TSUTAYAはなぜ倒産とうさんしないのか…レンタル事業じぎょう衰退すいたいでも業績ぎょうせき堅調けんちょうのワケ

　レンタル業界ぎょうかい大手おおてのTSUTAYAは、なぜ倒産とうさんしないのか、とネット上じょうで話題わだいになっている。確たしかにCDやDVDなどのソフトレンタル市場いちばは苦境くきょうにある。定額ていがく制せい（サブスクリプション方式ほうしき）の動画どうが・音楽おんがく配信はいしんサービスが普及ふきゅうしたことで、リアル店舗てんぽを訪おとずれる客きゃくは激減げきげんしている。

　レンタル事業じぎょうを行おこなうリアル店舗てんぽは続々ぞくぞくと閉店へいてんしており、特とくに東日本ひがしにっぽんでTSUTAYAの店舗てんぽを展開てんかいしていたトップカルチャー社しゃがレンタル事業じぎょうから撤退てったいすると発表はっぴょうした際さいには、「ついにTSUTAYAはレンタルをやめるのか」と誤解ごかいが広ひろがった。

　一般いっぱん社団しゃだん法人ほうじん 日本にっぽん映像えいぞうソフト協会きょうかいの「映像えいぞうソフト市場いちば規模きぼ及およびユーザー動向どうこう調査ちょうさ2022」によると、映像えいぞうソフト市場いちばにおけるレンタル市場いちばの割合わりあいは、2007年ねんの3604億おく円えんから2022年ねんには572億おく円えんにまで84％も減少げんしょう。

　TSUTAYAを運営うんえいするカルチュア・コンビニエンス・クラブ（CCC）は、TSUTAYAのフランチャイズ本部ほんぶとして設立せつりつされたが、現在げんざいはほかにも蔦つた屋や書店しょてんなどのプラットフォーム事業じぎょう、Tポイントなどのデータベースマーケティング事業じぎょうを展開てんかいしている。これまで主あるじ業ぎょうだったはずのレンタル事業じぎょうが右肩みぎかた下さがりの今いま、CCCは何なにが収益しゅうえきの柱はしらになっているのだろうか。

　流通りゅうつうジャーナリストの西川にしかわ立たて一いち氏しに話はなしを聞きいた。

――レンタル事業じぎょうが右肩みぎかた下さがりのなかで、なぜTSUTAYAは倒産とうさんしないのでしょうか。

「TSUTAYAに限かぎらずレンタル事業じぎょうはリアル店舗てんぽが衰退すいたいし、今いまはサブスクがメインになっています。DVDやCDを宅配たくはいレンタルできるプランや、宅配たくはいレンタルに加くわえてネットでU-NEXTのサービスを利用りようできるプランなど、複数ふくすうの定額ていがくサービスを提供ていきょうしており、レンタル事業じぎょう自体じたいは続つづいています。

　また、蔦つた屋や書店しょてん事業じぎょうは年間ねんかん1500億おく円えんほどの売上うりあげがあり、リアル店舗てんぽの事業じぎょうはそちらに移行いこうしています。もうひとつ、Tポイント事業じぎょうがありますが、今いまはそれが収益しゅうえきの柱はしらになっています。加盟かめい店てん料りょうや情報じょうほう提供ていきょうサービスでの売上うりあげがメインです」

――Tポイント事業じぎょうは調子ちょうしが良よいのでしょうか。

「この事業じぎょうに関かんしては、ソフトバンクと提携ていけい解消かいしょうがあったり、一部いちぶで加盟かめい店てんが離はなれていくといったことはありますが、Tポイントは今春こんしゅん、三井みつい住友すみともフィナンシャルグループが展開てんかいするVポイントと統合とうごうするので、そこに活路かつろを見みいだしていくのではないかと思おもいます」

――ポイント事業じぎょうに関かんして国内こくないではdポイントや楽天らくてんポイント、ポンタポイントなど競争きょうそうが激はげしいなかですが、Tポイントが生いき残のこる可能かのう性せいは高たかいと思おもいますか。

「ポンタはauと連携れんけいしはじめたほか、三菱商事みつびししょうじ・ローソン・KDDIが資本しほん業務ぎょうむ提携ていけいするなど、大おおきな経済けいざい圏けんを作つくっています。ドコモや楽天らくてん、イオン、ソフトバンクも大おおきな経済けいざい圏けんの中なかでポイント事業じぎょうを行おこなっています。そんななかでTポイントはVポイントと統合とうごうすることで、それらと伍ごする展開てんかいをすることができるかもしれません」

――CCCは地方ちほう公共こうきょう団体だんたいの公共こうきょう施設しせつの運営うんえい受託じゅたくなどが話題わだいに上のぼることも多おおいですが、それは収益しゅうえきを上あげているのでしょうか。

「収益しゅうえきの柱はしらになってはいませんが、赤字あかじにはなっていないので、それなりに運営うんえいできているのだとは思おもいます」

――CCC全体ぜんたいとして、経営けいえい状じょう況きょうは良好りょうこうだといえるのでしょうか。

「メイン事業じぎょうとなっているTポイントがVポイントと統合とうごうすることによって、新あらたな活路かつろがひらけたというのが現在地げんざいちだといえるのではないでしょうか。これまでは加盟かめい店てんにとって、CCCの情報じょうほう提供ていきょうサービスはコスパが良よくないところがあり、離反りはんを招まねいたりしていましたが、それが一段落いちだんらくするでしょう。たとえば、すき家かなどを展開てんかいするゼンショーも4月がつ22日にちからＶポイントを導入どうにゅうすると発表はっぴょうしています。三井みつい住友すみとものクレジット決済けっさいができるというメリットが大おおきいと思おもいます。Ｔポイントにもクレジット決済けっさいはありましたが、これまではあまり機能きのうしていませんでした」

　CCCは来年らいねん、創業そうぎょう40年ねんを迎むかえる。これまでのメイン事業じぎょうだったレンタル事業じぎょうが衰退すいたいしていっても、Ｔポイントを中心ちゅうしんに約やく100億おく円えんの経常けいじょう利益りえきを出だしており、経営けいえいは安定あんていしているといえる。社長しゃちょうも交代こうたいし、企業きぎょうとしても新あらたな局面きょくめんに入はいったといえる。

（文ぶん＝Business Journal編集へんしゅう部ぶ、協力きょうりょく＝西川にしかわ立たて一いち／流通りゅうつうジャーナリスト）