスキーくさい」と酷評こくひょうから市場いちばトップへ！プレモル誕生たんじょうまで40年ねんの死闘しとう

「ザ・プレミアム・モルツ CM」より

　長ながきにわたり、日本にっぽんのプレミアム・ビールといえば、サッポロビールの「ヱビス」というのがお決きまりでした。ビール業界ぎょうかいの王者おうじゃであるアサヒビールやキリンビールからも、さまざまなプレミアム・ビールが投入とうにゅうされてきたものの、まったく歯はが立たたなかったわけです。

　しかしながら、2003年ねんにサントリーより市場いちばに投入とうにゅうされた「ザ・プレミアム・モルツ」（プレモル）は08年ねんにヱビスを抜ぬき去ざり、プレミアム・ビールの市場いちばでトップに立たちました。

　プレモルの成功せいこう要因よういんについて、どのようなポイントが浮うかんでくるでしょうか。

素材そざい、製法せいほう、生産せいさんへのこだわり

『「高たかく売うる」戦略せんりゃく』（大崎おおさき孝徳たかのり／同文どうぶん舘だて出版しゅっぱん）

　素材そざいに関かんして、ホップは香かおり高たかいビールを実現じつげんするために苦にがみの少すくないアロマホップを使用しようし、香かおり付づけにはファインアロマと呼よばれる最高さいこうクラスのホップの中なかから、さらに厳選げんせんを重かさねています。また、麦芽ばくがは豊ゆたかな味あじわいと爽快そうかいな後口あとくちのビールに一番いちばん適てきした二に条じょう大麦おおむぎのなかでも、でんぷんを多おおく含ふくむ、粒つぶが大おおきいものを選択せんたくしています。

　製法せいほうに関かんしては、研究けんきゅう開始かいしから約やく10年ねんもの歳月さいげつを費ついやし、2～3回かいに分わけてホップを追おい足たすように投入とうにゅうする「アロマリッチホッピング製法せいほう」に辿たどり着ついています。さらに、仕込しこみの工程こうていにおいても、通常つうじょうなら1回かいしか温度おんどを上あげないところを、2回かいにわたって上あげる「ダブルデコクション」を採用さいようし、しっかりと濃厚のうこうな麦むぎ汁じるをつくり出だすことに成功せいこうしています。

　生産せいさんに関かんしても、担当たんとうスタッフは「コスト重視じゅうしで高こう効率こうりつを目指めざすような時代じだいにありながら、プレモルはまったく反対はんたいに手間暇てまひまをかけ、その結果けっかとして、おいしいビールに仕上しあげています」と述のべています。例たとえば、缶かんは外観がいかんに傷きずがつかないように製造せいぞうラインのベルトコンベアを通常つうじょうより遅おそくし、また、できあがったプレモルは一本いっぽん一いち本ほん、容量ようりょう・外観がいかん検査けんさを機械きかいと目視もくしで行おこなった後のち、箱詰はこづめ機きに送おくるという徹底てっていぶりです。

　こうした取とり組くみにより、05年度ねんどのモンドセレクションのビール部門ぶもんで日本にっぽん初はつの最高さいこう金賞きんしょうを受賞じゅしょうしています。モンドセレクションは優秀ゆうしゅう品質ひんしつの国際こくさい評価ひょうか機関きかんとしてベルギーの首都しゅとブリュッセルに1961年ねんに設立せつりつされた団体だんたいですが、出品しゅっぴんに対たいする受賞じゅしょう割合わりあいの高たかさや、豆腐とうふなど欧州おうしゅうの食しょく文化ぶんかとはなんら関係かんけいがない食品しょくひんも審査しんさ対象たいしょうとなるなど、個人こじん的てきにはどれほどの信しんぴょう性せいがあるのか疑問ぎもんではあるものの、モンドセレクション最高さいこう金賞きんしょう受賞じゅしょうの宣伝せんでん効果こうかは大おおきく、その後ご、飛躍ひやく的てきに売うり上あげが向上こうじょうしています。